HDDを爆速化「Intel Optane Memory」の使い方と性能を解説




インテルが2017年から発売している「Intel Optane Memory」という、容量がとても少ないSSD。「32GBのSSDとか存在価値あるの?」と思った人もいるかもしれない。実は…このSSDはHDDを爆速化するのが目的。本記事ではOptane Memoryの使い方から効果まで、詳しく解説してみます。

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Optane Memory = HDD爆速化ツール

Optane Memoryは普通のSSDとして使うこともできますが、正しい使い方は「キャッシュメモリ」です。Optane MemoryはHDDのキャッシュとして機能することで、HDDの動作速度を飛躍的に高めることができるアクセラレータ系のハードに分類される。

「キャッシュ化」で高速化する仕組み

Intel Optane Memoryの仕組み

HDDとOptane Memoryを組み合わせた状態で、ゲームを起動するとします。まず、ゲームデータが保存されているHDDからデータが読み出され、一旦Optane Memoryに保存(キャッシュ化)される。そのため初回起動はかなり遅い

Intel Optane Memoryの仕組み

そして2回目以降になると、すでにOptane Memoryに保存済み(キャッシュ済み)のゲームデータから読み出せばいいので、HDDからの読み出しをスキップしてOptaneから直接読み出します。結果、40秒の待ち時間が無くなり爆速化する

これがキャッシュメモリとして機能するOptane Memoryのおおまかな解説です。頻繁に使うデータ(例:Windowsなど)はOptane Memoryにどんどんキャッシュされていくので、体感で分かるほど動作がキビキビになる。

初心者もち
Optaneが覚えてるデータはHDDから出さずに、Optaneから出すから速いのね。
自作歴22台のやかもち
そういうこと。

Optane Memoryの使い方と設定ガイド

「Optane Memory」がどういうPCパーツなのか、だいたい理解できたと思います。次は実際にOptane Memoryを導入する方法を画像つきでしっかりと解説していく。手順自体はカンタンですが、いくつか注意点もあります。

使うための前提条件

単にHDDとOptane Memoryをセットで用意するだけでは、機能しません。Optane Memoryを使える環境は以下の通り。

対応世代対応CPU対応チップセット
8th Coffee LakeCore i7 8700K / 8700 / 8700T
Core i5 8600K / 8600 / 8500
Core i5 8400 / 8600T / 8500T / 8400T
Core i3 8350K / 8100 / 8300
Core i3 8300T / 8100T
7th KabylakeXeon E3-1285 v6 ~ 1220 v6
  • Intel C236
Core i7 7700K / 7700 / 7700T
  • Intel Z270
  • Intel Q270
  • Intel H270
  • Intel Q250
  • Intel B250
Core i5 7600K / 7600 / 7500
Core i5 7400 / 7600T / 7500T / 7400T
Core i3 7350K / 7320 / 7300
Core i3 7100 / 7300T / 7101E
Core i3 7101TE / 7100T
Skylake-XCore i9 7980XE / 7960X / 7940X
  • Intel X299
Core i9 7920X / 7900X
Core i7 7820X / 7800X
Core i7 7740X / Core i5 7640X

2018年時点で、Optane Memoryを使えるのは以上だけです。第7世代以降のCore i3 / i5 / i7と、エンスージアスト向けのCore i9(と一部のi5 / i7)じゃないと機能しないので注意してください。

CeleronやPentium、そしてローエンド向けのチップセットである「H310」でも使えません。インテルとしては製品の棲み分けをしているつもりだろうが…あまり良い印象ではないですね。

ちなみにAMDのCPUを使っている場合は、AMD独自の「StoreMI」というアクセラレータ機能があります。よってOptane Memoryの使える環境が限られていることは、さほど大きな問題ではないとも言える。

