ほぼ瞬時の応答速度が可能なOLED(有機EL)パネルで、最大240 Hzに対応したゲーミングモニター「27GR95QE-B」を買ったので、詳しくレビューします。
LG Display製の最新世代「MLA OLED」を搭載する最初のゲーミングモニターです。
(公開:2023/7/14 | 更新:2023/7/14)
LG 27GR95QE-Bの仕様とスペック
LG UltraGear 27GR95QE-B | |
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パネルタイプ | WQHD(2560×1440)で最大240 Hz MLA OLEDパネル(26.5インチ) |
応答速度 | 0.03 ms (G2G) |
主な機能 ゲーミング向け |
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調整機能 エルゴノミクス | 高さ調整:110 mm 前後チルト:+15° ~ -5° 左右スイベル:10° ピボット:90° |
VRR機能 | AMD FreeSync Premium※G-SYNC互換も対応 |
参考価格 ※2023/07時点 | |
Amazon Tsukumo(ツクモ) 楽天市場 Yahooショッピング |
LG UltraGear 27GR95QE-B | |
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画面サイズ | 26.5インチ |
解像度 | 2560 x 1440 |
パネル | MLA OLED |
コントラスト比 | 1500000 : 1 |
リフレッシュレート | 240 HzHDMI 2.1 : ~240 Hz / DP 1.4 : ~240 Hz |
応答速度 | 0.03 ms (G2G) |
光沢 | ノングレア |
VESAマウント | 100 x 100 mm |
エルゴノミクス |
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主な機能 |
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同期技術 | AMD FreeSync Premium※G-SYNC互換も対応 |
スピーカー | なしイヤホン(3.5 mm)端子あり |
主な付属品 |
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寸法 | 604 x 574 x 258 mm |
重量 | 5.05 kg(パネルのみ) 7.35 kg(スタンド含む) |
保証 | 2年無輝点保証あり |
「27GR95QE-B」のスペックをざっくり確認します。
何と言ってもMLA OLED(マイクロレンズアレイ方式OLED)パネル搭載で、最大240 Hz対応が最大の優位性です。まったく残像感のない超クリアな映像に期待できます。
(画像:Panasonic MZ2500 より引用)
OLEDパネルの表面に非常に小さな穴を大量にあけて、光を通しやすくする新設計です。光が通りやすくなった分、同じ消費電力でより明るい画面が可能に。
逆の見方をすると、同じ明るさを出すために必要な消費電力を減らせます。消費電力が減るとパネルの表面温度も下がり、結果的にOLEDパネルの長寿命化につながります。
MLA方式を使って画面を明るくするか、同じ明るさのまま製品寿命を伸ばすかはメーカーのさじ加減次第です。「27GR95QE-B」は後者を取り、メーカー標準保証を1年から2年に改善します。
LG 27GR95QE-Bの画質をレビュー
OLEDパネルは完璧な黒色を表示できるため、とにかくコントラスト比がすさまじいです。
普通のIPSパネルでうっすらと灰色に見えがちな黒い部分が、OLEDパネルならドット単位で消灯して真っ暗に見えます。
サイバーパンク2077や原神で夜の街を出歩くと、コントラスト比の暴力によってもたらされる引き締まった映像を楽しめるはず。
(sRGB:ΔE = 3.8 / 色温度:6550K / 輝度:220 cd/m²)
Nano IPSに迫る広い色域と無限のコントラスト比により、ゲームから映画まであらゆるコンテンツをそつなく美麗に表示可能です。
