ゲーミングモニターを専用の機材で測定レビューする「ちもろぐ」的に、おすすめなゲーミングモニターを7個に絞って解説します(2021年版)。測定した性能結果と、他の製品との価格比(コスパ)で勝っているモニターを厳選しました。
(公開:2019/02/22 | 更新:2021/12/28)
- 1. MOBIUZ EX2510S(フルHD / 165 Hz)
- 2. Zowie XL2411K(フルHD / 144 Hz)
- 3. DELL S2721DGF(WQHD / 165 Hz)
- 4. MOBIUZ EX2710R(WQHD / 165 Hz)
- 5. Zowie XL2546K(FHD / 240 Hz)
- 6. HP U28 4K HDR(4K / 60 Hz)
- 7. LG CX OLED 48″(4K / 120 Hz)
- ゲーミングモニターあるあるQ&A
どんなゲーミングモニターをおすすめする?
ゲーミングモニターを解説する記事はテンプレ化されています。基本知識や選び方から始まり、残りはメーカーのスペック表にもとづいた、おすすめらしいゲーミングモニターがたくさん並んで終わりです。
ちもろぐの筆者やかもち(@Yacamochi_db)は・・・そのようなテンプレ的な記事に飽きてしまったので、あえて変わったテイストのおすすめゲーミングモニター記事を書いてみようと思い立ちました。
では、ちもろぐではどんなゲーミングモニターをおすすめに挙げるのか?
- 応答速度は他と比較して速い?
- 応答速度を実測して比較します
- 入力遅延に問題ない?
- 入力遅延も測定して比較します
- 色は美しい?規格にあってる?
- ある程度合っているか測定します
- ゲーマーにうれしい機能性は十分?
- 暗所補正、鮮やか補正、残像低減を検証
- 価格は安いの?
- 他製品と比較してコスパが良いかを確かめます
評価するポイントは以上のとおりです。
基本性能をオシロスコープ、光学センサー、遅延テスター、測色計などを使って実際に測定しています。特に重視するポイントは「応答速度」「入力遅延」「価格」の3つで、「色の正確さ」「ゲーマー向け機能」は用途によって評価が違います。
FPSゲーマーには色の精度より機能性を重視するし、オフゲーやMMORPGがメインなら機能性よりも色の美しさや正確さを重視するだけです。もちろん、両者のニーズを満たせる万能型ならベストですが、残念ながら万能型モニターはものすごく珍しいです。
見つかったらなるべく本記事で紹介するつもりですが、2021年時点、買いやすい値段で万能型なゲーミングモニターは「MOBIUZ EX2510S」1台に限られます。
では以下より、ちもろぐでレビューしてきたゲーミングモニターの中で特におすすめな「7選」を紹介します(2021年版)。
【2021年版】おすすめなゲーミングモニター:7選
1. MOBIUZ EX2510S
迷ったらコレ級のゲーミングモニター
サイズ | パネル | リフレッシュ レート | 応答速度 | 評価 |
---|---|---|---|---|
24.5インチ フルHD(1920 x 1080) | AU Optronics IPS | 165 Hz | 3.9 ミリ秒 |
- 24.5インチのフルHDでちょうど良い
- 最大165 Hz(PS5で120 Hz)まで対応
- 高画質なIPSパネルなのに応答速度が速い(3ミリ秒台)
- 4つの使えるゲーマー向け機能
- 内蔵スピーカーの音質が平均以上
- 3万円台でトップクラスのコスパ
- 「ブレ削減」機能はDyAcほどではない
- 色は正確じゃない(鮮やかで万人向け)
- HDRは普通(HDR 400相当の性能)
MOBIUZ EX2510Sは約3.1~3.4万円で買えるゲーミングモニターです。
3万円台のゲーミングモニターは各メーカーがしのぎを削る激戦区ですが、EX2510Sは過酷な競争の中でトップクラスにコスパが高い、万人向けのゲーミングモニターです。
まずなんと言っても、モニターの基本性能がハイレベル。台湾AU Optronics社のIPSパネルを採用し、万人ウケする美しい画質を表示しつつ、実測で3ミリ秒台のかなり速い応答速度を両立します。
加えて、BenQが得意とする強力なゲーマー向け機能を惜しみなく4つも搭載。暗所を明るく補正する「Black eQualizer」「Light Tuner」、鮮やかさを調整して敵プレイヤーを見やすくする「Color Vibrance」、残像をクリアにする「ブレ軽減」の4つです。
他社も似たような機能に対応していますが、ゲーマー向け機能の始祖であるBenQのゲーマー向け機能が一番それらしく機能します。
ただし、「ブレ軽減」はやや注意が必要。BenQの残像低減といえば「DyAc」が有名ですが、ブレ軽減はDyAcほど強力な機能ではありません。画面の明るさは下がるし、残像を軽減する効果自体もDyAcに劣っています※。
※あくまでもDyAcと比較して劣っているレベルで、ASUSのELMB SyncやPixioのMPRTよりは効果が大きいです。
