3万円台で買えるCore i5でありながら、なんと14コア20スレッドも搭載する「Core i5 13500」が自作PCで人気です。
ライバルのRyzen 5 7600Xや、1世代前のCore i5シリーズと比較してどれほどの性能なのか。実際にベンチマークして確かめます。
(公開:2023/3/27 | 更新:2023/3/27)
今回のレビューで使用する「Core i5 13500」は、インテルの提携代理店がAmazon.co.jpで注文して筆者の住所に直送してもらった市販品です。
もちろん、以前のレビューと同じくレビュー内容に関して、ベンチマークソフトの指定や使用機材の要望(例:DDR5-6000メモリの強要等)は一切ありませんでした。引き続き、コスパの良いIntel Z690 + DDR4プラットフォームにてテストを行います。
Core i5 13500の仕様とスペック
CPU | Core i5 13500 | Core i5 12600K | Ryzen 5 7600X |
---|---|---|---|
ロゴ | |||
世代 | 13th Raptor Lake S | 12th Alder Lake S | 5th Zen 4 |
プロセス | Intel 7 (Intel 10 nm ESF) | Intel 7 (Intel 10 nm ESF) | TSMC N5 (TSMC 5 nm FinFET) |
TIMCPU内部の熱伝導材 | ソルダリング薄化ダイ & IHSを分厚く | ソルダリング薄化ダイ & IHSを分厚く | ソルダリング |
ソケット | LGA 1700 | LGA 1700 | Socket AM5 |
チップセット | Intel 600 / 700 | Intel 600 / 700 | AMD 600 |
コア数 | 14 | 10 | 6 |
スレッド数 | 20 | 16 | 12 |
ベースクロック | 2.50 GHz | 3.70 GHz | 4.70 GHz |
ブーストクロック | 4.80 GHz | 4.90 GHz | 5.30 GHz |
内蔵GPU | UHD 770 | UHD 770 | Radeon Graphics(2CU) |
GPUクロック | 300 ~ 1550 MHz | 300 ~ 1450 MHz | 2200 MHz |
TDP | 65 W / 154 W | 125 W / 150 W | 105 W / 142 W |
MSRP | $ 242 | $ 299 | $ 299 |
参考価格 (2023/03時点) | 38940 円 | 39800 円 | 33680 円 |
CPU | Core i5 13500 | Core i5 12600K | Ryzen 5 7600X |
---|---|---|---|
世代 | 13th Raptor Lake S | 12th Alder Lake S | 5th Zen 4 |
プロセス | Intel 7 (Intel 10 nm ESF) | Intel 7 (Intel 10 nm ESF) | 5 nm |
TIMCPU内部の熱伝導材 | ソルダリング薄化ダイ & IHSを分厚く | ソルダリング薄化ダイ & IHSを分厚く | ソルダリング |
ソケット | LGA 1700 | LGA 1700 | Socket AM5 |
チップセット | Intel 600 / 700 | Intel 600 / 700 | AMD 600 |
コア数 | 14 | 10 | 6 |
スレッド数 | 20 | 16 | 12 |
ベースクロック | 2.50 GHz | 3.70 GHz | 4.70 GHz |
ブーストクロック | 4.80 GHz | 4.90 GHz | 5.30 GHz |
手動OC | 不可 | 可能 | 可能 |
L1 Cache | 1248 KB | 864 KB | 384 KB |
L2 Cache | 11.5 MB | 9.5 MB | 6 MB |
L3 Cache | 24 MB | 20 MB | 32 MB |
対応メモリ | DDR5-4800 DDR4-3200 | DDR5-4800 DDR4-3200 | DDR5-5200 |
チャネル | x2 | x2 | x2 |
最大メモリ | 128 GB | 128 GB | 128 GB |
ECCメモリ | 不可 ※Intel W680のみ可 | 不可 ※Intel W680のみ可 | U-DIMMのみ |
PCIeレーン | Gen5 + Gen4 | Gen5 + Gen4 | Gen5 |
16 + 4 | 16 + 4 | 24 | |
レーン構成 | 1×16 + 4 | 1×16 + 4 | 1×16 + 1×4 + 1×4 |
2×8 + 4 | 2×8 + 4 | 2×8 + 1×4 + 1×4 | |
– | – | 1×8 + 2×4 + 1×4 | |
内蔵GPU | UHD 770 | UHD 770 | Radeon Graphics(2CU) |
