Display HDR 1000対応の4Kゲーミングモニターで人気のある「32GQ950-B」を買ってみた。
4K解像度にほどよい32インチで、最大160 Hz対応です。ATW偏光板を使った改良型Nano IPSパネルで高画質が約束され、Display HDR 1000認証でHDR性能も期待できます。
価格は約12万円で決して安いとは言いづらいですが、価格に見合う価値があるかどうか?・・・詳しくテストします。
(公開:2023/5/30 | 更新:2023/5/30)
LG UltraGear 32GQ950-Bの仕様とスペック
LG UltraGear 32GQ950-B | |
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パネルタイプ | 4K(3840×2160)で最大160 Hz Nano IPSパネル(32インチ) |
応答速度 | 1 ms (G2G) |
主な機能 ゲーミング向け |
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調整機能 エルゴノミクス | 高さ調整:110 mm 前後チルト:+15° ~ -5° 左右スイベル:- ピボット:90° |
VRR機能 | AMD FreeSync Premium Pro※G-SYNC互換も対応 |
参考価格 ※2023/5時点 | |
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LG UltraGear 32GQ950-B | |
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画面サイズ | 32インチ |
解像度 | 3840 x 2160 |
パネル | Nano IPS |
コントラスト比 | 1000 : 1 |
リフレッシュレート | 160 HzHDMI 2.1 : ~144 Hz / DP 1.4 : ~160 Hz |
応答速度 | 1 ms (G2G) |
光沢 | ノングレア |
VESAマウント | 100 x 100 mm |
エルゴノミクス |
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主な機能 |
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同期技術 | AMD FreeSync Premium Pro ※G-SYNC互換も対応 |
スピーカー | なしイヤホン(3.5 mm)端子あり |
主な付属品 |
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寸法 | 719 x 491 x 278 mm |
重量 | 9.29 kg(パネルのみ) 11.61 kg(スタンド含む) |
保証 | 3年 |
LG 32GQ950-Bの画質をレビュー
「LG 32GQ950-B」はLG純正のUltraGearシリーズです。LG Display自社製造の「Nano IPS」パネルを搭載し、IPSパネルでトップクラスの応答速度と量子ドットパネルに迫る広色域を持ち味とします。
IPSパネル界の上澄みに位置づけられる性能です。並のIPSパネルやVAパネルから乗り換えると、パッと見ですぐ分かるレベルで「高画質」だと体感できます。
これほどの高画質で不満を覚えてしまったなら、残る選択肢はQ-dot IPSパネルやQD-OLED(量子ドット有機EL)パネルに限られ、必要な予算が約1.4~1.5倍に拡大します。
(sRGB:ΔE = 3.8 / 色温度:6650K / 輝度:349 cd/m²)
LG製Nano IPSパネルは液晶パネルオタクから定評のある広色域かつ高速IPSパネルです。とても鮮やかな発色、出荷設定の時点でまぁまぁ正確な色精度、ゲーミング用途に十分な明るさを備えます。
ただし、コントラスト比では最新世代のFast IPS(AU Optronics製)やIGZO IPS(シャープ製)に劣っており、暗いシーンで白浮きに気づきやすいです。実測値で850~950:1で、ベストケースだとFast IPSに1.5倍近い差をつけられています。
初期設定のままだと、色温度がやや寒色に偏っています。日本人の目にとって、寒色に偏る分には実用上の大きな問題はありません。
モニターの設定から色温度を「赤:49 / 緑:50 / 青:49」に微調整するだけで十分です。
