日本で大人気の「DELL」より、2万円台から買える格安なWQHDゲーミングモニター「G2725D」が発売されています。
sRGBカバー率99%と控えめなスペック表記をしつつ、パネル自体は「Fast IPS」と書いてあるので、もしかすると凄いコスパの可能性に期待して1台買ってみた。
(公開:2024/11/8 | 更新:2024/11/8)
「DELL G2725D」はどんなゲーミングモニター?
- WQHD(2560×1440)で「最大180 Hz」
- 「Fast IPS」パネル採用
- PS5で120 Hzに対応
- 値段がかなり安い(2.7万円~)
- 超がつく大手メーカー「DELL」製
正直な話、Fast IPSを使った低価格WQHDゲーミングモニターは珍しくないです。以前レビューした「27G2R」や「H27T22S」が実例です。
一方で「G2725D」は、日本で大人気のド定番メーカー「DELL」が販売してます。Amazonを闊歩する謎の中華メーカー群と違い、桁外れのブランド力がある点が最大の強みに見えます。
DELL G2725D | |
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パネルタイプ | WQHD(2560×1440)で最大180 Hz Fast IPSパネル(27インチ) |
応答速度 | 1 ms (G2G) |
主な機能 ゲーマー向け |
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調整機能 エルゴノミクス |
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VRR機能 | Adaptive Sync ※G-SYNC互換モード対応 |
参考価格 ※2024/10時点 | |
Amazon |
DELL G2725D | |
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画面サイズ | 27インチ |
解像度 | 2560 x 1440 |
パネル | Fast IPS (sRGBカバー率:99%) |
コントラスト比 | 1000 : 1 |
リフレッシュレート | 180 Hz (2560 x 1440) HDMI 2.1 : ~144 Hz DP 1.4 : ~180 Hz |
応答速度 | 1 ms (G2G) |
光沢 | ノングレア |
VESAマウント | 100 x 100 mm |
エルゴノミクス |
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主な機能 |
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同期技術 | Adaptive Sync ※G-SYNC互換モード対応 |
スピーカー | なし イヤホン(3.5 mm)端子あり |
主な付属品 |
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寸法 | 614 x 402 x 197 mm |
重量(実測) |
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保証 |
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本当に必要最低限のスペックしか備わっていません。Fast IPS採用モニターとして見ても、かなり強気な価格です。
唯一の強みは3年間のメーカー標準保証(交換保証)と、無輝点保証(プレミアムパネル保証)でしょう。運悪く故障したら良品と交換してもらえます。
万が一、輝点が1個でも見つかった場合も交換対象です。並のメーカーだと輝点は4~6個以上が保証の条件ですが、DELLならたった1個でも見つかれば保証対象(※黒点は対象外)です。
格安中華モニターと大差ない「普通」の画質
DELLモニターにありがちな「黄ばみ」
DELL G2725Dは最近のWQHDゲーミングモニターで珍しくない「Fast IPS」パネルを使っています。
1~2年前なら優位性があったかもしれませんが、Fast IPS系がほぼ当たり前になってきた2024年時点だと、同じ価格帯と比較して特別・・・画質が良いわけでもないです。
初期設定で色が違和感なく調整されていればDELLらしい差別化ポイントになった可能性があるものの、残念ながら初期設定はやや黄ばんでいて微妙な色合い(低ブルーライト風)です。
キャリブレーター(分光測色計)を使ってモニターのOSD設定をポチポチしながら、歪んでいる初期設定をいい感じに調整します。
キャリブレーターで測定しながら、モニター側の設定(OSD)を手動で調整しました。
- モード:標準
- 明るさ:92
- コントラスト:75
- 色温度:ユーザー設定
- 赤:99
- 緑:95
- 青:96
以上の設定で、ニュートラルな色温度(白色)である6500Kにおおむね調整できます。
画面の明るさは好みに合わせて調整してください。明るさ92%だとかなり明るいです(個人的な好みで350 cd/m²に合わせているだけ)。
違和感が少ないニュートラルな色合いに調整できました。
