大手中華スマホメーカーの「Xiaomi(シャオミ)」が、自社のゲーミングモニター製品を日本市場に投入し始めました。
そのうちのひとつが今回レビュー用に買ってきた「Xiaomi モニター A24i」です。ポイント込み実質1万円の安さで、最大100 HzのIPSパネルを搭載します。
過去に何十台もPCモニターを測定しているモニターオタクの筆者が詳しくレビューします。
(公開:2024/3/26 | 更新:2024/3/26)
「Xiaomi モニター A24i」はどんなゲーミングモニター?
Xiaomi(シャオミ) A24i(P24FBA-RAGL) | |
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パネルタイプ | フルHD(1920×1080)で最大100 Hz IPSパネル(23.8インチ) |
応答速度 | 6 ms (G2G) |
主な機能 ゲーマー向け |
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調整機能 エルゴノミクス | 高さ調整:- 前後チルト:+10.5° ~ -2.5° 左右スイベル:- ピボット:- |
VRR機能 | Adaptive-Sync ※G-SYNC互換モード対応 |
参考価格 ※2024/3時点 | |
Amazon 楽天市場 |
Xiaomi(シャオミ) A24i(P24FBA-RAGL) | |
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画面サイズ | 23.8インチ |
解像度 | 1920 x 1080 |
パネル | IPS |
コントラスト比 | 1000 : 1 |
リフレッシュレート | 100 HzHDMI 2.0 : ~100 Hz DP 1.4 : ~100 Hz |
応答速度 | 6 ms (G2G) |
光沢 | ノングレア |
VESAマウント | 100 x 100 mm |
エルゴノミクス |
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主な機能 |
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同期技術 | Adaptive-Sync ※G-SYNC互換モード対応 |
スピーカー | なし イヤホン(3.5 mm)端子あり |
主な付属品 |
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寸法 | 539.9 x 411.4 x 170 mm |
重量 | 1.68 kg(パネルのみ) 2.38 kg(スタンド含む) |
保証 | 1年 |
スペック表をざっくり見てXiaomi A24iがどのようなモニターかざっくり説明すると
- PCモニターで主流の「フルHD(1920×1080)」
- 画質がいいIPSパネルを採用
- リフレッシュレート「最大100 Hz」
- 特に「機能性」はない
- モニタースタンドの自由度が低い
- メーカー保証1年のみ
要するに、一般的に画質がいいとされるIPSパネルを使っていて、かつ最大100 Hzのリフレッシュレートに対応する「コスパ」に特化したゲーミングモニターです。
コスパに振り切っている分、機能性やエルゴノミクス機能がほとんど無く、メーカー保証が1年付属するのみ。
・・・ここまでなら単なる激安PCモニターによくある仕様で、他社と差別化できる部分がないです。しかし、メーカー公式サイトに興味深い一文があります。
- 出荷時にキャリブレーションして色の精度をΔE < 2まで校正済み
- sRGB色域を99%カバー
専門用語で意味が分かりづらいと思うかもしれませんが、雑にまとめると「そこそこ高画質なIPSパネルを使い、さらに色を調整済み」とXiaomiはアピールしています。
定価3万円超えのEIZO製PCモニターですら、色域とΔEは非公開です。にもかかわらず、たった1万円の激安PCモニターが色域とΔEをアピールしているなんて、Xiaomi恐るべし。
では、実際にXiaomi A24iを検証します。
Xiaomi A24iの画質が普通に良くてびっくり
