ゲーム実況配信におすすめな現実的なPCスペックを検証

ゲーム実況配信におすすめな現実的なPCスペックを検証

以前、OBS配信のおすすめなCPUを検証した。その結果、非常に重たいことが判明。しかし、バカ高い超ハイエンドCPUを買わずに、もっと安くゲーム実況配信を快適にすることは出来ないのか?

本記事では2枚のグラボを使うことで、「現実的なコストで配信できる推奨スペック」を検証してみる。

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前提:リアルタイム配信は非常に「重たい」

8コア以上のCPUが必要

筆者がOBSを使って、Fast品質で配信 & 録画を行ったまとめ映像です。見ての通り、6コアのCore i5 8500やCore i7 8700では、ドロップフレームが発生してガタガタな映像になってしまう。

ゲームを動かしながら、かつエンコードしてネットに配信をして、更にエンコードされた映像を録画までする。非常にハードな負荷が掛かるタスクなので、並のCPUでは全く歯が立ちません

AMD Ryzenとの相性が良くない

「8コア以上が必要ならRyzen 7 2700Xで解決では?」と考える。しかし、驚くことにこの希望はアッサリと砕かれてしまう。

スペック的にはRyzen 7の方が高いにも関わらず、実際の配信を見てみると2コア少ないCore i7とそれほどドロップフレームの発生率が変わっていないです。

そして、6コア搭載のRyzen 5 2600Xの安定性も良くないことが分かる。詳しい原因は不明ですが、おそらくOBSがAMD Ryzen向けに設計されたソフトでは無いのが大きいと推測。

あと、Ryzen 7の方がフレームレートが出にくいところも弱点。ゲームによっては大差ないこともあるが、平均的にはRyzenの方がフレームレートは出づらいのが現状です。

全てのCPUで共通「配信するとfpsが下がる」

最後に、グラフィックボード1枚でリアルタイム配信をする場合、フレームレートが大幅に低下することを見越して、かなり余裕のあるグラボを使わなければいけない点も忘れずに。

OBS配信 & 録画 / 1920×1080 / Fast設定

  • 配信なし
    136.4
  • i9 7980XE
    90.1
  • i9 7960X
    96.7
  • i9 7940X
    97.4
  • i9 7920X
    94.1
  • i9 7900X
    95.4
  • i7 7820X
    92.6
  • i7 8700
    85.1
  • i5 8500
    113.5
  • R7 2700X
    45.7
  • R5 2600X
    51.2

配信なし(i7 8700)Intel CoreAMD Ryzen

 GTX 1080 Tiだと平均 136fpsですが、配信をするとガクッとフレームレートが落ち込みます。軽く30%程度は落ち込んでしまうため、下落分を考慮してグラボを選ぶ必要がある。

なお、i5 8500だけフレームレートの低下が少ないが、これは配信の処理に追いつけずに仕事をしていないためです。配信をしてもゲームがそれほど重たくない場合は、配信できていない可能性が高いので注意。

まとめると…CPUで配信はコストが高い!!

  • 8コア以上から安定
  • ただしRyzenは相性が悪い
  • fpsが落ちるからハイエンドグラボが必須

というわけで、CPUでリアルタイム配信をしようと思うと、非常に「お金」が掛かる。もう少し現実的なコスト…例えば15~20万円くらいで、マトモに配信できる環境を作れないか?

次はその検証を行います。

検証:2枚のグラボを使って配信を「軽量化」

用意したPCスペックを紹介

OBS配信の検証スペック

2種類のスペックを用意した。

テスト環境パーツ備考 / 詳細
CPUCore i7 8086K @4.3GHzCore i7 8700を想定してクロック固定
冷却NZXT X62280mm簡易水冷ユニット
グラボGTX 1080 Tiゲーム担当のグラボ
GTX 1050 2GB配信エンコードを担当するグラボ
GT 730 2GB配信エンコードを担当するグラボ
メモリDDR4-2666 8GB x2G.Skill Sniper X
マザーボードIntel Z370Gigabyte AORUS Ultra Gaming
SSDSATA 250GBSamsung 860 EVO M.2
SATA 2TBMicron 1100 2TB
電源ユニット750W(80+ GOLD)Toughpower Grand RGB 750W
OSWindows 10 Pro 64bitVer 1803
ドライバNVIDIA 411.63 WQHLRTXシリーズ対応ドライバ
ディスプレイ1920 x 1080 @144HzBenQ XL2536

