定価が約4万円前後、セール時に3万円まで値下がる「DELL G2724D」を買ってみました。
価格的に先日レビューした「HP OMEN 27q」のライバルにあたり、どちらが良いか悩ましい選択なので徹底的に詳しく検証します。
(公開:2023/11/28 | 更新:2023/11/28)
DELL G2724Dの仕様とスペック
DELL(デル) G2724D | |
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パネルタイプ | WQHD(2560×1440)で最大165 Hz Fast IPSパネル(27インチ) |
応答速度 | 1 ms (G2G) |
主な機能 ゲーマー向け |
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調整機能 エルゴノミクス | 高さ調整:130 mm 前後チルト:+21° ~ -5° 左右スイベル:45° ピボット:90° |
VRR機能 | AMD FreeSync Premium HDMI 2.1 VRR ※G-SYNC互換モード対応 |
参考価格 ※2023/11時点 | |
Amazon |
DELL(デル) G2724D | |
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画面サイズ | 27インチ |
解像度 | 2560 x 1440 |
パネル | Fast IPS(sRGB:99%) |
コントラスト比 | 1000 : 1 |
リフレッシュレート | 165 HzHDMI 2.0 : ~144 Hz DP 1.4 : ~165 Hz |
応答速度 | 1 ms (G2G) |
光沢 | ノングレア |
VESAマウント | 100 x 100 mm |
エルゴノミクス |
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主な機能 |
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同期技術 | AMD FreeSync Premium HDMI 2.1 VRR ※G-SYNC互換モード対応 |
スピーカー | なし イヤホン(3.5 mm)端子あり |
主な付属品 |
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寸法 | 611.9 x 393.5 x 200.2 mm |
重量 | 3.66 kg(パネルのみ) 5.95 kg(スタンド含む) |
保証 | 3年 |
今回レビューする「DELL G2724D」のスペックまとめです。
画質に定評がある「Fast IPS」パネルを採用し、sRGBで最大99%のカバー率をアピール。Display HDR 400認証も取得しており、最低限のHDR性能を確保します。
割りとよくある典型的なスペックですが、定価4万円と考えるとなかなかコストパフォーマンスが普通すぎて、あえて購入する旨味が少ないです。
しかし、セール価格の3万円なら検討する価値あり。競争力に欠ける普通のスペックである以上、価格の「安さ」に大きな意味があります。
DELL G2724Dを実機レビュー
sRGBカバー率:99%の「Fast IPS」パネル
DELL G2724Dは「Fast IPS」パネルをアピール。いわゆる広い色を表示できる広色域IPSパネルですが、DELLは公式サイトでsRGBカバー率:99%と表記しています。
同じ価格帯で競合するWQHDゲーミングモニターなら、さらに広いDCI P3カバー率:95%をアピールしているので、G2724Dではそれほど広色域と言えないIPSパネルを使っている様子です。
ゲーミングモニターで定評のあるNano IPSやFast IPS(DCI P3:95%)と比較して、思ったよりも大きな差がない画質です。色がほど良く濃く、普通のIPSパネルより鮮やかさに見えます。
赤色の鮮烈さはNano IPSなどよりも劣っている印象を受けますが、2台並べて見ないと気づかないでしょう。コントラスト感も目で見て分かる顕著な差がなく、実測値で950~980:1程度です。
(sRGB:ΔE = 2.3 / 色温度:6528K / 輝度:357 cd/m²)
約3万円の割に高画質です。
(鮮烈な赤色が過飽和した広色域の特徴です)
同じ価格帯のHP OMEN 27q QHD(DCI P3:95%)パネルと比較した写真です。sRGB:99%程度だと、このような赤色の多いシーンで見る主観的な鮮烈さ(鮮やかさ)に差が生じます。