値段が安いIPSパネルはコントラスト比が低くて白っぽく見えたり、色域の狭さが原因で色があせて見える傾向があります。
しかし、Xiaomi A24iはメーカーのアピール通り本当に高画質なIPSパネルを採用しているようで、お値段以上の画質を表示できます。
コントラスト感も不満ないです。ふだんレビューしている広色域IPSパネルと体感的に差がわからないコントラスト感です。
(sRGB:ΔE = 1.8 / 色温度:6496K / 輝度:255 cd/m²)
映画やアニメ、FPSゲーム(Overwatch 2)やRPGゲーム(原神)をXiaomi A24iで表示した例です。
ほどほどの鮮やかさ、十分なコントラスト感で普通にいい画質です。Nano IPSやFast IPSパネルなど、高級なIPSパネルと比較して色があせて見えるかもしれないですが、実質9900円の安さを考えれば上出来。
手頃な価格で大人気のIPSパネル搭載モニター「HP OMEN 27q」と比較した写真です。
艶っぽい赤色と画面の明るさ以外、割といい勝負に見えます。もっと明るくできれば主観的な画質が上がるのに、Xiaomi A24iは250 cd/m²前後で限界でした。
キャリブレーター(測定機材)を使って調整したXiaomi A24iの「おすすめ設定」を紹介します。
- モード:Standard
- 色温度:カスタム
- 明るさ:100
- 色温度:赤48 / 緑47 / 青48
「Standard」モードのまま、色温度を「赤48 / 緑47 / 青48」に変更します。上記の設定で色温度が6600K前後(やや寒色よりの6500K)に調整できます。
明るさは好みに合わせて適当に。筆者は350 cd/m²が好みなので「明るさ:100」ですが、Xiaomi A24iだと250 cd/m²あたりが限界です。
もっと厳密にキャリブレーション(校正)したいガチな方は、筆者が作成した3D LUTプロファイル(.cube)を試してみてください。
フリーソフト「dwmlut」で3D LUT(.cube)を適用したら、ゲーミングモニターのOSD設定を以下の内容に変更します。
- モード:Standard
- 色温度:カスタム
- 明るさ:100
- 色温度:赤48 / 緑47 / 青48
3D LUTの効果を確かめます。
ガンマ:sRGB(Relative 2.2)に準拠
色温度:D65(6504K前後)に準拠
常用グレースケールの色温度を6504K前後、ガンマをsRGB(Relative 2.2)に校正する設定です。
なお、色域に手を加えていません。sRGB色域に制限すると「色があせて見える」ので、あえて色域は触らずに放置しています。
3D LUTの使い方は以下のガイド記事を参考にどうぞ。
モニターの色を測定できる専用の機材「X-rite i1 Pro2(分光測色計)」と「ColorChecker Display Plus(比色計)」を使って、「Xiaomi A24i」の画質をチェックします。
Xiaomi A24i(初期設定)の色精度は割と合ってます。
パネル自体の表示できる色域が狭いおかげで、色の精度がそもそもズレづらいです。何も調整せずとも最初からΔE = 2.0に近い精度が出ます。
さらにモニターのOSD画面から「色域:sRGB」を有効化すると、色域がsRGBに制限されてメーカー公称値のΔE < 2.0を見事に達成。実測値でなんとΔE = 0.7で、クリエイターモニター並の精度です。
ただし副作用でやや色があせて見えるので、sRGBモードを使うかどうかは好みでどうぞ。
初期設定のsRGB色精度を、他のゲーミングモニターと比較しました。かなり優秀な色精度です。
Xiaomi A24iのネイティブコントラスト比は1200:1前後です。IPSパネルとして上位クラスに入ります。
ちなみにリフレッシュレート60 Hz設定で、コントラスト比が280前後まで下がります。パソコンの再起動で治ったり原因がイマイチ分からないですが、60 Hzで使うつもりの人は要注意。
可能であれば常時100 Hzをおすすめします。
画面の明るさ ※クリックすると画像拡大 |
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100%時で260 cd/m²に達し、SDRコンテンツに必要十分な明るさ※です。0%時だと29 cd/m²まで下げられます。夜間に暗い画面を好む場合も便利です。
