「Ryzen 7とCore i7」の違いを初心者向けに分かりやすく解説




自作を組む場合も、BTOでPCを選ぶ場合も、PC初心者が微妙に悩むのが「Ryzen 7」と「Core i7」のどちらを選んだほうが良いのか。ということらしい。これに関して分かりやすい答えを示せている答えがあまり無いので、データを確認しながら分かりやすく「違い」を解説してみます。

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Ryzen 7とCore i7のスペック上の違い

違いを知る上でもっとも重要なことは、何より「カタログスペック」(仕様)の確認です。さっそく、代表的な「Ryzen 7 2700X」と「Core i7 8700K」で仕様の違いを確認してみよう。

CPURyzen 7 2700XCore i7 8700K
ロゴ
世代Zen+Coffee Lake
プロセス12nm14nm++
ソケットSocket AM4LGA 1151 v2
バス規格DMI 3.0DMI 3.0
コア数86
スレッド数1612
ベースクロック3.70 GHz3.70 GHz
ブーストクロック4.30 GHz @14.70 GHz @1
4.20 GHz @24.60 GHz @2
4.10 GHz @34.50 GHz @3
4.10 GHz @44.40 GHz @4
4.10 GHz @54.40 GHz @5
4.00 Ghz @6-84.30 GHz @6
L1 Cache768 KB386 KB
L2 Cache4.0 MB1.5 MB
L3 Cache16.0 MB12.0 MB
対応メモリDDR4-2933DDR4-2666
チャネルデュアル(x2)デュアル(x2)
最大容量64GB64GB
ECC対応対応不可
PCIe20レーン16レーン
1×16 + 1×41×16
2×8
1×8 + 2×4
内蔵GPUなしIntel UHD 630
GPUクロック350 MHz
ブースト時1200 MHz
TDP105W95W
MSRP$ 329$ 359
参考価格35000円39800円

特に重要なところは太字にして弱みは赤色強みは青色で強調しました。

コア数とスレッド数が違う

Ryzen 7とCore i7のコア数の違い

なんと言っても一番の違いはCPUに搭載されているコアの数が違うこと。2700Xと8700Kの内部構造を簡略化してイラストにすると、この通り。

  • 8700Kは6コア / 12スレッド
  • 2700Xは8コア / 16スレッド

Ryzen 7の方が1.3倍もコア数とスレッド数が多いため、マルチスレッド性能が別格です。特に、複数のアプリを同時進行する能力(=マルチタスク処理性能)でRyzenの8コアは猛威をふるいます。

その他、複数のコアがうまく活用されるアプリケーションにおいても、8コアはやはり強い。たとえばゲーム配信(OBSを使う場合)や、動画のエンコード、CG制作やレンダリングといった分野で特に強力。

実際にどれくらい性能が違うのかは、後ほどベンチマーク編で解説する。

高負荷時のブーストクロック周波数が違う

「ブーストクロック」とは、CPUへの処理が多い時にクロック周波数を定格から一時的に上昇させる機能のこと。Intelは「Turbo Boost Technology」、AMDは「XFR」と呼びます。

ブーストクロックの違い
CPURyzen 7 2700XCore i7 8700K
1コアのみ4.30 GHz4.70 GHz9.3%
2コア使用4.20 GHz4.60 GHz9.5%
3コア使用4.10 GHz4.50 GHz9.8%
4コア使用4.10 GHz4.40 GHz7.3%
5コア使用4.10 GHz4.40 GHz7.3%
6コア使用4.00 GHz4.30 GHz7.5%
7コア使用4.00 GHzなし
8コア使用4.00 GHzなし

そして、ブーストクロックは「どのコアに負荷が掛かっているかで、上昇値が変化する。」という仕様がある。こんなややこしい仕様が存在するのは、簡単に言えば熱処理の問題です。

さて、両者のブースト時のクロック周波数を見比べてみると、Ryzen 7の方が全体的に10%ほど低く設定されています。クロック周波数に関してはまだまだCore i7の方が優秀…というのが現状。

クロック周波数の差は、

  • シングルスレッド性能に影響する
  • 複数のコアを使えないアプリケーションで強力

まだまだ世の中、1~2コアしか使えない不器用なアプリが結構多いので、Core i7の高いクロック周波数はいろいろなアプリを効率良く動かせる。WordやExcelも、基本的にシングル性能が重視されます。

