色がキレイで応答速度が早い高速IPSパネルを採用し、最大165 Hzの応答速度2 ミリ秒をアピール。さらにゲーマー向け機能もフル装備な万能型モニター「MOBIUZ EX2510S」をレビューするよ。
「MOBIUZ EX2510S」の仕様とスペック
「MOBIUZ EX2510S」は、2021年に販売されていたEX2510(無印)の後継モデルです。
優れた映像美のIPSパネルや、各種ゲーマー向け機能、2.5 Wデュアル内蔵スピーカーなど。MOBIUZらしい万能タイプなスペックをそのままに、対応リフレッシュレートが144 Hzから165 Hzにアップグレード。
応答速度(公称値)は2 ミリ秒をアピールし、キレのある映像も両立します。従来モデルと同じく、ライバルの多い3万円台のゲーミングモニターの中で、もっとも誰にでも合うスペックの持ち主です。
なお、EX2510SはエミュレートHDRモードに対応。BenQが独自に開発したガンマカーブ調整で、HDRに対応していないコンテンツをHDRっぽく見える効果があります。
MOBIUZ EX2510Sを開封レビュー
開封と付属品のチェック
MOBIUZ EX2510Sはパッケージのまま届きました。
2段式の硬い発泡スチロール梱包がぎっしり詰まってます。1段目に付属品、2段目にパネル本体とモニターアームが入ってます。上下逆さまにして引っ張り出すと、中身が地面へこぼれ出すので注意です。
- モニタースタンド
- HDMIケーブル
- ケーブルカバー
- 説明書と保証書
- 電源ケーブル
付属品は普通の内容です。HDMI 2.0ケーブルが付属します。上位モデルのMOBIUZで付属するリモコンは付いてません(2000円くらいで別売りしてほしいな・・・)。
インターフェイス類とモニター本体
モニター本体の裏側から、各種インターフェイスにアクセスできます。インターフェイスは全部で8個。
- ヘッドホン端子(3.5 mm)
- HDMI 2.0(165 Hz)
- HDMI 2.0(165 Hz)
- Display Port 1.2(165 Hz)
映像出力端子はHDMIとDisplay Portが合計3つです。HDMIとDisplay Portどれを使っても、フルHD(1920 x 1080)、最大165 Hzのリフレッシュレートに対応します。
パソコンはHDMIとDisplay Portで最大165 Hzまで対応。次世代ゲーム機「PS5」では最大120 Hz(1920 x 1080)対応です。
EX2510SはフルHDモデルですが、PS5の4Kダウンスケール出力に対応済み。ゲーム機対応に力を入れているBenQらしい対応です。ゲーミングPC、最新ゲーム機どちらでも安心して使えます。
画面下側にボタンが配置されています。
- 入力切替
- OSDを操作する5方向ボタン
- 電源ボタン
です。5方向ボタンは操作が直感的でラクです。
画面右側にあるボタンはHDRモードを切り替えるボタンです。
付属のモニタースタンドには、ケーブルホールが空いています。ごちゃごちゃしやすい配線類をまとめやすいです。
付属品のケーブルカバーで、モニター裏面のパカッと開いてる部分も隠せます。
別売りのモニターアームを固定するのに使う「VESAマウント」は、スタンダードな100 x 100 mm規格です。
パネルの表面加工は、目が疲れにくい「ノングレア」を採用。
ベゼル幅は7 mmとそこそこの薄さ。マルチディスプレイ環境を作る場合もほとんど気にならないベゼル幅です。
組み立てはシンプル
MOBIUZ EX2510Sの組み立ては他のゲーミングモニターと同じく、シンプルで簡単なドッキング方式です。
モニター本体にスタンドを挿し込み、
スタンドを取り付けて土台のネジを固定します。ネジに指で回せるフックが付いているので、プラスドライバーは不要です。
MOBIUZ EX2510Sの組み立て完了。ツールレス(道具不要)なデザインのおかげで、組み立ては3分くらいで終わります。いつもどおり簡単です。
エルゴノミクスをチェック
リフト(昇降機能)は13 cmです。下の方までグイグイと下げられるので、目がラクな見下ろす角度に調整できます。
左右スイベル(首振り)は20°対応で、左右あわせて40°の首振りが可能です。
約3万円のモニターにしては角度がやや狭いですが、据え置きゲームでプレイする分には十分です。エルゴノミクスに力を入れすぎて、価格がムダに上がっても本末転倒でしょう。
前後チルト(角度調整)は、上方向へ20°、下方向へ-5°まで対応。
- チルト(前後):+20 ~ -5°
- リフト(昇降):130 mm
- スイベル(首振り):左右20°
- ピボット(垂直):なし
おおむね充実のエルゴノミクスです。
内蔵スピーカー「treVolo」の音質
EX2510Sの内蔵スピーカーは、出力2.5 Wのフルレンジドライバを2台搭載します。一般的なモニターと同じく、画面から下に向けてスピーカーが内蔵されているため上位モデルほど音質は良くないです。
同じ3万円台のモニターの中では良い音質ですが、4000~5000円のUSBスピーカーの方がまともな音質に期待できます。