目にやさしいらしい120 cd/m²前後は設定値54%でほぼ一致します。
※筆者は350 cd/m²前後を好むため、260 cd/m²では不足を感じます。
色域カバー率 | ||
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規格 | CIE1931 | CIE1976 |
sRGBもっとも一般的な色域 | 99.8% | 99.5% |
DCI P3シネマ向けの色域 | 82.9% | 86.4% |
Adobe RGBクリエイター向けの色域 | 77.2% | 86.7% |
Rec.20204K HDR向けの色域 | 59.6% | 63.7% |
Xiaomi A24iで表示できる色の広さ(色域カバー率)は平凡です。
もっとも一般的な規格「sRGB」で99%をカバー。HDRコンテンツで重要なシネマ向けの規格「DCI P3」では86%カバーします。
印刷前提の写真編集で重視される「AdobeRGB」規格のカバー率は87%です。
エンタメ用途で重要なDCI P3とRec.2020カバー率の比較は上記リンクから確認してください。
IPSパネルによく見られる「IPSグロー」症状が出ています。パネルの四隅に近いほど画面の明るさが下がります。
色ムラの平均値は約8.5%、並のIPSパネルと同等の色ムラです。普通にゲームをプレイしたり、アニメや映画を見る分にはほとんど気にならないでしょう。同じ色を全画面に表示させた時だけ気づきます。
IPSパネルだから視野角が広いです。斜め方向から見ても、画面が白くなったり黄ばんだりする傾向が少ないです(参考:液晶パネルの違いを解説するよ)。
マクロレンズでパネルの表面を拡大した写真です。一般的な液晶パネルで広く見られる「ストライプRGB配列」を確認できます。
パネルの表面がモヤモヤと見えるのはアンチグレア(ノングレア)加工です。周囲の映り込みをカットする効果が得られます。
スペクトラム分析では、緑と赤の純度が著しく低い「白色LED(White LED)」に特徴的なパターンが見られます。
最近の液晶パネルでよく使われる「KSF蛍光体」など、色の純度を高めて色域を拡張する技術は使われていません。
ブルーライト含有量は約28.4%ですが、「Low blue light」モードを有効化すると、TÜV Rheinlandブルーライト認証に必要な25%未満をかんたんに達成できます。
文字のドット感はそこそこです。
ストライプRGB配列自体はテキストの鮮明な表示に有利なものの、23.8インチでフルHD(約207万画素)だとドット密度が低くてクッキリ見えづらいです。
全部で5つの画面モードに対応【sRGBあり】
- Standard(初期設定)
- Energy saver
- Movie
- Low blue light
- sRGB
Xiaomi A24iは全部で5つのカラープロファイルに切り替え可能です。
プロファイルごとに、色温度やコントラスト感(ガンマカーブ)が大きく変わり、自分好みの画質に調整しやすいです。
プロファイル | 色域 | 色温度 | ガンマ |
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Standard | sRGB:99.8% | 6829K | 2.26 |
Energy saver | sRGB:100% | 6819K | 2.25 |
Movie | sRGB:99.8% | 6833K | 2.46 |
Low blue light | sRGB:100% | 4837K | 2.27 |
sRGB | sRGB:98.5% | 6392K | 2.26 |
主観的な感想:普段使いは「Standard」を少し調整するとちょうどいい画質です。「Movie」モードは全体的に黒が締まって見え(ガンマが上昇)、好みに合う人なら有用です。
色の正確さにこだわりたい方は「Standard」のまま、色域モードを「sRGB」に変更します。ΔE < 2.0の正確なsRGB色精度で表示でき、クリエイティブな用途と相性がいいです。
Xiaomi A24iをゲーム用途に使えるの?
