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TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー:32M2Vに取って代わる超コスパな4K HDRゲーミングモニター

日本国内で売れ続けている4K HDRゲーミングモニター「INNOCN 32M2V」のまっとうな対抗馬がついに登場しました。

その名も「TITAN ARMY P32A6V-PRO」です。

実はカタログスペックの差が少ないから一瞬買うか迷ったものの、いざ発売日が来たら1台買ってました。32M2Vなどと比較しながら、測定機材も使って詳しくレビューします。

(公開:2024/12/3 | 更新:2024/12/3

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「P32A6V-PRO」はどんなゲーミングモニター?

TITAN ARMY / サイズ : 32インチ / 解像度 : 3840 x 2160 / リフレッシュレート : 160 Hz / パネル : 量子ドットIPS / HDR : Display HDR 1000 / 保証 : 1年
  • 4K(3840×2160)で「最大160 Hz」
  • 「量子ドットIPS」パネル採用
  • Mini LED(2304ゾーン分割)搭載
  • Display HDR 1000対応
  • PS5で120 Hz(VRR)に対応

「P32A6V-PRO」をざっくり要約するなら、とんでもなく明るくパワフルな色彩表現が可能な「QD-IPS + Mini LED(量子ドット)」パネルを使った4K 160 Hzゲーミングモニターです。

OLED以上の明るさとOLED並の黒さ、どちらも両立するために2304ゾーンに細かく分割したMini LEDバックライトを搭載します。

TITAN ARMY
P32A6V-PRO
パネルタイプ4K(3840×2160)で最大160 Hz
QD-IPSパネル(32インチ)
(量子ドットIPSパネル)
応答速度0.5 ms (G2G)
主な機能
ゲーマー向け
  • シャドウバランス(暗所補正)
  • ナイトビジョン(暗所補正)
  • 色彩強調(鮮やかさ補正)
調整機能
エルゴノミクス
  • 高さ調整:80 mm
  • 前後チルト:+20° ~ -5°
  • 左右スイベル:25°
  • ピボット:-
VRR機能VESA Adaptive Sync
G-SYNC互換モード対応
参考価格
※2024/11時点
Amazon
 楽天市場
Yahooショッピング
TITAN ARMY
P32A6V-PRO
画面サイズ32インチ
解像度3840 x 2160
パネルQD-IPS + Mini LED
(量子ドットIPSパネル)
コントラスト比1000 : 1(SDR時)
1000000:1(HDRピーク時)
リフレッシュレート160 Hz (3840 x 2160)
HDMI 2.1 : ~160 Hz
DP 1.4 : ~160 Hz
応答速度0.5 ms (G2G)
光沢ノングレア
VESAマウント100 x 100 mm
エルゴノミクス
  • 高さ調整:80 mm
  • 前後チルト:+20° ~ -5°
  • 左右スイベル:25°
  • ピボット:-
主な機能
  • シャドウバランス(暗所補正)
  • ナイトビジョン(暗所補正)
  • 色彩強調(鮮やかさ補正)
  • クロスヘア(照準)
HDR対応
  • VESA Display HDR 1000認証
  • 量子ドット(DCI P3:99%)
  • Mini LEDバックライト(2304ゾーン)
同期技術VESA Adaptive Sync
G-SYNC互換モード対応
スピーカーステレオ(5W x2)
イヤホン(3.5 mm)端子あり
主な付属品
  • DisplayPortケーブル
  • USB Type-Bケーブル
  • 説明書
  • 保証書
  • 電源ケーブル
寸法726.8 x 553.3 x 473.3 mm
重量(実測)
  • 6.19 kg(パネルのみ)
  • 8.22 kg(スタンド含む)
保証1年保証

メーカー公式仕様表はこちら / メーカーの保証内容はこちら

「P32A6V-PRO」は、液晶パネルで最高峰の色を出せる量子ドット + Fast IPSパネルを搭載。

加えてコントラスト比を大幅に改善するため、LEDバックライトを細かく2304個に分割した「Mini LED」も合体。液晶パネルで最高の色と、最高のコントラスト比の両立を狙う設計です。

量子ドットとMini LEDの組み合わせにより、P32A6V-PROはVESA Display HDR 1000認証に合格しています。コンシューマ向けで最高のHDRグレード規格です。

並のOLED(有機EL)パネルをはるかに上回る、明るいHDRに没頭できる真の4K HDRゲーミングモニターを目指します。

今のところ「INNOCN 32M2V」が、首席4K HDRゲーミングモニターの座を約2年も独占し続けていますが、おそらく今作「P32A6V-PRO」が首位の座を奪う予定です。

1年間の正規代理店保証がつくツクモ(Yahoo店)で購入

今回レビューで使うP32A6V-PROは、TITAN ARMYの正規代理店品を取り扱う「ツクモ(Yahooショッピング店)」にて購入しました。

筆者やかもちが購入したときで約11万円でしたが、レビュー時点だと約10.3万円で買えるみたいです。ライバルの32M2Vとわずか3000円の差額まで詰めていて、価格競争力も申し分ないです。

やかもち
未だに「32M2V」を使ってるけど、今度こそ機材更新が実現されるでしょうか?
【小ネタ】中国ブランド「TITAN ARMY」について

中国の有名なPCモニターメーカー「Joint Innovation(※INNOCNで知られる)」社が、PCゲーマー向けに展開しているサブブランドが「TITAN ARMY(タイタンアーミー)」です。

つまり、INNOCN製品とまったく同じ製造元で、単にブランド名が違うだけ。ただし、日本国内への流通ルートが少し違います。

  • INNOCN:メーカーが直接Amazonで販売
  • TITAN ARMY:国内代理店を経由して各ショップで販売

INNOCNはメーカー自らAmazonで販売しています。一方、TITAN ARMYは株式会社リンクスインターナショナルが代理店をやっていて、Amazonや楽天市場など主要なショップで販売しています。

【量子ドット】だから色がとんでもなく鮮やか

Youtubeにあるデモ映像で鮮やかさを体験

「量子ドット」は、表示できる色を飛躍的に拡張する素材です。

TITAN ARMY P32A6V-PROの場合、Fast IPSパネルに量子ドットフィルターを組み込み、とんでもなく鮮やかな色彩表現が可能になっています。

しかも、初期設定の時点でいい具合に調整済みでした。

何も設定せずとも、そのままの状態で問題なく使える画質です。

あえて指摘するならわずかに「青っぽい」ので、モニターのOSD設定から色温度と明るさを好みに合わせて調整するくらいで十分でしょう。

日本人はそもそも青みがかった色合いを白色と感じやすい傾向があるため、出荷設定に不満を感じないならそのまま使って大丈夫。
手動でキャリブレーション(調整)する設定

キャリブレーターで測定しながら、モニター側の設定(OSD)を手動で調整しました。

  • モード:標準
  • 明るさ:67
  • コントラスト:50
  • 色温度:ユーザー1
  • 赤:50
  • 緑:48
  • 青:45~46

以上の設定で、ニュートラルな色温度(白色)である6500Kにおおむね調整できます。

画面の明るさは好みに合わせて調整してください。明るさ67%だとかなり明るいです(個人的な好みで350 cd/m²に合わせているだけ)

「量子ドットIPS」パネルは測定機の数値がそこそこ大きくズレるため、sRGBリファレンスモニターを見ながら目視補正済みです。

手動で調整後、ニュートラルなグレーに仕上がります。

(三角形の面積が広い = 色域が広い)

5台のゲーミングモニターを実測して比較しました。

普通の白色IPSパネル(灰色ライン)をはるかに上回る広い面積です。並のOLEDパネルすら超えて、QD-OLED(量子ドット有機EL)パネル以上の広さに達しています。

意外かもしれませんが、現時点でもっとも鮮やかな色を出せる技術が今回の「量子ドットIPSパネルです。まだまだ液晶も負けてません。

やかもち
ゲーミングモニターで最高峰の色を出せます。これ以上の色は「レーザー映写機(Laser TV)」の領域です。

もっと厳密にキャリブレーション(校正)したいガチな方は、筆者が作成した3D LUTプロファイル(.cube)を試してみてください。

フリーソフト「dwm_lut」を使って3D LUT(.cube)を適用したら、ゲーミングモニターのOSD設定を以下の内容に変更します。

  • モード:標準
  • 明るさ:67
  • コントラスト:50
  • 色温度:ユーザー1
  • 赤:50
  • 緑:48
  • 青:45

3D LUTの効果を確かめます。

シンプルに約800ポイント測定でプロファイルを作ってみました。ざっくりガンマ2.2に校正されています。

常用グレースケールで色温度もほぼ6500K前後に一致します。

色の鮮やかさを損なわないように、できるだけ色域を変えないように作ってます。鮮やかさをそのままに、ガンマと色温度を規格どおりに調整する3D LUTプロファイルです。

パネルの個体差がどうしても存在するため、キャリブレーションが正しく機能する保証はありません。

「量子ドットAHVA(IPS)」の画質をじっくり見てみる

TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(SDRコンテンツの表示例)

本物のFast IPSである「AHVA(IPS)」パネルに「量子ドット」を組み合わせた、いわゆる量子ドットFast IPSパネルです。

並のIPSパネルや画質の悪いTNパネルから乗り換えた人なら、すぐに色の鮮やかさを体感できるはずです。

筆者はほぼ同じパネルを搭載する従来機「INNOCN 32M2V」ですでに体験しているから驚かないですが、量子ドットを初めて見る人なら量子ドット特有の鮮やかさに気づくと思います。

TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(SDRコンテンツの表示例)

なお、量子ドットはあくまでも色に関係する技術で、黒色の深さと無関係です。だからコントラスト感は普通のIPSパネルと同等です(実測1130:1程度)。

量子ドット
Fast IPSパネルの画質
※クリックすると画像拡大
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(SDRコンテンツの表示例)TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(SDRコンテンツの表示例)
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(SDRコンテンツの表示例)TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(SDRコンテンツの表示例)
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(SDRコンテンツの表示例)TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(SDRコンテンツの表示例)
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(SDRコンテンツの表示例)TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(SDRコンテンツの表示例)
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(SDRコンテンツの表示例)TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(SDRコンテンツの表示例)
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(SDRコンテンツの表示例)TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(SDRコンテンツの表示例)
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(SDRコンテンツの表示例)TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(SDRコンテンツの表示例)
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(SDRコンテンツの表示例)TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(SDRコンテンツの表示例)
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(SDRコンテンツの表示例)TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(SDRコンテンツの表示例)

(sRGB:ΔE = 6.06 / 色温度:6303K / 輝度:357 cd/m²)

Youtubeやアニメ、FPSゲーム(タルコフやOverwatch 2)、RPGゲーム(原神や崩壊スターレイル)をTITAN ARMY P32A6V-PROで表示した例です。

・・・明るくて、色が、鮮やか!