そこそこ色鮮やかです。安物のノートパソコンやTNパネルのゲーミングモニターから乗り換えると、G2725Dの鮮やかな色合いに驚くはず。
規格どおりのニュートラルな色温度(6500K)は、日本人にとって黄ばんで見える可能性が少し高いです。もし、黄ばんで見えてしまったら、OSD設定の色温度から「青」を強めに調整してください。
(三角形の面積が広い = 色域が広い)
- MSI G274QPX(Rapid IPS)
- DELL G2725D(Fast IPS)
- TITAN ARMY 27G2R(Fast IPS)
- Xiaomi A24i(普通のIPSパネル)
4種類のゲーミングモニターを実測して比較しました。
安物によくある白色IPSパネルより一回り色が広く、Rapid IPSなど高級なIPSパネルより一段狭い色の広さです。2万円台の中華格安ゲーミングモニターによくある「Fast IPS」パネルと大差ないです。
もっと厳密にキャリブレーション(校正)したいガチな方は、筆者が作成した3D LUTプロファイル(.cube)を試してみてください。
フリーソフト「dwm_lut」を使って3D LUT(.cube)を適用したら、ゲーミングモニターのOSD設定を以下の内容に変更します。
- モード:標準
- 明るさ:92
- コントラスト:75
- 色温度:ユーザー設定
- 赤:99
- 緑:95
- 青:96
3D LUTの効果を確かめます。
シンプルに約800ポイント測定でプロファイルを作ってみました。ざっくりガンマ2.2に校正されています。
常用グレースケールで色温度もほぼ6500K前後に一致します。
色の鮮やかさを損なわないように、できるだけ色域を変えないように作ってます。鮮やかさをそのままに、ガンマと色温度を規格どおりに調整する3D LUTプロファイルです。
「G2725D(Fast IPS)」の画質をじっくり見てみる
以前レビューした「TITAN ARMY 27G2R」と同じく、DELL G2725Dも「Fast IPS」パネルを搭載します。
筆者は日頃から量子ドットやOLEDパネルを常用しているため、今さらFast IPSを見ても特に感想が湧いてこないですが、旧世代の安物液晶モニターから乗り換えれば違いに気づくはずです。
コントラスト感は意外に優秀。実測値で約1600:1もコントラスト比があり、並のIPSパネルの約1.6倍です。
(sRGB:ΔE = 3.76 / 色温度:6292K / 輝度:346 cd/m²)
映画やアニメ、FPSゲーム(Overwatch 2)やRPGゲーム(原神)をDELL G2725Dで表示した例です。
映画「トップガン:マーヴェリック」のワンシーンで比較。
安物のIPSパネル(Xiaomi A24i)だと、少しだけ色が白っぽく見えます。肌色の赤色もDELL G2725Dの方が鮮やかです。
大人気RPGタイトル「原神」のワンシーンで比較。
全体的に色の鮮やかさでDELL G2725Dがやはり有利です。背後にある神社の朱色が分かりやすいです。
もっと比較写真を見たい方は↑こちらからどうぞ。
DELL G2725Dに施されたパネル表面加工は、PC用モニターで定番の「ノングレア加工(アンチグレア)」です。
ぼんやりと背景がしっかり拡散され、周囲が明るくても映り込みをかなり防いでいます。
部屋を暗くすると、映り込みがさらに軽減されます。ただし表面加工の粒子サイズは安物と大差なく、透過率がやや悪いです。
高級なIPSパネル(AHVAなど)と比較して、安物のFast IPSパネルは角度によって暗く見えます。VAパネルやIPSパネルより視野角が広いものの(参考:液晶パネルの違いを解説するよ)、高級なIPSパネルには劣っています。
文字のドット感(見やすさ)はそこそこクリアです。
- ドットがRGB配列:テキスト表示に有利
ピクセル配列の拡大写真 - 画素密度が109 ppi前後:標準的な密度
テキスト表示に有利なRGB配列のIPSパネルに、100 ppi前後のスタンダードな画素密度を備えます。
普通の距離感(50~60 cm)で見る分には、ドット感が目立たない鮮明なテキストです。
全部で「7個」あるプリセットモードを比較
- 標準(初期設定)
- ゲーム
- 映画
- 風景
- テキスト
- RTS
- FPS
DELL G2725Dは全部で7個の「プリセットモード」が用意されています。
しかし、プリセットモードごとの意図が見えない手抜き仕様です。モードごとに画面の明るさや色温度をズラしているだけで、ガンマカーブや色の広さに変化がないです。
メーカーが公式サイトでアピールしている「機能:sRGB」も実際には実装されてないです。
なので、「標準モード」のまま好みに合わせて調整がおすすめ。
モードごとの詳しいデータは ↓以下の測定レポートをどうぞ。
目標の基準値:sRGB(Gamma 2.2)
モード | 色域 (sRGB) | 色域 (DCI-P3) | 明るさ | グレーの正確さ | 色の正確さ | ガンマ | 色温度 | コントラスト比 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
標準 | 99.0% | 93.7% | 237.0 cd/m² | ΔE = 1.79 | ΔE = 3.94 | 2.36 | 6070K | 1592:1 |