Xiaomi A24iはオフィス向けのPCモニターらしいですが、リフレッシュレート「100 Hz」に対応します。
100 Hzならゲーム用に使えるかもしれないので、念のためゲーム性能について詳しく検証します。
- 応答速度
- 入力遅延
- ゲーム向け機能
具体的に「応答速度」「入力遅延」「ゲーム向け機能」の3つを挙げられます。では、Xiaomi A24iのゲーム性能がどれくらい優れているか、専用の機材を使ってテストします。
Xiaomi A24iの応答速度と入力遅延
↑こちらの記事で紹介している方法で、Xiaomi A24iの「応答速度」を測定します。
60 Hz時の応答速度 ※クリックすると画像拡大 |
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60 Hz時(オーバードライブ:高速)の応答速度です。30パターン測定で、平均10.59ミリ秒でした。
あまりにも応答速度が遅すぎてUFOの輪郭線がまったく見えないです。
100 Hz時の応答速度 ※クリックすると画像拡大 |
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100 Hz時(オーバードライブ:高速)の応答速度です。30パターン測定で、平均9.47ミリ秒を記録します。
60 Hz時と同じく遅すぎる応答速度ですが、リフレッシュレートが上がった影響でUFOの姿が少しマシに見えます。
さらに応答速度を高速化できないか、モニターの設定画面からオーバードライブ(応答速度モード)を適用して改善されるかテストします。
OD機能の効果 100 Hz / 4段階をテストした結果 | ||||
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平均値 | 12.17 ms | 11.41 ms | 9.47 ms | 7.18 ms |
最速値 | 6.39 ms | 6.92 ms | 6.41 ms | 5.39 ms |
最遅値 | 20.09 ms | 17.80 ms | 16.48 ms | 12.22 ms |
平均エラー率 | 0.0 % | 0.2 % | 0.4 % | 0.7 % |
全4段階ある応答速度モードの比較です。
どのモードを使っても効き目がマイルドで、「逆残像」や「にじみ」などエラーがまったく発生しません。その代わり、応答速度を高速化する効果も薄いです。
最大設定の「Fastest(最速)」モードですら、平均7ミリ秒台が限界です。結論、Xiaomi A24iにおすすめなオーバードライブ設定は「Fastest(最速)」です。
他のゲーミングモニターと比較します。
Xiaomi A24iが記録した平均7.18ミリ秒は、過去レビューしたゲーミングモニターで最悪クラス。ただし、値段を考えればそれほど悪くない印象も受けます。
激安系で有名なKOORUIなんて平均10ミリ秒ですから、平均7ミリ秒を出せているXiaomi A24iはKOORUIと比較すればはるかにマトモです
「入力遅延(Input Lag)」は、映像ソースやマウス・キーボードからの入力信号を、ゲーミングモニターが実際に認識するまでにかかる時間です。
一般人は気にする必要はありません。競技性が重視される格ゲーやFPSゲームをガチでプレイする、競技ゲーマーが気にするべき指標です。
「Raspberry Pi 4」を使ったカスタム入力遅延テスターで入力遅延を測定した結果、60 Hz時で5.8ミリ秒、100 Hz時で4.6ミリ秒でした。
他のゲーミングモニターと比較します。ほとんどのゲーミングモニターは16ミリ秒を下回ります。入力遅延5.8ミリ秒はまったく問題ないです。
実際のゲームシーンで「100 Hz」は役に立つ?
実際のゲームシーンで「60 Hz」と「100 Hz」の差を体感できるのか、分かりやすく比較写真を用意しました。
(※クリックで画像拡大)
オーバーウォッチ2で比較してみた。100 Hzでも割と効果があって、残像感が少しだけ改善されます。
(※クリックで画像拡大)
原神(フレームレート上限解除)で比較すると、キャラクターの姿(りんかく線)が少しだけ見えるように。
(※クリックで画像拡大)
Apex Legendsにて、敵プレイヤーがいきなり視界に入ってきたシーンを抜粋。
動きの早いシーンだと100 Hzでもかなり効果が分かりやすいです。明らかに100 Hzの方が敵プレイヤーがクッキリと見えます。
Xiaomi A24iにゲーマー向け機能はほとんどない
Xiaomi A24iはどちらかといえばオフィスユーザー向けに本製品を推しているようで、FPSゲーマー向けの機能は必要最低限の内容です。