1行で終わりです。本当に1行で説明できるのか疑問に思われるかもしれないですが、量子ドット + 液晶パネルの感想は本当に上記たった1行で終わりです。

安物の色あせたADS(IPS)パネルから、無限のコントラスト比を持つOLEDパネル、そこそこ定評のあるNano IPSやRapid IPSパネルまで。市販されているほぼすべてのパネルを見てきた経験上。

「量子ドットはとにかく鮮やか」で十分に説明できます

やかもち
最上級のOLEDパネル(Samsung QD-OLED)パネルと比較してみよう。

カラフルな色彩を使ったイラスト画像(原神の★5恒常キャラ「刻晴」より)で比較。

もっぱら好みの問題ですが、人間の視覚は明るい色をカラフルに感じやすい性質があるらしく・・・ 少なくとも筆者やかもちはP32A6V-PRO(左側)が好みに感じます。

なら、QD-OLEDの方をもっと明るくすればいいわけですが、残念ながらOLEDパネル最大の弱点が明るさです。わざと暗くしたわけではなく、これ以上明るくできなかっただけです。

カルト的な人気を誇るオープンワールド型FPS「Escape from Tarkov(タルコフ)」のワンシーンで比較。

OLEDパネルのモニターは黒色を強く見せようとするあまり、暗部階調のディテール崩れが気になります。

液晶パネルも製品によって暗部階調が潰れていたりしますが、少なくともTITAN ARMY P32A6V-PROは初期設定の時点でグレースケールがかなり正確で、階調つぶれが目立たないです。

やかもち
OLEDパネルで黒を潰しがちなのは、コントラスト感を演出するためだったりする。消費者のイメージにメーカーが応えた形です。

もっと比較写真を見たい方は↑こちらからどうぞ。

TITAN ARMY P32A6V-PROに施されたパネル表面加工は、PC用モニターで定番の「ノングレア加工(アンチグレア)」です。

ぼんやりと背景がしっかり拡散され、周囲が明るくても映り込みをかなり防いでいます。

部屋を暗くすると、映り込みがさらに軽減されます。

以前レビューした「EX-LDQ271JAB(INNOCN製)」と同じく、表面粒子がやや細かめです。映り込みをうまく防ぎながら光を反射しすぎない、ちょうどいい塩梅に調整されています。

視野角の広さ
※クリックすると画像拡大
縦方向(垂直)横方向(水平)
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(視野角)TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(視野角)

量子ドットFast IPS(AHVA)パネルは基本的にIPSパネルと同じなので、並のIPSパネルと同程度に視野角が広いです。

斜め方向から見ても、画面が白くなったり黄ばんだりする傾向が少なめ(参考:液晶パネルの違いを解説するよ)。なお、OLEDパネルには到底勝てません(→ 参考写真)。

文字のドット感
(密度:143 ppi)
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(テキストのくっきり感)

文字のドット感(見やすさ)はとても鮮明かつクリアです。

テキスト表示に有利なRGB配列のIPSパネルに、100 ppiを大幅に超える143 ppiもの高い画素密度を備えます。

普通の距離感(50~60 cm)で見る分には、ドット感がほとんど目立たない鮮明なテキストです。

全部で「13個」あるプリセットを比較

【13個】プリセットを比較
※クリックすると画像拡大
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(カラープロファイルの比較)TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(カラープロファイルの比較)
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(カラープロファイルの比較)TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(カラープロファイルの比較)
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(カラープロファイルの比較)TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(カラープロファイルの比較)
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(カラープロファイルの比較)TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(カラープロファイルの比較)
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(カラープロファイルの比較)TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(カラープロファイルの比較)
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(カラープロファイルの比較)TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(カラープロファイルの比較)
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(カラープロファイルの比較)
  • 標準(初期設定)
  • RTS / RPG
  • FPS
  • MOBA
  • ムービー
  • リーディング
  • ナイト
  • アイケアー
  • Mac View
  • E-Book
  • sRGB
  • AdobeRGB
  • DCI-P3

TITAN ARMY P32A6V-PROは、なんと全部で13個もの「プリセットモード」が用意されています。

それぞれテーマ性や個性があって十分に使えるプリセットですが、良い意味で初期設定「標準モード」が完成されているから、あえて他のモードを使う必要性が少ないです。

ただし、クリエイターの方は「sRGB」「Adobe RGB」「DCI-P3」モードに有用性あり。どれも正確に色域が制限されるうえ、色の精度も高い(ΔE < 1.0)です。

一般人やPCゲーマーなら「標準モード」を好みに合わせて調整して、クリエイターは必要とする色域に合わせて3つある制限モードを使い分けるといいでしょう。

モードごとの詳しいデータは ↓以下の測定レポートをどうぞ。

目標の基準値:sRGB(Gamma 2.2)

モード色域
(sRGB)
色域
(DCI-P3)
明るさグレーの正確さ色の正確さガンマ色温度コントラスト比
標準99.9%99.0%321.5 cd/m²ΔE = 1.12ΔE = 6.042.196294K1128:1
RTS/RPG99.9%99.0%309.1 cd/m²ΔE = 3.43ΔE = 6.352.516466K24136:1
FPS99.9%99.0%315.0 cd/m²ΔE = 3.22ΔE = 6.222.486441K17363:1
MOBA99.8%98.3%332.7 cd/m²ΔE = 5.09ΔE = 6.851.867276K255:1
ムービー99.9%99.0%331.2 cd/m²ΔE = 4.67ΔE = 6.292.367178K17827:1
リーディング99.9%98.2%319.3 cd/m²ΔE = 2.62ΔE = 6.152.455965K17710:1
ナイト99.9%99.0%323.3 cd/m²ΔE = 2.65ΔE = 5.672.447062K17913:1
アイケアー99.9%99.0%314.8 cd/m²ΔE = 2.72ΔE = 5.592.445329K17570:1
Mac View99.9%99.0%322.3 cd/m²ΔE = 2.98ΔE = 5.782.457108K18010:1
E-Book99.9%99.0%309.1 cd/m²ΔE = 2.95ΔE = 29.742.466729K20259:1
sRGB97.3%78.2%317.0 cd/m²ΔE = 0.45ΔE = 0.522.246724K1088:1
AdobeRGB99.3%86.7%315.5 cd/m²ΔE = 0.40ΔE = 0.472.206821K1075:1
DCI-P399.8%97.3%315.2 cd/m²ΔE = 3.82ΔE = 3.062.206831K1073:1

ほぼすべてのモードで「ローカルディミング」が入ってます。コントラスト比が異常に高いのはローカルディミングが原因です。

基本的にローカルディミングはHDRモード用の設定だから、普通にSDR(非HDR)コンテンツで使うなら、OSD設定からローカルディミング:オフを推奨します。

「TITAN ARMY P32A6V-PRO」の測定レポートはこちら↓をクリックして確認できます。

なるべくシンプルな言い回しに置き換える努力をしていますが、やはり専門用語が多く難解に思われるかもしれないです。あまり興味がなければ飛ばしてもらって構いません。

X-rite / タイプ:分光測色計(分解能:3.3 nm) / 輝度:0.200~5000 cd/m²
calibrite / タイプ:比色計 / 輝度:0.002~2000 cd/m² / 備考:i1 Pro 2でMatrix補正済み

モニターの色を測定する機材「X-rite i1 Pro2(分光測色計)」と「ColorChecker Display Plus(比色計)」を使って、「TITAN ARMY P32A6V-PRO」の画質をチェックします。

色の正確さ
※クリックすると画像拡大
比較グラフグレーの正確さカラーの正確さ
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(色精度)TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(色精度)
テスト初期設定のままsRGBモード
使用モード標準sRGB
明るさ321.5 cd/m²317.0 cd/m²
グレーの正確さ
(dE2000)
ΔE = 1.28ΔE = 0.51
色の正確さ
(dE2000)
ΔE = 6.04ΔE = 0.52
ガンマ2.192.24
色温度6294K6724K
コントラスト比1128 : 11088 : 1

初期設定のグレースケールはほんのわずかに寒色(青色気味)に偏っていますが、日本人の好みに合いそうな画質だからそのままで大丈夫です。

日本に限らず中国でも青白いスッキリした白が好まれてるらしく、中国メーカーのINNOCN(TITAN ARMY)が自国市場の好みに合わせて出荷している可能性が考えられます。

色の正確さは・・・量子ドットの影響で色域が大幅に広くなりすぎて当然ズレます。普通にゲームやエンタメ用途で使うなら、色域が広い → 色が鮮やかに見えるので問題ないです。

  • 今日は疲れてるから地味な色合いで見たい
  • 「sRGB」色域じゃないと不具合が出るソフト
    (※ペイントツールSAIが割と有名)

など、sRGB色域が必要であれば「sRGB」モードを使います。

TITAN ARMY P32A6V-PROのsRGBモードは、ガンマ(コントラスト感)、色の正確さが高い精度で調整されていますが、色温度がやや青緑に偏っていて惜しいです。

色の正確さを比較
※クリックすると画像拡大
グレースケール
(dE2000で比較)
カラーチャート
(dE2000で比較)
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(色精度の比較)TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(色精度の比較)

