2022年のAmazonブラックフライデー【解説とおすすめセール品】

Ryzen 7 7700Xベンチマーク&レビュー:神速の8コアCPU(ひと手間でワッパも驚異的)

発売されると同時に代理店によるYoutuberを用いた販促活動が大量に投入され、あちらこちらから肯定的なレビューを多く見かける第5世代Ryzenの8コアモデル「Ryzen 7 7700X」を、自腹で用意しました。

速い、爆熱、高い・・・などいろいろ言われていますが実際は・・・?レビューで確かめましょう。

(公開:2022/10/15 | 更新:2022/10/15

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Ryzen 7 7700Xの仕様とスペック

AMD / コア : 8 / スレッド : 16 / ソケット : Socket AM5 / チップセット : AMD 600 / 付属クーラー : なし
CPURyzen 7 7700XRyzen 7 5800XCore i7 12700K
ロゴ
世代5th Zen 44th Zen 312th Alder Lake S
プロセス5 nm7 nm10 nm
TIMCPU内部の熱伝導材ソルダリングソルダリングソルダリング薄化ダイ & IHSを分厚く
ソケットSocket AM5Socket AM4LGA 1700
チップセットAMD 600AMD 400 / 500Intel 600
コア数8812
スレッド数161620
ベースクロック4.50 GHz3.80 GHz3.70 GHz
ブーストクロック5.40 GHz~ 4.70 GHz4.90 GHz
内蔵GPURadeon Graphics(2CU)なしUHD 770
GPUクロック2200 MHz300 ~ 1550 MHz
TDP105 W105 W125 W
MSRP$ 399$ 449$ 419
参考価格66800 円39800 円59800 円
CPURyzen 7 7700XRyzen 7 5800XCore i7 12700K
世代5th Zen 44th Zen 312th Alder Lake S
プロセス5 nm7 nm10 nm
TIMCPU内部の熱伝導材ソルダリングソルダリングソルダリング薄化ダイ & IHSを分厚く
ソケットSocket AM5Socket AM4LGA 1700
チップセットAMD 600AMD 400 / 500Intel 600
コア数8812
スレッド数161620
ベースクロック4.50 GHz3.80 GHz3.70 GHz
ブーストクロック5.40 GHz~ 4.70 GHz4.90 GHz
手動OC可能可能可能
L1 Cache512 KB512 KB1024 KB
L2 Cache8 MB4 MB12 MB
L3 Cache32 MB32 MB25 MB
対応メモリDDR5-5200DDR4-3200DDR5-4800 DDR4-3200
チャネルx2x2x2
最大メモリ128 GB128 GB128 GB
ECCメモリU-DIMMのみU-DIMMのみ不可
PCIeレーンGen5Gen4Gen5 + Gen4
2416 + 416 + 4
レーン構成1×16 + 1×4 + 1×41×16 + 1×41×16 + 4
2×8 + 1×4 + 1×42×8 + 1×42×8 + 4
1×8 + 2×4 + 1×41×8 + 2×4 + 1×4
内蔵GPURadeon Graphics(2CU)なしUHD 770
GPUクロック2200 MHz300 ~ 1550 MHz
TDP105 W / 142 W105 W125 W
MSRP$ 399$ 449$ 419
参考価格66800 円39800 円59800 円

「Ryzen 7 7700X」は、第5世代Ryzen(Zen4)アーキテクチャ採用のハイエンドCPUです。

今回は従来世代のように800番台ではなく、少し下がって700番台の「7700X(= 5700Xに相当)」として投入されています。ナンバリングに応じて価格設定が50ドルも値下げされ、なんと399ドルで買えます。

50ドル値下げしたにもかかわらず、スペックは基本的にRyzen 7 5800Xの完全な上位互換です。TDPは105 W(PPTは142 W)を維持しつつ、0.7 GHzも上昇した最大5.4 GHzのブーストクロックが可能に。

TSMC 5 nmプロセスによる改良設計も加わり、IPC(= クロックあたりの処理性能)は13%の改善が見込めます。よってRyzen 7 7700Xは、跳ね上ったブーストクロックと合わせて従来比で3割の性能アップを目指せるCPUです。

やかもち
105 WのTDPを維持して、価格は50ドルも値下げ、性能はざっくり3割アップのスペックです。CPU単体で見るとすばらしい出来に見えますね。

Socket AM5による新しい電力仕様

Socket AM5の電力仕様
TDP(CPU)65 W105 W170 W
ソケット電力(PPT)88 W142 W230 W
ピーク電流(EDC)150 A170 A225 A
持続電流(TDC)75 A110 A160 A

第5世代RyzenからついにCPUソケットが「Socket AM4」から「Socket AM5」に更新されました。

Socket AM5とSocket AM4

物理的な仕様がPGA(ピングリッドアレイ)から、インテルと同様のLGA(ランドグリッドアレイ)に変更され、同じソケット面積のまま大量の接点(ピン)を配置できます。

Zen 4 LGA 1718

従来のSocket AM4が1331本の接点に対し、Socket AM5では1718本の接点に増加。現行のインテルCPUで採用されているLGA 1700より18本も多い接点です。

接点の大幅な増加にともない、ソケットの給電能力も大きく改善されています。Socket AM4では最大142 Wのソケット電力(PTT)を前提に設計されています。

実際には142 W以上の電力供給が可能ですが、ハード的に想定されている限界を超えている状況が慢性化しているのは好ましい状況とは言えません。

今回のSocket AM5では最大142 Wから最大230 Wのソケット電力に拡張し、より高い消費電力のCPUに耐えられる設計です。たとえばTDP:170 WのCPUだと、ソケット電力は最大230 Wまで対応できます。

Socket AM5は構造的に「スッポン」防止が可能

Socket AM5は構造的に「スッポン」防止が可能

PGAからLGAへの移行で得られるメリットは給電能力の改善だけでなく、今まで以上に安全なCPUの取り付け・取り外し(いわゆるスッポンと呼ばれる事故を防止)が可能に。

Socket AM5ベースプレート

なお、Socket AM5のベースプレートはマザーボード本体から取り外しができません。

ベースプレートを交換するタイプのCPUクーラーは(一部の水冷式や大型空冷によくある)、メーカーからAM5対応リテンションキットが同封されるのを待ちましょう。

NZXT Kraken(AM5リテンションキット)

NZXT Kraken(AM5リテンションキット)

既に持っていてAM5対応テンションキットが付属していなかった場合、メーカーまたは販売代理店の対応を待つほか無いでしょう。

筆者も代理店にお願いして「NZXT Kraken X63」のAM5リテンションキットを取り寄せました。AmazonでNZXTクーラーを購入した方は、サポートに購入明細とシリアルナンバーを送ると対応してくれるはず。

DDR5メモリのみ対応(DDR4は対応しない)

Zen 4(Ryzen 7000)はDDR5メモリのみ対応
世代DDR4DDR5
Ryzen 7000(Zen 4)対応しないDDR5-5200
Ryzen 5000(Zen 3)DDR4-3200対応しない
Intel 13000(Raptor Lake)DDR4-3200DDR5-5600
Intel 12000(Alder Lake)DDR4-3200DDR5-4800