- 初期の色温度:6684K(やや寒色)
- 修正後:6647K(やや寒色)
※パネルの個体差により、↑上記の設定が正しく機能するかどうか正確性を保証できません。あくまでも参考程度に。
モニター測定機材による評価
モニターの色を測定できる専用の機材「X-rite i1 Pro2(分光測色計)」を使って、「LG 32GQ950-B」の画質をチェックします。
初期設定ではsRGBプロファイルに対して、やや色がズレています。広色域IPSパネルによくある現象で、一般人は気にする必要がほぼ無いです。
sRGBに合っていないと困る用途(例:カラーマネージメント非対応のイラストソフトなど)では、モニターの設定から「sRGBモード」に切り替えてください。
表示される色がsRGB領域に制限され、結果的にsRGBに対して正確な色が出ます。
色域が狭いにも関わらず派手に色がズレているパターンを除き、基本的に広色域パネルの初期設定はsRGBに対して色が外側へズレる傾向があります。
sRGBの色精度が高い ≠ 主観的に見た高画質です。
Nano IPSパネルのネイティブコントラスト比はやや低いです。Nano IPSは1000:1を超えず、Innolux AASやFast IPS(AUO AHVA)は1000:1を超える傾向があります。
画面の明るさ ※クリックすると画像拡大 |
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100%時で367 cd/m²に達し、十分な明るさです。0%時だと13.6 cd/m²まで下がります。
目にやさしいらしい120 cd/m²前後は見つからず。30%で124 cd/m²で、29%だと115 cd/m²まで下がってしまいます。色温度の微調整で下げるしか無いようです。
色域カバー率 | ||
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規格 | CIE1931 | CIE1976 |
sRGBもっとも一般的な色域 | 100% | 100% |
DCI P3シネマ向けの色域 | 98.4% | 99.1% |
Adobe RGBクリエイター向けの色域 | 88.4% | 93.6% |
Rec.20204K HDR向けの色域 | 72.4% | 76.4% |
表示できる色の広さ(色域カバー率)はかなり広いです。
もっとも一般的な規格「sRGB」で100%をカバー。HDRコンテンツで重要なシネマ向けの規格「DCI P3」を99.1%カバーします。
印刷前提の写真編集で重視される「AdobeRGB」規格のカバー率は93.6%です。
色ムラの程度は普通です。パネルの四隅に近いほど明るさが下がる「IPSグロー」が見られます。ほとんどのIPSパネルで共通の症状です。
ただ、パネルの下部が少しだけ明るめに表示される傾向は珍しいです。
LGいわく「ATW偏光板」技術を搭載し、斜め方向から見たときの視野角が改善されているとのこと。ですが、比較写真を見てどう思いますか?
写真で見ても、主観的に見ても、筆者には普通のIPSパネルと劇的な改善があるのかどうか判断できないです。
測色計を使って3色シグナルの強度をチェックすれば何かしら差を検出できると思いますが、体感できない程度の性能差なら正直・・・どうでも良いです。
結論、ATW偏光板に期待しすぎないように。一般的なIPSパネルと同じく視野角が広く、角度がズレても色はあまり変化しません。(参考:液晶パネルの違いを解説するよ)。
フリッカーフリーを検証 ※クリックすると画像拡大 |
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「LG 32GQ950-B」は10万円超えのモニターにも関わらず、公式サイトでフリッカーフリーについて言及がありません。
実際に測定すると、LGがフリッカーフリーをアピールできない理由が明らかです。明るさ50%以上ならフリッカーフリーですが、25%以下で1000 Hz超えのフリッカーが検出されます。
幸い、1000 Hz超えなら実質フリッカーフリーです。300 Hzくらいだと敏感な人が気づくリスクがありますが、1000 Hz以上(実測値で2000 Hz)を肉眼で感知するのは極めて困難です。
ここは液晶パネルオタク向けの解説です。ほとんどの人は興味がないので、読み飛ばしてください。
マクロレンズで拡大すると、LG製Nano IPSパネルは「RGB配列」と判明します。非常にありふれたRGB配列は、Windows環境でくっきりとした文字を表示するのに適しています。OLEDパネルで見られるテキストフリンジと無縁です。
