モニターを選ぶ時に知っておきたい「応答速度」の解説

リフレッシュレートと比較して「応答速度」は割りと軽視しがちだが、よく調べていくと非常に重要なスペックであることが分かってきた。本記事ではそんな「応答速度」について、詳しく解説してみる。

応答速度はモニター(特にゲーミング用)を選ぶ時に知っておきたいので、モニター選びをしている人は参考にしてみてください。

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モニターの「応答速度」とは何か?

一般的には「次のフレームへ遷移(変化)するのに掛かる時間」とされています。ただ、ここではもう少し専門的な話をしてみたい。

なお、「応答速度」は、モニターにオーバードライブが搭載されているかいないかで若干で定義が変わるので、分けて順番に解説する。

一般的なモニターの「応答速度」

オーバードライブが搭載されていないモニターの場合、「黒 → 白 → 黒」に掛かる時間が応答速度と定義されている。

モニターの「応答速度」をGIF解説

上のGIF図解では、応答速度とモニターの関係性を分かりやすく解説してみた。「黒 → 白」に3.8ミリ秒、「白 → 黒」に4.7ミリ秒を要したため、応答速度は合計で8.5ミリ秒ということだ。

メーカーがよく行う表記だと「8.5ms GtoG」ということになりますね。なお、この「GtoG」はGray To Gray(灰 → 灰)という意味の用語でして、厳密に「黒 → 白 → 黒」の時間を意味するわけではない。

というわけで、詳しく図解してみる。現在の応答速度は「ISO 13406」(要するに0 → 255 → 0)規格に基いており、実際に応答速度としてカウントされるのは…

  1. 「25.5」(10%の灰色)から「229.5」(90%の灰色):黒 → 白
  2. 「229.5」(90%の灰色)から「25.5」(10%の灰色):白 → 黒
  3. 応答速度(GtoG)は、この1と2を合計した時間を指す

ということです。

画像の例で言えば、「黒 → 白」に5.4ミリ秒かかり、「白 → 黒」へ戻るのに4.6ミリ秒合計で10ミリ秒掛かるので「10ms GtoG」という表記になる。という具合ですね。

 補足:ISO 13406規格について

モニターの「応答速度」をGIF解説

単純に言えば「0」(真っ黒)から「255」(真っ白)の範囲で、モニターの出力は変動する…という規格のこと。この規格が定まったことで、現在の「5ms GtoG」という表記で統一されるようになった。

オーバードライブ機能付きの「応答速度」

【モニターの応答速度】オーバードライブ

立ち上がり:2.6ms + 消灯:1.4ms = 合計4.0msの応答速度

オーバードライブが搭載されているモニターの場合、そのモニターの仕様上もっとも明るい灰色への往復時間(10%灰色 → 上限 → 10%灰色)を応答速度と定義しています。

【モニターの応答速度】オーバードライブ

普通のモニターでは「黒 → 白 → 黒」の変化がもっとも効率よく電圧を使用できるため、最高の応答速度を出せる方法だった。しかし、オーバードライブは更に効率よく電圧を加えることで、より高速な応答速度を実現する。

だから「黒 → 白 → 黒」を応答速度とせず、そのモニターの出せる最高の灰色から灰色への時間を応答速度と定義しているのです。

知ってて損しない「応答速度」の基本

パネル方式によって応答速度に限界がある

【モニターの応答速度】パネルによって応答速度に限界が

応答速度は時代とともに高速化が進められていったが、パネルの種類によって「限界」があることが明らかになってきた。TNパネルでは「5ms前後」、VAパネルは「12msあたり」、IPSパネルに至っては「16msあたり」に限界が。

しかし、その後の技術革新で「オーバードライブ」が誕生し、これらの上限は突破できるようになってきた。TNパネルを採用したゲーミングモニターでは、最速値で1.0msを記録する製品も珍しくない。

オーバードライブの弊害「オーバーシュート」という現象

【モニターの応答速度】オーバーシュート

オーバードライブ機能は「応答速度」を飛躍的に向上させ、体感上のレスポンスも大きく改善する効果がある。しかし、品質の悪いモニターでは「オーバーシュート」という現象のせいで、使い物にならない場合もある。