Ryzen 7000(Zen 4)シリーズは標準でDDR5-5200メモリに対応します。DDR4メモリとの互換性は完全に失われます。

Zen 4に真っ向からぶつかり合う予定のライバル第13世代Raptor Lakeは、DDR5とDDR4どちらも対応しており、マザーボードメーカーが好きな方を選んでラインナップできる状況です。

DDR5メモリが登場してから1年ほど経過した今も、DDR5メモリの価格はDDR4と比較して1.5~1.9倍とかなり高額で、同じ価格でより高性能なDDR4メモリ(OCメモリ)を購入できます。

動画編集やエンコードにおいてDDR5メモリはたしかに有利ですが、レイテンシが問われるゲーミングや単純なシングルタスクでは依然としてDDR4メモリの方が高性能です。

現状のDDR5メモリは価格に見合った性能をまだ提供できてません。DDR5対応マザーボードの価格も、DDR4対応モデルより高い傾向があり、なおさら価格差が開きます。

メモリとマザーボードを含めたコストパフォーマンスを考慮すると、DDR4メモリを選べる余地のあるRaptor Lake / Alder Lakeの方がやや有利と言わざるをえない環境です。

なお、AMDがZen 4で推奨するメモリクロックはなんと「DDR5-6000」です。ネイティブメモリで流通しているDDR5-4800を大幅に上回るクロックを推奨しています。

AMDいわく、Zen 4ではDDR5-6000までなら1:1同期モード(IFクロック = 2000 MHz)を維持できるとのこと。つまり、もっとも高い実効性能を得られるのはDDR5-6000メモリです。

DDR5-4800ネイティブメモリなら容量32 GBが1.5~1.8万円から買えますが、DDR5-6000(OC)メモリは安くても3万円を超えます。

やかもち
メモリ32 GBに3万円は高すぎ・・・、というわけで今回のレビューでは一番安い「DDR5-4800」を使う予定です。

RDNA 2世代の内蔵グラフィックスを搭載

RDNA 2 GPU(2CU)

モバイル向けのRyzen 6000シリーズ(Rembrandt)で既に導入されている、RDNA 2世代の内蔵グラフィックスがついにデスクトップ版のRyzen 7000に搭載されます。

ただし、TSMC 6 nmプロセスで製造されるIOダイの内部に設置されます。シェーダー規模はわずか2 CU(128シェーダー)で、せいぜい画面が映る程度の内蔵GPUです。

Rembrandt世代に搭載された最大12 CU(768シェーダー)規模なら、GTX 1650に相当する性能に期待できましたが、シェーダー規模が6分の1ではIntel UHD 730と同等レベルにとどまります。

  • AV1デコード(Intel UHD 770も対応済み)
  • H.264 & HEVCデコードとエンコード
  • HDMI 2.1とDisplayPort 2.0に対応
  • USB Type-C(DP Alt Mode)も対応
  • 4K 60 fpsで出力可能(最大4画面)

2 CUのRDNA 2はGPU性能こそ非常に貧弱ですが、AV1デコードやHDMI 2.1など、最新世代のGPUに求められる機能に一通り対応しています。

グラフィックボードを必要としない用途や、グラボが故障したときのトラブルシューティングに役立つのが主なメリットでしょう。本格的な性能面ではZen 4世代のAPU(Raphael)に期待です。

やかもち
CPU単体で画面が映るのは従来世代から改善された仕様と言えそうです。無いよりはあった方が「いざという時」便利なので。

TSMC 5 nmプロセスによる既存設計の改良

プロセストランジスタ密度
TSMC 5 nm137.6 MTr / mm2
Intel 7 nm200~ MTr / mm2
TSMC 7 nm91.2 MTr / mm2
Intel 10 nm100.76 MTr / mm2
TSMC 10 nm60.3 MTr / mm2

Zen 4世代はZen 3世代と比較して、目立って大きな設計変更が施されていません。

既存設計の大部分を流用し、TSMC 5 nmプロセスによって(TSMC 7 nm比で)約1.5倍に増えたトランジスタ密度をふんだんに使って、キャッシュ周りやフロントエンドの改善を行いました。

たとえば1コアあたりのL2キャッシュ容量が512 KB → 1024 KB(1 MB)へ倍増してメモリレイテンシを軽減し、分岐予測の精度に影響があるOpキャッシュを約1.7倍に増量。

他にも、これもまた分岐予測の性能に影響するL1分岐先バッファーを1.5倍に増量、L2分岐先バッファーを約8%増量(2x 6.5K → 2x 7.0K)するなど。

地味ながらも確実に同じクロックで処理回数を増やせる効果がある設計改善を、AMDはZen 4世代にこれでもかと投入しています。

細かな設計改良の積み重ねで、Zen 4世代のIPC(= クロックあたりの性能)はZen 3世代と比較して平均13%の改善を実現。「13%」と聞くと地味ですが、Zen 2で15%、Zen 3では19%のIPC改善です。

世代ごとに確実にIPCが改善されています。1世代の更新できちんと13%もIPCを改善しているのは見事です。

とはいえ、13%程度のIPC改善ではライバルの13th Raptor Lake(Intel 13000シリーズ)に勝てない可能性が残ります。AMDはSocket AM5で大幅に増えた電力供給能力をフルに活用して、5.0 GHzを軽く超えるブーストクロックを加えました。

Ryzen 7000最大ブーストクロック(前世代比)
Ryzen 9 7950X5.7 GHz(+0.7 GHz)
Ryzen 9 7900X5.6 GHz(+0.8 GHz)
Ryzen 7 7700X5.4 GHz(+0.7 GHz)
Ryzen 5 7600X5.3 GHz(+0.7 GHz)

今回レビューするRyzen 7 7700Xですら、従来比で700 MHz増えて最大5.4 GHzのブーストクロックです。

TSMC 5 nmプロセスは高い電力効率だけでなく、高クロック耐性も大幅に改善されています。同じ傾向はGeForce RTX40シリーズ(Ada Lovelace世代)でも確認されており、高クロック向けの設計を用意せずとも高いクロックを出せるようです。

IPC:+13% x 最大クロック:+16% = 合計31%

13%のIPC改善と、15~17%のクロックアップにより、Zen 4はおよそ1.3倍の性能を提供します。雑に計算すると、Zen 4の8コアはZen 3の10コア相当に近い性能を示すはずです。

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Ryzen 7 7700XのCPU性能:同価格帯のi7 12700Kを打ち負かせ

テスト環境

Zen 4(Ryzen 7000)のベンチマーク環境
テスト環境
「ちもろぐ専用ベンチ機(2022)
スペックZen 4Zen 3Alder Lake
CPURyzen 7 7700XRyzen 7 5800XCore i7 12700K
冷却NZXT Kraken X63
280 mm簡易水冷クーラー
マザーボードASUS TUF GAMINGX670E-PLUSASUS ROG STRIXX570-E GAMINGASUS TUF GAMINGZ690-PLUS WIFI D4
メモリDDR5-4800 16GB x2使用モデル「CT2K16G48C40U5」DDR4-3200 16GB x2使用モデル「Elite Plus UD-D4 3200」
グラボRTX 3080 10GB使用モデル「MSI VENTUS 3X OC」
SSDNVMe 1TB使用モデル「Samsung 970 EVO Plus」
電源ユニットシステム全体1200 W(80+ Platnium)使用モデル「Toughpower iRGB PLUS」
電源ユニットCPUのみ850 W(80+ Gold)使用モデル「Toughpower iRGB PLUS」
OSWindows 11 Pro(Build 22000)
ドライバNVIDIA 517.48 DCH