量子ドット(Q-dot)タイプのOLEDやIPSパネルと比較すると、色の鮮やかさに物足りなさを覚えるかもしれませんが、落ち着いた色合いが好みの人にとってはちょうど良いでしょう。
初期設定は(意図的に)色温度が激しく寒色に偏っています。あまりにも青すぎて不具合と思いきや、メーカーの仕様でした。
- モード:ゲーマー2
- 明るさ:100
- ブラックスタビライザー:60
- コントラスト:53
- ガンマ:モード2
- 色温度:赤52 / 緑50 / 青44
以上の設定でちょうどいい色温度に調整できました。
- 初期の色温度:8620K(激しく寒色)
- 修正後:6546K(ちょうどいい)
※パネルの個体差により、↑上記の設定が正しく機能するかどうか正確性を保証できません。あくまでも参考程度に。
モニター測定機材による評価
モニターの色を測定できる専用の機材「X-rite i1 Pro2(分光測色計)」を使って、「LG 27GR95QE-B」の画質をチェックします。
初期設定(ゲーマー1)は全体的にかなり色が青く、sRGBプロファイルもズレています。色域が広いOLEDパネルによくある現象で、一般人は気にする必要がほぼ無いです。
sRGBに合っていないと困る用途(例:カラーマネージメント非対応のイラストソフトなど)では、モニターの設定から「sRGBモード」に切り替えてください。
表示される色がsRGB領域に制限され、結果的にsRGBに対して正確な色が出ます。
広色域IPSパネルやOLEDパネルなど、表示できる色が広いパネルは色が外側にズレてしまい、結果的にsRGBの色精度が下がります。
sRGBの色精度が高い ≠ 主観的に見た高画質です。
MLA OLEDパネルのネイティブコントラスト比は無限(Inf:1)です。ピクセル単位で点灯と消灯を切り替えられ、完璧な黒色(0 cd/m²)を表示できます。
画面の明るさ ※クリックすると画像拡大 |
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100%時で213 cd/m²に達し、そこそこの明るさです。0%時だと15.3 cd/m²まで画面を暗くできます。
目にやさしいらしい120 cd/m²前後は設定値73%でピッタリ一致します。
色域カバー率 | ||
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規格 | CIE1931 | CIE1976 |
sRGBもっとも一般的な色域 | 100% | 100% |
DCI P3シネマ向けの色域 | 97.0% | 98.4% |
Adobe RGBクリエイター向けの色域 | 91.4% | 96.2% |
Rec.20204K HDR向けの色域 | 72.0% | 73.9% |
表示できる色の広さ(色域カバー率)はかなり広いです。
もっとも一般的な規格「sRGB」で100%をカバー。HDRコンテンツで重要なシネマ向けの規格「DCI P3」を98.4%カバーします。
印刷前提の写真編集で重視される「AdobeRGB」規格のカバー率は96.2%です。
4K HDRコンテンツで重要な「Rec.2020」規格は約74%をカバーしており、Nano IPSに迫ります。量子ドット(Q-dot)タイプのOLEDやIPSパネルには当然届かないです。
色ムラの程度は期待はずれです。一般的にOLEDパネルの色ムラはほとんどないですが、今回の27GR95QE-Bでは並のIPSパネル以下の色ムラが見られます。
パネルの四隅で明るさが沈み込み、まるで「IPSグロー」かのような症状が・・・。
幸い、実際のゲームプレイで気になるほどの色ムラではないものの、OLEDパネルでここまで色ムラが悪いのは不思議です。
やはり疑問だったので英語圏フォーラムで調べたところ、どうやらLG製OLEDモニターに実装されている「CPC (Convex Power Control)」機能が原因の可能性が高いです。
消費電力のわずかな削減や熱の低下にともなうパネルの長寿命化を見込める機能ですが、並のIPSパネルより酷い色ムラに見合う機能かと言われると(個人的に)理解できません。
CPC機能はサービスメニューにアクセスしないと解除できないため、実質オンオフできないデフォルト機能です。どうしても解除したいなら「MKJ39170828(LG代替リモコン)」が必要です。
OLEDパネルは視野角が非常に広いです。かなり鋭い斜め方向から見ても、画面が白くなったり黄ばんだりする傾向が少ないです(参考:液晶パネルの違いを解説するよ)。
