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TITAN ARMY P275MV-A:激安なのにトップ級HDR画質【ただし応答速度は犠牲に】

TITAN ARMY P275MV-A:レビューまとめ

画面サイズ:27インチ |
解像度:4K
パネル:QD IPS |
リフレッシュレート:144 Hz(288 Hz) |
HDR:1000 |
バックライト:1152分割 |
保証:1年

(公開:2025/11/7 | 更新:2025/11/7

「TITAN ARMY P275MV-A」の微妙なとこ

  • ボタン式のOSD設定が面倒くさい
  • VESAマウントの出っ張り
    (M4 x 12 mmネジで解決)
  • まだ平凡なコントラスト比
  • 応答速度がやや遅い
  • 内蔵スピーカーなし
  • 初期設定の色温度がズレてる
    (かんたんに修正できます)
  • sRGBモードが不正確
  • 低fps時にVRRフリッカーあり
  • メーカー保証1年

「TITAN ARMY P275MV-A」の良いところ

  • 27インチで4K(ドットが細かい)
  • 最大144 ~ 288 Hzに対応
  • PS5で120 Hz(VRR)対応
  • デュアルモードの切り替えが速い
  • 入力遅延が非常に少ない
  • パネルの均一性がやや高い
  • 量子ドットで色域が広い(DCI P3:99%)
  • 強力なゲーマー向け機能
  • 残像軽減「DyDs」モード
  • Display HDR 1000相当(確認済み)
  • HDRコントラスト比は
    IPSパネルとしてNo.1記録
    (2025/11時点:過去106台より)
  • 扱いやすいOSD設定画面
  • OSDソフトウェア対応
  • フル装備のエルゴノミクス機能
  • コストパフォーマンスが高い

「TITAN ARMY P275MV-A」は・・・、激安価格と引き換えに競技性を捨て、ただただ映像美を重視したいビジュアル派ゲーマーにおすすめな4Kゲーミングモニターです。

P275MV-Aを理解するポイントは主に2つあります。

1. コストカットのためにあえて普通のIPSパネルを使いますが、そのIPSパネルのコントラスト比が非常に高い(1600:1超)です。

2. 素のコントラスト比が高いから、Mini LED(1152分割)の部分駆動が効きやすく、今までレビューしたIPSパネルモニターで歴代No.1コントラスト比に達します。

つまり、価格に見合わない優れた映像美を得る代わりに、eSports競技性(応答速度)を捨てています。

結論、VALORANTやフォートナイトなど競技ゲームが目的であれば、P275MV-Aを買わないでください。当然ながら「デュアルモード」も実用上あまり意味はありません。

逆に、出費を抑えつつMMORPGやAAA大作ゲームを堪能できる画質を求めるなら、P275MV-Aはとてもコスパが高い1台です。

Titan Army / サイズ : 27インチ / 解像度 : 3840 x 2160 / リフレッシュレート : 144 Hz / パネル : QD IPS / 備考 : Amazon限定モデル
参考価格
※2025/11時点
Amazon
やかもち
5~6万円台でこれほど高画質な4Kモニター(最大144 Hz)が買えるなんて、中華モニターの本格参入で本当にいい時代になりました。

「TITAN ARMY P275MV-A」の用途別【評価】

使い方評価※
FPSやeSports(競技ゲーミング)
デュアルモード時に最大288 Hzに達しますが、応答速度がやや遅いです。27インチ画角にフルHDが慣れるかどうかも個人差が大きいです。
ソロプレイゲーム(RPGなど)
色鮮やかな映像でソロプレイゲームに没入できます。
一般的なオフィスワーク
文字が滑らかクッキリ見え、完全なフリッカーフリーに対応。4K解像度で作業性も優れますが、「sRGB」モードはグレースケールが青みがかっていてイマイチです。
プロの写真編集・動画編集
プロの写真編集や動画編集に耐えうる広大な色域と輝度を備え、「DCI P3」と「Adobe RGB」モードが用意されています。しかし、グレースケールがズレていて精度が低く、自分でキャリブレーションが必要です。
HDRコンテンツの再現性
Display HDR 1000認証に合格できる性能です。Mini LEDモニターとして十分な明るさで、輝度の安定性も優れます。HDRモード時の明るさ(PQ EOTF)精度は及第点ですが、明るい階調はおおむね正確で、暗い階調のみコントラスト比を稼ぐためにあえて暗くなっています。明暗差の大きいパンチが効いたHDRを表示でき、おおむねHDRコンテンツの再現性が高いです。

※用途別評価は「価格」を考慮しません。用途に対する性能や適性だけを評価します。

「TITAN ARMY P275MV-A」レビューは以上です。

もっと詳しく測定データや比較データを見れば、他の代替案にするか、このままTITAN ARMY P275MV-Aで即決するかヒントになるかもしれません。

やかもち
発売当時いきなり6万円台で登場して即ポチしました。その後のタイムセールで5万円台が確認されて、正直びっくりです。今後のセールで間違いなく目玉商品になると予想してます。

この記事の目次

TITAN ARMY P275MV-A:画質レビュー

初期設定の画質とおすすめ設定

初期設定
(クリックで画像拡大)
手動で調整
(クリックで画像拡大)

左側が箱から出してばかりの初期設定です。

ガンマが非常に高い(= コントラスト感が強い)状態かつ、少し青みがかったグレースケールに調整されてます。

たぶん、そのままの画質で満足できる人は少なくないはず。コントラストが高くて涼しい色合いは日本人(アジア圏)に好まれやすい傾向です。

一応、キャリブレーター(測定機材)を使った手動調整もやってみましたが、好みに合わなかったら初期設定でいいでしょう。

手動でキャリブレーション(調整)する設定
  • モード:標準
  • 明るさ:75
  • ガンマ:2.0
  • 色温度:ユーザー
  • 赤:49
  • 緑:48
  • 青:47
  • ローカルディミング:低
  • シャドウバランス:54

※画面の明るさは好みに合わせて調整してください。明るさ75%だと約357 cd/m²前後に達し、人によっては眩しく感じるレベルです。

マニュアル調整後
※クリックすると画像拡大
手動で調整後のガンマカーブ手動で調整後の色温度

手動調整後のガンマカーブとグレースケール(色温度)グラフです。

高すぎるガンマカーブをおおむねターゲット付近に寄せられ、グレースケールも非常にいい具合に調整できました。

やっぱり中華モニター(INNCONシリーズ)は調整しやすいです。変に曲がりくねったカーブが入っていないから、校正の難易度も低めです。

量子ドットパネルは測定機の数値が大きくズレるため、sRGBリファレンスモニターを見ながら目視補正済みです。目視補正をしないと、寒色(青色)にズレてしまいます。

基本的な「画質」を測定して比較

X-rite i1 Pro 2 + Calibrite Display Plus HL
X-rite / タイプ:分光測色計(分解能:3.3 nm) / 輝度:0.200~5000 cd/m²
calibrite / タイプ:比色計 / 輝度:0.002~10000 cd/m² / 備考:i1 Pro 2でMatrix補正済み

ちもろぐでは、2種類の測定機材を使って今回レビューする「TITAN ARMY P275MV-A」の画質を深堀りします。

  1. 分光測色計:X-rite i1 Pro2
    (Spectrophotometer)
  2. 比色計:Calibrite Display Plus HL
    (Colorimeter)

分光測色計は、数値が書いてある正確な定規だとイメージしてください。単品でモニターの色や明るさを正確に測定できます。しかし、黒色の測定が不正確だったり、暗い色の測定がすごく遅いです。

だから比色計もセットで使います。比色計は単品だと誤差が大きく使いづらいですが、分光測色計を使って誤差を修正可能です。

Matrix補正と呼ばれる誤差修正を掛けたあとの比色計なら、分光測色計と大差ない精度を得つつ、もっと深い黒色の測定と暗い色の高速測光が可能です。

色の鮮やかさを比較
※クリックすると画像拡大
DCI P3色域
(カバー率で比較)
Rec.2020色域
(カバー率で比較)
TITAN ARMY P275MV-Aレビュー(DCI P3カバー率の比較)TITAN ARMY P275MV-Aレビュー(Rec.2020カバー率の比較)
色域カバー率(CIE1976)
TITAN ARMY P275MV-Aレビュー(色域カバー率)
規格CIE1931CIE1976
sRGBもっとも一般的な色域99.9%99.7%
DCI P3シネマ向けの色域99.6%99.3%
Adobe RGBクリエイター向けの色域97.0%97.0%
Rec.20204K HDR向けの色域83.8%87.7%

