当ブログはWeb広告を導入しています(景表法による表示)

WD Black SN7100レビュー:新たな定番NVMe SSDが誕生【迷ったらこれ級】

Western Digitalのオーパーツ級SSD「WD Black SN770」の後継モデル「SN7100」が発売されました。

とても楽しみにしているSSDだったから、発売された後すぐに買いました。定番のライバルたちを相手にどこまで戦えるか、他のSSDと比較しながら詳しくレビューします。

(公開:2025/2/12 | 更新:2025/2/12

Sponsored Link

WD Black SN7100のスペックと仕様

Western Digital / NAND : KIOXIA製 3D TLC NAND / 性能 : 最大7250 MB秒 / 容量 : 2TB / 耐久性 : 1200 TBW / 保証 : 5年
WD Black SN7100
(WDS000T4X0E)
容量500 GB1000 GB2000 GB
インターフェイスPCIe 4.0 x4 (NVMe 2.0)
フォームファクタM.2 2280(片面実装)
コントローラ非公開
NANDWestern Digital 3D TLC NAND
DRAMなし
HMB(DRAMレス)方式
SLCキャッシュ非公開
読込速度
シーケンシャル
6800 MB/s7250 MB/s
書込速度
シーケンシャル
5800 MB/s6900 MB/s
読込速度
4KBランダムアクセス
760K IOPS1000K IOPS
書込速度
4KBランダムアクセス
1200K IOPS1400K IOPS
消費電力(最大)3.00 W
消費電力(アイドル)50 mW
TBW
書き込み耐性
300 TB600 TB1200 TB
MTBF
平均故障間隔
150 万時間
保証5年
MSRP$ 60$ 80$ 140
参考価格
2025/2時点
9154 円12744 円23353 円
GB単価18.3 円12.7 円11.7 円

WD Black SN7100」は、WD Black SN770やCrucial T500が持っている「定番SSDの座」を塗り替える可能性が高い、Western Digitalの新作モデルです。

公式スペックシートを見る限り、従来モデル「SN770」からシーケンシャル性能を約5000 MB → 約7000 MB/sまで引き上げ、現行PCIe 4.0世代と競合できる性能に変更されました。

搭載NANDメモリも従来と同じく、Western Digital製3D TLC NANDとだけ記載。

つまり、キオクシア(旧東芝メモリ)がいつもどおりNANDメモリを作り、SSDコントローラはWestern Digitalが設計した謎の高性能モデルを使います。

価格設定もSN770と同じくらいを維持しているから、素直に性能が伸びていればコストパフォーマンスの改善を見込めます。

TBW(書き込み耐性)の比較

SSD500 GB1 TB2 TB
WD Black SN7100300 TBW600 TBW1200 TBW
Samsung 990 EVO Plus
990 EVO Plus:レビュー
600 TBW1200 TBW
HIKSEMI FUTURE SSD
HIKSEMI FUTURE SSD:レビュー
1800 TBW3600 TBW
KIOXIA EXCERIA PRO
EXCERIA PRO:レビュー
400 TBW800 TBW

書き込み保証値は容量1 TBあたり600 TBです。

一般的なTLC NAND採用SSDと同等の保証値で、中華ハイエンドのTLC NANDモデルと比較するとやや見劣りしますが・・・。

SSD500 GB1 TB2 TB
KIOXIA EXCERIA PLUS G4
EXCERIA PLUS G4:レビュー
600 TBW1200 TBW
Samsung 990 PRO
990 PRO:レビュー
600 TBW1200 TBW
MOVE SPEED Panther
MOVE SPEED Panther:レビュー
400 TBW800 TBW
KIOXIA EXCERIA PRO
EXCERIA PRO:レビュー
400 TBW800 TBW
WD Blue SN5000
WD Blue SN5000:レビュー
600 TBW900 TBW
KIOXIA EXCERIA PLUS G3
KIOXIA EXCERIA G3 PLUS:レビュー
600 TBW1200 TBW
CFD SFT6000e
CFD SFT6000e:レビュー
600 TBW1200 TBW
Samsung 990 PRO
990 PRO:レビュー
600 TBW1200 TBW
Samsung 980 PRO
980 PRO:レビュー
300 TBW600 TBW1200 TBW
Solidigm P44 Pro
Solidigm P44 Pro:レビュー
500 TBW750 TBW1200 TBW
Crucial P5 Plus
Crucial P5 Plus:レビュー
300 TBW600 TBW1200 TBW
Lexar NM790
Lexar NM790:レビュー
1000 TBW1500 TBW
HIKSEMI FUTURE SSD
HIKSEMI FUTURE SSD:レビュー
1800 TBW3600 TBW
SK Hynix Gold P31
SK Hynix Gold P31:レビュー
500 TBW750 TBW1200 TBW
WD_BLACK SN770
WD_BLACK SN770:レビュー
300 TBW600 TBW1200 TBW
KIOXIA EXCERIA PLUS G2
KIOXIA EXCERIA G2 PLUS:レビュー
200 TBW400 TBW800 TBW
KIOXIA EXCERIA G2
KIOXIA EXCERIA G2:レビュー
200 TBW400 TBW800 TBW
WD Blue SN570
WD Blue SN570 NVMe:レビュー
300 TBW600 TBW
Crucial MX500
Crucial MX500:レビュー
180 TBW360 TBW700 TBW
FireCuda 530
FireCuda 530:レビュー
640 TBW1275 TBW2550 TBW
WD Black SN850
SN850:レビュー
300 TBW600 TBW1200 TBW

過去のSSDレビューで説明しているとおり、容量あたり600 TBの書き込み保証値は(実用上)十分すぎる数値です。

【用途別】TBWを使い切る目安
  • 普通に使った場合:約32.9年
    1日あたり平均50 GBの書き込みを想定)
  • 毎日AAAゲームをDLする:約16.4年
    1日あたり平均100 GBの書き込みを想定)
  • 毎日一眼レフの写真を入れる:約6.6年
    1日あたり平均250 GBの書き込みを想定)
  • 毎日一眼レフの4K~8K素材を入れる:約1.6年
    1日あたり平均1000 GBの書き込みを想定)