3万円台の割には基本性能から機能性まで幅広くハイレベルにまとまった、完成度の高い165 Hzゲーミングモニターです。
ゲーミングモニターが多すぎて選べない・・・、なら一番いいやつを買おう。と言っても予算に限度はあるので、迷ったら「MOBIUZ EX2510S」を第1候補に検討してみてください。
2. Zowie XL2411K
FPSゲーム特化型ゲーミングモニター
サイズ | パネル | リフレッシュ レート | 応答速度 | 評価 |
---|---|---|---|---|
24.5インチ フルHD(1920 x 1080) | AU Optronics TN | 144 Hz | 1.7 ミリ秒 |
- 24.5インチのフルHDでちょうど良い
- 最大144 Hz(PS5で120 Hz)まで対応
- 応答速度がめちゃくちゃ速い(1.7ミリ秒)
- 3つの使えるゲーマー向け機能
- 残像低減機能「DyAc」に対応
- FPSゲーマーにベストなモニター
- TNパネルだから色は万人ウケしない
- 色はまったく正確じゃない
- DyAcを使うと画面が少し暗い
競技性が求められるFPSゲーム(例:Apex Legends、フォートナイト、PUBGやシージなど)で重要なスペックは?
第1に「応答速度」、次に「ゲーマー向け機能」の2つです。色の正確さを気にする必要はありません。敵プレイヤーを少しでも発見しやすいように、画面の鮮やかさや明るさを自分好みに調整するでしょう。
キャリブレーションツール(測色計)を使わずに、人間の目で自分好みに調整すると基本的に色は合いません。だからFPSゲーム向けのモニターで色があっているかどうかは、問題外です。
「Zowie XL2411K」は約3万円で買えるFPS特化型ゲーミングモニターで、もっともオススメできます。似たような製品に「VG258QR」がありますが、応答速度とゲーマー向け機能どちらもXL2411Kが格上です。
効果の強い暗所補正「Black eQualizer」、鮮やかさを調整する「Color Vibrance」、残像感をクリアに減らす「DyAc(Dynamic Accuracy)」に対応。応答速度は実測1.73 ミリ秒(120 Hz)、ちなみにVG258QRは2.59 ミリ秒(120 Hz)です。
3. DELL S2721DGF
高画質で高速応答なWQHDゲーミングモニター
サイズ | パネル | リフレッシュ レート | 応答速度 | 評価 |
---|---|---|---|---|
27インチ WQHD(2560 x 1440) | LG Display Nano IPS | 165 Hz | 3.4 ミリ秒 |
- 27インチのWQHDでほどよい高解像度
- 最大165 Hz(PS5で120 Hz)まで対応
- 応答速度がとても速い(3.4ミリ秒)
- とても高画質(広色域で鮮やかな色合い)
- 性能の割にコストパフォーマンス高い
- 3年間の無輝点保証
- ゲーマー向け機能は少なめ
- PS5の4Kダウンスケール非対応
- 色の正確さは普通(ΔE > 3.0)
今回の記事はどちらかといえばPCゲーマー向けに選んでいるので、WQHD(2560 x 1440)部門のおすすめゲーミングモニターは「DELL S2721DGF」をチョイスしました。
S2721DGFはシンプルに高画質で速いゲーミングモニターです。IPSパネルだとTNパネルと比較して応答速度が遅い傾向がありますが、S2721DGFで採用されている「Nano IPS」なら実測で3.4ミリ秒とかなり速いです。
さらに、速いだけでなく画質も優秀。表示できる色はとても広い(DCI P3で実測94%)し、万人ウケする鮮やかな色合い、HDR映像もそこそこ表示できる明るい画面(ピーク時に460 cd/m2)を備えます。
4万円台のWQHDゲーミングモニターの中では特に性能が高いです。
一方で機能性はやや少なめ。「暗さスタビライザー」機能はBenQのBlack eQualizerに劣ります。鮮やかさを調整する機能や、残像低減機能も対応していません。性能に特化した代わりに、機能性をコストカットしたモニターです。
4. MOBIUZ EX2710R
VAパネルなのに速いWQHDゲーミングモニター
サイズ | パネル | リフレッシュ レート | 応答速度 | 評価 |
---|---|---|---|---|
27インチ WQHD(2560 x 1440) | AU Optronics VA | 165 Hz | 3.2 ミリ秒 |
- 27インチのWQHDでほどよい高解像度
- 最大165 Hz(PS5で120 Hz)まで対応
- 応答速度がとても速い(3.2ミリ秒)
- とても高画質(広色域で鮮やかな色合い)
- コントラスト比が高い(4000超え)
- 4つの使えるゲーマー向け機能
- 2.2 ch内蔵スピーカーが高音質
- 「ブレ軽減」はDyAcほど効かない
- 色は正確じゃない(鮮やかで万人向け)