フリッカーフリーを検証 ※クリックすると画像拡大 |
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公式サイトでフリッカーフリーを言及していないですが、実際の測定で問題なくフリッカーフリーを確認できました。
フレームの切り替わり時にほんの少しだけ明るさが下がる、OLEDパネルで特有のグラフです。肉眼で感知するのは不可能なので安心してください。
ここは液晶パネルオタク向けの解説です。ほとんどの人は興味がないので、読み飛ばしてください。
マクロレンズでパネルの表面を拡大した写真です。
LG製のOLEDパネルでよく見られる「RWBG配列」を確認できます。RGB画素だけだと明るさを稼げないので、W画素(白色)を追加して明るさを稼ぐ「W-OLED」です。
スペクトラム分析で青色がもっとも鋭く、緑色と赤色がなだらかな白色OLED特有のパターンが出ます。
文字のドット感は残念ながら今ひとつです。1画素に4つも色を使う「RWBG配列」のせいで、文字の左側に赤と緑、右側に青と緑がうっすらと見えてしまいます。
完全な白い背景(#FFF)に、黒いフォント(#000)ならテキストフリンジは発生しませんが、少しでも薄い白(#EEE等)や薄黒いフォント(#222等)だとテキストフリンジが発生します。
Windows 11 / 10(MacOS含む)の仕様上、防ぎようがない仕様です。
LG 27GR95QE-Bのゲーム性能をレビュー
↑こちらの記事で紹介している方法で、LG 27GR95QE-Bの「応答速度」を測定します。
公式サイトによると、メーカー公称値は0.03ミリ秒です。本当かどうか、測定機材で徹底的に調べましょう。
120 Hz時の応答速度 ※クリックすると画像拡大 |
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120 Hz時(120 HzはPS5で重要)の応答速度です。30パターン測定で、平均0.52ミリ秒でした。
さすがOLEDパネル、ほぼ瞬時の応答速度です。「にじみ」や「逆残像」などエラーもまったく検出されず、平均エラー率はなんと0%です。
240 Hz時の応答速度 ※クリックすると画像拡大 |
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240 Hz時の応答速度は平均0.36ミリ秒でした。120 Hz時からさらに高速化します。平均エラー率も0%のままです。
UFOの姿がクッキリと確認でき、まるで黒挿入(BenQのDyAc+など)機能を使ったかのように残像感が見えません。
他のゲーミングモニターと比較します。
言うまでもなく、LG 27GR95QE-Bが最強です。競技向けに最強とうたわれた「Zowie XL2566K」より約4倍も速いです。
目に負担がかかる黒挿入機能を使わずに、まるで黒挿入を使ったレベルでクッキリパッキリ見えるため、安心して長時間のFPSプレイに没頭できます。
「入力遅延(Input Lag)」は、映像ソースやマウス・キーボードからの入力信号を、ゲーミングモニターが実際に認識するまでにかかる時間です。
一般人は気にする必要はありません。競技性が重視される格ゲーやFPSゲームをガチでプレイする、競技ゲーマーが気にするべき指標です。
「Raspberry Pi 4」を使ったカスタム入力遅延テスターで入力遅延を測定した結果、60 Hz時で3.5ミリ秒でした。120 Hz時で1.8ミリ秒です。
他のゲーミングモニターと比較します。ほとんどのゲーミングモニターは16ミリ秒を下回ります。入力遅延3.5ミリ秒は、まったく問題ありません。
LG 27GR95QE-Bの機能性をレビュー
10万円超えのハイエンドモデルらしく、全部盛りのエルゴノミクスを搭載します。
左右スイベル(首振り)の角度がちょっと狭いのが気になりますが、FPSプレイ時なら正面が多いですし大した問題ではなさそう。
VESAマウント ※クリックすると画像拡大 |
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別売りモニターアームを取り付けるのに便利なVESAマウントは「100 x 100 mm」に対応します。パネル本体の重量は約5.05 kgで普通のモニターアームで持ち上げられます。