GPUクロック | 300 ~ 1550 MHz | 300 ~ 1450 MHz | 2200 MHz |
TDP | 65 W / 154 W | 125 W / 150 W | 105 W / 142 W |
MSRP | $ 242 | $ 299 | $ 299 |
参考価格 (2023年3月時点) | 38940 円 | 39800 円 | 33680 円 |
「Core i5 13500」は製品名こそ第13世代Raptor Lakeを名乗っていますが、中身は基本的に第12世代Alder Lakeと同一です。
Raptor LakeならL2キャッシュ容量が1コアあたり2 MBに増量されるのに対して、Core i5 13500は1コアあたり1.25 MBから変わらないです。
Alder Lakeベースのため、実行性能に割りと影響があるキャッシュ倍率(リングレシオ)もそれほど改善しません。つまり、設計上の改善がほとんど無いリネーム品となります。
製造プロセスも従来と同じく「Intel 7(Intel 10 nm ESF = Enhanced SuperFin)」を続投し、ライバルのAMDに対して1世代遅れ(見かけ上は2世代遅れ)のプロセスで競争を挑む展開です。
その代わり、インテルはCore i5の無印モデルとして過去最多の14コア20スレッドをぜいたくに詰め込みました。1世代前のCore i5 12600Kよりもコア数が増え、2世代前のCore i9に匹敵する性能に期待できます。
加えて実質的な値下げも敢行。299ドルのi5 12600Kを上回るコア数を搭載しながら、i5 13500は約60ドルも安い242ドルの価格設定です。
価格がこなれたIntel 600マザーボードとDDR4メモリを引き続き使える点も、見逃せない大きなコストメリットです。
ライバルのRyzen 5 7600XはCPU単品の価格こそ割安感がありますが、依然として対応マザーボードと、性能の割に高価なDDR5メモリが足かせになっています。
Ryzen 5 7600Xに対して、Core i5 13500は導入コストを含めたコスパで十分に競合できる可能性があります。
Core i5 13500のCPU性能:
テスト環境
テスト環境 「ちもろぐ専用ベンチ機(2022)」 | ||
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スペック | Raptor Lake / Alder Lake | Zen 4 |
CPU | Core i5 13500 | Ryzen 5 7600X |
冷却 | NZXT Kraken X63 280 mm簡易水冷クーラー | |
マザーボード | ASUS TUF GAMING Z690-PLUS WIFI D4 | ASUS TUF GAMINGX670E-PLUS |
メモリ | DDR4-3200 16GB x2使用モデル「Elite Plus UD-D4 3200」 | DDR5-4800 16GB x2使用モデル「CT2K16G48C40U5」 |
グラボ | RTX 4080 16GB使用モデル「Gainward Phantom」 | |
SSD | NVMe 1TB使用モデル「Samsung 970 EVO Plus」 | |
電源ユニットシステム全体 | 1200 W(80+ Platnium)使用モデル「Toughpower iRGB PLUS」 | |
電源ユニットCPUのみ | 850 W(80+ Gold)使用モデル「Toughpower iRGB PLUS」 | |
OS | Windows 11 Pro 22H2 | |
ドライバ | NVIDIA 531.28 DCH |
従来どおり、Intel Z690マザーボードとDDR4-3200(ネイティブメモリ)を使って、Core i5 13500の性能をベンチマークします。
第13世代Raptor LakeもZen 4と同じくDDR5メモリに対応しています。しかし、DDR5メモリと対応マザーボードは比較的に価格が高いです。
Raptor Lakeでは、従来のIntel 600マザーボードとDDR4メモリも利用でき、導入コストをZen 4より抑えられるメリットが強いです。
よって最新のIntel Z790とDDR5メモリを使ってしまうとRaptor Lakeの良さを1つ潰すことになり、面白みに欠けます。Core i5 13500(DDR4-3200)が、Zen 4(DDR5-4800)にどこまで対抗できるか確認しましょう。
レンダリング性能
CPUの性能をはかるベンチマークとして、「CPUレンダリング」は定番の方法です。ちもろぐでは、下記3つのソフトを用いてCPUレンダリング性能をテストします。
- Cinebench R15
- Cinebench R23
- Blender 3.4.0
日本国内だけでなく、国際的にも定番のベンチマークソフトです。なお、CPUレンダリングで調べた性能はあくまでも目安であり、CPUの性能を代表するスコアではない点は注意してください。