- 湾曲型だから用途をやや選びます
EX2710Rは、AU Optronics社の最新世代VAパネルを採用。VAパネルのメリットは締まった黒色による高いコントラスト比です。一般的に3000を超え、EX2710Rだと実測値で4000を超えます。
一方、VAパネルの弱点として応答速度の遅さが挙げられますが、EX2710Rでは最新世代のVAパネルを採用して応答速度の遅さを克服します。実測値はなんと3.15 ミリ秒で、3年前のEX3200Rから軽く3倍以上も高速化しています。
3番目に紹介した「DELL S2721DGF(Nano IPSパネル)」が記録した3.4 ミリ秒よりも速いです。台湾AU Optronis社が製造するパネルは年々高速化が進んでおり、ついにVAパネルで3ミリ秒台に到達するに至ります。
画質もかなり優秀。表示できる色はとても広いし(DCI P3は実測88%)、パネルが湾曲しているおかげで色ムラや視野角はあまり気にならないです。色の正確さは若干ズレあり(ΔE < 4.0)ですが、万人ウケする鮮やか系の色作りでゲーム目的なら大丈夫。
ゲーマー向け機能はBenQらしく強力です。暗所補正の「Black eQualizer」「Light Tuner」、鮮やか補正の「Color Vibrance」、残像を低減する「ブレ軽減」も対応します。
ゲーム機対応もOK。PS5の4Kダウンスケール表示に対応し、最大120 Hzのリフレッシュレート表示も対応済み。サブウーファー付きの2.1 ch内蔵スピーカーも4000~5000円クラスのUSBスピーカー並の高音質です。
全体的にかなり万能タイプなモニターですが、パネルが湾曲(曲率1000Rでゆるめ)しているのでコンテンツを選びます。
湾曲しているとレーシングゲームやFPSゲームなど、画面の動きが速いゲームで没入感を得やすいメリットがあります。逆に、イラスト制作など画面が曲がっていると困る用途との相性は悪いので注意が必要です。
5. Zowie XL2546K
ガチゲーマーに送る最速のゲーミングモニター
サイズ | パネル | リフレッシュ レート | 応答速度 | 評価 |
---|---|---|---|---|
24.5インチ フルHD(1920 x 1080) | AU Optronics TN | 240 Hz | 1.3 ミリ秒 |
- 24.5インチのフルHDでちょうど良い
- 最大240 Hzまで対応
- 応答速度は最速クラス(1.3ミリ秒)
- 3つの使えるゲーマー向け機能
- 残像低減機能「DyAc+」に対応
- アイシールドとコントローラーが付属
- FPSでガチで勝つならベスト
- TNパネルだから色は万人ウケしない
- 色はまったく正確じゃない
FPSゲームをガチでやってるゲーマーにおすすめなモニターが「Zowie XL2546K」です。
競技性の求められるゲームで重要な性能は応答速度と機能性の2つです。XL2546Kの応答速度は実測で1.29 ミリ秒と、有機ELテレビ(OLEDパネル)に迫る速さを実現します。
1ミリ秒台の超高速応答を240 Hzのリフレッシュレートで動作させ、体感できるほどクッキリとした残像感のない映像を可能にします。280 ~ 360 HzのIPSパネルモニターと比較しても、体感できる性能はXL2546Kが格上です。
しかも、XL2546KはBenQ独自のゲーマー向け機能を3つ搭載。暗所補正の「Black eQualizer」、鮮やか補正の「Color Vibrance」に加えて、残像を低減する「DyAc+(Dynamic Accuracy Plus)」を搭載します。
「DyAc+」は残像低減の効果をより強力に改善したうえで、画面の明るさが落ちないように画面のピーク輝度を飛躍的に高めた技術です。
こちらが普通の「DyAc」を使った写真。見ての通り、効果を強くするほど画面が暗くなりますが、上位機能の「DyAc+」では画面の明るさはそのまま維持されます。
ちなみに、DyAc+に匹敵するほど強力な残像低減と画面の明るさ保持を両立した機能は、筆者が実際に見た限りでは「DyAc+」のみ。他社でXL2546Kに匹敵する超速性能と機能性を持った製品はたぶん無いです。
6. HP U28 4K HDR
コスパに優れた色の美しい4Kモニター
サイズ | パネル | リフレッシュ レート | 応答速度 | 評価 |
---|---|---|---|---|
28インチ 4K(3840 x 2160) | Innolux IPS | 60 Hz | 8.8 ミリ秒 |
- 28インチの4Kで超高精細
- とても美しいかつ正確な色
- 表示できる色が広い
- 応答速度は十分(8.8ミリ秒)
- HDR映像がそこそこキレイ
- コスパに優れた4Kモニター
- リフレッシュレートは60 Hz
- ゲーマー向け機能はほぼなし
- FPSをガチるなら向かない
原神、Cyberpunk 2077、FF7リメイク、FF14、エルデンリング、Horizon Forbidden Westなど。映像美が重要なオフラインゲーやMMORPG向けにおすすめのモニターが「HP U28 4K HDR」です。
