Amazon限定で販売されている激安ゲーミングモニター「KOORUI 24E4」を、自腹で買ってみました。
一般的に安かろう悪かろうの典型例になるはずですが、困ったことにKOORUIは中国第3位のLCDメーカー「HKC(惠科股份有限公司)」の自社製造モデルです。
自社製造となれば話は変わってきます。しかも、HKCは中国政府から多額の補助金が投入されているメーカーですので、価格の安さも説明がつきます。
(公開:2022/12/10| 更新:2022/12/10)
「KOORUI 24E4」の仕様とスペック
KOORUI 24E4 | |
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画面サイズ | 23.8インチ |
解像度 | 1920 x 1080 |
パネル | VA |
コントラスト比 | 3000 : 1 |
リフレッシュレート | 165 HzHDMI 1.4 : ~144 Hz / DP 1.2 : ~165 Hz |
応答速度 | 1 ms (G2G) |
光沢 | ノングレア |
VESAマウント | 100 x 100 mm |
エルゴノミクス | 前後チルト:+15° ~ -5° |
主な機能 | MPRT(残像低減機能) |
同期技術 | AMD FreeSync※G-SYNC互換も対応 |
スピーカー | なしイヤホン(3.5 mm)端子あり |
主な付属品 |
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寸法 | 542 x 424 x 176 mm |
重量 | 3.14 kg(スタンド含む) |
保証 | 3年 |
参考価格 | 15999 円 |
「KOORUI 24E4」は、コントラスト比に優れるVAパネルを使った、コスト特化型ゲーミングモニターです。
最大165 Hzのリフレッシュレートに対応し、応答速度の公称値は1ミリ秒(G2G)をアピール。表示できる色の広さはDCI P3で85%と記載しており、sRGBで100%近い色域に期待できます。
スペックと性能はお値段以上です。ただし、価格が安い分だけゲーミング機能や調整機能(エルゴノミクス)は大幅にカット。付属スタンドは前後の角度だけ、ゲーム機能はMPRT(残像低減)のみ。
「フルHDで165 Hz」をとにかく安く欲しい方にピッタリな位置づけです。
「KOORUI」についてざっくり調査
「KOORUI」は日本でまったく知られていない知名度ゼロのゲーミングモニターブランドですが、中国の大手通販サイト(Taobaoや京東.com)では非常に人気のあるブランドです。
- 科睿(KOORUI) 23.8英寸显示器 165Hz电竞直面屏(京東.com)
たとえば23.8インチの165 Hzモデルだと、レビュー件数はなんと5万件超えで、平均評価は97%です。
京東.comにあるKOORUIの紹介文を翻訳すると、中国のLCDメーカー「HKC(惠科股份有限公司)」が、若いユーザー向けに作ったブランドがKOORUIとのこと。
HKCは中国国内に12箇所の拠点を構え、研究開発・製造・販売・サービスの提供をすべて自社グループで完結させています。中国政府からの補助金投入もあり、価格競争力に関しては有利な立場です。
日本国内のLCDメーカーの多くは、価格競争に勝てずパネルの自社製造から撤退しています。OLEDテレビはLG DisplayまたはSamsung製ですし、国産のイメージがあるIO-DATAやEIZOですらパネルを自社で製造できません。
一方、KOORUIブランドを展開するHKCグループ(惠科股份有限公司)は中国のLCD業界第3位のメーカーで、テレビ向けのLCD市場で約10%、モニター向けのLCD市場で約7%のシェアを持つ巨大LCDメーカーです。
KOORUIは(政府からの多額の補助金に支えられているとは言え)自社でパネルの製造を行って製品を作り、市場に競争力のあるゲーミングモニターを供給しています。
KOORUI 24E4を開封レビュー
開封と付属品のチェック
ダンボールのような簡素な箱に、朱色のフォントで「KOORUI」と書かれたシンプルなパッケージで到着。持ちやすい手提げつきです。
中身はゲーミングモニターの梱包によくある2段式で、1段目に各付属品が、2段目にモニターアームとモニター本体が入っています。
付属品を収納する型抜きされた分厚い発泡スチロール梱包や、パネル本体を保護するポリ袋など、普通のゲーミングモニターらしい厳重な梱包状況で安心です。