筆者は「Core i5 8600K」と「Intel Z370」の組み合わせで、Optane Memoryの導入を行いました。

パソコンのM.2ソケットに挿し込む

マザーボードの「M.2ソケット」にOptane Memoryを挿し込みます。チップが実装されている面を上にするのを忘れずに。

M.2ソケットの奥まで挿し込んだら、マザーボードに付属しているネジで固定する(※M.2ソケット用の小型ネジはOptane Memoryに付属しません)。

「M.2ソケット用のネジを失くしたかもしれない。」という場合は、アイネックスさんがAmazonで代替品を売っているのでそれでなんとかしてください。

専用ソフト「Optane Memory」をインストール

M.2ソケットにOptane Memoryの取り付けが終わったら、次は専用アプリケーションをインストールして設定を行っていく。

Optane Memoryの設定方法

インテルの公式サイトからアプリケーションをインストールします。

Optane Memoryの設定方法

入手したら「管理者として実行」する。

Optane Memoryの設定方法

インストールを進めていく。「次へ」

Optane Memoryの設定方法

「次へ」

Optane Memoryの設定方法

「使用許諾契約書に同意」して「次へ」

Optane Memoryの設定方法

保存場所は初期設定で大丈夫。「次へ」

Optane Memoryの設定方法

数秒ほど掛かります。

インストールが完了したら「再起動します」

デスクトップに「インテルOptaneメモリー」のショートカットが作成されているので、さっそく起動して次の「紐付け設定」へ行きます。

高速化したいHDDと紐付ける

アプリケーションを起動したら「次へ」。

紐付けるOptane MemoryとHDDを選びます。

  1. Intel Optane Memory 32GBモデル
  2. Seagate製2TB HDD(ST2000DM004)

今回はこの2つを紐付ける。選び終えたら「有効」をクリックしてください。

なお、Optane Memoryアプリが最新版なら、高速化するHDDはシステムドライブ・データドライブのどちらでも選べます

Optane Memoryのデータは削除されるが、この時点ではフォーマットすらしていない状態なので気にせずにチェックを入れて「続行」です。

待ちます…、数分は掛かる。のんびりOptaneメモリーが表示してくる3D映像でも楽しみながら待ちましょう。

設定が終わると「再起動」するように言われるので、再起動します。

再起動が終わると「有効化が正常に完了しました」と表示される。さっそく「起動」をクリックしてみよう。

このように「インテルOptaneメモリーが有効になっており、システムが高速化されています。」と表示されていれば成功です。

無効化について

「無効」ボタンを押せば、自動で紐付けの解除を行ってくれます。大抵の場合は専用アプリケーションだけで紐付けの解除が終わりますが、なかなか上手く行かない場合はBIOSから解除してください。

ちなみに絶対に真似しないで欲しいのですが、電源を落とした状態でOptane Memoryを取り外して起動すると…勝手に紐付けは解除されていました。何をやっても紐付けが解けない時の最終手段と思っておこう、推奨はしません。

HDDはどれくらい速くなるのか?

ここまでの作業でOptane Memoryの取り付け、そして設定まで終わりました。あとはOptane実装前と実装後で、HDDの速度がどれくらい速くなったのかを検証します。

テスト環境

テスト環境
CPUCore i5 8600K
冷却無限五 Rev.B
マザーボードGIGABYTE Z370 AORUS Ultra Gaming
GPUGTX 1060 6GB
メモリDDR4-2400 8GB x2
SSDOptane Memory 32GB
HDDSeagate 2TB
電源ユニットCorsair CX550M
ケースThermaltake VIEW 27
OSWindows 10 Pro 64bit

テスト環境は以上の通りです。詳細は「【自作PC】最新のインテルで組む、予算15万のゲーミングマシン」にて。

読み書き速度は文字通り「爆速」に

HDD単体HDD + OptaneOptane単体

HDD単体だと200 MB/s前後だった読み書き速度が、Optane Memoryと組み合わせることで読み込み速度が1400 MB/sまで、書き込み速度は300 MB/sにまで速くなりました。特に読み込みは7倍にまで高速化しています。

そして体感動作に大きな影響を持つ「ランダムアクセス速度」(4KiB Q1T1)に至っては、読み込みが約317倍で書き込みは約92倍と信じられない次元の「爆速化」を達成。体感でもSSDらしいキビキビした動作を実現している。