もちろん、2枚の写真は肉眼で見たときに近いイメージになるよう露出を補正し、ゲーミングモニター側の色温度とガンマ値をかなり厳密にキャリブレーション済みです。
キャリブレーションを施しても、物理的に表示できる「色域」に差がある以上、どうやっても埋められない画質の差が発生します。
個人的に同じ約3万円なら、DELL G2724DではなくOMEN 27q QHDを選びます。
- モード:ユーザーカラー
- 色温度:カスタム
- 明るさ:88
- 色温度:赤96 / 緑97 / 青97
「ユーザーカラー」モードに切り替えて、色温度を「赤96 / 緑97 / 青97」に変更します。色温度が6600K前後(わずかに青み)に調整でき、日本人好みの画質に調整できます。
明るさは好みに合わせて適当に。筆者は350 cd/m²が好みなので「明るさ:88」です。なお、上記の設定をさらに詰めたい方は以下の3D LUTを使ってみてください。
展開(解凍)して出てきた「G2724D SDR 3D + 1D LUT.cube」を、DWM LUT(→ githubでダウンロード)で適用します。
広い色域と色精度をなるべく維持したまま、ガンマを2.2(相対値)に、色温度を6504K前後(平均値で6528K)に補正する3D + 1D LUTです。
DWM LUTと3D LUTの組み合わせなので、Windows上で動作するすべてのアプリケーションに効果を発揮します。ただし、Escape from Tarkovなど、一部の競技性が問われるゲームではDWM LUTが禁止されているので注意してください。
※パネルの個体差により、↑上記の設定が正しく機能するかどうか正確性を保証できません。あくまでも参考程度に。
モニター測定機材による評価
モニターの色を測定できる専用の機材「X-rite i1 Pro2(分光測色計)」を使って、「DELL G2724D」の画質をチェックします。
DELL G2724Dは出荷設定で「ダークスタビライザー」が有効化されています。画面全体が白浮きして見えてしまい、測定値も大きくズレるため、ダークスタビライザーを切ってから測定した結果です。
色域がやや狭いおかげで色精度は優秀。
人気の高い定番パネル(Nano IPSや量子ドット)は表示できる色が広すぎて、かえって色精度が悪化する「過飽和」が発生しますが、DELL G2724Dのパネルは色域が狭いので過飽和の程度が少ないです。
↑過飽和(Oversaturation)のイメージ
良いか悪いかは人それぞれ。ある程度「過飽和」している方が評価が高くなる傾向があるので、どちらかと言えば悪いと言えそうです。
sRGBがどうしても必要ならOSD設定から「sRGB」モードを使ってください。
sRGBモード有効時、DELL G2724Dの色域がsRGB:99%に制限され、結果的にsRGBに対する色精度が改善します。実測値でΔE = 0.88で安価なクリエイターモニター並の精度で、ガンマ(明るさ)も割りと正確です。
表示できる色がそれほど広くないのでsRGB色域からズレてしまう「過飽和」が少なく、色精度が高くなります。
DELL G2724Dのネイティブコントラスト比は950~1100:1前後です。可もなく不可もなく普通のコントラスト比です。
画面の明るさ ※クリックすると画像拡大 |
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100%時で500 cd/m²に達し、SDRコンテンツにとって明るすぎる明るさです。0%時だと42.3 cd/m²まで下げられます。夜間に暗い画面を好む場合も便利です。
目にやさしいらしい120 cd/m²前後は設定値27%でほぼ一致します。
色域カバー率 | ||
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規格 | CIE1931 | CIE1976 |
sRGBもっとも一般的な色域 | 100% | 100% |
DCI P3シネマ向けの色域 | 84.6% | 89.2% |
Adobe RGBクリエイター向けの色域 | 82.2% | 91.7% |
Rec.20204K HDR向けの色域 | 60.9% | 65.8% |
DELL G2724Dで表示できる色の広さ(色域カバー率)はそこそこ広いです。
もっとも一般的な規格「sRGB」で100%をカバー。HDRコンテンツで重要なシネマ向けの規格「DCI P3」では89%カバーします。
