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DisplayHDR TrueBlack 1000の世界を先行体験:ほぼ欠点のないOLEDディスプレイ

現代のゲーミングモニターにおいて、DisplayHDR 1000認証モデルは珍しくないです。一方で、OLED向けに作られたTrueBlack 1000認証は非常に珍しく、小型サイズのタブレットやノートパソコンでしか入手できません。

つまり、ノートパソコンを買えばTrueBlack 1000を取得した「未来のOLED」を先行体験できます。

Lenovo / CPU:Core Ultra 7 258V / メモリ:LPDDR5X-8533 32GB / GPU:Arc Graphics 140V / OS:Windows 11

今回の記事では「Lenovo Yoga Slim 7i Aura Gen10」を購入して、TrueBlack 1000認証のOLEDパネルがどれほど弱点を克服しているか確認してみたいです。

(公開:2026/10/31 | 更新:2026/10/31)

やかもち
OLED(有機EL)にMini LED液晶レベルの明るさと鮮やかさが合体したら、たぶん「ほぼ完全無欠」になれると予想しています。

Lenovo Yoga Slim 7i Aura Gen10:画質レビュー

デフォルト設定の画質について

Lenovo Yoga Slim 7i Aura Gen10に電源を入れて、約30分待ってからデフォルト設定の画質を評価します。

Lenovo Yoga Slim 7i Aura Gen10(※クリックで画像拡大)

簡潔に言います。

凄まじい画質です。

画面は常に明るく、最大設定で400~500 cd/m²をあっさり出せます。しかも時間経過による輝度低下(ABL)がほぼ観測されず、安定性に優れています。

色の鮮やかさも優秀です。ハイエンド級の量子ドットMini LEDに匹敵する鮮やかさがあり、高純度な赤色、深い緑色をしっかり表示できます。

デフォルト設定のガンマカーブがほぼ直線(Absolute 2.2)に調整されているせいで、黒色が実際よりもだいぶ真っ黒に見えますが、OLED(有機EL)なら問題ないです。

むしろsRGBに準拠されても・・・ せっかく無限のコントラスト比を持つOLEDが台無しになってしまいます。OLED最大のメリットはその圧倒的な黒であり、わざわざ白浮きさせる必要はありませんし、精度が欲しいならクリエイター向けモニターを買うべきです。

デフォルト画質の測定結果
測定結果
(※クリックで画像拡大)

測定値はやや暖色(6300K前後)を示します。実際にヒトの目で見ると、特に問題ない色合いに見えます。

どうやら出荷時に知覚的マッチングを施したか、パネル製造元から代替xy座標が提供されているのでしょう。一般的なゲーミングモニターも見習ってほしい対応です。

やかもち
暗いグレー色に格子状のノイズが見える「DSE(Dirty Screen Effects)」現象もほとんど発生せず、PC用OLEDゲーミングモニターを完全に打ち負かしています。明らかに「未来のOLED」です。

実際に「画質を測定」して比較

X-rite i1 Pro 2 + Calibrite Display Plus HL

ちもろぐでは、2種類の測定機材を使って「Lenovo Yoga Slim 7i Aura Gen10」の画質を深堀りします。

  1. 分光測色計:X-rite i1 Pro2
    (Spectrophotometer)
  2. 比色計:Calibrite Display Plus HL
    (Colorimeter)

分光測色計を使って、比色計の測定誤差をキャリブレーションしてから測定を始めます。

ゲーミングモニターのパネル方式によって、画面から出ている波長パターン(RGBスペクトラム)が違います。

波長パターンを実際に測定する分光測色計と違い、比色計は波長を認識できないです。内蔵されたフィルター関数を用いて数値に変換します。フィルター関数と実測値がうまく近似していれば測定誤差は最小限です。

しかし、現代のゲーミングモニターは波長パターンが非常に狭く鋭くなっていて、フィルター関数との誤差がどうしても生じてしまいます。

誤差を修正する一般的な手法が「比色計補正(Colorimeter Corrections)」です。分光測色計で実測ベースの補正データ(FCVM法にもとづくCCMXプロファイル)を作り、比色計に適用して誤差を修正します。

初心者もち
ならさ、分光測色計だけ使えばいいんじゃないの?(名案)

