Amazonに突如として出現した、わずか3万円台で「WQHD」「320 Hz」「Fast IPS(DCI P3:98%)」ものスペックを備える価格破壊級ゲーミングモニター「KTC H27E6」を即座にポチりました。
価格が安すぎていろいろと不安になりますが、本当にスペックどおりの性能を出せているか。測定機材を駆使して徹底的に詳しくレビューします。
(公開:2025/2/19 | 更新:2025/2/19)
「KTC H27E6」はどんなゲーミングモニター?
- WQHD(2560×1440)で「最大320 Hz」
- 「Fast IPS」パネル採用
- 最近トレンドな「白色デザイン」
- Display HDR 400対応
- PS5で120 Hz(VRR)に対応
「KTC H27E6」は、シンプルに価格の安さで攻めるWQHDゲーミングモニターです。
少なくとも6万円台が相場だった300 Hz以上のWQHDモニターを、KTC H27E6は半額近い3万円台まで押し下げます。まさに暴力的なコストパフォーマンス。
KTC H27E6 | |
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パネルタイプ | WQHD(2560×1440)で最大320 Hz Fast IPSパネル(27インチ) |
応答速度 | 1 ms (G2G) |
主な機能 ゲーマー向け |
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調整機能 エルゴノミクス |
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VRR機能 | Adaptive-Sync ※G-SYNC互換モード対応 |
参考価格 ※2025/2時点 | ![]() |
Amazon |
KTC H27E6 | |
---|---|
画面サイズ | 27インチ |
解像度 | 2560 x 1440 |
パネル | Fast IPS (DCI P3カバー率:98%) |
コントラスト比 | 1000 : 1 |
リフレッシュレート | 320 Hz (2560 x 1440) HDMI 2.1 : ~320 Hz DP 1.4 : ~320 Hz |
応答速度 | 1 ms (G2G) |
光沢 | ノングレア |
VESAマウント | 100 x 100 mm |
エルゴノミクス |
|
主な機能 |
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HDR対応 |
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同期技術 | Adaptive-Sync ※G-SYNC互換モード対応 |
スピーカー | なし イヤホン(3.5 mm)端子あり |
主な付属品 |
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寸法(実測) | 618 x 512 x 222 mm |
重量(実測) |
|
保証 | 3年保証 ※交換保証は12ヶ月間 |
「KTC H27E6」は、色あざやかな映像美と残像感の少ない応答性を両立できる「Fast IPS」パネルを使った、WQHDゲーミングモニターです。
表示されている定価が約4.2~4.8万円ですが、そこそこの頻度で表示される割引クーポンで3万円台に突入します。
3万円台でおそらく唯一、最大320 Hzもの高速リフレッシュレートに対応しており、競技クラスのeSports用途に耐えられるモニターの導入ハードルが一気に下がります。
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安すぎるとメーカーサポートが不安に思えますが、「3年保証」と「1年間の交換保証」が付いています。

ISO基準(ISO-9241-302, 303, 305, 307:2008)をベースに、ある程度のドット抜けも保証対象です。
12ヶ月以内なら輝点が2個以上、黒点は6個以上から保証対象。24ヶ月以内なら輝点が4個以上、黒点は6個以上から保証の対象になります。
気になって仕方がないドット抜けを発見してしまったら、上記メーカーサポート(support@ktcplay.com)に相談してみてください。
KTC H27E6の画質をレビュー

(初期設定はだいぶ青くて白っぽい)
初期設定の画質を見て「やっぱり値段なりに微妙な気が・・・」と、思うのはまだ早いです。
単に初期設定がおかしいだけ。モニターのOSD設定を少し調整さえすれば、青くて白っぽい色合いをかんたんに調整できます。

さっそくキャリブレーター(測定機材)を使いながら、モニターの色を調整します。

キャリブレーターで測定しながら、モニター側の設定(OSD)を手動で調整しました。
- モード:ユーザー設定
- 明るさ:98
- 色温度:ユーザー設定
- 赤:46
- 緑:43~44
- 青:46~47
- ガンマ値:ガンマ2.4(← 白っぽさの元凶)
以上の設定で、ニュートラルな色温度(白色)である6500Kにおおむね調整でき、ついでに白っぽさも改善します。
画面の明るさは好みに合わせて調整してください。明るさ98%だとかなり明るいです(個人的な好みで350 cd/m²に合わせているだけ)。

手動設定で、白っぽさと青みがかった色合いを修正できました。コントラスト感もハッキリしてシンプルに高画質な仕上がりです。
かつて4~6万円台で使われていた高級品「Nano IPS」パネルと、それほど大差ないレベルの画質を表示できます。3万円台でこんな画質が買えるなんて・・・他社にとって明確な脅威です。
もっと厳密にキャリブレーション(校正)したいガチな方は、筆者が作成した3D LUTプロファイル(.cube)を試してみてください。
フリーソフト「dwm_lut」を使って3D LUT(.cube)を適用したら、ゲーミングモニターのOSD設定を以下の内容に変更します。
- モード:ユーザー設定
- 明るさ:98
- 色温度:ユーザー設定
- 赤:46
- 緑:43
- 青:46
- ガンマ値:ガンマ2.4
3D LUTの効果を確かめます。

(精度:ΔE = 0.30 / 目標:ΔE < 2.0)
シンプルに約200ポイント測定でプロファイルを作ってみました。ほぼ正確にガンマ2.2に校正されています。

(目視補正:6730~6770K前後)
常用グレースケールで色温度もほぼ6500K前後に一致します。
色の鮮やかさを損なわないように、できるだけ色域を変えないように作ってます。鮮やかさをそのままに、ガンマと色温度を規格どおりに調整する3D LUTプロファイルです。
参考写真と比較写真でざっくり画質を見る
(sRGB:ΔE = 6.30 / 色温度:6770K / 輝度:346 cd/m²)
Youtubeやアニメ、FPSゲーム(タルコフやOverwatch 2)、RPGゲーム(原神や崩壊スターレイル)をKTC H27E6で表示した例です。
手動で調整したあとのKTC H27E6の画質は、シンプルに高画質です。