ゲーム | 99.0% | 93.7% | 104.6 cd/m² | ΔE = 1.16 | ΔE = 3.84 | 2.30 | 8602K | 798:1 |
映画 | 99.0% | 93.7% | 191.7 cd/m² | ΔE = 1.66 | ΔE = 3.88 | 2.33 | 5311K | 1341:1 |
風景 | 99.0% | 93.7% | 105.5 cd/m² | ΔE = 1.28 | ΔE = 3.64 | 2.30 | 6167K | 799:1 |
テキスト | 99.0% | 93.7% | 113.1 cd/m² | ΔE = 1.45 | ΔE = 3.76 | 2.31 | 6141K | 1053:1 |
RTS | 99.0% | 93.2% | 267.7 cd/m² | ΔE = 4.36 | ΔE = 5.16 | 2.60 | 6246K | 1017:1 |
FPS | 98.8% | 91.7% | 323.5 cd/m² | ΔE = 2.51 | ΔE = 3.61 | 2.06 | 8816K | 247:1 |
モードごとにコントラスト比(実測値)がガラッと変わります。標準モードがもっともコントラスト比が高いため、標準モードのまま好みに合わせて調整がベストです。
「DELL G2725D」の測定レポートはこちら↓をクリックして確認できます。
なるべくシンプルな言い回しに置き換える努力をしていますが、やはり専門用語が多く難解に思われるかもしれないです。あまり興味がなければ飛ばしてもらって構いません。
モニターの色を測定する機材「X-rite i1 Pro2(分光測色計)」と「ColorChecker Display Plus(比色計)」を使って、「DELL G2725D」の画質をチェックします。
色の正確さ ※クリックすると画像拡大 | ||
---|---|---|
比較グラフ | グレーの正確さ | カラーの正確さ |
テスト | 初期設定のまま | sRGBモード |
使用モード | 標準 | 非対応 |
明るさ | 237.0 cd/m² | – |
グレーの正確さ(dE2000) | ΔE = 1.79 | – |
色の正確さ(dE2000) | ΔE = 3.94 | – |
ガンマ | 2.36 | – |
色温度 | 6070K | – |
コントラスト比 | 1592 : 1 | – |
初期設定のグレースケールはやや黄ばみ気味に偏っていますが、OSD設定で色温度を調整して修正できます。
色の正確さはほどほどです。安物のFast IPSはそれほど色域が広くないため、sRGBに対するズレを少なく抑えられる傾向です。
なお、DELL G2725Dに「sRGBモード」は未実装です。
- 今日は疲れてるから地味な色合いで見たい
- 「sRGB」色域じゃないと不具合が出るソフト
(※ペイントツールSAIが割と有名)
などなど、sRGB色域が必要ならフリーソフト「novideo_sRGB」である程度調整できます。
比較グラフはsRGBに対する正確さを求めているので、表示できる色が広いパネルほど不利です。
Fast IPSやRapid IPSパネルなど、色の広いパネルが不利になります。「色の正確さ」が優れているからといって、エンタメ用途に楽しい画質かどうかは判断できません。
sRGBの色精度が高い ≠ 主観的に見た高画質です。
DELL G2725Dのネイティブコントラスト比は1592:1です。平均的なIPSパネルより約1.6倍も高いです。
画面の明るさ ※クリックすると画像拡大 |
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画面の明るさを測定したグラフです。
100%時で410 cd/m²に達し、SDRコンテンツを見るのに十分な明るさです。0%時だと92 cd/m²までしか下げられません。夜間に暗い画面を好む人にとって少々明るすぎる仕様です。
目にやさしいらしい120 cd/m²前後は設定値15%でほぼ一致します。
色域カバー率 | ||
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規格 | CIE1931 | CIE1976 |
sRGBもっとも一般的な色域 | 99.7% | 99.0% |
DCI P3シネマ向けの色域 | 93.3% | 93.7% |
Adobe RGBクリエイター向けの色域 | 83.5% | 89.2% |
Rec.20204K HDR向けの色域 | 68.0% | 72.3% |
DELL G2725Dで表示できる色の広さ(色域カバー率)を測定したxy色度図です。
もっとも一般的な規格「sRGB」で99.7%をカバー。HDRコンテンツで重要なシネマ向けの規格「DCI P3」では93.7%カバーします。
印刷前提の写真編集で重視される「AdobeRGB」規格のカバー率は89.2%です。
エンタメ用途で重要なDCI P3とRec.2020カバー率の比較は上記リンクから確認してみてください。
過去レビューしてきたFast IPS系モニターで、もっとも色域が狭いです。
量子ドット > Rapid IPS(AHVA) > 普通の高色域パネル(Fast IPS) > 平凡な液晶パネル > TNパネルの順に並びます。