TITAN ARMY P275MV-Aで表示できる色の広さ(色域カバー率)を測定したxy色度図です。

もっとも一般的な規格「sRGB」で約100%をカバー。HDRコンテンツで重要なシネマ向けの規格「DCI P3」も約100%カバーします。

印刷前提の写真編集で重視される「AdobeRGB」規格のカバー率は97.0%です。

過去の傾向からして、色の広さは量子ドット液晶 > 量子ドットVA = QD-OLED > 広色域な液晶 = OLED > 普通の高色域パネル > 平凡な液晶パネル > TNパネルの順に並びます。

「色域」は色の鮮やかさに深く関係する性能で、多くの一般人が「画質」だと感じ取っている重要なスペックです。

TITAN ARMY P275MV-Aは極めて広大な色域を持ち、DCI P3色域とAdobeRGB色域の両方をほぼ完璧にカバーします。

AdobeRGBから来る純度の高い緑色と、DCI P3から来る純度の高い赤色を伏せ持ちます。もし、初めて見たなら「これが量子ドット・・・」と体感できるビビットな色彩です。

現代のゲーミングモニターで主流になっている「Fast IPS」パネルを一回り超える、ハイエンドクラスの色彩表現が可能です。

数年ぶりの買い替えはもちろん、2~3年ぶりの更新でも、鮮烈なビビットカラーから色の違いを体感できる可能性が高いです。特にHDR映像なら分かりやすいはず。

コントラスト比を比較
※クリックすると画像拡大
チェッカーパターン
(Inf : 1)
マダムヘルタ
(50000 : 1)
測定グラフ測定値
TITAN ARMY P275MV-Aレビュー(コントラスト比の比較)
  • コントラスト比:1612
    設定による変動幅:1500~8500

コントラスト比(実測)は1612:1です。初期設定(ローカルディミング:高)なら、なんと8453:1に達します。

平均的なIPSパネルより約1.4倍も高いコントラスト比に、Mini LED(1152分割)バックライトを駆使する「部分駆動」が組み合わさり、驚異的な黒さを実現します。

ただし、部屋を真っ暗にすると黒い部分がほんの少し白浮きします。

表示するシーンにより変動があり、OLEDに迫る黒さを出せるシーンもあれば、VAパネル相当まで落ち込むシーンも当然あります。

色ムラ(輝度ムラ)
※クリックすると画像拡大

色が均一の静止画コンテンツを見ている時間が長いオフィスワークで、気にする人が多い「色ムラ」をチェック。

均一性(色ムラ)
※クリックすると画像拡大
色ムラを比較色ムラを測定
TITAN ARMY P275MV-Aレビュー(色ムラ)TITAN ARMY P275MV-Aレビュー(色ムラ)
  • 最大:303 cd/m²
  • 最低:258 cd/m²
  • 平均値:5.24%

色ムラ(輝度ムラ)の測定結果は平均値で5.2%です。平均を上回る、そこそこ優秀な色ムラ具合に抑えています。

過去レビューの傾向的に、やはりMini LEDパネルは輝度ムラに有利です。

パネルの四隅に近いほど輝度が下がる「グロー」現象もそこそこ抑えられ、実際のコンテンツでほとんど気にならない程度。

画面全体に同じような色を表示するシーンを凝視してようやく色ムラの存在に気づきます。

画面の明るさ
※クリックすると画像拡大
明るさ:0%明るさ:100%
測定グラフ測定値
TITAN ARMY P275MV-Aレビュー(画面の明るさ)
  • 最大輝度:466 cd/m²
  • 最低輝度:25 cd/m²
  • 25%で:119 cd/m²

画面の明るさは100%設定で約466 cd/m²に達し、SDRコンテンツを見るのに十分すぎる明るさです。

最低輝度(0%設定)は約25 cd/m²まで、かなり暗めに下げられます。平均的なモニターが約40 cd/m²だから、20 cd/m²台は優秀です。

眼精疲労などが理由で、夜間に暗い画面を好む人にとって嬉しい仕様です。目にやさしいらしい120 cd/m²前後は設定値25%でほぼ一致します。

HDRモード時の画質を詳しく測定

Colorimetry Research CR-100
Colorimetry Research / タイプ:比色計 / 輝度:0.0007 ~ 5140 cd/m² / 備考:i1 Pro 2でProbe Matching補正済み

モニターの色と明るさを超高速かつ正確に測定できる機材「CR-100」を使って、「TITAN ARMY P275MV-A」のHDR性能をテストします。

やかもち
「CR-100」は約100万円もする超ハイエンド機材です。
HDRの明暗差を比較
※クリックすると画像拡大
HDRの明るさ
(全画面で比較)
HDRコントラスト比
(リアル値で比較)
TITAN ARMY P275MV-Aレビュー(HDRの明るさ)TITAN ARMY P275MV-Aレビュー(HDRのコントラスト比)

TITAN ARMY P275MV-AはDisplay HDR 1000相当のパワフルな明るさを出しつつ、Mini LED(1152個)を使った部分駆動でHDRコントラスト比も稼ぎます。

HDRコントラスト比Colorimetry Research
CR-100で測定した結果
全画面Inf : 1
10%枠14035.8 : 1
3×3パッチ9397.0 : 1
5×5パッチ4393.5 : 1
7×7パッチ3051.4 : 1
9×9パッチ2772.7 : 1

テストパターン別にHDRコントラスト比を測定した結果、ワーストケースで2773 : 1でした。

シーンによりコントラスト比が約2700~14000:1の幅で変動し、わずか1152分割のMini LEDモニターとして、過去に例がないNo.1記録を打ち立てます。

INNCON OEMらしく、黒色を積極的に攻めていくアグレッシブな制御をさらに進化させた様子です。

黒がちゃんと黒いMini LEDモニターを求めているなら、P275MV-Aが現時点でコスパ最高です。

コントラスト比がさらに高い「TCL 27R83U(約15000:1)」は約10万円、「TCL 32R84(約19000:1)」は約12万円超もします。

HDRの明るさ精度
※クリックすると画像拡大
モード別に比較
(APL 25%で比較)
APL別に比較
(ベスト設定で比較)
TITAN ARMY P275MV-Aレビュー(PQ EOTF)TITAN ARMY P275MV-Aレビュー(PQ EOTF)

HDRモード時の明るさが正しいか、PQ EOTF追跡グラフで測定します。

TITAN ARMY P275MV-Aはコントラスト比に特化させた副作用で、暗部階調が実際より暗いです。

明るい階調はおおむね正確に表示して、黒に近い階調を暗く見せ、コントラスト比を際立たせる表示にあえてチューニングされています。

加えて、従来モデルのINNCON製モニターと同じく、表示面積が狭いほどPQ EOTFをやや下回る傾向も残っています。

やかもち
おすすめHDR設定は「HDRムービー」モードです。
HDRの持続性能
※クリックすると画像拡大
面積比と輝度
(APL別に比較)
経過時間と輝度
(APL別に比較)
TITAN ARMY P275MV-Aレビュー(APL別のHDR輝度)TITAN ARMY P275MV-Aレビュー(APL別のHDR持続輝度)

HDRの持続性能はDisplay HDR 1000相当です。

KTC M27P6」に届きこそしないですが、競合他社のHDR 1000クラスと互角の持続性能です。明るいHDRゲーミングを十分に楽しめます。

経過時間の影響は面積49%以上から目立ちます。フラッシュ輝度を数秒しか持続できないですが、実用上、数秒も持つなら十分です。

HDRの色精度
※クリックすると画像拡大
Rec.2020
(彩度ポイント)
D65
(グレースケール)
TITAN ARMY P275MV-Aレビュー(HDR時の色精度)TITAN ARMY P275MV-Aレビュー(HDR時の色精度)

