PS5純正コントローラーの3.5 mm端子にヘッドホンを直挿しすると、音が出ます。ただし、出力が貧弱で音質もイマイチです。
本記事では、PS5にUSB DACを接続してお手軽に高音質化する方法を解説します。かなりニッチでマニアックなやり方ですが、誰かにとっては役立つかもしれません。
(公開:2022/5/21 | 更新:2022/5/21)
PS5で普通に使えるUSB DACは少ない
理由:PS5はUSB Audio Class 1.0対応

最近のオーディオ用DACは基本的にUSB Audio Class 2.0(略:UAC2)に対応しています。特に、384 kHz / 24 bit再生やDSD音源など、高音質な規格に対応しているDACだとほぼ確実にUAC2です。
一方、PS5が対応しているUSB Audio Class 1.0(略:UAC1)は名前の通り、USB 1.1をベースにした規格です。最大96 kHz / 24 bitに制限されるため、高性能化する近年のDACではあまり使われていません。
つまり、最近の高性能なオーディオDACをPS5にそのままUSB接続しても、使えない可能性が非常に高いです。

解決策:UAC1対応のUSB DACを使う

解決方法はシンプルです。UAC1に対応したDACを使います。スペック表で最大96 kHz / 24 bitのDACなら、おそらくUAC1を使っていてPS5でそのまま使えるかもしれません。
しかし、今どきUAC1(20年以上前からある古い規格)を使っているDACは数が少ない上に、性能(音質)もあまり期待できないです。
光デジタルを使って別のUSB DACを利用する

さらなる高音質を目指すなら、UAC1に対応したUSB DACから光デジタル出力(S/PDIF)や同軸デジタル出力(COAXIAL)を使って音をデジタルのまま取り出す方法が現実的です。
光デジタルや同軸デジタル経由で音を取り出して、自分が使いたい高性能なUSB DACに流してアナログ変換させます。
解像度は最大96 kHz / 24 bit(PS5ゲームの場合は48 kHz / 16 bit)に制限されるものの、肝心のデジタルアナログ変換を自分が使いたいUSB DACにお任せできます。
アナログ変換後はそのままUSB DACについている3.5 mm端子などからヘッドホンにつないでもいいし、ヘッドホン用のアンプにつないからヘッドホンに流しても良いです。
なお、USB DAC経由でも「Tempest 3D」オーディオを使えます。5.1 chバーチャルサラウンドは使えません。

PS5にUSB DACとアンプを接続して「高音質化」してみよう
今回の検証に用意したモノ

光デジタル(同軸デジタル)のついたUAC1対応USB DAC
写真右の「PCM2704 USB DAC」はAmazon.co.jpでわずか999円で売っている、UAC1対応のUSB DACです。光デジタル(または同軸デジタル)に変換さえできればいいので、安物で大丈夫です。
写真左にある「REIYIN DA-DD」はPS5の光デジタル変換で定番のDACですが、ぼくが買った個体だとプツプツと音がブツ切り状態で聞くに堪えないポンコツでした。
約3000円も払ってハズレを引くと辛いですので、1000円で買えるPCM2074基板の方をおすすめします。

安くて高性能なUSB DAC「Topping E50」
「Topping E50」は実測値で約121 dBを叩き出す、非常にすぐれた特性値をもつ高性能なオーディオ用USB DACです。DACチップに「ES9068AS」を搭載します。
単純な性能だけなら10万円クラスのDACにも引けを取らないですが、好みに合うかどうかは別問題です。

安くてパワフルなヘッドホンアンプ「Topping L30」
Topping E50はDAC機能しか無いため、音量をコントロールするアンプが必要です。
今回チョイスした「Topping L30」は2万円以下のヘッドホン用アンプの中で、トップクラスの性能です。実測値は約121 dBで聞き取れるノイズがまったく存在しません。
パワーは最大3500 mW x2で仕様上は申し分なし。300Ω台の高インピーダンスなヘッドホン(例:Sennheiser HD650など)を安心して鳴らせる出力です。

RCAケーブルと光デジタルケーブル
USB DACとヘッドホンアンプをつなぐ「RCAケーブル(2本)」、UAC1対応DACと目的のDACをつなぐ「光デジタルケーブル」を用意します。

USB Type-AからType-B
USB DACとPS5を接続するUSBケーブル(Type-AからType-Bに変換するタイプ)も用意しておきます。
PS5からヘッドホンへの接続イメージ