モニタースタンドや固定用のネジなど、必要最低限の付属品です。
フルHDで165 Hzに対応するDisplay Portケーブル(1.5m)が付属します。
組み立てはやや面倒
KOORUI 24E4の組み立ては最近のゲーミングモニターでは珍しく、ネジを使った面倒な固定方式です。
モニター本体にスタンドを挿し込み、
付属の小ねじ(2本)をプラスドライバーを使って固定します。
スタンドを取り付けて、土台にある穴に付属のネジを使って固定します。
こちらもプラスドライバーが必須です。
無事KOORUI 24E4の組み立てが完了です。組み立て自体はとてもかんたんで、およそ5分くらいでした。しかし、プラスドライバーが必須な設計は今どき時代遅れです。
デザインと外観(写真)
クリックすると拡大します | |
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プラスチック製の安っぽさを感じる外装ですが、マットブラック塗装でテカテカと光が反射せず、どこにでも配置しやすい大人しいデザインは万人向けと言えそうです。
別売りのモニターアームを固定するのに使う「VESAマウント」は、スタンダードな100 x 100 mm規格です。
スタンド含めた総重量は約3.14 kgで、エルゴトロンOEMのAmazonベーシックモニターアームで軽々と持ち上げられます。
パネルの表面加工は、目が疲れにくい「ノングレア」を採用。
ベゼル幅は7 mmと23.8インチとしては平均的なベゼル幅。十分スリムに見えるので、マルチディスプレイ環境に適しています。
インターフェイス類
モニター本体の裏側から、各種インターフェイスにアクセスできます。
インターフェイスは全部で5個。
- HDMI 1.4(144 Hz)
- HDMI 1.4(144 Hz)
- Display Port 1.2(165 Hz)
- ヘッドホン端子(3.5 mm)
- 電源アダプタ
映像出力端子はHDMI 1.4(フルHD@144 Hz)が2つ、Display Port 1.2(フルHD@165 Hz)が1つです。
画面右側の底面にボタンが配置されています。
- 戻る
- 左へ
- 右へ
- 決定
- 電源ボタン
以上です。
5方向ボタンがなく、5つのボタンをポチポチと押して設定する面倒くさいタイプです。
エルゴノミクスをチェック
前後チルト(角度調整)は、上方向へ15°、下方向へ-5°まで対応。
- チルト(前後):+15 ~ -5°
- リフト(昇降):-
- スイベル(首振り):-
- ピボット(垂直):-
解像度とリフレッシュレート
HDMIで接続時に最大144 Hz、Display Portで接続すると最大165 Hzまで設定できます。
ゲーム機「PS5」ではフルHD@120 Hzまで表示できます。ただし、PS5 VRRとHDRは非対応。
KOORUI 24E4の画質をテスト
KOORUI 24E4の画質を、専用の機材を使ってくわしくテストします。
色の見え方は個人差が大きいです。だから、ちもろぐのゲーミングモニターレビューでは、ちゃんとした機材で測定して客観的に性能をチェックしてます。
パネルタイプは「VA」です。
スペクトラムグラフを見ると、青色がピンッと立っていて、緑と赤色は山の高さが低く互いに混色しています。表示できる色の広さはあまり期待できないし、色の純度も低いです。
パネルの製造元は基本的にはHKCですが、そもそもHKC製パネルの情報自体が非常に少なく、確認する方法はありません。
色の正確さとコントラスト比
モニターの性能でかなりの人が気にしているのが「パネルの発色」です。発色の良さは正しくは「色の正確さ」と呼ばれ、規格どおりの色が出ているかどうかを「色差(ΔE)」という単位で表現します。
ΔEが平均値で2.0以下なら「正確」です。
色の正確さ(発色の良さ)※クリックで画像拡大します | |
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グレースケール | カラー |
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コントラスト比 | ガンマ |
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KOORUI 24E4の色精度は初期設定の時点で意外と合っています。グレーの正確さはΔE = 1.2で問題なし、カラーの方はΔE = 2.5で若干ズレてます。