HDR規格(Rec.2020色域)に対する色精度はやや平凡。最大ΔE = 10.4、平均Δ = 4.92でした。

PQ EOTF追跡グラフの暗部階調が少し暗くズレているのに加え、やや赤色に寄っている色温度も色精度を押し下げる要因に。

グレースケール(D65)の精度も平凡です。暖色(赤み)寄りのグレースケールに偏っています。

やかもち
クールな色合い(寒色寄り)を好む方は、OSD設定から「HDRゲーム」モードをおすすめします。
明るいシーンで比較
※クリックすると画像拡大
レビュー対象
(TITAN ARMY P275MV-A)
比較:OLED
Sony INZONE M10S
TITAN ARMY P275MV-Aをレビュー(HDRを試して比較写真)HDRを試して比較写真
HDRを試して比較写真HDRを試して比較写真
比較:HDR 1000
Titan Army P275MS+
比較:HDR 1400
TCL 32R84

HDRゲームの代表例「FF16」で、明るいHDRシーンを比較しました。

TITAN ARMY P275MV-AはHDR 1000らしい、とても明るいHDR映像を表示可能です。並のHDRモニターで白飛びしやすい、フェニックスの細かい階調表現もそこそこ再現できます。

HDRゲームの明るさ測定
※クリックすると画像拡大
Final Fantasy XVI
(フェニックス戦)
Ghost of Yōtei
(羊蹄平)
TITAN ARMY P275MV-Aをレビュー(HDRを試して比較写真)TITAN ARMY P275MV-Aをレビュー(HDRを試して比較写真)
TITAN ARMY P275MV-Aレビュー(HDR時の色精度)TITAN ARMY P275MV-Aレビュー(HDR時の色精度)

HDRゲーム時の明るさを測定しました。

恐ろしく明るいフェニックス戦(FF16)でピーク時に1400 cd/m²超です。ピーク時1500 cd/m²を超えるシーンなので、かなり再現性が高いです。

優れたHDR効果で知られるGhost of Yōteiだと、ピーク時に1350 cd/m²ほど。実際は1600 cd/m²近いシーンですが、実用上はかなりの明るさに感じます。

暗いシーンで比較
※クリックすると画像拡大
レビュー対象
(TITAN ARMY P275MV-A)
比較:OLED
Sony INZONE M10S
TITAN ARMY P275MV-A 比較写真(ローカル調光)HDRを試して比較写真
HDRを試して比較写真HDRを試して比較写真
比較:IPS + Mini LED
Titan Army P275MS+
比較:VA + Mini LED
TCL 32R84

TITAN ARMY P275MV-Aは、1152分割(48個 x 24個)したMini LEDバックライトを搭載します。

パネルの部分駆動(ローカルディミング)を効果的に機能させるうえで、必要最低限の分割数です。最低限といっても、肝心の効果はローカル調光の制御に大きく依存します。

P275MV-Aは、従来作「27M2V」をさらに上回る極めてアグレッシブな制御アルゴリズムに改善され、驚異的なコントラスト感を発揮します。

平均的なVAパネルよりも黒が本当によく締まっていて、映像が浮き上がるような立体感を演出できます。

ちなみに、先日レビューした上位モデル「GA32V1M(約8.6~9.3万円)」以上のコントラスト感です。

やかもち
(比較的かなり安い)5~6万円台でこの性能はすごいですね。1152分割だから期待していなかったけど、下手な2000分割モデルよりも優れています。
VESA Display HDR
HDR性能のテスト結果
比較テスト対象
TITAN ARMY P275MV-A
ターゲット規格
Display HDR 1000
画面の明るさ
  • ピーク時
    1425 cd/m²
  • 全白フラッシュ
    1166 cd/m²
  • 全白持続
    655 cd/m²
  • ピーク時
    1000 cd/m² 以上
  • 全白フラッシュ
    1000 cd/m² 以上
  • 全白持続
    600 cd/m² 以上
黒色輝度
  • 0 cd/m²
  • 0.05 cd/m² 以下
コントラスト比
  • Inf:1
  • 30000 : 1 以上
色域
  • sRGB:100%
  • DCI P3:99.7%
  • sRGB:99%以上
  • DCI P3:95%以上
色深度
  • 10 bit
    (8 bit + FRC方式)
  • 10 bit
    (8 bit + FRC方式)
ローカル調光
  • FALD方式
    (1152ゾーン分割)
  • 主にFALD方式

最後に、VESA Display HDR認証を満たしているか測定チェック。

TITAN ARMY P275MV-Aは、HDR 1000認証を取得していないけど、「Display HDR 1000」規格におおむね合格です。

ローカル調光(部分駆動)の挙動チェック

(部分駆動:48 x 24 = 1152分割)

ウィンドウの視認性
※クリックすると画像拡大
LD:高
(約9200:1)
LD:中
(約5500:1)
LD:低
(約2800:1)
LD:無効
(約1600:1)

TITAN ARMY P275MV-Aのローカル調光(部分駆動)は、強度を3段階で調整できます。

強度を高くすると、黒エリアの消灯を強くしてコントラスト比を向上させますが、白いウィンドウの四隅や小さいオブジェクトが暗く沈みます。

ただし、マウスカーソルくらいの小さいオブジェクトに対する反応性が強化されていて、従来機(M2V)よりマウスカーソルを見失いづらい印象です。

(※ちらつきに感じるかは個人差あり)

その代わり、ウィンドウを不規則に動きしたときに発生する「ちらつき(LDフリッカー)」に気づくリスクも高まります。

ちらつきを気にする方や、ちらつきに気づきやすいオフィスワーク時は、ローカル調光「低」モード以下がおすすめ。

黒エリアの完全消灯が無効化され、原理的にちらつきを大幅に軽減しやすいです。

HDRゲームやHDR配信コンテンツを見るときだけ、ローカル調光「高」モードを使うといいでしょう。

やかもち
名作だった従来機「27M2V」を正統進化させたローカルディミング制御です。

パネルの反射加工と文字の見やすさ

パネルの反射加工
(クリックで画像拡大)
明るい部屋暗い部屋
パネルの反射加工パネルの反射加工

TITAN ARMY P275MV-Aに施されたパネル表面加工は、INNOCN OEMモニターで典型的な、やや透過性の強い「ノングレア加工(アンチグレア)」です。

ASUSやBenQのマットコーティングほど、ザラつき粒度が強くなく、少しグレア寄りの透明感あるノングレア加工です。

ぼんやりと背景を拡散し、映り込みを防ぎますが、周囲が明るすぎると・・・映り込みがやや目立ちます。

部屋を少し暗くしたり、背後に明るい反射物を置かない工夫で映り込みを大きく軽減できます。

テキストの視認性
(クリックで画像拡大)
文字のドット感
(密度:163 ppi)
実際の表示例
(距離:30 cm)
TITAN ARMY P275MV-Aレビュー(テキストのくっきり感)

文字のドット感(見やすさ)はクッキリ明瞭です。

テキスト表示に有利な縦に一直線の直列RGB配列パネルに、163 ppiもの非常によく詰め込まれた画素密度を誇ります。

普通の距離感(50~60 cm)で見てもドット感が分かりづらいし、30 cmくらいから見ても滑らかなテキスト表示です。

やかもち
文字が小さすぎる? Windowsのスケーリング機能や、ブラウザ側のズーム表示を使って、滑らかな表示を維持したまま文字を大きくできます。
パネルの物理的特性
(クリックで画像拡大)
ピクセル拡大図
(ピクセル配列:RGB)
スペクトラム分析
(確定:量子ドット)
TITAN ARMY P275MV-Aレビュー(画素ドット)TITAN ARMY P275MV-Aレビュー(スペクトラム)

マクロレンズでパネルの表面を拡大した写真です。

PCモニター用途(Windows)に相性がいい、RGBストライプ配列の画素レイアウトです。ドットがボヤけて見えるのは、パネル表面のノングレア加工が原因です。

パネル技術をスペクトラム波長分析※で調べます。

三原色のうち、緑色と青色がピンと突き立つ分離のいい波長パターンから、「量子ドット(Quantum Dots)だと分かります。

現時点でもっとも色域を効率よく拡張できる先端技術です。

ついでにブルーライト含有量を調べたところ、約29%でした。「色温度:ウォーム」や「リーディング」「アイケアー」モードなどを選べば、TUV Rheinlandブルーライト認証に必要な25%未満を達成できます。