- ゲーム
- シネマ
- ライブ / ポップ
設定から3つのサウンドプロファイルを選べます。デフォルト設定の「ゲーム」は中低音を重視して、低音と高音を弱く出力するので若干スカスカな音質傾向です。
無難におすすめな設定は「シネマ」です。ゲーム音質で意図的に抜いている高音と低音をちゃんと強調して、全体的にバランスの良い音質にチューニングされています。ただ、ちょっと低音が強すぎる気がします。
シネマ音質の低音をしつこいと感じたら「ライブ / ポップ」を使ってください。ゲーム音質とシネマ音質の中間くらいのチューニングです。
MOBIUZ EX2510Sの性能を検証
X-riteのプロ向けキャリブレーションツールに付属する分光測色計「i1 Pro 2」を使って、MOBIUZ EX2510Sのパネル品質や液晶モニターとしての性能を検証します。
ゲーミングモニターのレビューでは「目で見て色がキレイ。」など、とにかく主観的な感想が目立つので、ちもろぐでは実際に計測を行い客観的な評価を行います(※色の見え方は個人差あるので計測あるのみです)。
BenQグループの傘下企業である、台湾AU Optronicsが製造するAHVA(IPS)パネルを使用します。型番は「M250HAN01.8」または「M250HAN01.9」です。
フルHD(1920 x 1080)、応答速度5 ミリ秒、明るさ400 nitsの高速IPSパネルです。パネルメーカーは5 ミリ秒を公称値としますが、BenQは独自のチューニング(主にオーバードライブ)を施して、2 ミリ秒(G2G)をアピールします。
色の正確さとコントラスト比
モニターの性能でかなりの人が気にしているのが「パネルの発色」です。発色の良さは正しくは「色の正確さ」と呼ばれ、規格どおりの色が出ているかどうかを「色差(ΔE)」という単位で表現します。
ΔEが平均値で2.0以下なら「正確」です。
色の正確さ(発色の良さ)※クリックで画像拡大します | |
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グレースケール | カラー |
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コントラスト比 | |
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MOBIUZシリーズの色合いは正確さよりも、パッと見てきれいに見えるかどうかが重視されます。だから正確さは(いつもどおり)低いです。カラーは全体的に鮮やかめに出力され、グレースケールは黒が濃い目に出ます。
なお、キャリブレーションを施すとグレーの正確さは改善されますが、色の正確さはほとんど改善しません。
参考程度にキャリブレーション時に使用したカスタム設定を以下に掲載しておきます。sRGB規格に合わせた色はかなり地味な色合いですので、適用するかどうかは自己責任でどうぞ。
校正後の画面設定※ |
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※個体差によって出荷時の色設定は大きく違う可能性があるので、設定がうまく合うかは保証しません。
画面の明るさ(輝度)
「RPG(初期設定)」モードでOSDからモニターの明るさを10%ずつズラしながら、画面の明るさ(輝度)を計測しました。
一番暗い状態(0%設定)で「42.7 cd/m2」、最大設定(100%設定)で「297.9 cd/m2」、カタログスペックの最大300 cd/m2にとおおむね一致しています。
設定値30%で目にちょうど良いとされる「120 cd/m2」です。残像を減らすブレ削減モードを使うと明るさが30~48 cd/m2(0~100%)ほど下がります。
色域カバー率
色域カバー率※クリックで拡大します | |
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sRGBもっとも一般的な色域 | 99.2% |
DCI P3シネマ向けの色域 | 80.1% |
Adobe RGBクリエイター向けの色域 | 76.9% |
表示できる色の広さを「色域カバー率」と呼び、モニターの品質をあらわす指標として使われています。
MOBIUZ EX2510Sの色域カバー率は、もっとも一般的な規格「sRGB」で99.2%をカバー。HDRコンテンツで重要なシネマ向けの規格「DCI P3」では80.1%をカバーします。
ゲーミングはもちろん、趣味のイラストや写真編集くらいなら余裕です。DCI P3色域がそこそこ広いのでHDRコンテンツも割といけます。
パネルの均一性
「均一性」は要するに同じ色を表示したときの「色ムラ」の程度です。
グレー(5%)の均一性は問題なし。ごくわずかにパネルの四隅が明るいですが、実際の使用シーンでまったく目立たないです。
もっと明るいグレー(50%)の均一性は、いつもどおりIPSパネル特有の「IPSグロー」が発生します。パネルの四隅に行くほど輝度がわずかに下がっていますが、実際は気にならないです。