約4.3万円と、かなり安い4Kモニターですが表示できる色が美しいです。キャリブレーション不要なほど最初から色が合っているし、色域も広くて(DCP P3で実測85%)、用途に合わせて使えるカラープリセット(全部で8個)も備えます。
応答速度は実測で約8.8 ミリ秒、オーバードライブを使用すると約7.0 ミリ秒、最速で4.3 ミリ秒まで短縮できます(※最速設定はにじみが出るので実用上は7.0 ミリ秒が限度)。
基本的に4Kモニターの応答速度は一部の超ハイエンド品を除き、遅いです。8万円するEW3280Uも平均8ミリ秒台ですし、13万円もするPG32UQも実は平均8ミリ秒前後だったり・・・意外と遅いです。
しかも、リフレッシュレートが60 Hzだと応答速度を速くしても実際に見える映像は思ったほどキリッとしません。だから体感できる性能を考えると、約4.3万円で買えるHP U28 4K HDRは非常にコストパフォーマンスが高いです。
暗所補正や残像低減などに代表されるゲーマー向け機能に対応しないので、FPSゲーマーとの相性はイマイチ。オフゲーやMMORPGを中心にプレイする、画質を重視するゲーマーにおすすめのモニターです。
- HP U28 4K HDR(通常モデル / 46200円)
- HP U28 4K HDR(価格.com限定モデル / 42800円)
7. LG CX OLED 48″
4K120 Hz対応で最強コスパのゲーミングモニター
サイズ | パネル | リフレッシュ レート | 応答速度 | 評価 |
---|---|---|---|---|
48インチ 4K(3840 x 2160) | LG Display OLED | 120 Hz | 0.3 ミリ秒 |
- 48インチの4Kで没入感すごい
- 最大120 Hz(PS5で120 Hz)まで対応
- 応答速度が速すぎる(0.3 ミリ秒)
- とても高画質(広色域で鮮やかな色合い)
- そこそこ美しいHDR表示性能
- 2.2 ch内蔵スピーカーの音質がいい
- コストパフォーマンスが非常に高い
- 一人だと設置が大変かも・・・
- ゲーマー向け機能は少なめ
- 焼き付きリスクあり(有機ELなので)
- 自動輝度制限あり
4K 120 Hz対応のゲーミングモニターが着々と増えています、が・・・残念ながら性能とコスパで選ぶと2020年に発売された「LG CX OLED(48インチ)」が今もなお、頭1つ抜けて優秀なモニターです。
LG CX OLEDはVAでもIPSでもなく、LG Display社が製造するOLED(有機EL)パネルを採用します。応答速度は実測0.3 ミリ秒、色もとても正確(ΔE < 2.0)、色域も広い(DCI P3で92%)、黒色は無点灯なのでコントラスト比が無限大などなど。
基本性能は4K 120 Hzモニターとして最強クラスに君臨してます。ハッキリ言います、最近出てきた10万円前後の4K 120 Hz対応のゲーミングモニターでは、太刀打ちできない性能特性の持ち主です。
同じ性能を期待できるモニターは「AORUS FO48U」ぐらいですが、価格は約19万円もかかります。LG CX OLED(48インチ)なら11.5万円、安いときは10万円で購入できるのでコストパフォーマンスは圧倒的にLGが有利です。
なお、LG CX OLEDは一応テレビです。テレビだとゲーマーを意識していないのでは、と心配になりますがLGはきっちり対応済みです。可変リフレッシュレート機能はゲーム機で使える※HDMI 2.1 VRRに加え、PCで定番のFreeSync PremiumとG-SYNC互換モードに対応。
※2021年12月時点:HDMI 2.1 VRRに対応するゲーム機はXbox Series Xのみ。PlayStation 5は未だに対応しません。Sonyさん、がんばってください。
テレビで問題になりがちな入力遅延も「ゲームモード」の実装で対策済み。ゲームモードを有効化すると、フレーム倍速機能がカットされるかわりに入力遅延が9ミリ秒台(60 Hz時)にまで短縮されます。普通のゲーミングモニターとほとんど変わらない入力遅延です。
ただし、BenQ製品に見られる強力なゲーマー向け機能はありません。上位モデルの「LG OLED G1」だと暗所補正などが実装されるようですが、価格が跳ね上がるので現実的ではないです。
3番目に紹介した「DELL S2721DGF」と同じく、LG CX OLEDも基本性能に特化した製品で、ゲーマー向け機能はコストカットされています。
HDR性能は基本的にDisplay HDR 400相当です。有機ELパネルの性質上、液晶パネルと比較して画面全体がピカッと明るいシーンでピーク輝度を上げづらい弱点がありますが、平均的にHDR 400相当の性能があります。
ゲーミングモニターのよくあるQ&A
パネルはTN / IPS / VA / OLEDのどれがいい?