比較グラフはsRGBに対する正確さを求めているので、表示できる色が広いパネルほど不利です。

当然ながら量子ドットを採用するTITAN ARMY P32A6V-PROはトップクラスに不利だし、高画質なRapid IPSパネルやOLEDパネルも不利になります。

「色の正確さ」が優れているからといって、エンタメ用途に楽しい画質かどうかは判断できません。sRGBの色精度が高い ≠ 主観的に見た高画質です。

コントラスト比を比較
※クリックすると画像拡大
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(コントラスト比の比較)

TITAN ARMY P32A6V-PROのネイティブコントラスト比は1128:1です。平均的なIPSパネルより、ほんの少し高い程度。

画面の明るさ
※クリックすると画像拡大
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(画面の明るさ)
  • 最大輝度:540 cd/m²
  • 最低輝度:47 cd/m²
  • 17%で:120 cd/m²

画面の明るさを測定したグラフです。

100%時で540 cd/m²に達し、SDRコンテンツを見るのに十分すぎる明るさです。0%時だと47 cd/m²まで下げられます。夜間に暗い画面を好む人にとって、もう少し暗さが欲しいです。

目にやさしいらしい120 cd/m²前後は設定値17%でほぼ一致します。

色域カバー率(CIE1976)
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(色域カバー率)
規格CIE1931CIE1976
sRGBもっとも一般的な色域100.0%99.9%
DCI P3シネマ向けの色域97.9%99.0%
Adobe RGBクリエイター向けの色域99.1%98.7%
Rec.20204K HDR向けの色域82.1%85.1%

TITAN ARMY P32A6V-PROで表示できる色の広さ(色域カバー率)を測定したxy色度図です。

もっとも一般的な規格「sRGB」で100%をカバー。HDRコンテンツで重要なシネマ向けの規格「DCI P3」では99%カバーします。

印刷前提の写真編集で重視される「AdobeRGB」規格のカバー率は99.1%です。

エンタメ用途で重要なDCI P3とRec.2020カバー率の比較は上記リンクから確認してみてください。

量子ドット液晶パネルは、市場に出回っているほぼすべての液晶パネルやOLEDパネルよりも色域が広いです。

傾向的に、量子ドット液晶 > QD-OLED > 広色域な液晶 = OLED > 普通の高色域パネル > 平凡な液晶パネル > TNパネルの順に並びます。

均一性(色ムラ)
※クリックすると画像拡大
色ムラを測定色ムラを比較
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(色ムラ)TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(色ムラ)
  • 最大:306 cd/m²
  • 最低:277 cd/m²
  • 平均値:2.8%

(参考写真:白100% / グレー50% / グレー5%

色ムラの程度を測定。

一般的な液晶パネルと同じく、パネルの左右に近いほど明るさがやや落ち込みます。IPSパネルによくある「IPSグロー」と呼ばれる症状で、程度の差はあれど共通の症状です。

ただし、TITAN ARMY P32A6V-PROの色ムラは平均値でわずか2.9%しかなく、過去にレビューしてきた液晶パネルとしてもっとも色ムラが少ないクラスです。

ほとんどのシーンで色ムラに気づく可能性が非常に低く、画面全体に同じ色を表示させたときだけ色ムラの存在に気づくレベル。

クリエイター向けをアピールする数万円のモニターでも、これほど色ムラを抑えられている製品はほとんどないでしょう。

ピクセル拡大図
(ピクセル配列:RGB)
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(画素ドット)

マクロレンズでパネルの表面を拡大した写真です。

AHVAパネルでよく見られる「くの字型」画素ドットを確認できます。画素レイアウトはシンプルな「RGB」配列で、赤・緑・青の順に並んでいます。

細い直線やテキストの表示と相性がいい、PCモニター向けの画素レイアウトです。

表面加工はノングレアに見えますが、透過率がやや高いのか、画素ドットが割とクッキリと映ります。

スペクトラム分析
(確定:量子ドット)
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(スペクトラム)

光を分析する「分光測色計」を使って、画面から出ている三原色の鋭さ(波長)を調べました。専門用語でスペクトラム分析と呼ぶそうです。

グラフを見て分かるとおり、緑色と赤色がピンッと鋭く突き立っています。凹みがまったく見られない鋭い波長パターンから、「量子ドット(Quantum Dots)と判別できます。

量子ドットの効果で抜群に色の分離が良く、高純度の赤色と緑色を取り出せます。結果的に表示できる色域が飛躍的に向上します。

ついでにブルーライト含有量を調べたところ約29.2%でした。

モニターの設定から「アイケアー」モードを入れると、TÜV Rheinlandブルーライト認証に必要な25%未満を達成できます。

ただし、ブルーライトカット機能を使うと尿液晶(黄ばんだ色合い)に陥ります。肝心の医学的エビデンスもほとんど無いですし、好みに合わなければ無理に使わなくて大丈夫です。

TITAN ARMY P32A6V-PROのゲーム性能は?

TITAN ARMY P32A6V-PROのゲーム性能をレビューします。

初心者もち
具体的に「ゲーム性能」って何?
  • 応答速度
  • 入力遅延
  • ゲーム向け機能

おもに「応答速度」「入力遅延」「ゲーム向け機能」の3つです。測定機材を使って調べてみます。

TITAN ARMY P32A6V-PROの応答速度と入力遅延

↑こちらの記事で紹介している方法で、TITAN ARMY P32A6V-PROの「応答速度」を測定します。

60 Hz時の応答速度
※クリックすると画像拡大
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(応答速度の比較)
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(応答速度の比較)
  • 平均:5.10 ミリ秒
  • 最速:1.86 ミリ秒
  • 最遅:8.49 ミリ秒
  • エラー:0%

ニンテンドースイッチやPS4など、最大60 Hz対応のゲーム機で使う場合、60 Hz時の応答速度を気にします。

30パターン測定で、平均5.10ミリ秒を記録します。60 Hzに十分な応答速度です。

リフレッシュレートが60 Hzの場合、応答速度が多少遅くなっても速くなっても「残像感」はあまり変わらないです。ホールドボケ現象(60 Hz自体)が原因です。
120 Hz時の応答速度
※クリックすると画像拡大
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(応答速度の比較)
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(応答速度の比較)
  • 平均:5.05 ミリ秒
  • 最速:2.47 ミリ秒
  • 最遅:8.21 ミリ秒
  • エラー:0%

PS5やXbox Series Xで重要な120 Hz時の応答速度です。30パターン測定で、平均5.05ミリ秒でした。

モニターのオーバードライブ機能を「レベル2」に切り替えると、平均3.7ミリ秒前後まで改善できます。「レベル3」以上から、少し「にじみ」が出てしまうからレベル2までが実用値です。

144 Hz時の応答速度
※クリックすると画像拡大
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(応答速度の比較)
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(応答速度の比較)
  • 平均:5.00 ミリ秒
  • 最速:2.40 ミリ秒
  • 最遅:8.49 ミリ秒
  • エラー:0%

144 Hz時の応答速度です。30パターン測定で、平均5.0ミリ秒でした。

オーバードライブ機能を「レベル2」で平均3.7ミリ秒まで改善できます。

160 Hz時の応答速度
※クリックすると画像拡大
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(応答速度の比較)
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(応答速度の比較)
  • 平均:5.00 ミリ秒
  • 最速:2.84 ミリ秒
  • 最遅:8.39 ミリ秒
  • エラー:0%

160 Hz時の応答速度です。30パターン測定で、平均5.00ミリ秒でした。

モニターのオーバードライブ機能を使って、さらに応答速度を改善できないかチェックします。

OD機能の効果
160 Hz / 4段階をテストした結果
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(応答速度の比較)
平均値4.39 ms3.78 ms3.40 ms3.12 ms
最速値2.94 ms2.08 ms2.03 ms1.48 ms
最遅値6.46 ms5.13 ms4.19 ms3.78 ms
平均エラー率0.0 %0.6 %4.1 %6.5 %

「レベル1」「レベル2」「レベル3」「トップスピード」の4段階です。

最大設定の「トップスピード」モードで平均3.12ミリ秒まで応答速度が改善され、UFOのりんかく線がものすごくクッキリ明瞭に見えます。

平均エラー率は約6%でちょっとギリギリなラインですが、人間の目で見る分には問題なく使えます。

心配なら「レベル3」モードを検討してみてください。これでも平均3.40ミリ秒を出せて、32インチ4Kモニターでトップクラスの応答速度です。

結論、TITAN ARMY P32A6V-PROのおすすめオーバードライブ設定は「レベル3」または「トップスピード」モードで決まりです。

TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(応答速度の比較)

他のゲーミングモニター(120 Hz以上)と比較します。

感無量です。

2023年版の量子ドットAHVAパネルだと、なんと平均7ミリ秒台と恐ろしく遅かったのに、最新版で見事に挽回して魅せました。

平均3ミリ秒台は過去レビューしてきた32インチ4Kゲーミングモニターで文句なしの最速クラスさらに上位は「MOBIUZ EX321UX」ですが、値段が2倍以上も違うから比較しないように。

TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(応答速度の比較)

参考までに、60 Hzモード時の応答速度も大幅な改善です。

やかもち
32インチ4Kもいよいよ速くなってきた。3ミリ秒台なら、ガチな競技eSportsを除いてほとんどのゲームで快適です。

入力遅延(Input Lag)はどれくらいある?