「オーバーシュート」はモニターの応答は終わっているのにも関わらず、再度「応答」を行ってしまうことで目に見える遅延や残像を引き起こす。

応答速度の内、5%以下のオーバーシュートならほとんど問題にならないが、5~10%に広がると「なんか…残像がちょっと見える…」という具合になり、10%以上のオーバーシュートだと「重症」です。

例えば応答速度が20msのモニターがあったとして、その内の15%がオーバーシュート(20msの遅延に、更に3msの遅延が追加される)すれば相当に鬱陶しい描写になるだろう。

オーバーシュートについてはこの動画が分かりやすい。見ての通り、重度のオーバーシュートが発生しており、目に余る酷い残像が視認できる。

メーカーの公称値と「実測値」は一致しないことも

ASUS製「PG258Q」の応答速度は公称値によれば「1ms GtoG」と書かれています。

しかし、TFT Centralがオシロスコープを使って計測した「実測値」は平均で3.4msと計測されている。ISO規格に基づいた応答速度は7.5msと、公称値よりかなり遅いと分かります。

と言っても最速値(Lowest G2G Response Time)は1.1msを記録しているため、ASUSの公称値はあながちウソを言っているわけではない。なので公称値は製品が出せる、最高のスコアと思っておけばいいかと。

公称値が5msでも、常に5msが出るわけではなく最速で5msを出せるという意味合いですね。

リフレッシュレートと応答速度の目安

「入力遅延」と同様に、応答速度にも「目安」があります。単純に答えを言ってしまうと、1フレームよりも速ければ問題ないということです。

  • 60Hz:16.6ミリ秒以下
  • 144Hz:6.9ミリ秒以下
  • 240Hz:4.2ミリ秒以下

だいたいの目安はこんな感じ。さっき紹介した「ASUS PG258Q」なら、平均3.4msで動作していたので240Hz駆動でプレイしても全く遅延は感じられない…ということになりますね。

とりあえず、リフレッシュレートに関わらず「16ms」を超えてくると遅い部類で、「10ms」以下なら速い部類と覚えておけば困らない。20ms以上でも使えるといえば使えますが、競技性重視なら気になるだろう。

「応答速度」の計測方法

「入力遅延」と違って、ソフトウェア的な方法では十分な正確性を担保できないようです。よって、TFT Centralはオシロスコープ(高額機材)を用いた独自の手法で計測を行っているとのこと。

TFT Centralが行っている計測手法は以下の通り。

  1. フォトセンサをスクリーンに取り付けて「輝度」の変化を計測
  2. 専用のソフトウェアに取り込んで0~255の数値に変換
  3. 光センサーを使って作った輝度データを電圧に変換
  4. オシロスコープに電圧を渡してグラフ化

このようにして「応答速度」をグラフ化し、正確な計測を実現している。つまり、応答速度の実測値は一般人がそう簡単に計測できるモノではないのだ…。

モニターから出力された「光」は、フォトセンサ・光センサー・オシロスコープを通してこのようなグラフに変換されました。ここまで来たら後は簡単です。

最初に解説したとおり、10%の灰色から90%の灰色への時間と、90%の灰色から10%の灰色への時間を合わせて、ISO規格に基づいた「応答速度」を計測可能(例:10ms GtoGなど)。

20段階に分けて応答速度を評価する

TFTは更に細かく応答速度を評価していく。0~255の範囲を、それぞれ20段階に分けて、段階ごとの応答速度を計測していくんです。

そうしてこのような表が作られる。この20段階の応答速度を見ていくと、そのモニターの特徴が見えてきますね。

  • 「0 → 50」は13.5ミリ秒で、「0 → 255」は8.6ミリ秒
  • 逆に「50 → 0」は6.4ミリ秒で、「255 → 0」は7.8ミリ秒

どうやら明るくなる応答は低速だが、暗くなる応答は得意のようだ。更に言うと、0から50~150あたりに立ち上がっていく(中間色への応答)のが12~13.5ミリ秒と遅いことも分かる。

20段階すべての実測値を平均すると「8.5ミリ秒」と出た。最速値は6.0ミリ秒で、最遅値は13.5ミリ秒。往復も見てみると、行き(黒 → 白)は平均9.6ミリ秒で、帰り(白 → 黒)は平均7.5ミリ秒。

