価格は3万円前後。144Hz駆動のモニターとしては「ほぼ最安値」…なのに高機能で良い感じ。
ハイスペックなゲーミングPCを手に入れたり、ヘッドセットやマウスを揃えだすと「ゲーミングモニターも欲しいかも。」って考え出すよね。というわけで、アマゾンで一番人気のゲーミングモニター「BenQ XL2411P」をレビューするよ。
(公開:2018/5/30 | 更新:2022/1/15)
後継モデル「XL2411K」に置き換わりました
「XL2411P」はついに販売終了で、2022年現在は「XL2411K」が後継モデルです。応答速度、ゲーミング機能どちらも強化され、今となってはXL2411Pを買う意味はほとんど無いです。
「BenQ XL2411P」って?
ディスプレイメーカーとして(個人的に)知名度が高いと思っているBenQが興したゲーミングブランド「ZOWIE」。そのゲーミングモニターシリーズである「ZOWIE XL」のエントリーモデル(ライトゲーマー向け)がXL2411Pです。
仕様(カタログスペック)
「ZOWIE XL2411P」のカタログスペック | |
---|---|
画面サイズ | 24.0 inch |
解像度 | 1920 x 1080 |
パネル | TN |
リフレッシュレート | 144 Hz |
応答速度 | 1 ms※最小値です |
表面加工 | ノングレア |
VESAマウント | 100 x 100 mm |
高さ調整 | 130 mm |
前後チルト | -5° ~ +20° |
左右スイベル | 左右45° |
ピボット | 右に90° |
主な搭載機能 | Black eQualizer |
Color Vibrance | |
BenQ EyeCareFlicker-free / Low Blue Lightを含む | |
寸法 | 570 x 429 x 219 |
重量 | 5.8 kg |
保証 | 3年※パネルは1年 |
参考価格 | 28800 円 |
エントリーモデルとは言うが、そのスペックは多くのゲーマーにとって満足の行く仕様に仕上がっています。画面サイズは24インチで、解像度は1920 x 1080。
最近は4Kゲーミングという言葉も聞くようになってきたが、FPS / TPSゲーマーにとってはまだまだ「フルHD」が主流です。
応答速度は最速で1ミリ秒(GtoG)。パネルの種類は「TN」で、高速で残像が少ない映像を安価に実現している。ゲーミングモニターで重要なリフレッシュレートは最大144 Hzまで対応。
そして単なる144 Hzだけでなく、ゲーマー向けの独自機能を2つ搭載しています。
- Black eQualizer
- Color Vibrance
「Black eQualizer」はいわゆる明度設定とは違い、暗いところだけを違和感なく明るくすることで、暗所の視認性を高める機能。「Color Vibrance」は表示されている色を、ハッキリと表示させる機能。赤はより赤に、青はより青に表示されるので、ReShadeのような感じになる。
まぁ…実際にこの2つの機能がどこまで役立つのか(=体感できるのか)については、後ほど検証していく。謳い文句だけで実際には大して役に立たない機能だったら…困るからね。
BenQ XL2411Pを実機レビュー
付属品と組み立て
付属品は必要最小限にまとまっています。
- モニター本体
- スタンド
- Display Portケーブル
- 電源ケーブル
- 説明書 / ドライバーCD
144Hzを実際に表示させるために必要なDisplay Portケーブルはちゃんと付属している。最近のグラボはHDMIよりDP端子の方が多いので、さほど問題にはならないですね。
付属のスタードガイドブックは図解がとても親切なので、XL2411Pの組み立てや使い方に困ることはまず無い。VESAスタンド(100mm x 100mm)を使う場合の方法も書かれているので、本当に親切なガイドだと思う。
組み立てはスタンドとモニター側の支柱をネジでつなぐだけ。ドライバーがあるとラクだけど、無くても回せるようにピンが取り付けてあります。極めてシンプルな組み立て手順ですね。
外観をチェック
XL2411Pは、フレーム部分も含めて筐体全体に使われている素材がとてもマットなのが特徴。ゲームに集中してもらうため、光を反射したり、何かが映り込まないようにするのが狙いらしいです。
背面はシンプルです。上の方に排熱用のスリットと、ZOWIEのロゴマークが。下の方には各種コネクタ類へアクセス出来るようになっています。
左側に電源コネクタ。XL2411Pは最大で45Wも消費するので、けっこうゴツい電源コネクタが取り付けられていますね。