2024年7月より「入力遅延(Input Lag)」の新しい測定機材を導入しました。

クリック遅延がわずか0.1ミリ秒しかないゲーミングマウス「Razer Deathadder V3」から左クリックの信号を送り、画面上に左クリックが実際に反映されるまでにかかった時間を測定します。

  1. マウスから左クリック
  2. CPUが信号を受信
  3. CPUからグラフィックボードへ命令
  4. グラフィックボードがフレームを描画
  5. ゲーミングモニターがフレーム描画の命令を受ける
  6. 実際にフレームを表示する(ここは応答速度の領域)

新しい機材は1~6の区間をそれぞれ別々に記録して、1~4区間を「システム処理遅延」、4~5区間を「モニターの表示遅延(入力遅延)」として出力可能です。

なお、5~6区間は「応答速度」に該当するから入力遅延に含めません。応答速度と入力遅延は似ているようでまったく別の概念です。

左クリックしてから画面に反映されるまでにかかった時間を測定し、左クリック100回分の平均値を求めます。

TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(入力遅延の比較)

TITAN ARMY P32A6V-PROの入力遅延はまったく問題なし

160 Hz時(G-SYNC互換モード)で平均3.3ミリ秒120 Hz時(G-SYNC互換モード)で平均4.4ミリ秒の入力遅延です。

どちらも16ミリ秒を大幅に下回っていて、ほとんどすべての人が入力遅延を体感できません。

そこそこ充実しているゲーム向け機能

TITAN ARMY P32A6V-PROは4つある主要なゲーマー向け機能のうち、3つ対応します。

  • 暗所補正
    暗い部分を明るく補正する機能
  • 鮮やかさ補正
    色の付いた部分を強調する機能
  • 残像軽減
    残像をクリアに除去する機能
  • カクツキ防止
    可変リフレッシュレート機能

順番にチェックします。

暗所補正「シャドウバランス」モード

シャドウバランス
「暗所補正」の効果をチェック
Apex LegendsEscape from Tarkov
TITAN ARMY P32A6V-PROをレビュー(ナイトビジョン(Night Vision)の効果)TITAN ARMY P32A6V-PROをレビュー(ナイトビジョン(Night Vision)の効果)
TITAN ARMY P32A6V-PROをレビュー(ナイトビジョン(Night Vision)の効果)TITAN ARMY P32A6V-PROをレビュー(ナイトビジョン(Night Vision)の効果)
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TITAN ARMY P32A6V-PROをレビュー(ナイトビジョン(Night Vision)の効果)TITAN ARMY P32A6V-PROをレビュー(ナイトビジョン(Night Vision)の効果)
TITAN ARMY P32A6V-PROをレビュー(ナイトビジョン(Night Vision)の効果)TITAN ARMY P32A6V-PROをレビュー(ナイトビジョン(Night Vision)の効果)

暗い部分を明るく補正できる「シャドウバランス(Shadow Balance)」モードです。

  • オフ
  • 1 ~ 100(刻み:1ずつ)

全100段階、かなり細やかに調整できます。

しかし70以上から画面全体が白飛び気味、40以下から黒つぶれ気味だから、実用上は41~69(約30段階)相当です。それでも30段階、割と十分な設定値です。

補正の掛かり方はやや大雑把な傾向があり、やはりBenQの本家「Black eQualizer」には届いてません。

eSports系タイトルだとそこそこ、画面全体がうっすら暗いホラーゲームなら使える機能です。

やかもち
BenQの「Light Tuner」や、MSI「Night Vision」に及ばない性能です。

暗所補正「ナイトビジョン」モード

ナイトビジョン
「暗所補正」の効果をチェック
Apex LegendsEscape from Tarkov
TITAN ARMY P32A6V-PROをレビュー(ブラックレベルの効果)TITAN ARMY P32A6V-PROをレビュー(ブラックレベルの効果)
TITAN ARMY P32A6V-PROをレビュー(ブラックレベルの効果)TITAN ARMY P32A6V-PROをレビュー(ブラックレベルの効果)
TITAN ARMY P32A6V-PROをレビュー(ブラックレベルの効果)TITAN ARMY P32A6V-PROをレビュー(ブラックレベルの効果)
TITAN ARMY P32A6V-PROをレビュー(ブラックレベルの効果)TITAN ARMY P32A6V-PROをレビュー(ブラックレベルの効果)
TITAN ARMY P32A6V-PROをレビュー(ブラックレベルの効果)TITAN ARMY P32A6V-PROをレビュー(ブラックレベルの効果)

もうひとつの暗所補正機能が「ナイトビジョン(Night Vision)」モードです。

  • オフ
  • レベル1
  • レベル2
  • レベル1(AI補正)
  • レベル2(AI補正)

4段階の強度で補正をかけます。

気持ち程度ながら、ピンポイントに暗いエリアが浮き上がっている印象です。「シャドウバランス」と同じで、暗いゲームを明るく補正するのに便利です。

鮮やかさ補正「色彩強調」モード

色彩強調
「彩度補正」の効果をチェック
Apex LegendsEscape from Tarkov
TITAN ARMY P32A6V-PROをレビュー(エンハンストカラーの効果)TITAN ARMY P32A6V-PROをレビュー(エンハンストカラーの効果)
TITAN ARMY P32A6V-PROをレビュー(エンハンストカラーの効果)TITAN ARMY P32A6V-PROをレビュー(エンハンストカラーの効果)
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TITAN ARMY P32A6V-PROをレビュー(エンハンストカラーの効果)TITAN ARMY P32A6V-PROをレビュー(エンハンストカラーの効果)
TITAN ARMY P32A6V-PROをレビュー(エンハンストカラーの効果)TITAN ARMY P32A6V-PROをレビュー(エンハンストカラーの効果)

色彩強調(色の濃さ)モードです。

  • オフ
  • 1~10段階

10段階の強度で補正をかけられます。

パッと見ただけだと色彩強調の効果が分かりづらいですが、色の濃い部分に注目してみると、色がより濃く補正されているのがなんとなく分かります。

色がついている部分をより鮮やかに、色が薄い部分はそのままに抑えておく、色の濃い部分を強調表示できる機能です。


4Kで160 Hz(PS5で120 Hz)に対応

TITAN ARMY P32A6V-PROは最大160 Hzまで、PS5で最大120 Hzに対応します。実際にPS5とゲーミングPCにモニターをつないでみて、リフレッシュレートの対応状況を確認しましょう。

PS5の対応状況
※クリックすると画像拡大
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(PS5 120 Hz)
設定60 Hz120 Hz
フルHD1920 x 1080対応PS5 VRR:対応対応
PS5 VRR:対応
WQHD2560 x 1440対応PS5 VRR:対応対応PS5 VRR:対応
4K3840 x 2160対応PS5 VRR:対応対応PS5 VRR:対応

PS5でフルHD~4K(最大120 Hz)に対応します。もちろん、HDMI 2.1 VRR搭載だから「PS5 VRR」も対応。

PS5の120 Hz動作について

実際にゲームが120 Hzで動くかどうかは、ゲームによって対応状況が違うので注意です。

たとえばフォートナイトなら120 fpsかつ120 Hz動作ですが、ストリートファイター6は60 fpsで120 Hz動作になるなど、ゲームによって挙動が違います。

対応リフレッシュレート
※クリックすると画像拡大
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(対応リフレッシュレート)
  • HDMI 2.1
    (160 / 144 / 120 / 60 / 50 / 30  Hz)
  • Display Port 1.4
    (160 / 144 / 120 / 60 / 50 / 30  Hz)

TITAN ARMY P32A6V-PROがパソコンで対応しているリフレッシュレートは以上のとおりです。

HDMI 2.1で最大160 Hzまで、DisplayPortは最大160 Hzに対応します。

OSD設定から「Dual Mode」を有効化して、25インチ or 27インチ表示に切り替えると、最大90 Hzに制限されます。
VRR機能(可変リフレッシュレート)
※クリックすると画像拡大
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(VRR)
  • AMD FreeSync Premium
  • HDMI VRR
  • G-SYNC互換モード
    (Display PortとHDMIで使用可能)

フレームレートとリフレッシュレートを一致させて「ティアリング」を防ぐ効果がある、VRR機能はHDMIとDisplay Portどちらでも使用可能です。動作範囲は48~160 Hzです。

LFC(低フレームレート補正)対応ハードウェアの場合は、48 Hzを下回ってもVRRが機能します。ちなみにPS5はLFC非対応だから48 Hzまでです。

TITAN ARMY P32A6V-PROの機能性を調査

10万円台のパネル性能てんこ盛りゲーミングモニターの割に、なぜか意外と機能が充実しています。これぞINNOCNクオリティ。

  • エルゴノミクス
    高さや角度を調整する機能
  • インターフェイス
    映像入力端子やUSBポートについて
  • ヘッドホン端子
    付いてるだけの平凡な3.5 mmアナログ端子
  • フリッカーフリー
    眼精疲労持ちなら重要かもしれない
  • ブルーライトカット
    エビデンスは無いけれど気にする人はどうぞ
  • 自動調光
    周囲の明るさに合わせて画面を調整
  • OSD
    On Screen Display(設定画面)

順番にチェックします。


自由に位置を調整できる「エルゴノミクス」機能

エルゴノミクス(調整機能)
※クリックすると画像拡大
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(エルゴノミクス機能)TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(エルゴノミクス機能)
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(エルゴノミクス機能)TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(エルゴノミクス機能)
  • 高さ調整:80 mm
  • 前後チルト:20° ~ -5°
  • 左右スイベル:25°
  • ピボット:-

TITAN ARMY P32A6V-PROはかなり充実したエルゴノミクス機能を備えます。ピボット機能(横回転)だけ無かったです。

高さ調整が最初だけ妙に硬くて、いきなりガクンッと動く感じです。何度か使っているうちに馴染んできてスルスルと動きます。

前後チルトと左右スイベルは最初からそこそこスムーズに動かせます。軸の混ざりもほとんどなく、動かしたい方向や角度だけに動いてくれます。

あえて難癖をつけるなら、付属スタンドの首が柔らかいせいで、パネル本体を水平にするのがちょっと難しいです。

VESAマウント
※クリックすると画像拡大
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(VESAマウント)
  • 規格:100 mm x 100 mm
  • 重量:約6.19 kg(パネルのみ)

別売りモニターアームを取り付けるのに便利なVESAマウントは「100 x 100 mm」に対応します。

パネル本体の重量は約6.19 kgで普通のモニターアームで持ち上げられます。

そのままの状態では、段差がジャマでモニターアームと干渉します。付属品の「M4スペーサー(4本)」を先に取り付けましょう。

最初から付いている小ネジ(4本)を外して、付属品のM4スペーサー(4本)に交換。

無事エルゴトロンLXアームを取り付けられました。

エルゴトロン / 耐荷重:11.3 kg / VESA:100x100 or 75x75 mm / M4スペーサー付属
iggy / サイズ:17~49インチ / 耐荷重:2~20 kg / 画面:シングル用 / 方式:ガススプリング式