さすが14コア20スレッドのパワー。Core i5 13500のレンダリング性能は、Ryzen 5 7600Xの約1.4倍に匹敵し、Ryzen 7 7700Xすら超えています。
Blender Benchmark(3.4.0)のレンダリングスコアもほぼ同じ傾向です。Core i5 12400Fから約1.7倍もの性能アップを遂げ、Core i5 12600KやRyzen 5 7600Xをあっさり打ち負かします。
シングルスレッド性能はRaptor Lake世代に一歩引けを取る位置にいますが、それでも従来のAlder LakeやZen 3世代に並ぶ水準で、十分サクサクとした動作です。
動画エンコード
CPUレンダリングと並んで、動画エンコードはCPUの性能を調べる定番の方法です。
- Handbrake
- Aviutl(rigaya氏の拡張プラグインを使用)
ちもろぐでは、フリー動画エンコードソフト「Handbrake」と、日本国内で人気の動画編集ソフト「Aviutl」における動画エンコード速度をテストします。
動画エンコードの結果もレンダリングとけっこう似ています。おおむねCinebenchの結果と近いです。
Core i5 13500は負荷の軽いエンコード(x264)でRyzen 7 7700Xに迫り、負荷の重たいエンコード(x265)ではRyzen 5 7600Xを少し上回る水準です。
Aviutlにて、拡張プラグイン「x264guiEx」「x265guiEx」を使って動画エンコードをしました。
処理が軽い「x264」、処理が重い「x265」どちらもCore i5 13500はCore i5 12400Fから約40%も高速化。Ryzen 5 7600Xを超えて、Ryzen 7 7700Xにあと少しで追いつく性能です。
AI(機械学習)
2022年ごろから、AIでデジタルイラストを生成する「Stable Diffusion」をはじめ、AI(機械学習)を応用した技術が一般人の間でも身近な存在になりました。
ちもろぐのCPUベンチマークも流行に習って、機械学習のベンチマークを試験的に取り入れます。
- TensorFlow(実務で人気のフレームワーク)
- PyTorch(学術研究で人気のフレームワーク)
- 4x BSRGAN(機械学習による画像アップスケール)
Stable Diffusion(機械学習によるイラスト生成)
※今回のレビューからベンチマークから外します
試験的に取り入れているベンチマークは以上3つです。Stable Diffusionはグラフィックボードを使ったほうが遥かに効率がいいため、今回のレビューから外しました。
AnacondaプロンプトからTensorFlow 2をロードして、単純な手書き文字の自動認識(MNIST)トレーニングを実行します。
すべてのCPUコアが処理に使われる設定ですが、実際の結果はマルチスレッド性能にあまり相関しません。CPUの性能よりも、メインメモリの帯域幅の方(DDR5メモリ)が効果的に見えます。
AnacondaプロンプトからPyTorchをロードして、PyTorch公式が提供しているベンチマーク用のコード(torch.utils.benchmark as benchmark)を使って処理性能をテストします。
なお、処理時間を伸ばすためにベンチマークコードに含める乱数行列は10000×8192として、テストの実行回数は250回です。処理1回あたりの時間に250回をかけて、合計処理時間を求めます。
結果はTensorFlowより分かりやすいですが、いまいちコア数とベンチマーク結果がスケーリングしない部分が多いです。
Ryzen 7000シリーズが全体的に優秀な状況を見るに、CPUの性能よりもDDR5メモリの方が効率よく性能に効いている気がします。
次は4x BSRGANを使って、512 x 512サイズ画像の超解像(アップスケーリング)をテストします。アップスケーリング後のサイズは2048 x 2048(※BSRGANは4倍のみ対応)です。
一応コアスレッドの増加に比例して処理時間を短縮できますが、DDR5メモリを使っているRyzen 5 7600Xに届かないです。
動画編集
「Davinci Resolve」はフリー動画編集ソフトとして、Aviutlと並んで完成度の高いソフトです。カラーグレーディングやVFX合成などプロ仕様な機能に加え、PCスペックをフルに活用できる洗練された設計が大きな強み。
ちもろぐでは、Puget Systems社のベンチマークプリセットを使って、Davinci Resolve Studio 18における動画編集のパフォーマンスを計測します。バッチ処理でDavinci Resolveを動かして、それぞれの処理にかかった時間からスコアを出す仕組みです。
Core i5 13500のDavinci Resolveベンチマーク性能は「2387点」、Ryzen 5 7600Xに並びます。
4K動画編集スコアは「136点」で、Core i7 12700K並の性能です。Fusionスコアも非常に高く「400点」を記録、Ryzen 5 7600Xに匹敵します。
動画編集で不利なDDR4メモリを使っていながら、DDR5メモリを使っているRyzen 5 7600Xに並ぶ性能を出せています。