ワークロード別の想定耐用年数をざっくり試算してみた。

PS5の増設ストレージやゲーミングPCのメインSSDなど。ごく普通の使い方なら約30年以上もかかる計算になり、5年間のメーカー保証が先に切れるでしょう。

仮に1日100 GB書き込んでも、TBWを使い切るのに約16年です。4K~8K RAW写真や動画素材を毎日のようにゴリゴリと書き込む用途だと5年保証内に切れます。

一般的なPCゲーマーにとって十分すぎる保証値です。

写真や動画で業務に使うなら4倍のTBWがある容量4 TBモデルや、Nextorage Gシリーズなど高耐久モデルを検討してください。

WD Black SN7100を開封レビュー

パッケージデザインと付属品

発売後すぐに、Amazonにて容量1 TBと2 TBモデルを購入しました。それぞれ約1.3万円約2.3万円です。

Western Digital / NAND : KIOXIA製 3D TLC NAND / 性能 : 最大7250 MB秒 / 容量 : 1TB / 耐久性 : 600 TBW / 保証 : 5年
Western Digital / NAND : KIOXIA製 3D TLC NAND / 性能 : 最大7250 MB秒 / 容量 : 2TB / 耐久性 : 1200 TBW / 保証 : 5年

従来モデルのSN770シリーズと同様に、マットブラックな背景にブラッドオレンジ色をアクセントに使った、ゲーミング感あるパッケージデザインを踏襲します。

パッケージの裏面に、Western Digital製品の国内代理店「CFD」を示すシールが貼り付けてあります。

  • SSD本体
  • 説明書

プラスチック製の梱包材にSSD本体がすっぽり収まってます。梱包材の裏側に説明書が挟み込まれていました。

国内代理店のシー・エフ・デー販売株式会社いわく、WD Black SN7100のメーカー保証期間は5年です。

万が一、5年保証を使う必要が出てしまったときは、製品を購入したショップか上記サポート連絡先から問い合わせます。

基板コンポーネント

「SN7100」と記載されたラベルシールがなければ、従来モデル「SN770」とほとんど見分けがつかない瓜二つのデザインです。

マットブラック塗装のプリント基板の中央に、コンポーネントを隠さない形でラベルシールが貼ってあり、部品の詳細を潔く公開しています。

やかもち
中央部分に部品がまったく無いから、Western Digitalはその気になればハンドベルト向け(M.2 2230規格)も用意できそうです。

反対側は各国の認証ロゴや規制ロゴが記載されているだけで、コンポーネントは何もありません。

・・・1点だけ奇妙な変更を見つけました。基板の左下に「SanDisk」のロゴマークがなぜか印刷されているようです。

従来モデル「SN770」の場合、左下にあるロゴマークは「Western Digital」でした。

なぜ今になって、WDが買収して傘下に収めたSanDisk社のロゴを出すようになったのか。やっぱりSanDiskロゴがあった方が一般受けがいいのでしょうか?

基板の表面だけにコンポーネントが実装されているシンプルな「片面実装」のNVMe SSDです。

取付スペースが狭いノートパソコンや、PS5の増設ストレージに使いやすいです。

WD Black SN7100に実装されているコンポーネントを目視で確認します。

  • コントローラ:SanDisk(Polaris 3)
    A101-000101-A1 4384ZM994ZH CHINA
  • DRAM:なし
    なし
  • NAND:SanDisk(KIOXIA 218層 3D TLC NAND)
    022643 1T00 MALAYSIA 4456Y 1GA9038

SanDisk刻印が入った謎のSSDコントローラと、これもまたSanDisk刻印が入った謎のNANDメモリを搭載します。

それぞれ具体的な内容は不明ですが、Western Digital社の内情からざっくり推測は可能です。

SSDコントローラは、Western Digitalが買収して傘下に収めているSanDiskが開発した「Polaris 3」を搭載。PCIe 4.0(Gen4)対応のDRAMレスコントローラです。

判明している情報は以上で終わり。Western Digitalは自社開発のPolarisコントローラについて、SN770が発売されて2年以上が経過した今も沈黙を続けています。

電源管理コントローラ(PMIC)は不明です。刻印「228060B 343160」とだけ記載があるのみ。

DRAMは搭載しません。

メインメモリのごく一部をDRAMキャッシュの代わりに使う「HMB(ホストメモリバッファ)」方式のSSDです。

DRAMが無いと書き込み性能が不利になる傾向がある一方、読み込みワークロードで有利になる傾向もあり、一概にDRAMが無いから悪いとも言い切れないので注意。

やかもち
WD Black SN7100は容量64 MB(65536 KB)のHMBが割り当てられます。

NANDメモリはSanDisk刻印が入った「キオクシア製 218層 3D TLC NAND(BiCS 8)」を採用それぞれ刻印は以下のとおり。

  • 1 TB版:022643 1T00 MALAYSIA 4456Y1GA9038
  • 2 TB版:022644 2T00 CHINA 4804D1HSF069

1 TB版がマレーシア産、2 TB版が中国産と記載されていますが、おそらく最後にパッケージングが行われた工場を示しています。

NANDメモリそのものを製造している企業は、Western Digitalと深い関係(= WD東芝連合)がある、キオクシア(旧東芝メモリ)です。

次に使われているNANDメモリのスペックですが・・・

SN7100に乗っているNANDチップの数から、消去法で求められます。

容量1 TBと2 TBどちらも、たった1個のチップで実装できているため、物理的に搭載できるNANDメモリは「218層 3D TLC NAND(BiCS 8)」に限られます。

補足:少ないチップ数で大容量を実現するには、記憶密度の高いNANDメモリが必要です。世代ごとに記憶密度が違うから、少量で大容量なほど最新世代だと推測できます。

キオクシア(旧東芝メモリ)がCBA技術(CMOS directly Bonded to Array)を使って初めて製造する、最新世代のNANDメモリです。

積層数こそ218層で、ライバル他社の232~238層に出遅れ感があるものの、CBA技術のおかげで高速性能と横方向の密度に優位性があります。

記憶密度はライバル製200層超NANDが14.5~15.03 Gbit/mm²前後にとどまる中、CBAで製造されるキオクシア製218層NANDは少なくとも18.0 Gbit/mm²以上です。

性能面の優位性も強く、キオクシア製218層はメーカー公称値で最大3200 MT/sに対応します。市販モデルにはHigh-Kメタルゲートを導入した改良版(最大3600 MT/s)を使っています。