今回のCPUレビューより、CPUベンチマークに使用するメモリを「JEDEC準拠のネイティブメモリ」に変更します。

以前のレビューではOCメモリを使っていましたが、自作PC初心者はそもそもOCを適用し忘れる可能性や、OC適用後にトラブルに遭遇するリスクが高いです。ベンチマーク結果の再現性に悪影響ですので、今回からネイティブメモリです。

DDR4-3200(JEDEC ネイティブメモリ)
Team Group / 種類 : デスクトップ用 / 規格 : DDR4-3200 (Native) / CL : 22-22-22 / ランク : 1-Rank / 容量 : 16 GB / 枚数 : 2枚 / チップ : 不明 / 保証 : 永久保証

ネイティブメモリは大手BTOメーカーでも、ほぼ100%に近い採用率を誇り、OCメモリとは比較にならない圧倒的な実績と信頼性が付いてきます。

対応しているCPUとマザーボードをセットで使うと、何も設定せずとも自動的に記載のメモリクロックが適用されて便利です。設定を間違えるリスクを大幅に下げられ、結果的にベンチマークの再現性も優れます。

メモリ以外のスペックはいつもどおりです。

ASUS / チップセット : AMD X670E / フォーム : ATX / ソケット : Socket AM5 / フェーズ数 : 16 (70A SPS) / マルチGPU : SLI or CF / M.2 : 4スロット / LAN : 2.5 GbE / 備考:Wi-Fiなしモデル
Micron / 種類 : デスクトップ用 / 容量 : 16GB / 枚数 : 2枚 / 規格 : DDR5-4800 (Native) / 保証 : 永久
NZXT / ソケット : LGA 1200 | 115X | 2066 | Socket AM4 / ラジエーター : 280 mm / ファン : 140 mm x2 / 保証:6年 / 備考 : Asetek製ポンプ採用
MSI / ブーストクロック : 1740 MHz / ファン : トリプル内排気 / 厚み : 3スロット(57 mm) / TDP : 320 W(8+8 pin)
Samsung / NAND : Samsung製96層TLC / 容量 : 1 TB / 耐久性 : 600 TBW / 保証 : 5年
やかもち
「Zen 4」はDDR5-4800(ネイティブ)、「Zen 3」「Alder Lake」はDDR4-3200(ネイティブ)を使ってテストします。

レンダリング性能

CPUの性能をはかるベンチマークとして、「CPUレンダリング」は定番の方法です。ちもろぐでは、下記3つのソフトを用いてCPUレンダリング性能をテストします。

  • Cinebench R15
  • Cinebench R23
  • Blender 3.3.0

日本国内だけでなく、国際的にも定番のベンチマークソフトです。なお、CPUレンダリングで調べた性能はあくまでも目安であり、CPUの性能を代表するスコアではない点は注意してください。

Ryzen 7 7700Xのベンチマーク比較:Cinebench R23(マルチスレッド)
Ryzen 7 7700Xのベンチマーク比較:Cinebench R23(シングルスレッド)
Ryzen 7 7700Xのベンチマーク比較:Cinebench R15(マルチスレッド)
Ryzen 7 7700Xのベンチマーク比較:Cinebench R15(シングルスレッド)
Ryzen 7 7700Xのベンチマーク比較:Blender Benchmark

おおむねスペック通りのレンダリング性能です。マルチスレッド性能はざっくり25%も改善されており、IPCの向上と5.0 GHz超えのブーストクロックでCore i7 12700K(8+4コア)に迫る性能を発揮します。

体感性能に影響が大きいシングルスレッド性能も約25%も伸びて、ライバルのAlder Lake世代に並ぶ速さです。

Blender Benchmarkのレンダリングスコアもほぼ同じ傾向です。従来比で約26%の性能アップを果たし、Core i5 12600K以上、Core i7 12700K未満の性能を提供します。

純粋な8コア16スレッドCPUとしては驚異的なパフォーマンスで、申し分ない内容です。

やかもち
8コアでここまでの性能を叩き出すなんて。

動画エンコード

CPUレンダリングと並んで、動画エンコードはCPUの性能を調べる定番の方法です。

ちもろぐでは、フリー動画エンコードソフト「Handbrake」と、日本国内で人気の動画編集ソフト「Aviutl」における動画エンコード速度をテストします。

Ryzen 7 7700Xのベンチマーク比較:Handbrake(動画エンコード・Fast 480p)
Ryzen 7 7700Xのベンチマーク比較:Handbrake(動画エンコード・Fast 480p)
Ryzen 7 7700Xのベンチマーク比較:Handbrake(動画エンコード・MKV 1080p)
Ryzen 7 7700Xのベンチマーク比較:Handbrake(動画エンコード・MKV 480p)

x264エンコードでは、レンダリング性能とほぼ一致する傾向です。従来比でおよそ24~25%の性能アップで、Core i7 12700Kにあと一歩迫ります。

一方負荷が重たいx265エンコードになると様子が大きく変化して、Core i7 12700K以上の性能を発揮するシーンも。おそらくDDR5メモリの高帯域が効いている可能性が考えられます。

Ryzen 7 7700Xのベンチマーク比較:Aviutl(x264guiEx)
Ryzen 7 7700Xのベンチマーク比較:Aviutl(x265guiEx)

Aviutlにて、拡張プラグイン「x264guiEx」「x265guiEx」を使って動画エンコードをしました。

処理が軽い「x264」、処理が重い「x265」どちらも、Ryzen 7 7700XはCore i7 12700Kとほぼ同じエンコード性能です。異様に速いように見えますが、従来比で26%の性能アップですから特に違和感ありません。

やかもち
重たいエンコードだとDDR5メモリの効果も効いてきて予想以上の性能を発揮します。

AI(機械学習)

2022年ごろから、AIでデジタルイラストを生成する「Stable Diffusion」をはじめ、AI(機械学習)を応用した技術が一般人の間でも身近な存在になりました。

ちもろぐのCPUベンチマークも流行に習って、機械学習のベンチマークを試験的に取り入れます。

  • TensorFlow(実務で人気のフレームワーク)
  • PyTorch(学術研究で人気のフレームワーク)
  • 4x BSRGAN(機械学習による画像アップスケール)
  • Stable Diffusion(機械学習によるイラスト生成)

今回から試験的に取り入れたベンチマークは以上4つです。

Ryzen 7 7700Xのベンチマーク比較:4K動画編集(Davinci Resolve)