「Premiere Pro」は言わずもがな、超有名な動画編集ソフトです。マルチコアが効きづらい残念ソフトでしたが、2020年以降よりマルチコアが効きやすく最適化されています。
Core i5 13500の総合スコアは「1066点」です。Core i5 12400Fから約25%も性能を伸ばして、Ryzen 5 7600X以上の動画編集性能を発揮します。
圧縮と解凍
ファイルの圧縮と解凍のスピードを、有名なフリー解凍ソフト「7-Zip」を使って計測。付属のベンチマークツールで、圧縮と解凍のスピードを「MIPS」という単位で分かりやすく表示してくれます。
7-Zip Benchmarkは示唆に富む内容です。
まず圧縮スピードでCore i5 12400FとCore i5 13500を比較します。点数差が約9000点ついており、Eコア1個あたり1000点強しか圧縮スピードに寄与しないと分かります。
逆に6コアしかないRyzen 5 7600XはDDR5メモリの優れた帯域幅に支えられて、約86600点と圧倒的なスコアです。
メモリの性能に影響を受けづらい解凍スピードでは、Core i5 13500が約112000点を叩き出し、Ryzen 5 7600Xを上回る結果に。
ブラウザの処理速度
PCMark 10 Professional版の「Microsoft Edgeテスト」と、ブラウザ上で動作するベンチマーク「mozilla kraken 1.1」を使って、CPUのブラウザ処理性能をテストします。
Edgeブラウザ(Chromium)の処理速度は、基本的にシングルスレッド性能に影響を受けます。
Core i5 13500の場合、Core i5 12400F比較で約10%シングルスレッド性能が改善しているため、Edgeブラウザベンチマークの結果もおおむね1割の性能アップです。
krakenテストもシングルスレッド性能が反映されやすいです。Core i5 13500は422 ミリ秒、文句なしに速いです。
なお、mozilla krakenは1000 ミリ秒が大きな目標のひとつで、ここでテストしたCPUはすべて1000 ミリ秒を下回っています。つまり、どれを選んでも実用上はまったく問題ない性能です。
Photoshop CC
写真編集の定番ソフト「Adobe Photoshop CC」の処理速度をテストします。Puget Systems社のプリセットを用いて、Photoshopを実際に動かして、各処理にかかった時間からスコアを算出する仕組みです。
Core i5 13500のPhotoshop総合スコアは「1341点」です。Core i5 12400Fと比較して2割も高いスコアですが、高いシングルスレッド性能とDDR5メモリを持つRyzen 5 7600Xには届きません・・・でした。
一般処理のスコアもRyzen 5 7600Xと同等で、フィルター処理のスコアではRyzen 5 7600Xに約6%追い抜かれています。
Microsoft Office
パソコンの一般的なワークロードといえば、Microsoftの「Office」ソフトが代表例です。しかし、Microsoft Officeにベンチマークモードはありませんので、ちもろぐでは「PCMark 10 Professional版」を使います。
単なる再現テストではなく、PCMark 10が実際にMicrosoft Office(Word / Excel / PowerPoint)を動かして、各処理にかかった時間からスコアを算出します。
Wordスコアは「9782点」で、Ryzen 5 7600Xに一歩届かず。シングルスレッド性能が敗因です。
Excelスコアは「29030点」でRyzen 5 7600Xを超えてRyzen 7 7700Xに並びます。マルチスレッド性能の高さが効いています。
PowerPointスコアは「19837点」、解釈がやや難しい傾向ですが、マルチスレッド性能が重要に見えます。20000点を超えるには突出したシングルスレッド性能も重視されているようです。
Core i5 12400Fと比較すると約11~34%の性能アップです。
なお、PCMark 10によると快適な動作に必要なスコア(目安)は4500点です。今回テストしたCPUはすべて4500点を軽く超えており、実用上どれを選んでも快適そのもの。
「IPC」でCPUの真の進化をチェック
最後は「IPC(クロックあたりの処理性能)」をテストします。IPCが高いとは、つまるところ「同じクロックなのに性能が高い」わけですから、CPUのクロック周波数を固定してベンチマークを行えばある程度は明らかにできます。
方法はシンプルで、クロック周波数を3.5 GHzに固定してCinebench R15をシングルスレッドモードで実行するだけ。
Cinebench R15 / シングルスレッド性能@3.5 GHz
これでIPCの違いをキレイに抽出できます。グラフを見ての通り、Core i5 13500のIPCは従来のAlder Lake世代と変化なし。
一応、第13世代インテルCPUシリーズを名乗っているものの、中身自体はAlder Lakeです。設計が同じである以上、IPCが変化しないのも当然です。