あえてひとつ挙げるなら「IPS」パネルが良いです。それぞれのパネルの特徴を以下にまとめます。
パネルの種類 | メリット | デメリット | 相性の良い用途 |
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TNパネル |
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VAパネル |
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IPSパネル |
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OLED |
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IPSパネルは低価格で色が美しく、応答速度も技術の進歩で少しずつ高速化しています。Display HDR 400以上を取得した製品では画面の明るさ、表示できる色の広さもかなり良好で、万人向けの特性を持つパネルです。
TNパネルは視野角が狭い影響で、発色が全体的に白っぽくなりやすく、万人にはウケないパネルです。一方で、IPSパネルより遙かに速い応答速度から生み出される、残像感の少ないキレのある映像は、競技ゲーマーから支持されています。
VAパネルは、バックライトの光漏れをきちんと抑えて、深い黒色を出せるようにしたパネルです。高いコントラスト比が大きなメリットで、おもに映画やアニメの視聴と相性が良いです。
フルアレイローカル調光(FALD)や量子ドット(QLED)と組み合わせ、飛躍的にコントラスト比とピーク輝度を高めた製品も多く見られ、HDR性能を重視するとVAパネルに行き着くと思います。
そして最後に有機EL(OLED)パネルについて。OLEDはパネル本体が発光します。バックライトが不要になったので、TNパネルですら勝てない応答速度を実現し、ローカル調光を使わずに完璧な黒色を出力可能です。
ただしOLEDは既存のパネルを置き換える、最高のパネルではありません。仕組み上どうしても避けられない「焼付きリスク」と、パネルを保護するABLによって「全白シーンの輝度低下」がOLEDの大きなデメリット。
UIが固定表示されるゲームやWindowsとの相性は悪いです。HDRコンテンツを最高のクオリティで表示させたい、コアなコンテンツユーザーにとって、輝度低下があるOLEDは選択肢から外れるでしょう。
パネルの種類 | メリット | デメリット | 相性の良い用途 |
---|---|---|---|
Mini LED |
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OLED |
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「Mini LED(ミニLED)」は総合性能でOLEDパネルより高性能ですが、ゲーミングモニター向けではないです。普通のTNやIPSパネルと比較して応答速度が遅いですし、リフレッシュレートは最大120 Hzにとどまっています。
最高の映像体験、特にHDR性能を求めるコンテンツユーザーにとって、Mini LEDは現実的な値段で買える最良の選択肢です。でもゲーム目的だとミスマッチな性能が多く、普通のTNやIPSパネルで十分にニーズを満たせます。
低価格化、144 Hz以上の高リフレッシュレート化、そしてTNパネル並に速い1 ミリ秒台の応答速度。この3つを実現できたとき、Mini LEDをゲーミングモニターおすすめに掲載できると思います。
応答速度のメーカー公称値ってウソなの?
ゲーミングモニターのスペックでよくアピールされている「応答速度」ですが、残念ながらメーカー公称値はあまり信用しすぎない方が良いです。
パネルの製造メーカーから提供されたスペックをそのまま掲載しているか、特定の条件でしか測定できないベストな数値を掲載しているに過ぎません。
そもそも一般ユーザーが実際の応答速度を正確に確かめる方法は存在しないので、悪く言えばメーカーの「言ったもん勝ち」です。
読む:ゲーミングモニターの応答速度を客観的に計測する方法(ちもろぐ式)
ちもろぐが過去のレビューで行った測定では、ほとんどのゲーミングモニターが速くて2 ミリ秒前後、遅くて6~21 ミリ秒に収まります。有機ELテレビだと0.2 ミリ秒、最速のTNパネルでようやく1 ミリ秒台です。
つまり、極端な数字(例:0.2 ミリ秒や0.5 ミリ秒)をメーカー公称値としてスペック表に掲載しているゲーミングモニターの大部分は、信用できません。
専用の測定機材を使わず、人間の目を使って応答速度を確かめる方法があるので紹介します。
Web上でチェックできるUFO Testの「Ghosting」テストを表示します。左から右へと一定周期で流れるUFOを、目で追ってください。すると応答速度が遅いモニターほど、UFOが残像でびよ~んと伸びて見えるはずです。
デジカメでUFOを追尾撮影(スライダーショット)すると、応答速度違いをハッキリと撮影できます。
なお、同じ応答速度でも、
- IPSパネルの方が残像は伸びて見えやすい
- VAパネルはもっと伸びて見えやすい
- リフレッシュレートが高いほど残像は短くなる
上記のような特徴があります。
というわけで、比較写真のとおり応答速度が「1 ミリ秒台」ならUFOの残像はほとんど見えません。よって、残像が伸びて見えるなら少なくとも1 ミリ秒ではない・・・と判断ができます。
入力ラグはどれくらいが良いの?