ちなみに、同じRGB配列のFast IPS(AUO AHVA)パネルは「くの字」の向きが正反対です。Nano IPSが「>」で、Fast IPSは「<」と覚えておくと判別できます。
スペクトラム分析では、Nano IPSなどの広色域IPSパネルで典型的な「赤色が凹む」グラフです。KSF蛍光体タイプの広色域IPSパネルだと推測でき、必然的に量子ドット(Q-dot)非搭載です。
LG 32GQ950-Bのゲーム性能をレビュー
↑こちらの記事で紹介している方法で、LG 32GQ950-Bの「応答速度」を測定します。
公式サイトによると、メーカー公称値は1ミリ秒(オーバードライブ時は不明)です。本当かどうか、測定機材で徹底的に調べましょう。
120 Hz時の応答速度 ※クリックすると画像拡大 |
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120 Hz時(120 HzはPS5で重要)の応答速度です。30パターン測定で、平均3.39ミリ秒でした。
初期設定のオーバードライブは「Fast」に設定されています。オーバードライブが効いているおかげで応答速度が非常に速いですが、平均エラー率は8.4%です。
Nano IPSパネルの性質により、平均エラー率の割に「にじみ」や「逆残像」はほぼ目立ちません。そのままの設定で大丈夫でしょう。
160 Hz時の応答速度 ※クリックすると画像拡大 |
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160 Hz時の応答速度は平均3.41ミリ秒でした。120 Hz時とほぼ同じ応答速度のまま、平均エラー率が3.7%へ減っています。
たいていのオーバードライブ制御では、リフレッシュレートが高いほど効きが良いです。120 Hz時より160 Hz時の方がエラーを抑えながら高速応答を出しやすいです。
しかし、メーカー公称値の1ミリ秒を確認できません。オーバードライブ設定でどれくらい応答速度が改善されるか検証します。
オーバードライブ設定 160 Hz / 4段階をテストした結果 | ||||
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平均値 | 4.78 ms | 4.03 ms | 3.43 ms | 2.30 ms |
最速値 | 2.44 ms | 2.42 ms | 1.70 ms | 1.22 ms |
最遅値 | 6.98 ms | 5.72 ms | 5.21 ms | 3.64 ms |
平均エラー率 | 0.0 % | 0.0 % | 3.7 % | 27.0 % |
LG 32GQ950-Bのオーバードライブ機能は「オフ」「Normal」「Fast」「Faster」の4段階です。
Nano IPSパネルはもともと応答速度に優れた性質を持っているため、オーバードライブ制御によるエラー(にじみや逆残像)が目立ちにくいです。
さすがに「Faster」設定だと平均エラーが20%を超えてしまい、振り向きエイムなど素早い動きで逆残像に気づきます。
おすすめの設定は「Fast(初期設定)」です。
他のゲーミングモニターと比較しましょう。
LG 32GQ950-Bと同じく、HDR 1000対応の32インチモデルだと「INNOCN 32M2V」が代表例です。HDR 600対応の32インチでは「DELL G3223Q」や「BenQ EX3210U」が目立ったライバル製品です。
これらライバル製品に共通する仕様が「Fast IPS」で、中身は台湾AU Optronicsが製造するAHVA(IPS)パネルです。Fast IPSパネルは応答速度の速さに定評があるものの、32インチ型は今のところ遅い傾向が見られます。
一方の32GQ950-BはLG Display製「Nano IPS」を採用し、32インチ型でも平均3ミリ秒台の驚異的な応答速度を記録します。「INNOCN 32M2V」のほぼ2倍近い応答速度です。
32インチのHDR 1000対応、かつ応答速度も重視する方なら32GQ950-Bが適任と評価できそうです。
「入力遅延(Input Lag)」は、映像ソースやマウス・キーボードからの入力信号を、ゲーミングモニターが実際に認識するまでにかかる時間です。
一般人は気にする必要はありません。競技性が重視される格ゲーやFPSゲームをガチでプレイする、競技ゲーマーが気にするべき指標です。