Ryzen 5000(Zen 3)と比較して約3%だけ速く、Ryzen 7000(Zen 4)より約2%遅いです。ほとんど大差ないと言っていいでしょう。
Core i5 13500のゲーミング性能
RTX 4000シリーズの登場にともない、グラフィックボードの性能が急激に跳ね上がっています。CPU側の性能不足がフレームレートを下げてしまう「CPUボトルネック」が顕著に出やすい環境です。
特にRTX 3080以上のグラフィックボードでは、CPUボトルネックが無視できないほど大きいです。平均100 fps超えのフレームレートでゲームをプレイするなら、「ゲーミング性能」に優れたCPUが重要です。
新しいCPUレビューでは、「よりCPUボトルネックが出やすい」テスト内容に変更しています。以前のレビューではグラフィックボードに負荷がかかりすぎていて、CPUボトルネックが出づらく比較として意味がうすい状態でした。
- Apex Legends(ベンチマークまとめ)
- フォートナイト(ベンチマークまとめ)
- Overwatch 2
- Escape from Tarkov(ベンチマークまとめ)
- サイバーパンク2077(ベンチマークまとめ)
- Forza Horizon 5
- Microsoft Flight Simulator(ベンチマークまとめ)
- ELDEN RING(ベンチマークまとめ)
- 原神(ベンチマークまとめ)
- ブループロトコル(ベンチマークまとめ)
テストに使用するゲームタイトルは以上10個です。海外のAAAタイトル(洋ゲー)の方がベンチマーク機能は充実していますが、残念ながら日本国内でほとんどプレイされていないゲームが多いです。
筆者は「国内でプレイされているゲームのベンチマーク結果」を見たくて仕方がないため、あえて上記のようなベンチマークに向かないタイトルを多めに入れています。
フルHDゲーミング(10個)のテスト結果
今回のCPUベンチマークレビューから、再びゲームタイトルごとに解説を入れる方針を復活させました。無駄に長文化しないように、簡潔な短文解説を挟んでいきます。
平均フレームレート最低フレームレート(1%)
「Escape from Tarkov(タルコフ)」では、Core i5 13500はそれほど振るわない結果に。
キャッシュ容量が前世代と変わらないため、Raptor Lake設計のCore i5 13600Kと比較して平均20 fpsも差を付けられています。キャッシュ容量が多いRyzen 7000シリーズも良好な成績です。
「Apex Legends」はCPUボトルネックが出づらいです※。
Ryzenシリーズと微妙に性能差が出ているのはボトルネックではなく、メモリクロックの違いです。
※実際のゲームプレイだと性能差が出るらしい話を聞きますが、残念ながら実際のゲームプレイを毎回再現できないので証明不可能です。CPUボトルネックなのか、それともプレイ内容が変わったことが原因なのか・・・?、比較実験として意味がありません。
「オーバーウォッチ2」も意外とCPUボトルネックが出づらいです。比較的新しい世代のCPUであれば、Core i5 13500にこだわる必要はないです。
「フォートナイト」はCPUボトルネックが大きいです。Alder Lake、Raptor Lake、Ryzen 7000シリーズそれぞれでハッキリと性能差が発生します。
単なるシングルスレッドの速さだけでなく、キャッシュ容量も性能に効いています。Core i5 13500は中身がAlder Lakeなため、Core i5 13600Kに平均30 fpsの大差を付けられてしまいました。
「Microsoft Flight Simulator」はCPUボトルネックで有名なゲームタイトルです。
キャッシュ容量がボトルネックの改善に効果的なゲームで、中身がAlder LakeのCore i5 13500はやや苦戦気味です。
「原神」はスメールシティの決まったルートを周回して検証。意外とEコアの有無でCPUボトルネックに大きな差が生じるゲームです。
Eコアが増えたおかげでPコア側のリソースを原神側に集中しやすくなり、結果的にCPUボトルネックが軽減されています。
「エルデンリング」もCPUボトルネックが出やすいです。割りとシングルスレッド性能が効果的で、Eコアがあった方が負荷のかかり方が安定してCPUボトルネックを軽減できます。
国産MMORPG「ブループロトコル」はかなりCPUボトルネックが出やすいタイトルです。
Eコアの増加がCPUボトルネックの軽減に役立っている様子が見て取れます。
今でも非常の重たい部類の「サイバーパンク2077」は、CPUへの負荷が非常に高いゲームタイトルです。
Eコアの増加がCPUボトルネックを軽減するものの、シングルスレッド性能と古い設計(Alder Lake)のせいでCore i5 12600K並です。
「Forza Horizon 5」はベンチマークモードで検証。シングルスレッド性能の割に結果がよく、Eコアの増設が効果的に見えます。