モニター側に最初から付いている4本のネジで、Amazonベーシック(エルゴトロンOEM)のモニターアームを干渉なく取り付けられます。
付属品の「リモコン」を使ってサクサク快適にOSD設定が進みます。
OSDレイアウト自体はよくあるフォルダ階層型で、直感的に分かりやすく整理されています。大手メーカー製らしく、OSDの操作感がとてもスムーズです。
便利なショートカットキーも対応。OSD設定からショートカットキーに好みの項目を登録しておき、リモコンからワンボタンで呼び出せます。
- ゲーマー1(初期設定)
- ゲーマー2
- FPS
- RTS
- 鮮やか
- ブルーライト低減モード
- HDR効果
- sRGB
LG 27GR95QE-Bは全8種のプロファイルに切り替え可能です。設定ごとに色温度やコントラスト感が変わります。基本的に好みにあったプロファイルを使ってもいいし、微調整して使うのもあり。
筆者の場合、「ゲーマー2」モードを以下の設定に調整して使っています。
- 明るさ:100
- ブラックスタビライザー:60
- コントラスト:53
- ガンマ:モード2
- 色温度:赤52 / 緑50 / 青44
違和感が少ないコントラスト、ちょうどいい色温度(6550K前後)です。
暗い部分を見やすく補正する、暗所補正機能「ブラックスタビライザー」の効果です。最大100で5ずつ調整でき、設定値を上げるほど暗いシーンを明るくする補正がかかります。
ただ、もとの画質が暗いせいでブラックスタビライザーを最大まで掛けても、デッドバイデイライトはやや見づらいです。
画面上のクロスヘアを表示する機能に対応。デッドバイデイライトなど、クロスヘアを表示できないゲームで重宝しますが、若干ハードウェアチートです。
やや充実したインターフェイスを備えます。付属品のUSB Type-BケーブルでLG 27GR95QE-Bをパソコンを接続して、2個あるUSBハブ(最大5 Gbps)を利用できます。
HDMI 2.1は48 Gbps対応で最大240 Hzまで、Display Port 1.4も最大240 Hzに対応します。Display PortでAdaptive Sync(G-SYNC互換モード)も使用可能です。
モニター中央下部に、バーチャルサラウンド機能「DTS Headphone:X」に対応したヘッドホン端子(3.5 mm)があります。
Sennheiser HD650をそのまま挿し込んで使ってみると、音割れ(ビビリ)なく十分な音量が出てきてけっこうびっくりです。低音も割りとあって臨場感ある音質です。
音質にそれほどこだわりが無い人なら、27GR95QE-Bのヘッドホン端子で不満なく使えます。
PS5の対応状況 ※クリックすると画像拡大 | ||
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設定 | 60 Hz | 120 Hz |
フルHD1920 x 1080 | 対応PS5 VRR:対応 | 対応PS5 VRR:対応 |
WQHD2560 x 1440 | 対応PS5 VRR:対応 | 対応PS5 VRR:対応 |
4K3840 x 2160 | 対応PS5 VRR:対応 | 対応PS5 VRR:対応 |
HDMI 2.1でPS5につなぐと、フルHDから4K解像度まで最大120 Hzで使えます。HDMI 2.1で利用できる「PS5 VRR」も対応済みです。
PS5完全対応のWQHDゲーミングモニターはかなり珍しいです。
VRR機能(可変リフレッシュレート) ※クリックすると画像拡大 |
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ゲーム側のフレームレートと、モニター側のリフレッシュレートを揃えてティアリング現象を防ぐ「VRR」機能は、定番のAdaptive SyncやG-SYNC互換モードに対応します。
OSD設定からAdaptive Syncを有効化して、Display Portで接続するとG-SYNC互換モードを有効化できます。動作範囲は48~240 Hzです。
ただし、Adaptive Sync(G-SYNC互換モード)を有効化して数時間ほどゲームをプレイしていると、暗いシーンで「ちらつき」を感じました。
常にちらつくわけではなく、フレームレートの急激な変動時にちらつきが発生しているように見えます。