16 ミリ秒以下なら問題ありません。↑の写真では8.6 ミリ秒なので、問題ないです。
16 ミリ秒をオーバーして、24 ミリ秒くらいになると、ゲームに慣れている人なら体感できます。32 ミリ秒を超えればほとんどの人が「画面の反応が遅いような?」と気づきます。
本記事で紹介した7つのゲーミングモニターは、すべて入力遅延が16 ミリ秒以下(9 ミリ秒前後)です。どれを選んでも、体感できるほどの入力遅延はないので安心して選んでください。
144 Hzや240 Hzは高性能なゲーミングPCが必要なの?
いくらモニター側のリフレッシュレートが高速でも、パソコン側が出せるフレームレート(fps)が不足すると、せっかくの高リフレッシュレートを活かせません。
たとえばApex Legendsの場合、フルHDで240 fps以上を出せるグラボは「RTX 3080」です。設定を「低」に落としても、少なくとも「RTX 2070 Super」以上はほしいところ。
安定して240 fps以上を出すためには、思っている以上にハイエンドなグラボが必要なので、PCスペックに自信がない場合はグラボのアップグレード。またはゲーミングPCの買い替えを検討してください。
参考になる記事を↓に置いておきます。
画面の大きさはどれくらいが良い?
画面の大きさ(インチ数)は、ゲーミングモニターを使う環境と、画面の解像度に合わせて選んでください。
画面サイズ | おすすめ解像度 | 使用環境 |
---|---|---|
21.5 インチ | フルHD | PCデスク |
24.5 インチ | ||
27.0 インチ | フルHD WQHD | |
31.5 インチ | WQHD 4K | |
43.0 インチ | 4K | PCデスク ソファー |
48.0 インチ | ||
55.0 インチ | ソファー |
フルHDの場合、画面サイズは21.5~24.5インチが適正な画面サイズです。WQHDは27~32インチの画面サイズがほどよい画素ピッチ感で、27インチが特に人気を集めています。
画素ピッチ表 | |||
---|---|---|---|
画面サイズ | フルHD (1920 x 1080) | WQHD (2560 x 1440) | 4K (3840 x 2160) |
21.5インチ | 102.5 ppi | 136.6 ppi | 204.9 ppi |
24インチ | 91.8 ppi | 122.4 ppi | 183.6 ppi |
24.5インチ | 89.9 ppi | 119.9 ppi | 179.8 ppi |
27インチ | 81.6 ppi | 108.8 ppi | 163.2 ppi |
28インチ | 78.7 ppi | 104.9 ppi | 157.4 ppi |
31.5インチ | 69.9 ppi | 93.2 ppi | 139.9 ppi |
42インチ | 52.5 ppi | 69.9 ppi | 104.9 ppi |
48インチ | 45.9 ppi | 61.2 ppi | 91.8 ppi |
55インチ | 40.1 ppi | 53.4 ppi | 80.1 ppi |
65インチ | 33.9 ppi | 45.2 ppi | 67.8 ppi |
4K解像度は少なくとも27インチから。27インチの4Kはドットの粗さを感じづらいため、画質を重視するゲーマー的にアリです。しかし、人によっては27インチに4Kは狭すぎると感じる場合があるので、31.5~48インチが無難なサイズ。
43~48インチだと視野に占める画面の割合が否応なく大きくなるため、湾曲型モニターを使わなくてもかんたんに「没入感」を得られるメリットがあります。ただし、画面の端っこが視野に収まりづらいので、奥行きのあるデスクが必要です。
43インチなら70 cm台、48インチを設置するなら75~80 cmの奥行きがほしいです。
ドットの粗さを意味する「画素ピッチ」は、かなり好みが出るスペックだと考えています。
スマホネイティブ(200 ppi超えが当たり前の)世代からすると、せいぜい100 ppi前後のPCモニターを「粗い」と感じやすい可能性が高いですし、逆にパソコンネイティブだと90~100 ppiがちょうど良いと感じやすいかも。
筆者の好みは90 ppi前後です。80 ppiだと粗さを感じるのでフルHDの27インチ、WQHDの40インチ台は許容できません。フルHDなら21.5~24.5インチ、WQHDは27インチ、4Kは42~48インチが理想的(= 筆者の好み)です。
4Kモニターをマルチタスク目的に導入しようと計画しているなら、フルHDの24インチとほぼ画素ピッチが等しくなる48インチが意外にもおすすめ。48インチの4Kモニターは、24インチのフルHDモニターを4枚並べた場合と同じ作業スペースを完全ベゼルレスで得られます。
HDMIとDisplay Portどちらが良い?