競合製品だと最大2400 MT/sに制限され、最大3600 MT/sに対して1.5倍もの性能差です。

しかし、WD Black SN7100に搭載された「Polaris 3」コントローラ側のインターフェイス速度が最大2400 MT/s程度で、公称シーケンシャル性能が7000 MB/s級にとどまります。

やかもち
Gen5対応の「EXCERIA PLUS G4」と同じNANDメモリを使っている可能性が高いです。

1 TB:1024 Gb x 4 x 2 = 8192 Gb(1024 GB)

NANDメモリの構成をチェックします。

WD Black SN7100(容量1 TB)では、記憶密度が1024 Gb(= 128 GB)のチップを8枚重ねたNANDメモリを、全部で1個だけ実装して合計8192 Gb(= 1024 GB)の容量に仕上げます。

容量2 TB版は同じく記憶密度1024 Gb(= 128 GB)ですが、縦になんと16枚も重ねる力技により、たった1個で合計16384 Gb(= 2048 GB)に達します。

16枚重ねたバージョンの存在を確認できたから、容量4 TB版や容量8 TBも期待できそうです。

8 TB版(片面実装)のイメージ図

NANDメモリの配置を少し右に寄せれば、チップを2個で容量4 TBの出来上がりです。もっと寄せて4個なら容量8 TBが実現します。

ちなみに、容量ごとにNANDメモリの厚みが違います。

  • 1 TB版:1.88 – 0.95 = 0.93 mm
  • 2 TB版:2.01 – 0.95 = 1.06 mm

2 TB版は1 TB版より、約14%(0.13 mm)分厚いです。8枚 → 16枚まで重ねても、意外と厚みが増さないようです。

【注意点】面積を広げて大容量化した可能性あり

NANDメモリを重ねれば重ねるほど、1チップを大容量化できる一方で、製造コストも跳ね上がってしまいます。SN7100の容量1 TBと2 TBの価格差を見るに「16枚重ね」はちょっと怪しいです。

キオクシア純正NANDメモリと、今回のSanDisk刻印モデルのパッケージサイズを比較しました(デジタルノギスで測定)

なんとSanDisk版だと純正版よりも面積が約1.5倍も広いです。面積1.5倍なら同じ容量に必要な縦の枚数を、3分の2に減らせます。

実際にデータを記録する部分だけを重ねていく都合上、おそらく半分の枚数で同容量を実現している可能性を考えられます。

追記:162層(BiCS6)の可能性もあり

WD Black SN850(8 TB版)で、1チップで容量2 TBの162層(BiCS6)が存在します。キオクシアが容量8 TB向けに、わざわざ旧世代で記憶密度1 Tb版を作っていたようです。

しかし、このような特注品は製造コストがとても高くなるため、手頃な価格で済んでいるSN7100(2 TB版)に使っているかどうか怪しいです。

やかもち
てっきり1世代前の162層(BiCS6)を使っていると思っていたから、まさかの218層(BiCS8)でびっくり。

WD Black SN7100の性能をベンチマーク

テスト環境を紹介

テスト環境
「ちもろぐ専用:SSDベンチ機」
CPUCore i7 13700K16コア24スレッド(TDP:125 W)
CPUクーラー虎徹Mark III120 mmサイドフロー空冷
マザーボードBIOSTARZ790 Valkyrie
メモリDDR5-6000 16GB x2G.Skill Trident Z5 Neo RGB
グラフィックボードRTX 4060 Ti
テスト対象WD Black SN7100 1TB
システムSSDHIKSEMI FUTURE70-02TB 2TB
電源ユニット850 WCorsair HX850i 2021
OSWindows 11 Pro検証時のバージョンは「22H2」
ドライバNVIDIA 536.40 WHQL
ディスプレイ3840 x 2160@160 Hz使用モデル「TCL 27R83U

SSDベンチマークに使用する専用の機材です。

最大15.76 GB/sまで対応できるPCIe 5.0世代の「Intel Z790」マザーボードに、シングルスレッド性能が非常に速い「Core i7 13700K」を搭載。

Ryzen 9 5950X超えのマルチスレッド性能と、現行最強クラスのシングルスレッド性能で、最大14000 MB/s超えの次世代Gen 5 SSDも難なく処理できます。

SSDのセットアップについて
SSDベンチマークのセットアップ

原則として、CPUに直結したM.2スロットまたはPCIeスロットにテスト対象のSSDを接続します。チップセット経由だと応答速度が低下※してしまい、SSD本来の性能を検証できません。

ベンチ機に採用した「Z790 Valkyrie」は、PCIe 5.0対応のM.2スロットを1本、PCIeスロットを2本備えます。複数の爆速SSDをCPUに直結できる稀有なマザーボードです。

※チップセット経由による性能低下はAMDチップセットだと緩和されますが、CPU直結時と比較して性能が下がる傾向自体は同じです。

SSDの冷却について
SSDベンチマークのセットアップ

SSDを熱から保護するサーマルスロットリングによって性能に悪影響が出ないように、以下のような手段でテスト対象のSSDを冷却しながらベンチマークを行います。

  • M.2ヒートシンク「Thermalright HR-09」を装着
  • 120 mmケースファンを至近距離に設置して冷却

SSDを徹底的に冷やして、サーマルスロットリングがテスト結果に影響を与えないように対策しています。

なお、10分間の温度テスト時のみM.2ヒートシンクとケースファンを取り除いて、温度の上昇を観察します。

SSDドライブ情報と利用できる容量

WD Black SN7100をベンチマーク(Crystal Disk Info)
  • インターフェース:NVM Express
  • 対応転送モード:PCIe 4.0 x4
  • 対応規格:NVM Express 2.0
  • 対応機能:S.M.A.R.T. / TRIM / VolatileWriteCache

「WD Black SN7100」の初期ステータスをCrystal Disk Infoでチェック。「PCIe 4.0 x4」で接続されています。

対応規格がNVM Express 1.4から、最新のNVM Express 2.0に更新されました。なお、NVMe 2.0に切り替わっても、一般用途だと目立った違いが無いです。

WD Black SN7100をベンチマーク(フォーマット時の空き容量)

