あらためて考える、Core i5とi7のどちらを選ぶべきか問題

ちらっと見聞きした話では「Core i5を選ぶのが情強」で「Core i7を選ぶのは情弱」というのを見てしまって、さすがにそれは言い過ぎ感があるのでは…と思わったわけ。ぼくとしては中学生の頃から「金があるならi7」「ないならi5」という考えだが…、いい機会なのであらためて考えてみよう。

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同じCore i5 / i7でも種類がいろいろある

その前に、前提として知っておきたいのが、同じブランドでも種類が細かく分かれているということ。

種類代表例特徴
X付きCore i5 7640X / Core i7 7720X内蔵GPUを捨てて、CPUとして性能に全振りしたモデル。
K付きCore i5 7600K / Core i7 7700Kオーバークロックが簡単にできる、倍率ロックフリーモデル。
P付きCore i5 6402P内蔵GPUの性能を落とし、コスパに少し特化したモデル。
T付きCore i5 7400T / Core i7 7700T性能を落とし、省電力性に特化したモデル。
無印Core i5 7500 / Core i7 7700ごく普通の処理性能、ごく普通の省電力性。

比較的新しい、Kabylake(7世代)とSkylake(6世代)に限定してまとめてみました。同じ4コア、同じブランドでも、5種類に分かれている。「XやK」がハイスペック仕様で、それ以外は割りと普通の仕様と言えます。

さて、今回はi5とi7のどちらを選ぶのが良いのかを考える上で「K付きモデル」(倍率ロックフリー)に限定したいと思う。同じCore i5でも「T付き」か「X付き」かで性能に差がありすぎるので、考え方がややこしくなってしまう。

Core i5とi7の違い

ブランドCore i5Core i7
種類K付き
コア数4
スレッド数48
クロック周波数高い極めて高い
キャッシュ多め2~3割多い
価格240ドル前後350ドル前後

日本国内だとCore i5が25000円前後、Core i7が37000円前後します。1万円以上の差があるが、その理由が「表」のとおりだ。

  • Core i7はハイパースレッディング技術が有効化されており、スレッド数が2倍になっている
  • 基本クロック周波数もCore i7の方が1割くらい高い傾向
  • キャッシュ容量もCore i7の方が多めに盛られている
  • 付属するリテールクーラーがCore i7の方が大きい(i5だと65Wモデル、i7は130Wモデル)
  • なお、消費電力(TDP)はほとんど同じ傾向

いろいろとプレミアムが付与されているから価格が高くなっているということ。それ以外の理由もあって、大量生産されるCPUの元「ダイ」の中でも、かなり出来の良い部分を使うから高くなりやすいんですよ。

例えるなら、牛肉のヒレと肩ロースを同じ重さで比較したら、ほとんどの場合はヒレの方が高くなりますよね。それと似たような理由です。希少なダイは「i7」や「Xeon」に使って、そこそこ取れるダイは「i5」に、たくさん取れるダイは「i3」という具合だ。

データでi5とi7の違いを確認

値段の違いは「希少性」「様々なプレミアム」が理由なのは分かった。さて、もっとも重要なのか、1万円以上の差額を払ってまで「Core i7」を手にする必要があるのか。ということだろう。…データで確認する。

純粋なCPUとしての処理性能

CPUの処理性能は「Cinebench R15」というベンチマークソフトを使って簡単にスコア化できる。

Core i5 VS i7 / Cinebench R15 Single Score

  • i5 7600K @4.9Ghz
    212cb
  • i7 7700K
    195cb
  • i7 6700K
    182cb
  • i5 7600K
    181cb
  • i5 6600K
    168cb

「シングルスレッド性能」を見てみると、Core i5とi7は5~8%くらいは性能差が出る傾向だ。この程度の性能差なら、オーバークロックを施すことで簡単に埋められるから、シングルスレッド性能を見る限りでは…Core i7を選ぶ理由はすこし物足りない。

Core i5 VS i7 / Cinebench R15 Multi Score

  • i5 7600K @4.9Ghz
    803cb
  • i7 7700K
    989cb
  • i7 6700K
    932cb
  • i5 7600K
    696cb
  • i5 6600K
    656cb

次に搭載されている全てのスレッドを使う「マルチスレッド性能」を見ると、Core i7の優位性が浮かび上がってくる。ハイパースレッディングによってスレッド数が2倍になっているi7は、こういうCPU全体の性能を問われる場面で真価を発揮できるということだ。

Core i5 VS i7 / x264 5.0.1 2nd Pass エンコード速度(fps/秒)

  • i5 7600K @4.9Ghz
    20.57fps
  • i7 7700K
    22.04fps
  • i7 6700K
    20.47fps
  • i5 7600K
    17.39fps
  • i5 6600K
    15.95fps