これが実際に使ってみて驚いたところで、ベンチマーク上では速くなるとは思っていたがちゃんと体感できるモノとは。とにかく速い。

データサイズごとのパフォーマンス

HDD単体HDD + OptaneOptane単体

ATTO Disk Benchmarkを用いて、データサイズごとの読み書き速度をテストしてみました。基本的な傾向としては、データサイズが大きくなればなるほどパフォーマンスは低下していく。キャッシュ容量は無限じゃないので、原理的に仕方のないことです。

Windows 10の起動時間

Glary Utilitiesに表示されるブート時間で比較しました。HDD単体だと45秒ほど、Optaneでキャッシュ化すると29秒でした。純粋なSSDだと10秒くらいまで行けるので、若干遅い印象はあります。それでもHDDよりは速いですけど。

ゲームやアプリケーションの起動時間

HDD単体HDD + Optane2回目
9秒1320秒332秒96

Photoshop CCの起動時間はこの通り。HDD単体だと約9秒で、Optaneを組み合わせると初回起動に約20秒。2回目以降はたったの3秒で即起動しました。

広大なオープンワールドを持つMMORPG「黒い砂漠」のローディング時間も計測してみた。

HDD単体HDD + Optane2回目
1分44.4秒1分10秒13.9秒

HDDだと1分44秒も掛かっていたローディングが、初回起動に1分10秒。2回目以降はわずか14秒で起動するようになった。

HDD単体HDD + Optane2回目
1分32秒40秒36秒

Witcher 3も概ね高速化。HDD単体と比較して半分以下の時間で起動するように。

Optane Memoryのメリットとダメなとこ

ここまで、Optane Memoryの設定から実際に使ってみたパフォーマンスの差など。いろいろと見てきました。とりあえず断言できることは「確かにOptane Memoryを使えばHDDは爆速化」するということ。これに尽きる。

とはいえメリットとデメリットがはっきりとしているPCパーツなので、最後に両者を解説します。

ダメなとこ:スペックの敷居とキャッシュの挙動

このマークがついてるマザボなら特に安心。

少なくともCore i3以上のCPUが必要で、ローエンドなチップセットでは使えない点はダメなところ。もっと低予算なマシンでOptane Memoryを使いたいと考えているユーザーにとっては、特に大きなデメリットというより「障壁」ですよね。

次にデメリットだと感じるのが、やっぱり初回起動時は「爆速」にならないという点。原理的に一旦キャッシュ化する必要があるので無理な話ではあるが、こまめにパソコンをシャットダウンするユーザーには微妙かもしれない。

逆にパソコンを長時間稼働させる人にとっては、2回目以降の爆速化で十分間に合うかなと。

メリット:格安で大容量SSDが作れる

一方のメリットは、安価に大容量SSDを実現できること。キャッシュ化にともなう特徴的な挙動はあれど、基本的にOptane Memoryによって爆速化したHDDは「ほとんどSSD」です。実際、Windowsはキビキビと動きますからね。

容量SSDだけHDDだけHDD + Optane割安
250GB840032001100031.0%
500GB13500498012780-5.3%
1TB24000520013000-45.8%
2TB49800760015400-69.1%
4TB1240001050018300-85.2%
8TB※6800001770025500-96.3%

※ 8TB SSDはデータセンター向けにしか出荷されておらず、非常に高価です。

同容量のSSDを「HDD + Optane Memory」で実現した場合の価格を比較してみました。500GBまでは互角ですが、1TB以上になるとOptane Memoryを使うことで圧倒的に安くできることが分かる。

本記事を執筆した時点で、もっとも安価な2TB SSDは「Micron SSD 1100」ですが、それでも36000円ほど掛かります。大容量SSDを極めて低コストで入手するなら、Optane Memoryは十分選択肢になります。

まとめ:安価に大容量SSDが欲しいなら「アリ」

  • カンタンな設定方法
  • HDDがSSD並に爆速化
  • Windowsの動作がキビキビ
  • アプリの起動速度は2回目以降は爆速
  • 1TB以上のSSDと比較すると容量単価は圧倒的
  • 要求スペックの敷居がやや高い
  • 原理上、書き込み速度はHDDレベル
  • アプリの起動速度は初回起動だけ遅い
  • 500GB以下ならSSDで良い
  • M.2ソケットを1つ占有する