右側に入力用コネクタが3つ。画像左から順番に「Display Port 1.2」「DVI-DL」「HDMI」です。必要十分なコネクタだし、大抵のグラボはこの3種類の出力端子を備えるので特に困ることはないだろう。
画面の左側に「ヘッドホンジャック」(3.5mmプラグ)がある。自分はマザーボードの端子に直結したり、USB DACを経由したりするので出番が無かったが、役に立つ人はいるかもしれない。
コントロールボタンは5つ。ここからOSDを操作して、Black eQulizerやColor Vibranceの調整やプロファイルの作成(最大3個)などが出来る。
エルゴノミクス
- チルト(-5°~20°)
- スイベル(左右45°)
- 昇降(130mm)
- ピボット(右90°)
XL2411Pのエルゴノミクスは4種類。モニターの機能として非常に多い方かと。
昇降はモニターの支柱の後ろにあるボタンを押しながら引き上げることで、最大130mmの高さまで昇降する。
こんな感じ。結構スムーズに昇降してくれる。
130mmまで昇降すれば、ピボット機能も使える。右方向へ最大90°まで。ただし、傾けてもWindows内の画面は勝手に傾かないので、先にディスプレイ設定から縦方向を指定しておく必要はある。
チルトは下方向へ5°、上に20°傾き可能。昇降と組み合わせることでかなり柔軟な設定が出来るので、エルゴノミクスはかなり優秀だと思います。
144Hz駆動と残像(ボヤけ)
XL2411Pのリフレッシュレートは「ネイティブ144Hz」。1秒間に最大144枚のフレームを出力可能なので、CSGOやRinbow Six Siegeなど、割りとカンタンに3桁フレームレートが出てしまうゲームでその性能をフルに発揮しやすい。
もちろん、人気のPUBGでも十分なマシンスペックがあれば(またはグラフィック品質を妥協すれば)100fps以上は意外と出てくれるので、144Hzを活用するのはそこまで難しくない。
次にボケ(残像)をチェックしたけれど、XL2411Pの応答速度はかなり速いかも。多少ボケているけれど、割りとUFOはクッキリと見えている方なので実用上はほとんど問題ないレベル。実際ゲームプレイ中だと、めちゃくちゃクッキリ動いているように見えるからね。
ちなみに応答速度が14ミリ秒のモニター(IPSパネル)だと、UFOの姿はここまで伸びてしまいます。パッと見でXL2411Pの5倍くらいは残像が伸びているように見えますね…。
暗所を見やすくする「Black eQualizer」
BenQ XL2411Pの目玉機能の一つ「Black eQualizer」の効果をチェック。
最大値の20レベルにすると、草むらに落ちた影や窓から見える室内がよく見えるようになっていることが分かる。にも関わらず、画面全体が真っ白に明るくなっていない。暗いところをだけを上手いこと明るく出来ていると感じますね。
10レベルに落とすと、全体的に色味が鮮やかになって暗いところはかなり暗くなった。PUBGのように屋外で十分に日照があるゲームだと、10レベルでも十分かなぁ。
逆にR6Sのファベーラ(夜間)みたいな暗いマップなら、Black eQualizerを上げても良いかも(上記画像のBlack eQualizerは5レベルなので、影になる部分が非常に暗く表示されていると思う)。
ちなみに、Black eQualizerを抜くとこのような画面になります。20段階と比較すると、影の暗さの差は歴然。普通のモニターで出来る明度設定だと、全体がつられて明るくなるが、この機能はそこまでつられずに暗所を明るく出来ることがよく分かった。
確かに、BenQの謳い文句どおりの機能に仕上がっているみたいだ。
色を見やすくする「Color Vibrance」
もう一つの目玉機能が「Color Vibrance」。「色の鮮明さ」と訳されている機能で、普通のモニターで出来るコントラストや色温度といった設定とは違い、それぞれの色を更に濃くするような機能になっているのが特徴。
試しに色の鮮明さを20レベルにすると、その差が一発で分かるかと。オレンジ色は更にオレンジ色として強調されているし、草むらの色も際立って、地面が見えやすくなったように感じる。あと、一番奥の建物の人物の落書きにも注目。
Color Vibrance:10レベル(初期設定)と比較してColor Vibrance:20レベルの方が、オレンジ色の壁面と人物の黒い落書きがそれぞれ強調されることで、落書きが壁面から目立っています。これはReShadeの「HDR」「Technicolor2」と似た効果を得られているように感じる。