ただし、色温度が約7500Kで全体的にやや寒色寄りです。色温度をマニュアル設定に切り替えて、赤:54 / 緑:50 / 青:52に調整すると、色温度を6600K前後に修正できます※。
青色を51まで下げれば、ほぼ6500Kに一致します。日本人の網膜は青白い色を「白」と感じやすい傾向があるため、6600Kくらいがちょうど良いとは思います。
調整後の色精度はまったく問題なし。グレーの正確さがΔE = 1.03まで改善され、カラーの正確さはΔE = 1.83で目標の2.0を下回るまで改善されました。
24E4の色はおおむね良好で、Amazonに300件ほどあるレビューを裏付ける結果です。
※モニターの個体差により必ずカスタム設定がぴったり合う保証はありませんし、sRGB準拠の色を地味だと感じたら使わなくていいです。
KOORUI 24E4はVAパネルですが、視野角を改善するマルチドメイン化は施されていないようです。
VAパネル特有の視野角の狭さがあり、真正面から見ていても画面の端っこに近い部分ほど色がわずかにあせて見える傾向があります。
いくつか参考写真を掲載しておきます。写真を見て「端っこに近いほど色があせる?・・・そうかな?」と思ったら、あなたにとって許容できるレベルの問題だと判断できます。
(sRGB:ΔE = 1.9 / 色温度:6600K / 輝度:200 cd/m²)
画面の明るさ(輝度)
初期設定のまま、OSDからモニターの明るさを10%ずつズラして画面の明るさ(輝度)を測定しました。
一番暗い状態(0%設定)で「47.9 cd/m2」、最大設定(100%設定)で「289.1 cd/m2」、カタログスペックの最大250 cd/m2(SDR輝度)を上回る明るい画面です。
設定値32%で目にちょうど良いとされる「120 cd/m2」です。
残像を低減する「MPRT」機能を使うと、画面の輝度が147.5 cd/m²に下がります。画面がかなり暗くなってしまううえに、輝度も調整できません。
色域カバー率
色域カバー率 | ||
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規格 | CIE1931 | CIE1976 |
sRGBもっとも一般的な色域 | 97.3% | 97.4% |
DCI P3シネマ向けの色域 | 75.6% | 80.1% |
Adobe RGBクリエイター向けの色域 | 74.9% | 84.2% |
表示できる色の広さを「色域カバー率」と呼び、ゲーミングモニターの画質をあらわす指標として使われています。
KOORUI 24E4の色域カバー率は、もっとも一般的な規格「sRGB」で97.3%をカバーします。
HDR向けの規格「DCI P3」はメーカー公称値で85%ですが、実際のカバー率は80.1%で公称値に届いていません。
パネルの均一性
「均一性」は要するに同じ色を表示したときの「色ムラ」の程度です。
グレー(5%)の均一性はイマイチ。HKC製のVAパネルは視野角が狭く、端っこになるほど色があせる傾向が出ています。
もっと明るいグレー(50%)の均一性も同様です。色ムラ自体は普通なのに、視野角の影響で端っこになるほど色が沈んでしまっています。
ゲームプレイ中や映像を見ているときに気になるほどでは・・・ないものの、デスクトップ画面やブラウザを見ているときに視野角が原因の色あせた感じが目立ちます。
VAパネルの割に視野角が狭い
一般的にTN > VA > IPSパネルの順番に視野角が悪いです(参考:液晶パネルの違いを解説するよ)。
最近のVAパネルなら、マルチドメイン技術でIPSパネルと同等レベルまで視野角を改善できますが、今回のVAパネルでは特にこれといった視野角対策が施されていません。
VAパネルの中でも特に視野角が悪い部類に入り、狭い視野角が原因の色再現性能への悪影響が出るほどです。
FPSゲームプレイ中に気になるほど目立つ視野角ではないですが、クリエイティブな用途にはまったく向かないです。
フリッカーフリーの動作検証
画面の明るさを25%ずつ変更しながら、オシロスコープを使ってフリッカーの有無を測定したグラフです。
グラフを見ての通り、明るさ設定に関係なく、ほぼ横一直線な安定した明るさが出ています。Amazonの商品ページに「フリッカーセーフ」と記載しているとおり、実際の動作もフリッカーフリーです。
KOORUI 24E4の応答速度をテスト
↑こちらの記事で紹介している方法で、KOORUI 24E4の「応答速度」を測定します。