暗所補正
暗い部分を明るく補正する機能- 鮮やかさ補正
色の付いた部分を強調する機能 残像軽減
残像をクリアに除去する機能- カクツキ防止
可変リフレッシュレート機能
順番にチェックします。
鮮やかさ補正「Saturation」モード
色の鮮やかさを調整する「Saturation」機能です。「1~100段階」でかなり細かく彩度を調整できます。
色の薄いエリア(モノクロ系)も引きづられて彩度が引っ張られてしまい、視認性をいい感じにする調整が難しいです。補正というより単なる「彩度」に思えます。
フルHDで100 Hz(PS5で60 Hz)に対応
Xiaomi A24iは最大100 Hz対応ですが、PS5の状況は不明です。実際にPS5とゲーミングPCにモニターをつないでみて、リフレッシュレートの対応状況を確認しましょう。
PS5の対応状況 ※クリックすると画像拡大 | ||
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設定 | 60 Hz | 120 Hz |
フルHD1920 x 1080 | 対応PS5 VRR:- | –PS5 VRR:- |
WQHD2560 x 1440 | –PS5 VRR:- | –PS5 VRR:- |
4K3840 x 2160 | –PS5 VRR:- | –PS5 VRR:- |
PS5でフルHD(最大60 Hz)に対応します。どうやら100 HzはPS5で有効化できないようです。HDMI 2.1が無いので「PS5 VRR」も非対応です。
対応リフレッシュレート ※クリックすると画像拡大 |
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Xiaomi A24iがパソコンで対応しているリフレッシュレートは以上のとおりです。HDMIとDisplay Portどちらでも100 Hzで使えます。
VRR機能(可変リフレッシュレート) ※クリックすると画像拡大 |
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フレームレートとリフレッシュレートを一致させて「ティアリング」を防ぐ効果がある、VRR機能はDisplay Portのみ使用可能です。動作範囲は48~100 Hzです。
Xiaomi A24iの機能性をチェック
FPSゲーマー向け以外の「機能性」をチェックします。
- エルゴノミクス
高さや角度を調整する機能 - インターフェイス
映像入力端子やUSBポートについて - フリッカーフリー
眼精疲労や過敏症の人は気になる? - OSD
On Screen Display(設定画面)
最近のゲーミングモニターであれば、対応してて当たり前の機能がひととおり揃っています。
自由に位置を調整できる「エルゴノミクス」機能
Xiaomi A24iのエルゴノミクス機能は必要最低限です。
高さ調整や左右スイベル(首振り)に非対応、前後の角度調整のみ対応。可動域は上方向に10.5°、下方向に2.5°でやや狭め、角度調整の動きも硬いです。
安いなりのクオリティだと感じます。
VESAマウント ※クリックすると画像拡大 |
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別売りモニターアームを取り付けるのに便利なVESAマウントは「75 x 75 mm」に対応します。パネル本体の重量はわずか1.68 kg(筆者が実測)で、普通のモニターアームで持ち上げられます。
Amazonベーシック(エルゴトロンOEM)のモニターアームを干渉なく取り付けられます。モニターアームに付属するネジ(4本)を使って固定できます。
Amazonベーシックのモニターアームは適正重量が「2.3 ~ 11.3 kg」です。わずか1.68 kgしかないXiaomi A24iで使うには、アーム側の力が強すぎるので、あえて安物のモニターアームを使ったほうがいいかもしれません。
ただ、筆者はAmazonベーシックのアームしか検証用に持っていないため、他のアームとの互換性は未確認です。
対応するインターフェイスをチェック
各種インターフェイス ※クリックすると画像拡大 |
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全部で2つの映像出力端子があり、DisplayPort 1.4で最大100 Hz(1920×1080)、HDMI 2.0で最大100 Hz(1920×1080)に対応します。
ヘッドホンや小型スピーカーの音出しに便利なイヤホンジャックやアナログ出力(3.5 mm)はありません。