フォーマット時の初期容量は「931 GB(1 TB版)」と「1862 GB(2 TB版)」でした。

実際に搭載されているNANDメモリ全体の約2.3%(1 TB = 24 GB / 2 TB = 48 GB)を予備領域に割り当てる一般的な対応です。

だから、ユーザー側が実際に使える容量が1024 → 1000 GBに、2048 → 2000 GBに目減りします。

やかもち
大手メーカー製SSDによくある保守的な予備領域設定です。

純正ソフト「WD Dashboard」

「WD Dashboard」※クリックで画像拡大します

Western Digital公式サイトから無料でダウンロードできる、純正ユーティリティ「WD Dashboard」に対応します。

SSDの基本ステータス(S.M.A.R.T.情報)を見たり、書き込みキャッシュを有効 / 無効化したり、健康状態のレポートを出力する機能もあります。

ただし、Samsung SSDのようにOP領域(オーバープロビジョニング容量)を任意で指定する設定は見当たりませんでした。

SSD本体の制御ソフトウェア(ファームウェア)の更新も可能です。

クローンソフト「Acronis True Image」

「Acronis True Image for WD」※クリックで画像拡大します

WD Black SN7100を購入したユーザー限定で、SSDクローンソフト「Acronis True Image for WD」を5年間使えます

SSDのクローン画面※クリックで画像拡大します

ソースディスク(クローン元)と、ターゲットディスク(クローン先)を選んで、「ブータブルOSを含むクローンを作成」でSSDのクローンがあっさり完成です。

最後のオプション画面から、クローンしない領域(フォルダやファイル)を任意で選ぶ「除外設定」もできます。

やかもち
Samsung SSDと同じくらい充実したソフトウェア対応です。

Crystal Disk Mark 8

「Crystak Disk Mark 8」は、日本どころか世界で一番有名と言っても過言ではない、定番のSSDベンチマークソフトです。性能の変化をチェックするため、初期設定の「1 GiB」に加え、最大設定の「64 GiB」もテストします。

Crystal Disk Mark 8の結果※クリックで画像拡大します
WD Black SN7100をベンチマーク(Crystal Disk Mark 8)WD Black SN7100をベンチマーク(Crystal Disk Mark 8)
テストサイズ:1 GiB(MB/s)テストサイズ:64 GiB(MB/s)
WD Black SN7100をベンチマーク(Crystal Disk Mark 8)WD Black SN7100をベンチマーク(Crystal Disk Mark 8)
テストサイズ:1 GiB(レイテンシ)テストサイズ:64 GiB(レイテンシ)

シーケンシャル読み込みが約7100 MB/s超え、シーケンシャル書き込みが約6500 MB/s前後です。

読み書きともにメーカー公称値に少し届かないですが、Intel Coreプラットフォームの限界です。AMD Ryzenプラットフォームなら公称値に張り付きます。

テストサイズを64 GiBに変更して性能の変化をチェックすると、シーケンシャル性能はほとんど維持し、ランダムアクセス性能(RND4K Q1T1)がやや下がった程度です。

DRAMレス(HMB:ホストメモリバッファ)方式のSSDなら、シーケンシャルも大きく下がる傾向がありますが、WD Black SN7100は大幅に緩和されています。

なお、下がったからと言って実際の利用シーンで問題や不具合は起きません。

WD Black SN7100(Crystal Disk Mark 8で応答時間を比較)

体感性能や実用性能に影響が大きい、4KBランダムアクセスのレイテンシ(応答時間)の比較グラフです。

WD Black SN7100は30.26 μsを叩き出し、TLC NAND型SSDとして過去に例がない最速記録を更新します。

直近でレビューした「EXCERIA PLUS G4」が更新した記録をあっさりと抜き去ります。

やかもち
今までなかなか突破できなかった「40 μs(= 100 MB/s)」の壁を完全に超えてしまいました。
WD Black SN7100(Crystal Disk Mark 8で応答時間を比較)

一方、書き込みレイテンシは平凡です。ちなみに上位勢はPhison系コントローラに独占されています。

ATTO Disk Benchmark

WD Black SN7100をベンチマーク(ATTO Disk Benchmark)

ATTO Disk Benchmarkは、テストファイルを小刻みに分割してSSDのスループット(シーケンシャル性能)を測定し、SSDがピーク性能を出しやすいファイルサイズを探るベンチマークソフトです。

ベンチマーク結果からSSDの評価が非常に分かりにくいので、表計算ソフトを使ってグラフ化して他のSSDと比較します。

WD Black SN7100をベンチマーク(ATTO Disk Benchmark)
WD Black SN7100をベンチマーク(ATTO Disk Benchmark)

小さいファイル領域(2 KB ~ 16 KB)で、若干スピードを出しづらい傾向を従来モデル(SN770)から引きずっている様子。

小回りの良さでHIKSEMI(MAP1602A)に依然として目立った優位性があります。

WD Black SN7100をベンチマーク(ATTO Disk Benchmark)
WD Black SN7100をベンチマーク(ATTO Disk Benchmark)

書き込み性能も似た傾向が見られ、小さいファイル領域でわずかにHIKSEMI(MAP1602A)に一歩劣っています。16 KB以上からHIKSEMIを超えるトップスピードです。

やかもち
基本的なベンチマークは以上です。次は実戦テストでWD Black SN7100の実力を確かめます。

WD Black SN7100を実運用で試す

FF14のロード時間を比較

FF14:暁月のフィナーレ(ベンチマークモード)で、ゲームロード時間を測定します。ベンチマーク終了後に、ログファイルからロード時間を読み取ります。

WD Black SN7100をベンチマーク(FF14のゲームロード時間)

WD Black SN7100のロード時間はわずか「5.76秒」でした。従来モデルのSN770より大きく改善され、中華ハイエンドシリーズに匹敵するロード時間です。

FPSタイトルのロード時間を比較

PCMark 10 Professional Edition(有償版)で利用できる機能を使って、「Battlefield V」「Call of Duty Black Ops IV」「Overwatch 2」のロード時間を測定します。

なお、測定されたロード時間は各スコアから逆算された概算値(ざっくりとした予想値)です。実際のロードとは異なっているので注意してください。

WD Black SN7100をベンチマーク(Battlefield Vのゲームロード時間)
WD Black SN7100をベンチマーク(Call of Duty Black Ops IVのゲームロード時間)
WD Black SN7100をベンチマーク(Overwatch 2のゲームロード時間)

Call of DutyとOverwatch 2で、WD Black SN7100がCrucial T500に匹敵するトップクラスです。Battlefiled Vだけイマイチ振るわず、Crucial T500に大きく差をつけられます。

DirectStorageのロード時間を比較

DirectStorage APIとは何か?