ゲーミングモニターの公称値はまったくアテにならないので、測定機材できちんと測らないと本当の応答速度は分かりません。
リフレッシュレートの動作チェック
応答速度の前に、リフレッシュレートがちゃんと出ているかどうか「UFO Test」を撮影してチェック。
スライダーショット(追尾撮影)で残像を撮影します。リフレッシュレートが上がるにつれてUFOのりんかくがハッキリと映り※、残像が減っているのが分かります。
※リフレッシュレートに必要な応答速度を満たしていないと、ホールドボケ軽減の恩恵を受けられません。
定点撮影も問題なし。リフレッシュレートが高いほど、UFOの数が増えています。
120 Hz時の応答速度
「120 Hz」はPS5やXbox Series Xでゲームをする方に重要です。PS5 / Xbox Series Xは最大120 Hzまで対応で、144や240 Hz以上に対応していません。
リフレッシュレートを120 Hz、オーバードライブ「OD : なし(初期設定)」に設定して、応答速度を計測します。
KOORUI 24E4の応答速度120 Hz / オーバードライブ:なし | |
---|---|
平均値 | 13.64 ms |
最速値 | 4.04 ms |
最遅値 | 29.76 ms |
明るく | 13.98 ms |
暗く | 13.29 ms |
応答速度 | 0 | 50 | 100 | 150 | 200 | 255 |
---|---|---|---|---|---|---|
0 | – | 29.76 ms | 28.26 ms | 20.58 ms | 15.89 ms | 8.64 ms |
50 | 9.07 ms | – | 17.34 ms | 16.66 ms | 13.31 ms | 8.58 ms |
100 | 9.26 ms | 16.28 ms | – | 12.39 ms | 11.61 ms | 8.26 ms |
150 | 9.67 ms | 18.88 ms | 13.84 ms | – | 9.24 ms | 5.22 ms |
200 | 10.16 ms | 17.94 ms | 15.15 ms | 10.58 ms | – | 4.04 ms |
255 | 10.73 ms | 17.50 ms | 15.66 ms | 14.06 ms | 10.65 ms | – |
エラー率 | 0 | 50 | 100 | 150 | 200 | 255 |
---|---|---|---|---|---|---|
0 | – | 0.0 % | 0.0 % | 0.0 % | 0.0 % | 6.7 % |
50 | 0.0 % | – | 0.0 % | 0.0 % | 0.0 % | 0.0 % |
100 | 0.0 % | 0.0 % | – | 0.0 % | 0.0 % | 0.0 % |
150 | 0.0 % | 0.0 % | 0.0 % | – | 0.0 % | 0.0 % |
200 | 0.0 % | 0.0 % | 0.0 % | 0.0 % | – | 0.0 % |
255 | 0.0 % | 0.0 % | 0.0 % | 0.0 % | 0.0 % | – |
120 Hz(オーバードライブ:なし)の応答速度は、平均「13.64 ミリ秒」です。
えっと・・・ゲーミングモニターですよね?
13ミリ秒だと、120 Hzに最低でも必要な8.3ミリ秒より応答速度が長いです。平均で10ミリ秒を超える応答速度だと、残像感もなかなかに深刻です。
165 Hz時の応答速度
リフレッシュレートを165 Hz、オーバードライブ「OD:なし(初期設定)」で応答速度を計測します。
KOORUI 24E4の応答速度165 Hz / オーバードライブ:なし | |
---|---|
平均値 | 13.15 ms |
最速値 | 5.94 ms |
最遅値 | 30.18 ms |
明るく | 13.51 ms |
暗く | 12.80 ms |
応答速度 | 0 | 50 | 100 | 150 | 200 | 255 |
---|---|---|---|---|---|---|
0 | – | 30.18 ms | 28.63 ms | 20.27 ms | 15.26 ms | 8.61 ms |
50 | 9.09 ms | – | 16.46 ms | 14.54 ms | 11.41 ms | 6.27 ms |