「ヘッドホン端子」の音質をテスト

RME / 業務用オーディオインターフェース / DAC側:-115 dB / ADC側:-117 dB / 備考:オンボードオーディオを測定するなら十分な性能

非常に優れたオーディオ特性を持つ「RME ADI-2 Pro」を用いて、TITAN ARMY P32A6V-PROのオーディオ性能をテストします。

SN比を比較
※クリックすると画像拡大

他のゲーミングモニターを少し下回るオーディオ特性です。一応、従来機の32M2Vより格段に改善されていますが、当然ながらポータブルタイプの専用DAC機材に勝てません。

周波数特性は一直線にほぼフラットな形状です。

Sennheiser(ゼンハイザー) / 開放型ヘッドホン / 周波数特性:10~41000Hz / インピーダンス:300Ω / 重量:260 g

比較的鳴らしにくい「Sennheiser HD650」をつないで聴いてみた。普通に聴けるレベルの音量(≠音質)を取れます。

他の平均的なゲーミングモニターと同じく、音の解像度はそれほど良くなく低音域もあまり鳴らないです。必要最低限のイヤホン端子ですが、安物のヘッドホンやイヤホンなら案外十分な性能かもしれません。

Cirrus CS43131チップを搭載 / 最大384kHz(32bit)対応 / マイク入力(最大192kHz/32bit)対応
iFi Audio / Burr-Brown DACを搭載した小型USB DAC

音にこだわる方、音質に不満を覚えてしまった沼の素質がある人は、素直に別売りのポータブルDACを買ってください。


対応するインターフェイスをチェック

各種インターフェイス
※クリックすると画像拡大
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(VESAマウント)
  1. USB 5 Gbps
  2. USB 5 Gbps
  3. USB Type-B
    (アップストリーム用)
  4. HDMI 2.1
    (3840×2160 / 最大160 Hz)
  5. HDMI 2.1
    (3840×2160 / 最大160 Hz)
  6. USB Type-C
    (3840×2160 / 最大160 Hz)
  7. DisplayPort 1.4
    (3840×2160 / 最大160 Hz)
  8. ヘッドホン出力(3.5 mm)
  9. 電源ポート

全部で4つの映像端子があり、DisplayPort 1.4で最大160 Hz(3840×2160)、HDMI 2.1も最大160 Hz(3840×2160)に対応します。

TITAN ARMY P32A6V-PROのHDMI 2.1端子はFRL方式(最大48 Gbps)かつHDMI VRR機能もきちんと実装する、真のHDMI 2.1端子です。
  • 15 W(5.0 V x 3.0 A)
  • 27 W(9.0 V x 3.0 A)
  • 36 W(12.0 V x 3.0 A)
  • 45 W(15.0 V x 3.0 A)
  • 65 W(20.0 V x 3.25 A)

USB Type-Cポートで最大65 WのUSB給電(USB PD)に対応します。

対応するUSB Type-Cケーブル1本で、ノートパソコン(ASUS Vivobook 15)を充電しながら、外部ディスプレイ(最大4K 144 Hzまで認識)として使えました。

NIMASO / 長さ:1メートル / USB PD:100 W / DP Alt Mode:4K@60 Hz / 転送レート:40 Gbps / 備考:USB IF認証取得

「フリッカーフリー」対応ですか?

メーカー公式サイトに掲載されている画像に「フリッカーフリー」と記載があります。

フリッカーフリーを検証
※クリックすると画像拡大
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(フリッカーフリー)
  • 明るさ100%:6061 Hz(フリッカーフリー)
  • 明るさ75%:6061 Hz(フリッカーフリー)
  • 明るさ50%:6061 Hz(フリッカーフリー)
  • 明るさ25%:6061 Hz(フリッカーフリー)
  • 明るさ0%:6061 Hz(フリッカーフリー)

実際にオシロスコープを使ってフリッカーの有無をテストした結果、明るさ0~100%まで約6000 HzのPWMフリッカーが検出されます。

Mini LEDバックライトを採用する多くのゲーミングモニターで定番の「PWM調光」方式です。1秒あたり6000回なら、人間の目でまったく捉えられない実質フリッカーフリーとして扱います。

TÜV Rheinland認証でも、1秒あたり3000回以上の変動なら問題ないとされています。

VRRフリッカーを検証
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TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(フリッカーフリー)
  • VRR有効時:6061 Hz(フリッカーフリー)
  • VRRなし:6061 Hz(フリッカーフリー)

VRR(G-SYNC互換モードなど)有効時のフリッカーもまったく同じです。

やかもち
WQHD版はDC調光に移行したけど、4K版はPWM調光のままでした。

「ブルーライトカット」機能をチェック

ブルーライトカット
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TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(ブルーライトカット)TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(ブルーライトカット)
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(ブルーライトカット)TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(ブルーライトカット)
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(ブルーライトカット)TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(ブルーライトカット)
  • オフ
  • 強度25
  • 強度50
  • 強度75
  • 強度100

OSD設定 → ピクチャー設定 → 「ローブルーモード(Low Blue Mode)」でブルーライトカット効果を適用できます。

オフの時点で青色の含有量が29%でそこそこ低く、ローブルーモード:強度25以上でブルーライト含有量が25%(TÜV Rheinland基準)を切ります。

見てのとおり、ブルーライトカットは画面を「尿液晶」にします。確たる医学的エビデンスもまだ見つかっていないので、好みに合わなければ無理に使わなくて大丈夫です。

「自動調光」機能をチェック

モニター本体の右上に「照度センサー」が内蔵されています。天井から入ってくる明るさを検知して、画面の明るさを自動的に調整する機能です。

自動調光モード
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TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(自動調光)TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(自動調光)
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(自動調光)TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(自動調光)

OSD設定 → ピクチャー設定 → 「光センサー:オン」で、照度センサーを使った自動調光が有効化されます。

周りの明るさに応じて、自動的に画面の明るさが調整されているのが分かるはずです。

しかし、BenQアイケアの「Brightness Intelligence(B.I. Gen2)」と比較して、中程度の明るさまでの応答性が鈍い傾向あり。BenQと違い、P32A6V-PROでは明るさだけ調整されて、グレースケール(色温度)はそのまま維持されます。

価格なりの自動調光機能です。


モニターの設定画面(OSD)

・・・モニター本体の右側底面にある「物理ボタン(5個)」を使って、OSD設定をちまちまと操作できます。

モニター設定画面(OSD)
※クリックすると画像拡大
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(OSD設定画面)TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(OSD設定画面)
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(OSD設定画面)TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(OSD設定画面)
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(OSD設定画面)TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(OSD設定画面)

項目ごとに分かりやすく整理されたフォルダ階層型のOSDレイアウトを採用。レスポンスも良好でかなり快適。

しかし、項目の数がとても多くて、5つのボタンをポチポチ押しながら設定するのがシンプルに面倒くさいです。

OSDの機能自体は素晴らしい出来栄えなのに、使いづらいボタン方式で台無しに。

  • ショートカットボタン(2個)
  • プリセットごとに調整(設定値の保存も可能)

最短2回の操作で任意の項目を開けるショートカットボタンを最大2個まで登録できます。「輝度」や「入力切り替え」、「シャドウバランス」や「色彩強調」など、7割くらいの項目を登録可能です。

プリセットごとに好みの設定値を保存して、用途に使い分ける運用も一応できます(※標準モードやsRGBモードは非対応)。

幸いDDC/CI機能に対応しているため、フリーソフト「ControlMyMonitor」などでOSDにアクセス可能です。

固有値番号内容
E00標準
1RTS/RPG
2FPS
3MOBA
4ムービー
5リーディング
6ナイト
7アイケアー
8Mac View
9E-Book
10sRGB
11AdobeRGB
12DCI-P3
E10ローブルーモード:オフ
1ローブルーモード:25
2ローブルーモード:50
3ローブルーモード:75
4ローブルーモード:100

メーカー固有値「E0」がプリセットモード、「E1」がローブルーモードに割り当てられています。

そのほかのモードはうまく特定できませんでした。

【小ネタ】ControlMyMonitorを使った裏技

TITAN ARMY P32A6V-PROに限らず、コンシューマ向けのPCモニターは基本的に「色域変換モード」を使うと、OSD設定が固定化されて自由に調整できません。

しかし、以下の手順を踏むと「色温度」を任意に設定可能です。

  • コード14:Select Color PresetのValueを「11」に変更
  • 色域変換モードに切り替える(コードE0を10でsRGB)
  • 色温度(赤 / 緑 / 青)を好きに調整可能

「sRGB」「AdobeRGB」「DCI-P3」モードで有用なテクニックです。

TITAN ARMY P32A6V-PROのHDR性能をテスト

TITAN ARMY P32A6V-PROは、「Display HDR 1000」認証をとったモニターです。

Display HDR 1000認証は全部で5つあるHDRグレードで、上から数えて2番目にあたります。コンシューマー向けHDRグレードとしては現時点で最高峰のランクです。

Youtubeで公開されている「Morocco 8K HDR」や、HDR対応ゲームを使って検証します。

HDRコンテンツの表示例
※クリックすると画像拡大
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(HDRコンテンツの表示例)TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(HDRコンテンツの表示例)
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(HDRコンテンツの表示例)TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(HDRコンテンツの表示例)
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(HDRコンテンツの表示例)TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(HDRコンテンツの表示例)
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(HDRコンテンツの表示例)TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(HDRコンテンツの表示例)
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(HDRコンテンツの表示例)TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(HDRコンテンツの表示例)
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(HDRコンテンツの表示例)TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(HDRコンテンツの表示例)
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(HDRコンテンツの表示例)TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(HDRコンテンツの表示例)
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(HDRコンテンツの表示例)TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(HDRコンテンツの表示例)

(HDR映像を収めた写真はSDRです。掲載した写真は参考程度に見てください。)