色ムラの程度を測定。
パネルの端っこ(四隅)に近いほど、明るさが目立って落ち込みます。IPSパネルによくある「IPSグロー」と呼ばれる症状で、程度の差はあれど共通の症状です。
しかもDELL G2725Dの場合、左右に近いほどまんべんなく明るさが下がっていて目立ちます。平均値でなんと11.3%もの色ムラがあり、過去にレビューしてきた液晶パネルとしてかなり程度が悪いです。
普通に映像を見たり、ゲームをする分には色ムラに気づきづらいですが、画面全体に同じ色を表示させると色ムラの存在に気づきます。
マクロレンズでパネルの表面を拡大した写真です。
Fast IPSパネルによくある「くの字型」画素ドットで、シンプルな「RGB」配列の画素レイアウトを採用します。
赤・緑・青の順に並んでいます。細い直線やテキストの表示と相性がいい、PCモニター向けの画素レイアウトです。
表面加工は粒子が大きめのノングレア加工。ぼんやり拡散する効果が大きい一方、透過率がやや悪く色の透き通った感に悪影響。
光を分析する「分光測色計」を使って、画面から出ている三原色の鋭さ(波長)を調べました。専門用語でスペクトラム分析と呼ぶそうです。
グラフを見て分かるとおり、赤色の中央がキュッと凹んでから鋭く立ち上がっています。赤色の中央が凹む特徴的な波長パターンから、「KSF蛍光体(KSF Phosphor LED)」と判別できます。
KSF蛍光体のおかげで安物IPSパネルより赤色の波長が鋭くなり、赤色の純度が高まります。
ついでにブルーライト含有量を調べたところ約27.2%でした。
TÜV Rheinlandブルーライト認証に必要な25%未満を達成するには、モニターの設定から「ComfortView」モードに設定する必要があります。
DELL G2725Dのゲーム性能は?
DELL G2725Dのゲーム性能をレビューします。
- 応答速度
- 入力遅延
- ゲーム向け機能
おもに「応答速度」「入力遅延」「ゲーム向け機能」の3つです。測定機材を使って調べてみます。
DELL G2725Dの応答速度と入力遅延
↑こちらの記事で紹介している方法で、DELL G2725Dの「応答速度」を測定します。
60 Hz時の応答速度 ※クリックすると画像拡大 |
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ニンテンドースイッチやPS4など、最大60 Hz対応のゲーム機で使う場合、60 Hz時の応答速度を気にします。
30パターン測定で、平均6.21ミリ秒を記録します。60 Hzに十分な応答速度です。
120 Hz時の応答速度 ※クリックすると画像拡大 |
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PS5やXbox Series Xで重要な120 Hz時の応答速度です。30パターン測定で、平均5.05ミリ秒でした。
モニターのオーバードライブ機能を「レベル2」に切り替えると平均3ミリ秒前後まで改善できますが、目に見えるレベルの「にじみ」が出現します。
144 Hz時の応答速度 ※クリックすると画像拡大 |
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144 Hz時の応答速度です。30パターン測定で、平均5.20ミリ秒でした。
180 Hz時の応答速度 ※クリックすると画像拡大 |
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180 Hz時の応答速度です。30パターン測定で、平均5.38ミリ秒でした。
・・・遅いですね。モニターのオーバードライブ機能を使って、さらに応答速度を改善できないかチェックします。
OD機能の効果 180 Hz / 4段階をテストした結果 | ||||
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平均値 | 6.07 ms | 5.38 ms | 2.83 ms | 1.96 ms |
最速値 | 3.25 ms | 3.05 ms | 1.99 ms | 0.76 ms |
最遅値 | 10.44 ms | 9.65 ms | 3.74 ms | 3.21 ms |
平均エラー率 | 0.0 % | 0.0 % | 11.2 % | 49.4 % |
DELL G2725Dのオーバードライブ機能は「Lv1」「Lv2」「Lv3」の3段階です。
「Lv2」モードで平均2.83ミリ秒まで応答速度が改善され、UFOのりんかく線がものすごくクッキリ明瞭に見えますが、平均エラー率が11%まで跳ね上がってしまいます。
目で見て分かるレベルの「にじみ」があちこちに発生して、実用性に欠ける悲しい状況です。
結論、DELL G2725Dのおすすめオーバードライブ設定は「Lv1」モードで決まりです。
他のゲーミングモニター(120 Hz以上)と比較します。
今年レビューしたFast IPS系ゲーミングモニターでダントツのワースト記録です。平均3ミリ秒台が常態化する中、まさかDELLが5ミリ秒台をお出しするなんて予想外。
中華ノーブランド製品じゃない、あのDELLの製品として考えるとなかなか悲惨です。
入力遅延(Input Lag)はどれくらいある?