検証に使ったPCスペックはこの通り。「GTX 1080 Ti」にゲームの処理を担当させて、もう一方のグラボにOBS配信のエンコードを担当させる。エンコード用のグラボは「GTX 1050」「GT 730」の2種。

2つ用意したのは、もしGT 730が思った以上にエンコードが出来なかった場合に備えてです。

初心者もち
「GT 1030」はダメなの?
自作歴23台のやかもち
GT 1030はエンコード機能が入ってないから無理です。

OBSの設定から「NVENC」を指定する

グラフィックボードにエンコードを担当させるには、「NVENC」を使う必要があるので設定方法を解説する。

OBSからNVENCの設定をする

OBSの設定を開いて「出力」を開く。エンコーダに「x264」が指定されているはずなので、「NVENC H.264」に変更する。これでグラボがエンコードを担当してくれるように。

他の設定は初期設定のままで構わない。

  • レート制御:CBR
  • ビットレート:6000
  • フレーム間隔:0
  • プリセット:高品質
  • Profile:main
  • レベル:auto
  • GPU:0
  • Bフレーム:2

ただし、「GPU」という項目だけは要注意。今回は2枚目のグラボにエンコードを担当させたいので、「GPU:0」ではなく「GPU:1」に変更してください。

OBSからNVENCの設定をする

「GPU:1」に変更しました。パソコンに接続したグラフィックボードにはGPU番号が振り当てられていて、基本的に1枚目のグラボが「0」になり、2枚目は「1」になります。

OBSからNVENCの設定をする

「録画」の設定も、NVENCに切り替えておく。GPU番号を「1」にするのも忘れずに。

OBSからNVENCの設定をする

今回の検証で使う「映像」の設定は以上の通り。

  • 解像度:1920 x 1080
  • 縮小フィルタ:バイキュービック
  • FPS共通値:60

いわゆる「1080p 60fps」と呼ばれる映像設定です。

OBSからNVENCの設定をする

では、後は実際に配信 & 録画を行って、フレームレートの低下がどれくらいマシになって、ドロップフレームはどこまで軽減されるのか。順番に検証していくのみ。

検証の結果「GTX 1050」で余裕の様子

画面ゲーム担当エンコード担当結果
左上GTX 1080 TiGT 730ほぼ全てドロップ(体感)
右上GTX 1080 TiGTX 1050ドロップフレームはわずか
左下GTX 1080 TiGTX 1080 Tiドロップフレームは皆無
右下GTX 1080 TiCore i7 87002~3割はドロップ(体感)

結果をまとめました。見ての通り、GT 730ではOBSの配信をこなせるほどの性能を得られなかった。GTX 1050にすると一気に安定性が増している。

GTX 1080 Tiはゲームしながら同時に配信をさせても、それほどフレームレートを低下させずに動かしてみせた。Core i7 8700は何とか配信できているが、ドロップフレームが目立ちますね。

OBS配信時のフレームレート(1080 Ti)

OBS配信 & 録画 / 1920×1080 / NVENC高品質

  • 配信なし
    115.7
  • GT 730
    103.1
  • GTX 1050
    100.1
  • GTX 1080 Ti
    92.1
  • i7 8700
    85.1

フレームレートの変化はこの通り。CPUで配信をする場合と比較して、大幅にフレームレートの低下を抑えられる。CPU任せだと3割近く低下したが、GTX 1050任せだと1割強で済みました。

OBS配信時のフレームレート(1060 6GB)

OBS配信 & 録画 / 1920×1080 / NVENC高品質

  • 配信なし
    54.9
  • GTX 1050
    52.3

同じ条件で、グラボをGTX 1060 6GBにした場合はこちら。5%しかフレームレートを失っていないので、ハイエンドなグラボが無くても、OBS配信は問題なく可能です。