※ 分光測色計「X-rite i1 Pro 2」を使って、3.3 nm単位で波長を分析します。

パネルの視野角(見える範囲)チェック

視野角の広さ
※クリックすると画像拡大
縦方向(垂直)横方向(水平)
TITAN ARMY P275MV-Aレビュー(視野角)TITAN ARMY P275MV-Aレビュー(視野角)

QD IPSパネルの視野角はそこそこ広いです。

当然ながらOLEDパネルと比較して途方もない差が開いていますが、リクライニングで傾ける程度なら、さほど気にならない色褪せ具合です。

TITAN ARMY P275MV-A:ゲーミング性能

ゲーム性能(応答速度)の測定と比較

↑こちらの記事で紹介している方法で、TITAN ARMY P275MV-Aの「応答速度」を測定します。

60 Hz時の応答速度
※クリックすると画像拡大
残像感
(UFO追尾ショット)
30パターン測定
(10~90%範囲を測定)
TITAN ARMY P275MV-Aレビュー(応答速度の比較)TITAN ARMY P275MV-Aレビュー(応答速度の比較)
  • 平均:11.99ミリ秒
  • 最速:7.34ミリ秒
  • 最遅:20.47ミリ秒
  • エラー:0%

60 Hz時の応答速度は平均11.99ミリ秒を記録します。

60 Hzに必要十分な応答速度を満たしますが、ホールドボケ現象(= 60 Hzそのもの)が原因で、残像感がそれほど減らないです。

60 Hzが重要な用途:Nintendo Switch、Play Station 4(PS4)など、最大60 Hz対応のゲーム機
120 Hz時の応答速度
※クリックすると画像拡大
残像感
(UFO追尾ショット)
30パターン測定
(10~90%範囲を測定)
TITAN ARMY P275MV-Aレビュー(応答速度の比較)TITAN ARMY P275MV-Aレビュー(応答速度の比較)
  • 平均:12.57ミリ秒
  • 最速:7.09ミリ秒
  • 最遅:21.27ミリ秒
  • エラー:0%

120 Hz時の応答速度は平均12.57ミリ秒を記録します。120 Hzに必要十分な応答速度(< 8.33 ms)を満たせません。

OSD設定 → ダイナミックOD:Top Speedモードに切り替えれば、平均7.12ミリ秒まで改善できます。120 Hzで遊ぶならTop Speedモード推奨です。

120 Hzが重要な用途:Nintendo Switch 2、Play Station 5(PS5)など、最大120 Hz対応のゲーム機
144 Hz時の応答速度
※クリックすると画像拡大
残像感
(UFO追尾ショット)
30パターン測定
(10~90%範囲を測定)
TITAN ARMY P275MV-Aレビュー(応答速度の比較)TITAN ARMY P275MV-Aレビュー(応答速度の比較)
  • 平均:11.84ミリ秒
  • 最速:7.59ミリ秒
  • 最遅:19.63ミリ秒
  • エラー:0%

TITAN ARMY P275MV-Aの4K解像度で設定できる、最大リフレッシュレート144 Hz時の応答速度は平均11.84ミリ秒です。

144 Hzに必要な応答速度を(< 6.94 ms)にまったく届かないです。

120 Hzと同じで、ダイナミックOD:Top Speedモードに切り替えれば、平均6.21ミリ秒まで改善できます。144 Hzで遊ぶならTop Speedモード推奨です。

288 Hz時の応答速度
※クリックすると画像拡大
残像感
(UFO追尾ショット)
30パターン測定
(10~90%範囲を測定)
TITAN ARMY P275MV-Aレビュー(応答速度の比較)TITAN ARMY P275MV-Aレビュー(応答速度の比較)
  • 平均:9.85ミリ秒
  • 最速:3.73ミリ秒
  • 最遅:18.76ミリ秒
  • エラー:0%

デュアルモード有効時に設定できる、最大リフレッシュレート288 Hz時の応答速度は平均9.85ミリ秒です。

288 Hzに必要な応答速度(> 3.47 ms)をまったく満たせず、残像感をうまく除去できません。

オーバードライブ機能「ダイナミックOD」を調整して、必要な応答速度をきっちりパスして、残像感を改善できないかチェックします。

OD機能の効果
※クリックすると画像拡大
TITAN ARMY P275MV-Aレビュー(応答速度の比較)
平均値9.85 ms9.06 ms5.88 ms
最速値3.72 ms2.59 ms1.19 ms
最遅値18.76 ms18.18 ms12.98 ms
平均エラー率0.0 %0.0 %7.2 %
累積遷移
(変動電圧 x 時間)
33.7 mVs32.9 mVs29.7 mVs

TITAN ARMY P275MV-Aのオーバードライブ機能は、4段階(Lv1 ~ Lv TopSpeed)から調整できます。

初期設定「Lv2」の時点で、オーバードライブがすでに効いているものの、効果が弱すぎます。「Lv3」でもイマイチ効果がなく、最大設定「TopSpeed」でようやく効いてきます。

TopSpeedモードなら、平均5.88ミリ秒(累積29.7ミリボルト秒)まで性能を向上でき、残像感も多少マシです。

TITAN ARMY P275MV-Aは「TopSpeed」がおすすめOD設定です。

累積遷移(ミリボルト秒):オーバードライブ時のエラー(オーバーシュート等)も含んだ、次世代の応答速度指標。
残像感を比較
※クリックすると画像拡大
レビュー対象
(TITAN ARMY P275MV-A)
比較:OLED
Sony INZONE M10S
残像感の比較写真残像感の比較写真
残像感の比較写真残像感の比較写真
比較:Fast IPS
AW2725QF
比較:Fast HVA
TCL 32R84

P275MV-Aは今どき珍しく、Fastじゃない普通のIPSパネルを使っているらしいです。

平均的なFast IPSが3ミリ秒台で残像感もかなり少ない一方、今回のノーマルIPSはほぼ6ミリ秒に近く、見ての通り・・・残像感が比較的目立っています。

これでもVAパネルより「スミア(黒いしみ)」が非常に少なく、競技性の強いゲームでなければ案外ふつうにゲームを楽しめます

崩壊スターレイルやゴーストオブヨウテイなど、ビジュアル重視の映像美ゲームなら許容できます

逆に、VALORANTやフォートナイトなど、ゴリゴリの競技FPSタイトルを真面目にやるならP275MV-Aを選ばないほうが吉です。

応答速度を比較
※クリックするとグラフ拡大
60~90 Hz100~220 Hz240 Hz以上
TITAN ARMY P275MV-Aレビュー(60Hz 応答速度の比較)TITAN ARMY P275MV-Aレビュー(120Hz 応答速度の比較)TITAN ARMY P275MV-Aレビュー(240Hz~ 応答速度の比較)
  • 実績平均値:3.89ミリ秒
  • レビュー機:6.21ミリ秒

ちもろぐに記録した過去110件近い大量のデータから、TITAN ARMY P275MV-Aの応答速度(120~144 Hz)は平均を大きく下回るイマイチな性能です。

  • 実績平均値:3.19ミリ秒(OLED込:2.08ミリ秒)
  • レビュー機:5.88ミリ秒

288 Hz時の応答速度もそれほど競争力がありません。

やかもち
まさか、FastじゃないIPSが本当にFastじゃないなんて・・・。メーカー公称値を信用しない筆者の思想がかえって裏目に出たパターンです。

ゲーム性能(入力遅延)の測定と比較

入力遅延を比較
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比較グラフ測定値
(クリック100回の平均値)
TITAN ARMY P275MV-Aレビュー(入力遅延の比較)
  • 288 Hz:
    2.0ミリ秒
  • 144 Hz:
    3.7ミリ秒
  • 120 Hz:
    4.4ミリ秒
  • 60 Hz:
    9.5ミリ秒