2024年7月より「入力遅延(Input Lag)」の新しい測定機材を導入しました。
クリック遅延がわずか0.1ミリ秒しかないゲーミングマウス「Razer Deathadder V3」から左クリックの信号を送り、画面上に左クリックが実際に反映されるまでにかかった時間を測定します。
- マウスから左クリック
- CPUが信号を受信
- CPUからグラフィックボードへ命令
- グラフィックボードがフレームを描画
- ゲーミングモニターがフレーム描画の命令を受ける
- 実際にフレームを表示する(ここは応答速度の領域)
新しい機材は1~6の区間をそれぞれ別々に記録して、1~4区間を「システム処理遅延」、4~5区間を「モニターの表示遅延(入力遅延)」として出力可能です。
なお、5~6区間は「応答速度」に該当するから入力遅延に含めません。応答速度と入力遅延は似ているようでまったく別の概念です。
左クリックしてから画面に反映されるまでにかかった時間を測定し、左クリック100回分の平均値を求めます。
DELL G2725Dの入力遅延はまったく問題なし。
180 Hz時(G-SYNC互換モード)で平均3.9ミリ秒、120 Hz時(G-SYNC互換モード)で平均4.3ミリ秒の入力遅延です。
どちらも16ミリ秒を大幅に下回っていて、ほとんどすべての人が入力遅延を体感できません。
値段の割に充実していないゲーム向け機能
DELL G2725Dは4つある主要なゲーマー向け機能のうち、たった1つだけ対応します。
- 暗所補正
暗い部分を明るく補正する機能 - 鮮やかさ補正
色の付いた部分を強調する機能 - 残像軽減
残像をクリアに除去する機能 - カクツキ防止
可変リフレッシュレート機能
定価3万円だと到底思えないひどい体たらくです。
WQHDで180 Hz(PS5で120 Hz)に対応
DELL G2725Dは最大180 Hzまで、PS5で最大120 Hzに対応します。実際にPS5とゲーミングPCにモニターをつないでみて、リフレッシュレートの対応状況を確認しましょう。
PS5の対応状況 ※クリックすると画像拡大 | ||
---|---|---|
設定 | 60 Hz | 120 Hz |
フルHD1920 x 1080 | 対応PS5 VRR:- | 対応 PS5 VRR:- |
WQHD2560 x 1440 | 対応PS5 VRR:- | 対応PS5 VRR:- |
4K3840 x 2160 | – PS5 VRR:- | – PS5 VRR:- |
PS5でフルHD~WQHD(最大120 Hz)に対応します。ただし、HDMI 2.1非対応だから「PS5 VRR」も非対応。
実際にゲームが120 Hzで動くかどうかは、ゲームによって対応状況が違うので注意です。
たとえばフォートナイトなら120 fpsかつ120 Hz動作ですが、ストリートファイター6は60 fpsで120 Hz動作になるなど、ゲームによって挙動が違います。
対応リフレッシュレート ※クリックすると画像拡大 |
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DELL G2725Dがパソコンで対応しているリフレッシュレートは以上のとおりです。
HDMI 2.0で最大144 Hzまで、DisplayPortは最大180 Hzに対応します。
VRR機能(可変リフレッシュレート) ※クリックすると画像拡大 |
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フレームレートとリフレッシュレートを一致させて「ティアリング」を防ぐ効果がある、VRR機能はDisplay Portで使用可能です。動作範囲は48~144 Hzです。
LFC(低フレームレート補正)対応ハードウェアの場合は、48 Hzを下回ってもVRRが機能します。ちなみにPS5はLFC非対応だから48 Hzまでです。
DELL G2725Dの機能性を調査
定価3万円台のゲーミングモニターによくある簡素な機能性にとどまります。
- エルゴノミクス
高さや角度を調整する機能 - インターフェイス
映像入力端子やUSBポートについて - ヘッドホン端子
付いてるだけの平凡な3.5 mmアナログ端子 - フリッカーフリー
眼精疲労持ちなら重要かもしれない - ブルーライトカット
エビデンスは無いけれど気にする人はどうぞ - OSD