ゲーム機(PS5)から音を出すなら、別売りのUSB DACを使うなど工夫が必要です。
目が疲れにくい「フリッカーフリー」動作
製品ページのどこにも「フリッカー」に関する記載が見当たらないため、懸念している人も多いでしょう。
「TÜV Rheinland認証を取得しているから安心?」・・・早とちりは危険です。Xiaomi A24iはブルーライトカットの項目で認証を取っているだけで、フリッカーフリーに関しては認証を取れていません。
フリッカーフリーを検証 ※クリックすると画像拡大 |
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実際にオシロスコープを使ってフリッカーの有無をテストした結果、明るさ0~100%までフリッカーが一切検出されません。
9900円の激安ながらDC調光を使っています。よってXiaomi A24iは完全なフリッカーフリーに対応します。
モニターの設定画面(OSD)
モニター本体の右裏にある「5方向ボタン(ジョイスティック型)」を使って、OSD設定を操作できます。
激安PCモニターで手抜きになりやすいOSD画面ですが、さすがのXiaomiクオリティ。
大手メーカーの3~5万円クラスによくあるフォルダ階層型レイアウトを採用し、直感的かつスムーズに操作できます。OSDメニューのレスポンス(反応)も良好。
5方向ボタンを右に倒して確定、左に倒して1つ前の項目に戻る(キャンセル)など、他社のいいところを本当によく観察してうまく真似ています。
Xiaomi A24iはこっそり「HDR」に対応
製品ページのどこにも「HDR対応」と記載されていないものの、Xiaomi A24iは一応HDR対応モニターです。
せっかくなのでYoutubeで公開されている「Morocco 8K HDR」と、「原神(HDRモード)」を使って検証します。
結論から、Xiaomi A24iのHDRは対応しているだけ・・・。根本的に明るさが不足気味で、色の鮮やかさ(色域)も足りてません。
原神(HDRモード)に至ってはピーク輝度の不足から来る白飛びに悩まされ、完全に門前払いを受けた印象です。
Display HDR 500相当の性能がある「OMEN 27q」と比較した写真です。輝度が足りないせいで立体感が感じられず、暗部のディティールも微妙です。
(EX-GDQ271JAのほうがメリハリは良い・・・)
次に、以前レビューした「IODATA EX-GDQ271JA」と比較した写真です。
EX-GDQ271JAは明るさの精度(PQ EOTF)が高いため、明暗のメリハリがしっかりと付いています。
参考程度に、Display HDR 1000認証に対応するゲーミングモニターと比較した写真を置いておきます。言うまでもなく、まったく勝負になりません。
モニター測定機材でHDR性能を評価
モニターの色や明るさを測定できる機材を使って、「Xiaomi A24i」のHDR性能をテストします。
測定結果(レポート)はこちら↓からどうぞ。ただし、専門用語がとても多いオタク向けの内容なので、興味がなければ読まなくていいです。
VESA Display HDR HDR性能のテスト結果 | ||
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比較 | テスト対象 Xiaomi A24i | VESA Display HDR 400 |
画面の明るさ |
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黒色輝度 |
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コントラスト比 |
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色域 |
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色深度 |
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ローカル調光 |
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Xiaomi A24iのHDR性能をテストしました。
コントラスト比や色域は合格できますが、画面の明るさが不足です。おおむねDisplay HDR 400認証すら合格できない、典型的なHDRに対応しているだけのPCモニターです。
HDRモードで画面全体に白色を表示したときの明るさを、他のモニターと比較したグラフです。