TITAN ARMY P275MV-Aで、左クリック100回分の入力遅延を測定しました。

リフレッシュレート60 ~ 288 Hzまで、安定して目標の16ミリ秒を下回る良好な入力遅延です。ほとんどの人が入力遅延を体感できません

VRR(G-SYNC互換モード)の影響もなかったです。

2024年7月より「入力遅延(Input Lag)」の新しい測定機材を導入しました。

クリック遅延がわずか0.1ミリ秒しかないゲーミングマウス「Razer Deathadder V3」から左クリックの信号を送り、画面上に左クリックが実際に反映されるまでにかかった時間を測定します。

入力遅延の測定範囲
  1. マウスから左クリック
  2. CPUが信号を受信
  3. CPUからグラフィックボードへ命令
  4. グラフィックボードがフレームを描画
  5. ゲーミングモニターがフレーム描画の命令を受ける
  6. 実際にフレームを表示する(ここは応答速度の領域)

新しい機材は1~6の区間をそれぞれ別々に記録して、1~4区間を「システム処理遅延」、4~5区間を「モニターの表示遅延(入力遅延)」として出力可能です。

なお、5~6区間は「応答速度」に該当するから入力遅延に含めません。応答速度と入力遅延は似ているようでまったく別の概念です。

フリッカーフリー(画面のちらつき)を測定

フリッカーフリーを検証
※クリックすると画像拡大
TITAN ARMY P275MV-Aレビュー(フリッカーフリー)
  • 明るさ100%:0 Hz(フリッカーフリー)
  • 明るさ75%:0 Hz(フリッカーフリー)
  • 明るさ50%:0 Hz(フリッカーフリー)
  • 明るさ25%:0 Hz(フリッカーフリー)
  • 明るさ0%:0 Hz(フリッカーフリー)
フリッカーの基準結果
一般的な基準
0 Hz または 300 Hz以上
問題なし
(0 Hz)
TUV Rheinland認証
0 Hz または 3000 Hz以上
問題なし
(0 Hz)

実際にオシロスコープを使ってフリッカーの有無をテストした結果、明るさ0~100%までフリッカーが一切検出されません

「0 Hz」だから一般的な基準とTUV Rheinland基準どちらも合格できます。

VRRフリッカーを検証
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TITAN ARMY P275MV-Aレビュー(VRRフリッカー)
  • VRR有効時:目視で確認
  • VRRなし:フリッカーフリー

VRR(G-SYNC互換モードなど)有効時に発生する「VRRフリッカー」もテストします。

TITAN ARMY P275MV-Aは、LFCのしきい値(48 Hz)を下回ると、目で見て分かるほどのVRRフリッカーが頻出してしまいました。

低スペックでフレームレートが安定しないなら、あえてVRRを無効化するか、ゲーム側のグラフィック設定を調整してフレームレートを改善しましょう。

VRRフリッカーをテスト

VRRフリッカー(VRR Flicker)は、画面が暗いシーンでフレームレートが激しく変動すると発生する確率が大幅に跳ね上がります。

ちもろぐでは、アクションRPG「鳴潮」にてフレームレートを10 fpsからモニター側の最大fpsまで動かします。

モニターの至近距離に設置された光学センサーを経由して、オシロスコープが明るさの変化をマイクロ秒(10万分の1秒)単位で記録する仕組みです。

記録されたグラフが乱高下していれば「VRRフリッカー」の検出に成功です。逆に、何もなく平坦で一直線なグラフが記録されればフリッカーは皆無と判断できます。

ゲーム機の対応状況(PS5とSwitch 2)

PS5の対応状況
TITAN ARMY P275MV-Aをレビュー(PS5の対応状況)
設定60 Hz120 Hz
フルHD1920 x 1080対応PS5 VRR:対応対応PS5 VRR:対応
WQHD2560 x 1440対応PS5 VRR:対応対応PS5 VRR:対応
4K3840 x 2160対応PS5 VRR:対応対応PS5 VRR:対応

PS5でフルHD~4K(最大120 Hz)に対応します。

HDMI 2.1端子にHDMI VRR機能が搭載されているため、「PS5 VRR」もすべて対応可能です。

OSD設定 > Adaptive-Sync:オン でPS5 VRRが有効化されます。初期設定はオフになっているから注意。
Switch 2の対応状況
TITAN ARMY P275MV-Aをレビュー(Nintendo Switch 2の対応状況)
設定60 Hz120 Hz
フルHD1920 x 1080対応HDR:対応対応HDR:対応
WQHD2560 x 1440対応HDR:対応対応HDR:対応
4K3840 x 2160対応HDR:対応Switch 2は非対応
「Nintendo Switch 2 のひみつ展」
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有料ソフト「Nintendo Switch 2 のひみつ展」で実際に120 Hz + HDR(10 bit)信号を出力させて、モニターが暗転せずにゲーム画面を表示できるかをチェックします。

暗転しなければ問題なし、暗転して解像度が下がってしまったら互換性なし、と判断します。

任天堂 / 対応ハード:Nintendo Switch 2 / タイプ:オンラインコード版

Nintendo Switch 2(ドックモード)で、フルHD~WQHD(最大120 Hz)または4K(最大60 Hz)に対応します。HDR(10 bit)出力も問題なし

さすがフル帯域(48 Gbps)のHDMI 2.1ポートです。Switch 2の互換性を難なくクリアできます。

ゲーム機の120 Hz動作について

PS5 / PS5 Pro / Nintendo Switch 2など。120 Hz対応ゲーム機で、実際にゲーム側が120 Hz(120 fps)で動くかどうかは、もっぱらゲーム次第です。

ゲーム側が120 Hzをサポートしていなかったら意味がありません。プレイする予定のゲームが120 Hzに対応しているか、事前によく調べてください。

ゲーミングPCで使えるリフレッシュレート

ゲーミングPCの映像端子(HDMIやDisplay Port)にTITAN ARMY P275MV-Aを接続して、ディスプレイの詳細設定から使えるリフレッシュレート一覧をチェックします。

対応リフレッシュレート
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HDMI 2.1
(42.67 Gbps)
Display Port 1.4
(25.92 Gbps)
対応リフレッシュレート対応リフレッシュレート
  • HDMI 2.1
    (144 / 120 / 60 / 59 / 50 / 30 Hz)
  • Display Port 1.4
    (144 / 120 / 60 / 59 / 30 Hz)

TITAN ARMY P275MV-Aがパソコンで対応しているリフレッシュレートは以上のとおりです。

HDMI 2.1で最大144 Hzまで、Display Port 1.4も最大144 Hzに対応します。

レトロなゲーム機で役に立ちそうな23.98 ~ 24 Hz範囲は非対応です。

圧縮転送「DSC」切り替え機能

TITAN ARMY P275MV-Aは、圧縮転送モード「DSC(Display Stream Compression」を明示的に切り替え可能です。

DSC無効時
対応リフレッシュレート
端子SDR
(8 bit @ RGB)
HDR
(10 bit @ RGB)
HDMI 2.14K @ 144 Hz4K @ 144 Hz
DP 1.44K @ 120 Hz4K @ 60 Hz

CRU(Custom Resolution Utility)によるカスタム解像度や、NVIDIA DSR(DLDSR)を使いたいマニア志向のユーザーにとって便利な仕様です。

VRR機能(可変リフレッシュレート)
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  • AMD FreeSync Premium
  • G-SYNC互換モード
    (HDMIとDisplay Portで使用可能)

フレームレートとリフレッシュレートを一致させて「ティアリング」を防ぐ効果がある、VRR機能はHDMIとDisplay Portどちらも使用可能です。動作範囲は48~288 Hzです。

LFC(低フレームレート補正)対応ハードウェアの場合は、48 Hzを下回ってもVRRが機能します。

ただし、48 Hzを派手に下回るほどフレームレートが不安定なPCスペックの場合、「VRRフリッカー」が頻出するので要注意です。

競技ゲーマー向け機能をチェック

  • 暗所補正
    暗い部分を明るく補正する機能
  • 鮮やかさ補正
    色の付いた部分を強調する機能
  • 残像軽減
    残像をクリアに除去する機能

TITAN ARMY P275MV-Aは、3つある主要な競技ゲーマー向け機能のうちすべて対応します。そのほか、クロスヘア(十字線)やフレームレートを表示する機能もあります。