Windows 11はゲームのロード時間を大幅に短縮する「DirectStorage API」に対応しています。

SSDに保存されているゲームデータをメインメモリに送り込み、メインメモリからVRAMに流し込みます。入ってきたデータをGPUの凄まじい演算性能で展開(解凍)し、ゲームロード時間を短縮する技術です。

NVMe SSDからメインメモリにデータを転送する部分で、SSDのシーケンシャル性能が重視されます。SATA SSDよりNVMe SSD、同じNVMe SSDでもPCIe 4.0やPCIe 5.0の方が有利になる可能性が高いです。

WD Black SN7100をベンチマーク(DirectStorage APIのゲームロード時間)
WD Black SN7100をベンチマーク(DirectStorage APIのゲームロード時間)

CPUで展開する場合はCPUの演算性能がボトルネックになってしまい、SSDの性能差がそれほど確認できません。

WD Black SN7100をベンチマーク(DirectStorage APIのゲームロード時間)
WD Black SN7100をベンチマーク(DirectStorage APIのゲームロード時間)

GPU展開(RTX 4060 Tiで展開)では、シーケンシャル性能に比例した性能差ハッキリと出ます。

WD Black SN7100は0.21秒(20.18 GB/s)前後で、シーケンシャル性能が10000 MB/sに達するEXCERIA PLUS G4に並ぶDirectStorage性能でした。

過去レビューしてきたGen4世代のNVMe SSDで最速記録です。DirectStorageに対応するAAAゲーム(例:モンハンワイルズ)にコスパの良いSSDになりそうです。

補足:絶対値でコンマ秒レベルの差に過ぎません。実用上のロード時間はおそらく同じに感じます。

ファイルコピーにかかった時間

Windows標準のコピペ機能と目視によるストップウォッチでは正確性に欠けるので、ファイルコピーに便利なフリーソフト「DiskBench」を使って、ファイルコピーに掛かった時間を計測します。

  • ゲームフォルダ(容量85.3 GB / 81424個)
  • 写真ファイル(容量113 GB / 5012枚)
  • 圧縮データ(容量256 GB / zipを2個)

以上3つの素材をファイルコピーテストに使います。ソース(基準となるストレージ)は安定した性能に定評がある「Optane SSD P5810X 400GB」です。

WD Black SN7100をベンチマーク(ファイルコピーに掛かった時間)
WD Black SN7100をベンチマーク(ファイルコピーに掛かった時間)
WD Black SN7100をベンチマーク(ファイルコピーに掛かった時間)

拡大グラフはこ

書き込み(Optane P5810X → WD Black SN7100)のコピペ時間です。

写真フォルダからゲームフォルダ、Zipファイル(256 GB)まで、WD Black SN7100が一貫してトップクラスの仲間入りを果たします。

1 TB版ですらZipファイルの書き込みを最速クラスの速度で終えてしまい、広大なpSLCキャッシュをハイスピードで展開できる可能性を強く示唆します。

やかもち
256 GB分のコピペを1分ちょっとで終えています。1秒あたり3800 MBもの猛スピードです。
WD Black SN7100をベンチマーク(ファイルコピーに掛かった時間)
WD Black SN7100をベンチマーク(ファイルコピーに掛かった時間)
WD Black SN7100をベンチマーク(ファイルコピーに掛かった時間)

拡大グラフはこ

次は読み込み(WD Black SN7100 → Optane P5810X)のコピペ時間です。

従来比で若干の性能アップにとどまり、P44 ProやT500と同程度の読み出し性能に残念ながら届きません。

比較グラフをよく見ると、シーケンシャル性能の割にコピー時間が遅いSSDがポツポツと見られます。

なぜシーケンシャル性能の割に遅いSSDが出てしまうのか。理由は単に「間髪入れずに次のコピーテストを実行」しているからです。

  • Zip(256 GB)→ 写真(113 GB)→ ゲーム(85.3 GB)の順番

SSDは書き込み性能を稼ぐためにSLCキャッシュを使って耐える製品が多いですが、このSLCキャッシュの回復が遅いと・・・次のコピーテストに間に合わずTLC NAND本来の性能でテストが実行されます。

SLCキャッシュをスピーディーに再展開できるかかどうかも実力の内と(筆者は)考えているので、コピーテストは間髪入れず次から次へと実行します。

Premiere Pro CC:4K動画プレビュー

動画編集ソフト「Adobe Premiere Pro CC」に、4K動画素材(448 MB/s)と2K動画素材(175 MB/s)を読み込み、2つの動画を同時にプレビューします。

Premiere Proの動画素材プレビューは、素材を配置しているストレージの性能に影響を受けやすく、SSDの性能が不足すると「コマ落ち」が発生しやすいです。

Premiere Proの標準機能「コマ落ちインジケータ」で落としたフレームを測定し、動画素材の総フレーム数で割ってドロップフレーム率を計算します。

WD Black SN7100をベンチマーク(Premiere Pro 4Kプレビュー)

4K + 2K動画プレビューのドロップフレーム率は約10.0%です。2 TB版が約9.6%を記録します。

ようやくHIKSEMI FUTUREに匹敵するプレビュー性能のNAND型SSDが登場しました。

2 TB版はNAND型SSDでそう簡単に超えられない「10%の壁」をあっさり突破し、中華ハイエンドシリーズ(MAP1602A)に並びます。

WD Black SN7100をベンチマーク(Premiere Pro 4Kプレビュー)

4K動画プレビューのドロップフレーム率は0%で見事に完封。

従来モデルのSN770がギリギリ完封できなかったテストを克服したかたちです。

やかもち
3K動画素材(@251 MB/s)以下は、ドロップフレーム率「0%」で問題なし。比較グラフは省略します。

PCMark 10:SSDの実用性能

PCMark 10 Professional Editionの「Full System Drive Benchmark」を使って、SSDの実際の使用シーンにおける性能を測定します。

Full System Drive Benchmarkには23種類のテストパターン(Trace)が収録されており、パターンごとの転送速度や応答時間を測定し、SSDの実用性能をスコア化します。

なお、SSDは空き容量によって性能が大きく変化する可能性があるため、空き容量100%だけでなく容量を90%埋めた場合(= 空き容量10%)のテストも行いました(※2回:連続で約2時間のワークロード)

