860 EVOをレビュー:耐久性能あたりのコスパが最高のSSD

2014年以降サムスンの大人気SSDブランド「850 EVO」の後継モデルとして「860 EVO」が2018年に登場した。ミドルクラスのSSDはだんだんと差別化が難しくなっているが、860 EVOは「同価格帯で最高の耐久性能」を持たせることで数多あるSSDとの違いを明確に。

本記事では「860 EVO 250GB」のM.2版をレビュー & 検証する。

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Samsung 860 EVOのカタログスペック

Samsung 860 EVO
容量250 GB500 GB1 TB2 TB4 TB
インターフェイスSATA 3.0 (6GBps)
フォームファクタ2.5 inch / M.2 22802.5 inch
コントローラSamsung MJX
NANDSamsung 64-layer 3D TLC V-NAND
DRAMキャッシュLPDDR4
512 MB1 GB2 GB4 GB
読み込み(Seq)最大560 MB/s
書き込み(Seq)最大520 MB/s
書き込み(TLC)最大300 MB/s最大500 MB/s
4KBランダム読み込み最大100000 IOPS
4KBランダム書き込み最大90000 IOPS
耐久性能(TBW)150 TB300 TB600 TB1200 TB2400 TB
保証5年
MSRP$ 94.99$ 169.99$ 329.99$ 649.99$ 1399.99

まずは860 EVOの仕様(カタログスペック)から確認していく。ラインナップは250GB~4TBの5種類。最大4TBの容量が用意されているのは、860 EVOの強みの一つ。なぜなら、一般向けSSDで4TBを提供しているのは860 EVOだけです(執筆時点)。

フォームファクタは1TB版までは2.5インチまたはM.2ソケットが用意され、2TB版以上は2.5インチのみ。接続インターフェイスは「SATA 3.0」なので、理論上の転送速度は600 MB/sに制限される。

つまりSATA 3.0という規格に制約される以上、860 EVOは単に速度だけで競争するわけには行かず、競合ひしめくTLC NAND採用のSSD市場で明確な付加価値を上乗せする必要がある。もちろん860 EVOはこの難題を解決済み。

自社製のSSDコントローラ「MJX」、自社製の64層 3D-TLC NAND、そして自社製のDRAMキャッシュ(規格は現行最速のLPDDR4を贅沢に採用)。主要コンポーネントは全てサムスン自身が開発・製造し、自社でまとめ上げている。

OEM製品が濫発される魑魅魍魎なSSD市場において、サムスン製SSDは極めて限られた「完全自社製のSSD」です。個人的にはこれだけでSamsung 860 EVOには相応の価値があると思っている。

…全部自分で作るなんて、高い技術力と莫大な生産設備が無ければ実現なし得ないからね。日本で有名なCrucialシリーズですら、全部自社製とは行かないわけで。

860 EVOは「耐久性能」で競争を挑む

SSD860 EVO850 EVO750 EVOMX500
容量250GB250GB250GB250GB
コントローラSamsung MJXSamsung MGXSamsung MGXSilicon Motion SM2258
NAND64層 3D-TLC32層 3D-TLC128Gb 16nm TLCMicron 64層 3D-TLC
DRAMキャッシュLPDDR4 512MBLPDDR2 512MB256MBDDR3 256MB
読み込み(Seq)560 MB/s540 MB/s540 MB/s560 MB/s
書き込み(Seq)520 MB/s520 MB/s520 MB/s510 MB/s
4KBランダム読み込み100000 IOPS97000 IOPS97000 IOPS95000 IOPS
4KBランダム書き込み90000 IOPS88000 IOPS88000 IOPS90000 IOPS
耐久性能(TBW)150 TB75 TB70 TB100 TB
保証5年5年3年5年

さて、860 EVOはSATA SSDなので速度で競合他社のSSDを打ち負かすのは難しい。860 EVOはこの難題を解決するべく、同価格帯のSSDと比較して50~100%も多い耐久性能で競争を挑んだ。