ちなみにこれがReShade適用時の画像。さすがに「Adptive Sharpen」のように輪郭線をクッキリと表示する機能は無いが、色合いはとても似ているように見えます。Color Vibranceは単なる色温度設定などとは一線を画する機能なのは、おおむね間違いないかも。
まとめ:ゲーミングモニターの真の入門機
144Hz駆動は本当に驚くほど滑らかな映像になるので、一般的な60Hzモニターに慣れていればいるほど、使った時の衝撃度が大きい。144 Hzを有効化した瞬間に「マウスカーソルがものすごくハッキリと見える。」という具合で、体感可能です。
そして嬉しいのが、XL2411Pはやっぱり単に144 Hzだけが魅力ではないこと。ゲーマーにとって有用性のある2つの機能「Black eQualizer」と「Color Vibrance」によって、明らかに他社の競合144 Hzモニターと差別化を図っています。
3万円前後でもっとも魅力的
価格的にライバルになるのは「Acer KG251Q」です。同じ144 Hzモニターで、値段はほとんど同じ。しかしKG251Qにはエルゴノミクスが不足しているし、ゲーマー向け機能も特にない。
モニター | BenQ XL2411P | Acer KG251Q |
---|---|---|
デザイン | ||
画面サイズ | 24 inch | 24.5 inch |
解像度 | 1920 x 1080 | 1920 x 1080 |
リフレッシュレート | 144 Hz | 144 Hz |
エルゴノミクス | チルト(-5°~20°) | チルト(-5°~15°) |
スイベル(左右45°) | – | |
昇降(130mm) | ||
ピボット(右90°) | ||
VESA規格 | 100mm x 100mm | 100mm x 100mm |
機能 | Black eQualizer | AMD FreeSync |
Color Vibrance | Blue Light Filter | |
EyeCare(以下2つを含む) | Flicker-free | |
1 – Blue Light Filter | – | |
2 – Flicker Free | ||
参考価格 | 28800 円 | 約29800円 |
※価格は2019/1時点のAmazon販売価格です。
よって3万円前後だとBenQ XL2411Pは非常に強力なゲーミングモニターで、あえて他のゲーミングモニターを買う必要性がほとんどない状況です。
ゲーミングモニターを買ってみようかな。と考え始めたら誰でもこういう風に考えると思いますが、XL2411Pはもっとも失敗しにくいゲーミングモニターです。コスパ良好で、これだけの多機能 & 高性能。文句ないです。
KG251Qには、ゲーマー向けの独自機能が無い代わりに「AMD FreeSync」に対応している。これはフレームレートとリフレッシュレートを動的に同期させる機能で、映像のテアリングをかなりの確率で防ぐ効果がある。
ただ、基本的にFreeSyncはAMDのグラフィックボード(例:Radeon RX 580など)を使っていないと有効化できないので、NVIDIAのグラボを使っているユーザーは恩恵を受けられません。
それ以前に、144 Hzによるヌルヌルさが半端なくて多少のテアリングはあんまり気にならないというのもある※。よってFreeSyncは、XL2411Pが持つアドバンテージを覆すほどの要素では無いですね。
※個人差はあるが、リフレッシュレートが高い状態だとそれほど気になりません。
- 3万円前後では最高のゲーミングモニター
- 暗いところが見えやすい「Black eQualizer」
- 色が強調されて見えやすい「Color Vibrance」
- 昇降・上下・左右角度・ピボット、全部盛りのエルゴノミクス
- 扱い勝手の良いOSD
- 最大3個まで保存できるプロファイル設定
- FreeSyncなどの適応垂直同期に対応しない
- ベゼル幅が太いのでマルチディスプレイとの相性は悪い
まとめると「BenQ XL2411P」は、初めてゲーミングモニターを買おうと思っている入門者にオススメできる、「真のゲーミングモニター入門機」です。
以上「BenQ XL2411Pを実機レビュー:コスパ最高の入門機かも。」でした。
後継モデル「Zowie XL2411K」が登場
「XL2411P」は販売が終わり、2022年現在は「XL2411K」が後継モデルです。応答速度、ゲーミング機能どちらも強化され、今となってはXL2411Pを買う意味はほとんど無いです。
他にもある「144 Hz」でおすすめなゲーミングモニター
おすすめなゲーミングモニター【まとめ解説】
あれ?