あまり複雑なことをしないなら予定なら、Ryzen 7のマルチスレッド性能を上手く活用できない可能性が大きい。

ECCメモリーに対応している

これは意外と知られていない驚きの事実なんですが、Ryzen 7は「ECCメモリー」をサポートしています。ECCメモリーとは、エラー訂正機能のついた特殊なメモリーで、主にワークステーションやサーバーで多用されている。

一方のCore i7はECCをサポートしていない。Intel製品でECCメモリーを使おうと思ったら、とても高額な「Xeon」と呼ばれるCPUが必要になるが、AMD Ryzenなら安価にECCメモリーの導入が可能。

低予算ワークステーションを必要としている人にとって、Ryzen 7は魅力的な解決策になるかもしれない。

内蔵グラフィックスの有無

コア数の違い以上に、内蔵グラフィックスの有無はRyzenを特徴づける大きな要素。そう…Ryzen 7には内蔵GPUが一切搭載されていない。だから映像を出力するために、別途グラフィックボードを用意する必要がある。

一方のCore i7は内蔵GPU(性能はとても非力ですが)を備えているので、ゲームをしないなら十分快適な映像出力を可能にしている。

  • ゲームをする人:内蔵GPUの有無はどうでもいい
  • ゲームをしない人:グラボ分の追加コストが気になる…

ということになります。

とはいえ、Core i7やRyzen 7レベルの性能を必要とする人が、グラフィックボードを一切使わないシチュエーションはかなり少ないですけど。

Ryzen 7は安い

最後に紹介する違いは「MSRP」です。MSRPは希望小売価格と訳される言葉で、Ryzen 7 2700Xが329ドル、Core i7 8700Kは359ドルです。日本円で4000~5000円くらいの差になる。

よくRyzen 7はコスパ最高と評価されているが、その最大の理由が値段設定の安さにある。「安いのに高性能」、これは今までCPU市場で覇権を握ってきたインテルにとって、非常に厄介なライバルです。

補足1:オーバークロックのしやすさ

オーバークロックは…初心者向けの内容ではないので「補足」として軽く紹介する程度にします。

オーバークロックの有無
Ryzen 7 2700XOC可能Core i7 8700KOC可能
Ryzen 7 2700OC可能Core i7 8700OC不可

Ryzen 7はどの型番でもオーバークロックが可能で、Core i7は型番に「K」と付くモノだけオーバークロックが可能。ここがまず大きな違いですね。

次に、オーバークロックのし易さも違う。Ryzen 7はいくら頑張っても4.3 GHzまで行ければ最高クラスだが、Core i7は5.2~5.3 GHzくらいまで行ける。

  • Ryzen 7:未だ5 GHzには到達できない
  • Core i7:5 GHzすら通過点、極めてOCしやすい

5 GHzまで伸ばしてもRyzen 7のマルチスレッド性能には敵わないが、シングル性能は凄まじい水準に達するので一部のアプリ※とすこぶる相性が良い。

※特にPhotoshopなどのAdobe系ソフト。

補足2:プラットフォームの互換性

「CPUの互換性って何?」と思うかもしれないが、CPUが世代更新をした時に、今使っているマザーボードでそのまま新型CPUを使えるかどうかです。

Ryzen 7は「Socket AM4」というCPUソケットを使っていて、初代Ryzenから今の第2世代Ryzenまで継続して使えます(BIOSの更新が必要だが)。

一方のCore i7は世代を更新する度にCPUソケットをころころと変更しています。

  • 4世代~5世代:LGA 1150
  • 6世代~7世代:LGA 1151
  • 8世代:LGA 1151 v2※

Core i7は第7世代から第8世代への更新で、50%近く性能を伸ばした。しかし、ソケットの互換性が無かったがために、泣く泣く1セット買い換えるユーザーが相次ぐことに…。

Ryzen 7は少なくともあと4年(2021年まで)は継続させるとAMDが方針を示しているので、新型が出てアップグレードしたいユーザーにとって優しいのは、間違いなくRyzen 7です。