On Screen Display(設定画面)
一応、順番にチェックします。
自由に位置を調整できる「エルゴノミクス」機能
DELL G2725Dのエルゴノミクス機能は「前後チルト」のみ対応。
左右スイベルどころか高さ調整すら対応しません。
VESAマウント ※クリックすると画像拡大 |
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別売りモニターアームを取り付けるのに便利なVESAマウントは「100 x 100 mm」に対応します。パネル本体の重量は約5.32 kgで普通のモニターアームで持ち上げられます。
ゲーミングモニターに付属する4本のネジを使って、100 x 100 mm対応の「エルゴトロンLX」アームをそのまま取り付け可能です。
「ヘッドホン端子」の音質をテスト
非常に優れたオーディオ特性を持つ「RME ADI-2 Pro」を用いて、DELL G2725Dのオーディオ性能をテストします。
他のゲーミングモニターとほとんど横並びの平均的なオーディオ特性です。当然ながら、ポータブルタイプの専用DAC機材に勝てません。
周波数特性が歪んでいます。わずか-1 dBの歪みを実際に聴き取れるかどうかは個人差が大きいと思われますが、ふつうのゲーミングモニターなら一直線にフラットです。
比較的鳴らしにくい「Sennheiser HD650」をつないで聴いてみた。普通に聴けるレベルの音量(≠音質)を取れます。
他の平均的なゲーミングモニターと同じく、音の解像度はそれほど良くなく低音域もあまり鳴らないです。必要最低限のイヤホン端子ですが、安物のヘッドホンやイヤホンなら案外十分な性能かもしれません。
音にこだわる方、音質に不満を覚えてしまった沼の素質がある人は、素直に別売りのポータブルDACを買ってください。
対応するインターフェイスをチェック
各種インターフェイス ※クリックすると画像拡大 |
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全部で3つの映像端子があり、DisplayPort 1.4で最大180 Hz(2560×1440)、HDMI 2.0で最大144 Hz(2560×1440)に対応します。
「フリッカーフリー」対応ですか?
メーカーの公式マニュアルに「フリッカーフリー画面で目の快適さを最適化します」と記載があります。TÜV Rheinland認証も取得済みです。
フリッカーフリーを検証 ※クリックすると画像拡大 |
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実際にオシロスコープを使ってフリッカーの有無をテストした結果、明るさ0~100%までフリッカーが一切検出されません。
DC調光による完全なフリッカーフリーです。
やはり過去のレビュー傾向からして、TÜV Rheinland認証を取っていれば、ほぼ確実に完全なフリッカーフリーに対応していると考えて良さそうです。
「ブルーライトカット」機能をチェック
- オフ
- ComfortView
OSD設定 → カラー調整 → 「ComfortView」モードでブルーライトカット効果を適用できます。
オフの時点で青色の含有量が27%でかなり低く、ComfortViewモードで25%(TÜV Rheinland基準)を切ります。
モニターの設定画面(OSD)
・・・モニター本体の右側底面にある「物理ボタン(5個)」を使って、OSD設定をちまちまと操作できます。
定価3万円のDELLブランドモニターなのに、5つのボタンをポチポチと押しながらOSDメニューを操作する面倒くさいOSD設計で残念。
OSDレイアウトは直感的に使いやすく、よく整理されたフォルダ階層型です。レスポンスもキビキビと動いて快適ですが、ボタンが絶妙に硬くてやっぱり使用感が悪いです。
ボタンに任意の項目を割り当てるショートカット機能もありません。
DDC/CI機能に対応しているため、フリーソフト「ControlMyMonitor」などでOSDにアクセス可能です。
DELL G2725DのHDR性能をテスト
DELL G2725Dは、「HDR非対応」のモニターです。
PS5に接続してもHDRで表示できないし、ゲーミングPCにつないでもWindowsの設定からHDRを有効化できません。