HDRモードが全部で3つあって、その中の「HDRムービーモード」が素晴らしい出来です。

今まで見てきたDisplay HDR認証モニターで最高のHDRモードが実装されています。レビューを書いている途中なのに、2時間くらいYoutubeで4K HDRコンテンツを見たり、HDR化した「原神」をプレイしたりなかなかの没入ぶりでした。

やはり明るいHDRが(個人的に)好みに合っています。

従来機のINNOCN 32M2Vと比較してそこまで大きな差はないものの、P32A6V-PROは最初から高精度に整っているのがメリット。わざわざキャリブレーションする必要はほとんどないでしょう。

HDRモードの比較
※クリックで画像拡大
HDR自動モードHDRムービーモード
TITAN ARMY P32A6V-PROをレビュー(HDRモードの比較)TITAN ARMY P32A6V-PROをレビュー(HDRモードの比較)
TITAN ARMY P32A6V-PROをレビュー(HDRモードの比較)TITAN ARMY P32A6V-PROをレビュー(HDRモードの比較)

HDRモード「自動」と「ムービー」を比較した写真です。自動モードだと全体的に暗めにズレていてイマイチ冴えないものの、ムービーモードだと規格どおり追従します。

HDRを楽しむなら、OSD設定 > Game+機能設定 > HDR > HDRムービー に変更を忘れずに。

4K UHDブルーレイで動作チェック
Warner Bros / 監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ / ジャンル:SF / 規格:4K HDR(Dolby Vision)

きちんと明るく制作されている4K UHD盤「デューン Part 2」で動作チェック。アラキスの乾いた砂漠の再現度が高いです。本当に砂漠が目の前にあるみたい。

妙なちらつき、ローカル調光エラーは皆無でした。

Paramount Pictures / 監督:ジョセフ・コシンスキー / ジャンル:アクション / 規格:4K HDR(Dolby Vision)

それほど明るくはないけれど、ジェット機のブースト噴射や日中の空戦シーンはかなりの明るさが収録されている4K UHD盤「マーヴェリック」も動作チェック。

明るさはまったく不足なし。序盤の作戦会議シーンにおける、ちらつきやローカル調光エラーも難なくクリアします。ちなみにSony INZONE M9(定価15万円)はパスできないテストです。

HDRゲーミングを動作チェック

(※クリックでスクリーンショット拡大)

HDR対応ゲームの代表例「サイバーパンク2077」で動作チェック。グラフィック設定から適切な最大輝度(ピーク輝度)を割り当てると、ピカピカと明るいHDRゲーム映像の出来上がり。

おすすめの最大輝度は「1000 ~ 1250 nits」です。自分の好みに合わせて、1000 ~ 1250の範囲で設定します。1300を大幅に超えると階調エラー(白飛び)の原因になります。

NVIDIA RTX HDRの設定
※クリックすると画像拡大
NVIDIA RTX HDRを有効化する手順NVIDIA RTX HDRを有効化する手順
NVIDIA RTX HDRを有効化する手順NVIDIA RTX HDRを有効化する手順

HDR非対応のゲームでは「NVIDIA RTX HDR」を使います。手順は以下のとおり。

  1. ディスプレイの設定 > HDRを使用する:オン
  2. NVIDIAコントロールパネル > ビデオの設定 > ハイダイナミックレンジ:オン
  3. NVIDIA App > グラフィックス > グローバル設定 > RTX HDR:オン
  4. HDR化したいゲームを選択 > RTX HDR:オン > カスタマイズ

RTX HDRのカスタマイズはスクリーンショットの内容をそのままコピペしてもいいですが、好みに合わなかったら自分で好きに設定してください。

  • 最大の明るさ:ピーク輝度(モニターがWindowsに伝えた最大値が上限)
  • 中間の暗さ:グレー50%時の明るさ
  • コントラスト:画面の明るさ精度(+25% = ガンマ+0.2相当)
  • 彩度:色域クリッピング(-25% = sRGB相当)

TITAN ARMY P32A6V-PROの場合、最大の明るさは最大値、中間の暗さは50%前後です。

コントラストと彩度は好みに合わせて自由に設定してください。コントラスト25%あたり、ガンマが0.2動きます。彩度は色の広さを変更するパラメータで、個人的に+20~30%が好みです。

HDRコンテンツの表示例
※クリックすると画像拡大
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(HDRコンテンツの表示例)TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(HDRコンテンツの表示例)

ゲーム起動後、HDR化されたゲーム画面が始まります。「Alt + Z」キーでNVIDIA Appオーバーレイ画面を呼び出して、HDR化されたゲーム画面のスクリーンショットや録画が可能です。

HDR非対応の「原神」もNVIDIA RTX HDR(NvTrueHDR)でHDR化できます。スメール砂漠のように明るいエリアなら実測でピーク時1000 nits超えです。

スメール砂漠はピーク時1000 cd/m²超

光り輝く太陽、もくもくとした積乱雲、背後に広がるうっすら白い青空。それぞれ別々の輝度が割り当てられ明るい階調表現に変換され、本当にスメール砂漠に足を踏み入れたような感覚を味わえます。

やかもち
ゲーム業界が一番HDR化が進んでいます。特に「RTX HDR」や「NvTrueHDR」が優秀。ちなみに、真っ白なロード画面は自動的に輝度を下げてくれます(目潰し対策)
OLEDモニターと比較※画像はクリックで拡大
TITAN ARMY P32A6V-PROをレビュー(HDRを試して比較写真)
TITAN ARMY P32A6V-PROをレビュー(HDRを試して比較写真)
TITAN ARMY P32A6V-PROをレビュー(HDRを試して比較写真)
TITAN ARMY P32A6V-PROをレビュー(HDRを試して比較写真)
TITAN ARMY P32A6V-PRODisplay HDR 1000 (CTS 1.1)DELL AW3225QFDisplay HDR True Black 400 (CTS 1.1)

参考程度に、Display HDR True Black 400対応ゲーミングモニターと比較した写真です。

写真ですら分かるレベルの性能差が出るシーンもあれば、ほとんど違いが分からないシーンもあります。画面全体が明るいHDRならMini LEDが、ごく一部が明るいHDRならOLEDが得意な傾向です。

「2304ゾーン分割Mini LED」で見え方はどう変わる?

通常LEDバックライトは1枚だけ

液晶パネルは、自発的に光らない素材です。だから液晶パネルのすぐ裏側に、光らせるための部品「LEDバックライト」を使います。

一般的なゲーミングモニターなら、LEDバックライトは1枚だけです。画面全体を一律で光らせてしまい、コントラスト比はそのまま液晶パネルに依存する形式です。

FALD(フルアレイローカル調光)をイラストで解説

一方でTITAN ARMY P32A6V-PROは、2304ゾーンに分割した「Mini LEDバックライト」を使います。

光っている部分だけバックライトを点灯させ、暗い部分はバックライトを暗くしたり消灯して、液晶パネルの問題だったコントラスト比を大幅に改善する技術です。

目分量で2304ゾーンをざっくりイメージ化した写真です。

「2304個」と聞くと大きな数字でさぞ凄そうな印象を受けてしまいますが、「横に64個 x 縦に36個」に言い換えると、それほど大きくない数字に感じられます。

実際のところ、2304個でもまだまだです。2304ゾーン分割で不足する事例を紹介します。

(マウスカーソルに注目)

黒い背景に白いウィンドウやマウスカーソルが、未だMini LEDが苦手とする表示パターンです。

ウィンドウの四隅がMini LEDバックライトの消灯に巻き込まれてうっすら暗く見えたり、マウスカーソルが暗くなって見失いやすくなる傾向があります。

白い背景に黒ウィンドウは大幅にマシです。黒い背景で白いテキストがつられて暗くなる症状もほとんど見られません。

ハロー現象(光漏れ)
コントラスト感の変化
Mini LED(2304分割)
TITAN ARMY P32A6V-PRO
OLED(自発光型)
LG 32GS95UE-B
TITAN ARMY P32A6V-PRO(ローカル調光)
TITAN ARMY P32A6V-PRO(ローカル調光)
TITAN ARMY P32A6V-PRO(ローカル調光)
TITAN ARMY P32A6V-PRO(ローカル調光)

Mini LEDバックライトの「ハロー現象(光漏れ)」を写真でチェック。分かりやすいように斜め(45°)から撮影し、光漏れがまったくないOLEDパネルとの比較も掲載します。

思っているより2304ゾーン分割の効果が出ているようで、正直びっくりしました。一方で、光源がぽつぽつと粉々に分布しているパターン(4枚目)は相変わらず不得意なままです。

OLEDモニターと比較※画像はクリックで拡大
TITAN ARMY P32A6V-PROをレビュー(HDRを試して比較写真)
TITAN ARMY P32A6V-PROをレビュー(HDRを試して比較写真)
TITAN ARMY P32A6V-PRODisplay HDR 1000 (CTS 1.1)DELL AW3225QFDisplay HDR True Black 400 (CTS 1.1)

と・・・言ったものの、得意なパターンと不利なパターンはどちらもそれぞれ。

2304ゾーン分割のおかげで実効コントラスト比が約1700~8000:1程度まで向上するため、コンテンツ次第でOLEDと遜色ない黒さを出しつつ、OLED以上の明るさを両立できる場合もあります。

ちなみに、576ゾーン分割だと実効コントラスト比は約1400~6700:1程度でした。ゾーン数が4倍に増えても約20%しか向上しません。

素のコントラスト比が低いIPSパネルでコントラスト比を稼ぐのはけっこう無理な話に思えてならないから、OLEDの黒さに比肩するにはVAパネルとの組み合わせが必然です。