IPSパネルだからコントラスト比は約1300:1くらいで平凡ですが、平均(1000:1)より若干マシです。

カラフルな色彩を使ったイラスト画像(原神の★5恒常キャラ「刻晴」より)で比較。
割といい映りをしていて驚きました。ほぼ好みの問題と言っていい程度の画質差で、鮮やかさ自体は意外とFast IPS(DCI P3:98%)と量子ドットHVAパネルで僅差の勝負です。
カルト的な人気を誇るオープンワールド型FPS「Escape from Tarkov(タルコフ)」のワンシーンで比較。
いつもレビューで指摘しているとおり、このような「映えない」「無味乾燥」した映像だと、パネルの性能差が分かりにくいです。
性能差が見えやすい、黒を大量に使ったコンテンツ(タルコフの夜間)です。
やはりコントラストの差が5倍近くもある分、さすがにTCL 27R83Uに及ばない傾向が見られます。黒色の深さはVAパネルが有利です。
もっと比較写真を見たい方は↑こちらからどうぞ。
測定機材で「画質」をもっと深堀りしよう

2台の測定機材(X-rite i1 Pro 2 + i1 Display Pro Plus)を使って、KTC H27E6の画質を深堀りします。
色域カバー率(CIE1976) | ||
---|---|---|
![]() | ||
規格 | CIE1931 | CIE1976 |
sRGBもっとも一般的な色域 | 100.0% | 99.9% |
DCI P3シネマ向けの色域 | 97.2% | 98.3% |
Adobe RGBクリエイター向けの色域 | 96.4% | 98.7% |
Rec.20204K HDR向けの色域 | 76.0% | 76.0% |
KTC H27E6で表示できる色の広さ(色域カバー率)を測定したxy色度図です。
もっとも一般的な規格「sRGB」で100%をカバー。HDRコンテンツで重要なシネマ向けの規格「DCI P3」では98.3%カバーします。
印刷前提の写真編集で重視される「AdobeRGB」規格のカバー率は98.7%です。
過去の傾向からして、色の広さは量子ドット液晶 > 量子ドットVA = QD-OLED > 広色域な液晶 = OLED > 普通の高色域パネル > 平凡な液晶パネル > TNパネルの順に並びます。
色の鮮やかさ(色の広さ)を他社のゲーミングモニターと比較してみた。
わずか3万円台の価格帯で、DCI P3とAdobeRGB規格を98~99%もカバーしています。5~6万円台のクリエイター向けモニターに匹敵する色域性能です。
量子ドットを使っていないIPSパネルとして、トップクラスのグループに入ります。QD-OLED(量子ドット + 有機EL)にあと一歩で迫る広さで、実用上、十分な鮮やかさです。


コントラスト感は可もなく不可もなく普通です。写真だと分かりづらいですが、部屋の電気を暗くすると黒いエリアが白浮きします。
コントラスト比を比較 ※クリックすると画像拡大 |
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![]() |
コントラスト比(実測)は1353:1です。平均的なIPSパネル(1000:1)よりコントラスト比がやや高い傾向です。
色が均一の静止画コンテンツを見ている時間が長いオフィスワークで、気にする人が多い「色ムラ」をチェック。
・・・値段なりの色ムラ度合いが出ています。四隅に近づくほど輝度が下がる「グロー」現象がよく出ているし、均一性がやや低いです。

色ムラ(輝度ムラ)の測定結果は、平均値で11.12%を叩き出してしまい、DELL G2725DやPixio PX278 Waveと横並びの水準です。
実際の映像コンテンツやゲームプレイシーンで色ムラに気づく可能性は低いものの、画面全体に同じような色を表示するシーンで色ムラや輝度落ちに気づきます。

KTC H27E6に施されたパネル表面加工は、PC用モニターで定番の「ノングレア加工(アンチグレア)」です。
ぼんやりと背景がしっかり拡散され、周囲が明るくても映り込みをかなり防いでいます。

部屋を暗くすると、映り込みがさらに軽減されます。
安物のパネルによくある透過性(表面粒子の細かさ)がやや低い加工が施され、高級パネルと比較して光の反射がやや多め。
IPSパネルだから視野角がかなり広いです。見る角度を少し変えても、白浮きしたり黄ばんだりする傾向が少なめ(参考:液晶パネルの違いを解説するよ)。
それでも、OLEDパネルが相手だとまったく勝てません(→ 参考写真)。
文字のドット感(見やすさ)はそこそこ鮮明です。
- ドットがRGB配列:テキスト表示に有利
ピクセル配列の拡大写真 - 画素密度が100 ppi前後:標準的なドット密度
テキスト表示に有利なRGB配列パネルに、100 ppi前後のスタンダードな画素密度を備えます。

普通の距離感(50~60 cm)で見る分には、ドット感がそれほど目立たない鮮明なテキストです。
画面の明るさは100%設定で約460 cd/m²でかなり明るいです。SDRコンテンツを見るのに十分すぎる明るさで、HDR 400モニター並の明るさが出ています。
最低輝度(0%設定)は約27 cd/m²とかなり暗くできます。眼精疲労などが理由で、夜間に暗い画面を好む人にとって嬉しい仕様です。
目にやさしいらしい120 cd/m²前後は設定値20~21%でほぼ一致します。
全部で「10個」あるカラーモードを比較
- ユーザー(初期設定)
- Movie
- Photo
- ECO
- 読書モード
- RTS
- FPS
- sRGB
- Display P3
- DCI P3