「Raspberry Pi 4」を使ったカスタム入力遅延テスターで入力遅延を測定した結果、60 Hz時で4.2ミリ秒でした。120 Hz時で3.6ミリ秒です。
他のゲーミングモニターと比較します。ほとんどのゲーミングモニターは16ミリ秒を下回ります。入力遅延4.2ミリ秒は、まったく問題ありません。
LG 32GQ950-Bの機能性をレビュー
意外にも左右スイベル(首振り)に対応しませんが、32インチ型なら真正面に置くシーンが多そうです。実用上、高さ調整・前後チルト・ピボットの3種で十分なエルゴノミクスです。
VESAマウント ※クリックすると画像拡大 |
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別売りモニターアームを取り付けるのに便利なVESAマウントは「100 x 100 mm」に対応します。パネル本体の重量は約9.3 kgで普通のモニターアームで持ち上げられます。
モニター中央下部にある「5方向ボタン」でサクサクとOSD設定が進みます。一部の操作を除き、基本的にASUSやBenQ製ゲーミングモニターでよく見られる、ボタンを右に倒すと決定する仕様です。
OSDレイアウト自体はよくあるフォルダ階層型で、直感的に分かりやすく整理されています。さすが大手メーカー製らしく、OSDの操作感がとてもスムーズです。
- ゲーマー1(初期設定)
- ゲーマー2
- FPS
- RTS
- ブルーライト低減モード
- HDR効果
- 鮮やか
- sRGB
32GQ950-Bは全8種のプロファイルに切り替え可能です。設定ごとに色温度やコントラスト感が変わります。基本的に好みにあったプロファイルを使ってもいいし、初期設定(ゲーマー1)を微調整して使うのもあり。
筆者の場合、ゲーマー1モードのまま色温度を「赤:49 / 緑:50 / 青:49」に調整して、明るさを96%(350 cd/m²前後)で使っています。
sRGBモードのみ、表示色域がsRGBに制限されるので注意が必要です。sRGBを必要とするクリエイター向けのプロファイルで、映像美を重視したい一般人にとっては痩せた色に見えるだけです。
暗い部分を見やすく補正する、暗所補正機能「ブラックスタビライザー」の効果です。最大100で1ずつ調整でき、設定値を上げるほど暗いシーンを明るくする補正がかかります。
やや充実したインターフェイスを備えます。付属品のUSB Type-Bケーブルで32GQ950-Bをパソコンを接続して、2個あるUSBハブ(最大5 Gbps)を利用できます。
HDMI 2.1は48 Gbps対応で最大144 Hzまで、Display Port 1.4で最大160 Hz(OC)に対応します。Display PortでAdaptive Sync(G-SYNC互換モード)も使用可能です。
モニター中央下部に、バーチャルサラウンド機能「DTS Headphone:X」に対応したヘッドホン端子(3.5 mm)があります。
PS5の対応状況 ※クリックすると画像拡大 | ||
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設定 | 60 Hz | 120 Hz |
フルHD1920 x 1080 | 対応PS5 VRR:対応 | 対応PS5 VRR:対応 |
WQHD2560 x 1440 | 対応PS5 VRR:対応 | 対応PS5 VRR:対応 |
4K3840 x 2160 | 対応PS5 VRR:対応 | 対応PS5 VRR:対応 |
HDMI 2.1でPS5につなぐと、フルHDから4K解像度まで最大120 Hzで使えます。HDMI 2.1で利用できる「PS5 VRR」も対応済みです。
VRR機能(可変リフレッシュレート) ※クリックすると画像拡大 |
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ゲーム側のフレームレートと、モニター側のリフレッシュレートを揃えてティアリング現象を防ぐ「VRR」機能は、定番のAdaptive SyncやG-SYNC互換モードに対応します。
OSD設定からAdaptive Syncを有効化して、Display Portで接続するとG-SYNC互換モードを有効化できます。動作範囲は48~160 Hzです。
対応リフレッシュレート ※クリックすると画像拡大 |