「HDMIだと240 Hzを選べない」または「Display Portだと144 Hzまでだった」など、設定から240 Hzを選べない原因としてよく挙げられるのが「ケーブルの種類」です。
結論から言うと、どちらが良いというより、使っているモニター側が対応しているかどうかを確認するべき。
240 Hz対応モニターなのに、HDMI端子だと最大144 Hzまで・・・Display Portのみ240 Hz対応といったトンチンカンなゲーミングモニターは確かに存在します。
なお、使用するケーブルは基本的に付属品で大丈夫ですが、心配な人はついでに購入しておくと良いでしょう。万が一、付属品が不良だった場合の保険として安い投資です。
モニター付属スピーカーの音質は良い?
BenQ MOBIUZシリーズで採用されている「treVolo」スピーカー(2.1 chシステム)や、LG CX OLEDなどハイエンドテレビに内蔵されているスピーカーなら、普通に高音質です。
音質に自信があるメーカーや製品は何かしら商品説明で音質についてアピールしている傾向が強いので、内蔵スピーカーの音質を気にする人は商品説明をよく読んでみてください。
筆者が今まで音質を測定して、実際に耳で聴いてきた経験上、まともな音質だと言える内蔵スピーカーはBenQの「treVolo」です。テレビを含めるなら、LGやSONYのハイエンドテレビに内蔵されている2.2 chスピーカーは本当に高音質で驚きます。
もちろん、あくまでも内蔵スピーカーとしては、という条件付きです。スピーカーやサウンドバーなど外付けスピーカーに1万円以上を払えるなら、外付けスピーカーの方がずっと音質が良いです。
PS5やXbox Series Xにおすすめなモニターは?
最新ゲーム機で使うなら、4Kダウンスケール機能、HDMI 2.1の有無、120 Hz対応を重視します。↑こちらの記事で解説しているので、参考にしてください。
【ASUS / BenQ / LGなど】おすすめなメーカーはある?
ゲーミングモニターの性質上、メーカーでざっくりと決めるのはおすすめしません。
使われているパネルの種類や製造元メーカー、実際のパフォーマンス(応答速度や機能性など)で選んだ方が失敗しづらいです。有名なメーカーだからといって、実際に良いモノかどうかは製品次第なんです。
それでもおすすめなメーカーを知りたい人には、多少は信頼できるメーカーとブランドをいくつか紹介します。
- ASUS(エイスース):TUF GamingやROG Swiftブランド
- Acer(エイサー):NitroやPredatorブランド
- BenQ(ベンキュー):Zowie XLやMOBIUZブランド
- LG:Nano IPS採用のUltraGearブランド
- DELL:3年間のドット抜け保証は高信頼
要するに、メーカーがお金をかけてマーケティングやブランディングに力を入れているブランドなら、ある程度の品質と信頼性が担保されています。
EIZOは製品の信頼性こそ高いです。10万円近い高価格なモデルはパネルの個体差が少ないように見えますし、パネルの色むらを自動制御する機能が興味深いです。保証はDELLを上回る「5年間のドット抜け保証」が付いています。
しかし、ゲーマー向けのモニターは値段の割にはスペックがイマイチな傾向が強く、2019年の「FORIS NOVA(OLED)」を最後にゲーマー向けの新製品が出ていません。少なくともゲーマー的に魅力的なEIZO製品は(今のところ)ないです。
ゲーミングモニターの測定(ベンチマーク)とは?