Core i5 13500の平均ゲーミング性能は、Core i5 12400Fから約8%改善され、Core i5 12600Kとほぼ同等です。
ライバルのRyzen 5 7600Xには・・・、あと一歩及ばず。1世代前のAlder Lakeではなく、最新のRaptor Lake設計を使用していれば明確にRyzen 5 7600Xを打ち負かしたはずです。
4Kゲーミング(10個)のテスト結果
GPU負荷が大きく、CPUボトルネックが出づらい4Kゲーミング(3840 x 2160)の結果も参考程度に調査しました。
平均フレームレート最低フレームレート(1%)
4KゲーミングだとCPUボトルネックはとても少ないです。検証した10個のゲームタイトルで、目立った性能差があるのはForza Horizon 5のみ。他のゲームはわずかな性能差にとどまり、CPUにコストを掛ける意味が薄いです。
Core i5 13500の平均4Kゲーミング性能は、現行ハイエンドCPUと大差ありません。
4Kゲーミングの場合、CPUボトルネックを気にするよりも、グラフィックボードにお金をかけた方が良い結果を得られるでしょう。
消費電力とCPU温度
ちもろぐのCPUレビューでは、電力ロガー機能が付いた電源ユニットを2台使って、CPU単体の消費電力を実際に測定します。
テスト環境 | ||
---|---|---|
電源ユニット #1システム全体 | 1200 W(80+ Platnium)使用モデル「Toughpower iRGB PLUS」 | |
電源ユニット #2CPUのみ | 850 W(80+ Gold)使用モデル「Toughpower iRGB PLUS」 |
電源ユニットを2台に分けて電力供給を分割しているため、CPUに電力供給している電源ユニットの計測値(+12V Power)を見れば、CPU本体の消費電力が明らかになる仕組みです。
ゲーミング時の消費電力と温度
ゲームプレイ時の消費電力を測定して、10タイトルの平均値を求めたグラフです。
Core i5 13500は平均で約80 Wを消費し、ライバルのRyzen 5 7600Xより約20 Wも多いです。1世代前のCore i5 12400Fと比較しても20 Wの増加にあたり、Eコアが増えた分だけ消費電力も増えた形に。
なお、CPUへの負荷が減る4Kゲーミング時の消費電力は少し減って平均72 Wでした。
検証した10タイトルの中で、もっとも消費電力が高かったサイバーパンク2077を検証中のCPU温度は平均45℃(ピーク時48℃)です。
Ryzen 5 7600Xより20 Wも消費電力が多いですが、CPUの冷やしやすさはCore i5 13500が優秀です。と言っても、どちらもメーカーが規定する上限温度をはるかに下回っているため、気にする必要はまったくありません。
100%負荷時の消費電力と温度
CPU使用率が常時100%に達するCinebench R23(ストレステストモード)にて、Core i5 13500の消費電力を測定したグラフです。
Core i5 13500の消費電力は平均168 W(ピーク時177 W)で、Core i5 12400Fから約70 Wも増えています。内部設計はそのままに、Eコアを8個増やしため、シンプルに消費電力が増加します。
ライバルのRyzen 5 7600Xと比較しても約40 Wほど多い消費電力です。
100%負荷時のCPU温度は平均62℃(ピーク時65℃)で、消費電力の割には冷えやすいです。
Core i5 13500より40 Wも消費電力が低いRyzen 5 7600Xはあっさり90℃近くまで上昇しており、Ryzen 7000シリーズの冷えにくさがよく分かります。
ワットパフォーマンス
消費電力1ワットあたりの性能(ワットパフォーマンス)は悪化するかと思いきや、意外と変化なし。
Core i5 12400Fとほぼ同じワットパフォーマンスを維持しており、ライバルのRyzen 5 7600Xよりも優れています。
ただし、上記のワットパフォーマンスはあくまでもマルチスレッド性能にもとづいて計算しています。Core i5 13500には効率よくマルチスレッド性能を稼げる「Eコア」が搭載されているため、Ryzen 7000より有利になりやすいです。
ワットパフォーマンスを見る基準を変えると、また違った風景が見られます。
フルHDゲーミング時のワットパフォーマンスでは、増加した消費電力に見合ったフレームレートが得られず、Ryzen 5 7600Xに対して約35%も遅れを取ります。
4Kゲーミング時のワットパフォーマンスも同様の結果です。ワットパフォーマンスの関係をまとめると、
- ゲーミング時のワッパ:Ryzen 5 7600Xが有利
- マルチスレッド時のワッパ:Core i5 13500が有利
となり、どちらかが一方的に優れている状況にならないです。
まとめ:完璧ではないが7600Xより旨味が多いのは明らか
「Core i5 13500」のデメリットと弱点
- 内部的にはAlder Lake世代と同じ
- ワットパフォーマンスに変化なし
- 付属CPUクーラーが冷えない
- オーバークロック非対応
「Core i5 13500」のメリットと強み
- そこそこのシングルスレッド性能