印刷前提の写真編集で重視される「AdobeRGB」規格のカバー率は91.7%です。
エンタメ用途で重要なDCI P3とRec.2020カバー率の比較は上記リンクから確認してください。最近レビューしたWQHDゲーミングモニターでワースト1位の色域です。
- 標準モード:色域を全開放(DCI P3:89%)
- RTSモード:色域を全開放(DCI P3:89%)
- RPGモード:色域を全開放(DCI P3:89%)
- sRGBモード:色域をsRGBにクリッピング(DCI P3:80%)
- HDR有効時:色域を全開放(DCI P3:89%)
各モード別に測定した結果、「sRGB」モードのみ色域をsRGBに閉じ込める仕様でした。
鮮やかな高画質を求めるなら「標準」や「RPG」モードをおすすめします。
IPSパネルによく見られる「IPSグロー」症状が出ています。パネルの四隅に近いほど画面の明るさが下がります。
色ムラの平均値は約10.8%、並のIPSパネルと同等の色ムラです。普通にゲームをプレイしたり、アニメや映画を見る分にはほとんど気にならないでしょう。同じ色を全画面に表示させた時だけ気づきます。
IPSパネルだから視野角が広いです。斜め方向から見ても、画面が白くなったり黄ばんだりする傾向が少ないです(参考:液晶パネルの違いを解説するよ)。
ここは液晶パネルオタク向けの解説です。ほとんどの人は興味がないので、読み飛ばしてください。
マクロレンズでパネルの表面を拡大した写真です。一般的なIPSパネルで広く見られる「ストライプRGB配列」を確認できます。
スペクトラム分析では、赤色の中央が凹む「KSF蛍光体(KSF Phosphor LED)」に特徴的なパターンが見られます。
「KSF蛍光体」は液晶パネルを低コストで広色域化する技術です。今回のやや広色域なIPSパネルをはじめ、Nano IPSやFast IPS(AHVA)パネルでも使われている一般的な技術です。
ブルーライト含有量は約29%ですが、「暖かい」モードを有効化すると、TÜV Rheinlandブルーライト認証に必要な25%未満をかんたんに達成できます。
文字のドット感はクリアです。
ストライプRGB配列はテキストの鮮明な表示に有利で、さらに27インチにWQHD(2560 x 1440 = 約370万画素)を詰め込んでいるのでドット密度が高く、クッキリと見えます。
WQHDで165 Hz(PS5で120 Hz)に対応
DELL G2724Dは最大165 Hz、PS5で最大120 Hzに対応します。実際にPS5とゲーミングPCにモニターをつないでみて、リフレッシュレートの対応状況を確認しましょう。
PS5の対応状況 ※クリックすると画像拡大 | ||
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設定 | 60 Hz | 120 Hz |
フルHD1920 x 1080 | 対応PS5 VRR:対応 | 対応 PS5 VRR:対応 |
WQHD2560 x 1440 | 対応 PS5 VRR:対応 | 対応 PS5 VRR:対応 |
4K3840 x 2160 | 対応 PS5 VRR:対応 | –PS5 VRR:- |
「コンソールモード」有効時に限り、PS5でフルHD~WQHD(最大120 Hz)または4K解像度(60 Hz)に対応します。
HDMI 2.1を搭載するため「PS5 VRR」も48~120 Hzの範囲で動作可能です。なお、実際に120 Hzで動くかどうかはゲームによって違うので注意です。
たとえばフォートナイトなら120 fpsかつ120 Hz動作ですが、ストリートファイター6は60 fpsで120 Hz動作になるなど、ゲームによって挙動が違います。
対応リフレッシュレート ※クリックすると画像拡大 |
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DELL G2724Dがパソコンで対応しているリフレッシュレートは以上のとおりです。DisplayPortのみ、最大165 Hzに対応します。
HDMI 2.1のはずが最大144 Hzしか表示できない仕様を見る限り、HDMI 2.1の「VRR」機能だけを取り入れ、転送レート(帯域幅)は普通のHDMI 2.0相当のままです。
VRR機能(可変リフレッシュレート) ※クリックすると画像拡大 |
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フレームレートとリフレッシュレートを一致させて「ティアリング」を防ぐ効果がある、VRR機能はDisplay Portのみ使用可能です。動作範囲は48~165 Hzです。