たしかに分光測色計は測定精度が高いです。でも測定レンズがすごく小口径なせいで全体的な測定スピードが遅く、暗い色の測定精度がかなり悪いです。

低価格な割に大きなレンズを備える比色計なら、分光測色計より10倍くらい暗い色の測定が得意だし、全体的な測定スピードも約2~5倍ほど速いです。

だから分光測色計を使って比色計を補正してあげれば、分光測色計に近い測定精度を得ながら、より優れた暗部測定とスピーディーな測定が可能になります。

両方とも持っているなら使わない手はありません。

色域
表示できる色の広さを測定

Lenovo Yoga Slim 7i Aura Gen10で表示できる色の広さを測定して、他の製品と比較したグラフです。

Rec.2020色域カバー率は約82%に達し、競合するQD-OLEDに並び、タンデムOLEDにわずかに劣るくらいです。おおむね量子ドット級の性能です。

色域カバー率(CIE1976)
規格CIE1931CIE1976
sRGBもっとも一般的な色域100.0%100%
DCI P3シネマ向けの色域100.0%100%
Adobe RGBクリエイター向けの色域92.4%96.9%
Rec.20204K HDR向けの色域77.6%81.5%

色域カバー率を示すxy色度図も確認します。

スタンダードな色空間で知られる「sRGB」で約100%をカバー。HDRコンテンツ、シネマ向けの色空間「DCI P3」も100%カバーします。

プリントアウト(印刷)が前提のクリエイティブタスクで典型的な「AdobeRGB」色空間のカバー率は約97%です。

立体色域ボリューム(Gamut Rings)

色の総量を示すGamut Rings図も確認します。「DCI P3」の総量が100%フルカバー、「Rec.2020」は約76%に達します。

並のOLEDパネルを軽く上回る色量をかんたんに出せてしまいます。

やかもち
色量 = 色域 * 明るさだから、輝度を底上げしたOLEDなら当然強いです。
明るさ
最低輝度と最大輝度を測定
画面の明るさ
※クリックすると画像拡大
明るさ:0%明るさ:100%
測定グラフ測定値
GRAPHT
  • 最大輝度:430 cd/m²
  • 最低輝度:3.8 cd/m²

画面の明るさは100%設定で約430 cd/m2に達し、SDRコンテンツを見るのに十分な明るさです。

最低輝度(0%設定)はわずか3~4 cd/m2程度まで下げられます。真っ暗な部屋でも薄暗く見えます。平均的なゲーミングモニター(40 cd/m²前後)をはるかに上回る最低輝度です。

眼精疲労などが理由で、夜間に暗い画面を好む人にとって便利不便な仕様です。

安定性
コントラスト比と輝度ムラ測定
  • 実測コントラスト比:Inf:1

自発光パネルのコントラスト比は無限です。表示されている内容に関係なく、常に完全な黒を表示します。

当然ながら、平均的な液晶パネル(1100:1)を圧倒的に上回るコントラスト比です。

均一性
※クリックすると画像拡大
明るさの分布
(輝度ムラ)
色温度の分布
(色ムラ)
GRAPHTGRAPHT
  • 平均 : 0.83%
  • 最低 : 291 cd/m²
  • 最大 : 302 cd/m²
  • 平均 : 1.30%
  • 最低 : 5972K
  • 最大 : 6292K

輝度ムラの実測値は平均0.8%です。輝度ムラの安定性に優れるOLEDパネルらしい結果です。

色温度の分布もそこそこ安定していて平均1.3%を叩き出しました。パネルのどこを見ても安定した色温度を表示します。ベゼル(四隅)に近いほど暖色(ウォーム)に偏っていますが、実際のコンテンツで気にならないです。

輝度ムラの比較データです。

OLEDパネル同士の比較を見る限り、輝度ムラの制御はSamsungが一枚上手です。QD-OLEDやAMOLEDが上位に居座ります。

文字の見やすさ
テキスト表示に適しているか写真で確認
テキストの視認性
(クリックで画像拡大)
文字のドット感
(密度:243 ppi)
実際の表示例
(距離:30 cm)
GRAPHT

文字のドット感(見やすさ)はとても優秀です。

独特のRGB配置をする「Samsung S-Stripe」方式ながら、約243 ppiもの高密度な画素密度が「フリンジ(ぼやけ)」を誤魔化しています。

至近距離でじっくり見つめれば、緑とピンクのフリンジを見つけられる可能性がありますが、普通の距離感(50~60 cm)ならまったく気にならないです。

パネルの物理的特性
(クリックで画像拡大)
ピクセル拡大図
(ピクセル配列:S-Stripe RGB)
スペクトラム分析
(確定:RGB OLED)
GRAPHTGRAPHT

マクロレンズでパネルの表面を拡大した写真です。

PCモニター用途(Windows)と相性が悪く、特にClearTypeでさらに症状が悪化しやすい「S-Stripe RGB」配列の画素レイアウトです。テキストフリンジ(文字ボヤけ)が起きやすいレイアウトを採用します。