先代の750 EVOや850 EVOと比較すると2倍以上、現行最大のライバルであるCrucial MX500と比較しても、その耐久性能は50%も多いという驚きの水準に達している。

860 EVOの特徴まとめ

  • 優れた耐久性能
  • 高速なDRAMキャッシュ
  • 完全自社製のSSD
  • 競争力のある価格設定
  • 5年保証

スペック的には目立った欠点はなく、利点の方が遥かに多い高品質SSD。7000円台から入手可能なSSDとしては唯一の「完全自社製SSD」という点も860 EVOの大きな強みです。

860 EVOを開封レビュー

では「開封の儀」から行きます。

今回入手したのは「860 EVO 250GB」のM.2ソケット版です。製作中の自作PC(23台目・ベンチ機)のシステムストレージとして採用した。あえてM.2版を選んだのは、省スペース性に優れるから。それだけです。

裏面はこんな感じ。850 EVOがホワイトな背景のシンプルなデザインだったのに対して、860 EVOではブラックの背景にオレンジ色を使っており、やや高性能っぽさをアピールするデザインに変更されていますね。

開封。硬いプラスチック製の容器でガッチリと梱包されています。それにしても…M.2 SSDは小さいですね。チューインガムとそう変わらないコンパクトさです。薄型ノートパソコンで引っ張りだこなのも理解できる。

チップ実装面はシンプルなシールが貼ってあるのみ。実装されているコンポーネントは左から順番に64層の3D TLC NANDが2つ、LPDDR4 512MBのDRAMキャッシュ、そして「MJX」SSDコントローラ。

裏面は特に何もない。上位の970 EVOとの差別化として、基盤の色がブラックではなく緑のままなのが個人的に惜しいところ。まぁ…上位品との差別化は大事なので、仕方がないことですが。

マザーボードのM.2ソケットに挿し込み、固定して取り付けは完了。手間の少なさと省スペース性、配線も一切必要ない「M.2」ならではのメリットだと思います。

Samsung 860 EVOの性能を検証(ベンチマーク)

Crystal Disk Mark 6

国内で定番のストレージベンチマーク「Crystal Disk Mark 6」で、860 EVOのシーケンシャル速度やSSDの質が出やすいランダムアクセス速度を検証していく。性能の一貫性を確かめるため、複数のテストサイズを実行します。

50MB

最も小さい50MBサイズでは、シーケンシャル書き込み速度が若干落ち込んでいます。ただしランダムアクセス速度(4KiB Q1T1)はSATA SSDの中では極めて高速です。

1GB

標準的な1GBサイズになると書き込み速度がグッと上がって公称値超えのパフォーマンスに。読み込み564 MB/sと書き込み534 MB/sというのは、SATA SSDとしてはほぼほぼ上限に位置する性能ですね。

4GB

ちょっと大きめの4GBサイズにすると…驚くことに1GBサイズの時とほとんどパフォーマンスは変わっていない。書き込みがほぼ完全に同じ速度を維持しているのは驚くべき安定性です。

16GB

更に大きい16GBサイズをテストすると、書き込み速度がやや遅くなります。ランダムアクセス書き込み速度は依然として他社競合を圧倒しているが、シーケンシャル系の速度が落ち込んでしまっている。

実はこれ、250GBモデルだからです。860 EVOは容量の約4%に相当するSLC書き込みキャッシュが用意されていて、250GBモデルは「12GB」のキャッシュがあります。よって16GBサイズはそのキャッシュを超えています。

だから書き込み速度が落ち込んでしまうのです。もちろん、サムスンはこの欠点を補ったバージョンを「860 PRO」として用意している。そちらはMLC NANDを使っているので、キャッシュを使わずとも一貫して安定した書き込み性能を維持できるよ。