Q. ゲームプレイ中に断続的に画面がちらつく
A. 画面のちらつきを改善するファームウェアは現在開発中です。アップデートまでの一時的な対策として、HDMI経由のFreeSync(最大120 Hz)を推奨します。
Intermittent screen flickering when playing games(LG Support)より引用
メーカーサポートによると、現時点の仕様らしいです。問題を解決するファームウェアを現在開発中・・・とのこと。
対応リフレッシュレート ※クリックすると画像拡大 |
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27GR95QE-Bが対応しているリフレッシュレートは以上のとおりです。
HDMI 2.1とDisplayPort 1.4、どちらも使えるリフレッシュレートがほぼ同じです。VRRとHDRを無効化しても、選べるリフレッシュレートが増えたりしません。
OLEDの「焼き付き対策」 ※クリックすると画像拡大 |
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OLEDパネル特有の「焼き付き(バーンイン)」を防ぐため、4つの焼き付き防止機能が用意されています。
「画面移動」は名前の通り、画面に動きがない状態がつづくと画面の表示位置をズラします。
スペック表で2560×1440と見せかけて、実は上下左右に余分なピクセルが用意されているので、画面移動が発生しても常に2560×1440表示を維持可能です。
「スクリーンセーバー」は何もしていない状態が10分ほど続くと、画面が自動的に消える機能です。10分でも長いと感じる方は、Windows側の設定で3分や5分など好きに設定しましょう。
「画像のクリーニング」「画素のクリーニング」はパネル全体をクリーニングする、ド定番の焼き付き防止機能です。
4時間おきに「クリーニングしませんか?」と警告が表示されます。または数時間使った後、モニターの電源を落とすときに自動的にクリーニングが実行されます。
(SDR時は200 cd/m²台を維持する傾向)
なお、白い画面に対する輝度低下は皆無です。メモ帳をグーンっと拡大しても、白い画面の明るさは一切変化しません。
OLEDパネルにありがちな煩わしい輝度変化をきちんと対策してあり、素直に好感を持てます。
LG 27GR95QE-BのHDR性能をレビュー
27GR95QE-Bで実際にHDRコンテンツをテストします。
テストに使ったHDRソースは、Youtubeで公開されている「Morocco 8K HDR」と、HDR対応の「天気の子(4K Ultra BD盤)」です。
黒は美しいですが、明るさに不足を感じます。部屋の照明を暗くして、ずっと見ているとだんだんと目が慣れてきて(暗順応)多少マシに見えます。
しかし、Mini LED搭載の液晶パネルと比較してしまうと、明るさ不足を感じざるをえないです。
完璧な黒色による無限のコントラスト比のおかげで、黒いシーンが多いコンテンツであれば猛威を振るうものの、明るいコンテンツだと「感動的な」HDR体験は難しいでしょう。
当然ながらDisplay HDR認証も取っていません。明るさが足りていないため、OLED向けのDisplay HDR True Black認証も取得していないようです。
HDRが目指す現実的な映像を期待するなら、Display HDR 1000認証を取っている27M2Vや32M2Vをおすすめします。
VESA Display HDR HDR性能のテスト結果 | ||
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比較 | テスト対象 LG 27GR95QE-B | VESA Display HDR True Black 400 |
画面の明るさ |
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黒色輝度 | 0 cd/m² | 0.0005 cd/m² 以下 |
コントラスト比 | Inf : 1 | 1200000 : 1 以上 |
色域 |
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色深度 | 10 bit DP 1.4で最大240 Hzまで | 10 bit |