※ 実際には「v2」という表記は無いが、ピン配列が変更されているので別物です。当ブログでは区別するためにあえて「v2」と付け加えている。

CPU性能の違い

CPU性能編
テスト環境AMDIntel
CPURyzen 7 2700XCore i7 8700K
冷却Corsair H115i
GPUEVGA GTX 1080 Founders Edition
メモリDDR4-3200 8GB x2 (16GB)
マザーボードMSI X470 Gaming M7 ACMSI Z370 Gaming Pro Carbon AC
SSDSamsung PM863 1TB
電源SilverStone ST1500-TI 1500W
OSWindows 10 64bit Version 1703

Ryzen 7とCore i7で性能がどのように違うのか、検証が行われたテスト環境は表の通り。メモリー容量、ストレージ(SSD)などは統一されており、ボトルネックにある要因はほぼ排除されています。

純粋に、CPUとしての性能だけを検証可能な環境です。

Adobeソフトとの相性はイマイチ

PCMark 8のAdobe CCプリセットを用いることで、Adobe系ソフトの動作速度を計測可能。RyzenはAdobeとの相性が悪いが、実際はどうだろうか。

PCMark 8 – Adobe After Effects (処理時間)

  • Ryzen 7 2700X
    62.03
  • Core i7 8700K
    56.69
  • Core i7 7700K
    74.91

After Effectsではこの様子。Core i7が57秒で終える作業を、Ryzen 7は1分2秒と10%ほど遅い。

PCMark 8 – Adobe Photoshop (処理時間)

  • Ryzen 7 2700X
    1.19
  • Core i7 8700K
    1.09
  • Core i7 7700K
    1.18

もっともAdobeソフトで利用者が多いかもしれないフォトショップでも、やっぱり同様の傾向が見られます。Ryzen 7は10%くらい遅い。

PCMark 8 – Adobe Illustrator (処理時間)

  • Ryzen 7 2700X
    2.67
  • Core i7 8700K
    2.32
  • Core i7 7700K
    2.98

ベクター描画ツールで有名なイラストレーター。やはりRyzen 7の方が10%ほど処理が遅い。

そう。クリエイター向けソフトであるAdobe CCですが、マルチスレッドへの最適化は想像以上にひどい。コア数よりも、シングルスレッド性能が極めて重要なのが、現状のAdobeなんですよね。

Photoshopについては、こちらの記事で更に詳しく解説しているので、気になる方はついでに読んでみると良いかも。

Webブラウザの動作スピード

Mozilla Kraken 1.1 – 処理速度(ミリ秒)

  • Ryzen 7 2700X
    761.0
  • Core i7 8700K
    699.2
  • Core i7 7700K
    749.8

Web上で動作するJavascriptベンチマークで、ブラウザをどれだけ高速に動かせているかを調べられる。結果はやっぱりシングルスレッド優位な状況。と言っても、60ミリ秒の差なんて体感不可能ですけど。

レンダリングはやはりRyzenの得意分野

Cinebench R15はCPUベンチマークとして、おそらく国際的にトップクラスの知名度を持つソフト。CPUにレンダリングを行わせ、処理時間からCPU性能をスコア化できる分かりやすいソフトです。

Cinebench R15 – シングルスレッド性能

  • Ryzen 7 2700X
    181
  • Core i7 8700K
    197
  • Core i7 7700K
    198

1コアあたりの性能を示すシングルスレッドスコア。ブーストクロック周波数が高いCore i7が有利です。i7は概ね200点前後で、Ryzen 7は180点前後と10%低い。おおむねクロック通りの結果と言える。

Cinebench R15 – マルチスレッド性能

  • Ryzen 7 2700X
    1859
  • Core i7 8700K
    1443
  • Core i7 7700K
    981

そして本領のマルチスレッド性能。16スレッドを備えるRyzen 7が圧倒的です。Ryzen 7が約30%高いスコアを出している。

Blender 2.78 / BMW 2070タイル – 処理時間(秒)

  • Ryzen 7 2700X
    121.17
  • Core i7 8700K
    123.25
  • Core i7 7700K
    178.05

オープンソースのレンダリングソフト「Blender」で、BMWプリセットをレンダリング。Ryzen 7は最速の結果を出すが、ややCore i7に追いつかれ気味。

やはり、高負荷時のブーストクロックが約10%ほどCore i7の方が高いことが、実際のパフォーマンスでなかなか圧勝できない原因かもしれない。

圧縮と解凍

フリー解凍ソフト「7-Zip」に付属しているベンチマークツールを使って、CPUがどれだけ速く圧縮と解凍をこなせるかを計測できる。

7-Zip / 圧縮(MIPS)