AnacondaプロンプトからTensorFlow 2をロードして、単純な手書き文字の自動認識(MNIST)トレーニングを実行します。

すべてのCPUコアが処理に使われる設定ですが、実際の結果はマルチスレッド性能にあまり相関しません。Ryzen 7 7700Xがトップにいるのは、おそらくDDR5メモリの効果でしょうか。

Ryzen 7 7700Xのベンチマーク比較:4K動画編集(Davinci Resolve Fusion)

AnacondaプロンプトからPyTorchをロードして、PyTorch公式が提供しているベンチマーク用のコード(torch.utils.benchmark as benchmark)を使って処理性能をテストします。

なお、処理時間を伸ばすためにベンチマークコードに含める乱数行列は10000×8192として、テストの実行回数は250回です。処理1回あたりの時間に250回をかけて、合計処理時間を求めます。

結果はTensorFlowより分かりやすいですが、いまいちコア数とベンチマーク結果がスケーリングしない部分が多いです。

Ryzen 7 7700Xのベンチマーク比較:動画編集(Adobe Premiere Pro)

次は4x BSRGANを使って、512 x 512サイズ画像の超解像(アップスケーリング)をテストします。アップスケーリング後のサイズは2048 x 2048(※BSRGANは4倍のみ対応)です。

コアスレッドの増加に比例して処理時間が縮みますが、DDR5メモリを使っているRyzen 7 7700Xがi9 12900Kを抑えてのトップです。

Ryzen 7 7700Xのベンチマーク比較:4K動画編集(Davinci Resolve Fusion)

最後のAIベンチマークは「AI絵師」で話題になっているStable Diffusionです。

初期設定の512×512生成だとグラボでしか処理できないですが、4分の1にあたる256×256生成ならCPUで実行できます。結果はおおむねCPUのマルチスレッド性能に比例しています。

CPUが描くイラストは品質が良くないようです

Ryzen 7 7700Xが描いたイラスト(不穏な雰囲気)

イラストを生成するならマルチスレッド性能が高いほど有利です。

やかもち
今回あえて「試験的に」テストしてみた機械学習ベンチマーク。定番のベンチでは見られない傾向を確認できて、個人的に興味深いです。

動画編集

Davinci Resolve(動画編集)

「Davinci Resolve」はフリー動画編集ソフトとして、Aviutlと並んで完成度の高いソフトです。カラーグレーディングやVFX合成などプロ仕様な機能に加え、PCスペックをフルに活用できる洗練された設計が大きな強み。

ちもろぐでは、Puget Systems社のベンチマークプリセットを使って、Davinci Resolve Studio 18における動画編集のパフォーマンスを計測します。バッチ処理でDavinci Resolveを動かして、それぞれの処理にかかった時間からスコアを出す仕組みです。

Ryzen 7 7700Xのベンチマーク比較:4K動画編集(Davinci Resolve)
Ryzen 7 7700Xのベンチマーク比較:4K動画編集(Davinci Resolve Fusion)
Davinci Resolve 18 / 4K動画編集
テスト内容Ryzen 7 7700XRyzen 7 5800XCore i7 12700K
Standard Overall Score1973 /10001737 /10001893 /1000
4K Media Score133111130
GPU Effects Score135132134
Fusion Score324278304

Davinci Resolveベンチマークの性能は予想通り、DDR5メモリの高スループット効果でCore i7 12700K(DDR4)を上回ります。

総合スコアで約4.2%もRyzen 7 7700Xが高いです。ただし、DDR5メモリの容量単価を計算すると残念ながらコストパフォーマンスは劣っています。

Ryzen 7 7700Xのベンチマーク比較:動画編集(Adobe Premiere Pro)
Ryzen 7 7700Xのベンチマーク比較:4K動画編集(Davinci Resolve Fusion)

「Premiere Pro」は言わずもがな、超有名な動画編集ソフトです。Ryzenが登場した頃はマルチコアが効きづらい残念ソフトでしたが、2020年以降よりマルチコアが効きやすく最適化されています。

Ryzen 7 7700Xの総合スコアは928点で、Ryzen 7 5800Xより改善されているものの、Core i5 12600Kと並ぶレベルにとどまります。

圧縮と解凍

ファイルの圧縮と解凍のスピードを、有名なフリー解凍ソフト「7-Zip」を使って計測。付属のベンチマークツールで、圧縮と解凍のスピードを「MIPS」という単位で分かりやすく表示してくれます。

Ryzen 7 7700Xのベンチマーク比較:7-Zip Benchmark(圧縮)
Ryzen 7 7700Xのベンチマーク比較:7-Zip Benchmark(解凍)

圧縮スピードは約105000 MIPSを叩き出し、比較したCPUでトップです。従来比でなんと42%もの性能アップで、Ryzen 9 5950Xすら超える驚異的な性能です。

なお、圧縮スピードでRyzen 7 7700XがRyzen 9 5950Xを上回っている理由はDDR5メモリです。解凍はメモリの容量に、圧縮はメモリのスピードに影響を受けやすい傾向があります。

解凍は約129600 MIPSでCore i9 12900Kに迫ります。

やかもち
圧縮はメモリのレイテンシに影響を受けます。Ryzen 7 7700Xの性能も優秀ですが、DDR5メモリの効果も大きいです。

ブラウザの処理速度

PCMark 10 Professional版の「Microsoft Edgeテスト」と、ブラウザ上で動作するベンチマーク「mozilla kraken 1.1」を使って、CPUのブラウザ処理性能をテストします。

Ryzen 7 7700Xのベンチマーク比較:Microsoft Edge(Chromiumブラウザの処理速度)

Edgeブラウザ(Chromium)の処理速度は、Ryzen 7 7700Xが最強です。トップクラスのシングルスレッド性能が効いています。

Ryzen 7 7700Xのベンチマーク比較:mozilla kraken(ブラウザの処理速度)

krakenテストもシングルスレッド性能が反映されやすいです。Core i7 12700Kは408.7 ミリ秒でテストを走破。Ryzen 7 7700Xは411 ミリ秒で肉薄します。

どちらもデスクトップ向けCPUでトップクラスの処理速度です。400 ミリ秒前後の性能は、同じくTSMC 5 nmで製造されているApple M2やApple A16 Bionicよりも高速です。

なお、mozilla krakenは1000 ミリ秒が大きな目標のひとつで、ここでテストしたCPUはすべて1000 ミリ秒を下回っています。つまり、どれを選んでも実用上はまったく問題ない性能です。

Photoshop CC

写真編集の定番ソフト「Adobe Photoshop CC」の処理速度をテストします。Puget Systems社のプリセットを用いて、Photoshopを実際に動かして、各処理にかかった時間からスコアを算出する仕組みです。

Ryzen 7 7700Xのベンチマーク比較:Photoshop CCの処理速度

Ryzen 7 7700XのPhotoshop総合スコアは「1426点」です。高解像度な写真素材を駆使するベンチマーク内容のため、DDR5メモリがそこそこに効いています。

Microsoft Office

パソコンの一般的なワークロードといえば、Microsoftの「Office」ソフトが代表例です。しかし、Microsoft Officeにベンチマークモードはありませんので、ちもろぐでは「PCMark 10 Professional版」を使います。