Intel Optane Memoryのメリットとデメリットをまとめました。大容量SSDを激安コストで実現できるという強みに、どこまでの魅力を感じるかが評価の別れどころです。

初心者もち
合計15400円で2TB SSDになるのか~、ゲーム用なら良さげかも。
自作歴22台のやかもち
2TB超えの大容量SSDを超安く実現するなら、今のところ最高の解決策です。

Optane MemoryにおすすめなHDDは?

どういう用途を想定しているかによって、最適なHDDは違ってくる。以下、用途別におすすめなHDDを紹介しておきます。

ゲーム用ならST4000DM004(4TB)で十分。2TBのプラッタを2枚使って4TBを実現しているので部品点数が減り、理屈では故障しにくい。そしてプラッタの記録密度が高いため、5400回転でありながら読み書き速度が200 MB/sを超える。

総じてコストパフォーマンスに優れたHDDです。ぼくは2台運用していて、1台目が11ヶ月。2台目が9ヶ月になります。現状は安定している。

大事なデータを保存したいと考えているなら、WD製HDDの最上位モデル「WD Gold」が適任。信頼性だけでなく、性能もトップクラスです。

なお、これだけの高品質HDDでも「壊れないとは言えない」ので、紛失したら絶対に困るようなデータを保管するなら定期的なバックアップを忘れずに。WD Blueなど、安くてまぁまぁ信頼できるHDDにバックアップすれば良い。

「やっぱりSSDが良い。」という人へ

キャッシュを作る都合上、初回起動時は遅く、シャットダウンするとキャッシュが消えて次の起動はまたキャッシュを作らなければならない。このあたりが気になる人は、やはり純粋なSSDをおすすめします。

2018年7月時点で、最安の2TB SSDです。筆者も絶賛利用中で「コスパ最強の大容量SSD」なのは間違いない。

なお、いくら安いからって中華製は下手に手を出さない方が賢明。特にキャッシュレスSSDはひどい。

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13 件のコメント

  • 以前の記事と今回のを見ましてOptane Memory導入しようと思っているのですが、自作するのが初めてで電源やそのほかの相性など正しいのかわからないのでツイッターのほうでお聞きしてもよろしいですか?

  • ReadyBoostと似たようなものっていう認識でいいのかな
    ちょっと調べたけどこっちはシステムドライブ以外でも使えるみたい(重要)
    ただ同じようなものだと起動後数分間は使用率100%になるんですよね(システムドライブ割り当てReadyBoostの場合)
    データを置いておきたいゲーマーに注目されそうな気もするけど対応チップセットが割と新しいのだけっていう…

  • 今やキャッシュレスSSDはSanDisk等の名だたるブランドを冠した製品にもあるので中華だからダメSSDというわけでもないような。

    • まぁ、確かにそうですね。
      キャッシュが無いと困るのは大容量データの転送時だけで、普通に使っていればSSDらしい振る舞いをしますし、予算のためと割り切れる人ならちょうどいいモノだと思います。

  • キャッシュ用SSDということは読み書きが頻繁にされそうですね。182.5TBWとのことですが何年程度持ちそうなんでしょうか?

    • 24時間使っていると1日あたり100GBくらいは書き込んでいたので、単純計算で5年は持ちます。保証も5年なので、Intel側の認識も5年は持つということかと。

  • 質問なのですが、アプリの進化でOSを入れ直すことなくOPTANEメモリーをポン付けで適用できるようになったんでしょうか?

      • たびたび申し訳ありません。高速化する予定のHDDは中にOS以外にもいろんなアプリを入れてるのですが、この場合、適用は不可能なんでしょうか?

          • お答えいただきありがとうございました。本日OPTANEが届いたので、お答えに従っていろいろバックアップをとりながらこのページの通りにインストールしたところ、何のデータもアプリも消えておらずに拍子抜けしましたwすごいですねこのアプリは。ありがとうございました。

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