次に、パネル技術をスペクトラム波長分析※1で調べて、おおまかな推定をします。

三原色のうち、鋭い青色スペクトルから典型的な青色LEDバックライトだと分かります。緑色スペクトルと赤色スペクトルの分離も非常に良好で、お互いのスペクトルが混じっていません。

Samsung Displayが製造している「AMOLED」系の可能性が高いです。RGB各色の有機材料をそれぞれ蒸着した一般的なRGB方式のOLEDパネルに分類され、三原色の分離に優れた方式です。

ついでにブルーライト含有量を調べたところ、約29%でした。

※ 1:分光測色計「X-rite i1 Pro 2」を使ってスペクトラム分析をします。

HDRモード時の画質を詳しく測定

Colorimetry Research CR-100

ディスプレイ校正業界の標準機材で知られるColorimetry Research製「CR-100」を使って、「Lenovo Yoga Slim 7i Aura Gen10」のHDR性能をテストします。

DisplayHDR SVG
HDR性能のテスト結果
比較テスト対象
Lenovo Yoga
Slim 7i Aura Gen10
ターゲット規格
Display HDR
TB 1000
画面の明るさ
  • ピーク時
    1113 cd/m²
  • 全白フラッシュ
    694 cd/m²
  • 全白持続
    690 cd/m²
  • ピーク時
    1000 cd/m² 以上
  • 全白フラッシュ
    500 cd/m² 以上
  • 全白持続
    500 cd/m² 以上
黒色輝度
  • 0.0001 cd/m²
  • 0.0005 cd/m² 以下
コントラスト比
  • Inf:1
  • 1000000 : 1 以上
色域
  • sRGB:100%
  • DCI P3:100%
  • sRGB:99%以上
  • DCI P3:95%以上
色深度
  • 10 bit
  • 10 bit
ローカル調光
  • 自発光パネル
    (AMOLED)
  • 主に自発光パネル

コンシューマ向けの最上位HDR規格「VESA Display HDR TrueBlack 1000認証」でチェックしました。

ピーク輝度で1000 cd/m²をあっさり突破、全白フラッシュは600 cd/m²を余裕で超えて、TrueBlack 1000認証をパスできる十分な明るさです。

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HDRをもっと深堀り
HDR10規格にどこまで準拠できるか確認

HDRモード時の明るさをテスト。画面全体に占める割合が25%時、輝度が約1000 cd/m²台(HDR 1000)を超えます。

一般的なOLEDパネルをはるかに凌駕する驚異的な明るさを出力しており、Mini LED液晶レベルの明るさに比肩します。

ほぼストレステストに近い全画面輝度(面積100%)もテスト。少なくとも1分間は約700 cd/m²に迫る明るさを維持します。

HDRコントラスト比Colorimetry Research
CR-100で測定した結果
全画面Inf : 1
10%枠Inf : 1
3×3パッチInf : 1
5×5パッチInf : 1
7×7パッチInf : 1
9×9パッチInf : 1

テストパターン別にHDRコントラスト比を測定した結果、ワーストケースでInf : 1でした。

他社のMini LEDゲーミングモニターと、HDRコントラスト比を比較します。文句なしのトップクラス。

面積と明るさ精度
※クリックすると画像拡大
面積別
(PQ EOTF by APL)
GRAPHT

明るさの精度を面積ごとに評価します。Mini LED液晶(Local Dimming方式)なら、面積が狭いほど暗く、広いほど明るくなる傾向です。

一方でAMOLEDパネルは完全な自発光型であり、表示する面積に影響を受けず一貫したPQ EOTF(明るさ精度)を維持できます。

非常に小さな点光源(APL 1%未満)でも安定したPQ EOTFを維持でき、自発光だからできる超高精細な分解能をこれでもかと見せつけています。

HDRモード時の明るさが正しいか、PQ EOTF追跡グラフ(100%正規化グラフ)を階調ごとに分解して確認します。

階調ごとの明るさ精度
※クリックすると画像拡大
GRAPHTGRAPHT
暗黒階調(Dark Accuracy)
「黒潰れ」はありません。優れた暗部階調を表示できます。
影の階調(Shadow Accuracy)
影のディティールは完璧です。潰れもしない、白浮きもしない。
GRAPHTGRAPHT
ベース階調(Paper Accuracy)
ベース階調も非常に制度が高いです。映像ソースの要求どおりの明るさを出力します。
ピーク階調(Flash Accuracy)
通常のOLEDならピーク階調(600 cd/m²超)に到達できませんが、今回のAMOLEDは例外です。わずかにロールオフ傾向があるものの、約1100 cd/m²までうまく追従します。