IPSパネルで視野角は広い
IPSパネルは視野角が広いです。角度がズレても色はあまり変化しません。(参考:液晶パネルの違いを解説するよ)。
入力遅延をチェック
「Input Lag Tester」を使って、MOBIUZ EX2510Sの入力遅延をテスト。
60 Hz時の入力遅延はわずか8.1 ミリ秒。目標の16 ミリ秒を余裕で下回ります。120 ~ 165 Hz時の入力遅延はさらに短くなるので、体感できるほどのラグは存在しません。
他のゲーミングモニターと比較します。ほとんどのゲーミングモニターと同じような入力遅延です。
フリッカーフリーの動作検証
画面の明るさを25%ごとに、オシロスコープを使ってフリッカーの有無を測定した結果です。常にグラフは横に一直線で、フリッカーはまったく検出されません。EX2510Sは「フリッカーフリー」です。
MOBIUZ EX2510Sの応答速度を検証
こちらの記事で詳しく解説している通り、光の明るさをμs(マイクロ秒 = 1000分の1 ミリ秒)単位の細かさで検出する「光ディテクター」と、ミリ秒単位の計測には間に合う「USBオシロスコープ」を使ってモニターの応答速度を実測します。
個人差によってかんたんに左右されてしまう主観的な評価を徹底的に排除し、客観的な測定を行うことで、ゲーミングモニターの一貫した性能評価とレビューが可能です。
165 / 120 Hzの動作チェック
応答速度の前に、リフレッシュレートがちゃんと出ているかどうか「UFO Test」を撮影してチェック。
スライダーショット(追尾撮影)で残像を撮影します。リフレッシュレートが上がるにつれてUFOのりんかくがハッキリと映り、残像が減っているのが分かります。
120 Hz時の応答速度
EX2510Sは次世代ゲーム機「PS5」向けにラインナップされたモニターですので、当然120 Hz時の応答速度をテストします。
リフレッシュレートを120 Hz、オーバードライブ「AMA : 1(初期設定)」に設定して、応答速度を計測します。
パッと見た感じ、残像感は従来モデルのEX2510とほとんど変わらないです。
MOBIUZ EX2510Sの応答速度120 Hz / オーバードライブ:1 | |
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平均値 | 4.37 ms |
最速値 | 2.64 ms |
最遅値 | 6.33 ms |
明るく | 4.54 ms |
暗く | 4.20 ms |
応答速度 | 0 | 50 | 100 | 150 | 200 | 255 |
---|---|---|---|---|---|---|
0 | – | 6.09 ms | 6.33 ms | 5.82 ms | 4.85 ms | 3.39 ms |
50 | 3.15 ms | – | 5.75 ms | 5.16 ms | 4.81 ms | 3.25 ms |
100 | 3.11 ms | 4.04 ms | – | 5.03 ms | 4.65 ms | 3.05 ms |
150 | 3.40 ms | 4.05 ms | 4.75 ms | – | 4.51 ms | 2.85 ms |
200 | 3.44 ms | 3.76 ms | 4.62 ms | 5.09 ms | – | 2.64 ms |
255 | 3.77 ms | 4.07 ms | 4.82 ms | 5.08 ms | 5.83 ms | – |
120 Hz(オーバードライブ:1)の応答速度は、平均「4.37 ミリ秒」です。IPSパネルの中では中の上に位置する性能です。
一番速いシーンで2.6 ミリ秒を叩き出し、メーカー公称値の2 ミリ秒にあと一歩に迫ります。価格の割になかなか応答速度の速いIPSパネルです。
165 Hz時の応答速度
リフレッシュレートを165 Hz、オーバードライブ「AMA:1」で応答速度を計測します。
リフレッシュレートが上がった分だけ、残像感がややクリアに見えます。
MOBIUZ EX2510Sの応答速度165 Hz / オーバードライブ:1 | |
---|---|
平均値 | 4.31 ms |
最速値 | 2.61 ms |
最遅値 | 6.94 ms |
明るく | 4.52 ms |
暗く | 4.10 ms |
応答速度 | 0 | 50 | 100 | 150 | 200 | 255 |
---|---|---|---|---|---|---|
0 | – | 5.48 ms | 6.94 ms | 6.45 ms | 4.90 ms | 3.37 ms |
50 | 2.87 ms | – | 5.24 ms | 5.02 ms | 4.80 ms | 3.23 ms |
100 | 3.03 ms | 3.81 ms | – | 4.80 ms | 4.64 ms | 3.02 ms |
150 | 3.34 ms | 3.99 ms | 4.65 ms | – | 4.49 ms | 2.82 ms |