単なる再現テストではなく、PCMark 10が実際にMicrosoft Office(Word / Excel / PowerPoint)を動かして、各処理にかかった時間からスコアを算出します。

Ryzen 7 7700Xのベンチマーク比較:Wordの処理速度
Ryzen 7 7700Xのベンチマーク比較:Excelの処理速度
Ryzen 7 7700Xのベンチマーク比較:PowerPointの処理速度

PowerPointは7700Xが最高のスコア、Wordはi7 12700Kに迫ります。Excelはi5 12600K以上、i7 12700K未満の位置につけます。

とはいえスコア自体はPCMark 10の目安である4500点をはるかに超えており、どのCPUを使ってもOfficeは極めて快適な動作です。

「IPC」でCPUの真の進化をチェック

IPC(クロックあたりの処理性能)をCinebench R15でテスト

最後は「IPC(クロックあたりの処理性能)」をテストします。IPCが高いとは、つまるところ「同じクロックなのに性能が高い」わけですから、CPUのクロック周波数を固定してベンチマークを行えばある程度は明らかにできます。

方法はシンプルで、クロック周波数を3.5 GHzに固定してCinebench R15をシングルスレッドモードで実行するだけ。

Cinebench R15 / シングルスレッド性能@3.5 GHz

  • Ryzen 7 7700X
    204 cb
  • Core i9 12900K
    200 cb
  • Core i7 12700K
    200 cb
  • Core i5 12600K
    200 cb
  • Core i5 12400F
    200 cb
  • Ryzen 9 5950X
    194 cb
  • Ryzen 9 5900X
    194 cb
  • Ryzen 7 5800X
    194 cb
  • Ryzen 5 5600X
    194 cb
  • Core i9 11900K
    176 cb
  • Ryzen 9 3950X
    166 cb
  • Ryzen 9 3900XT
    166 cb
  • Ryzen 9 3900X
    166 cb
  • Ryzen 3 3300X
    166 cb
  • Ryzen 7 3800XT
    166 cb
  • Ryzen 5 3600XT
    166 cb
  • Ryzen 7 3700X
    165 cb
  • Ryzen 5 3600
    164 cb
  • Ryzen 5 3500
    163 cb
  • Ryzen 3 3100
    163 cb
  • Core i9 10900K
    156 cb
  • Core i9 10850K
    156 cb
  • Core i7 10700K
    156 cb
  • Core i5 10400F
    155 cb
  • Core i9 9900K
    155 cb
  • Core i7 9700K
    155 cb
  • Core i3 9100F
    155 cb
  • Core i3 10100
    154 cb
  • Core i5 9400F
    154 cb
  • Core i7 8700K
    152 cb
  • Ryzen 7 2700X
    148 cb
  • Ryzen 5 2600
    147 cb
  • Ryzen 5 1600 AF
    147 cb
  • Ryzen 5 3400G
    143 cb
  • Ryzen 3 3200G
    143 cb
  • Core i7 4790K
    133 cb
  • Core i7 950
    104 cb

これでIPCの違いをキレイに抽出できます。グラフを見ての通り、Ryzen 7 7700X(Zen 4世代)は今まででもっとも高いIPCを達成し、ライバルのAlder Lakeを2%上回ります。

1世代前のZen 3と比較して、約5%のIPC改善です(※AMDがアピールしている13%はあくまでも平均的な改善値です)

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Ryzen 7 7700Xのゲーミング性能

昨今のグラフィックボードの急激な高性能化にともない、CPU側の性能不足がフレームレートを引っ張る「CPUボトルネック」が分かりやすく出やすい環境になっています。

CPUボトルネック(ゲーミング性能)をテスト

CPUボトルネックの分かりやすい実例

特にRTX 3080以上のグラフィックボードでは、CPUボトルネックが無視できないほど大きいです。平均100 fps超えのフレームレートでゲームをプレイするなら、8コアかつシングルスレッド性能の高いCPUが重要です。

Ryzen 7 7700Xは8コア16スレッド、かつトップクラスのシングルスレッド性能、さらにDDR5メモリが付いています。ゲーム次第でCore i9 12900K以上のゲーミング性能に期待できそうですが、実際はどうでしょうか・・・?

今回のCPUレビューから、「よりCPUボトルネックが出やすい」テスト内容に変更します。以前のレビューではグラフィックボードに負荷がかかりすぎていて、CPUボトルネックが出づらく比較として意味がうすい状態でした。

テストに使用するゲームタイトルは以上10個です。海外のAAA洋ゲーの方がベンチマーク機能は充実していますが、残念ながら日本国内でほとんどプレイされていないゲームが多いです。

筆者は「国内でプレイされているゲームのベンチマーク結果」を見たくて仕方がないため、あえて上記のようなベンチマークに向かないタイトルを多めに入れています。

フルHDゲーミング(10個)のテスト結果

ひとつずつグラフを掲載するとムダに長文になるので、テストした結果を以下のスライドにまとめました。

Ryzen 7 7700Xのゲーミング性能を比較
Ryzen 7 7700Xのゲーミング性能を比較
Ryzen 7 7700Xのゲーミング性能を比較
Ryzen 7 7700Xのゲーミング性能を比較
Ryzen 7 7700Xのゲーミング性能を比較
Ryzen 7 7700Xのゲーミング性能を比較
Ryzen 7 7700Xのゲーミング性能を比較
 
Ryzen 7 7700Xのゲーミング性能を比較
 
Ryzen 7 7700Xのゲーミング性能を比較
Ryzen 7 7700Xのゲーミング性能を比較

平均フレームレート最低フレームレート(1%)

期待通り、Ryzen 7 7700Xは第12世代Alder Lakeを相手にまったく引けを取らない驚異的なゲーミング性能を発揮します。

おおむねCore i7 12700Kと互角レベルで、タイトル次第(エルデンリングや原神など)でCore i9 12900Kすら大幅に上回るフレームレートです。高いシングルスレッド性能とDDR5メモリの効果が効いています。

逆に、メモリのレイテンシが災いしてかえって性能が伸びないタイトル(Apex Legendsなど)もあります。

Ryzen 7 7700Xの平均ゲーミング性能を比較

Ryzen 7 7700Xの平均ゲーミング性能は、比較したCPUでまさかのトップ。

もちろん、Alder Lake側でOCメモリやDDR5メモリを使えばかんたんに差を詰められますが、低価格なネイティブメモリ同士の比較では7700Xが最高の性能となります。

やかもち
L2キャッシュの倍増(512 KB → 1 MB)がけっこう効いています。Alder LakeのL2キャッシュは1.25 MBです。

4Kゲーミング(5個)のテスト結果

GPU負荷が大きく、CPUボトルネックが出づらい4Kゲーミング(3840 x 2160)の結果も参考程度に調査しました。

Ryzen 7 7700Xの4Kゲーミング性能を比較
Ryzen 7 7700Xの4Kゲーミング性能を比較
Ryzen 7 7700Xの4Kゲーミング性能を比較
Ryzen 7 7700Xの4Kゲーミング性能を比較
Ryzen 7 7700Xの4Kゲーミング性能を比較

平均フレームレート最低フレームレート(1%)