【G-tune】ダブル水冷のMASTERPIECEを実機レビュー
の記事消えました?
その記事、誤植と画像に誤りがあったので修正中…。今週中には再Upする予定です。
ViewSonicのXG2401は、どうなんでしょうか?
あ~…、Amazonで売ってないと思ったらドスパラで売ってたんですね。海外レビューを見た感じでは、300ドル以下の144Hzモニターとして優秀なモニターだそうです。
今のところBenQで満足してるので、気が向いたらXG2401もレビューしたいですね。
成る程。使って見たいと思います。
144Hz・フルHDのディスプレイ。
3万円という価格設定に疑問を抱いてしまいます。
僕にとっては、3万円が適切な価格だとは思えません。
QNIXという韓国のディスプレイメーカーが、144Hz・フルHDで、LGなどのメーカーから出た選別落ちの製品を流用したものを、2万円ほどで売っていますが、ドット抜けが1~3ドットほど起きやすいという状況です。
144Hz・フルHDの一般モデルが15000円ほどで買える日は来るのでしょうか・・・?
ディスプレイを製造するときに、144Hz対応にするのに、多大な費用でも掛かるのでしょうか?
そうじゃないと、3万円以上で売られるはずはありません。
144Hzディスプレイを買う客が少ないからぼったっくっているのでしょうか?
それと、上で挙げられた「XG2401」、HDMIとDisplayPortだけの対応ですが(特にHDMIは120Hzまで)、25000円くらいですね。
15000円はまだ厳しいと思いますが、2万円クラスなら既に存在します。
・Acer GN246HL Bbid(194.6ドル)
・BenQ ZOWIE XL2411P(229.7ドル)
為替を考慮すると、この2つが2万円台で購入可能です。問題は日本Amazonではまだ売っていないということ(米国からの送料は約4000円)。GN246HLが日本に上陸したら状況が変わりそうですが、米国Amazonでの販売から既に4年も経過しているためあまり期待できそうにないですね…。
追記:「AOC G2460PF」も、192.2ドルで安いです。しかし、これも国内代理店が無いので並行輸入品ばかり。しかもボッタクリ価格。
こちらのXL2411pのスタンド無し寸法はどのぐらいでしょうか?
こんにちは。レビューから一年ほど経ちますが、その後はいかがでしょうか?「二ヶ月端から光が漏れる」「二週間で液晶の真ん中に白い線が入った」「安物買いの銭失いだった」という、耐久性の無さを示すレビューを見かけます。画像付きで。
サポートもおざなりで、保証期間内であろうが送料は自己負担だそうで・・・メーカーが天狗になっているのか、値落ちも全くといっていいほどしていませんし、購入を考えていたのですが不安になってきました。管理人様の個体は今も問題なく使える状態なのでしょうか?
この一年で、他社から同じような立ち位置のモニターが出たとは思うのですが、今もコレがベストな選択だと思われますか?
このモニターだけ、なんでキャリブレーションしてないんですか?とても気になります
[…] 「BenQ XL2411P」を実機レビュー:コスパ最高の入門機かも。 更新日2018.05.30 […]
この記事から一年半後に買いました。
税込25000円切りました。
初期設定が多少面倒でしたが満足してます。