すべての階調に目立ったトラッキングエラーが見られません。リファレンス級の精度です。

HDRの持続性能
※クリックすると画像拡大
面積比と輝度
(APL別に比較)
経過時間と輝度
(APL別に比較)
GRAPHTGRAPHT

HDRの持続性能はDisplay HDR TrueBlack 1000認証ラインを維持します。

面積10~50%まで約1000 cd/m²を超え、75~100%まで700 cd/m²前後を維持します。Mini LEDにまだ及ばないですが、OLEDとしては信じられない輝度の安定性です。

HDRのグレースケール精度
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D65
(グレースケール)
RGBバランス
(グレースケール)
GRAPHTGRAPHT
HDRの色精度
※クリックすると画像拡大
dE2000
(彩度マッピング)
dEITP
(VESA色精度)
GRAPHTGRAPHT
  • グレースケールがほぼ正確
  • 彩度マッピングも許容範囲内(ΔE < 2.0)
  • DisplayHDR認証で求められるSV 96パッチの色精度も合格(要件:dEITP < 8.0)

非常に優れたPQ EOTFトラッキング、安定したグレースケールを持っており、規格に対する精度がとても良好です。

HDR色精度の比較で過去No.1記録を更新します。

明るいシーンで比較
※クリックすると画像拡大
レビュー対象
(Lenovo Yoga Slim 7i Aura Gen10)
比較:OLED
(TCL 32X3A)
GRAPHTTCL 32X3Aレビュー(HDRを試して比較写真)
HDRを試して比較写真TCL 27C2A Proレビュー(HDRを試して比較写真)
比較:HDR 1000
(GA32V1M MAX)
比較:HDR 1400
(TCL 27C2A Pro)

HDRゲームの代表例「FF16」で、明るいHDRシーンを比較しました。

フェニックスが光り輝く当該シーンにて、Lenovo Yoga Slim 7i Aura Gen10はピーク時1100 cd/m²前後の明るさを叩き出します。

フェニックスの眩しさを再現でき、りんかく周辺の白潰れもかなり少ないです。右側に配置した、普通のOLEDが表示するフェニックスを見てください。

白潰れが酷く、ディティールが潰れ、フェニックスの姿かたちがまともに見えない状態になるのが普通のOLEDです。未来のOLEDは見事に高輝度階調の白飛びを克服し、OLEDでありながらMini LED級のHDR表現が可能です。

明るさを含むHDR色域
※クリックすると画像拡大
DCI P3
(最大1501 nits)
Rec.2020
(最大1501 nits)

HDRモード時の明るさも考慮した、新時代の色域測定「Gamut Rings(HDR拡張)」を測定しました。

大多数のHDRコンテンツでマスタリング色空間に採用されているDCI P3に対して、Lenovo Yoga Slim 7i Aura Gen10はそこそこ一貫性の高い色域カバー率を提供します。DCI P3総合カバー率は約75.5%です。

Mini LED液晶(80%台)に迫っています。

RenoDX HDRなど、任意の色空間でマスタリングできるHDRゲーミングで使われるRec.2020に対しても優れたカバー率を維持します。Rec.2020総合カバー率は約54%に達します。

Mini LED液晶(60%台)に迫っています。

Rec.2020総合カバー率は、平均的なOLEDがせいぜい20%に届かない程度。約50%超がどれほどの大幅な性能アップかが分かります。

HDRゲームの明るさ測定
※クリックすると画像拡大
Final Fantasy XVI
(フェニックス戦)
Ghost of Yōtei
(羊蹄平)
GRAPHTGRAPHT
GRAPHTGRAPHT

HDRゲーム時の明るさを測定しました。

恐ろしく明るいフェニックス戦(FF16)でピーク時に約1100 cd/m²超を記録、1000 cd/m²超の明るさを雑に使ってくるFF16を堪能できる明るさです。

優れたHDR効果で知られるGhost of Yōteiも明るく見えます。ピーク時1100 cd/m²超です。羊蹄平の太陽がちゃんと眩しく見えます。

暗いシーンで比較
※クリックすると画像拡大
レビュー対象
(Lenovo Yoga Slim 7i Aura Gen10)
比較:OLED
(LG 27GX700A-B)
GRAPHTHDRを試して比較写真
HDRを試して比較写真HDRを試して比較写真
比較:IPS + Mini LED
(Titan Army P275MV-A)
比較:IPS + Edge LED
(KTC H27P6)

ハローやブルーミング(光漏れ)はまったく発生しません。1ドット単位のピクセル制御により、どんな状況でも無限のコントラスト比です。

輝点エリアの周囲が完全に真っ黒です。

「明るさ」の問題を克服したOLEDパネルは、Mini LEDに対する完全な上位互換です。Mini LED液晶の場合、弩級のハイエンドモデルですら20000分割が技術的な上限ですが、OLEDなら分割数 = 画素数(100万++分割)になります。