CPU全体(マルチスレッド)の性能が強いと、「x264エンコード」などに代表される動画エンコードの速度が出やすい。アニメ1話にかかるエンコード時間を例にすると、Core i5 7600K(定格)なら35分ほどかかる処理が、Core i7 7700K(定格)なら27分で済むということ。

だいたい4スレッドか8スレッドかの違いだけで20%もスピードの差があるので、エンコードを出来るだけ急ぎたいのであれば「Core i7」が有利なのは間違いないですね。そのためにi7を買うかどうかは、人それぞれの価値観によるところが大きいですけど。

Core i5 VS i7 / 処理性能編まとめ

  • Core i5とi7で、シングルスレッド性能は5~10%程度の差
  • オーバークロックでCore i5がi7に追いつくことは可能
  • しかしマルチスレッド性能には埋められない壁があり
  • 動画エンコードなどの処理速度は間違いなくCore i7が優位

ということだ。まだこれでは本当に値段の高いCore i7を選ぶべきなのか、判断が難しい。

ゲーミングCPUとしての性能

CPUによってボトルネックの具合はまったく違う。同じ性能のグラフィックボードを使っているにもかかわらず、フレームレートが落ちるCPUはゲーム向けではないし、逆にフレームレートがちゃんと出るCPUはゲーム向けと言える。i5とi7はどちらの方がゲーム向けか確認しておきます。

Core i5 VS i7 / Grand Theft Auto V (最高設定) / GTX 1080 8GB

  • i5 7600K @4.9Ghz
    111.1
  • i7 7700K
    112.6
  • i7 6700K
    112.3
  • i5 7600K
    108.7
  • i5 6600K
    108.1

ハイエンドGPU「GTX 1080」でGTA5を動かしてみると、CPU別にこんな感じのパフォーマンスが。全体的にあまり大きな差はありません。Core i5はi7に対して最大で4%くらい劣る結果だが、価格差を考えると無視していい差ですね。

Core i5 VS i7 / Fallout 4 (最高設定) / GTX 1080 8GB

  • i5 7600K @4.9Ghz
    141.1
  • i7 7700K
    143.2
  • i7 6700K
    142.5
  • i5 7600K
    137.0
  • i5 6600K
    134.7

次は「Fallout4」でチェック。グラフィックボードにかなりの余裕があるので、GTA5よりもボトルネックが出ていますね。それでも最大5.9%劣っているだけで、価格差を考慮すれば気にする必要はあまり無いといえる。

Core i5 VS i7 / The Witcher 3 (最高設定) / GTX 1080 8GB

  • i5 7600K @4.9Ghz
    76.3
  • i7 7700K
    75.7
  • i7 6700K
    75.7
  • i5 7600K
    75.4
  • i5 6600K
    75.7

もともとフレームレートが出づらい「Witcher 3」だと、Core i5 / i7ともにほとんど同じような性能。

Core i5 VS i7 / Hitman 2016 (DX12 – 最高設定) / GTX 1080 8GB

  • i5 7600K @4.9Ghz
    112.7
  • i7 7700K
    124.4
  • i7 6700K
    122.2
  • i5 7600K
    105.9
  • i5 6600K
    105.5

DirectX12環境のHitman(2016)では、顕著なボトルネックが確認できた。ゲームによってボトルネックの出やすさは違いますが、DirectX12だとボトルネックは出やすくなる傾向にある。

今はまだまだDX11のゲームが多いが、今後DX12のゲームも増えていけばCore i7はより優位な立場になる可能性が高い。

Core i5 VS i7 / ゲーミング編まとめ

  • 「GTX 1080」の場合、思っていたよりも性能差は小さかった
  • DirectX12ベースのゲームでは、Core i7が優位
  • 更に処理性能が高い「GTX 1080 Ti」やSLI / CrossfireになってくるとCore i5はツライ
  • ミドルクラスGPUなら、ほとんどの場合はCore i5で行ける

というわけで、意外にもCore i5は健闘しました。

まとめ「i5とi7のどちらが良いか」は予算と用途次第

ぼくとしては中学生の頃から「金があるならi7」「ないならi5」という考えだが…、いい機会なのであらためて考えてみよう。

今回あらためてデータを使って両者の違いを確認していったが、最初に言った考えはあながち大きく間違っているわけではなかった…という結論に。

  • ゲームが主な目的で、グラフィックボードは「GTX 1060」や「GTX 1070」を考えているなら「Core i5」で十分だと言える。
  • 逆にゲームをしつつもハードなマルチタスクをこなしたい、かつグラボは「GTX 1080 Ti」やSLIを考えているという人なら「Core i7」の方が良い

仮に後者のケースでCore i5を使ったとしても、フレームレートはひどくても20%ほど遅くなるだけで、マルチタスクも第6~7世代のCore i5であれば意外と簡単にこなしてしまいます。