今どき定価3万円のWQHDゲーミングモニターなら「HDR10」表示くらい対応していて当たり前ですが、G2725DはHDRそのものに非対応です。
DELL G2725Dの開封と組み立て
ほとんど段ボールのような簡素な茶箱パッケージで到着。サイズは70 x 45 x 14 cm(140サイズ)です。
「画面アイコン」が書いてある面を天井に向けてから、下からめくり上げるように開封します。
再生紙を使った梱包材を多用する、環境にエコな梱包状況です。上の段に付属品、下の段にゲーミングモニター本体が収まってます。
付属品 |
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Display Portケーブルが付属します。
電源内蔵型モニターだから、ACアダプターは付属しません。電源ケーブルと3ピン → 2ピン変換アダプターが付属します。
組み立て工程 ※クリックすると画像拡大 | |
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ゲーミングモニターで定番のドッキング方式かと思わせて、スタンドの固定にプラスドライバーが必須です。
外観デザインを写真でチェック
チープなプラスチック製の外装を多用した安っぽいデザインです。
コンセントに仕込んだ電力ロガーを使って消費電力を1秒ずつ記録したグラフです。数~数十時間のゲーミングモニター検証中に記録しています。
消費電力 DELL G2725D | |
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中央値 | 23.1 W |
ピーク値 | 25.5 W |
上位25% | 25.0 W |
下位25% | 21.1 W |
おおむね23 W前後です。最大の明るさで瞬間的に26 W前後、最小の明るさで15 W前後です。
DELLが電源を内蔵できたのも納得の省エネ仕様です。
まとめ:普通のクオリティを、普通の値段で
「DELL G2725D」の微妙なとこ
- 応答速度がやや遅い
- 「PS5 VRR」非対応
- パネルの均一性が悪い
- コントラスト比は平凡
- 内蔵スピーカーなし
- 初期設定の色温度がズレてる
(かんたんに修正できます) - ゲーマー向け機能ほぼ無し
- 最低限のエルゴノミクス機能
- HDRモード非対応
- sRGBモード非対応
- 物理ボタンのOSDが面倒くさい
- 「Dell Display Manager」非対応
- コスパが悪い
「DELL G2725D」の良いところ
- 27インチでWQHD(ちょうどいい)
- 最大180 Hzに対応
- PS5で120 Hzに対応
- 入力遅延が非常に少ない
- 色域がやや広い(DCI P3:93%)
- 扱いやすいOSD設定画面
- メーカー3年保証(無輝点保証あり)
「DELL G2725D」は今どき珍しくない普通の性能と機能を、ごく普通の値段で提供している何ともコメントに困るゲーミングモニターです。
突出した応答速度や正確な初期設定など。同じ価格帯のWQHDゲーミングモニターに対して目立った強みがあればよかったのですが、残念ながら目立った強みは何も見当たりません。
DELLに寄り添ったコメントを書くとすれば、3年間のプレミアムパネル保証(1点でも黒点があれば良品交換も可能)が最大の強みでしょうか。
性能やコスパを重視するゲーマーにあまりおすすめできないです。
「DELL G2725D」の用途別【評価】
使い方 | 評価※ |
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FPSやeSports(競技ゲーミング) 最大180 Hz対応ですが、応答速度がやや遅いです。 | |
ソロプレイゲーム(RPGなど) 色鮮やかな映像でソロプレイゲームに没入できます。 | |
一般的なオフィスワーク 文字がとてもクッキリと見え、完全なフリッカーフリーに対応。ただし「sRGB」モードに非対応。 | |
プロの写真編集・動画編集 プロの写真編集や動画編集に耐えうる色域を備えますが、出荷時校正が何もありません。「Adobe RGB」「DCI-P3」「BT2020」どれも自分でキャリブレーションが必要です。 | |
HDRコンテンツの再現性 HDRコンテンツ非対応です(評価対象外)。 |
※用途別評価は「価格」を考慮しません。用途に対する性能や適性だけを評価します。