Lenovo / CPU:Core Ultra 7 258V / メモリ:LPDDR5X-8533 32GB / GPU:Arc Graphics 140V / OS:Windows 11
やかもち
「TCL 32R84」を容易に凌駕する、真の「HDR Beast」を先行体験できました。高輝度階調をきちんと再現できる明るさと、ブルーミング皆無な驚異的なコントラスト表現の両立です。
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Lenovo Yoga Slim 7i Aura Gen10:ゲーミング性能

ゲーム性能(応答速度)の測定と比較

(公称分解能は240万Hz = 416.7ナノ秒)

Lenovo Yoga Slim 7i Aura Gen10の「応答速度」を測定します。

大口径レンズ搭載の光学センサーと14ビット分解能に対応したUSBオシロスコープを使って、画面の明るさが変化する時間(= 応答速度)を5マイクロ秒(0.005ミリ秒)単位で実測します。

何を言っているのか、さっぱり分からないと予想されるので、実測グラフをひとつ見てみましょう。

画面の明るさをオシロスコープで測定したグラフです。白色(RGB 255)から黒色(RGB 0)に変化する瞬間を捉えています。だから、上から下へ滝のように落下する推移が見て取れます。

その推移こそが「応答速度(英語でGray-to-Gray Response Time)」です。目標ラインに移動するのにかかった時間が、メーカーがスペック表に記載している応答速度です。

ただし、メーカー公称値は基本的にパネル製造元が提供するデータシートに依存します。データシート記載の数値は悪く言えば・・・ けっこう盛ってます。

公称値「0.5ミリ秒」と書いてあっても、実際に0.5ミリ秒が出るシーンが全体のごくわずかで、平均を取ると3.5ミリ秒や4.8ミリ秒など。

製品によってバラバラです。

もうひとつ問題点があります。オシロスコープが取得した数値と、人間の目で見て実際に感じる明るさにズレが生じます。

オシロスコープ的に非常にごくわずかな差でも、人間の目で見るとハッキリ階調が分かれて見えるシーンが多いです。よって「ちもろぐ」では、取得した電圧データに対してキャリブレーションを実施しています。

一般的な電圧10~90%測定と比べて、人間の知覚に一致させたキャリブレーション済みの測定なら、パネルの暗い部分の応答速度を厳しく評価できます。

やかもち
測定する基準値を「オシロが取った電圧(従来方式)」から「実際に見えているグレースケール(新方式)」に変更しました。人間らしいリアルな応答速度です。
60 Hz時の応答速度
※クリックすると画像拡大
残像感
(UFO追尾ショット)
72パターン測定
(±10範囲を測定)
GRAPHTGRAPHT

オーバーシュート表 / 最悪パターングラフ

60 Hz時の応答速度は平均1.35ミリ秒を記録します。

60 Hzに必要十分な応答速度を余裕を持って満たしますが、ホールドボケ現象(= 60 Hzそのもの)が原因で、残像感がそれほど減らないです。

120 Hz時の応答速度
※クリックすると画像拡大
残像感
(UFO追尾ショット)
72パターン測定
(±10範囲を測定)
GRAPHTGRAPHT

オーバーシュート表 / 最悪パターングラフ

120 Hz時の応答速度は平均0.87ミリ秒を記録します。120 Hzに必要十分な応答速度(< 8.33 ms)を準拠率900%以上でクリア、残像感もかなり軽減されています。

しかし、120 Hzでもホールドボケを取り除くのに不十分です。

残像感を比較
※クリックすると画像拡大
レビュー対象
(Lenovo Yoga Slim 7i Aura Gen10)
比較:OLED
(ASUS PG27AQWP-W)
残像感の比較写真残像感の比較写真
残像感の比較写真残像感の比較写真
比較:Fast IPS
(TITAN ARMY P275MS PRO)
比較:Fast HVA
(TCL 32R84)