32GB

CDMで検証可能な最大サイズである32GBはこの様子。シーケンシャル書き込みは遅いが、ランダムアクセス速度はやっぱり速い。サムスン製コントローラの優れたところです。

MX500と比較してみる

ライバルのCrucial MX500(500GBモデル)と比較してみる。キャッシュが有効な範囲では、シーケンシャル読み書き・ランダム読み書きすべてにおいて860 EVOが圧倒する結果になりました。

特に、体感性能にもっとも影響が大きいランダムアクセス速度(4KiB Q1T1)がMX500と比較して約23%も速いのは、860 EVOの大きな強みです。この価格帯ではほぼ最速の部類に入るはず。

なお、MX500と860 EVOで大きく違うのが、書き込み用のSLCキャッシュ。860 EVOは容量の4%相当のキャッシュが用意されている一方で、MX500は空き容量に応じてキャッシュ容量は動的に変動する。

それだけでなくシステムメモリも兼用するため、一貫したシーケンシャル速度が欲しいならMX500の方が有利ですね。とはいえ、本当にシーケンシャル重視のユーザーは「860 PRO」や「970 PRO」を選ぶと思いますが。

AS SSD Benchmark 2.0

AS SSD Benchmarkは非圧縮データをテストに用いる。そのため公称値通りのパフォーマンスが出にくいが、860 EVOは割りと維持している方。特に書き込みが500 MB/sを超えているのは優秀なところ。

総合スコアは1266点で、MX500の1244点をやや上回った。やはり4KBサイズのランダムアクセス速度が優秀です。

ATTO Disk Benchmark

様々なテストサイズで一括テストができるATTO Disk Benchmark。SSDの良し悪しが分かりやすいソフト。

序盤の立ち上がり(512B~1KB)がMX500より若干遅い。それ以降(2KB~)はどんどん速度が急上昇していき、読み込みはMX500と同等、書き込みは完全に860 EVOを圧倒した(8%ほど高い)。

グラフにまとめると違いが分かりやすい。860 EVOの安定性は抜群です。

SSDの動作温度をチェック

Crystal Disk Mark 6 を使って860 EVOに高負荷を掛けて、その状態でSMART経由のSSD温度を計測しました。アイドル時に32℃、高負荷になっても38℃と温度は全く問題ない。

サーモグラフィー「FLIR ONE」を使って、860 EVOの表面温度をチェック。確かにNANDフラッシュとDRAMキャッシュは熱くても44℃程度で非常に落ち着いています。

SSDコントローラは最大55℃まで。このくらいの温度なら特に問題ないな。75~80℃を超えてくるなら、サーマルスロットリングが心配なのでヒートシンクが必要になるが、50℃前後なら特別な対策は不要です。

まとめ「860 EVOは頑丈で速い高品質SSD」

ぼくはSSDに関してはサムスン愛好家で、やっぱり主要パーツがすべて自社製という安心感が信頼につながっています。実際のパフォーマンスもここまで見てきたとおり、SATA SSDとしてほぼ最高性能です。

SSD860 EVOMX500Micron 1100SL500
読み込み(Seq)564.1 MB/s562.7 MB/s534.4 MB/s516.7 MB/s
書き込み(Seq)535.9 MB/s511.0 MB/s520.7 MB/s464.1 MB/s
読み込み(4KB Q=32)408.3 MB/s404.9 MB/s357.1 MB/s170.8 MB/s
書き込み(4KB Q=32)363.3 MB/s360.5 MB/s329.1 MB/s314.3 MB/s
読み込み(4KB Q=1)57.1 MB/s46.7 MB/s25.9 MB/s22.1 MB/s
書き込み(4KB Q=1)159.7 MB/s130.6 MB/s132.6 MB/s96.4 MB/s

他のSSDと比較するとこの通り。今回検証したのは「250GB」と小さいサイズでハンデを負っているにも関わらず、全てのパフォーマンスにおいて860 EVOは他社競合を上回る結果を残すことが出来ました。