モニター測定機材でHDR性能を評価

モニターの色や明るさを測定できる機材を使って、「TITAN ARMY P32A6V-PRO」のHDR性能をテストします。

測定結果(レポート)はこちら↓からどうぞ。専門用語が多いので・・・、興味がなければ読まなくていいです。

VESA Display HDR
HDR性能のテスト結果
比較テスト対象
TITAN ARMY P32A6V-PRO
VESA Display
HDR 1000
画面の明るさ
  • ピーク時
    1314 cd/m²
  • 全白フラッシュ
    1314 cd/m²
  • 全白持続
    669 cd/m²
  • ピーク時
    1000 cd/m² 以上
  • 全白フラッシュ
    1000 cd/m² 以上
  • 全白持続
    600 cd/m² 以上
黒色輝度
  • 0 cd/m²
  • 0.05 cd/m² 以下
コントラスト比
  • Inf:1
  • 20000 : 1 以上
色域
  • sRGB:100%
  • DCI P3:99%
  • sRGB:99%以上
  • DCI P3:90%以上
色深度
  • 10 bit
    (8 bit + FRC方式)
  • 10 bit
    (8 bit + FRC方式)
ローカル調光
  • FALD方式
    (2304ゾーン分割)
  • 主にFALD方式
    (フルアレイローカル調光)

Display HDR 1000認証で要求されるすべての項目で合格です。明るさ、黒色、バックライト方式まで。見事にオールクリアなHDR 1000対応です。

TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(HDRの明るさ)

HDRモードで画面全体に白色を表示したときの明るさを、他のモニターと比較したグラフです。

他のDisplay HDR 1000対応モデルと互角に並びます。

と言っても実際のHDRコンテンツで1000 cd/m²以上を全画面(100%面積)で使うシーンはとても少数だから、600 cd/m²を超えていれば実用上は十分だと思います。

TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(HDRのコントラスト比)

HDR時のコントラスト比(理論値)は、Infinity:1(∞)です。

HDRコントラスト比i1 Display Pro Plusで測定した結果
全画面Inf : 1
10%枠8154.9 : 1
3×3パッチ6171.8 : 1
5×5パッチ3110.6 : 1
7×7パッチ2084.4 : 1
9×9パッチ1704.5 : 1

テストパターン別にHDRコントラスト比を測定した結果、ワーストケースで1705 : 1です。

TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(PQ EOTF)

HDR規格どおりの明るさを表示できるかチェックする「PQ EOTF」グラフです。

  • HDRムービーモード
    (※モード以外は何も設定できません)

「HDRムービーモード」を初期設定のまま測定しました。

グラフを見て分かるとおり、上から下までPQ EOTF規格にキレイに追従する傾向が非常に強く、精度の高いHDRモードです。

OLEDモニターにありがちな黒つぶれも一切なく、よく調整されています。キャリブレーションができないゲーム機(PS5)でも問題なく使える性能です。

TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(PQ EOTF)

面積(APL)別のPQ EOTFもチェック。面積(APL)に関係なく一貫した追従性能です。

TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(APL別のHDR輝度)

面積比による明るさの変動はやや大きいです。

小さいハイライトで500~900 cd/m²程度、面積比10~50%まで1200 cd/m²超の強烈な明るさを叩き出し、75%以上は600~900 cd/m²にとどまります。

HDR 400モニターをはるかに超える明るさで、OLEDパネルも当然まったく届かない明るさです。

TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(APL別のHDR持続輝度)

HDRモード時の持続輝度をチェック。

すべての面積比でおおむね安定した持続輝度です。75%以上は約10秒で輝度が下がりますが、実用上、全白フラッシュは10秒も維持できれば十分でしょう。

Rec.2020 色精度
(正しい色ですか?)
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(HDR時の色精度)
RGBバランス
(色温度はD65ですか?)
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(HDR時の色精度)

HDR時の色精度(Rec.2020)は最大ΔE = 7.0、平均Δ = 3.89でした。初期設定としては精度が高いです。

HDRモード時の色温度は測定値でおおむね6650~6700K前後、少しスッキリめな寒色に寄った色合いに見えます。

DCI P3の総量
(不足ない色ですか?)
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(HDR時のカラーボリューム)
Rec.2020の総量
(不足ない色ですか?)
TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー(HDR時のカラーボリューム)

試験的に導入を始めたICtCp規格による「カラーボリューム(Gamut Volume)」の評価です。

白い枠線がターゲット色域で、内側のカラフルな枠線が実際に表示できた色の広さです。白い枠線が埋まっているほどHDR表示に理想的と考えられます。

ボリューム率はOLEDパネルが有利な傾向ですが、Mini LEDは高輝度側でしっかり色を稼げるため、割とどちらも互角の水準です。

TITAN ARMY P32A6V-PROの開封と組み立て

TITAN ARMY P32A6V-PRO レビュー(開封)

本体のレンダリング画像が大きく印刷された、ツルツル塗装のパッケージで到着。サイズは98 x 52 x 19 cm(180サイズ)です。

TITAN ARMY P32A6V-PRO レビュー(開封)

「FRONT」と書いてある面を床に向けてから開封して、梱包材まるごと全部引っ張り出します。

分厚い発泡スチロール製の梱包材でがっちり挟まれています。上の段に付属品、下の段にゲーミングモニター本体が収まってます。

付属品
(写真の左から順番に)
TITAN ARMY P32A6V-PRO レビュー(付属品)
  • 電源ケーブル
  • ACアダプター
  • クイックスタートガイド
  • DisplayPortケーブル
  • 保証書
  • VESA用M4スペーサー(4本)
  • キャリブレーションレポート(2枚)
    ※sRGB / DCI-P3 / Adobe RGBの出荷時校正レポート

Display Portケーブルが付属します。

ACアダプターは最大180 W(19.5 V x 9.23 A)対応。株式会社リンクスインターナショナル名義でPSE認証マークも取得済み。

従来モデルのACアダプター(24.0 V x 10.0 A)より省電力化した様子。コイル鳴きを抑制するフェライトコアは従来モデルと同じです。

組み立て工程
※クリックすると画像拡大
TITAN ARMY P32A6V-PRO レビュー(組み立て)TITAN ARMY P32A6V-PRO レビュー(組み立て)
TITAN ARMY P32A6V-PRO レビュー(組み立て)TITAN ARMY P32A6V-PRO レビュー(組み立て)
TITAN ARMY P32A6V-PRO レビュー(組み立て)
  1. 付属のモニタースタンドとアームを用意
  2. 本体にアームを挿し込み固定
  3. アームの底面にスタンドを挿し込み
  4. 手回しネジでしっかり固定
  5. 組み立て完成(2分くらい)

ゲーミングモニターで定番のドッキング方式です。プラスドライバーが不要なツールレス設計でかんたんに組み立てられます。

外観デザインを写真でチェック

外観デザイン
※クリックすると画像拡大
TITAN ARMY P32A6V-PRO レビュー(外観デザイン)TITAN ARMY P32A6V-PRO レビュー(外観デザイン)
TITAN ARMY P32A6V-PRO レビュー(外観デザイン)TITAN ARMY P32A6V-PRO レビュー(外観デザイン)
TITAN ARMY P32A6V-PRO レビュー(外観デザイン)TITAN ARMY P32A6V-PRO レビュー(外観デザイン)

ライムグリーン色のTITAN ARMYロゴがでかでかと目立っていますが、どこからどう見ても「INNOCN」製です。本当にありがとうございました。

従来モデル「32M2V」とほぼ同じデザインで、プラスチック筐体にシルバー色の塗装もまったく変わりなし。黄色の差し色が絶妙にダサくて、オリジナル(32M2V)の方がまだ良かったような・・・。

エルゴトロン / 耐荷重:11.3 kg / VESA:100x100 or 75x75 mm / M4スペーサー付属

予算に余裕があればモニターアームをおすすめします。

【おまけ】TITAN ARMY P32A6V-PROの消費電力
TITAN ARMY P32A6V-PRO レビュー(消費電力)

コンセントに仕込んだ電力ロガーを使って消費電力を1秒ずつ記録したグラフです。数~数十時間のゲーミングモニター検証中に記録しています。

消費電力
TITAN ARMY P32A6V-PRO
中央値56.1 W
ピーク値173.5 W
上位25%73.8 W
下位25%31.7 W

おおむね56 W前後です。最大の明るさで瞬間的に175 W前後、最小の明るさで27 W前後です。

SDRゲーミング時で40 W前後、HDRゲーミング時に60 W前後をイメージすると近いです。

OLEDパネルより省電力性(= 同じ明るさを出すために必要な消費電力)に優れている傾向です。

まとめ:32インチ4K HDRモニターの決定版(仮)

「TITAN ARMY P32A6V-PRO」の微妙なとこ

  • 平凡なコントラスト比
  • ボタン式のOSD設定が面倒くさい
  • 内蔵スピーカーの音質は平凡
  • 初期設定の色温度がズレてる
    (かんたんに修正できます)
  • VESAマウントの出っ張りがジャマ
    (付属品のスペーサーで対応可)
  • メーカー1年保証

「TITAN ARMY P32A6V-PRO」の良いところ

  • 32インチで4K(ちょうどいい)
  • 最大160 Hzに対応
  • PS5で120 Hz(VRR)対応
  • 応答速度が速い(IPSパネルとして)
  • 入力遅延が非常に少ない
  • 量子ドットで色域が広い(DCI P3:99%)
  • パネルの均一性が高い
  • とても正確なsRGBモード(ΔE < 1.0)
  • Display HDR 1000認証
  • ゲーマー向け機能に対応
  • 扱いやすいOSD設定画面
  • 十分なエルゴノミクス機能
  • スペックの割に価格が安い
  • 抜群のコストパフォーマンス

「TITAN ARMY P32A6V-PRO」は高コスパな4K HDRゲーミングモニターです。

従来モデル「INNOCN 32M2V」の問題点を数多く改善した、ほぼ上位互換モデルに相当します。Mini LEDゾーン数が1152 → 2304分割に2倍増、応答速度が平均7ミリ → 3ミリ秒で2倍速など。

同じ価格のまま見事に性能を改善し、より万人受けする4K HDRゲーミングモニターの完成です。

ただし、従来モデルと同じくボタンを使ったOSD操作がとても面倒。パソコンならDDC/CI機能を使うフリーソフトである程度アクセスできますが、ゲーム機だと少々だるいかも。