目標の基準値:sRGB(Gamma 2.2)
ガンマカーブはいわゆる「コントラスト感」に関わる数値です。
数字が大きいほど実際よりも暗く(黒く)、数字が小さいほど実際よりも明るく(白く)表示されます。
たとえば、初期設定の「ユーザー」モードはガンマが1.9~2.0前後でやや白っぽく表示され、「Photo」モードだと明るくなるほどガンマが下がり続けて白飛びする設定です。
「sRGB」や「Display P3」モードも目標カーブより少し下にズレていて、白っぽく見える要因に。「DCI P3」モードのみガンマが上がりますが、色精度はイマイチ。
モード | 色域 (sRGB) | 色域 (DCI-P3) | 明るさ | グレーの正確さ | 色の正確さ | ガンマ | 色温度 | コントラスト比 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ユーザー | 99.9% | 98.3% | 413.7 cd/m² | ΔE = 4.45 | ΔE = 5.41 | 2.00 | 7292K | 1353:1 |
Movie | 99.9% | 98.3% | 481.0 cd/m² | ΔE = 4.47 | ΔE = 5.58 | 1.95 | 6899K | 1431:1 |
Photo | 99.9% | 98.3% | 400.9 cd/m² | ΔE = 5.06 | ΔE = 6.41 | 1.85 | 6593K | 1442:1 |
ECO | 99.9% | 98.3% | 116.5 cd/m² | ΔE = 3.54 | ΔE = 5.73 | 1.98 | 6990K | 1350:1 |
読書モード | 99.5% | 97.1% | 223.7 cd/m² | ΔE = 2.47 | ΔE = 5.79 | 1.96 | 6446K | 1438:1 |
RTS | 99.9% | 98.3% | 420.1 cd/m² | ΔE = 4.75 | ΔE = 5.68 | 1.94 | 6983K | 1419:1 |
FPS | 99.9% | 98.3% | 453.6 cd/m² | ΔE = 4.49 | ΔE = 5.26 | 2.01 | 7428K | 1335:1 |
sRGB | 89.7% | 81.7% | 423.9 cd/m² | ΔE = 3.43 | ΔE = 2.94 | 1.97 | 6134K | 1372:1 |
Display P3 | 99.0% | 91.9% | 419.7 cd/m² | ΔE = 3.44 | ΔE = 4.40 | 1.97 | 6125K | 1360:1 |
DCI P3 | 99.0% | 92.0% | 408.5 cd/m² | ΔE = 7.59 | ΔE = 4.58 | 2.32 | 5962K | 1321:1 |
結局「ユーザー」モードのまま、筆者が紹介した手動OSD設定が一番まともです。
KTC H27E6は、全部で10個の「カラーモード」が用意されています。
10個もモードがあるのに、モードごとのガンマカーブ変化が乏しく、明るさや色温度が変わる程度の差しか出ないです。
基本的に「ユーザー」モードのまま好みに合わせて調整がおすすめです。OSD設定から「ガンマ調整:ガンマ2.4」を有効化すると、白っぽさを改善できます。

「KTC H27E6」の規格測定レポートはこちら↓をクリックして確認できます。クリエイター向けのマニア情報だから、一般人は無視して飛ばしてください。
モニターの色を測定する機材「X-rite i1 Pro2(分光測色計)」と「ColorChecker Display Plus(比色計)」を使って、「KTC H27E6」の色精度をチェックします。
色の正確さ ※クリックすると画像拡大 | ||
---|---|---|
比較グラフ | グレーの正確さ | カラーの正確さ |
![]() | ![]() | |
使用モード | 標準 | sRGB |
明るさ | 413.7 cd/m² | 423.9 cd/m² |
グレーの正確さ (dE2000) | ΔE = 4.45 | ΔE = 3.43 |
色の正確さ (dE2000) | ΔE = 5.41 | ΔE = 2.94 |
ガンマ | 2.00 | 1.97 |
色温度 | 7292K | 6134K |
コントラスト比 | 1353 : 1 | 1372 : 1 |
KTC H27E6の「sRGBモード」は・・・全体的に大きく黄ばんでいて、根本的にグレースケールが合っていません。
色域がsRGBより一回り狭いめに制限されるため、色の精度はやや改善します。しかし、グレーの正確さが2.0超、色の正確さも2.0超でどちらも基準値オーバーで意味なし。
どうしてもなんとかしたいマニアな方は、OSD設定を以下の内容に変更します。
- モード:sRGB
- 明るさ:59
- 色温度:ユーザー設定
- 赤:48
- 緑:46
- 青:50
- ガンマ値:設定不可
一般的なよくある安物モニターだと、sRGBモードで設定がすべて固定化されて手のうちようが無いですが、KTC H27E6は「色温度」が解禁されていました。
おかげで、黄ばみをかんたんに修正可能でした。
さらにフリーソフト「dwm_lut」を使って、上記の3D LUT(.cube)を適用してしまえばクリエイター向けモニター並みの精度に仕上がります。
実測値でグレーの正確さが0.52(< 2.0達成)、色の正確さが0.82(< 2.0達成)、実用に足るsRGBモードです。
マクロレンズでパネルの表面を拡大した写真です。
Fast IPS系でよく見る「くの字型」の画素レイアウトが見られます。RGBストライプ配列で、赤・緑・青の順にキレイに並んでいます。
細い直線やテキストの表示と相性がいい、PCモニター向けの画素レイアウトです。
表面加工は透過率がやや低いノングレア加工がかかっていて、画素ドットのりんかく線がぼんやりと映ります。
光を分析する「分光測色計」を使って、画面から出ている三原色の鋭さ(波長)を調べました。専門用語でスペクトラム分析と呼ぶそうです。
グラフを見てみると、なだらかな緑色と、中央が凹む赤色の波長パターンが出ています。「KSF蛍光体(KSF Phosphor)」に特有の波長パターンです。
基本的に、色域が広いFast IPSはほとんど例外なくKSFタイプで占められています。2025年の今のなっては、安物のIPSパネルでもそうめずらしくないです。
ついでにブルーライト含有量を調べたところ約30%でした。商品ページでハードウェア低ブルーライトなどとアピールする割に、TÜV Rheinlandブルーライト認証に必要な25%未満を達成できていません。
OSD設定からブルーライトカットを有効化すると、すぐに25%未満を達成できます。
KTC H27E6のゲーム性能は?