やはり4Kゲーミングだと、CPUボトルネックはほとんど発生しません。6コアと8コアで若干性能差が出ていますが、実用上はほぼ無視できる性能差です。

Ryzen 7 7700Xの平均4Kゲーミング性能を比較

平均値だとまったく差がつかないです。

4Kゲーミングの場合、CPUボトルネックを気にするよりも、グラフィックボードにお金をかけた方が良い結果を得られるでしょう。

消費電力とCPU温度

ちもろぐのCPUレビューでは、電力ロガー機能が付いた電源ユニットを2台使って、CPU単体の消費電力を実際に測定します。

テスト環境
電源ユニット #1システム全体1200 W(80+ Platnium)使用モデル「Toughpower iRGB PLUS」
電源ユニット #2CPUのみ850 W(80+ Gold)使用モデル「Toughpower iRGB PLUS」

電源ユニットを2台に分けて電力供給を分割しているため、CPUに電力供給している電源ユニットの計測値(+12V Power)を見れば、CPU本体の消費電力が明らかになる仕組みです。

ゲーミング時の消費電力と温度

Ryzen 7 7700Xの消費電力を比較(ゲーミング)
Ryzen 7 7700Xの消費電力を比較(ゲーミング)

FF14:暁月のフィナーレ(最高設定)をテスト中に、CPUの消費電力を測定したグラフです。

Ryzen 7 7700Xの消費電力は平均69 W(ピーク102 W)で、従来世代より16 Wも増えています。可もなく不可もなく、コメントに悩む結果です。

Ryzen 7 7700XのCPU温度を比較(ゲーミング)
Ryzen 7 7700XのCPU温度を比較(ゲーミング)

ゲーム中のCPU温度は平均58℃(ピーク72℃)と、消費電力の割に温度が高く出る傾向がありますが、絶対値としては特に問題ないです。ゲーミング運用なら低価格な空冷クーラーで運用できます。

100%負荷時の消費電力と温度

Ryzen 7 7700Xの消費電力を比較
Ryzen 7 7700Xの消費電力を比較

CPU使用率が常時100%に達するCinebench R23(ストレステストモード)にて、Ryzen 7 7700Xの消費電力を測定したグラフです。

Ryzen 7 7700XのデフォルトTDPは105 Wで、PPTは142 Wに制限されます。実際の結果も平均126 W(ピーク147 W)で、指定されたPPTに収まる消費電力です。

従来モデルのRyzen 7 5800Xより約13 Wも消費電力が低く抑えられており、ワットパフォーマンスの改善が明らかです。

Ryzen 7 7700XのCPU温度を比較
Ryzen 7 7700XのCPU温度を比較

CPU温度は一気に跳ね上がります。前世代より13 Wも消費電力が減ったにもかかわらず、平均で13℃もCPU温度が高いです。

一般的にCPUを効率よく冷却するなら、ヒートスプレッダー(IHS)の厚みを薄く作り、熱が分散しやすいようにCPUダイをなるべく中央に配置して熱伝導率の高い「はんだ付け」で接着する必要があります。

Zen 4世代も従来と同じくはんだ付け(ソルダリング)を踏襲しているものの、ヒートスプレッダーが4.5 mmとかなり分厚いうえに、熱源であるCPUダイが片方に隙間なく配置されているせいで冷えづらいです。

加えて、CPUダイのサイズが81 mm²から70 mm²へ約13.6%も小型化しています。面積あたりの熱量(熱密度)が非常に高く、CPUクーラーが熱を回収しづらい設計です。

Zen 4が冷えづらい理由をまとめると・・・

  • ヒートスプレッダー(IHS)が4.5 mmと分厚い
  • CPUダイの位置が片方に偏っていて効率が悪い
  • CPUダイの面積がさらに小型化して熱密度が上昇

現状で分かっている情報は以上です。

ただし、AMDは公式に「95℃で製品寿命にまったく問題はないし、PPTが残っているならCPU温度が95℃に達するまで自動でブーストクロックを引き上げる仕様」と言い切っています。

ですから、CPU温度が95℃と表示されてもAMDが意図したとおりの正しい挙動であり、過度に心配する必要はまったくないです。

初心者もち
Zen 4は冷えづらい設計だけど、95℃まで上がるのは「仕様」・・・ってコト?
やかもち
どうやら仕様らしいです。心配するだけ無駄ですから、温度表示は気にしなくていいですよ。95℃を超えない限り正常です。

ワットパフォーマンス

Ryzen 7 7700Xのワットパフォーマンスを比較

消費電力1ワットあたりの性能(ワットパフォーマンス)は、前世代比でなんと38%も伸びています。

Ryzen 7 5800Xのマルチスレッドスコアが約15000~15600点で、Ryzen 7 7700Xは約19000~20000点前後です。

負荷テスト時のクロックを確認すると、Ryzen 7 5800Xが4.6 GHz前後、Ryzen 7 7700Xは5.0 GHz前後で1割ほど伸びています。つまり、同じ消費電力のまま、クロックが跳ね上がっているようです。

レビューする前のイメージではクロックが上がった分だけ消費電力も比例して伸びるのか、と思い込んでいただけに、消費電力そのままでクロックが伸びている結果にかなり驚いています。

やかもち
Zen 4はクロック改善の設計改良はされていないため、シンプルに「TSMC 5 nm」プロセスの素質が優秀です。

パッケージ電力(PPT)の制限でどうなる?

初心者もち
ワッパ上がってるのは分かるし、消費電力も同じなのは分かる。でもやっぱり「95℃」は怖いよ!

心理的に95℃が気になる方は、マザーボードのUEFIからパッケージ電力(PPT)を任意の数値に変更してください。

Zen4のPPT設定

たとえばPPTを「88」に制限すると、パッケージ電力は最大で88 W前後に制限がかかり、ブーストクロックが伸びづらくなります。性能が下がるかわりに、消費電力と温度を下げられます。

Ryzen 7 7700XのPPTを制限

PPTを制限したときの性能をCinebench R23でテストした結果です。

シングルスレッド性能は65 Wまで制限しても、まったく変わらず2000 cb近いスコアを維持します。マルチスレッドは順当に少しずつ下がりますが、65 W制限時ですらRyzen 7 5800X(142 W)を上回ります。

お得感が大きいのはやはり105 W設定です。消費電力が37 Wも下がっていながら、性能はたった1.5%下がるだけで済みます。

Ryzen 7 7700XのPPTを制限

実際の消費電力を確認します。

ピーク電力を見るとPPT制限がきっちり効いているのが分かります。基本的に設定したPPT以上の消費電力は出せないです(※105 W設定で105 Wを超えているのは、測定器の刻み値が大きいからです)

Ryzen 7 7700XのPPTを制限

CPU温度は言うまでもなく、劇的に下げられます。

105 W設定で最大80℃ほど、88 Wなら最大65℃まで下がり、65 W設定ではわずか55℃程度です。PPTが制限され、結果的にブーストクロックが抑制されるため、CPU温度を著しく下げられます。

なお、性能を維持しながら消費電力を抑えるテクニックに「低電圧化」がありますが、オーバークロック並にリスクがあるため今回は深掘りしないでおきます。
やかもち
PPT制限をするなら、とりあえず100 W前後で様子を見てみるといいでしょう。