画面から出ている光をいろいろな測定機材を使って読み取り、データ化します。具体的に何を測定してデータ化するのか・・・↓
- 応答速度:別の灰色に変化するのにかかった時間
- 入力遅延:テスターから送った信号が画面に表示されるまでの時間
- 色の正確さ:基準となる標準規格(sRGBなど)とのズレ(色差、ΔE)
以上が代表的なベンチマーク内容です。
他にも、残像低減機能の効果(= ブラックフレーム挿入時間とピーク輝度の上昇)や、HDRモード時の色域(DCI P3)と全白輝度、黒と白を格子状に表示したときのコントラスト比(ANSI方式)などなど。
測定機材でゲーミングモニターの性能を数値化して、他のゲーミングモニターと比較できるようにします。性能をきちんと数値化しないと、他と比較してコスパが良いかどうかも分からないです。
何より、ゲーミングモニターのメーカー公称値は信頼性が低いです。特に応答速度の信頼性の低さは深刻で、多くのモニターはメーカー公称値どおりの応答速度を出せない現状です。
Acerのように平気で「0.3 ミリ秒」などと、液晶パネルで無理がある数値をスペックに記載するメーカーもあります。自分が何にお金を払っているのか、正確に把握するなら数値化されたデータが重要です。
写真の左から順番に、
- モニターの「色」を測定する:分光測色計「X-rite i1 Pro 2」
- 光ディテクターの測定結果をデジタル化:USBオシロスコープ「PicoScope 5242A」
- モニターの「応答速度」を測定する:光学センサー
- モニターの「入力遅延」を測定する:Input Lag Tester
を使っています。
以上「【実際に測定して】おすすめできるゲーミングモニター:7選」について、解説でした。
段々と360Hzモニターが増えつつある今だとわざわざ買って検証する必要はないと思いますがDELLのS2522HGもなかなか良いですよ。
24.5インチのFast IPS液晶(240Hz)でDELL公式だとクーポンやキャンペーンで3万円台前半で買えたりしますし。
ただ黒挿入機能(BenQでいうDyAc)が無いのでその辺でコストカットしてるのかなってマイナス点はあります。
MOBIUZ EX2510Sのところですが、サイズが24.5インチ
フルHD(2560 x 1440)となっています。
あと個人的なお願いなのですが、OMEN by HP 27i QHDをレビューしてほしいです。
学割を使うと3万円台で買えるので気になっています。
もし以前にレビューされているのであれば申し訳ないです。
23~24インチクラスでIPSのWQHDゲーミングモニターがあれば紹介して欲しいですね。
自分の環境だと27インチを置くスペースが無いので…
以前買った某I/◎データの23.8インチWQHDモニターが”75Hz”を堂々と謳っているのに、
メーカーの解像度別対応表にはどの解像度でも59.9Hz or 60Hzとしか書かれていなくて、
実際にも75Hzなんて全く出なかったという悲しい目に会いました。
ちなみに JAPAN NEXT 、あそこは論外ですね。
会社名にJAPANが入っているのに日本は一切関係なく、実態は正体の分からない中華系ですから。
S2721DGF買っちゃったけど、他候補だったGIGABYTEやMSIのモニターはちもろぐだとどういう評価になるのか見てみたいな
AOCのAG273QXP/11が気になってます。
nano-IPSで27インチWQHD、170Hz、
ヘッドホン掛けや有線コントローラ、フードカバー付きだったりと他にはあまりない特色がありまして
あと仕様覧に色差デルタEが2.0以下と公式スペックではあまり見ない項目も
値段は52000円辺りですが過去に何度かセールで39800円になっていて
その値段だとコスパ高めに感じるのですが
ちもろぐ様だとどんな評価になるのでしょうか。
FI25F気になってます
日本のレビューほぼ無くて…
あとPG259QNがこのリストに無いのは価格と360hzを現状活かしきれる状況が少ないからですかね?
ドスパラ直販だけどViewSonicのVX2705-2KP-MHDがIPS27インチゲーミングで大分コスパいいからレビューして欲しいです
先代のVX2758-2KP-MHD-7使ってますが32kでこのスペックはすごい満足感有るのでちもろぐさんに評価してほしい
サポートを考えてるとDELLとASUSは選択肢には入らないからMOBIUZかゾーイかな~
ゾーイがIPSパネル出してくれれば迷う事はないんだけども
某掲示板情報ではMOBIUZ EX2710QがS2721DGFと同じパネルらしいです。
ただ、最安価格が8千円違うのでスピーカーやBenQの独自機能(DyAcはナシ)にそれだけ価値があるかというと・・・微妙な感じですかね?
今流通してるMOBIUZ EX2710Qはイノラックスパネルなので注意してください。
初期ロットはLGでしたが今はイノラックスパネルに変わりました
Amazonの売れ筋ランキングでもかなり上位に居続ける、240hzで2万円台の『S2522HG』もレビューして欲しいです!
応答速度の実測とかお願いします!
AOCのAG275QXL/11がLoLコラボモデルなので無駄に派手ですが
セール価格で3万円台前半になっててかなりお買い得ですね
スペック見るとかなり良さそうなんで気になってます
IODATA GigaCrysta EX-GC253U 240Hz 0.4msモニターのレビューも見たいです。