KTC H27E6のゲーム性能をレビューします。

- 応答速度
- 入力遅延
- ゲーム向け機能
おもに「応答速度」「入力遅延」「ゲーム向け機能」の3つです。測定機材を使って調べてみます。
KTC H27E6の応答速度と入力遅延
↑こちらの記事で紹介している方法で、KTC H27E6の「応答速度」を測定します。
60 Hz時の応答速度 ※クリックすると画像拡大 |
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![]() |
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ニンテンドースイッチやPS4など、最大60 Hz対応のゲーム機で使う場合、60 Hz時の応答速度を気にします。
30パターン測定で、平均3.28ミリ秒を記録しますがエラー率が約30%近いです。目で見て分かるほどの「逆残像」「にじみ」が発生していて使い物にならないです。
OSD設定から「オーバードライブ:オフ」に切り替えれば、平均6ミリ秒台になる代わりに、エラーが解消されます。
120 Hz時の応答速度 ※クリックすると画像拡大 |
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PS5やXbox Series Xで重要視される120 Hz時の応答速度です。30パターン測定で、平均3.27ミリ秒でした。
エラー率がなんと20%もあって、逆残像が深刻です。OSD設定から「オーバードライブ:オフ」に切り替えれば、平均6ミリ秒台になる代わりに、エラーが解消されます。
240 Hz時の応答速度 ※クリックすると画像拡大 |
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![]() |
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240 Hz時の応答速度です。30パターン測定で、平均3.61ミリ秒でした。
約5万円台の「MSI G274QPX(240 Hz)」と同等の応答性能です。
320 Hz時の応答速度 ※クリックすると画像拡大 |
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![]() |
![]() |
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320 Hz時の応答速度です。30パターン測定で、平均4.40ミリ秒でした。
残念ながら、4ミリ秒だと320 Hzに必要な応答速度(= 3.125ミリ秒)を満たせないです。モニターのオーバードライブ機能を使って、応答速度を改善できないかチェックします。
OD機能の効果 320 Hz / 5段階をテストした結果 | ||||
---|---|---|---|---|
![]() | ||||
平均値 | 4.40 ms | 2.94 ms | 2.23 ms | 2.25 ms |
最速値 | 2.01 ms | 1.13 ms | 0.71 ms | 0.68 ms |
最遅値 | 9.30 ms | 5.95 ms | 4.76 ms | 4.70 ms |
平均エラー率 | 0.3 % | 6.0 % | 17.7 % | 17.9 % |
KTC H27E6のオーバードライブ機能は、4段階で調整できます。
2段階の「Middle」モードで応答速度が平均2.94ミリ秒にまで改善され、「にじみ」や「逆残像」などエラーも許容できる程度です。
「High」以上のモードでさらに応答速度が改善されるものの、目で見て分かる深刻なエラーが大量に発生します。
結論、KTC H27E6のおすすめオーバードライブ設定は「Middle」モードで決まりです。

他のゲーミングモニター(240 Hz以上)と比較します。
過去レビューしたIPSパネルと比較すると、未だにIGZOパネルを使った「GIGABYTE M27Q X(終売済み)」に勝ててなくてビックリです。
といっても0.18ミリ秒のわずかな性能差で、KTC H27E6はリフレッシュレートが80 Hzも高いです。実用上の性能ならKTC H27E6がほぼ勝ちます。

120 Hz台の比較です。
見てのとおり、目立った競争力がありません。PS5 / XSXで使う前提でKTC H27E6を購入するのはやめた方が無難です。

60 Hzモード時の応答速度も掲載します。
入力遅延(Input Lag)はどれくらいある?

2024年7月より「入力遅延(Input Lag)」の新しい測定機材を導入しました。
クリック遅延がわずか0.1ミリ秒しかないゲーミングマウス「Razer Deathadder V3」から左クリックの信号を送り、画面上に左クリックが実際に反映されるまでにかかった時間を測定します。

- マウスから左クリック
- CPUが信号を受信
- CPUからグラフィックボードへ命令
- グラフィックボードがフレームを描画
- ゲーミングモニターがフレーム描画の命令を受ける
- 実際にフレームを表示する(ここは応答速度の領域)
新しい機材は1~6の区間をそれぞれ別々に記録して、1~4区間を「システム処理遅延」、4~5区間を「モニターの表示遅延(入力遅延)」として出力可能です。
なお、5~6区間は「応答速度」に該当するから入力遅延に含めません。応答速度と入力遅延は似ているようでまったく別の概念です。
左クリックしてから画面に反映されるまでにかかった時間を測定し、左クリック100回分の平均値を求めます。

KTC H27E6の入力遅延はまったく問題なし。
320 Hz時(G-SYNC互換モード)で平均1.6ミリ秒、120 Hz時(G-SYNC互換モード)で平均4.4ミリ秒の入力遅延です。
どちらも16ミリ秒を大幅に下回っていて、ほとんどすべての人が入力遅延を体感できません。
ゲーム向け機能は値段なりの内容
KTC H27E6は4つある主要なゲーマー向け機能のうち、3つに対応します。
- 暗所補正
暗い部分を明るく補正する機能 - 鮮やかさ補正
色の付いた部分を強調する機能 - 残像軽減
残像をクリアに除去する機能 - カクツキ防止
可変リフレッシュレート機能
順番にチェックします。
暗所補正「ブラックイコライザ」モード
暗い部分を明るく補正できる「ブラックイコライザ」モードです。
- オフ
- 10~100(刻み:10ずつ)
全10段階で細かく調整できます。
設定値50がニュートラルな明るさで、60~100が明るく補正、0~40で逆に暗く補正します。暗所を明るく補正する効果はやや控えめですが、60~100まで白飛びなく使える範囲です。
肝心の効果は・・・やはり、暗所補正の本家「Black eQualizer」や「Light Tuner」に及ばない性能です。
もちろん、無いよりはあった方が便利で、画面全体がうっすら暗いホラーゲームを明るく見やすくする程度なら普通に使えます。

残像軽減「MPRT」モード
「MPRT」はAmazon商品ページでほとんど言及されていない機能です。いわゆる黒フレーム挿入を利用した残像を軽減するモードに対応します。
残像軽減モード 「MPRT」 ※クリックすると画像拡大 |
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「MPRT」を有効化すると、残像感が軽減されて映像のクッキリ感が増します。
フレーム切替時に真っ暗なフレームを1枚挟む「黒挿入」が行われ、結果的にホールドボケ現象が軽減されて残像感が減ったように見える仕組みです。
画面の明るさは下がる? |
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使える範囲は? |
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一般的に残像を軽減する機能は「黒挿入」を使っているから、画面の明るさは下がります。
しかし、いくらなんでも約30~90 cd/m²まで下がってしまっては使いものにならないです。せめて200 cd/m²台を維持できなければ、視認性を確保できずまったく意味がないです。