コンソールモード有効時のみ、HDMI 2.1 VRR機能も使えます。
ゲーム性能(応答速度)はやや平凡
ゲーミングモニターで重要なスペックが「応答速度」です。応答速度が速いほど、残像感の少ない映像を表示できます。
DELL G2724Dの応答速度はメーカー公称値で「1ミリ秒(G2G)」をアピール。
↑こちらの記事で紹介している方法で、G2724Dの「応答速度」を測定します。
120 Hz時の応答速度 ※クリックすると画像拡大 |
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PS5で重要な120 Hz時(オーバードライブ:高速)の応答速度です。30パターン測定で、平均5.42ミリ秒でした。
残念ながら、最近のWQHDゲーミングモニター(IPSパネル)としては遅い部類です。
165 Hz時の応答速度 ※クリックすると画像拡大 |
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165 Hz時(オーバードライブ:高速)の応答速度です。30パターン測定で、平均5.52ミリ秒を記録します。
平均エラー率はほぼ0%で、「逆残像」や「にじみ」が一切見えないです。
さらに応答速度を高速化できないか、モニターの設定画面からオーバードライブを適用して改善されるかテストします。
OD機能の効果 165 Hz / 3段階をテストした結果 | |||
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平均値 | 5.52 ms | 4.82 ms | 4.30 ms |
最速値 | 3.01 ms | 3.06 ms | 2.28 ms |
最遅値 | 7.84 ms | 6.99 ms | 6.80 ms |
平均エラー率 | 0.2 % | 0.4 % | 1.3 % |
応答速度を高速化するオーバードライブ機能を使ったときの実測値です。
全体的にオーバードライブの効き目がマイルドで、「究極(Extreme)」設定ですら最速値が2.3ミリ秒、平均値で4.3ミリ秒程度にとどまります。メーカー公称値の1ミリ秒も確認できません。
なお、どの設定を使ってもエラー率は低いまま、よってDELL G2724Dにおすすめなオーバードライブ設定は「究極(Extreme)」です。
他のゲーミングモニターと比較します。
DELL G2724Dが記録した平均4.3ミリ秒は、ここ最近レビューしたIPSパネルのWQHDゲーミングモニターで平均以下です。
「入力遅延(Input Lag)」は、映像ソースやマウス・キーボードからの入力信号を、ゲーミングモニターが実際に認識するまでにかかる時間です。
一般人は気にする必要はありません。競技性が重視される格ゲーやFPSゲームをガチでプレイする、競技ゲーマーが気にするべき指標です。
「Raspberry Pi 4」を使ったカスタム入力遅延テスターで入力遅延を測定した結果、60 Hz時で4.5ミリ秒、120 Hz時で2.4ミリ秒でした。
他のゲーミングモニターと比較します。ほとんどのゲーミングモニターは16ミリ秒を下回ります。入力遅延4.5ミリ秒は、まったく問題ありません。
ゲームで便利な「暗所補正」
DELL G2724DはFPSゲームで便利な「ダークスタビライザー(暗所補正)」に対応。BenQ Zowieシリーズの「Black eQualizer」に相当する機能です。なお、鮮やかさを補正する機能は搭載していません。
では比較写真で効果を確認します。
ダークスタビライザーの効果はやや弱めで、無いよりはあった方が便利くらいの機能です。
画面全体が暗い傾向のホラーゲーム(Dead by Daylightなど)でも、それほど明るく補正されません。期待は禁物。
残像を軽減する「黒挿入」は非対応
残像を軽減する効果がある「黒挿入」に相当する機能は見当たりませんでした。
同じ価格帯の「HP OMEN 27q QHD」や、定価でほぼ同額に並ぶ「GigaCrysta EX-GDQ271JA」が対応しているだけに惜しいです。
自由に位置を調整できる「エルゴノミクス」機能
DELL G2724Dはフル装備のエルゴノミクス機能に対応。動かしてみても特に問題のある引っかかりがなく、とてもスムーズに調整しやすい親切なエルゴノミクス機能です。
VESAマウント ※クリックすると画像拡大 |