ローカル調光 | 自発光型パネル OLED(有機EL)パネル | 自発光型パネル |
「優れたHDR性能」を初心者さんに分かりやすく説明すると
- 明るさ:明るいほど良い(超ハイエンド機なら1000 cd/m2超)
- 黒色:無点灯に近いほど良い(0.1 cd/m2以下なら実用上は十分)
- コントラスト比:高いほど良い(5000 : 1以上で実用上は十分)
- 広色域:DCI P3が広いほど良い(DCI P3:90%以上は欲しい)
めちゃくちゃ明るくて、暗い部分はちゃんと真っ暗。さらに表示できる色も広い。これらの条件を満たしているなら「高性能なHDR」で、高性能なHDR性能を持つモニターは基本的にDisplay HDR規格を取得しています。
HDR 600以上なら、まずハズレなし。HDR 1000やHDR 1400を取得しているモニターは超ハイエンド機です。
なお、有機ELパネルは特性上、HDR性能を伸ばせないので注意してください(※有機ELは画面を明るくするほどパネルの故障率が上昇するため、画面が明るくなりすぎないように制御されています)。
27GR95QE-BのHDR性能をテストした結果、全白輝度の不足が原因でDisplay HDR True Black 400認証すら取れないと判明しました。
HDRモードで画面全体に白色を表示したときの明るさを、他のモニターと比較したグラフです。
HDR 400認証をとっていない凡百の液晶モニターよりも暗い画面です。
HDR輝度の変化を比較したグラフです。
LG 27GR95QE-Bが600 cd/m²以上を出せる面積は10%までで、25%以上の面積で400 cd/m²台に、50%以上で200 cd/m²台まで輝度が下がります。
HDR時のコントラスト比(理論値)はInf:1、完璧な黒色を表示できるおかげでコントラスト比は得意です。
HDRコントラスト比i1 Pro 2で測定した結果 | |
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全画面 | Inf : 1 |
10%枠 | Inf : 1 |
3×3分割 | Inf : 1 |
5×5分割 | Inf : 1 |
7×7分割 | Inf : 1 |
HDRコントラスト比を細かくテストした結果を掲載します。すべてのテストケースでInf:1(∞)を維持します。
正しい明るさを表示できるかをチェックする「EOTF」グラフです。暗い部分で若干浮きますが、以降はピーク輝度に達するまでキレイに追従します。
HDR時の色精度(Rec.2020)は普通です。最大ΔE = 12.9、平均ΔE = 6.5です。
色温度は平均6750Kでやや寒色より、出荷設定の割には合っています。
HDRモード時の消費電力電力ロガーコンセントで測定 | |
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白枠面積 | 消費電力 |
1 % | 23 W |
2.5 % | 25 W |
5 % | 27 W |
10 % | 33 W |
25 % | 37 W |
50 % | 37 W |
75 % | 38 W |
100 % | 38 W |
全白フラッシュ (※持続時間は2~3秒) | 38 W |
電源コンセント経由でHDRモード時の消費電力を測定しました。MLA(マイクロレンズアレイ)方式で光が通りやすくなった分、消費電力も少なく済みます。
輝度の制限(ABL:自動輝度制限)の影響もあり、消費電力がかなり上がりづらいです。SDR時だと平均45 Wで、HDR時より消費電力が増えます。
LG 27GR95QE-Bの開封と組み立て
10万円超えのハイエンドとは思えない、簡素なデザインの茶箱で到着。サイズは80 x 18 x 53 cm(160サイズ)です。
分厚い梱包材でぎっしり、安心できる梱包状態です。
付属品 |
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普通の付属品です。映像出力用のDisplay PortケーブルとHDMIケーブルが付属します。ACアダプタは最大110 W(19 V x 5.79 A)まで給電できます。
最近のゲーミングモニターらしい、ツールレスフリーの組み立て工程です。スタンド部分の固定ネジに手回し用の取っ手が付いています。プラスドライバーは不要です。