複数の機材があってややこしいので、それぞれの機材をどう接続していくかを分かりやすくイメージにしました。
PS5のUSBに「UAC1対応のDAC」を接続して、UAC1対応のDACにある光デジタルから「目的のDAC」に接続し、目的のDACと「ヘッドホンアンプ」をRCAケーブルを接続します。
あとは使いたいヘッドホンをアンプにつないで完了です。
実際の手順を分かりやすく写真で解説

PS5のUSBポートに、UAC1に対応したUSB DACを接続します。

すると、PS5から音声の出力先として「USBヘッドフォン(USB AUDIO DAC)」を選べます。

音声の出力先を設定したら、光デジタル出力から目的のUSB DAC(今回はTopping E50)に接続します。

2本のRCAケーブルでUSB DACとヘッドホン用アンプ(今回はTopping L30)につなぎます。RCAケーブルは左右を間違えないように注意してください。
左右を間違えると音が逆相(左右逆)になります。

使いたいヘッドホンをアンプ(Topping L30)の6.35 mmアナログ端子につなぐと、ヘッドホンから音が出る状態です。

音量が足りないと感じる場合は、ヘッドホンアンプのゲインやボリュームを調整します。

アンプの音量調整をしてもまだまだ音が小さいなら、USB DAC側の音量を上げてみましょう(※Topping E50の音量は付属のリモコンから調整)。
PS5のUSBオーディオ出力は音量に制限がかかる不具合があるらしく、USB DACとアンプどちらも音量をいっぱいまで上げないと満足な音量にならない場合があります。
不具合のせいで、音量を取りづらい高インピーダンスのヘッドホンや、パワーの弱いアンプだと必要な音量をちゃんと得られるか不安です。
PS5のコントローラーとは比較にならない高音質

USB DAC(Topping E50)とヘッドホンアンプ(Topping L30)の組み合わせは、PS5のイヤホン端子とはまったく比較にならないレベルで高音質です。
高インピーダンスなSennheiser HD650で大音量を鳴らしても、音割れやビビリ音は一切なし。音量を上げても音質が破綻しないのは、さすがTopping L30の性能だと思います。
音の解像度が高く、低音から高音まで出ていて、Tempest 3Dオーディオの効果なのか定位感も良好です。
ただ、好みの話をすると筆者はRME ADI-2 Pro(旭化成のDACチップAK4493を搭載)の方が解像度がもっと高く、音像がクッキリしていて好きです。
Topping E50に入っているESSのDACチップES9068ASは旭化成と比較して若干暖かいような、音像が柔らかいような印象があります。測定値だけならE50がADI-2 Proを打ち負かしているのに・・・。
まとめ:ひと手間かければPS5でUSB DACが使えます

今回解説した方法なら、PS5に対応していない(= UAC2でしか使えない)USB DACを使えるようになります。
CreativeのSound Blasterシリーズや、iFi AudioのZEN DACなど。PS5対応をアピールする製品を使ったほうが手っ取り早いですが、自分の好みにあった製品を使えない場合が多いです。