WQHDで320 Hz(PS5で120 Hz)に対応
KTC H27E6は最大320 Hzまで、PS5で最大120 Hzに対応します。実際にPS5とゲーミングPCにモニターをつないでみて、リフレッシュレートの対応状況を確認しましょう。
PS5の対応状況 ※クリックすると画像拡大 | ||
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![]() | ||
設定 | 60 Hz | 120 Hz |
フルHD1920 x 1080 | 対応PS5 VRR:対応 | 対応PS5 VRR:対応 |
WQHD2560 x 1440 | 対応PS5 VRR:対応 | 対応PS5 VRR:対応 |
4K3840 x 2160 | 対応PS5 VRR:対応 | –PS5 VRR:- |
PS5でフルHD~WQHD(最大120 Hz)に対応し、4K(最大60 Hz)も表示できます。HDMI 2.1で「PS5 VRR」も対応します。
5~6万円台でもPS5 VRRができない大手WQHDモニターがある中、たった3万円台の格安モニターながら見事なPS5対応状況です。
実際にゲームが120 Hzで動くかどうかは、ゲームによって対応状況が違うので注意です。
たとえばフォートナイトなら120 fpsかつ120 Hz動作ですが、ストリートファイター6は60 fpsで120 Hz動作になるなど、ゲームによって挙動が違います。
対応リフレッシュレート ※クリックすると画像拡大 | |
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HDMI 2.1 (40 Gbps) | Display Port 1.4 |
![]() | ![]() |
|
KTC H27E6がパソコンで対応しているリフレッシュレートは以上のとおりです。
HDMI 2.1で最大320 Hzまで、DisplayPortも最大320 Hzに対応します。
レトロなゲーム機で役に立ちそうな23.98 ~ 24 Hz範囲は非対応。最低60 Hzが下限値でした。
VRR機能(可変リフレッシュレート) ※クリックすると画像拡大 |
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フレームレートとリフレッシュレートを一致させて「ティアリング」を防ぐ効果がある、VRR機能はHDMIとDisplay Portの両方で使用可能です。動作範囲は48~320 Hzです。
LFC(低フレームレート補正)対応ハードウェアの場合は、48 Hzを下回ってもVRRが機能します。
KTC H27E6の機能性を調査
スペックの割に激安にした分だけ、「機能性」はやや控えめです。一般的なゲーミングモニターが対応している、よくある普通の機能を中心に実装しています。
- エルゴノミクス
高さや角度を調整する機能 - インターフェイス
映像入力端子やUSBポートについて - ヘッドホン端子
とりあえず付いている3.5 mmアナログ端子 - フリッカーフリー
眼精疲労持ちなら重要かもしれない - OSD
On Screen Display(設定画面) - 24.5インチモード
FPSゲームで役に立つ画角調整モード
一応、順番にチェックします。
自由に位置を調整できる「エルゴノミクス」機能
KTC H27E6は激安なのにフル装備のエルゴノミクス機能を備えます。
意外とスムーズに動いて調整しやすくて、本当に3万円台のゲーミングモニターなのか目を疑うクオリティです。
高さ調整の動かし始めがやや硬いくらいで、何度も動かしているうちに馴染んで滑らかに。角度やピボットは最初からかんたんに動かせます。
なお、画面の水平(0°)が非常に取りづらいです。
VESAマウント ※クリックすると画像拡大 |
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![]() |
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別売りモニターアームを取り付けるのに便利なVESAマウントは「100 x 100 mm」に対応します。

パネル本体の重量は約3.85 kgで普通のモニターアームで持ち上げられます。

モニター側に最初から付いている小ネジ(4本)を使って、そのまま「エルゴトロンLX」アームを取り付けられます。
「ヘッドホン端子」の音質をテスト
非常に優れたオーディオ特性を持つ「RME ADI-2 Pro」を用いて、KTC H27E6のオーディオ性能をテストします。
SN比を比較 ※クリックすると画像拡大 |
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大きめの音量(出力)を取り出せる仕様で、SN比が高く出ます。USBスピーカー等をつないでそこそこの音量を出せそうです。

周波数特性グラフです。40 Hz以下で明らか減衰がある、微妙にフラットじゃない特性です。
比較的鳴らしにくい「Sennheiser HD650」をつないで聴いてみた。
悪くない音質です。安物のモニターにありがちなカーテンを2~3枚通したような「こもった」傾向がかなり軽度に抑えられていて、思いのほかクリアな音質。
解像度がイマイチで低音域の深みも物足りないですが、ゲーミングモニター内蔵のイヤホン端子として悪くないクラスです。
安物のヘッドホンやイヤホンなら案外十分な性能かもしれません。
音にこだわる方、音質に不満を覚えてしまった沼の素質がある人は、素直に別売りのポータブルDACを買ってください。
対応するインターフェイスをチェック
映像端子は全部で4つもあり、すべての端子が最大320 Hz(2560×1440)に対応します。
USBポートはファームウェア更新用です。ファームウェア更新ファイルを入れたUSBメモリを接続して、ファームウェアの更新が可能・・・ですが、公式サイトでファームウェアが配布されてません。
「フリッカーフリー」対応ですか?
Amazonの商品タイトルに「フリッカーフリー」の記載あり。TÜV Rheinland認証は不明です。
フリッカーフリーを検証 ※クリックすると画像拡大 |
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実際にオシロスコープを使ってフリッカーの有無をテストした結果、明るさ0~100%までフリッカーが一切検出されません。
フリッカーの基準 | 結果 |
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一般的な基準 0 Hz または 300 Hz以上 | 問題なし (= 0 Hz) |
![]() 0 Hz または 3000 Hz以上 | 問題なし (= 0 Hz) |
完全なフリッカーフリーを可能にする「DC調光」方式のゲーミングモニターです。
目を酷使する長時間のオフィスワークもなんとなく安心な(気が)します。
VRRフリッカーを検証 ※クリックすると画像拡大 |
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VRR(G-SYNC互換モードなど)有効時の「VRRフリッカー」も一切なし(※上記グラフはPWMフィルタリング後のデータ)。

モニターの設定画面(OSD)