機能チェック:暗所補正
「ナイトビジョン」
※クリックすると画像拡大
Apex LegendsEscape from Tarkov

「ナイトビジョン」モードは、暗い部分を見やすく視認性を向上するモードです。Lv0~Lv2(3段階)から調整できます。

そこそこ効果が強いですが、少しやりすぎで画面全体がかえって白っぽく見えるシーンも出てきます。それなりに使えますが、eSports専業メーカー(Zowie)には負けます。

機能チェック:暗所補正
「シャドウバランス」
※クリックすると画像拡大
Apex LegendsEscape from Tarkov

暗い部分を明るく補正できる「シャドウバランス」モードです。

  • オフ
  • 1 ~ 100(刻み:1ずつ)

全100段階、かなり細やかに調整できます。

しかし70以上から画面全体が白飛び気味、40以下から黒つぶれ気味だから、実用上は41~69(約30段階)相当です。それでも30段階、割と十分な設定値です。

補正の掛かり方はやや大雑把な傾向があり、やはりBenQの本家「Black eQualizer」には届いてません。

eSports系タイトルだとそこそこ、画面全体がうっすら暗いホラーゲームなら使える機能です。

やかもち
「ナイトビジョン」と組み合わせて、補正具合をさらに細かくチューニング可能です。
機能チェック:鮮やかさ補正
「色彩強調」
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Apex LegendsEscape from Tarkov

色のついた部分を見やすく強調できる「色彩強調」機能です。Lv0~Lv10(11段階)の範囲で細かく調整して、彩度ポイントを拡張します。

鮮やかさ補正の先駆者「Color Vibrance(BenQ)」と比較して、彩度ポイントの広げ方が大味です。一応効果はあるものの、Color Vibranceほどピンポイントな見え方にならないです。

Sony Inzoneが導入した、個別RGB拡張モードもありません。

残像軽減(黒挿入)モードをチェック

2025年以降のINNOCN OEMシリーズから、新しい残像軽減モードDyDs」技術が搭載されました。

TITAN ARMYは「DyDs」、INNOCNやGRAPHT GAMINGは「MPCS TECH」のブランド名です。名前が違うだけで中身は基本的に同じです。

機能チェック:残像軽減
「DyDs」
※クリックすると画像拡大
残像感
(UFO追尾ショット)
性能
(測定値)
BenQ MOBIUZ EX251レビュー(応答速度の比較)
  • 明るさ:
    約309 cd/m²
  • 黒挿入時間:
    約74.7%
制限事項:1. VRR(G-SYNC互換モードなど)と併用不可 / 2. リフレッシュレート120 Hz以上(60 Hz以下は不可) / 3. フリッカーフリー無効(= 他社含め全モデルで共通仕様)

中華モニターの残像軽減はおまけ程度の性能が多かったですが、「DyDs」モードは実用性に足るマトモな性能に進化しています。

もっとも効果が強い「DyDs:強」モードでも、明るさ300 cd/m²を軽々と維持でき、画面を明るく保ったまま残像を軽減します。

  • DyDs(強):約316 cd/m²(黒比率78.3%)
  • DyDs(中):約354 cd/m²(黒比率63.9%)
  • DyDs(弱):約419 cd/m²(黒比率53.3%)

測定値もすばらしいです。

「DyDs:強」モードの性能は、BenQ MOBIUZ(ブレ削減モード)やZowie XL(DyAc+)に匹敵する性能です。

もちろん、DyDsを有効化した状態で画面の明るさもコントロール可能です。強モード時で15~316 cd/m²ほど、中モード時なら17~354 cd/m²から調整できます。

黒フレーム挿入時間
※クリックすると画像拡大
288 Hz
(BFI : 2.72 ms)
288 Hz
(BFI : 2.22 ms)

リフレッシュレート288 Hzで検証。黒フレーム挿入時間は設定モードにより、約53~78%の範囲で変動します。

ベンチマークと比較
Zowie「DyAc+」以上を目指す
黒挿入モード明るさ黒挿入時間
DyAc 2:プレミアム
(ベンチマークNo.1)
約330 cd/m²91 %
DyAc+:プレミアム
(ベンチマークNo.2)
約320 cd/m²84 %
DyDs:高
(レビュー機)
約316 cd/m²78 %
DyDs:高
(Titan Army P275MS+)
約280 cd/m²79 %
MPCS TECH:中約310 cd/m²75 %
ブレ削減約300 cd/m²65 %
ELMB Sync約250 cd/m²70 %

あともう一歩で「DyAc+:プレミアム」モードに追いつきます。

競技特化でもないゲーミングモニターが、競技モデルに迫る性能を出せているのは驚くべき事態です。

ASUS TUF / ROGシリーズの「ELMB」「ELMB Sync」や、BenQ MOBIUZシリーズの「ブレ削減」をすでに超えています。

1台2役な「AIデュアルモード」機能を検証

【デュアルモード検証】
設定と対応Hz
※クリックすると画像拡大
デュアルモード有効化
(OSDボタン2回)
最大288 Hz対応
(1920 x 1080)
TITAN ARMY P275MV-Aレビュー デュアルモード 検証TITAN ARMY P275MV-Aレビュー デュアルモード 検証
  • 解像度:フルHD(1920 x 1080)
  • リフレッシュレート:288 Hz
  • VRR対応:可能(G-SYNC互換モード)

OSD設定のホットキー機能から、AIデュアルモードを任意のショートカットボタンに登録します。

すると、OSDボタンを押す → AIデュアルモード:ONで切り替えられます。たった2回OSDボタンを押すだけです。

  • ネイティブ → デュアルモード:約6.1秒
  • デュアルモード → ネイティブ:約6.2秒

設定を確定すると、画面が約6秒ほど暗転したあとAIデュアルモードに切り替わります

デュアルモードの切替速度が著しく向上しています。KTC Monitorをはじめとする格安中華系なら、約10~25秒も要しますが、今回のP275MV-Aは頭1つ抜けて速いです。

しかし、DELL AlienwareやLG UltraGearが持つ3~4秒台の切り替えには、まだ届いてません。

【デュアルモード検証】
FPSゲームシーン
※クリックすると画像拡大
ネイティブ表示
(等倍ピクセル)
デュアルモード表示
(疑似2×2ピクセル)
TITAN ARMY P275MV-Aレビュー デュアルモード 検証TITAN ARMY P275MV-Aレビュー デュアルモード 検証

27インチにフルHDを表示するから、画素密度がやや低くてドット感が目立ちます。りんかく線のディティールも少し粗くなった印象です。

32インチ版のデュアルモードより競技ゲーミングで実用に足る可能性が高いですが、やはりフルHDを愛用するゲーマーにとっては24~25インチ画角が本命でしょう。

一応、P275MV-Aは画角エミュレーションモードを使え、25インチやウルトラワイド画角を選べます。

試しに25インチモードを有効化すると、リフレッシュレートが90 Hzに制限されてしまい、肝心のAIデュアルモードも使用不可でした。

27インチにフルHD表示が好みに合わなかった場合、CRUを使って任意の画角に合わせたカスタム解像度を無理やり実装するなど、手間と工夫が求められます。

【デュアルモード検証】
テキストの見やすさ
※クリックすると画像拡大
ネイティブ表示
(等倍ピクセル)
デュアルモード表示
(疑似2×2ピクセル)
TITAN ARMY P275MV-Aレビュー デュアルモード 検証TITAN ARMY P275MV-Aレビュー デュアルモード 検証

TITAN ARMY P275MV-Aのスケーリング処理はシンプルです。ただ単に4ドット(2×2ピクセル)使って、擬似的にドットバイドット表示に見せる一般的な実装です。

ネイティブ表示と比較してテキストが少しボヤけて見える気もしますが、27インチにフルHD表示なら当たり前。・・・画素密度が減った分だけ、ドットが粗く見えます。

TITAN ARMY P275MV-A:クリエイター適性

色精度を比較
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グレーの精度
(dE2000で比較)
色の精度
(dE2000で比較)

TITAN ARMY P275MV-Aは初期設定のままだと、グレーの精度も色の精度もまったく合っていない(ΔE > 2.0)です。

幸い、色の精度を必要とするクリエイター用に、「sRGB」「DCI P3」「AdobeRGB」モードがしっかり実装済み。

しかも、校正済み(ΔE < 2.0)を示すキャリブレーションレポートも付属します。

レポート記載どおり、本当に色精度が高いのか、実際に測定します。

「sRGB」モードと色精度(dE2000)

sRGBモードの精度
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テスト内容
(dE2000)
測定グラフ
グレースケール
色(彩度ポイント)
ガンマカーブ

TITAN ARMY P275MV-Aの「sRGBモード」は惜しい結果です。

sRGB色域制限と、ガンマカーブ(sRGB Gamma 2.2 Relative)は見事に一致します。しかし、色温度(グレースケール)の校正ミスですべてが台無しに。

どうやら出荷時の校正担当者は、キャリブレーターの数値をそのまま信用してしまい、目視でD65に合わせていない可能性が高いです。

やかもち
でも5~6万円台の格安モニターに、ヒトの目を使った目視補正(= 多大な人件費負担)を要求するのは酷かもしれない。

「DCI P3」と「AdobeRGB」は・・・?