参考価格 ※2024/10時点 | |
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2024年10月時点、DELL G2725Dの実売価格は約2.7万円~です。タイムセール時のポイント還元を入れて、実質2.4~2.5万円くらいなら選択肢に入れていいでしょう。
以上「DELL G2725D レビュー:超大手メーカー製WQHD(180 Hz)が2万円台にやってきた」でした。
DELL G2725Dの代替案(他の選択肢)
最大の代替案は同じく2万円台から買える「TITAN ARMY 27G2R」です。平均3ミリ秒台の応答速度、ある程度のゲーマー向け機能、5方向ボタンで扱いやすいOSD設定が付いてきます。
価格が6000~7000円ほど上がってしまいますが、お値段以上の性能を持つ「HP OMEN 27q」も人気です。広色域なLG製パネルを搭載し、ピーク時に500 cd/m²を超える明るいHDR性能が大きな魅力。
逆にいうと、HDRにさほど興味ないならTITAN ARMY 27G2Rのコスパが強いです。
価格が違いすぎて代替案ではないですが、一応、定番のWQHDゲーミングモニターとして「IODATA EX-GDQ271JA」も紹介しておきます。
AUO製AHVA(Fast IPS)パネル搭載、最大180 Hz(PS5で最大120 HzかつPS5 VRRまで対応)、各種ゲーミング機能をフル装備、リモコンでOSDをらくらくコントロールなどなど。
ほぼ全部盛りの優等生WQHDゲーミングモニターです。
WQHDでおすすめなゲーミングモニター
最新のおすすめWQHDゲーミングモニター解説は↑こちらのガイドを参考に。
WQHDでおすすめなゲーミングPC【解説】
予算に余裕があれば「RTX 4070 SUPER」を搭載したゲーミングPCがおすすめです。
予算20万円前後なら「RTX 4070」が無難です。
ゲームのグラフィック設定を妥協するつもりで、予算をもっと絞るなら「RTX 4060 Ti」がコスパ良し。
おすすめなゲーミングモニター【まとめ解説】
性能も値段もKTC H27T22Sの方が優秀そう…
H27T22Sは検証中で、姉妹モデルのH27S17(湾曲Fast VA 5000:1)も購入済みです。G2725Dより優秀だったら良いな・・・。
これは本当に良いところ無しの性能ですね
これでもブランド信仰で結構売れてるから何と言うか・・・
H27T22S楽しみにしてます
Fast IPSパネル (速いとは言っていない)
これ買おうとしてたけど、白モニターで激安なのを理由に27G2Rを購入して良かった〜
格安帯はデフレ進行中の中華メーカーが強いですね。
G27Qiをレビューする予定はありますか?
TVS REGZA 「RM-G276N」「RM-G245N」のレビュー見たいです
AOCが海外でも評価の高いQ27G3XMNを4万円代で日本で発売してくれたら嬉しいんですけど、なかなか来ませんねぇ。
超大手といえばレグザもゲーミングモニタ出しますね
大手メーカーから普通の製品が普通の値段で、しかも保証もちゃんとしている。めちゃくちゃ良いとも言い難いかもしれませんが、”普通に良い”ですね、本当に。
性能もだけど背面デザインも随分と無骨で全くDELLらしさを感じないデザインですな
下部の通気孔(?)っぽいところはファンでも付いてるんでしょうか?
あと、やたらパネル部分重くないですか?
G2724Dの5割増しぐらい重いですが何が入ってるんですかねぇ
この製品に限った話ではないですが・・、DELLの保証は良品先出しなのでもし故障で保証交換することになった場合はサポートに連絡すれば2~3日で代品が届いて壊れたモニタは代品が入っていた段ボールにぶち込んで送り返せばいいだけなのでとても楽です。
(家ではなく勤務先で経験したことですが)
本体刻印のサービスタグで保証期間を管理してるので保証を受けるときにレシートなどの購入証明を用意しなくていいし、DELL公式から購入すれば追加料金で4~5年保証にすることもできるのも〇
中華系メーカーの同等性能品と比べて4000~5000円高い程度だったら自分は運悪く壊れた時面倒な思いをしたくないのでDELLにしますね・・
このG2725Dが前モデルG2724Dよりも公式サイトで安く売られているかよくわかりました!
G2724の後継機と思いきや従来の機能がゴソっと消えてるのか