WD Black SN7100の実用性能(PCMark 10 ストレージスコア)
WD Black SN7100の実用性能(PCMark 10 ストレージスコア)
WD Black SN7100の実用性能(PCMark 10 ストレージスコア)

拡大グラフはこ

WD Black SN7100(1 TB)のストレージスコア(空き容量10%時)は「3733点」です。空き容量100%なら4534点です。

空き容量による性能低下は約18%に達します。

WD Black SN7100(2 TB)のストレージスコア(空き容量10%時)は「3789点」で同等レベル、空き容量100%なら4560点でほぼ同じ。

空き容量による性能低下は約17%に達しており、大容量化で得られるはずの性能低下を抑える効果がやや弱いです。

Crucial T500が持つ4000点台に届かないものの、HIKSEMI(MAP1602A)シリーズをわずかに上回るスコアまで伸ばせています。

やかもち
スコアの内訳を確認して、性能の下落幅が大きいタスクを見てみよう。
WD Black SN7100の実用性能(PCMark 10 Adobeソフト)
WD Black SN7100の実用性能(PCMark 10 ゲームロード時間)
WD Black SN7100の実用性能(PCMark 10 ファイルコピー)
WD Black SN7100の実用性能(PCMark 10 Microsoft Office)

PCMark 10ストレージテストの細かい内訳を確認します。

10%時スコアの悪化に大きく貢献した項目は・・・意外にも「ゲームロード」評価です。

特に1 TB版の下落幅が目立っていて、従来モデルのSN770を下回ります。2 TB版でSN770に並びます。

Adobe評価とOffice評価も性能の伸び幅があまり大きくなく、ファイルコピー評価だけ従来モデルから伸びています。

実用スコアの内訳
Full System Drive Benchmark
Adobe ScoreAdobe Acorbatの起動
Adobe After Effectsの起動
Adobe Illustratorの起動
Adobe Premiere Proの起動
Adobe Lightroomの起動
Adobe Photoshopの起動
Adobe After Effets
Adobe Illustrator
Adobe InDesign
Adobe Photoshop(重たい設定)
Adobe Photoshop(軽量設定)
Game ScoreBattlefield Vの起動(メインメニューまで)
Call of Duty Black Ops 4の起動(メインメニューまで)
Overwatchの起動(メインメニューまで)
Copy Score合計20 GBのISOファイルをコピー(書き込み)
ISOファイルを作成してコピー(読み込みと書き込み)
ISOファイルをコピー(読み込み)
合計2.37 GBのJPEGファイルをコピー(書き込み)
JPEGファイルを作成してコピー(読み込みと書き込み)
JPEGファイルをコピー(読み込み)
Office ScoreWindows 10の起動
Microsoft Excel
Microsoft PowerPoint

15分間の連続書き込みテスト

1 MBのテストファイルを15分間に渡って、ただひたすら連続して書き込み続ける過酷な検証方法です。

一般向けに販売されているほとんどのSSDは、数分ほど連続して書き込むだけで「素の性能」を明らかにできます。SLCキャッシュの有無やサイズ、キャッシュが切れた後の性能低下などなど。

15分の連続書き込みテストによって、SSDのいろいろな挙動が判明します。

WD Black SN7100の連続書き込み性能(15分)をテスト
WD Black SN7100の連続書き込み性能(15分)をテスト

(1枚目:比較グラフ / 2枚目:強調グラフ

テスト開始から約360 GBまで、平均4600 MB/s超の猛スピードを維持し、その後pSLCキャッシュがスコーンと枯渇して平均670 MB/s程度まで落ち込みます。

従来モデル(SN770)の平均600 MB/sから、少しだけ素の書き込み性能が改善されました。

容量2 TB版はテスト開始から約730 GBまで、平均4600 MB/s超の猛スピードを維持し、pSLCキャッシュが枯渇したあと平均850 MB/s程度でテストを終えます。

やかもち
最大で空き容量の3分の1までpSLCキャッシュ化する仕様です。
キャッシュ構造平均書込速度
(Average)
1段階
pSLCキャッシュ
3704 MB/s
2段階
pSLC + TLC
1060 MB/s
3段階
TLCネイティブ
535 MB/s

ブロックファイルを約900 GB書き込んで、キャッシュ構造をさらに深堀りします。

混合モード(pSLC + TLC)から始まり、途中でpSLCモードが展開されて平均3700 MB/s超の爆速モードに入ります。

約260 GBの書き込みでpSLCキャッシュがふたたび枯渇してTLCネイティブモードへ移行します。なお、移行したあとも瞬間的に混合モードが発動しているようです。

キャッシュ構造平均書込速度
(Average)
1段階
pSLCキャッシュ
3603 MB/s
2段階
pSLC + TLC
2529 MB/s
3段階
TLCネイティブ
739 MB/s

容量2 TBもテストします。ブロックファイルを約1800 GB書き込んで、キャッシュ構造を調べました。

最初からpSLCモードが展開されて平均3600 MB/s超の爆速モードを約490 GBも続けたあと、混合モード(pSLC + TLC)に移行します。

約300 GBくらい混合モードを続けたあと、ようやくTLCネイティブモードに戻りました。1 TB版と同じく、ネイティブモードでも瞬間的に混合モードが発動します。

(空き容量:100%時)

一度に展開できるpSLCキャッシュは安定して250 GB前後です。わずかに途切れる瞬間もありますが、平均3800 MB/s前後の速度を維持し、完全に切れると600 MB/s台に落ち着きます。

pSLCキャッシュの再展開は非常にスピーディーで、書き込みを終えた後すぐに爆速モードで書き込めます。

(空き容量:10%時)

空き容量が200 GBの状態で再度テスト。

pSLCキャッシュによる爆速モードが即座に復活しますが、約82 GBでキャッシュが切れて600 MB/s台に戻ってしまいました。

WD Black SN7100は、ざっくり空き容量の3分の1程度までpSLCキャッシュとしてハイスピードに展開できる仕様です。

やかもち
pSLCキャッシュ制御の「小回り」がよく効きます。テストを終えてすぐにデカいファイルを投げてスッと3000 MB/s超で始まる良好な使用感です。
WD Black SN7100の連続書き込み性能(15分)をテスト