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別売りモニターアームを取り付けるのに便利なVESAマウントは「100 x 100 mm」に対応します。パネル本体の重量は約3.7 kgで普通のモニターアームで持ち上げられます。
G2724Dに取り付けてある4本のネジを使って、そのままAmazonベーシック(エルゴトロンOEM)のモニターアームを干渉なく取り付けられます。
目が疲れにくい「フリッカーフリー」動作
DELL G2724Dは「フリッカーフリー」動作をアピールし、TÜV Rheinland(eyesafe)認証は取っていません。
フリッカーフリーを検証 ※クリックすると画像拡大 |
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実際にオシロスコープを使ってフリッカーの有無をテストした結果、明るさ0~100%までフリッカーが一切検出されません。DELL G2724Dは完全なフリッカーフリーに対応します。
TÜV Rheinland認証を問題なく取得できる性能ですが、コストカットのために、あえて取得していないようです。
機能性と各インターフェイスをチェック
モニター本体の右裏にある「5方向ボタン」を使って、OSD設定を操作できます。
ASUSやBenQでよく見られる便利なジョイスティック型で、割りとサクサク操作が進みます。基本的に右に倒すと設定を確定できる仕様になっていて、操作性が高いです。
OSDメニューのレスポンスも問題なし。
Windowsの場合、DELL純正ソフト「DELL Display Manager」を使って、デスクトップ画面から直接OSDを設定できます。
マウスでクリック、または数値をダイレクトに入力して画面の明るさを変更可能です。アプリケーションごとに自動でモードを切り替える機能もあります。
- 標準(初期設定)
- FPSゲーム
- RTSゲーム
- RPGゲーム
- SPORTS
- 暖かい
- クール
- sRGB
DELL G2724Dは全8種のプロファイルに切り替え可能です。設定ごとに色温度やコントラスト感が変わります。
個人的に「ユーザーカラー」モードに切り替えて、自分で調整したほうが一番良かったです。
各種インターフェイス ※クリックすると画像拡大 |
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全部で3つの映像出力端子があり、DisplayPort 1.4で最大165 Hz(2560×1440)、HDMI 2.1で最大144 Hz(2560×1440)に対応します。
なお、USB Type-Cポート、ヘッドホン端子(3.5 mm)、内蔵スピーカーは非搭載です。
定価4万円クラスのゲーミングモニターとして珍しくヘッドホン端子が無いので、PS5でヘッドホンやUSBスピーカーを使いたい方は別途USB DACなどが必要になります。
Display HDR 400認証の性能を検証
DELL G2724DはDisplay HDR 400認証モニターです。認証といっても、Display HDRの最低グレードに過ぎません。
それほど期待せず、Youtubeで公開されている「Morocco 8K HDR」と「すずめの戸締まり(4K Ultra BD盤)」を再生して検証します。
意外とマトモに明るく、必要最低限のHDRっぽさを表現できます。
ただし、画面全体が暗いシーンでやや白が浮いて見える傾向です。暗部のディティールを意識して意図的にやっているか、・・・値段を考えると単なる調整不足でしょう。
(EX-GDQ271JAのほうがメリハリは良い・・・)
以前レビューした「IODATA EX-GDQ271JA」と比較した写真です。
並べて比較すると違いが分かりやすいです。明暗のメリハリはGDQ271JAが優秀で、暗い部分のディティール感でG2724Dの方がやや良好。
参考程度に、Display HDR 1000認証に対応するゲーミングモニターと比較した写真を置いておきます。
モニター測定機材でHDR性能を評価
モニターの色や明るさを測定できる機材を使って、「DELL G2724D」のHDR性能をテストします。
VESA Display HDR HDR性能のテスト結果 | ||
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比較 | テスト対象 DELL G2724D | VESA Display HDR 400 |
画面の明るさ |