なお、NVENCは安価なグラボでも安定して配信できるのが強みですが、画質はCPUエンコードに劣る。特に映像が動いている場面では、細かなブロックノイズが目立ち、細部の描写も疎かになります。

たとえGTX 1080 Tiを使っても、画質はそれほど変化しないため、もし配信に画質を求めているなら8コア以上のCPUを用意したほうが確実です。「i9 9900K」や「i9 7900X」あたりがオススメ。

まとめ:ゲーム実況配信の推奨スペック

以前の検証では、軽く30万円以上が吹っ飛ぶようなハイエンドマシンが無ければ、OBSでリアルタイム配信をするのは難しいという結論が出ていた。

しかし、今回の「2枚のグラボを使った」検証で、ごくごく一般的なスペックのPCでもリアルタイム配信を安定させるのは可能だと証明できました。ただし、この方法にはデメリットもある。

NVENCを使った配信のデメリット
  • CPUと比較して「画質」が粗い
  • 拡張スロットが3~4スロット必要

最大のデメリットは「画質の粗さ」です。高品質プリセットに設定しても、動きが速いシーンになると細かなブロックノイズが目立ち、映像のディティールも大幅に損なわれてしまいます。

NVENCは「仕事は速いけど雑い」ので、仕方がないですね。それと、グラフィックボードを2枚使うので、拡張性に余裕のないパソコンだと実現できない可能性があるのは注意。

必ず、グラフィックボードを2枚挿し込むスロットがあるかどうか、事前に要チェックです。

NVENCを使った配信のメリット
  • CPUと比較してコストが掛からない
  • 配信時のフレームレート低下が少ない

メリットは当然、大幅に安く済むということ。画質にはこだわらないので、安価にリアルタイム配信をしたいと考えているなら、現状はグラボを2枚使うのがベスト

「使いたいグラボ + GTX 1050」で決まり

というわけで、現実的な予算でリアルタイム配信ができる推奨スペックは「GTX 1050を追加すること」です。

初心者もち
「GT 1030」にNVENCが入っていないの、ホントケチくさいね。
自作歴23台のやかもち
かと言って「GT 730」は性能不足だから、「GTX 1050」が現状のベストです。
MSI製 / Twin Frozr VIファン / ブースト時 : 1809 MHz
MSI製 / シングルファン / ブースト時 : 1518 MHz

コスパ良くフルHDゲーミングの配信をするなら、筆者が検証しているように「GTX 1060 6GB + GTX 1050」がオススメ。あるいは「RX 580 8GB + GTX 1050」でも良いと思います。

使うモニターゲーム用グラボ配信用グラボCPUメモリ
フルHD @60HzGTX 1060 6GBGTX 1050i3 8100 / i5 8500 / i5 9600K / Ryzen 5 ~ 7などとりあえず「16GB」は欲しい
RX 580 8GB
フルHD @144HzGTX 1070 TiGTX 1050i5 9600K / i7 8700 / i7 9700Kなど
RTX 2070
GTX 1080 Ti
RTX 2080

ゲーミングモニター(144Hz)を使うつもりなら、「RTX 2070 + GTX 1050」や「GTX 1080 Ti + GTX 1050」など。CPUはボトルネックに合わせたモノを選べば問題ない。

以上「ゲーム実況配信におすすめな現実的なPCスペックを検証」について、解説でした。


ゲーム担当のグラフィックボードを探している方は、こちらの記事を参考に。おすすめなグラボと、その性能(平均フレームレート)をまとめてあるので選びやすいです。

「ボトルネック?」については、こちらの解説をどうぞ。高性能なグラフィックボードほど、性能の高いCPUが必要になります。

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23 件のコメント

  • 環境を作るのが大変だと思うのですが、配信の処理をQSVに設定して、ゲーム用のグラフィックを RX570/580にした場合にどうなるか、興味があります。

    この記事でも非常に参考になりました。ありがとうございます。

  • お疲れ様です
    質問なのですが、i7 7800xだとやはり力不足でしょうか?
    それとも配信ソフトを変えればいいのですかね?なにかおすすめな配信ソフトなどを記事にしていただけると嬉しいです

  • ・サウンドブラスターAudigy Rx
    ハードウェアアクセラレーション対応でCPUの負荷を軽減…はさほどでもないでしょうが、値段対性能比は優れています
    また、マイク端子x2が実況の大きな強みになるでしょう
    実況用PCなら、検討しても良いかと思います

  • GTX1050tiの代わりに中古のGTX750tiあたりを採用するのがコスト的に最適解………かも?