DCI-P3モードの精度
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テスト内容
(dE2000)
測定グラフ
グレースケール
色(彩度ポイント)
ガンマカーブ

TITAN ARMY P275MV-Aの「DCI P3モード」は完全に役に立たないです。

DCI P3色域制限のみ正常に機能します。ガンマカーブは基準値(Gamma 2.6 Absolute)を著しく下回り、グレースケールは青すぎです。

AdobeRGBモードの精度
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テスト内容
(dE2000)
測定グラフ
グレースケール
色(彩度ポイント)
ガンマカーブ

TITAN ARMY P275MV-Aの「AdobeRGB」も惜しい結果に。

ガンマカーブとAdobeRGB色域制限はおおむね一致する一方、色温度(グレースケール)が青み掛かっていてダメです。

TITAN ARMY P275MV-A:本体デザインと機能

パッケージ開封と組み立て工程

開封の儀
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TITAN ARMY P275MV-A レビュー(開封)TITAN ARMY P275MV-A レビュー(開封)

ほとんど段ボールと変わらない簡素な茶箱に、「TITAN ARMY」のロゴが入ったパッケージで到着。サイズは89 x 45 x 18 cm(160サイズ)です。

なんと、以前レビューした傑作モニター「P275MS+」と寸分違わず同じサイズです。まったく同じパッケージを流用してコストカットします。

箱に書いてある「FRONT」のロゴを床に向けてから開封して、梱包材まるごと全部引っ張り出します。

厚みのある高密度発泡スチロールでできた梱包材で、がっちり梱包されています。上の段に付属品、下の段にゲーミングモニター本体が収まってます。

組み立て工程
※クリックすると画像拡大
TITAN ARMY P275MV-A レビュー(組み立て)TITAN ARMY P275MV-A レビュー(組み立て)
TITAN ARMY P275MV-A レビュー(組み立て)TITAN ARMY P275MV-A レビュー(組み立て)
TITAN ARMY P275MV-A レビュー(組み立て)
  1. 付属のモニタースタンドとアームを用意
  2. 本体にアームを挿し込み固定
  3. アームの底面にスタンドを挿し込み
  4. 手回しネジでしっかり固定
  5. 組み立て完成(2分くらい)

ゲーミングモニターで定番のドッキング方式です。プラスドライバーが不要なツールレス設計でかんたんに組み立てられます。

付属品をざっくり紹介

付属品
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一覧ACアダプター
TITAN ARMY P275MV-A レビュー(付属品)TITAN ARMY P275MV-A レビュー(ACアダプター)
  • 保証書
  • 説明書
  • キャリブレーションレポート
  • ACアダプター
  • 電源ケーブル
  • Display Portケーブル
  • 最大120 W
    規格:19.0 V x 6.32 A
  • PSE認証マーク
    名義:株式会社リンクスインターナショナル
  • フェライトコアなし
「付属品」についてメモ

付属のキャリブレーションは3枚あり、「sRGB」「DCI P3」「AdobeRGB」規格に対してΔE < 2.0に校正済みと記載あり。

ただし、目視補正(メタメリズム障害の回避)を考慮しない、お飾りの校正レポートです。中華モニターに限らず、大手外資系メーカーも目視補正をしていないから、業界全体の問題です。

外観デザインを写真でチェック

外観デザイン
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TITAN ARMY P275MV-A レビュー(デザイン 実物写真)TITAN ARMY P275MV-A レビュー(デザイン 実物写真)
TITAN ARMY P275MV-A レビュー(デザイン 実物写真)TITAN ARMY P275MV-A レビュー(デザイン 実物写真)

WQHD版「P275MS+」とほとんど同じ筐体デザインを流用します。

従来モデル「27M2V」と同様にプラスチック製の安っぽい素材を多用し、マットブラック塗装です。

ベゼル中央に「TITAN ARMY」の白色ロゴマークが大きく目立ちます。付属スタンドは台座型で、手前の占有スペースを節約します。

やかもち
本体の背面にLEDライティング機能を搭載。OSD設定から無効化(消灯)できます。

エルゴノミクス機能とVESAマウント

エルゴノミクス(調整機能)
※クリックすると画像拡大
TITAN ARMY P275MV-Aレビュー(エルゴノミクス機能)TITAN ARMY P275MV-Aレビュー(エルゴノミクス機能)
  • 高さ調整:34 ~ 149 mm
  • 前後チルト:20° ~ -5°
  • 左右スイベル:±25°
  • ピボット:±90°

TITAN ARMY P275MV-Aはフル装備のエルゴノミクス機能を備えます。

ヌルヌルと滑らかに動いて調整しやすい、ていねいな作りのエルゴノミクス機能です。デスクから距離33~35 mmまで高さを下げられます

高さ調整の動かし始めがちょっと硬いくらいで、角度やピボットはかんたんに動かせます。画面の水平(0°)も取りやすいです。

VESAマウント
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TITAN ARMY P275MV-Aレビュー(VESAマウント)TITAN ARMY P275MV-Aレビュー(本体重量)
TITAN ARMY P275MV-Aレビュー(モニターアーム 付けてみた)
  • VESA規格:100 x 100 mm
  • パネル重量:4.26 kg
  • 付属ネジ:なし

別売りモニターアームを取り付けるのに便利なVESAマウントは「100 x 100 mm」に対応します。

パネル本体の重量は約4.26 kgで普通のモニターアームで持ち上げられます。

なお、アームの固定に必要なネジが付属しないです。

かといってモニターアームに付属するネジでも、ネジ穴に先端が微妙に届かなくて上手く固定できません。力付くで固定するのも・・・ちょっと怖いです。

AINEX / 内容:M4 x 10 mm(4本)+ M4 x 12 mm(4本)セット

解決策は「M4 x 12 mm」ネジです。

アイネックス(AINEX)が販売しているM4ネジセットなら、先端がネジ穴にぴったり届いてエルゴトロンLXを正常に取り付けられます

エルゴトロン / 耐荷重:11.3 kg / VESA:100x100 or 75x75 mm / M4スペーサー付属
iggy / サイズ:17~49インチ / 耐荷重:2~20 kg / 画面:シングル用 / 方式:ガススプリング式

対応インターフェイスをチェック

各種インターフェイス
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TITAN ARMY P275MV-Aレビュー(インターフェイス)
  1. 電源ポート
  2. HDMI 2.1
    (3840×2160 / 最大144 Hz)
  3. HDMI 2.1
    (3840×2160 / 最大144 Hz)
  4. Display Port 1.4
    (3840×2160 / 最大144 Hz)
  5. Display Port 1.4
    (3840×2160 / 最大144 Hz)
  6. ヘッドホン端子(3.5 mm)

映像端子は全部で4つあり、どれを使っても最大144 Hz(3840×2160)または最大288 Hz(1920 x 1080)に対応します。

USBポートやKVM機能が一切ない、徹底したコストカット仕様です。

TITAN ARMY P275MV-AのHDMI 2.1端子はFRL方式(最大48 Gbps)でHDMI VRR機能も対応します。いわゆる「真のHDMI 2.1」端子です。

「明るさセンサー」と自動調光

明るさセンサー
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TITAN ARMY P275MV-Aレビュー(インターフェイス)