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黒色輝度 |
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コントラスト比 |
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色域 |
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色深度 |
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ローカル調光 |
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DELL G2724DとDisplay HDR 400認証を比較しました。G2724Dはすべての項目で合格ラインを突破し、問題なくDisplay HDR 400認証の性能を出せています。
持続輝度が500 cd/m²超え、ピークコントラスト比が5000:1超えで、Display HDR 500認証も合格できる性能です。
HDRモードで画面全体に白色を表示したときの明るさを、他のモニターと比較したグラフです。
Display HDR 400を取得している他のライバルをすべて抜き去り、ライバルのHP OMEN 27q QHDに並びます。
HDR時のコントラスト比(理論値)は約7205:1です。
HDRコントラスト比i1 Pro 2で測定した結果 | |
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全画面 | 7203 : 1 |
10%枠 | 1141 : 1 |
3×3分割 | 1141 : 1 |
5×5分割 | 1140 : 1 |
7×7分割 | 1140 : 1 |
9×9分割 | 1053 : 1 |
テストパターン別にHDRコントラスト比を測定、ワーストケースで1053:1です。
俗に短冊と呼ばれる「エッジライト方式(4×2分割)」のローカルディミングを使っているものの、あまりにも分割エリアが大きすぎてほとんどのシーンで効果を発揮しません。
HDR規格どおりの明るさを表示できるかチェックする「PQ EOTF」グラフです。
極端に暗い部分(0.001~0.1 cd/m²)はIPSパネルの性能限界でうまく表示できません。
0.1~10 cd/m²まで、暗いエリアのほぼ全域で過剰なほど黒を浮かせて暗部のディティールを目立たせる調整が施されているようです。
100 cd/m²を超えると規定の明るさより暗めに表示されてしまい、明暗のメリハリが悪化する原因になっています。
明るさ1000 cd/m²までの追従指数は約0.722で、あまり良くないです。
- EX-GDQ271JA(約4万円):0.139
- HP OMEN 27q QHD(約3万円):0.196
- MSI G274QPF-QD(約4.5万円):0.359
- DELL G2724D(約3万円):0.722
時間経過や面積比による明るさの変動は一切検知されませんでした。一貫して530 cd/m²前後の明るさを維持します。
HDR時の色精度(Rec.2020)は最大ΔE = 10.4、平均Δ = 4.27でそこそこ正確です。色域が狭いので、どうやっても正確に表示できないポイントがあります。
HDR時の色温度は常用シーンの多くで6500K前後と、Rec.2020で求められるD65(6504K)にかなり近いです。
HDRモード時の消費電力電力ロガーコンセントで測定 | |
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白枠面積 | 消費電力 |
1 % | 31 W |
2.5 % | 31 W |
5 % | 31 W |
10 % | 34 W |
25 % | 34 W |
50 % | 34 W |
75 % | 37 W |
100 % | 37 W |
全白フラッシュ (※持続時間は2~3秒) | 37 W |
電源コンセント経由でHDRモード時の消費電力を測定しました。4×2分割のエッジライト方式を使っている影響で、シーンによって消費電力がやや変動します。
開封と組み立てを写真であっさり紹介
白い背景にDELLのロゴと製品イメージ、謎のロボットが印刷されたゲーミングらしいパッケージで到着。サイズは81 x 45 x 14 cm(140サイズ)です。
外資系メーカーによくある、環境に配慮しているらしい紙製の梱包材が使われています。梱包状態は万全で問題ないです。