    もっとも、750tiがNVENCでどの程度戦えるかどうか未知数なので断定出来ませんが

  • いつも分かりやすく、かつ楽しい記事をありがとうございます
    更新楽しみにしています きちんとアドブロックはOFFにさせて頂いてます

    “ゲーム時のフレームレートを落とさずに配信もする!”というと、2PC配信を思いつきますが、ソフト面でもハード面でも設定が面倒で、あまり一般的ではないと思います。しかし、今回の記事のように2枚目のグラフィックボードを用意するだけで、ゲーミングとエンコードの役割分担ができ、あたかも2台目の配信用PCを用意したかのような環境設定が出来上がるというのは非常に驚きでした。

    そこでいくつか気になったことがあります。
    ゲーム時>1080p144fps エンコード時>1080p60fps ビットレート>6,000kbps

    – もし完全にエンコードだけに集中できる2台めのPCを用意できるのなら、1PC配信時に比べてどのくらいCPU負荷は減り、ブロックノイズが減るのか?
    – 例えばゲームプレイ+エンコードの両方を担うi7-8770kは、2台目のPCに用意されたエンコードだけに集中できるi7-3770kにも劣るか?
    – 前回の記事でプリセットFastにおいては力不足とされたi7-8770kも、エンコードだけに注力できるなら実用に耐えうるか?など)
    – CPUエンコード vs GPUエンコード(メリット・デメリット)
    – 例えば2PC配信をするならこのくらいのCPUを使うべき、このCPUを持ってるんだけどキャプチャーボードを買ってまで2PC配信する価値はあるか、この程度のCPUを使うなら1PC-2GPUでも良い、ゲーミングPCとエンコードPCのCPU-GPUのスペックバランスは?、2PC配信じゃないと出来ないエンコード…最強スペックでやるとここまできれいになる、など

    2PC配信という非常にニッチなジャンルの内容になりますが、もし、やかもちさんもご興味をお持ちでしたら、ぜひぜひよろしくおねがいします。

  • はじめの方でIntelの8コア以上のCPUじゃないと厳しい、という結果が出てましたが、ということは少し前にレビューされていた最新の8コアのi7 9800k搭載のPCを買えばグラボを2枚用意しなくても、最初の映像のi7 7820x~i9 7900xぐらいのスムーズな配信が出来るという解釈をしても大丈夫でしょうか?

  • 1050のNVENCで1割ドロップ発生するということはCUDA数とメモリ量どちらが発生原因になっているのでしょうか?1050ti4GBと1060 3GBでの検証も見てみたいです

  • GTX1050はTiと比べて比較対象にされる事が少ないから面白かった
    …それ言ったら3GBも大概かもしれないけど

  • 1050tiから1070に買い替えた人なんですけど、配信するためだけに1050を買うのはちょっと…って思ってしまったんですが、1050tiを流用とかできないんですかね?

  • RadeonもReLive使えば似たようなことできるのかな
    あと2GPUだとゲームによっては不具合出てくることもありそうで怖いっちゃ怖い

  • いつも有益な情報ありがとうございます。
    可能であればこのあと、2PCでの配信でオススメなPC構成を特集してもらえると助かります。

    • フレームの推移をみるとRyzenの2600Xと2700Xだけかなり低い。
      それなのにドロップ率が変わらない。
      となると不向きでしょう。

  • いつも楽しく拝見しています。

    OBSではRyzenが不利なのはわかりましたが、XSplitでも同様なのでしょうか?
    有料アプリですが、無料期間などもチャットでもらえたりもするので、検証ネタでいかがでしょうか?
    正直、自分が見たいだけなんですけどね…。

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