特に、すでにそこそこ性能の良いUSB DAC(UAC2)を持っている人にとって。わずか999円のPCM2074基板を経由するだけで、使えるようになるのは大きなメリットです。
今回使ったオーディオ機材とその他のおすすめ
低価格で性能を重視した機材セットです。もっと価格を抑えるなら1ランク下の「Topping E30(AK4493搭載)」もアリ。
ごちゃごちゃと複数の機材を使うのが面倒くさい方は、Sound Blaster G6が無難におすすめ。
G6単体でPS5に対応し、ヘッドホン出力とマイク入力をこなします。性能はさすがにTopping E50 + L30にまったく届かないですが、十分に聴けるレベルの性能を確保しています。
参考程度に、使っているヘッドホンは「ゼンハイザーHD650」です。
低音域をわざとらしく強調せず、中音域から高音域にかけて自然な伸ばし方(専門的にはハーマン応答曲線にキレイにそった特性値)が特徴のヘッドホンです。
ざっくりと言えば優等生なわけですが、流行りのソニー製ノイキャンヘッドホンなどに慣れている方が移行すると・・・、低音域の物足りなさから微妙と感じるかも。
個人的には未だに手放さずにローテーションで使い続けているヘッドホンのひとつ(もう1つはHD700)なので、音質は確かなモノです。
以上「PS5にUSB DACとアンプを接続してお手軽に「高音質」にする方法を解説」でした。
USBDACの遅延については、PS5ではどうなんでしょ?
体感ではほとんど遅延が分からないです。理論上、無線よりはマシだと思われます。
位相と音の左右は別だと思うんですけど(名推理)
私も以前に、ちもろぐさんの紹介している方法と同じことをやろうとして、REIYIN DA-DDを買いましたが音切れして使い物になりませんでした。個体差ではないと思います。紹介されている、999円のが正解(ps5と相性が良い)だと思います。
安物の外付けdac=即高音質ってオーディオマニアをかじったこともなさそう
安物だから高音質、とは言ってないです。
データを見て、値段の割に特性値が良い製品としてTopping E50とL30を挙げただけです。もちろん、測定値が高いほど高音質か?と言われると・・・かなり疑問は感じてますが、内耳の形状や生まれながらの定位感の違いによって変動する主観的な感想でおすすめを挙げるよりは、まだマシなのかな。と思ってます。
【参考にしたデータ】
https://www.audiosciencereview.com/forum/index.php?threads/topping-e50-review-balanced-dac.26219/
https://www.audiosciencereview.com/forum/index.php?threads/topping-l30-headphone-amplifier-review.15226/
やや自分語りになりますが昔オーディオ沼に嵌って高いアンプやらDACやらで音を取ってAKGやbeyerdynamic、sonyなんかの旗艦級のヘッドホンを取っ替え引っ替え買い漁り散財したことがありますが、結局自分には安物のアンプとゼンハイザーのエントリークラスから鳴る耳障りの良い音が一番心地よいと判断して、高価な機材は全て処分し現在に至ります。結局のところオーディオ趣味は使った金額ではなく、ご自分に合った環境をチョイスするのが一番の近道だと思われます。コスパにも重きを置いたレビューいつも参考にしております。どうかお気になさらずに。
HD650で低域足りない高音伸びやかと感じるのは耳か方がおかしいです
多分低音の鳴り初めを5-8kあたりのシビランスだけで判断してるんだと思います
音の捉え方もうちょっと見直してみてくださいね
(最近のゲーミングヘッドセットの音に比べれば)なら間違ってないかもね(笑)
クレーマーみたいのが多いな
本格オーディオ(がどういうもんかは知らんが)なら
そもそもPS5で再生した音って時点で
論外扱いしそうなもんだけどそこはスルーというね
オーディオマニアは”面倒くさい”のが多いですから音質云々の記事を出したらこうなるのは必定かと
(呼んでないのに)突然現れる解説オジサンとかマウンティングゴリラとかね
某比較サイトの掲示板なんかそりゃもうヒドいもんで
思ってたことぜんぶ書いてくれてたw
興味深い内容でした。
PS 5の仕様については初めて知りましたが、ゲームプレイ中、少しでも良い音で聞きたいニーズはあると思います。
PS 5はわかりませんが、SteamのPCゲームの音楽を同じヘッドホンを使い、Xboxのコントローラ(箱コン)のヘッドホン端子を経由した場合と、ヘッドホンアンプ(内蔵DACはAK4499EQ)を経由した場合で音を聞き比べると、箱コン経由の音の方がグレードが低いと感じる体験しています。
とはいえ、無線化した箱コンに有線ヘッドホンをさすと、ヘッドホンアンプにさしたケーブルと違って物理的なケーブルに依存されづらくなり動き回れるという利便性があるのですが…。
HDMIから音声成分を分離したほうがシンプルだと思うのですがいかがでしょうか?
テレビのHDMIにつないで、そこからS/PDIFで取り出すとか、eARC対応のAVアンプを使うとか。それこそSoundBlaster G6のように単体で完結する製品を使うなど。
いろいろと方法はありますが、手元にあったTopping DACをどうにかしてPS5で有効活用できないか?試した結果こうなりました。という記事です。