  • Ryzen 7 2700X
    40725
  • Core i7 8700K
    38452
  • Core i7 7700K
    26636

圧縮は意外とCore i7が速い。ほぼ同水準です。

7-Zip / 解凍(MIPS)

  • Ryzen 7 2700X
    53880
  • Core i7 8700K
    38024
  • Core i7 7700K
    25951

一方、解凍はRyzenがすこぶる得意としている処理のようで、約42%ほどRyzen 7が高速です。パソコンを普通に使っていると解凍の方が頻度は多いので、この速さは良いですね。

動画のエンコードはどちらが速いか

動画エンコードソフトで非常に有名な「HandBrake」を使って、エンコードに掛かった時間を計測する。

HandBrake x264 / MKVからMP4 – 処理時間(秒)

  • Ryzen 7 2700X
    778
  • Core i7 8700K
    884
  • Core i7 7700K
    1258

x264でエンコードを実行すると、Ryzen 7が約780秒でCore i7が約880秒に。だいたい11%くらい、Ryzen 7の方がエンコード速度は速い。

HandBrake x265 / MKVからMP4 – 処理時間(秒)

  • Ryzen 7 2700X
    2302
  • Core i7 8700K
    2079
  • Core i7 7700K
    3038

次に、処理が複雑化するx265で実行すると、なぜか結果が逆転してしまいます。Core i7が約9%速い。複雑な処理は一見Ryzenに有利に見えるのに、なぜ実際の結果はこうも思い通りにならないのか。

理由はシンプルで、エンコード処理にはAVX演算機というCPUに内蔵されているアクセラレーターが使われているが、Ryzenにはこれが2個(128bitを2個使って256bit幅)あり、Intelには1個(256bit幅)しか無い。

つまり、処理の効率が若干悪い。それとソフトウェア側の最適化が不足している。Ryzenは生まれてまだ2年も経たない新参で、対するCoreはもう10年近い歴史がある。

Ryzenがこのまま順調に競争を進めていけば、ソフト開発側も最適化を進めていくので時間の問題と言えます。

CPU性能のまとめ:ほぼ互角の争い

レンダリングや動画エンコード(x264)で、Ryzen 7は持ち前のマルチスレッド性能でCore i7に対しておおむね優位なパフォーマンスを見せた。

一方で、ソフトの最適化具合ではCore i7に軍配が上がる。やはり10年の歴史があるだけあって、あらゆるソフトがCoreシリーズに最適化されている。

特にAdobe系のソフトウェアや、AVX機能を駆使することで高速化を図っているx265エンコードなどでCore i7は優位に立っています。

現状では、どちらかが極端に強い…ということはなく、互いに得意な分野と不得意な分野がちゃんと別れている状況。用途に合わせて選び分けることが重要です。

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ゲーミング性能の違い

次は「ゲーミング性能」について。

基本的にゲームのパフォーマンスはグラフィックボード次第ですが、CPUの性能がボトルネックになってグラボ本来の性能を出しきれない現象が多々ある。

グラボがGTX 1050や1060くらいのミドルクラスに位置するGPUなら、さほど影響は少ない。しかしGTX 1080以上のハイエンドGPUになると、ボトルネックは出やすくなってしまう。

というわけで、Ryzen 7とCore i7でどれくらいゲーミング性能に違いがあるのかを確認していこう。

ゲーミング性能編
テスト環境AMDIntel
CPURyzen 7 2700XCore i7 8700K
冷却AMD Wraith Prism/SpireCorsair H115i
GPUGTX 1080 Ti Founders Edition
メモリDDR4-3400 8GB x2 (16GB)DDR4-3200 8GB x2 (16GB)
マザーボードGigabyte Aorus X470 Gaming 7 WiFiGigabyte Aorus Z370 Gaming 7
SSDSamsung 960 Evo 500GB
電源Corsair HX750i 750W
OSWindows 10 64bit