まとめ:性能は申し分ないですが導入コストに課題

「Ryzen 7 7700X」のデメリットと弱点

  • Core i7 12700Kに劣るシーンあり
  • 付属クーラーなし
  • CPUクーラーの互換性
  • 初見だとビビる「95℃」
  • 対応マザーボードが高価
  • DDR5メモリもいまだ高価

「Ryzen 7 7700X」のメリットと強み

  • 軽々と5.0 GHzを超えるクロック耐性
  • 最強のシングルスレッド性能
  • 非常にすぐれたゲーミング性能
  • 汎用性の高いCPU性能
  • 驚異的なワットパフォーマンス
  • PPT制限でさらに扱いやすい
  • PCIe 5.0と4.0をサポート
  • DDR5メモリに対応
  • 内蔵GPU「Radeon Graphics」搭載
  • 「TSMC 5 nm」プロセス採用

正直なところ、Ryzen 7 7700Xはいい意味で期待を裏切るすばらしい8コアCPUです。

同じ8コア、同じ消費電力のまま、前任者(5800X)から25~30%の性能アップを実現。Alder Lake並の高いシングルスレッド性能と、1 MBに増量されたL2キャッシュのおかげで、ゲーミング性能も一気にトップクラスへ。

これだけ順当な進化を遂げていながら、価格設定は449ドルから399ドルへ50ドルも値下げされています。価格が下がっているのに、あらゆる性能が進化した文句なしの後継者と評価できます。

しかし、CPU本体のすばらしい出来栄えに容赦なく水を差す問題が3つあります。

  • 対応マザーボードが高すぎる
  • DDR5メモリも依然として高い
  • 急激な円安で値下げ分を完全に相殺

1つは、対応マザーボードの異常な価格設定です。X670Eはともかく、B650ですら3万円台が最安ラインはいささか問題です。

今回のレビューで示したように、Ryzen 7 7700Xは105 Wでも前任者を完全に圧倒します。つまり、マザーボード業界が用意するべきは、100 W台で普通に動作できる程度のVRMをのせた安価なマザーボードです。

「廉価ブランドながら14+2フェーズ搭載」「100 AのMOSFETを20個搭載」などなど、VRMの豪華さで勝手に競争して値上げ合戦している場合ではありません。

100 W程度なら、B450 Steel Legendでも余裕で稼働できます。300 W以上を想定した豪華すぎるVRMフェーズは不要です。

2つ目の問題はDDR5メモリの価格です。一番安いDDR5-4800(ネイティブ)ですら容量単価は1.5倍です。

3つ目はどうしようもないですが、急激な円安。Zen 3発売当時の為替が維持されていたら、Ryzen 7 7700Xは5万円前後だったはず。150円近い為替レートのせいで、6.6万円に値上がりしてしまいました。

これら3つの問題により、Ryzen 7 7700Xを手放しでおすすめできる状況では無いです。コスパを考えると、安いマザーボードとDDR4メモリを選べるAlder Lakeの方がかえって良い場合も・・・。

Ryzen 7 7700Xの評価まとめ

というわけで、ちもろぐの評価は「Aランク」で決まりです。

CPUの性能は気に入っています。しかし、法外に高い導入コストがRyzen 7 7700Xの良さに水を差している状況です。

以上「Ryzen 7 7700Xベンチマーク&レビュー:神速の8コアCPU(ひと手間でワッパも驚異的)」でした。

レビューで使用したパーツはこちら【おすすめです】

AMD / コア : 8 / スレッド : 16 / ソケット : Socket AM5 / チップセット : AMD 600 / 付属クーラー : なし
ASUS / チップセット : AMD X670E / フォーム : ATX / ソケット : Socket AM5 / フェーズ数 : 16 (70A SPS) / マルチGPU : SLI or CF / M.2 : 4スロット / LAN : 2.5 GbE / 備考:Wi-Fiなしモデル
Micron / 種類 : デスクトップ用 / 容量 : 16GB / 枚数 : 2枚 / 規格 : DDR5-4800 (Native) / 保証 : 永久
NZXT / ソケット : LGA 1200 | 115X | 2066 | Socket AM4 / ラジエーター : 280 mm / ファン : 140 mm x2 / 保証:6年 / 備考 : Asetek製ポンプ採用
MSI / ブーストクロック : 1740 MHz / ファン : トリプル内排気 / 厚み : 3スロット(57 mm) / TDP : 320 W(8+8 pin)
Samsung / NAND : Samsung製96層TLC / 容量 : 1 TB / 耐久性 : 600 TBW / 保証 : 5年

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38 件のコメント

  • もう既に色んな所から上がるレビューでPPT105W設定の素晴らしさ(性能ほとんど落とさずに発熱は大きく低下する)は言われているので、何でAMDがこのくらいの設定で出してこなかったのか不思議。
    105W設定なら安価空冷でもいけるわけで、ほんの1%前後の性能を求めるために限界ギリギリを攻めて安価クーラーお断りみたいな公式仕様にして出してくる意味あったのだろうかと…

    • なんでAPUの強化に走らなかったんだろうな・・・。
      最速を目指す必要のない下位帯とか、
      ワッパを良くして値段抑えてAPUを強化したら食いつく層がたくさんいただろうに。
      DellやHPとかでも簡単に載せれて安くて早くてゲームもできるってなってりゃバカ売れしたろうになぁ。

  • >DDR5-4800ネイティブメモリなら容量32 GBが1.5~1.8万円から買えますが、DDR5-6000(OC)メモリは安くても3万円を超えます。
    DDR5-4800ネイティブってそんなに安くなったんだ…と驚いてしまった。(または新商品のラッシュによる感覚麻痺?)

    それでもAM5対応マザボが当時の「X570のハイグレード品価格」が最低ラインになってしまっているので、SATAやらUSBやらにこだわると簡単には手が出ないですね…。
    Ryzen7000シリーズのCPU単体はいい物だけにちょっともったいないです。

  • PPT制限した時にクロックがどうなってるのか気になるな
    常用5Ghzで動くのがどのくらいのPPTのラインになるのか・・・とか

  • こういうレビューを見るたび感心するCore i7-12700系の優秀さ
    ただし価格と引き換えにワッパがアレですが

  • 機械学習系ベンチマークいいですね
    GPUでもぜひやって頂きたいです!

    ただ、一部ベンチマークで7700だけが異常なまでに優秀な理由はシングル性能でもDDR5でもなくAVX-512なのでは?
    12900KS&DDR5とかと比べてみたいですね

    • 可能性はありそうですが、WindowsだとTensorFlowやPyTorchはAVX-512に対応してなさそうです。os.environでちゃんと指定するとAVX-512を有効化できる情報があるものの、今回のベンチマークでは特に指定してないんですよね。

      今はZen 4のベンチで忙しいので、暇になったらAlder LakeにDDR5をのせて検証しようと思います。

  • IPCの伸び2%かあ・・・。前回(Zen2→Zen3)はちゃんと伸びてたけど、今回はやっぱり、基本設計がほとんど変わらずプロセスルールとクロック頼りって感じなのかな。まあ、DDR5とかPCIe5.0対応とかの課題が優先されたんだろうけど。

    Intel13世代のIPCも伸びないって噂されてるけど、爆熱クロック競争だけはやめて欲しいなあ。

    • 記事内のCinebench R15のベンチで5%の伸びを示してますよ

      Cinebenchのスコアはメモリやキャッシュレイテンシの影響を受けにくいので、最悪の条件でも5%は向上していると言えるのではないでしょうか?