まとめ:現時点で最強の240 Hzゲーミングモニター
「LG 27GR95QE-B」の微妙なとこ
- パネルの均一性は普通
(おそらくCPC機能が原因) - 文字ぼやけ(テキストフリンジ)
- 内蔵スピーカーなし
- 初期設定の色温度がズレてる
(かんたんに修正できます) - ゲーマー向け機能は控えめ
- VRR使用中まれに「ちらつく」
- 明るいHDRに期待しない
- OLED特有の焼き付きリスク
「LG 27GR95QE-B」の良いところ
- 26.5インチでWQHD(ちょうどいい)
- OLEDで240 Hzに対応
- PS5で120 Hzに対応
- PS5 VRRも対応
- 最速の応答速度(240 Hzで)
- 広色域パネル(DCI P3で99%)
- 無限のコントラスト比
- 暗いHDRがとても映える
- sRGBモードが正確(ΔE < 2.0)
- 入力遅延が非常に少ない
- USB 3.2 Gen 1ハブ機能
- OSDソフト「On Screen Control」
- イヤホンジャックの音質がいい
- 全部盛りエルゴノミクス(調整機能)
- ハードウェアキャリブレーション対応
- リモコンがとても便利
- メーカー2年保証
「LG 27GR95QE-B」は最強の240 Hzゲーミングモニターです。
競技向けのXL2546KやXL2566Kより約4倍も応答速度が速い、現行最速の240 Hzモニターであり、黒挿入(残像軽減)を使わずにキレッキレの超クリアな映像を表示できます。
誰よりも速く次のフレームを表示させ、常に最新の視覚情報を頭に入れておきたいコアなFPSゲーマーにとって、27GR95QE-Bに勝さる選択肢はほとんど無いです。
一方で、弱点も多く見られます。この手のゲーミングモニターのレビューでは、しばしば「完璧な」などと誇張した肯定レビューを見受けられますが、残念ながら完璧には程遠いです。
CPC機能が原因でパネルの均一性は状況によって変動しますし、OLEDパネル特有の文字ぼやけ(テキストフリンジ)もいまだ健在、HDRの平均輝度が低くMini LEDほど感動的なHDR性能も出せません。
「LG 27GR95QE-B」に何を求めているのか?・・・自分のニーズをよく理解してから買うかどうか考えるべき製品です。
参考価格 ※2023/07時点 | |
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Amazon Tsukumo(ツクモ) 楽天市場 Yahooショッピング |
2023年7月時点、LG 27GR95QE-Bの実売価格は約10.9万円です。楽天市場やYahooショッピングに出店しているツクモから買うと、ポイント還元込みで実質10.1~10.3万円を狙えます。
LG 27GR95QE-Bの代替案(他の選択肢)
27GR95QE-Bの代替案は「AW3423DW」です。ほぼ同じ価格で、Samsung製QD-OLED(量子ドット + OLED)パネルを搭載します。
技術的にMLA OLEDのさらに先をゆく最先端のQD-OLEDパネルで、既存のOLEDパネルを超える明るさと耐久性を可能に。画質に期待して買うなら断然QD-OLED推しです。
ただし、AW3423DWは最大175 Hzです。240 Hzと比較するとホールドボケが目立つため、FPSゲームをガチるなら27GR95QE-Bが有利です。
「PG27AQDM」は27GR95QE-Bと同じOLEDパネルを使った、240 Hzゲーミングモニターです。
大型ヒートシンクで放熱性を改善した結果、27GR95QE-BよりもHDR輝度がやや高いです。ただし、HDMI 2.1は未実装・・・。
WQHDでおすすめなゲーミングモニター
最新のおすすめWQHDゲーミングモニター解説は↑こちらのガイドを参考に。
WQHDでおすすめなゲーミングPC
おすすめなゲーミングモニター【まとめ解説】
最近の有機elは優秀だろうし焼付き対策もされてるみたいだけど、少なくとも3年以上は使うことを考えたら有機elは結構不安。。。
耐久性重視なら「QD-OLED」おすすめです。たとえば、DELL AW3423DWはメーカー標準保証が3年です。
QD-OLEDの方が色彩が鮮やかとのことですが、
AW3423DWの色域を調べるとREC2020比較で27GR95QE-Bとあまり変わらないようですが
それでも色彩の良さで選ぶならQD-OLEDの方が良いのでしょうか?