現在出回っているグラボの中で、もっともボトルネックが出やすいグラフィックボード「GTX 1080 Ti」を使って、CPUのゲーミング性能の検証が行われました。

Ashes Escalation

Ashes Escalation / DX12 1080p 最高設定

  • Ryzen 7 2700X
    101.9
  • Core i7 8700K
    110.8

さっそくCore i7のゲーミング性能が優秀であることが示された。Ryzen 7はGTX 1080 Tiの力をまだ9割しか引き出せていないことになる。

Assassin’s Creed Origins

Assassin’s Creed Origins / DX11 1080p 最高設定

  • Ryzen 7 2700X
    85.9
  • Core i7 8700K
    95.5

アサシンクリード最新作であるオリジンズ。2017年後半に登場した比較的新しいゲームでも、まだまだRyzenに最適化されていません。

Civilization VI

Civilization VI / DX12 1080p 最高設定

  • Ryzen 7 2700X
    99.5
  • Core i7 8700K
    120.7

Civilzation VIだと、Core i7が突出して優秀。なんと20%も引き離されてしまった。

Deus EX Mankind Divided

Deus EX Mankind Divided / DX12 1080p 最高設定

  • Ryzen 7 2700X
    93.9
  • Core i7 8700K
    103.4

非常に重たいゲーム「DXMD」では、12%くらいの差。

Dishonored 2

Dishonored 2 / DX11 1080p 最高設定

  • Ryzen 7 2700X
    118.6
  • Core i7 8700K
    129.9

Core i7に追いつけません。i7 8700Kは「現行最強のゲーミングCPU」ですから、逆に言えばRyzen 7もよく戦えている方かもしれない。

The Division

The Division / DX12 1080p 最高設定

  • Ryzen 7 2700X
    100.0
  • Core i7 8700K
    108.6

ディヴィジョンでは8%ほど、Core i7に追い抜かされた。

Fallout 4

Fallout 4 / DX12 1080p 最高設定

  • Ryzen 7 2700X
    104.2
  • Core i7 8700K
    118.8

Fallout 4では…15%ほど追い抜かされています。

Far Cry 5

Far Cry 5 / DX11 1080p 最高設定

  • Ryzen 7 2700X
    119.4
  • Core i7 8700K
    130.3

2018年4月発売のかなり新しいゲーム「Far Cry 5」ですが。結果はこの通りで、やっぱりCore i7の方がGTX 1080 Tiの能力を上手く引き出している。

実はFar Cry 5の開発にはAMDが協力しているのですが、それでもこれだけの差が残っているとは…。Ryzenの最適化はかなり難しいのかも。

Ghost Recon Wildlands

Ghost Recon Wildlands / DX11 1080p 最高設定

  • Ryzen 7 2700X
    67.2
  • Core i7 8700K
    73.0

6fpsと大人しい差に落ち着いたが、率で示せば10%くらいの差です。Ryzen 7とCore i7の間には、だいたい10%の差が存在するのは疑いようのない事実になってきた。

Grand Theft Auto V

Grand Theft Auto V / 1080p 最高設定

  • Ryzen 7 2700X
    120.6
  • Core i7 8700K
    133.2

GTA Vも同様に、10%強の差をつけられました。

Hitman 2016

Hitman 2016 / DX12 1080p 最高設定

  • Ryzen 7 2700X
    87.8
  • Core i7 8700K
    86.9

Hitmanでは、あまり大きな差はなく。このように、CPUの構造が違っていても互角の性能が出せるように、最適化されたゲームは少ないですが存在する。

Shadow of War

Shadow of War / DX11 1080p 最高設定

  • Ryzen 7 2700X
    107.4
  • Core i7 8700K
    120.9

シャドウオブウォーは割りと新しいゲームだが、結果は見ての通りイマイチ。まだまだインテルだけに最適化すれば良いや、と考えているメーカーは多い様子ですね。

PlayerUnknown’s BattleGrounds

PlayerUnknown’s BattleGrounds / DX11 1080p ウルトラ設定

  • Ryzen 7 2700X
    126.3
  • Core i7 8700K
    136.0

超人気のバトロワゲーム「PUBG」では、8%ほどの差に。PUBGでの動作を気にしている人は少なくないが、GTX 1080 Tiレベルのグラボで8%の差なら許容できるかと。