時間あたりの書き込み量を比較したグラフです。

WD Black SN7100は15分で約902 GBを書き込みます。なんと従来モデルのSN770とまったく同じです。

容量2 TBで約1324 GBまで伸ばせますが、容量が半分のHIKSEMIにやや負けています。

SSDの動作温度をテスト

高負荷時のセンサー温度

WD Black SN7100で表示される温度センサー
  • ドライブ温度:NANDメモリの温度
  • ドライブ温度2:SSDコントローラの温度
  • ドライブ温度3:NANDメモリの温度

モニターソフト「HWiNFO」で表示できる温度センサーはぜいたくに3つです。

WD Black SN7100のSSD温度をテスト(高負荷時)

ケースファンによるエアフローを一切与えない環境で、SSDが激しく発熱しやすい「連続書き込みテスト」を10分間実行しました。

テスト開始から急速に温度が上昇し続けますが、なかなかサーマルスロットリングが発動しなかったです。

結局、サーマルスロットリングよりも先にpSLCキャッシュが枯渇して性能が下がり、SSDの温度も下がります。

WD Black SN7100のSSD温度をテスト(高負荷時)

容量2 TB版も検証しました。

1 TB版より温度上昇がさらに激しくなり、最終的にSSDコントローラ温度が102℃に達します。

102℃になってもサーマルスロットリングらしき症状が発生せず、pSLCキャッシュが枯渇するまで温度が振り切っています。

やかもち
HWiNFOを使ったセンサー読みだと、サーマルスロットリングの有無を判断できない仕様です。

サーモグラフィーで表面温度を確認

テスト開始から約8~9分経過したあたりで、サーモグラフィーカメラを使ってSSDの表面温度を撮影します。

  • NANDメモリ(左):61 ~ 62
  • DRAMキャッシュ(中央):なし
  • SSDコントローラ(右):80 ~ 81℃

SSDコントローラの表面温度は、HWiNFOが表示するセンサー読みから10℃もズレてます。実際の温度よりも高い温度を表示する仕様です。

個人的に低くズレているとサーマルスロットリングの判定が甘くなりそうで怖いですが、WD Black SN7100は高めにズレているから特に問題ないでしょう。

センサー読みで90℃超でも、本体は80℃程度です。

容量2 TB版も同じように表面温度をチェックします。

  • NANDメモリ(左):84 ~ 85
  • DRAMキャッシュ(中央):なし
  • SSDコントローラ(右):95 ~ 96℃

1 TB版と同じく、やはり実際の温度よりも高い数値を表示する仕様です。センサー読みで102℃のとき、表面温度は92~96℃をうろうろと上下します。

表面温度が上下する → 非常にきめ細やかなサーマルスロットリングを挟んでいる挙動です。そこまで神経質になる必要はないです。

GLOTRENDS / M.2 2280対応 / サイズ:22 x 70 x 3 mm

別売りのM.2ヒートシンクはなくても大丈夫です。

何もつけずにケースファンで風を当てるか、マザーボード付属のM.2ヒートシンクがあったら取り付けるくらいで十分。

しいて言うなら、NANDメモリ側がかなり発熱する2 TB版はM.2ヒートシンクを推奨して良さそうです。

マザーボード付属のM.2ヒートシンクはネジの締めすぎに要注意。締めすぎると基板に圧力がかかりすぎてSSDの故障につながります。
やかもち
SN770はセンサー < 表面温度だったけど、SN7100は表面温度 < センサーに改良されています。

ワットパフォーマンス「2倍」は本当なの?

「現行製品(4)より最大速度での電力効率が最大100%向上しています。」

Western Digitalのプレスリリースいわく、WD Black SN7100は従来モデル比(SN770)で、ワットパフォーマンスが最大100%(2倍)向上したらしいです。

本当にワットパフォーマンスが2倍も上がるのか、検証します。

SN7100 vs SN770で消費電力を比較

項目アイドル時書き込み読み込み
消費電力
中央値
1.00 W4.17 W4.25 W
性能
平均レート
3407 MB/s3545 MB/s
電力効率
1ワットあたり性能
818 MBs/W835 MBs/W

WD Black SN770(1 TB)の消費電力が、書き込み時に平均4.17 Wで、読み込み時は平均4.25 Wでした。

消費電力1ワットあたりの平均転送レートを求めると、それぞれのワットパフォーマンスが800 MB/s(1 Wあたり)前後と計算できます。

項目アイドル時書き込み読み込み
消費電力
中央値
1.07 W3.14 W2.69 W
性能
平均レート
4066 MB/s4079 MB/s
電力効率
1ワットあたり性能
1297 MBs/W1517 MBs/W

次にWD Black SN7100(1 TB)の消費電力です。書き込み時に平均3.14 Wで、読み込み時は平均わずか2.69 Wでした。

消費電力1ワットあたりの平均転送レートを求めると、それぞれのワットパフォーマンスが1300~1500 MB/s(1 Wあたり)前後に達します。

あとは両者のワットパフォーマンスを割り算して、効率の向上率を求めて比較完了です。

  • 書き込み時:約1.59倍(+59%)
  • 読み込み時:約1.82倍(+82%)

読み込み時なら、メーカー公称値の2倍(+100%)にそこそこ近い数値でした。

実際のファイルコピーを使わず、I/Oシミュレーターソフトを使って擬似的に速度を出せば、おそらくメーカー公称値の2倍に達する雰囲気です。

やかもち
実効レートで1.8倍・・・ めちゃくちゃ効率良くなってて凄いけど、アイドル時の消費電力はまったく同じですね。

まとめ:数ヶ月ぶりに「定番SSDの座」を奪還!