モニター本体の右側裏面にある「5方向ボタン」を使って、OSD設定をスムーズに操作できます。
ASUSやBenQなど大手メーカーで見かける、項目ごとに分かりやすく整理されたフォルダ階層型のOSDレイアウトを採用しています。
5方向ボタンを右に倒して進む、左に倒して戻る・キャンセル、上下で項目の調整ができます。項目の決定も、右に倒して確定できて便利です。
OSD自体のレスポンスもかなり良好で、ストレスを感じずスムーズに設定が進みます。しいて言うなら、OSDメニューを開くためにボタンを押し込む必要があるくらい。
右に倒してメニューを開く、ならベストでした。
- ショートカット:変更できます(最大3個まで)
- プリセットごとに調整:やや困難(共通項目あり)
5方向ボタンを倒してアクセスできるクイックメニューは初期設定から変更できますが、選べる項目はそこそこ。
プリセットモードごとの設定値はそれぞれ最後の数値が記憶されるものの、ガンマや色温度など肝心の設定値に限って「共通」です。プリセットごとに別の数値を記憶できません。
だから、自分好みの設定を保存して使い分ける運用が不可能です。
画角を狭める「24.5インチ」モード
おもにeSports系タイトルで狭い画角(21~25インチ)を好むゲーマーに、たぶん便利かもしれない機能です。
OSD設定から24.5インチモードを有効化すると、画面が数秒ほど暗転したあと表示領域を24.5インチに制限します。
有効時の解像度が「2322 x 1354」で、最大320 Hz(VRR)対応です。つまり、ゲーム側でフルHD(1920 x 1080)にすると、ドットバイドット表示にできず、ボヤケて見えます。
KTC H27E6のHDR性能をテスト
KTC H27E6は、ただ単に「HDR10」規格に対応しているだけのモニターです。HDR映像を表示できます、と言っているだけで肝心の表示性能をまったく保証しません。
最低グレードのDisplay HDR 400認証すら取っていないから、あまり期待せずに、Youtubeで公開されている「Morocco 8K HDR」やHDR対応ゲームを使って検証します。
(HDR映像を収めた写真はSDRです。掲載した写真は参考程度に見てください。)
初期設定のHDRモードは色がかなり黄ばんでいて微妙過ぎでした。でも、KTC H27E6はHDRモード時に「色温度」を自由に調整できます。
- 赤色:52
- 緑色:51
- 青色:53
色温度を調整すると、ニュートラルな白(6504K)にほぼ合います。黄ばみが消えてスッキリした色合いのHDRを表示できてしまい、下手なHDR 400モニターよりマトモな色です。
参考程度に、Display HDR 1400対応ゲーミングモニターと比較した写真です。
全体的に明るさが不足しているからHDR感を味わえません。画面の明るさを100%にして、普通のSDRコンテンツを見るのと大差ないです。
SDRモードの方が画質の調整もしやすいから、KTC H27E6でわざわざHDRモードを使う必要性が少ないです。
リファレンス級のHDR性能を持つ、「TITAN ARMY M27E6V-PRO(5088ゾーン分割)」も参考程度に掲載。
KTC H27E6は普通の液晶モニターで一般的なエッジライト方式(1枚)だから、直下型Mini LEDバックライトを備えるモニターを相手にすると、実効コントラスト比でまったく勝てません。
実際のHDRコンテンツによる輝度測定

Youtubeで配信されている「Dune Part 2」のHDR版トレーラーを再生しました。
1000 cd/m²以上を出せる明るいシーンでも430 cd/m²程度です。明るさが不足していてHDR感をまったく再現できません。

ネイティブHDRモード対応の「サイバーパンク2077」です。430 cd/m²程度に制限されています。明暗のメリハリに限りがあり、SDRモードと大差ないはず。

HDR化された原神もやはり430 cd/m²あたりで阻まれて、最大800 cd/m²前後に達する「スメール砂漠の乾いた青空」がものの見事に白飛びします。
適切に設定すれば白飛びを防げますが、その場合430 cd/m²未満で制限されてしまい、もはやSDRと大差なく意味がないです。
モニター測定機材でHDR性能を評価

モニターの色と明るさを超高速かつ正確に測定できる機材を使って、「KTC H27E6」のHDR性能をテストします。
測定結果(レポート)はこちら↓からどうぞ。専門用語が多いので・・・、興味がなければ読まなくていいです。
VESA Display HDR HDR性能のテスト結果 | ||
---|---|---|
比較 | テスト対象 KTC H27E6 | VESA Display HDR 400 |
画面の明るさ |
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黒色輝度 |
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コントラスト比 |
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色域 |
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色深度 |
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ローカル調光 |
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Display HDR 400認証で要求されるすべての項目で合格です。
なぜHDR 400をパスできるのに、KTCは認証を取らなかったのか。もちろん「コストカット」が理由です。
最低グレードのHDR 400は合格できて当然ですし、今さらアピールしても購入する理由として弱く、その程度のたかが知れた認証ロゴのためにお金を費やすのは無駄と考えるのが合理的。
認証を取らなければ製造コストを抑えられ、販売価格を安くできます。

HDRモードで画面全体に白色を表示したときの明るさを、他のモニターと比較したグラフです。
他社のDisplay HDR 400認証モデルに匹敵します。

HDR時のコントラスト比(理論値)は、1363:1(∞)です。
HDRコントラスト比Colorimetry Research CR-100で測定した結果 | |
---|---|
全画面 | 1363 : 1 |
10%枠 | 1363 : 1 |
3×3パッチ | 1363 : 1 |
5×5パッチ | 1362 : 1 |
7×7パッチ | 1365 : 1 |
9×9パッチ | 1365 : 1 |
テストパターン別にHDRコントラスト比を測定した結果、ワーストケースで1362 : 1です。

HDR規格どおりの明るさを表示できるかチェックする「PQ EOTF」グラフです。
- HDRモード
(※色温度:カスタム)
「色温度」をニュートラルなD65(6504K)に合わせてから測定しました。
全体的にわずかに明るく表示する傾向があり、1 cd/m²未満がやや浮いています。HDR 400モニターの中では比較的マトモな性能です。

面積比による明るさの変動は皆無です。
面積比に関係なく、一貫して460 cd/m²前後の明るさです。

HDRモード時の持続輝度をチェック。
すべての面積比で安定した持続輝度です。
HDR時の色精度(Rec.2020)は最大ΔE = 9.0、平均Δ = 3.93でした。PQ EOTFのズレが少なく、色温度を調整できるから意外と悪くない精度を出せます。
HDRモード(色温度:カスタム)時の色温度は測定値でおおむね6690~6830K前後です。低輝度(5 cd/m²)以下から青くズレているので、暗い色合いのシーンで違和感を覚える可能性あり。
KTC H27E6の開封と組み立て

しっかりコストカットした感がある、簡素な茶箱パッケージで到着。サイズは78 x 49 x 19 cm(160サイズ)です。

「FRONT」と書いてある面を床に向けてから、箱を開封して中身の梱包材を丸ごと引っ張り出します。
上の段に付属品、下の段にゲーミングモニター本体が収まってます。
付属品 (写真の左から順番に) |
---|
![]() |
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Display Portケーブルと、保証書を兼ねるマニュアルが付属します。

ACアダプターは最大54 W(12.0 V x 4.5 A)対応。KTC科技日本株式会社名義でPSE認証マークも取得済み。
コイル鳴きを抑制する小型のフェライトコアが付いています。
ゲーミングモニターで定番のドッキング方式です。プラスドライバーが不要なツールレス設計でかんたんに組み立てられます。
外観デザインを写真でチェック
プラスチック製の外装をふんだんに使った価格なりのビルド品質です。
でも、安っぽさを隠すデザイン的な努力も見られます。マットブラック部分に波打つようなカーボン調加工が施されていたり、筐体の大部分が「ほぼ真っ白」な塗装だったり。
ベゼル部分の企業ロゴマークも外資系によくある英字を大きく主張するタイプではなく、単にシンプルなロゴを小さめに印字しているだけです。