Rise of the Tomb Raider

Rise of the Tomb Raider / DX12 1080p 最高設定

  • Ryzen 7 2700X
    123.3
  • Core i7 8700K
    135.6

2016年のゲームです。差は10%ほど。

The Witcher 3

The Witcher 3 / 1080p 最高設定+HBAO

  • Ryzen 7 2700X
    89.2
  • Core i7 8700K
    97.6

売上本数が1000万本を超えたらしい超人気RPG「Witcher 3」でも、やっぱり10%強の差に。Witcher 3では元々フレームレートの差が出にくいが、こうして10%も出るあたり…やはりRyzenの特殊な構造ゆえの苦労です。

平均ゲーミング性能 / GTX 1080 Ti

平均ゲーミング性能 / GTX 1080 Ti

  • Ryzen 7 2700X
    103.0
  • Core i7 8700K
    113.4

平均値で、全体の傾向をおさらいします。

どちらも同じGTX 1080 Tiを使っているが、Ryzen 7とCore i7では概ね10%の差が出ていることが分かる。Ryzen 7はGTX 1080 Tiの能力を9割しか引き出せていない。

初心者もち
じゃあライゼンってゲーム向けじゃないの?

と…思ってしまいそうですが。確かに数値上では10%の差が存在します。しかし実用上の問題を考えれば、ほとんどの人にとって「無視」できる性能差です。

なぜなら、GTX 1080 Tiを使うとフレームレートは3桁を突破する。だが、ほとんどの人は普通のモニターを使っているはず。

普通のモニターでは、60fps以上の映像を出力できません。つまり100fpsを超える環境で10%の差があろうが無かろうが、普通のモニターを使っている限り体感できません。

Ryzen 7のゲーミング性能の低さが問題になるのは、144Hzのリフレッシュレートを持つハイエンドなゲーミングモニターを使っているコアなゲーマーのみ。

  • 60Hzのモニターを使っている人への影響はほぼゼロ
  • ミドルクラスのグラボではゲーミング性能の低さは問題にならない
  • ハイエンドグラボでは10%前後のボトルネックが出現
  • 144Hz~240Hzモニターを使っている人への影響は大きい

まとめるとこんな感じ。多くの人にとって、ゲーミング性能でRyzen 7かCore i7かを決める要因にはなりません。ゲーム以外の用途次第です。

Ryzen 7とCore i7の違いをまとめる

Ryzen 7とCore i7の「違い」について、カタログスペックの解説だけでなく、データも使って比較してみたので8割くらいは分かってきたかと思います。

  • レンダリングはRyzen 7が強い
  • エンコード速度は形式次第
  • Adobe系ソフトはCore i7が有利
  • 配信はRyzen 7が強い
  • マルチタスク処理はRyzen 7が得意
  • ゲーミング性能はCore i7に軍配が上がる

ザックリと「違い」をまとめました。インテルとAMDがなかなか良い感じに競争していることがよく分かりますね。近年、インテルにここまで迫ったCPUは本当に珍しい。


さて、最後は「こういう用途の場合はR7とi7のどちらが向いているのか?」実際に使う場合を想定して、Ryzen 7とCore i7のどちらを選んだほうが良いか、まとめていく。

Officeや事務用:Core i7が適任

WordやExcelはグラフィックボードの性能を全く必要としないので、内蔵グラフィックスを備えているCore i7が適任。オフィス用PCにグラボは無駄なコストでしか無い。

写真編集や動画編集:Core i7が適任

使うソフトによりますが、もし写真編集にAdobe Lightroomを使い、動画編集にAdobe Premiereを使う予定なら、間違いなくCore i7が適任です。

現状のAdobeソフトはRyzenとの最適化がまだ上手く行っていない状況なので、Adobeソフトを多用するならCore i7を選んだほうがトータルで見てコスパがいい。

ゲーム実況や配信:Ryzen 7が適任

OBS(Open Broadcaster Software)を使ってゲーム実況または配信をしたいと考えているなら、マルチスレッド性能に長けているRyzen 7が最適です。

OBSを使ってフルHDゲーミングの配信をする場合、マルチスレッド性能が不足しているとドロップフレームが発生する。あまりに性能不足だと「飛び飛びの映像」になってしまいます。