(Crucial T500より推せます)

「WD Black SN7100」のデメリットと弱点

  • DRAMキャッシュなし
  • 素の書き込み性能は平凡
  • 高負荷時の温度が高い
  • 空き容量による性能低下あり

「WD Black SN7100」のメリットと強み

  • 最大7000 MB/s超のシーケンシャル性能
  • ずば抜けたランダムアクセス速度
  • ゲームロード時間が速い
  • 広大かつ迅速なpSLCキャッシュ
  • 十分な耐久性(600 ~ 1200 TBW)
  • 大容量モデルあり(最大4 TB)
  • 片面実装で扱いやすい
  • WD純正ソフトウェアに対応
  • ファームウェア更新に対応
  • 「Acronis True Image (5年)」
  • 5年保証
  • コストパフォーマンスが高い

かつて一世を風靡した名作SSD「WD Black SN770」の後継モデルである、「WD Black SN7100」は後継にふさわしい性能を引っ提げてきて満足度がとても高いです。

ハイエンドSSD市場を荒らした中華(MAP1602A)シリーズ並の性能に、Western Digital純正モデルならではの充実したソフトウェアサポートが付属します。

「WD Dashboard」でファームウェアの更新や、健康状態のレポート出力が可能です。「Acronis True Image for WD(5年間)」でSSDのバックアップやクローンもできます。

2025年に入って以降、中華SSDのガチャ率が上昇している事情もあり、搭載パーツの信頼性の高さもWD Black SN7100の大きなメリットです。

最後にCrucial T500との比較ですが、T500は読み出しワークロードが強い代わりに、書き込み性能がやや弱いです。WD Black SN7100は逆の傾向で、書き込み性能もそこそこ維持します。

総合的にバランスが取れている「SN7100」の方が、より万人向けにおすすめしやすい新たな「迷ったらこれ級」です。

以上「WD Black SN7100レビュー:新たな定番NVMe SSDが誕生【迷ったらこれ級】」でした。

やかもち
「高性能」「信頼性」「ソフトウェア」すべてが、まっとうな価格で揃っている優等生です。

「WD Black SN7100」を入手する

Western Digital / NAND : KIOXIA製 3D TLC NAND / 性能 : 最大7250 MB秒 / 容量 : 1TB / 耐久性 : 600 TBW / 保証 : 5年
Western Digital / NAND : KIOXIA製 3D TLC NAND / 性能 : 最大7250 MB秒 / 容量 : 2TB / 耐久性 : 1200 TBW / 保証 : 5年

レビュー時点の価格は容量1 TB版が約1.3万円、容量2 TBが約2.3万円です。今後のタイムセールで目玉商品になりそうな予感がひしひしとします。

おすすめなSSDを解説

NVMe SSDのおすすめレビュー記事

Sponsored Link

21 件のコメント

  • モンハンベンチでお疲れのところレビュー助かります
    BiCS 6が有力説でしたがBiCS 8で確定でしょうか?
    SN770やSN5000にも使用されているコントローラなのにまだまだ謎に強い…
    弊環境でもぶっちぎりの性能を見せましたが、キオクシア製SSDを見失う現象は健在でした…
    以下修正?
     TBW(書き込み耐性)の比較 500 GBは300 TB
     型落ちの162層(BiCS7)→型落ちの162層(BiCS6)

  • 『てっきり型落ちの162層(BiCS7)を使っている』
    162層はBiCS6。第7世代BiCSをキオクシアは発表していない。よい記事をありがとう

  • 後継モデルが出たからからSN770も少し安くなってるんですね(2テラで1.9万前後)

    どっちにするか少し迷うところ

  • いつも有難うございます
    SN850Xの価格が下ってきて逆転してますが、性能的にはどうでしょうか
    DRAM搭載の意地を見せるのか世代交代でDRAMがあっても敵わないのでしょうか

    • SN850Xは「112層(BiCS5)」でDRAMキャッシュ搭載だから、キャッシュを切らしても2倍近い書き込み性能です。SN7100(2TB)が平均870 MB/sで、SN850X(2TB)は平均1600 MB/sくらい出るはず。読み出しワークロードは全体的にSN770相当です。
      書き込みが速いからサブディスクに使いやすいと思います。もちろん、システムSSDにも使えます。

  • T500・990PROが2.1万で買えるんで2.3万のSN7100を選ぶメリットが薄いように思えるんですがその辺りはどうなんでしょうか

    • レビュー中は「定価」の話をしています。在庫処分やセール価格も込みなら、その時その時で安くてコスパが高いSSDを選んだ方がいいです。
      個人的に990 PRO 2TBが2.1万円ならそちらを買いたいですね。初期ロットに当たらなければ、ファームウェア更新で一連の問題(寿命の急減少など)を解消できます。T500は書き込み性能がSN7100に劣っていて、ファームウェア更新で改善もしないため、2000円の差額でSN7100を買ったほうがお得です。

  • 気になってたのでレビュー助かります。
    システムドライブ目的で1TBならSN850X とどちらが良いですかね?
    1TB版の850Xは2TB版に比べて公称値が若干下がってるので悩んでます。

    • システムドライブ用ならSN7100推しです。システムドライブ兼データドライブならSN850Xが適していますが、個人的に、システムとデータはメンテナンス性を考慮して別々にしたい派です。

  • 宗教上の理由でストレージはWD製しか選べないのでいい商品を出してくれるのはとてもありがたいですね。

  • 膨大かつ有益な情報量、お疲れ様です!いつも楽しく拝見しています。

    現在サブPCにてOSディスクとして770を回してますが、7100が思ったより良い感じですね。
    上で指摘されている方がいますが、850Xがコスパ良くなっているのでめっちゃ悩ましくなってますねw 
    850Xの次も近く出るのかな?と

    ま、1番は中華SSDのガチャにいちいちハラハラドキドキすることが無い、心の安寧を得られるSSDですかね~WDもいろいろあったけど()

      • Hiksemiが大人気だった2023年にFutureを購入して、
        ゲーム2TBのうちゲームフォルダとして300GB程度入れていたら今日認識しなくなりました。SamusungやWD、Crucial等で今まで一度も壊れたことがなかった、ほぼ読み込み専用の使用なのでやっぱりダメなんじゃないですかね。

  • サンディスクになってるのはHDDとフラッシュ事業の分離のせいだと思います

    ttps://www.westerndigital.com/ja-jp/company/newsroom/press-releases/2024/2024-03-05-western-digital-announces-update-on-company-separation

    ttps://shop.sandisk.com/ja-jp/support/website-separation

    • ざっくり読んだところ。2023年10月時点で会社を2つに分割する予定だったけど、結局2025年になっても事情があって分割できていないから
      ・パッケージや製品名:Western Digital ロゴ
      ・基板の裏面に:(ひっそり)SanDiskロゴ
      と、中途半端な対応になっている感じでしょうか。

      • そんな感じです。今後出るWDのSSDはサンディスク記載になるっぽい

        ttps://www.computerbase.de/news/storage/effiziente-pcie-5-0-ssd-sandisk-liefert-14-5-gb-s-bei-nur-7-watt-im-2-quartal.91394/

  • コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です