コンセントに仕込んだ電力ロガーを使って消費電力を1秒ごとに記録したグラフです。
消費電力 KTC H27E6 | |||
---|---|---|---|
テスト内容 | SDR | HDR | USB Type-C |
中央値 | 32.3 W | 40.6 W | – |
ピーク値 | 42.7 W | 42.4 W | – |
上位25% | 38.1 W | 41.2 W | – |
下位25% | 24.9 W | 39.9 W | – |
SDRモード時、最大の明るさで41 W前後、最小の明るさで17 W前後です。HDRモード時は41 W前後を推移します。
リフレッシュレートが消費電力にやや影響があり、320 Hz時で41 W前後、60 Hz時で38 W前後です。
まとめ:値段なりの機能性と「値段以上の高画質」

「KTC H27E6」の微妙なとこ
- 平凡なコントラスト比
- パネルの均一性は普通
- 内蔵スピーカーなし
- ゲーマー向け機能がやや弱い
- 残像軽減「MPRT」モードが暗すぎ
- sRGBモードがやや不正確
- 初期設定がやや白っぽい
(かんたんに修正できます) - 初期設定の色温度がズレてる
(かんたんに修正できます)
「KTC H27E6」の良いところ
- 27インチでWQHD(ちょうどいい)
- 最大320 Hzに対応
- PS5で120 Hz(VRR)対応
- 入力遅延が非常に少ない
- 色域がとても広い(DCI P3:98%)
- Display HDR 400相当
- 扱いやすいOSD設定画面
- フル装備のエルゴノミクス機能
- メーカー3年保証
- スペックの割に価格が安い
- 抜群のコストパフォーマンス
「KTC H27E6」は、激安なのにマトモな性能をそなえた320 Hz対応WQHDゲーミングモニターです。
初期設定の色合いが歪んでいるだけで、ちょっとした調整であっさり修正できます。かつて5~6万円台だった「Nano IPS」モデルに匹敵する画質を出せています。
もちろん、2~3万円台の激安品によくある廉価版Fast IPSよりも、KTC H27E6が明確にワンランク上の画質です。コントラスト比が1300:1とやや高めだから、おそらく本家Fast IPS(AUO製)の可能性あり。
価格の割に優れた画質に加えて、なんと最大320 Hzのリフレッシュレートを使えます。平均3ミリ秒を切る応答速度と組み合わさり、120 ~ 180 Hzより残像感が少ないです。
ただし、価格なりに機能性の作り込みが全体的にイマイチ。暗所補正は効果が少なめ、残像軽減(黒挿入)は暗すぎて実質使えない、24.5インチモードはドットバイドットでフルHDにできないなど。
BenQやASUSの高級機に比べると、やはり機能面が弱みです。高画質で高速なゲーミングモニターを安く欲しい方におすすめします。
「KTC H27E6」の用途別【評価】
使い方 | 評価※ |
---|---|
FPSやeSports(競技ゲーミング) 最大320 Hz対応で、応答速度もそこそこ速いです。 | ![]() |
ソロプレイゲーム(RPGなど) 色鮮やかで黒も締まる映像でソロプレイゲームに没入できます。 | ![]() |
一般的なオフィスワーク 文字がそれなりにクッキリと見え、完全なフリッカーフリーに対応。「sRGB」モードはグレースケールがズレていますが、色温度の調整でかんたんに修正できます。 | ![]() |
プロの写真編集・動画編集 プロの動画編集で求められる「DCI P3」色域と、写真編集に求められる「Adobe RGB」色域を満たしていますが、マトモな出荷時校正がありません。趣味程度ならともかく、プロ用途では不適切です。自分でキャリブレーションが必要です。 | ![]() |
HDRコンテンツの再現性 Display HDR 400認証を突破できますが、それでも最低限のHDR性能です。明るさ(PQ EOTF)の精度がとても高くても肝心の明るさが不足していると効果が薄まり、HDRコンテンツの再現性に乏しいです。 | ![]() |
※用途別評価は「価格」を考慮しません。用途に対する性能や適性だけを評価します。
参考価格 ※2025/2時点 | ![]() |
---|---|
Amazon |
2025年2月時点、KTC H27E6の実売価格は約4.3~4.9万円です。
タイムセール時に値下げされ、同時に出現する割引クーポンの併用により実質3万円台(3.1~3.6万円)から買えます。楽天市場やYahooショッピングで取り扱ってないため、Amazonセールを狙うのがおすすめ。