付属品 |
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映像出力用のDisplay Portケーブルが付属します。必要最低限の内容です。
最近のゲーミングモニターで定番のドッキング方式で、スラスラと組み立てられます。プラスドライバーすら要らないツールレス設計です。
まとめ:セール価格ならアリ、でも他の選択肢が・・・
「DELL G2724D」の微妙なとこ
- パネルの均一性は平凡
- コントラスト比も平凡
- 平均的な応答速度(IPSパネルで)
- 初期設定の色温度がズレてる
(かんたんに修正できます) - ゲーマー向け機能が少ない
- 「黒挿入」はありません
- ヘッドホン端子なし
- 内蔵スピーカーなし
- 搭載パネルにガチャ要素あり
(または個体差が非常に大きい)
「DELL G2724D」の良いところ
- 27インチでWQHD(ちょうどいい)
- 最大165 Hzに対応
- PS5で120 Hzに対応
(PS5 VRRも対応) - 色域がそこそこ広い(DCI P3で89%)
- 入力遅延が非常に少ない
- HDR 500相当のHDR性能
- 高精度なsRGBモード対応
- OSDソフトウェア対応
(DELL Display Manager) - フル装備のエルゴノミクス
- メーカー3年保証
- 妥当なコストパフォーマンス
DELL G2724Dは2023年6月発売、比較的新しいWQHDゲーミングモニターですが、ほぼ同時期に発売された「HP OMEN 27q QHD」に対して目立った優位性はありません。
しいて言えば「PS5 VRR」対応が主なメリットですが、「GigaCrysta EX-GDQ271JA」がセール時に3.5万円まで値下がると判明した以上、やはりG2724Dを優先して選ぶ旨味はないように見えます。
それでも値段に対して十分な性能を出せているので、評価自体は「A+」ランクです。G2724Dが弱いわけではなく、競合製品の競争力が強すぎるだけです。
DELL(デル) G2724D | |
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参考価格 ※2023/11時点 | |
Amazon |
以上「DELL G2724Dレビュー:セール時の3万円でようやく値段相応か?」でした。
DELL G2724Dの代替案(他の選択肢)
HP DirectPlus直販サイトにて、31900円(2023年11月時点)で買える「HP OMEN 27q」が有力候補です。DCI P3を96%カバーする広色域IPSパネルに、暗所補正や黒挿入などゲーミング機能も搭載。
Display HDR 500相当のHDR性能も兼ね備え、お値段以上の性能を発揮します。極めて正確なsRGBモードもあり、クリエイター用途も可能です。
セール時に3.2~3.5万円くらいで買える「グリーンハウス」が有力な候補です。Sharp製IGZO IPSパネル搭載で、4万円クラス(EX-GDQ271JA)に匹敵する画質と応答速度を両立します。
セール時に3.5万円まで値下がる「IODATA EX-GDQ271JA」も魅力的です。
AUO製AHVA(Fast IPS)パネル搭載、最大180 Hz(PS5で最大120 HzかつPS5 VRRまで対応)、各種ゲーミング機能をフル装備、リモコンでOSDをらくらくコントロールなどなど。
ほぼ全部盛りの優等生WQHDゲーミングモニターです。
最近めっきり在庫を見かけないですが、約2.5万円から買える「KEIAN KPGM270」は低予算WQHDの隠れた名作でしょう。激安ながらSharp製IGZO IPSパネル搭載で、4~5万円クラスに劣らない画質が手に入ります。
価格が安い分、機能性に目をつむる必要はありますが・・・。
WQHDでおすすめなゲーミングモニター
最新のおすすめWQHDゲーミングモニター解説は↑こちらのガイドを参考に。
WQHDでおすすめなゲーミングPC【解説】
予算に余裕があれば「RTX 4070 Ti」や「RX 7800 XT」を搭載したゲーミングPCがおすすめです。
予算20万円前後なら「RTX 4070」が無難です。
ゲームのグラフィック設定を妥協するつもりで、予算をもっと絞るなら「RTX 3060 Ti」がコスパ良し。
おすすめなゲーミングモニター【まとめ解説】
私もセールで買いましたがComfortView Plusとかいうブルーライトカット機能が常時ONのせいでデフォルトだとかなり黄ばんで見えませんか?