OLEDパネルよりいくぶんマシな程度で、最近レビューした中でかなり低い明るさです。
HDR時のコントラスト比(理論値)は約1311:1で、IPSパネルの割に高い数値です。
HDRコントラスト比i1 Pro 2で測定した結果 | |
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全画面 | 1311 : 1 |
10%枠 | 1311 : 1 |
3×3分割 | 1310 : 1 |
5×5分割 | 1310 : 1 |
7×7分割 | 1310 : 1 |
9×9分割 | 1310 : 1 |
テストパターン別にHDRコントラスト比を測定、ワーストケースで1310:1です。
HDR規格どおりの明るさを表示できるかチェックする「PQ EOTF」グラフです。
極端に暗い部分(0.001~0.1 cd/m²)はIPSパネルの性能限界でうまく表示できません。1 cd/m²以上からすべての明るさで全体的に暗めにズレていて、インパクトに欠ける画面が仕上がります。
HDR時の色精度(Rec.2020)は最大ΔE = 9.1、平均Δ = 3.99でやや不正確です。表示できる範囲内であれば精度が高いようですが、シアン色と緑色が不足しており、結果的に精度が下がります。
HDR時の色温度は常用シーンの多くで6500K前後(中央値で6445K)に収まっていて、Rec.2020で求められるD65(6504K)にそこそこ近いです。
試験的に導入を始めたICtCp規格による「カラーボリューム(Gamut Volume)」の評価です。
白い枠線がターゲット色域で、内側のカラフルな枠線が実際に表示できた色の広さです。白い枠線が埋まっているほどHDR表示に理想的と考えられます。
Xiaomi A24iの開封と組み立て
段ボールにそのまま製品名「Xiaomi A24i」や製品のイメージ画像を印刷した、コストカットを感じる簡素なパッケージで到着。
サイズは60 x 36 x 10 cm(120サイズ)でかなり薄型です。
発泡スチロール製の分厚い梱包材が使われています。万全の梱包状態です。
中身を引っ張り出すタイプで、反対向きに取り出すと付属品がボロボロとこぼれます。取り出す向きに気をつけるか、広いデスクの上で開封すると安全です。
付属品 |
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映像出力用に、HDMIケーブルが付属します。
最大24 W(12.0 V x 2.0 A)のACアダプターで給電します。PSE認証マーク(名義:小米技術日本株式会社)の記載あり。
アームの挿し込みだけ定番のドッキング方式です。スタンドの固定は付属品のネジ(2本)を、プラスドライバーで固定します。
コンセントに仕込んだ電力ロガーを使って消費電力を1秒ずつ記録したグラフです。数~数十時間のゲーミングモニター検証中に記録しています。
- 中央値:17.9 W
- ピーク値:18.6 W
- 上位25%:18.0 W
- 下位25%:16.9 W
多めに見積もって18 W前後です。
まとめ:激安モニター界の黒船が到来
「Xiaomi A24i」の微妙なとこ
- 応答速度が遅い
- パネルの均一性は平凡
- コントラスト比も平凡
- 初期設定の色温度がズレてる
(かんたんに修正できます) - ゲーマー向け機能が少ない
- エルゴノミクスは「前後チルト」のみ
- 60 Hz時にコントラスト比が下がる
(再現性はぼちぼちで気づかない可能性あり) - PS5は60 Hzまで
- 貧弱すぎるHDR性能
- イヤホンジャックなし
- 1年保証
「Xiaomi A24i」の良いところ
- 23.8インチでフルHD(ちょうどいい)
- 最大100 Hzに対応
- 十分な色域(sRGBで100%)
- 入力遅延が少ない
- 高精度なsRGBモード対応
- 完全なフリッカーフリー対応
- 価格がとても安い
- コストパフォーマンス高い
Amazonで「フルHD モニター」と検索して出てくる99%が約1.2~1.3万円です。
そんな中、今回レビューしたXiaomi A24iは定価で約1.1万円、ポイント還元込で実質1万円を切る凄まじい安さです。肝心の性能も驚異的で、おおむね「お値段以上」と評価できます。
当ブログでレビューした激安モニター「KOORUI」が散々な評価だったため、それより安いXiaomi A24iもまったく期待していませんでしたが、実際の中身は期待をはるかに上回るモノです。
「Xiaomi A24i」の用途別【評価】
使い方 | 評価※ |
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FPSやeSports(競技ゲーミング) 最大100 Hzしかなく、応答速度も遅いです。黒挿入などゲーマー向け機能も欠けています。 | |