画面上部の右側に、周囲の明るさを検知する「照度センサー」を内蔵します。天井から入ってくる明るさを検知して、画面の明るさを自動的に調整する機能です。

自動調光モード
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  • 明るさ調整:対応
  • 色温度調整:なし

OSD設定 → ピクチャー設定 → 「光センサー:オン」で、周囲の明るさに合わせて画面の明るさを変動させる「自動調光」モードが機能します。

明るさの変化に対して忙しなく変動しますが、BenQアイケアの「Brightness Intelligence(B.I. Gen2)」と比較して、中程度の明るさまでの応答性がやや鈍い傾向あり。

価格なりの調光機能です。

モニターの設定画面(OSD)

モニター本体の右側底面にある「物理ボタン(5個)」を使って、OSD設定をちまちまと操作できます。

モニター設定画面(OSD)
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TITAN ARMY P275MV-Aレビュー(OSD設定画面)TITAN ARMY P275MV-Aレビュー(OSD設定画面)
TITAN ARMY P275MV-Aレビュー(OSD設定画面)TITAN ARMY P275MV-Aレビュー(OSD設定画面)
TITAN ARMY P275MV-Aレビュー(OSD設定画面)TITAN ARMY P275MV-Aレビュー(OSD設定画面)

項目ごとに分かりやすく整理されたフォルダ階層型のOSDレイアウトを採用。レスポンスも良好でかなり快適。

しかし、設定できる項目があまりにも多すぎて、フォルダ階層型でも相当に入り組んだ構造です。UIデザイン担当者の苦悩が垣間見えます。

  • ショートカットボタン(最大2個まで)
  • プリセットごとに調整(設定値の保存も可能)

最短2回の操作で任意の項目を開けるショートカットボタンを最大2個まで登録できます。「輝度」や「ローカル調光」、「シャドウバランス」や「色彩強調」など、8割くらいの項目を登録可能です。

プリセットごとに好みの設定値を保存して、用途に使い分ける運用も一応できます。

やかもち
5個の物理ボタンがなかなか慣れなくて面倒くさいです。5方向ボタン(ジョイスティック)ならベストでした。

OSDソフト「VIEW MORE WIDGET」

VIEW MORE WIDGET
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View More Widget OSDView More Widget OSD
View More Widget OSDView More Widget OSD
View More Widget OSDView More Widget OSD

中国版サイトから無料でダウンロードできる、INNOCN謹製OSDソフトウェア「VIEW MORE WIDGET」を使えば、パソコンの画面からダイレクトにOSDを設定可能です。

「V1.0.2.6」と記載があるバージョンをダウンロードして使えます。

Display PortまたはHDMIケーブルで接続した状態で、ソフトを起動するだけで自動的に「P275MV-A」が認識され、ひととおりのOSD一覧が読み込まれます。

DSCモード切り替えなど、一部の項目を除き、ざっくり9割くらいのOSDメニューにアクセス可能です。

画面の明るさや色温度(RGBバランス)、使用するプリセットを切り替えたりプリセットごとのカスタム設定、各ゲーム機能の調整や有効化など。

やはりパソコンからダイレクトにアクセス可能なOSDソフトウェアは、ないよりあった方が絶対に便利です。5つある物理ボタンをポチポチ往復する手間を大幅に省けます。

レスポンスも良好です。簡単な項目なら1秒で反映されるし、プリセットモードの切り替えなど重めの項目でも、2~3秒で反映されて悪くない使用感です。

ただし、ASUSやMSI製ソフトによくある「アプリと設定の自動連携」や「作成した設定の出力と読み込み」など、高度な機能は今のところ非対応です。

やかもち
TITAN ARMYはINNOCN OEMシリーズなので、INNOCN謹製アプリをそのまま使える場合が多くて便利です。
【おまけ】TITAN ARMY P275MV-Aの消費電力
消費電力
コンセントを経由して測定
表面温度
(サーモグラフィー)
SDRモード時消費電力
(平均値)
電力効率
(ワッパ)
最大輝度47.5 W9.8 cdm²/W
300 cd/m²39.0 W7.6 cdm²/W
120 cd/m²26.4 W4.5 cdm²/W
最低輝度19.8 W1.3 cdm²/W
HDRモード時消費電力
(平均値)
電力効率
(ワッパ)
ピーク輝度77.1 W18.0 cdm²/W
全白フラッシュ68.9 W9.5 cdm²/W
面積50%68.7 W17.9 cdm²/W
面積10%22.7 W51.0 cdm²/W

表面温度(サーモグラフィー)は、FF16(HDRモード)を約1時間ほど掛け続けてから撮影しました。

異常な発熱なし、体感できるほどの熱気も感じなかったです。

TITAN ARMY P275MV-A:価格設定と代替案

Titan Army / サイズ : 27インチ / 解像度 : 3840 x 2160 / リフレッシュレート : 144 Hz / パネル : QD IPS / 備考 : Amazon限定モデル
参考価格
※2025/11時点
Amazon

2025年11月時点、TITAN ARMY P275MV-A実売価格は約6.4~6.5万円です。

高いか安いかよく分からない? ・・・安すぎて怖いレベルです。4Kで映像美を求めてゲーミングモニターを買うなら、P275MV-Aでほぼ決まりかもしれません。

進化したローカル調光で黒が映える
(実効ピーク値:14000超)

量子ドットで色彩も鮮烈

やかもち
応答速度が褒められないですが、その代わり、素のコントラストが1600超です。おかげでローカル調光の効力が増していて、1000分割クラスと思えない驚異の黒さを実現できました。「映像美は」従来比で更新されます。

おすすめ代替案(他の選択肢)を紹介

HDRを含む画質面で、P275MV-Aを代替できるゲーミングモニターはかなり限られます。

まず、従来モデル(M2V)や新しいINNOCNモデル(GA)は、P275MV-Aよりコントラスト比が下がってしまうから除外可能です。

となれば、VAパネルとMini LEDを組み合わせたTCL 27R83U」がもっぱらの代替案です。

ただし、視野角が狭いし応答速度もそれほど競争力がないうえ、メーカー定価も1.5倍ほど上がります。コスパを考えると手を出しづらいです。

KTC / サイズ : 27インチ / 解像度 : 3840 x 2160 / リフレッシュレート : 160 ~ 320 Hz / パネル : Fast IPS / 保証 : 3年

ギリギリ同じ価格帯、といえなくもない(1万円ほど上がります)ラインが「KTC M27P6」です。

応答速度と明るさはP275MV-Aの上位に位置しますが、KTC Monitorはローカル調光の制御においてまだ新参者であり、INNOCN OEMシリーズほど手慣れてません。

P275MV-Aのピーク実効値が14000:1超に対して、M27P6は4000:1程度にとどまります。競技性に興味がなければ、やはりP275MV-Aでいいでしょう。

TCL / サイズ : 32インチ / 解像度 : 3840 x 2160 / リフレッシュレート : 165 Hz / パネル : Fast HVA(量子ドット) / HDR : DisplayHDR 1400

予算が潤沢な方は、TCL 32R84」を検討できます

TCL CSOT自社製Fast HVAパネルに量子ドットとMini LED(1400分割)を組み合わせ、3ミリ秒台の応答速度と、既存のIPSパネルを凌駕するコントラスト比を両立します。

筆者がリファレンスHDRモニターとして運用中の1台です。

4Kでおすすめなゲーミングモニター

最新のおすすめ4Kゲーミングモニター解説は↑こちらのガイドを参考に。

4KでおすすめなゲーミングPC【解説】

最新AAAゲームを4K画質でプレイするなら、RTX 5070 Ti」以上を搭載したゲーミングPCがおすすめです。

メーカー指名でおすすめなBTOマシンは「ツクモG-GEAR」です。

筆者と同じくオタク気質なパーツ選定がおもな魅力で、他社BTOよりちょっと高い価格も納得できます。他人に安心しておすすめしやすいマシンです。

Ryzen CPU搭載モデルにASUS製マザーボード(+ カスタムBIOS)を使っている点も、意外と知られていない大きな利点です。

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おすすめなゲーミングモニター【まとめ解説】

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