応答速度だけ速くても、リフレッシュレートが低いと意味がない、と・・・比較写真から理解できます。

AMOLEDの課題がまさにハイリフレッシュレート対応です。PCゲーマーの需要に応えるには、120 Hzは低すぎます。少なくとも180 Hz以上を要求します。

新測定システム(2026年8月から運用開始)による新しい比較データです。

薄いグレー色のバーを見逃さないように。平均値だけでなく、グレー色のバー(最悪値)も含めて総合的に見ます。

3色のバーが互いに同じ数値かつ0ミリ秒に近いほど、UFOの見た目は静止画のようにクッキリ明瞭と映ります。

フリッカーフリー(画面のちらつき)を測定

フリッカーフリーを検証
※クリックすると画像拡大
  • 明るさ100%:1200 Hz(フリッカーフリー)
  • 明るさ75%:1200 Hz(フリッカーフリー)
  • 明るさ50%:1200 Hz(フリッカーフリー)
  • 明るさ25%:1200 Hz(フリッカーフリー)
  • 明るさ0%:1200 Hz(フリッカーフリー)
フリッカーの基準結果
一般的な基準
(0 Hz または 300 Hz以上)
問題なし
(✅1200 Hz)
TUV Rheinland認証
(0 Hz または 3000 Hz以上)
不可
(1200 Hz)

実際にオシロスコープを使ってフリッカーの有無をテストした結果、明るさ0~100%まで1200 HzのPWMフリッカーが検出されました。

300 Hzを大きく超えているし、振幅も小さいため「ちらつき」を知覚する人はほぼいないです。実質的にフリッカーフリーです。

Lenovo Yoga Slim 7i Aura Gen10:クリエイター適性

「Lenovo Vantage」アプリ → 色の管理 から、色空間モードを自由に選べます。

代表的な規格で知られる「sRGB」、動画編集で使う「DCI P3」、写真編集で便利な「AdobeRGB」が揃っています。実際に適用して、精度をチェックします。

「sRGB」モードと色精度(dE2000)

sRGBモード
色空間の精度
(chromatic)
白黒の精度
(grayscale)

(※クリックするとフル解像度で表示します)

もっとも基本的な色空間「sRGB」モードのレポート結果です。

グレースケール(色温度)がやや青みを帯びていて精度を落としますが、ガンマカーブはかなり正確です。sRGB色域制限と色の精度も良好です。

「DCI P3」モードと色精度(dE2000)

DCI P3モード
色空間の精度
(chromatic)
白黒の精度
(grayscale)

(※クリックするとフル解像度で表示します)

「DCI P3」モードのレポート結果です(補足:ちもろぐでは、DCI P3 = P3-D65と定義しています)。

やはりグレースケール(色温度)が少し青みを帯びていて精度を落とす一方、ガンマカーブはかなり正確です。P3色域制限も見事なクオリティです。

「Adobe RGB」モードと色精度(dE2000)

Adobe RGBモード
色空間の精度
(chromatic)
白黒の精度
(grayscale)

(※クリックするとフル解像度で表示します)

写真編集で定番らしい「Adobe RGB」モードのレポート結果です。

やっぱりグレースケールが少し青っぽいです。ガンマカーブがやや暗めですが、おそらくLenovoは「Gamma 2.2」をターゲットに使った可能性が高いです。

AdobeRGBの色域制限は良好です。100%からズレて95~96%に減るのは、そもそも物理的に表示できるカバー率の上限だからです。

やかもち
凄い・・・ デフォルト設定の色空間モードがすべて正常に機能します。平均値でグレーとカラーどちらもΔE < 2.0に合格です。補正用の3D LUTを用意する必要がなかったです。

Lenovo Yoga Slim 7i Aura Gen10:本体デザインと機能

パッケージ開封と組み立て工程

開封の儀
※クリックすると画像拡大
GRAPHTGRAPHT

箱の中に箱が入っているマトリョーシカ梱包です。サイズは52 x 34 x 8.5 cm(100サイズ)です。

再生紙でできたクラフトな梱包材でがっちり梱包されています。

デザインと付属品をざっくり紹介

アルミニウム製シャーシを使い、スベスベとした手触りの良さと、指紋のつきにくいストレスフリーな使い勝手を両立しています。ヌルっと引っかかりの少ないスムージーなヒンジ設計で、最大180°まで開口できます。

キーボードの側面にツイーター2基(出力2 W)、シャーシ底面にウーファー2基(出力2 W)、合計4-wayスピーカーの音質は “内蔵スピーカー” としては感動します。そこそこ豊かな低音、クリアな音声が聞こえます。

やかもち
本体重量はわずか「1221 g(約1.2 kg)」です。外出先(ほぼ温泉旅館)に持ち運びしやすく、満足度はかなり高いです。

LEDライティング内蔵の日本語キーボードです。タイピングするとうっすら白く光って、キーの位置と印字がひと目で分かります。

トラックパッドの入力体験はとても直感的かつ、自然な追従性を明確を感じられる確かなクオリティです。外出先にうっかりマウスを持ち忘れても、このトラックパッドなら何とか耐えられる気がしてきます。