3万円台で「320 Hz」「DCI P3:98%」はコスパ強すぎ

以上「KTC H27E6 レビュー:3万円台で買えるWQHD(320 Hz)価格破壊ゲーミングモニター」でした。
KTC H27E6の代替案(他の選択肢)
同じ価格帯で320 Hz対応は今のところほとんど無いですが、いくつか代替案があります。
機能性が強い代替案が「ASUS XG27ACS」です。明るさをそこそこ維持しつつ、VRR(G-Sync等)と同期できる黒挿入モード「ELMB Sync」に対応します。
320 Hz時よりも、180 Hz + 黒挿入の方が残像感は少ないです。PCゲーマーにとって、十分にKTC H27E6の代替になりうるゲーミングモニターです。
パネル性能でやや見劣りしますが、定番モデルで知られる「IODATA EX-GDQ271JA」も依然として強力なオプションです。
本家Fast IPS(AUO製AHVA)パネル搭載で色がとてもキレイ、最大180 Hz(PS5で最大120 HzかつPS5 VRRまで対応)、各種ゲーミング機能をフル装備、リモコンでOSDをらくらくコントロールなどなど。
ほぼ全部盛りの優等生WQHDゲーミングモニターです。320 Hzに価値を感じなければ、EX-GDQ271JAを選ぶゲーマーは多いでしょう。
もっと価格が安い候補が「27G2R」です。2万円台でトップクラスの画質と性能があり、同じ価格帯で競合するKTC H27T22SやDELL G2725Dを亡き者にします。
WQHDでおすすめなゲーミングモニター
最新のおすすめWQHDゲーミングモニター解説は↑こちらのガイドを参考に。
WQHDでおすすめなゲーミングPC【解説】
予算に余裕があれば「RTX 4070 Ti SUPER」を搭載したゲーミングPCがおすすめです。
できれば、CPUはRyzen 7 9800X3Dが欲しいです。180 Hz程度ならともかくとして、320 Hzを目指すならCPUボトルネックを可能な限り排除したいです。
ゲームのグラフィック設定を妥協するつもりで、予算をもっと絞るなら「RTX 4060 Ti」がコスパ良し。
おすすめなゲーミングモニター【まとめ解説】
記事に書ききれなかったので、コメント欄に貼っておきます。
KTC H27E6のオーバードライブ「Low」モードに、なにかバグがあるのか、VRR(G-Sync互換など)の有無で応答速度がけっこう変わります。
「Middle」モード以上で差がなくなるから、結局320 Hzで使うならMiddleモードがおすすめで変わりないです。
レビューお疲れ様です。XでこのやかもちさんがKTC H27E6を買われた時からレビューされるのを心待ちにしておりました。
IODETAのEX-GCQ271UDが性能良さそうだけど高いなぁ…と中々手が出せず迷っていたところにKTC H27E6の存在を知ったので、EX-GCQ271UDの代わりになれるかの参考になります。これみてまたどっちにしようか悩もうと思います。
「EX-GCQ271UD」
これ、パネルがADSパネルなんですよね。Nano IPS並に画質のいいAHVA IPSだったら買ってみたかったですが、今どきADSパネルに約7万円はちょっと厳しいところ。
まさにそのADSパネルかぁ…ていうのが悩みどころですね。
EX-GDQ271JAの240Hzバージョンが出てくれれば即解決するんですけどね(笑)
240hzと320hzなんてプロゲーマーですら優位な差ないと思うけど値段の割に性能は良いなー
レビュー参考になります。いつもありがとうございますm(_ _)m
KTCはコスパお化けだなぁ。KTCが新しく出すモニターもカタログスペック通りならコスパ面でぶっ飛んでるので期待してます。
ワイの今使ってる165HzFHDからのチェンジにちょうどいい感じあるけどWQHDってそこまで綺麗になるのかね
用途やパネル品質にもよるだろうけど、FHD→WQHDが一番違いが実感できると言われてますね。実際私も昔BenQのWQHDに変更したときは感動しました。
ただゲーム用とだとグラボ性能のハードルは上がりますが
30,000円のとき購入した後に悩んでキャンセルしちゃったけどやっぱ買ったら良かったかな
Spec詐欺を警戒してしまったけど普通に映りも良かったのかぁ
以前レビューして頂いていた
IODATAモニタ(HDR1000、180Hz)が綺麗で総合的に気になっていますが
競技FPS(VAROLANTなど)が主な目的なら320Hz対応の本製品の方が良さそうですかね
180Hzと320Hzってどのくらい違い(撃ち合いの体感や成績)があるものでしょうか
ガチ勢ではないエンジョイ勢でも320Hz恩恵ありますか
最大の強みだったコスパが終わってしまったのが悔やまれますね
書いてあるほど安くないじゃん…と思って公式Xの返信欄見たら、クーポン使用不可→公式ポスト「補充するから待っててね!」→クーポン補充と並行してクーポンの倍近い金額を値上げ、とかいう鬼畜ムーブしてたらしくて笑いました。
RTX5000番台なんかでも顕著になってきたけど、発売当初だけ安く売って、高評価が得られたらさっさと値上げみたいなムーブのメーカーが増えてますね。なので、Amazonレビューなんかも、レビュー時期とその時点での販売価格をきっちり見比べることが必要に。
2年ほど前、MSIがRTX4090水冷モデル(suprim liquid)を発売わずか1週間で185ドル値上げした事件がありました。今回もRTX5070Tiで同じムーブかまそうとしてます。MSRP(メーカー希望小売価格)なんてあってないようなものという現状は問題でしょう。コスパは純粋に市場価格のみで決められるべき。
で、こちらのモニターも同様で、今や1万円以上の値上げになってしまったわけですけど、この値段でもやかもち氏がA+評価をつけるのかは是非知りたいですね。価格変動の激しい中華系は、「〇〇円ならA+」「□□円ならA」みたいに記載してくれると嬉しいなぁ。
本モニターは機能面のクオリティがかなり低いので、たとえ初日の3万円台でも「S」評価が付く可能性かなり低いです。
やかもちさんが購入したツイートの少し後に値上がりしてクーポンが消滅してて完全に買うタイミングを逃してしまった
大きめのタイムセールで、また割引クーポンを出してくれそうな気がします(期待)。
KTCなら安めのセール時にクーポン被るとか定期的にあるし様子見してたらまた同じ位の値段来るでしょ
むしろ待ってたらもっと安くなる時期あると思う
ちょっと関係ないんですがモニターオタクのやかもちさんに質問させてください。
普段モニターの手入れってどうしてますか?
私は良くあるノンアルウェットティッシュで拭くくらいしかしてないんですが、ムラが出ちゃうのが気になっちゃって。
【普段使いで定期的に掃除する場合】
・エレコム クリーニングリキッド 液晶用(CK-DP100SET)
https://amzn.to/4gNTSFD
・エレコム ウェットティッシュ 液晶用 クリーナー 150枚
https://amzn.to/3Qt48In
【明らかな汚損が目立つ状態から「ほぼ新品」に戻す場合】
・上記2点に加えて「キョンセームクロス」
https://amzn.to/4gNTWoR
「ムラが出ちゃうのが気になっちゃって」← これをどうにかするなら、エレコムのリキッドをパネル全体に散布してから、エレコム液晶用クリーナーで全面を拭き取り、そのあとキョンセームクロスでゴシゴシと表面が乾くまで延々と拭き取れば新品同様まで戻せます。
ちなみに、新品同様という表現についてですが、フリマで不要になった大判モニター売ったとき、購入者から「コンディション:中古・使用感ありで期待してなかったのに、ほぼ新品で驚きました!」と言われる程度の状態です。
(※追記:Samsung製 QD-OLEDパネルは公式ガイドラインが参考になります)
[QD Technology] How To Clean a QD-OLED or OLED TV Screen
横からですが、めっちゃ有用な情報、ありがとうございます。m(_ _)m
運良く安値で買えましたがメーカー側が大変悪質な販売方法をとっていたようで残念です。
来月発売されるM27シリーズ2種にも期待していたのですが、KTC品は今回の件や品質管理、サポートも含めたメーカーの対応に非常に難があるので見送った方が良さそうですね。
中華SSDでギャンブルするのが好きな方にはオススメ出来るかも?