ソロプレイゲーム(RPGなど) 普通にプレイできるものの、色域が狭くて鮮やかさに欠けています。 | |
一般的なオフィスワーク 視野角が広く、目にやさしいフリッカーフリーに対応します。精度の高い「sRGB」モードも対応。文字のクッキリさはほどほどです。 | |
プロの写真編集・動画編集 写真編集に求められるAdobe RGB色域が不足しています。「DCI P3」「Adobe RGB」モードがなく、出荷時校正も無いです。プロ用途に不適切です。 | |
HDRコンテンツの再現性 Display HDR 400すら満たせない貧弱なHDR性能です。明るさ(PQ EOTF)も不正確で、HDRコンテンツの再現性に乏しいです。 |
※用途別評価は「価格」を考慮しません。用途に対する性能や適性だけを評価します。
いくつか欠点も見つかっているものの、1万円を切る価格であれば許容できるでしょう。
予算1万円で高画質なゲーミングモニターを探している方へ、「Xiaomi A24i」をおすすめできます。
以上「Xiaomi モニター A24i レビュー:1万円で100 Hzの激安中華ゲーミングモニターを検証」でした。
Xiaomi A24iの代替案(他の選択肢)
記事を書いた時点で、Xiaomi A24iの代替案はまだ見つかってません。
フルHDでおすすめなゲーミングPC【解説】
「RTX 4060」や「RTX 4060 Ti」を搭載したゲーミングPCがおすすめ。よほど負荷が重たいゲームでない限り、フルHDで平均100 fps超を安定して狙える性能です。
おすすめなゲーミングモニター【まとめ解説】
最近こちらのサイトを知ってモニター選びの参考にさせて頂きました。
今回紹介されているモニターの上位版のG27iを購入したのですが、良ければそちらも紹介して頂けたら嬉しいです
Gシリーズと違ってAシリーズはそもそもオフィス用途のモニターで高リフレッシュレートに対応してるというだけで、ゲーミングモニターではないんじゃ…
公式Xでも、G27iと違ってこちらは「モニター」としか言ってないですね…
探せばやたらレビュー良い変なメーカーのと同じ価格帯ではあるけど
Xiaomiでこの値段ならサブ、オフィス用途、Switchの画面出す、カジュアルなゲーム用途にはあまりにも充分
検証乙
気になっていたモニターだったのでこういうレビューはありがたい
ゲーム用途としては微妙だがサブ用途にはいいかもな
モバイル端末の出力用にいいかもね
この価格帯でIPSパネル、VESAマウント、DPサポートまで完備なのはいいね
2枚目3枚目なら十分採用圏に入る
スプリングアームにつけるには軽すぎない?
コメントありがとうございます
供給元(Ergotron)いわく、Amazonベーシックアームの適正重量は「2.3kg~11.3kg」とのことだったので、本体2.0 kgを切るXiaomi A24iと使うのは微妙かもしれないですね….。追記しておきます。
100hzの時点でサブ用だしメイン運用での販売は考えてないんだよな
早く240のも日本市場に投げて欲しい
Xiaomiさん、他にも価格破壊級の製品を数多くラインナップに取り揃えているので、それらも日本市場に投入してほしいな~と思って、今回わざわざレビュー記事を書いた次第です
RedMi G Pro27(H-VAパネル + 1152 zone Mini LED HDR 1000)が5万円など、本当に信じられないコスパ揃いなんですよXiaomiさん
同じくxiaomi のRedMi G Pro27のをレビューされる予定はありますでしょうか?
以前やかもちさんがツイートされているのを拝見して知りとても気になっているのですが、海外含めレビューを見つけられず、購入に踏み切れずにいて…
サブモニターとしては100点のコスパすぎない???
シンプルコスパ良すぎて。。。
さすがXiaomiさん。。。
Acer の VG0 VG270Pbmiipx も検証レビュー気になります!
100HzでFreeSyncを名乗れないからAdaptive-Sync対応とだけ書いてあるんだろうか?
入力端子どこじゃ〜!?
ワシ、なんか勘違いしとる?
検証お疲れ様です
最近パソコンを買うにあたって色々と参考にさせて貰ってます。
購入を検討しています。
表面は非光沢ですか?Amazonのレビューでは、非光沢との記載があってものの、
メーカーでの記載がないです。ご存じの方、教えていただけますか?
よろしくお願いいたします。
同じ価格帯でDell 24 モニター – S2421NXと比較してどちらが優れていますでしょうか