100 | 9.95 ms | 16.91 ms | – | 11.89 ms | 10.31 ms | 8.16 ms |
150 | 9.71 ms | 18.32 ms | 13.05 ms | – | 7.01 ms | 5.94 ms |
200 | 10.14 ms | 17.20 ms | 14.73 ms | 9.34 ms | – | 7.65 ms |
255 | 10.58 ms | 16.43 ms | 15.03 ms | 12.17 ms | 9.29 ms | – |
エラー率 | 0 | 50 | 100 | 150 | 200 | 255 |
---|---|---|---|---|---|---|
0 | – | 0.0 % | 0.0 % | 0.0 % | 0.0 % | 0.0 % |
50 | 0.0 % | – | 0.0 % | 0.0 % | 0.0 % | 0.0 % |
100 | 0.0 % | 0.0 % | – | 0.0 % | 0.0 % | 0.0 % |
150 | 0.0 % | 0.0 % | 0.0 % | – | 0.0 % | 0.0 % |
200 | 0.0 % | 0.0 % | 0.0 % | 0.0 % | – | 0.0 % |
255 | 0.0 % | 0.0 % | 0.0 % | 0.0 % | 0.0 % | – |
165 Hz(オーバードライブ:なし)の応答速度は、平均「13.15 ミリ秒」です。
120 Hz時より約0.5ミリ秒速くなりました。リフレッシュレートのおかげでわずかに残像感が軽減されますが、10ミリ秒超えの応答速度では根本的な解消にならないです。
なお、165 Hzに最低でも必要な応答速度は6.1ミリ秒です。平均13ミリ秒は必要な応答速度のほぼ2倍近い数値で、控えめに言って「ひでぇ・・・」のひとこと。
オーバードライブのおすすめ設定
OD機能の効果165 Hz / テストした結果 | ||
---|---|---|
平均値 | 13.15 ms | 10.00 ms |
最速値 | 5.94 ms | 2.06 ms |
最遅値 | 30.18 ms | 30.12 ms |
明るく | 13.51 ms | 9.73 ms |
暗く | 12.80 ms | 10.27 ms |
平均エラー率 | 0.0 % | 3.5 % |
KOORUI 24E4のオーバードライブ機能は「OD:なし」「OD:有効」2段階です。
「OD:有効」にすると、応答速度が約3ミリ秒高速化して、平均10ミリ秒に改善されます。しかし、10ミリ秒でも165 Hzに必要な6.1ミリ秒にまったく届いていません。
「OD:なし」よりマシ程度で、遅すぎる応答速度の根本的な改善は無理です。
参考例として、平均エラー率25%のUFO画像を掲載します。画像を見ての通り、UFOのりんかくが「滲む」ように見えます。このにじみが「逆残像(英語ではCorona、artifactsなど)」と呼ばれる現象です。
本来、残像感を軽減するためのオーバードライブ機能なのに、エラーが発生すると逆に残像が発生します。パネル本体の品質、メーカーのパネル制御技術の実力差など。エラーが発生する原因はいろいろとあります。
応答速度の比較
ちもろぐで検証した他のゲーミングモニターとの比較をまとめます。比較できるデータはかなり増えていて、KOORUI 24E4の応答速度がどれくらいの位置づけなのかが、客観的に分かりやすいです。
120 ~ 165 Hzのゲーミングモニターで比較しました。
KOORUI 24E4は最近レビューした中で突出して応答速度が遅い、ワースト1位の記録です。120 Hzに必要な8.3ミリ秒、165 Hzに必要な6.1ミリ秒、どちらも必要水準を満たせていません。
ベストケースで1ミリ秒すら測定値のどこにも見当たらず、KOORUIが何を根拠に商品ページで「1ミリ秒」とアピールしているのか、まったく理解に苦しみます。
入力遅延をチェック
「Raspberry Pi 4」を使ったカスタム入力遅延テスターを使って、KOORUI 24E4の入力遅延をテストします。
60 Hz時の入力遅延が6.9ミリ秒で、目標の16ミリ秒を余裕で下回ります。120 Hz時の入力遅延は4.8ミリ秒でまったく問題なし。
他のゲーミングモニターと比較します。ほとんどのゲーミングモニターは16 ミリ秒を下回ります。16 ミリ秒を超えるモニターはまれです。
KOORUI 24E4の機能性をチェック
OSD(On Screen Display)の内容