レビューを見ても黄色っぽいって話がチラホラありますが個体差なんでしょうか
海外でも「デフォルトは黄色すぎ」と言われてるようですね。ただ同じくComfortなんたらが搭載された別機種は特に問題ないという声があり、原因は白色点の色温度の調整にあるそうな(真偽不明)。
解決策としては色をいじるのが正解らしく、評価が良かったプリセットをコピペしておきます。
settings in OSD -> Preset Modes -> Custom Color:
Set in Gain:
R – 94%
G – 92%
B – 94%
Set in Offset:
R – 54%
G – 56%
B – 58-60%
別のDELL製モニター(G2422HS)を使用しての意見で恐縮なのですが、
モニタ設定のVRR機能をオンとオフにした状態ではオーバードライブ機能のかかりかたが大きく異なるのを確認しております。
VRRをオンにした状態だとExtremeでも常用できるほどマイルドなのはご指摘の通りなのですが、VRRをオフ時は1つでも上げると逆残像がひどく出てしまいます。
メーカー公称値はもしかしたらVRR機能をオフにした状態で計測しているのかもしれませんね。
レビューお疲れさまです。
価格や仕様は似ていても、細かい仕様を公称しているHP OMEN 27qのほうが良かったのですね。
数千円の差ならHP OMEN 27qか
気になってました!
sRGBモードの精度が良いのはこの価格帯では一応それなりに大きなメリットではありますね(重視する人には)
それ以外だと、特にゲーミングとしては積極的に選ぶメリットがないのが残念ですが…
評判の良い方はAUOのM270DAN08.Cで、他に別のパネルがつかわれているのではってのは見ました。
すみません、一つ質問させてください。
このG2724Dは使用していて特定条件下で少しボヤケたりするんでしょうか?
最初の二つのゲーム画面やパネルの画質比較・HDRコンテンツの表示例はくっきり綺麗に表示されてますが、Black Stretch比較・画面モード比較はなんだかもやっとしてる気がします。
Dead by Daylightの比較画像ではキャラUIや背景のディテールがボケてるので、まさか暗いゲームみたいな特定の条件下や特定のプリセットではぼやけたりするのではと質問させていただきました。
アマゾンの購入者レビューにもRPGプリセット以外だと少しボヤケたりするとあって気になっていました。
ここ最近のモニタレビュー数台と比較しても該当箇所はG2724Dだけボケてる気がします。最近の中ではOMEN 27qがかなりシャープな印象ですね。
写真を撮るときのブレであれば良いのですが
安価でPS5のVRRとsRGBモードが欲しいので候補はこのモデルくらいしかなく購入を迷っています。GDQ271JAにsRGBモードが有ればよかったのに…
私の場合ですが特定の条件下でぼやけたりっていう状況になったことはないですね
プリセットも標準暖色寒色sRGBは普通で他はどれもそれよりもくっきりしてます。
待ってました。Amazonで(ちもろぐさんに送り付けたいと)レビューしている者です。
他の方もおっしゃってますがプリセットの画質モードだとぼやけたりくっきりしたりと制御が甘いかなという感想です。
それと常時駆動のComfortView Plusは結局OFFにできないままですね。残念。
現在はDELL公式で29,802円で在庫処分?価格になってます。
G-SYNCはHDRモードのみ公式にサポートされてるようで
SDRモードの場合は、NIVIDIAコントロールパネルのG-SYNC設定で選択したディスプレイモデルの設定を有効化にチェックする必要があるみたいですね
SDRで常用する分には色味は濃くかつ派手ではなく落ち着いてていい感じです
DellのG2524Hが最大280hzで3万弱なんですが買っても大丈夫だと思いますか?気になっているのですがすごく不安です。
このモニターの応答速度って3段階の設定があるみたいなのですが1ms出すための最速設定にしての検証結果なのでしょうか?
価格コムでランキング1位だったので調べてるうちにここにたどり着きました
どうやらあまりよくなさそうですね
参考になりました
後継のG2725Dが相変わらず価格コム1位になってるけどブランドで買われてるだけで、今作も他社の進化に付いて行けてない感じですかね
発売後一月でセール26800円だけどゲーム用途で敢えて選択するような機種ではないですか?
セール情報ありがとうございます!
今どき「sRGB:99%」表記がやや腑に落ちないですが、気になっている人が予想以上に多いようなのでDELL直販で注文しました。早ければ今月中にG2725Dのレビューをアップする予定です。
世代進化的にOMEN 27qに勝ってるかと期待して
楽しみに待ってます