と言っても最近のゲーム機はデフォルトでHDRモードが勝手に入るから、モニター側でなにか設定する機会はほとんど無いです。P32A6V-PROのHDRモードは最初から完成されているし、そもそも調整も不要です。

やかもち
応答速度が3ミリ秒に改善されたから、従来モデルよりもオールマイティー機に仕上がりました。

「TITAN ARMY P32A6V-PRO」の用途別【評価】

使い方評価※
FPSやeSports(競技ゲーミング)
最大160 Hz対応で、応答速度もそこそこ速いです。
ソロプレイゲーム(RPGなど)
色鮮やかな映像でソロプレイゲームに没入できます。
一般的なオフィスワーク
作業性に優れる大画面32インチ4Kで文字がクッキリと見え、目にやさしい自動調光や実質フリッカーフリーに対応します。精度の高い「sRGB」モードも対応。透過性の高いノングレア加工も評価点。
プロの写真編集・動画編集
プロの写真編集や動画編集に耐えうる広大な色域と輝度を備え、「DCI-P3」と「Adobe RGB」モードが出荷時校正(ΔE < 1.0)されています。「BT2020」のみ自分でキャリブレーションが必要です。
HDRコンテンツの再現性
Display HDR 1000認証を軽々と合格できる強力なHDR性能です。Mini LEDモニターとしても非常に明るく、輝度の安定性に優れます。「HDRムービー」モード時の明るさ(PQ EOTF)も精度がとても高く、全体的にHDRコンテンツの再現性が高いです。

※用途別評価は「価格」を考慮しません。用途に対する性能や適性だけを評価します。

さすが量子ドット + Mini LEDパネルです。SDRコンテンツやHDRゲーミングはもちろん、動画や写真編集などクリエイター向け用途まで。優れた基本性能に支えられ、たいていのタスクをそつなく処理できます。

TITAN ARMY / サイズ : 32インチ / 解像度 : 3840 x 2160 / リフレッシュレート : 160 Hz / パネル : 量子ドットIPS / HDR : Display HDR 1000 / 保証 : 1年
参考価格
※2024/11時点
Amazon
 楽天市場
Yahooショッピング

2024年11月時点、TITAN ARMYP32A6V-PROの実売価格は約11万円です。

Yahooショッピングなど、ポイント還元が大きいショップなら実質10.3~10.4万円から買えます。従来モデルの32M2Vより4000~5000円高いだけで申し分ないコスパです。

2304ゾーン分割のHDR 1000機が10万円で買える時代に・・・

やかもち
今後のド定番4K HDRモニターになりそうですが今は(仮)とします。あともう1台候補があり、そちらを詳細レビューしてから(仮)を外すか検討します。

以上「TITAN ARMY P32A6V-PROレビュー:32M2Vに取って代わる超コスパな4K HDRゲーミングモニター」でした。

TITAN ARMY P32A6V-PROの変な挙動

使っているうちに不思議な症状に遭遇したので、トラブルシューティングを紹介します。

モニター本体を再起動すると(まれに)LEDバックライトが点滅する

ACアダプターの抜き差し、またはボタン付きの延長ケーブルを入れて、ボタンをオン・オフするだけで復帰します。

Panasonic / 一括スイッチ搭載 / コネクタ:3個口 / 長さ:3.0 m / 型番:WHA25332WKP
やかもち
この症状を「初期不良」とみなすかどうかは価値観によるかな。99%復帰する対処法があるから、筆者はこのまま使う予定。(本音:代理店とやり取りするの面倒くさい)

HDRモード時に「ローカルディミング」が有効化されない


設定からリフレッシュレートを変更してみてください。

筆者の個体だと60 Hzから120 Hzに変更すると、ローカルディミングが有効化されました。それ以降、再発していません。

HDRモード時に画面が色あせて暗く見える

仕様です。

Windowsパソコンやゲーム機の場合、HDRモードを有効化すると、SDR(非HDR)エリアはsRGB規格に準じた表示に切り替わります。

  • SDRエリア:sRGB規格(色あせた暗い規格)
  • HDRエリア:Rec.2020規格(色彩豊かでパンチの効いた明るい規格)

「えっ・・・でもHDRモードを入れなかったら、SDRコンテンツも鮮やかに見えるけど?」

その通り、HDRモードを有効にしない限り、WindowsパソコンはSDRコンテンツをsRGB規格に制限しません。パネルの性能そのまま出し切れる明るさと色をすべて出す仕様です。

厳密にいえば、HDRモード有効時に表示される、色のあせた暗い画質が本来のSDRコンテンツです。ふだんの鮮やかなSDRは規格を無視して表示しているからこそ発生します。

やかもち
その暗くて褪せた退屈な色合いが本来のSDRです。バグじゃないから安心して。

TITAN ARMY P32A6V-PROの代替案(他の選択肢)

同じ価格帯でP32A6Vに対抗できるゲーミングモニターは「32M2V」くらいです。しかし、応答速度の差がけっこう大きいから、今さら32M2Vをあえて買う価値があるかどうかは微妙なライン。

値段が1万円ほど上がるうえ、27インチですが代替案になりうるモニターが「M27E6V-PRO」です。

5088個に分割したMini LEDと組み合わせ、HDR最高グレード「Display HDR 1400」認証を取得。10万円台で買える唯一のHDR 1400認証モニターです。

よりゲーミング性能に特化した4Kモニターなら「LG 32GS95UE-B」を挙げられますが、価格が2倍近いです。

4Kでおすすめなゲーミングモニター

最新のおすすめ4Kゲーミングモニター解説は↑こちらのガイドを参考に。

4KでおすすめなゲーミングPC【解説】

予算に余裕があれば「RTX 4090」や「RTX 4080」を搭載したゲーミングPCがおすすめです。

コスパ重視なら「RTX 4070 Ti SUPER」がおすすめ。グラフィック設定の妥協と、DLSS 3(フレーム生成)と合わせて4K 144 fps超を目指せます。

おすすめなゲーミングモニター【まとめ解説】

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23 件のコメント

  • 購入するか迷ってたのでありがたいです
    TCLのモニターの検証予定はありますか?

  • 待ってました!

    ところで、27M2V や 32M2V のレビューには、OSD で手動で設定(切り替え)しないと HDR が正しく有効化されないので相当に面倒くさい、という内容の記述がありました。この P32A6V-PRO のレビューにはその記述はなく、「P32A6V-PROのHDRモードは最初から完成されているし、そもそも調整も不要です。」とあるので、改善されたということでしょうか?

    • 27M2Vや32M2V、今回のP32A6V-PROも、HDRモード有効化で自動的にローカルディミングがオンになるから使い勝手は大丈夫です。
      ただ、たまにローカルディミングが入らないときがあるので、遭遇したらリフレッシュレートを変更してみてください。

  • いつも詳細なレビューありがとうございます
    先日Amazonで注文しましたが、お届けはクリスマス頃になるようです。
    このレビューを読みながら楽しみに待っています。
    届いたらまた設定値の調整など参考にさせていただきます。

  • 初期ロットなのか不具合が気になりますが、すばらしい性能ですね!
    設定を記憶できるとのことですが、入力端子ごとに記憶されますか?
    それとも調整保存したプリセットモードは全入力端子共通で、入力切替してから手動で該当のプリセットモードに切り替える必要があるのでしょうか?

  • P27A6Sのレビュー待ってます
    ショップの売値からして終売の雰囲気ただよってますが

  • macOSでのHDRオン時とオフ時で画面輝度を100%にしたときの見え方(明るさ)を比較してほしいです。

    持続輝度600nit以上、120Hz以上、32インチ、4Kのモニターが欲しくてこのモニターを検討してます。

    • 10bit表記のモニターもクリエイター向けの超ハイエンド以外は全部8bitFRCの実質10bitですよ
      True10bitモニターは一般ユーザー向けの価格帯ではまだ存在しません
      32M2Vも8bitFRCの実質10bitです

  • 私の購入した個体はコイル鳴きが結構気になったのですが、そちらはどうでしょうか?

  • いつも詳細なレビューありがとうございます!
    WQHDの新作miniLEDモニターについてもなにとぞ…なにとぞ…(TCLの27R73Qなど)

  • こんばんは。いつも詳細なレビューとても助かります。
    記事内で出ている「ド定番4K HDRモニターのあともう1台の候補」
    ってのはブラックフライデーの記事でも出ていたDELLのAW2725QFの事ですかね・・・?

  • パネル性能は上がってるのにデザインとOSD操作ボタンが変わらなさ過ぎてビックリする
    あとデカすぎるACアダプターはもうちょい何とかならないかな…

  • いつも素敵なレビュー拝読させて頂いております。

    Titan Army M27E6V-PRO と Redmagic GM001S
    は、同一ですか???
    VESA Certified Products にRedmagicが無かったのですが。。。

    今 一番レスの方の TCL 27R83U がとても気になっています。
    現在 PHL 27E1N8900 (JOLED)を使用中です。

  • いつも詳細なレビューありがとうございます!
    ブラフラでポチったので気になってました。初期不良報告がチラホラあるようなのでお祈りして到着待ってます。
    この会社はシルバーが好きなんですかね、ディスプレイなら私も含め絶対黒枠の方が需要あると思うんですが

  • レビュー参考になります。
    ところで、最近のNVIDIA AppでのNVIDIA RTX HDRの設定ですが、最大の明るさや中間の明るさなど、詳細に調整できないようになっていませんか?
    オンとオフしか設定できないようです。

    • 私も同じように表示されなかったのですが、以下のメニューからだと表示されました。
      ご参考までに。
      システム>ビデオ>高ダイナミックレンジ

      アプリのverは11.0.1.163です

  • 映画ファンとしては24Hz非対応なのがちと残念。
    32M2Vもそうだったから仕方ないか…

  • #TitanArmy_PR ちもろぐ読者として、これは良いモニターだと思い、PG32UQから買い替えを行いましたが、非常に満足しています。今の所は悪い所は一つも感じていません。特にHDRムービーモードが最高にいいですね。

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