ISO規格に基づけば、往復時間は9.6 + 7.5 = 16.4ミリ秒なので「16.4ms GtoG」と示せますね。

ギリギリ16.6msを超えていないが、16.4msはそれなりに遅い水準。普段使いなら問題ないけれど、ゲーミング用途なら少なくとも15.0ms以下は欲しいところだ。

結論:「応答速度」の実測値を知るならTFT Central

残念ながら、メーカー側の公称値はよくて「最速値」であり、ひどい場合は公称値に全く到達しないモニターもあります…。かといって、正確な実測は一般人(ぼくも含め)にはあまりに敷居が高い。

よって「TFT Central」で公表されているデータから応答速度を見つけてきて、自分の使う予定のモニターが本当にいい製品なのかどうか評価するしか無いですね。

まとめ:ゲーミング重視なら「応答速度」も重視

モニターの「応答速度」をGIF解説

応答速度について、割りと細かく解説してみました。最後のGIF解説は、応答速度が速いモニターと遅すぎるモニターのイメージです。

【モニターの応答速度】応答速度による違い

競技性の高いFPS / TPS系のゲームだと、一瞬視野に映った敵を認識して戦うこともある。その一瞬しか映らない敵が、モーションブラーがかかったように引き伸ばされると見逃す可能性があるだろう。

ゲーミングモニターを選ぶ際は、リフレッシュレートだけでなく「応答速度」も無視せずにしっかりとしたモノを選びたい、ということだ。

  • 60Hzモニターなら「15ms以下」(遅くても17msくらい)
  • 144Hzモニターなら「7ms以下」(遅くても9msくらい)
  • 240Hzモニターなら「4ms以下」(遅くても5msくらい)

基本的にほとんどのモニターは「オーバードライブ」なしで5ms以下の応答速度を出すことは出来ないので、240Hzを考えている人はオーバードライブ搭載モニターを選んでおきたい。

320ドル前後のエントリーモデル「ASUS MG248Q」でも、平均値は7.2msと優秀。

144Hzで行くつもりの人は、オーバードライブ未搭載のモニターでも問題ないです。3万円前後の安価モデルでも、意外と7ms台(7.0~9.0msくらい)は出せるので。

以上「モニターを選ぶ時に知っておきたい、応答速度の解説」でした。その他の仕様については以下の記事にまとめてあるので、更に知りたい方はどうぞ。

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2 件のコメント

  • 液晶にオーバーシュートやアンダーシュートはありません!
    液晶の配列に行き過ぎは無いよ! それは制御信号(液晶の配列を整列させる)の特性(悪すぎ)であり液晶とは関係ありません。 温度でハッキリします。低温では ⊿tなぞ関係なく反応しなくなります。高温では振動しますから光を通さなくなります。
    制御信号の波形であり、液晶は⊿tは無用で 制御信号がHiになってから液晶が方向移動完了するまでの時間なはずです。

    あなたの説明で読めるのは・・・・Hi Lo の電圧は液晶に対し曲線であり階層表現は明域と暗域の分解能が画像制度を左右する。で時間とは全く異なった内容です。

    ONの次は次の情報の明るさレベルにONですからONの連続で・・・OFFはありません。

    残像もそんな単純ではありません。 逆に人の目の残像より早いとコマ送りになります。人の目は35Hzで飽和しだします。それ以上の変動での移動は逆にコマ送りになります。 ソフトやメーカーの宣伝を意味無く信じると・・・・・

    DSTNの頃のハレーションのような内容を残像説明してますが、その頃は残像を考慮してないし液晶の速度も遅かった時代です。 今でも温度を下げればそのようなハレーション画像になり薄くなっていきますが・・・・

    もし100Hz以上の画像フレームが実際に映す(ナナオでは在るようですが?)蛍光灯の50Hzや60Hzでフリッカーが起きるか輝度が変化します。

    なんか事実と異なる妄想してませんか?  情報には本当も嘘も等しく情報の一つです。知識、技術に嘘は残りません。  情報を判断するのが知識であり技術です。

    • んん?
      私のほうでネットで調べたやつもオーバードライブ時はオーバーシュートあるって書いてるの見たんだけどもう今は違うってことなのかな?
      色ぼやけのことを残像と言ってる所とEIZOは色のことしか言ってなかったからオーバードライブ時にたぶん副次的に残像起こるっていう感じの書き込みは結構見たけど。

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