モニターのベゼル下にあるOSDボタンを使って、モニターの設定(On Screen Display)を変更できます。順番に紹介します。
ゲーミングモニターによくあるフォルダ階層の設定ですが、項目が横に並んでいるのが個人的に慣れないです。
5方向ボタンがなく、左右ボタンを使って操作するのも非常に煩わしいです。とにかく設定が面倒くさくて、定番モニターのOSDレイアウトの完成度に改めて再評価する形に・・・。
5つある「画像モード」をチェック
「画像モード」はモニター側に最初から保存されているプロファイルです。KOORUI 24E4には、全部で5つの画像モードが用意されています。
6つある画像モード | |
---|---|
標準 | 比較的sRGBに準拠した設定(やや寒色) |
映画 | 映画向けの設定(標準より寒色が緩和) |
FPS | FPS向けのカラッと乾燥した色合い |
RTS | RTS向けの設定(FPSより若干コントラスト高め) |
アイセイバー | ブルーライトを削ぎ落とした設定(尿液晶) |
そのまま「標準モード」で十分に使えます。青すぎると感じたなら「映画」モードがちょうど良いでしょう。
「MPRT」の効果を検証
BenQの「DyAc+」や、ASUSの「ELMB Sync」など。残像を軽減するゲーミング機能を搭載するゲーミングモニターは珍しくないです。
KOORUI 24E4も残像低減機能「MPRT」に対応しています。MPRTの有無でどれくらいUFOのりんかくがはっきりと見えるのか、実際に使った比較写真がこちらです。
たしかにUFOの姿を捉えやすくなりますが、もともとの応答速度が遅すぎるせいで期待するほど大きな効果を得られません。
モニター | フレーム更新時間 | 黒挿入時間 | 比率 |
---|---|---|---|
DyAc+:プレミアム (BenQ XL2566K) | 2.78 ミリ秒 | 2.33 ミリ秒 | 83.8% |
DyAc+ (BenQ XL2546K) | 4.17 ミリ秒 | 3.47 ミリ秒 | 83.3% |
DyAc (BenQ XL2411K) | 6.94 ミリ秒 | 5.76 ミリ秒 | 82.9% |
DyAc+ (BenQ XL2746S) | 4.17 ミリ秒 | 3.44 ミリ秒 | 82.6% |
ELMB (ASUS VG28UQL1A) | 6.06 ミリ秒 | 4.62 ミリ秒 | 76.2% |
ブレ削減 (BenQ EX270QM) | 4.17 ミリ秒 | 3.16 ミリ秒 | 75.9% |
DyAc+:高 (BenQ XL2566K) | 2.78 ミリ秒 | 2.07 ミリ秒 | 74.6% |
ULMB (ASUS PG259QN) | 4.17 ミリ秒 | 3.08 ミリ秒 | 73.9% |
MPRT (MAG274QRF-QD) | 6.06 ミリ秒 | 4.31 ミリ秒 | 71.2% |
ブレ削減 (BenQ EX2510S) | 6.06 ミリ秒 | 4.24 ミリ秒 | 70.0% |
ブレ削減 (BenQ EX3210U) | 6.94 ミリ秒 | 4.80 ミリ秒 | 70.0% |
ブレ軽減 (BenQ EX2710R) | 6.06 ミリ秒 | 4.23 ミリ秒 | 69.8% |
MBR (LG 24GN600-B) | 6.94 ミリ秒 | 4.72 ミリ秒 | 67.9% |
ELMB Sync (ASUS VG279QM) | 4.17 ミリ秒 | 2.54 ミリ秒 | 61.0% |
MPRT (KOORUI 24E4) | 6.06 ミリ秒 | 3.07 ミリ秒 | 50.7% |
MPRT (Pixio PX247) | 6.94 ミリ秒 | 2.50 ミリ秒 | 36.0% |
残像が見えなくなる機能は基本的に「黒挿入」と呼ばれる技術を使っています。フレームを更新するたびに、真っ黒なフレームを1枚挟んで脳を錯覚させ、残像を見えづらくする仕組みです。
効果の大きさは黒挿入の時間でだいたい決まります。KOORUI 24E4の場合、1フレームあたり約51%が黒挿入の時間でした。
PixioのMPRTより高性能で、ASUSのELMB Syncには劣る性能です。もちろん、BenQのDyAc+には遠く及ばない性能です。
MPRTは画面の明るさも大きく下がってしまいます。他社の残像低減機能と比較して遅れを取っているのは明らかで、正直「おまけ」レベルの域を出ていないです。
まとめ:画質は及第点ですが応答速度で台無しに・・・