LGのモニター端子類が背面から平行に出るせいで今使ってるエルゴトロンのアームが使えない…
このモニター60hzだと残像感がひどい場合って見た気がする
PS4やSwitchで運用したときが気になる
60 Hz時のモーション撮影してみた。普通ですね。どれだけ応答速度が速くても、60 Hzだとホールドボケの影響でこうなります。
WQHD &有機ELモニターを選ぶFPS勢なんて果たしてどれくらいいるのだろうか…
実は、WQHDでFPSをプレイする層は増加傾向だったりします。
ただ、まだまだフルHDと比較してニッチな需要なのは否定できませんね。
有機ELは競技向けハイエンドモニタとしては特性的にいいんだろうなとは思ってたけど本当にスゴいなあ
ゲーム以外の作業もする身には選択肢に入らないけどこういうロマン枠的な製品が世の中に増えるのはうれしい
PG27AQDMは確かにHDMI2.0 なんですが何故かPS5のVRR使えるんですよね。
HDMI 2.0にしか対応していないモニターを「HDMI 2.1対応」と宣伝するのは虚偽なのか?(Gigazine)
https://gigazine.net/news/20211214-hdmi-2-1-is-not-hdmi-2-0/
HDMI 2.0なのにHDMI VRRが使えるパターンはおそらく↑コレです
PCだろうとゲームだろうとHDRとかじゃなければ基本的にsRGBで作られてるから色が痩せるっておかしくないですか?
「おかしい」とは思うんですが、実際に見た目がけっこう変わってしまうので難しいですね。個人的にはsRGBクリッピングより、そのまま広色域のまま色を出させたほうが映像美としては良いと思います。
もちろん「過飽和」を気にするクリエイターさんはsRGBクリッピングの方が扱いやすいかと。
240Hz張り付きならと思いますが
144〜240でfpsが変動するような場合は黒挿入機種のほうがくっきりするというイメージでしたが合っていますでしょうか
360Hz対応モニタも応答速度不足で240Hz黒挿入には残像感で敗北していましたが
240Hzでも有機ELとなれば残像感が黒挿入と相違ないんですね
500Hz位まではホールドボケすると思っていました
写真編集や動画編集向けのモニターも出来たら紹介してほしいです!
使用用途としては写真と動画どちらもやるのですが、写真編集と動画編集で別々に各メーカーから発売されてるのでどれを買えばいいかわからないです。
例 benq swシリーズとpdシリーズ
購入してみて気付いたことをコメントします。
27GR95QE-Bは光デジタル出力があるので、HDMIオーディオ分離器要らずなのが良かったです。Nintendo Switchでは重宝しました。
ただ、設定>全般>入力互換性バージョン>2.1(AV)にしないと光デジタル出力されないのは分かりにくいと思いました。
CPC (Convex Power Control)機能については電源オンオフで設定がリセットされるのには閉口しましたが、オフにすれば体感で判るレベルには明るくなりますね。
いつも役に立つ記事をありがとうございます。
ULMB2対応のPG27AQNとの比較が見たいです。
違うのはホールドボケ?
目の疲れやすさのレビューにも期待。
Got to fe y
Yyygjkkkk I’m going back in the day when my dad said he was a little kid hon,
Trt
現状、OLEDで16:9の27インチWQHD……となるとこれになりますかねえ
UWQHDや34インチだとサイズが使いにくそうで気になってしまう
DELLからaw2725dfが発売されましたが、これも応答速度は同じようなものなのでしょうか?
FPSをやっているため、応答速度重視にしたいのですが、有機ELモニターのどれを買えばよいのかいまいちわかりません。
ほぼ上位互換のAW2725DFが12万円なのに対し、こちらは値下げで9万5000円ほどになったので、こちらを買うという選択肢も出てきたと思います。
リモコン付き、ピクセルシフトが目立たないなど地味にこちらが勝っている点もありますので…