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32GQ950-Bが対応しているリフレッシュレートは以上のとおりです。HDMI 2.1だと幅広いリフレッシュレートに対応でき、映像コンテンツ側のフレームレートに一致させたい場合に便利です。
LG 32GQ950-BのHDR性能をレビュー
LG 32GQ950-Bで実際にHDRコンテンツをテストします。
テストに使ったHDRソースは、Youtubeで公開されている「Morocco 8K HDR」と、HDR対応の「天気の子(4K Ultra BD盤)」です。
Display HDR 1000認証を取っているだけあって、とても明るいHDR映像を表示できます。コントラスト感は普通のIPSパネルとほとんど差が分からないものの、明るい部分の明るさはHDR 400モニターとは一線を画すレベルです。
では、HDR 600と比較してどうなのかと言われると、どうも妙です。正直、Display HDR 600認証モニターと明るさに大きな差があるように見えません。HDR 1000らしい鋭い輝度が出るシーンもありますが、安定性に欠けています。
少なくとも、同じDisplay HDR 1000認証を取っている27M2Vや32M2Vほど衝撃的な映像美を得られないです。
VESA Display HDR HDR性能のテスト結果 | ||
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比較 | テスト対象 LG 32GQ950-B | VESA Display HDR 1000 |
画面の明るさ |
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黒色輝度 | 0.18 cd/m² | 0.05 cd/m² 以下 |
コントラスト比 | 5993 : 1 | 20000 : 1 以上 |
色域 |
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色深度 | 10 bit DP 1.4で最大160 Hzまで | 10 bit |
ローカル調光 | エッジライト方式 32分割(16×2)の短冊タイプ | 必要 |
「優れたHDR性能」を初心者さんに分かりやすく説明すると
- 明るさ:明るいほど良い(超ハイエンド機なら1000 cd/m2超)
- 黒色:無点灯に近いほど良い(0.1 cd/m2以下なら実用上は十分)
- コントラスト比:高いほど良い(5000 : 1以上で実用上は十分)
- 広色域:DCI P3が広いほど良い(DCI P3:90%以上は欲しい)
めちゃくちゃ明るくて、暗い部分はちゃんと真っ暗。さらに表示できる色も広い。これらの条件を満たしているなら「高性能なHDR」で、高性能なHDR性能を持つモニターは基本的にDisplay HDR規格を取得しています。
HDR 600以上なら、まずハズレなし。HDR 1000やHDR 1400を取得しているモニターは超ハイエンド機です。
なお、有機ELパネルは特性上、HDR性能を伸ばせないので注意してください(※有機ELは画面を明るくするほどパネルの故障率が上昇するため、画面が明るくなりすぎないように制御されています)。
LG 32GQ950-BがDisplay HDR 1000規格を満たせているかテストした結果、黒色輝度(コントラスト比)と全白持続輝度でわずかに基準値に届いていません。
・・・運悪くハズレ個体を引いた可能性がありそうです。
特に、輝度の持続性に相当な難があります。1000 cd/m²超えが出るのは測定を開始して2~3秒で、すぐに600 cd/m²前後まで下がります。30秒かけてゆっくり明るさが下がるので、普通に使っていると気づきにくいです※。
特定の条件でのみDisplay HDR 1000性能で、明るいシーンが多い一般的なゲーミングやコンテンツにおいて、LG 32GQ950-Bは実質的にDisplay HDR 600相当のモニターと評価するしかないでしょう。
※消費電力を表示できるコンセントにつなぐと分かりやすいです。一瞬だけ160 Wに達した後、ゆっくりと消費電力が下がります。
HDRモードで画面全体に白色を表示したときの明るさを、他のモニターと比較したグラフです。HDR 600認証のG3223QやEX270QMよりも暗いです。
HDR輝度の変化を比較したグラフです。LG 32GQ950-Bが1000 cd/m²を維持できる面積は9%までで、10%以上の面積で600 cd/m²まで輝度が下がります。