  • 色々と値上がりし過ぎて敷居が高くなってしまった

    今回は赤青の新製品が同時期に出てくるので
    真っ向からの競争になるのが良い事
    殆どのユーザーはラプター登場まで待ちそうですね

    • 定格(142W)なら安いマザーボードで問題なく動く5950Xのコスパの良さが際立ちますよね。発熱が非常に大人しいため、虎徹やAK400のようなエントリー空冷でも運用できますし、Zen3世代はコスパが本当に良いです。

    • 絶対性能優先派じゃなかったら今回の製品は買えないもの。
      コスパ少しでも考えるならZEN3か12世代Coreの方が良いってなっちゃう。

    • ロマンで7950Xという展開も今回は・・・
      普通に冷静に判断される方は多そうですね。

      AM4でお買い得な5900Xや5950Xやゲーム重視でも5800X3Dが存在するので、今回AM5に移行するメリットが少ない上に、かなりお高いのと熱面でも完成度が高いとは言えないのが大きく影響してますね。

  • ゲームのfpsが原神以外12900kと7700Xで全く同じ平均値・最低値とのことですが、流石にそのようなことはないと思うのですが…

    • コメントありがとうございます。
      原因を調べたところ、データの記入ミスでした・・・、たった今グラフを修正しました。結論は同じですが、Apex Legendsやエルデンリングなど、性能の傾向が少し変わりました。

  • 性能は確かに期待以上、でも高すぎ。
    マザボもメモリも流用できないのにマザボが最低3万からですって、よほどのファンとYoutuberを除いて今迄AMD使ってた人さえも手放すことになるだろうな。夏頃まで値下がってたZEN3とAlderのコスパの良さを実感させることになるとは。。

    • 12700Kに対して上回れていると言えない状態の出来栄えでは、13600Kに対しても厳しそうなほどな性能も期待外れのような・・・

      Alderが実は予想以上に優れていたというオチにするとしても、6万以上もする次世代性能がAlderの派生的予測可能Raptorの格下クラスと大差ないとか負ける要素があったら、95℃は置いておくとしても性能も価格も総合的に期待外れに。

      そうなるとマザーボードの高さや円安だけを理由にできない、CPUの根本的な性能と価格の高さも問題になる。
      13600シリーズの性能と価格次第では7700Xの評価はより下がることに・・・

      またZEN3は値下がったことで一気に流れや評価が上がっただけに、そのツケや反動が出ていますね。

  • 正直Raptorと比較以前にAlderにも劣る点が目立つとは想像すらしていなかったですね・・・

    電圧や制限すれば省電力なのは特に低負荷時等普段使いやゲーム時でAlderが優れてもいますので・・・

    満を持しての次世代の割には負のポイントが目立ちすぎで、特にクーラーも含めた導入コストの高さは拍車を掛けますね。
    Raptorもそうですが今回安価なDDR4メモリなど流用できたりもするのがかなり大きなプラスポイントになりそうなのが救い。

  • 値上がっている原因として多フェーズVRM以外に8層基板の採用やB650でもGen5のM.2 SSD対応があります
    ユーザーはそこまで望んでいない

  • 7000シリーズの売れ行きがかなり悪いようで減産に踏み切る事態のようです。
    特に7600Xと7700Xは世界的にほとんど売れていないほど悪いらしい・・・

    • 仕事向けならzen3で十分だしゲーム向けなら後出しで来るのがほぼ確実なX3D待つだけだしでどう考えても待ちが正解なんですよね、特にゲーマー視点では明らかに5800X3Dか12700辺りで様子を見て来年再来年の状況次第で買い替え検討で十分

    • 円安というよりドル高だからユーロ圏も日本と似たような状況。アメリカが利上げしまくってるからしょうがないね。

      とはいえそのアメリカですらZen4は全然売れず、価格を見てあきらめた人によるZen3の駆け込み需要が発生しているので、この部分は為替は関係ないですね。

  • 減産するならそのぶんのキャパで、ノート向けもzen4に更新するか、せめて6000シリーズ拡充してほしいわ。

    いつまでzen2使い回すんや、

  • ZEN3から29%もIPCが向上する怪物CPUという昔のリーク情報を
    信じてしまった人からしたら期待外れと言うしか無い性能なんだけど
    本来、一世代の性能向上としては悪くはない、しかしZEN3から
    間が大きく空いてしまったのでいまいちな性能になってしまった感じ

    HEDTでは豪華な構成のマザーボードも需要があるんだけど
    元々メインストリームでは価格が安い方が好まれる上に世界的なインフレで
    贅沢品の買い控えが起きている時期に高価路線は完全に販売戦略を間違えたんじゃないかな

    Raptorと比較以前にAlderにも劣る点が多いとは思わなかったという人も
    いるみたいだけど
    初期のとんでもリークが嘘だとAMD公式発表で分かった時点でビッグコアが多い
    という優位性がありTDP枠上限引き上げの伸びしろがあるRyzen 9はともかく
    7600X VS 13600Kと7700X VS 13700Kはどう考えても
    Ryzen側がボロ負けするとしか予測できないと思う

    • 7900Xはそこそこな売れ行きらしいので、消費電力が高くなったことや安くないから好まれないという感じでもなさそう。

      しかし肝心の性能でi5-13600Kは7600Xは眼中になく寧ろ7700Xに近そうですよね・・・
      7700Xが格下13600Kと同程度だとかなり厳しい・・・
      デフォルトで95℃まで普通に許容させて旧世代のノーマル12600Kや12700K相手にも苦戦しているようではフォローしようがないほど想定以下。

  • 本当に売れて無さそうで詳細な情報が少ないですね。
    お勧めのPPT 105W (実最大113W)で19173 cbでは、まだ12700Kで電力制限チューンさせたものよりワットパフォーマンスがかなり劣ってます。
    PPT 88Wで19000超えてくると12700Kのワットパフォーマンスと並びそうなのでそこまでチューンして頂けると参考になります。

  • 廉価ブランドに7950Xを載せるようなBTOが多いから廉価モデルでも7950Xが問題なく動かなきゃいけない→VRM爆盛でマザーの値段爆上げ
    ってことでしょうね。つまりマザーの値段を抑えるためには最上位の石をなんとかしないと…

  • 今突っ込むのはお金に余裕のある人や初物好きでしょうか。
    3D V-CacheやIntel Core i13世代もありますし関連パーツの値下がりも兼ねて待つ人が大変多いと思います。
    次回を待ちますが余裕があればRyzen5で新CPU待ちするんですけどね!

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