- 十分なゲーミング性能
(Ryzen 5 7600Xに迫る) - 汎用性の高いCPU性能
- PCIe 5.0と4.0をサポート
- DDR5 / DDR4メモリに両対応
- Intel 600マザーボードを流用できます
- 内蔵GPU「Xe Graphics」搭載
- コストパフォーマンスが高い
14コア20スレッドのパワフルさで、CPUとしての性能は全体的に優秀です。6コア12スレッドのRyzen 5 7600Xに対して、クリエイティブ性能で負けるシーンはほとんどありません。
消費電力が少々多めですが、ワットパフォーマンスで見ると大差なし。電力制限を設定してあげれば、さらなるワットパフォーマンスも目指せます。
おおむね「良いCPU」です。ただし、第13世代をアピールしながら中身が第12世代(Alder Lake)のままなのが惜しい。
L2キャッシュ増量 + 高いキャッシュレシオがついてくるRaptor Lake設計なら、おそらくゲーミング性能でRyzen 5 7600Xを打ち負かす可能性がありました。
残念ながらAlder Lake設計を流用してしまったため、ゲーミング性能は一歩及ばず。とはいえ、Alder LakeはRaptor Lakeより冷えやすい(= 大容量キャッシュは発熱が多い)メリットがあり、人によっては利点と捉えられるかもしれません。
というわけで、ちもろぐの評価は「A+ランク」で決まりです。
CPU単品の価格だけを見ればRyzen 5 7600Xが良いように見えて、高額なマザボ・高額なDDR5メモリ・別売りクーラー必須で、結局トータルコストでCore i5 13500をあっさり超えます。
現時点では、Core i5 13500の方がコストパフォーマンスに優れ、旨味の多いCPUです。
以上「Core i5 13500ベンチマーク&レビュー:3万円台で14コア20スレ【7600Xに勝てるか】」でした。
レビューで使用したパーツはこちら【おすすめです】
やっぱゲーマーならIntelですよね
> ゲーマーならIntel
来年にはマザボのソケット形状が変わるインテルと、数年使えるAMD。単純にゲーム性能を追いかけるなら、将来性や使い勝手も含めて3D V-Cacheの圧勝です。
13500クラスは(3D V-Cacheに手が届かず)CPUを少しでも安く済ませて、その分をグラボに投資しなければならないほど資金がない人向けでしょ。それがインテルのi3やi5にゲーマーが求めていることでは?でも、そういう人になら2.5万で買える12400Fを推しますね。逆に、もう少し予算があるならちゃんと13世代な13600Kがいい。正直、12世代の焼き直しにすぎない13500には疑問符しかありません。
色んな人が目にするのだから、いい加減なキャッチフレーズによる煽動・洗脳コメは控えるべきかと思います。色んなバックグラウンドの人がいることを踏まえて、確定的にこっち方がいいみたいなことは書かない方がよろしいかと。
ただゲーマーならintelって言っただけで
資金がない(貧乏人)とか洗脳だとか
もう一度、ご自分を振り返られたほうがよろしいかと。
amd、intelに限らず信者の方は極端すぎると思う。
> 単純にゲーム性能を追いかけるなら、将来性や使い勝手も含めて3D V-Cacheの圧勝です。
この点はホントにそうですね。
Zen4 3D V-Cacheはかなりの割合でフレームレートを底上げできますし、一部のゲーム(MSFSやタルコフ等)だと完全に別次元の性能です。ゲーム中の消費電力もCore i9と比較して少ないです。
というわけで、Ryzen 7 7800X3Dは割りと楽しみにしてます。できれば6万円台で買えれば嬉しいです。
ミドル帯はインテルが圧倒的だな
最近はCPUの価格が全体的に底上げされてて、どこまでがミドルなのかよくわからんようになってきてしまいましたが(一昔前のi9の価格でi5しか買えない)、AMDのi3やi5クラスは薄いですね。
3万円以下の価格帯だと、AMDは5700Xが良いんじゃないかなと思ってます。インテルだと12400Fですかね。ただ、5700XはDDR4にしか対応してないので、今から一式揃えるのは躊躇しますけど。(中古品漁り・・・おっと)
5700Xはソケットの問題でアップグレードパスがない、に対して12400ならソケットが現役でアップグレードパスが豊富だから一から組むなら12400の方がいいんでないの(13500どころかまだ新作CPUが出るって噂だし)
すでに3600とか2700Xで組んでてアップグレードさせたいってなったら5700Xは最高の石だと思うけど
現状のDDR4メモリは十分に成熟しているので、今から揃えても損は無いかと思います。
DDR5の方は・・・
・ロット違いに対する互換性がDDR4よりもシビア
・4枚だとメモリクロックが下がる
・安価なJEDECモデルは性能が低いDDR5-4800のみ
(※Raptor対応の5600は容量単価が1.7~1.8倍)
などの問題があり、あとからもっと容量が欲しくなったときに厄介です。
現状は、中上級者向けパーツかな?と個人的に考えてます。
原神のベンチマークで60FPS超えてるのはなんでなんだろう?