Core i7の場合、フルHD画質だとおおむね1.6%前後のドロップフレーム発生率ですが、Ryzen 7だと1%前後にまで抑えることが可能。

しかも、かなり余力を残しているので他のタスクを同時進行させても配信への影響が大きくありません。配信目的なら、現状はRyzen 7が一番コスパがいい。

動画エンコード:どちらでも良い

AVX演算機の実装方法に違いがあるため、どういう形式のエンコードを行うかで最適なCPUは変わってくる。

  • x264エンコード:Ryzen 7
  • x265エンコード:Core i7

悩ましいところですね。使っている頻度が多い形式に合わせて、選ぶことになる。x264ばかりでエンコードしているならRyzen 7で良いし、逆ならCore i7でしょう。

ゲーミングモニターでフルHDゲーム:Core i7が適任

3桁フレームレートを出力可能な、高リフレッシュレートのゲーミングモニターを使っているなら…Core i7が適任ですね。

ゲーミングモニターを使っているなら10%の差は無視できないかと。本来は140fps出るべきところで、Ryzen 7なら126fpsに落ち込むという意味なので。

とにかくフレームレートを追求したいと考えているコアなゲーマーなら、Core i7を選ぶべき。Ryzen 7はまだゲーミングに関して最適化が未熟です。

60fpsゲーミング:どちらでも良い

GTX 1060 6GBやRX 580を使って、平均60fpsぐらいが出てくれれば満足。という人は、ゲーミング性能の影響が少ないのでどちらも良いです。

ゲーム以外に何をするかで、Ryzen 7とCore i7を選び分けることになる。もしゲーム以外にAdobeソフトを使うならi7だし、配信目的ならRyzen 7が適任ということ。

用途別に早見表

用途Ryzen 7Core i7
オフィス
写真編集
動画編集
ゲーム実況
生配信
x264エンコード
x265エンコード
60fpsゲーミング
ゲーミングモニター

まさに「適材適所」といった状況なので、自分がパソコンで何をしたいのか、よく想定して選び分けてください。

以上「Ryzen 7とCore i7の違いを初心者向けに分かりやすく解説」でした。

他にもあるよ、CPUガイド

第2世代Ryzenが、初代Ryzenからどれくらい性能がアップしたのかを知りたい人は、こちらの記事を。

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15 件のコメント

  • 自作するときにAMDを選ぶメリットとしてもう一つ、マザーボードがあると思います。既に次世代のCPUで新しいマザーボードが必要となる事が確定しているIntelに比べて、AMDはもうしばらくは現行マザーボードがBIOSアップグレードで使えるようなので、CPU換装を見越すならAMDという選択肢も大きいのではないでしょうか。

  • 個人的にはソケット互換の件は補足説明のOCよりさらに初心者向けではないと思いますけどね
    CPUだけ載せ替える人はかなり少ないと思います

    • …たしかに、新CPUが来るたびに自作するような人は少数派ですね。むしろ1台だけ自作やってみて、それで終わりという人の方が多いかも。

  • 音楽制作ソフトのdawを使いたいのですがどちらが向いているのでしょうか。
    よくわからないので無難にintelにしようと思っています。
    何か知っていることがあれば教えてください。

  • もし、GTX1080tiをSLIで使うなら、Ryzenはボトルネックが発生しますか。また、どのくらいのパフォーマンス差が出ますか。

  • くわしい説明ありがとうございます。
    RYZEN が ECC に対応していることは知りませんでした。
    互換性については初心者は気にしないかもしれませんが、 ECC の件と合わせて AMD の消費者に対する好感のもてる姿勢は知っておいても良いと思います。

    • マザーボードのQVLリストを見て確認するのが速いと思います。

      ぼくが調べた範囲では「ECC registered」で動作したという報告は発見できいません。ECC unbufferedならあります。

  • BlenderのRyzenのレンダリングのほうが高いが
    実際に3DCG作成したい場合、ほかの動作や一般ソフト(ZBrush、autodisk系)でも有効なんだろうか

  • ゲーミング性能のところでi7だけ水冷ってどうなんですか?
    RYZENも水冷にしないと平等じゃない気が….

  • ゲーミング、i7 8700K優秀ですがGTX 1080 Tiレベルだとi5 8400との差が無いに等しいほど少ない(もしくはHTTによる応答性減からかi5 8400に負ける場合がある)ので、次世代Geforceのハイエンドが待ち遠しいですね。

    ゲーム配信は昔から行っている人はGPUなり専用ハードなりでCPUをあまり使用せずもあり、レスポンス的にもその方が良いので選択枝や条件の幅が大きく限られていない使い方かなと。

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