「i5」で大丈夫な人

「黒い砂漠」とか「PUBG」をプレイしたい。使うグラフィックボードは「GTX 1060 6GB」だからボトルネックは少なそう。ゲームをしながらYoutubeで音楽をかけたり、放置プレイしながらPhotoshopをしたり…ぐらいだから軽度のマルチタスク。

エンコードはしないし、たまにやっても1~2分の短い動画だからスピードにこだわる理由もない。ってことで「i7」はオーバースペック感があるから「i5」にしておくか。コスパも重視したいから尚更i5でいいや。

こんな感じならCore i5で行ける。

「i7」が必要な人

リフレッシュレートが「144Hz」のモニターを使う予定だから、グラボも3桁台のフレームレートを出せる「GTX 1080 Ti」を想定。ゲームを録画して、Aviutlでx264エンコードを日常的にさせたいのでマルチスレッド性能もそれなりに欲しい。

Core i5で行けそうな気はするが、フレームレートが速ければ速いほどボトルネックの発生確率は高くなるから…ここは妥協せずに「i7」にしておこう。

日常的にエンコードをする時点で、Core i7の方が良い。たしかにエンコードの速度は20%程度の差だが、ちりも積もれば山となる…というわけで時間の節約をするという意味でもi7が良いだろうね(寝てる間にやるなら別ですが…)。

あとはリフレッシュレートが144Hzのモニターを使うという点でも、i7推奨になってしまう。フレームレートが高くなればなるほど、ボトルネックは発生しやすいし、程度(失われるフレームレート)も大きくなりやすい。

以上「あらためて考える、Core i5とi7のどちらを選ぶべきか問題」でした。

CPU関係で参考になる記事たち

データにもとづいて解説した記事。よく見かける「ゲームなら少なくともCore i5必須ですね」なんていう根拠薄弱な内容ではないよ。

Core i7よりも性能良いらしい「Ryzen 7」はゲーム用に使って良いのだろうか。という疑問を解説した記事。

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7 件のコメント

  • 長々と書いてくださってますが、
    本質としてはi7とi5の違いはブランド名の違いでしかないです。
    主にゲーミング用途でコア数は求めないなら、動作周波数が高いものを選べばいいですし、予算に余裕があれば内部キャッシュなどの性能差を考えて、より動作周波数の高いi7にした方がよいとは思います。
    ただ、現状、クリエイティブな用途やエンコーディング用途、マルチコアでの計算用途ならば、コストパフォーマンス的にAMDのryzenが最適で、intelをわざわざ買う意味は見当たりません。
    つまるところ、i5を買うべきか、i7を買うべきかというのは、用途による、予算による、としか答えようのない議題です。

    • コメントありがとうございます。
      そうですよね。フレームレートの出やすさは今もi7 7700Kや7740Xがトップクラスですけど、コンテンツクリエイター向けの処理性能は明らかにRyzen 7の方がコスパは良いです。
      Adobe系ソフトは4コア以上の恩恵をほとんど受けられないからi7系で十分だけど、エンコード(特に2Passは速い)やCAD系ソフトのリアルタイムレンダリングは圧倒的ですもんね。

      「つまるところ、i5を買うべきか、i7を買うべきかというのは、用途による、予算による、としか答えようのない議題です。」

      よく考えると結論はおっしゃる通りになるはずですが、なぜかi5一択みたいな結論を出すページを見てしまったので…わざわざデータから考えてみた次第です。

  • 「漠然と『i5とi7、どっちがいいの?』とだけ訊いてくる人」への答えと考えれば、「i5一択」は妥当だと思います。
    つまり、定まった目的や要件が無いライトユーザーに限った回答なのではないかと。
    i7を必要とするくらいの人なら、もっと具体的に訊いてくるでしょう。

    ライトユーザーが検討するクラスのマシンの場合、
    i7に金を出すくらいならHDD→SSDやGTX1050→GTX1060の換装を、というケースも多いですよね。
    そんな初心者へ向けたアドバイスであれば、i7は切り捨てても良いかなと思います。

    管理人さんがご覧になったページの論拠を知らないので、
    的外れな想像かもしれませんけど。

    • < 「漠然と『i5とi7、どっちがいいの?』とだけ訊いてくる人」への答えと考えれば、「i5一択」は妥当だと思います。
      ですよね。最近のCore i5は性能もなかなか良いですし。もうちょっと欲張りたいなら「Ryzen 5 1600」という選択肢もあるので、なおさら「i7」を積極的にすすめる理由は無くなってきた…と感じてます。

      • ものすごく勉強になりました!ライトユーザーと名乗るのもおこがましいぐらいのPC素人ですが 、Twitterフォローさせて頂きました。

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