ベンチマーク測定用にアンロックしてます。
それにしてもmihoyoはいつになったら60 fps制限を解除するんだろう、iOS版だと120 fpsまで解除されてるので、PC版も120 fpsくらいは公式に解禁してほしい気持ち。
付属CPUクーラーが冷えないとの事ですが、
常用するには簡易水冷にした方が良いのでしょうか?
記事の最後の方に書きましたが、3000円クラスの空冷CPUクーラー(PA 120 SEやAK400)で事足ります。
24時間365日エンコードなど、ずっと負荷100%な使い方ならAK620もあり。
内蔵gpu要らないしそれなら予算を足して13600kfに行くか12400fにグレードダウンをするか…
なかなか絶妙な価格設定で悩む…
今はゲーマーならAMDでクリエイティブならintelって印象だな
それぞれの設計思想が明確に違うのが面白い
ゲームなら滅茶苦茶強い3DV-Cache搭載のAMD
マルチタスクが得意で配信や重い作業が強いEコアPコアのintel
どっちも旨味があるしintelに限っても
コスパに優れる12400
最安値なのにVR黎明期のi7の完全上位互換で用途次第で輝く13100
過去のi9を食らいつくす魅惑のゲーミング性能の13600K
そして安くて作業向けの13500とミドル以下がどれも特色ありすぎて辛い
全部欲しい
AMDのA620の情報がでてきましたね
PCIe Gen 5非対応みたいですけどまだまだ持て余すからそれでぜんぜん問題ないんですよねぇ
i5で4万近い値段がしてリテールクーラーが使えないってすげえなあ
3、4年前なら2万以下のi5+リテールクーラーで十分だったから浮いたお金をグラボに突っ込むって感じだったのに(そして6万出せば70番台のGPUが買えたんだ)
IPCの項ですが、13500はともかく13900Kまで12400Fと同じっておかしくないですか?
13900Kは紛れもなくRaptor Lakeですよね?
Raptor Lakeは、Alder Lakeと比較して1コアあたりのL2キャッシュが増えて、キャッシュレシオが大幅に改善されていますが、IPCを改善する設計変更(フロントエンドの改良や分岐予測の調整など)が入ってないです。
だからCinebench R15で測定するIPCはAlderと変わってません。
5800X3Dのデータも混ぜてほしいですね
今コスパだけ考えて4k120のモニターに合わせたゲーミング環境作るなら13500+4070tiがすごくバランス良さそう
予算ある人はほぅら明るくなっただろう(13900k+4090ti)でいいんだけどさ
AI遊びやらないなら13500+6800XTも面白そう
今はまだDLSSもレイトレも未熟だしVRAMの量ができることに直結してくるからラデのミドルハイが楽しい
14世代でCPUソケットが変わると明言されてますし、
短期間で買い換えるとなるとコスパが悪く
数年使うとなると性能に不安がある
非常に悩ましい
AMDの次世代は2024前半でこれまでより性能の上がり幅が大きい予定
intelは二転三転しているが2025ごろにはAI向けに組み直した新型を出してくるのでは?という説もある
DDR5環境もその頃にはこなれてるはず
中継ぎとして使うなら13400か13500にDDR5が過不足ないのではないだろうか
かつての周波数競争がコア数競争の様相になり、無駄に13500人気なのはわかる。
理屈では12400Fでぜんぜんいけるんだよ。でも数千円だすよなあ、そこケチル意味わからんし、ロマンだよ。
かといって4万後半は出せん。
いいじゃん。13500
13500いいじゃん ははっ ミッキーような感じ
intel 13/14世代の不具合が露見するに従って相対的な評価が上がりそうですね
Intelの長期保証の対象外なのも12世代のリマークだから
不具合は無いと判断なんでしょうかね?