HDR時のコントラスト比(理論値)は5993:1です。全画面に黒を表示しても、なぜかローカル調光が完全に消灯しない挙動があり、理論値ですら伸びが悪いです。
HDRコントラスト比i1 Pro 2で測定した結果 | |
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全画面 | 5993 : 1 |
10%枠 | 846 : 1 |
3×3分割 | 670 : 1 |
5×5分割 | 834 : 1 |
7×7分割 | 826 : 1 |
HDRコントラスト比を細かくテストした結果を掲載します。ワーストケースで670:1までコントラスト比が低下します。
正しい明るさを表示できるかをチェックする「EOTF」グラフは、暗い部分を除いて良好な追従を見せます。ほとんどの明るさで正しい明るさを表示できています。
HDR時の色精度(Rec.2020)も普通です。最大ΔE = 11.5、平均ΔE = 4.82です。
色温度は全体的に割りと合っています。低輝度のみ7500Kと寒色よりですが、18%グレーから100%ホワイトまで、Rec.2020規格で求められるD65(6500K)前後におおむね一致します。
HDRモード時の消費電力電力ロガーコンセントで測定 | |
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白枠面積 | 消費電力 |
1 % | 134 W |
2.5 % | 135 W |
5 % | 140 W |
10 % | 140 W |
25 % | 150 W |
50 % | 153 W |
75 % | 159 W |
100 % | 161 W |
全白フラッシュ (※持続時間は2~3秒) | 161 W |
電源コンセント経由でHDRモード時の消費電力を測定しました。ローカル調光の分割数が32(16×2)ゾーンと少ないため、白面積の広さにそれほど関係なく消費電力がかなり高いです。
幸い、明るい面積が10%を超えると輝度に制限(ABL:自動輝度制限)がかかり始め、平均85 W前後の消費電力に落ち着きます。逆に言うと、暗いシーンでごく一部だけが明るいシーンでは140 W前後に達します。
32ゾーン分割 vs 1152ゾーン分割はどう?
筆者の手元にはちょうど「INNOCN 32M2V」があります。2304個のMini LEDによる1152ゾーン分割のフルアレイローカル調光を搭載した、本物のHDR 1000モニターです。
32GQ950-Bの32ゾーン分割のエッジライトローカル調光と比較して、どれほど性能差が生じてしまうのか、いくつか比較写真を撮ってみました。
言うまでもなく、低輝度域において32M2V(1152ゾーン分割)が圧倒的に優秀です。
32GQ950-Bのワーストコントラスト比が800:1程度に対して、32M2Vは5000:1前後を維持できるため、コントラスト比が露骨に目立つ低輝度域の再現性能は基本的に32M2Vの方が得意です。
次は4K HDRアニメ(ST2084 1000 nit)の「Sol Levante (2020)」を再生して、高輝度域の再現性能を検証します。
1枚目は問題なし(厳密に見るとピーク輝度が不足気味ですが)、2枚目は32GQ950-Bでやや白飛び気味です。黒い部分の締りも32M2Vが上手いです。
次はHDRゲーミング(原神をWindows 11 Auto HDRでプレイ)を使って、HDRゲーミング時の高輝度域を検証します。
あっ・・・32M2Vの方がそもそも「色」が段違いに良好です。筆者の記憶違いでなければ、Windows 11 Auto HDRが想定する色空間はたしかRec.2020で、モニター側の性能なんてお構いなし。
32M2VのRec.2020カバー率が85.9%に対して、32GQ950-Bだと76.4%に過ぎません。いくらNano IPSが広色域IPSパネルといっても、量子ドットフィルターを搭載したQ-dot Fast IPSを相手にするのはあまりにも分が悪すぎました。
明るさも著しい差が出ています。6枚目の写真で、奥に見えるピラミッドの白飛び具合が分かりやすいです。32M2Vの方がきちんとピラミッドを表示できます。
7~9枚目の写真も分かりやすいです。32GQ950-Bの方が全体的に画面が暗く、影になる部分のディティールが若干潰れてしまっています。10枚目も同じく、奥に見えるピラミッド入り口の暗部表現で32M2Vが有利です。