「KOORUI 24E4」の微妙なとこ
- パネルの均一性がイマイチ
- 視野角が狭い
- 応答速度が遅すぎる
- ゲーマー機能は控えめ
- 「MPRT」は画面が暗い
- エルゴノミクスは前後チルトだけ
- OSD操作が面倒くさい
「KOORUI 24E4」の良いところ
- 23.8インチでフルHD(ちょうどいい)
- 最大165 Hzに対応
- PS5で120 Hzに対応
- 画質はそれなりにいい
- 十分な色域(sRGBで97%)
- 標準モードの色が割りと正確(ΔE < 3.0)
- 入力遅延が少ない
- 残像低減「MPRT」
- 価格がとても安い
- 3年保証
画質までは意外と良くて、値段を考えれば十分にアリなレベルでしたが、応答速度のテストで一気に評価を落とします。
平均5~6ミリ秒くらいは出るだろうと思っていたのですが、まさか平均10ミリ秒以上とは・・・恐れ入りました。
最近は「LG 24GN600-B」など、2万円ちょっとの安価モデルで平均3ミリ秒台を出せるゲーミングモニターが普通に売っています。
KOORUI 24E4はセール時なら1.2万円、ふだんは1.5万円ですが、セール価格でも10ミリ秒超えの応答速度を受け入れるのは非常にきびしいです。
実際に使ってみれば嫌というほど分かりますが、165 Hzで10ミリ秒超えだと、まるで水彩画のような「にじみ残像」が頻発します。FPSゲームやシングルプレイゲームも気になるレベルです。
アニメや映画も、動きの早いアクションシーンだと残像を認識できる場合があります。
これほど深刻な残像感が出ているにもかかわらず、Amazonの口コミで残像感に言及しているレビューが妙に少ないです。おそらく、レビューを操作している可能性が疑われます。
結論、セール価格でもKOORUI 24E4はおすすめできないゲーミングモニターです。
以上「KOORUI 24E4レビュー:中国第3位のLCDメーカーHKCが製造する激安ゲーミングモニターの実力」でした。
低価格で高性能なゲーミングモニター【解説】
おすすめなゲーミングモニター【まとめ解説】
ちもろぐさんのサイトでB評価とか超絶久しぶりに見る
ここまでこき下ろしてBなのもなんか違和感ある。
D-くらいにしといては
・S(特におすすめ)
・A+(普通にいい優等生)
・A(用途にあえばアリ)
・B+(おすすめしづらい)
・B(ゴミ)
というグレードに分けてるので、「B+」は相当にひどい点数だったり・・・。多分、ゲーミングモニターで「B+」が付いたの今回が初だったはず。
「B=ゴミ」という基準表記は「B級品」や「B級グルメ」といった一般に膾炙した言葉と比べると「ゴミなのにBなんて高評価を!?」という違和感が強い……というかABC形式の表記は「凡例見ないと最低値がわからない問題(CCC・D-・E・Fなど実例見たことがあり)」&「文字の順序を無視したランクが存在しうる問題(SだのSAだのZだの)」があるので個人的には……ちょっと……
・S(特におすすめ)
・A+(普通にいい優等生)
・A(用途にあえばアリ)
・B+(おすすめしづらい)
・B(ゴミ)
↑純粋なるBって、11900Kでしか見たことがなかった気がする。ファミ通でいうところの「10点満点といいつつ最低点は3点」という不文律みたいな感じなのでしょうね、きっと。
なお、自分の中では以下のように変換されてます。過去の傾向から感じている、一読者の感覚ということで。
・S(自作派やゲーマーでなくても食指が動くレベル/唯一無二の絶対的王者)
・A+(自作派やゲーマーだったら熱くなれる強みがある)
・A(自作派やゲーマーにとってもビミョー/代替品がいくらでもある)
・B+(買うな/他製品に良いのが沢山あるからまわりをよく見ろ)
・B(使い道すらない)
大半がグレード設定と文面あってないって思ってそうwww
読んてるよ上からSABCDって感じるwww
脳内でランクを☆5~1 に変換して読んでるけどコレしっくり来るでー
元が和の心ってか奥床しい表記なんや
あくまで安かろう悪かろうだからなあ…
これがBalmuda Phoneみたいに価格も高かったらD-以下になってそう
中国製の自称スペックなんて令和最新版レベルに信用できないわ。
Pixio248Primeの方が断然良さそう
ブラックフライデーで初めて見たから気になってたんですが、こんなに残像が残ってる応答速度の画像初めて見ました。
レビュー感謝。
単純に165Hzのみ安価で欲しい人向けなのかにしても酷くてワロタw
EIZOは今も昔もパネルは作ってなかったのでは?