HDMI2.1対応の光デジタル音声分離器って全然ないんですよね。
2.0接続だと4KHDR60HzだとRGB出力できなくてバンディングがおきますし。
自分は手軽さとの兼ね合いでapt-xll出力のUSBレシーバー使うようになりました。Switchでも使えますし。
それが正解
なんでわざわざusbから取るのか?
あー、確かにHDMIから分離した方が、安いDACでの変換が無くて済むな。
まあこの方法でも安いDACがやってる変換って、ADCかDDCなんで、HDMIからの分離に比べてそこまで劣化があるかって言われるとまあそこまでのもんとも思わんけども。
ちなみに音声信号がデジタルのままでは、ボリューム効かないので、アナログ扱ってる側でしかボリュームコントロールできないのよ。
他でも指摘されているけどHDMIの分配器は2.1対応(もっと言うと1番大事な120hz)しているものが殆ど存在しないから、PS5で使う場合は現状選択肢にあがらないよ
コメ欄で余計な争いが起きるから記事でHDMI分配の場合について触れておくと良かったかもね
テレビにHDMI2.1でつないでテレビの光デジタル出力で取るのが一番いいんじゃないかな
HDMI 2.1のテレビがあれば一番ラクですね。ぼくもLG C9 OLED(55インチ)の環境では、その方法を採用して2 chスピーカー環境を作ってます。
そこの音まで拘ってきたらもうPCで良いと思うんだけど…それともPS5コンの音質が相当論外なのか?
ラトックシステムのS/PDIF付HDMI切替器RS-HDSW41A-4Kを使用しています。
これにPS5、Switch、BDレコーダを繋いで、BenQのEX2780Qで表示させてます。
音声系はデジタルが安心ですね。
モニターはちもろぐさんを参考に購入しました。
ありがとうございます。
個人的にはType-C→イヤホンジャックのUSB DACを本体に挿して使うのが1番低コストでお手軽かなと思いました。
まぁDualSenseを有線通信にすれば、それに直接ヘッドホンを挿しても、余程感度が低くなければ十分な音質は出ていると思います。
所詮流すのはゲームの音ですからね。
質問があります。
モニターにオプティカル出力が
ついているのですが
それであれば基盤を通さずに
直でDACに入れますか?
以前、STEELSERIESのGAMEDACを
分配アダプターを使わずオプティカルで
繋いで音が出ていました。
GAMEDACのUSBはDACの電源とチャット音声?で繋がっていると思いますが。
PS5→モニター→toppingDAC
となりますがGAMEDACの頃と違い
PS5とDAC間で何も繋がらない場合
PS5側の認識がどのようになるのか
わかりません。
オーディオオタクめんd
批判的なオーディオ厨やそう思わせたい誰かさんがたくさん湧いていますが 、私個人としては本当に助かる情報でした
記事本文を読む限りだと、星占いな評論家様が書いたオーディオ評とか、対局にいる数値を大事にする自作勢の試行錯誤とかもご存知のようなので、キツい言い方をするオーディオ厨ぽいコメントに耐性がありそうで安心しました….
彼らは確たる指標がないから荒れるんだと思います….PCと違って目に見える指標がわかり易くないし、評論も信用ならないですしね….
hd650を鳴らすためにe50とl50を買った所でして、ついでにPS5にも接続したいなあと思っていたらこちらに行き当たりました。
無事接続出来て満足です。ありがとうございました。
このサイトのやり方でスピーカー繋げれたのでとても助かりました!
詳しくありがとうございます
説明分かりやすかったです笑
Can you try contact the apogee groove to ps5 for me?because I really like apogee groove’s sound,vut ps5 can’t use apogee groove.
へー!
面白い☺️
こんなこともできるんだ!!
オーディオオタクほんとめんどくさいwww
いつもちもろぐさんの記事楽しく読ませて貰ってます
こういうやり方もあるのかと一石を投じた良い記事だと思います、変なのはスルーして、またこういうニッチな記事も楽しみにしてます!
先日、このサイトを参考にして、ps5に使用するために同機器を購入しました。ところが、『TOPPING E50』の電源を入れたところ、液晶画面に『Err 1NH』と表示され、使用することができません。
故障不具合なのか、単に使用方法が間違えているのかどちらでしょうか。
わかる方教えてください。
解決しました!
質問です。
記事の通りダックとアンプをps5に接続し、SE215 SPE-Aのイヤホンで使用を考えています。
色々調べてみると、インピーダンス、ホワイトノイズ、、等々検索されるのですが、
SE215 SPE-Aを使用することについて、どう思いますか?
有識者の方教えてください。
Dellの4Kモニタはヘッドホン端子が無いので困っていました。コントローラーのヘッドホン出力の音は劣悪ですね。内蔵のヘッドホンアンプが悪いように感じます。
PS5にAudinst HUD-mx1や秋月電子のAKI.DAC-U2704 REV.Cを繋いだら鳴りました。ありがとうございます。(なぜか音が小さい気がします。)
(光デジタルはクロックをデータの中に圧縮しています。PCとMarantz SR7010を接続して聴き比べると、光デジタルよりもHDMIの方が音が良いです。両者デジタルですが残念ながら差があるようです。。)