筆者の想定以上に分かりやすく性能差が出ていて、正直けっこう驚いています。Windows 11 Auto HDRの仕様上の問題もありますが、持続輝度の違いが主観的な再現性能に反映されています。
32M2Vは明るい面積が70%前後まで1000 cd/m²以上の驚異的な輝度を維持でき、32GQ950-Bは590 cd/m²程度です。表示できる明るさに400~600 cd/m²もの差があり、高輝度域の再現性能に大きな差が生じます。
結論:32M2Vの方が明るい部分で白飛びしづらく、暗い部分のディティールが潰れづらく、低輝度域のコントラスト比で圧倒します。Nano IPSもそろそろMini LED + 4桁FALDと量子ドット(Q-dot)フィルターを導入するべきでしょう。
ハイエンドHDRゲーミングモニター時代に追いつけるスペックじゃ無いです。
LG 32GQ950-Bの開封と組み立て
ツルツルに塗装された、いかにもハイエンドな雰囲気を漂わせるパッケージで到着。サイズは104 x 17 x 55 cm(180サイズ)です。
分厚い梱包材でぎっしり、安心できる梱包状態です。
付属品 |
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普通の付属品です。映像出力用のDisplay PortケーブルとHDMIケーブルが付属します。ACアダプタは最大210.6 W(19.5 V x 10.8 A)まで給電できます。
最近のゲーミングモニターらしい、ツールレスフリーの組み立て工程です。スタンド部分の固定ネジに手回し用の取っ手が付いています。プラスドライバーは不要です。
まとめ:G3223Qの上位互換と考えるとしっくり来る
「LG 32GQ950-B」の微妙なとこ
- パネルの均一性は普通
- コントラスト比が平凡
- 内蔵スピーカーなし
- 初期設定の色温度がズレてる
(かんたんに修正できます) - ゲーマー向け機能が少ない
- 実質HDR 600相当の性能
「LG 32GQ950-B」の良いところ
- 32インチで4K(ちょうどいい)
- 最大160 Hzに対応
- PS5で120 Hzに対応
- PS5 VRRも対応
- 応答速度が速い(IPSパネルで)
- 広色域パネル(DCI P3で99%)
- sRGBモードが正確(ΔE < 2.0)
- 入力遅延が非常に少ない
- USB 3.2 Gen 1ハブ機能
- OSDソフト「On Screen Control」
- 必要十分なエルゴノミクス(調整機能)
- ハードウェアキャリブレーション対応
- メーカー3年保証
「LG 32GQ950-B」はDisplay HDR 1000認証のゲーミングモニターですが、実際の性能を見る限りDisplay HDR 600相当に近いです。
実質HDR 600の4Kゲーミングモニターとして見ると、「DELL G3223Q」のちょうど上位互換に位置づけられます。G3223Qよりピーク輝度と表示色域が高く、応答速度も安定して3ミリ秒台です。
LG DisplayがG3223Qに対抗するために用意したライバル製品、と言われれば納得のクオリティだと(個人的に)思います。
参考価格 ※2023/5時点 | |
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Amazon Tsukumo(ツクモ) 楽天市場 Yahooショッピング |
2023年5月時点、LG 32GQ950-Bの定価はおよそ12万円です。楽天市場やYahooショッピングでポイント還元を駆使して、実質10.6~10.8万円くらいなら狙えます。
LG 32GQ950-Bの代替案(他の選択肢)
32GQ950-Bの代替案は「P32A6V-PRO」です。
11万円くらいの価格ながら、Nano IPSより高画質な「Q-dot AHVA(量子ドットFast IPS)」パネルを搭載し、2304ゾーン分割のMini LEDバックライトまで備えます。
32GQ950-Bをはるかに超える優れたHDR性能が大きなメリット。応答速度もほぼ同レベルで、性能面でほとんど上位互換に相当します。
4Kでおすすめなゲーミングモニター
最新のおすすめ4Kゲーミングモニター解説は↑こちらのガイドを参考に。
4KでおすすめなゲーミングPC【解説】
予算に余裕があれば「RTX 4090」や「RTX 4070 Ti SUPER」を搭載したゲーミングPCがおすすめです。
予算20万円前後なら「RTX 4070 SUPER」が無難です。
おすすめなゲーミングモニター【まとめ解説】
やっぱりM2V兄弟が強すぎる
特に27は隙が少ないし