画像処理エンジン、LUT等で高品質なモニタ作ってるのは間違いないと思いますが(現行FlexScan除く)
撤退した三菱も10年前の時点で既にLG/Samsungパネルだったかなと
日本製だからといってすべての部品を日本で作ってるわけじゃないですし…
同じメーカーの1ms謳ってる27インチのモニタ使ってるけどエペとかやってるとハッキリと残像感じるので1msは大嘘でしょうね
fpsはちゃんと出力出来てますが応答速度に関しては詐欺レベル
ゲーミングと名乗っちゃいけないレベルの商品
炎上しているモニ研の動画でちもろぐのレビュー鵜呑みにしてるbkたちがいるもんだからどんなもんか見に来たけど、筆者の評価の仕方がネットのゴロツキと変わらないレベルだな
どーりで同調するわけだな
ちもろぐはもう二度とあてにしません。
製品を実際に使っていないでけなすような人たちを丸め込むだけの
言語力はあるのな…
モニ研さんの動画は炎上はしてない。
165hzのゲーミングモニターとして応答速度が遅すぎて残像感が酷いという事実に購入者の一部がコメントで怒ってるだけ。
逆に購入したけど残像感が気になりますって普通にコメントしている人もいる。
ちもろぐさんは応答速度の比較データをだしてるから、説得力があっていいと思う。
モニ研さんの動画でもapexプレイ中の振り向きのときの滲み残像は確認できるから
実際に使用してなくても動画視聴で応答速度が遅いのは実感できる。
あなたも例えばBenQのXL2546Kとかを実際に使用すればこのモニターの応答速度の遅さを体感できると思いますが…。
購入した商品がネットで酷評されて怒る気持ちもわからなくはないですが、誹謗中傷コメントはおやめになったほうがいいですよ。
あのねー、一部の購入者とかいうけどね、ふたを開ければ購入してない輩も声を大にして酷評している事実があるんだよ
使ってる人にしかわからないのに
測定結果が嘘だとも言っていないし、応答速度が5ms以下だとうそぶくつもりもないけどね。
ただ事実だとしても過剰な言い方でその商品を傷つけているのが本当に正しいと思うのかと
証拠としてApexを始めとしてL4DとかShutterlineでも十二分に戦えてるし
SoCなんかも性能飛躍したものなんかも出れば大した差が生まれるもんなのも納得だけど、LGもASUSも性能面で言えばさほど差もない。
もちろんLGの方が性能上と言われれば納得納得ではあるけど
逆に聞きたい。
「気を付けてください」というほどの酷さなのか
「安かろう悪かろう」に当てはまるのか
とてもFPSできない性能なのか
商品の誹謗中傷はしていいのに、何かを必要以上に貶す人の誹謗中傷はしちゃダメなのか
炎上してないものを炎上してるって言うの。あんた、嘘つきだねっ。
おまけにここまで誠実に調査してたくさんの画像と1次情報を公開してくれている筆者をゴロツキ呼ばわり。こういうのってめっちゃ時間と労力がかかるんだぜ。
「商品の誹謗中傷はしていいのに、何かを必要以上に貶す人の誹謗中傷はしちゃダメなのか」って、モニ研さんやちもろぐさんは実物を使った上での批評、あなたのは感情的になって発言してる誹謗中傷。
自分が買ったものを貶されて悔しいのはわからなくもないけど、頭冷やしたほうがいいよ。そして次はもっと上のランクのゲーミングモニターを買いなよ。そこで初めて「残像感」に関する意見に納得できると思うよ。グッドラック。
[…] テックブランドと位置づけ、若者のためのトレンドテックづくりに力を入れています。こちらの記事によりますと、画質はそれなりにいいとしつつも「リフレッシュレート165 Hzで、応答 […]
実際に購入して使ってますが、ここで書かれてるほど残像感が酷い製品でないことは確かなので、こちらのような方が比較レビューするブログは実際には当てにならないものなんだなあ…というのが実感です。
本当にたくさんの素晴らしい製品を見すぎて評価基準が一般の感覚から少しずれてしまってるんでしょうか。それは定かではありませんが、やはりこういったものは自分自身で使ってみなくてはわからないものなんですね。
自分では応答速度を怪しんでも測ることが出来なかったので検証感謝です。
値段に惹かれて買ってみたけど、予想以上に残像が大きくてビックリ。
公称スペックがいかに信用ならないのか身に染みて分かりました…
60HzでMPRTは使えますか?
マニュアルには特に記載がなく分かりませんでした。
使えれば10年前レベルの応答速度でも黒挿入機能が付いた三菱製モニター(これもVAパネルでした)や同時期の液晶テレビの代替になりそうで欲しいです。
仮に60Hz対応でも性能は断然BenQが良いのでしょうがTNパネルには抵抗があります。
ニュースでレビューを見かけて最終的にここにたどり着きましたが、60Hzならばこの応答速度でも実用に耐えられるのかなとまだ淡い期待を持っています。
亀なんでもう手遅れかもだけどKOORUIの安物VAはやめたほうが良いよ、多分全部同じパネルだろうし
GTGの最悪値が本当に最悪レベルに遅いからグレーが絡むと残像がひどい、30msは伊達じゃないぞ(たとえ60Hzで許容は17ms程までなので)
グレーが絡まなければ値段の割に案外良いのはこの記事とおりなので惜しい所ではある
ぜひ次はIPSのもレビュー比較して欲しいですね
ここのスペック表では「応答速度 1 ms (G2G)」と紹介されてますけど、
amazonの商品ページには1 ms (MPRT)と書いてあります。
黒挿入込の1msの製品をG2G1msとして扱ったあげくに扱き下ろすのはあまりにひどすぎるのでは?