TLC NANDを採用するSATA SSDとして、860 EVOは概ね「最高の性能」を持つSSDと言って差し支えないと思いますね。

SSD860 EVO850 EVO750 EVOMX500
容量250GB250GB250GB250GB
耐久性能(TBW)150 TB75 TB70 TB100 TB
保証5年5年3年5年

書き込み耐性(TBW)も抜群に高い。競合に対してだいたい50%ほど多い書き込み耐性を持つので、寿命を重視しているユーザーにとっても魅力的な選択肢。

唯一の欠点はSLCキャッシュ

Samsung 860 EVO
容量250 GB500 GB1 TB2 TB4 TB
SLCキャッシュ12GB22GB42GB78GB
耐久性能(TBW)150 TB300 TB600 TB1200 TB2400 TB

860 EVOはTLC NANDを採用するSSDなので、素の状態だと書き込み速度が遅い。だからDRAMキャッシュの他に、SLCキャッシュも用いることで書き込み速度の底上げ(いわばドーピングに近い)を施してある。

しかし、容量の4%相当のキャッシュしか搭載していないため、キャッシュを超えるデータを書き込むと500 MB/s近い書き込み速度が300 MB/s前後にまで落ち込みます。大容量のデータを頻繁に書き込む使い方を想定するなら、物足りないだろう。

たとえば、HDDに録画した動画をいったん作業用SSDに持ってきて編集する。といった使い方を日常的にするのであれば、書き込み速度は速いに越したことはない。

ゲーマーには、あまり関係の無いデメリットですね。

コスパよく「高耐久」なSSDが欲しいなら一択

書き込み耐性1TBあたりの単価は、2018年時点でもっとも安いSSDです。耐久性に優れたSSDを、ごく普通の価格で入手したいと考えているなら860 EVOシリーズ以外の選択肢が今のところ存在しません。

  • TLC NANDを採用するSATA SSDとして「ほぼ最高の性能」
  • 同価格帯のSSDを50~100%も上回る「耐久性」
  • 5年保証
  • 安定している動作温度
  • 日常的に大容量データを書き込むなら上位版の「860 PRO」をどうぞ

以上「860 EVOをレビュー:耐久性能あたりのコスパが最高のSSD」でした。

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7 件のコメント

  • すいません。
    関係ない質問なのですが、自作pcが起動しません。メモリーを差し替えてみたりグラフィックボードをとりかえてもcmosクリアをしてもだめでした。
    状態はcpuファンが回り、マザーボードのLEDもつきますが、BIOSが起動しません。

    最小構成でもだめでした。

    やはりメモリーでしょうか?
    いちおう構成です。
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    【合計】� 129,143

    • マザーボードのチップセットが「B350」ですね。BIOSアップデートはしましたか?

      第2世代Ryzenは従来のチップセットが使えますが、BIOSアップデートをしなければ起動しません。
      もし手元に古いAMD CPU(第1世代のRyzenなど)が無いなら、PCショップに行って対応してもらうのが吉です。

    • 最小構成でBIOSがpostしないとなると、メモリー > マザーボード >>> CPUの順番に怪しいです。

      <メモリーを差し替えてみたり
      ただ、メモリーの差し替えは既にやっているようなので、マザーボードの初期不良かもしれません。
      CPUの初期不良は極めて稀なので、確率的にはマザーボードが怪しいと思われます。

  • そうですか、、、
    ただ、RAMが予算不足で中古なので新品を買ってためしてだめだったらマザーをうたがいます!

    • あ~…。
      確かに3D-XpointはIntelとMicronの共同開発であって、Intelからは「Optane」ブランド、Micronからは「QuantX」ブランドとして市場に流れているため厳密には完全Intel製とは言えないんですね。
      あとは最近の760pや、過去の545sではSM製のコントローラーを採用した例もあり、垂直統合で完全自社製を実現しているのはサムスンだけになってしまうのか。

      修正しておきます。

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