初期にあった問題は解消されてるみたいですね
ですが、あまりにもinnocnとTITAN ARMY が強すぎる
27m2v欲が高まるだけでした
m2uがpro版出したみたいなので、m2v proの発売に期待ですね
画面の明るさのグラフちょっとまちがっちゃってますね
40%のところに30%の数字載せてます
ありがとうございます。グラフを修正しました(時間経過、またはキャッシュクリアで更新されます)。
大変参考になります
27M2Vが全然買えないのでこっちはどうかなと思っていたところでした
が、やはりM2Vが欲しくなる一方ですね
MiniLEDのローカルディミングはPC用途だとデメリットになることもあるのでバックライトに頼らないHDR1000にも一考あるかと思いましたが、こちらもこちらで微妙ですね…
32GQ950-Bでローカル調光を入れたまま、デスクトップ画面でマウスカーソルを動かすとローカル調光の挙動がやっぱり気になります。
SDR時でも高コントラスト比が必要であれば、OLED または QD-OLEDが無難です。ただ、OLEDはピクセル配列の関係でテキストフリンジがどうしても起こりうるため、これはこれでデスクワークとの相性が良くなかったり。
こんにちは、いつも参考になる記事をありがとうございます。BenQ MOBIUZ EX3210Uとの比較もお聞かせいただけると大変嬉しいです。
MOBIUZ EX3210Uは量子ドットフィルター搭載で色域が広いです。
【Rec.2020カバー率】
・EX3210U:82.6%
・32GQ950-B:76.4%
Rec.2020を想定している4K HDRゲーミングの再現性能なら、EX3210Uの方が優秀です。
HDR時の輝度はおおむね同じです。明るい面積9%以下なら32GQ950-Bが格上ですが、(サイバーパンク2077を除き)明るい面積の方が実際のシーンで多く、体感的に大きな差は期待できないかと思います。
MOBIUZ EX3210Uレビュー
https://chimolog.co/bto-gaming-monitor-ex3210u/
早速かつ詳細なご説明ありがとうございます!MOBIUZ EX3210Uを検討してみます。
こちらのモニター所有しているのですがSTEAMでゲームを起動すると最小化を繰り返すのですが何か設定などでご存じありましたら教えていただきたいです
自分の環境だと再現しない…ですね。
付属品のUSB Type-Bケーブルでパソコンに接続して、専用ソフト「On Screen Control」からファームウェアアップデートを試すと治るかも?
アマゾンレビューで、HDMI切り替えが遅く、ソフトウェア切り替えも使用できないため本体ボタン操作が煩わしいとの記述がありましたが、ちもろぐ様の使用上において、HDMI切り替えは反応時間が何秒程度かかっていますでしょうか?
御多忙の折恐れ入りますが、教えていただきたく、お願いいたします。
お疲れ様です。
いつも参考にさせていただいてます。
4060tiのレビューは16gb版が発売されてからでしょうか?
いずれにせよ魅力が少ない商品なのであまり気乗りされないでしょうが首を長くしてお待ちしております。
RTX 4060 Tiは値下がりを待っています。前回のRTX 4070が買って1週間くらいで1万円近く値下がりしてしまってショックだったので、ならRTX 4060 TiとRX 7600も値下がりを待つかな~と。
返信ありがとうございます。
ちもろぐさんはCPU、グラボだけでなくSSD、マザボ、電源、モニターと自作PC関係のことは大体何でも分かるうえ、見やすくわかりやすいのでつい頼ってしまいます。
VRR保証とハードウェアキャリブレーションを取るか、miniLEDを取るか。悩ましい
完全なるフリッカーフリーではなかったのですね。。
今、使っているのですが、気持ち目が疲れやすい気がしていました。
自分はかなり敏感な方なので、他の人には全く問題ないかもですが。
海外のレビューサイトで、明るさ29~30%がフリッカーが出るかどうかの境目、
みたいなことを見たのですが、そのあたりはお分かりになりますでしょうか?
あと、フリッカーが出ないように明るくした上で、
眩しくないようにコントラストを下げる(作業時)というのは効果的でしょうか?
実質的には暗くなっているので、実際はフリッカーが生じているものでしょうか?
色々聞いてしまい、申し訳ないですが、お分かりになる範囲でお答えいただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。