  • Core Ultra 7 258V(Lion Cove Pコア x4 + Skymont Eコア x4)
  • Intel Arc Graphics 140V(合計128ユニット)
  • LPDDR5X-8533メモリ(合計32 GB)
  • NVMe SSD(PCIe Gen4 x4 / 容量512 GB)

デスクトップ向けCPUが冴えないIntelですが、ノートパソコン向けCPUは良い仕事をしています。

省電力性に優れ、少ない消費電力でも遅延の少ないレスポンスを維持します。とてもモバイルラップトップと思えないレベルの性能の応答性を実現していて感嘆するばかりです。

今まで使っていたRyzen 5 5600H(Zen3+)がどれほど酷いCPUだったか、思い知らされました。

ゲーミング性能も予想外です。高帯域なLPDDR5X-8533メモリと、128基の演算ユニットを積んだ内蔵GPU「Arc Graphics 140V」は、原神や崩壊スターレイルどころか鳴潮ですらフルHDで快適にプレイ可能です。

超解像とフレーム生成を備える「Intel XeSS 3」も対応します。鳴潮はXeSS 3対応タイトルだから、見た目だけなら100 fps級のヌルヌル映像です。

最大45 Wの急速充電(USB PD)に対応した、小型ACアダプターが付属します。USB Type-C端子だから、ノートパソコン以外のデバイスも充電できて地味に便利です。

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まとめ:高輝度を克服したOLED = ほぼ欠点がない

「Lenovo Yoga Slim 7i Aura Edition Gen10」を使って、未来のOLEDパネルを先行体験しました。

2026年現在、Mini LED液晶とOLEDパネルの最大の争点が「輝度」と「色」です。せいぜい300~350 cd/m²程度の明るさしか出せないため、輝度 * 色域 = 色量(ボリューム)でOLEDはボロ負けの状況。

ハイフレームレートと超高速応答の性質から、コアなPCゲーマーから支持を集めていますが、画質の評価は依然として意見が大きく割れる部分です。

黒に近い灰色でノイズが大量に出る「DSE」や、DSEを誤魔化すための「黒潰れ」、根本的に足りない明るさが引き起こす酷い「白飛び」などなど。

PCモニター用OLEDパネルの多くが画質面で問題を抱えています。一方で、Samsungが製造しているRGB方式OLED(製品名:AMOLED)パネルは、それら多くの問題をすでに克服済みです。

Mini LED級の明るくパワフルな色表現を可能にしながら、OLEDパネルの強みも持っています。

完全な自発光パネルゆえ、Mini LEDのローカル調光に伴う「ブルーミング」「ハロー」が原理的に発生しません。無限のコントラスト比を常に維持しつつ、1000 cd/m²超の輝度を放ちます。

まさに「HDR」です。

やかもち
今まで見てきたOLEDゲーミングモニターたちと、比較にならない別次元の領域でした。「フェニックスが白飛びしない」OLEDなんて初めて見た。気が早すぎるけど、未来のOLEDが今から楽しみです。

「Lenovo Yoga Slim 7i Aura Edition Gen10」の微妙なとこ

  • 最大120 Hzはちょっと足りない
  • ゲーマー向け機能はありません
  • 低反射コーティングがやや甘い
  • メモリ容量を増設できない
  • PWMフリッカー(1200 Hz)
  • 高負荷時の動作音
  • メーカー1年保証
    (+1万円で3年保証に延長可)

「Lenovo Yoga Slim 7i Aura Gen10」の良いところ

  • 14インチで2.8K(高精細)
  • 色ムラが少ない
  • ほぼ瞬時の応答速度
  • RGB方式で色域が広い(DCI P3:100%)
  • 色域モードがかなり正確(ΔE < 2.0)
  • HDR色精度がとても優秀(ΔITP < 8.0)
  • Display HDR TrueBlack 1000認証
  • Dolby Vision対応
  • 便利なOSDソフトウェア対応
  • 実用的な性能(Core Ultra 7 258V)
  • 一応ゲームも可能(Arc 140V Graphics)
  • オフィスワーク程度なら無音動作
  • コストパフォーマンスが高い
    (本当に買ってよかった)

「Lenovo Yoga Slim 7i Aura Gen10」の用途別【評価】

使い方評価※
FPSやeSports(競技ゲーミング)
ほぼ瞬時の応答速度ですが、リフレッシュレートが最大120 Hzです。
ソロプレイゲーム(RPGなど)
RGB OLEDによる色鮮やかな映像と無限のコントラスト比で、ソロプレイゲームに没入できます。
一般的なオフィスワーク
テキストがくっきり鮮明に見えます。しかし、完全なフリッカーフリーに非対応(1200 Hz)ですし、14インチの狭さがオフィスワークに最適か微妙な感触。「sRGB」モードはそこそこ正確です。
プロの写真編集・動画編集
プロの写真編集や動画編集に耐えうる色域と輝度を備え、「DCI P3」と「AdobeRGB」モードを実装済み。色の精度もそこそこ良好(ΔE < 2.0)です。そのまま使える状態ですが、セルフ校正機能は非対応です。定期的なキャリブレーションはやはり必要です。
HDRコンテンツの再現性
Display HDR TrueBlack 1000認証を取得するほどの性能です。Mini LEDに匹敵する明るさを叩き出し、輝度の安定性も優れます。明るさ(PQ EOTF)精度は信じられないほど優れていて、APL(面積)の影響を受けません。おおむねHDRコンテンツの再現性が高いです。

※用途別評価は「価格」を考慮しません。用途に対する性能や適性だけを評価します。

(ABLも白飛びもしない未来のOLED)

「Lenovo Yoga Slim 7i Aura Gen10」レビューは以上です。

Lenovo / CPU:Core Ultra 7 258V / メモリ:LPDDR5X-8533 32GB / GPU:Arc Graphics 140V / OS:Windows 11
やかもち
画質最強の「ごろ寝」メディア再生機としても活躍中です。内蔵スピーカーがけっこういい音してるから、ヘッドホンを付けずに済み、ごろ寝適性が本当に高い。

 

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6 件のコメント

  • 面白いですね。

    このディスプレイに、プラスして、ノートPCに必要なもの一式(CPU、メモリ、キーボード、ストレージ、OS等々)が付いてきて実売22万円くらいなのでしたら
    ディスプレイ単体なら、それほどバカ高くならず作れそうな気もするのですが、出てないのは何故なのでしょう。

    記事中に画素数が出てこないですが(見逃してるかも?)製品ページによると
    2880×1800ドット(16:10)ということで、画素数はWQHDと4Kの間くらいですので、その画素数を14型に詰め込まないと(約243PPI)この画質は出ないのでしょうか。

    同じ画素密度で27型(16:9)を計算すると、ざっと5560×2130ドット(5Kと6Kの間くらい)を、27型に敷き詰める感じになりますね。
    作れなくはないけれど、需要が多くなさそうな感じなのでしょうか。

    • 興味深い事実として、もともとSamsungはAMOLEDの優位性を理解しており、当然ながらパネル大型化に挑戦しました。しかし、2013年に大型AMOLEDの商用化から撤退しました。RGB蒸着方式は、RGB画素を焼き付けるために「穴の空いた型紙」を使うのですが、パネルが大型化すればするほど、型紙のわずかな歪みが原因で狙った位置にRGB画素をうまく焼き付きできず、品質基準をパスできる歩留まり率はたった30%程度だったそうです。
      「型紙」を使わずに製造する手法として、その後「QD-OLED」や「LG W-OLED(RGB+白画素)」が登場した経緯があります。失敗した大型AMOLEDに対する一応の答えです(ここで画質の大幅な劣化を許容しているので製造メーカーにとっても苦渋の決断だったと思われます)。

      2026年時点では、Samsung V-Stripe QD-OLEDが、大型AMOLEDに相当する技術になる見込みです。MSIなどOEMを通して、TrueBlack 600認証モデルが発表されています。まだまだ1000には届かないですが、着実に高輝度が進んでいます。

      ただ、消費電力と発熱が高輝度化のボトルネックになるのは確実なため、冷却機構を魔改造したカスタムモデルをASUS ROG Swiftあたりがやってくれないかな・・・と、うっすら期待してます。数kgの分厚いヒートシンクと300 W電源があれば、全白600 nitsは割と狙えるラインまで来てるはず。

  • モニターのスペックが今後頭打ちになることってあるんでしょうか?MiniLEDが何百何千万分割できるようになるにしろ、OLEDがこんな感じで輝度克服して焼き付きだとかそういうのも色々どうにかなったとして…
    頭打ちになっても、ゲームにレイトレが出てきたように何かまた追い求める新しい要素が出てくるんでしょうか。

    • 2Dディスプレイの性能頭打ちはあり得ると思います。MicroLEDがゲームエンド感つよい。
      頭打ちした後は、じわじわと価格を少しずつ下げていくか、裸眼3Dディスプレイやグラス型ARなどギミック的な方向性で付加価値を見出すか。

  • miniLEDを色々と渡ってきましたが黒つぶれにどうしても慣れず、
    ここで紹介されていたプライムセールにてLG 27GX700A-Bを購入しました。
    最近のOELDは輝度が安定していて素晴らしい進化を感じます。
    明るいシーンのHDRは諦めましたが、いつかTrueBlack1000が27インチにやってくる日が楽しみです。

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