200 | 3.40 ms | 3.73 ms | 4.57 ms | 4.87 ms | – | 2.61 ms |
255 | 3.71 ms | 4.09 ms | 4.75 ms | 5.01 ms | 5.68 ms | – |
165 Hz(オーバードライブ:1)の応答速度は、平均「4.31 ミリ秒」です。同じ3万円台のASUS VG259QRより1.3 ミリ秒も速いです。
次はオーバードライブ別に、応答速度をチェックします。
オーバードライブのおすすめ設定
OD機能「AMA」の効果165 Hz / 3段階をテストした結果 | |||
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平均値 | 4.31 ms | 3.86 ms | 3.22 ms |
最速値 | 2.61 ms | 2.70 ms | 2.15 ms |
最遅値 | 6.94 ms | 5.52 ms | 4.32 ms |
明るく | 4.52 ms | 3.86 ms | 2.97 ms |
暗く | 4.10 ms | 3.87 ms | 3.47 ms |
平均エラー率 | 0.8 % | 1.8 % | 9.7 % |
EX2510Sのオーバードライブ設定は3段階(1~3)です。オーバードライブを効かせると残像がたしかに改善されますが、最大設定にするとエラーが発生し、暗いシーンで逆残像が目立ちます。
おすすめのオーバードライブ設定は「AMA:2」です。デフォルト設定と比較してエラー率はほぼ同じまま、応答速度が約0.5 ミリ秒も短縮できます。
参考例として、平均エラー率25%のUFO画像を掲載します。画像を見ての通り、UFOのりんかくが「滲む」ように見えます。このにじみが「逆残像(英語ではCorona、artifactsなど)」と呼ばれる現象です。
本来、残像感を軽減するためのオーバードライブ機能なのに、エラーが発生すると逆に残像が発生します。パネル本体の品質、メーカーのパネル制御技術の実力差など。エラーが発生する原因はいろいろとあります。
応答速度の比較
ちもろぐで検証した他のゲーミングモニターとの比較をまとめます。比較できるデータはかなり増えていて、MOBIUZ EX2510Sの応答速度がどれくらいの位置づけなのかが、客観的に分かりやすいです。
120 ~ 165 Hzのゲーミングモニターで比較しました。
比較グラフを見るとEX2510Sは中間くらいの性能に見えますが、3万円台のIPSゲーミングモニターとしては最速の性能です。同じ3万円台のIPSパネルである「ASUS VG259QR」より約2ミリ秒も速いです。
MOBIUZ EX2510Sの機能性をチェック
OSD(On Screen Display)の内容
モニター裏側のボタンを使って、On Screen Display(OSD)からモニターの設定を変更できます。順番に紹介します。
基本的な操作はすべて5方向ボタンだけでできます。5方向ボタンはかなり直感的でスムーズな操作ができ、OSD設定がサクサクと進みます。
クイックメニューに表示される項目は設定から自由にカスタマイズ可能です(下3つのみ)。
たとえば初期設定では4番目にあまり出番のない「AMA」が表示されていますが、設定から「Black eQualizer」や「色の鮮明さ(Color Vibrance)」に変更できます。
暗いところを明るくする「Black eQualizer」
BenQモニターで特に有名な機能が「Black eQualizer」です。白潰れや黒潰れを抑えつつ、暗い部分だけをいい具合に明るくできます。
暗いシーンの多いDead by Daylightで使うとこんな感じ。Black eQualizerの効果で、暗い画面のデドバもかなり見やすい映像に化けます。
RPG向けの暗所補正「Light Tuner」
「Light Tuner」はMOBIUZシリーズで実装された新機能です。RPGモードでのみ使用可能で、BenQいわくBlack eQualizerをRPGゲーム向けに調整した機能とのこと。
特に、トゥームレイダーやバイオハザードなど暗いシーンが多く、細部のディティール表現が重要なゲームで上手く機能するように調整されているようです。暗いシーンの多いDead by Daylightで使ってみると、確かに効果てきめんです。
EX2510Sの場合、Light Tunerは20段階まで調整できます(Black eQualizerは10段階まで)。暗所補正を細かく微調整したいならLight Tunerの方が使いやすいです。
色を強調する「Color Vibrance」
「Color Vibrance」は、色の鮮やかさを強調する機能です。彩度の調整とは少し違った機能で、ReShadeで有名な「HDR」や「Technicolor 2」と似たような画像処理を、モニター側のハードウェア機能でこなしてくれます。
チート対策ソフトの影響でReShadeが使えないゲームでも、Color Vibranceがあれば、好みに合わせて見やすい色の鮮やかさにできます。
Dead by Daylightのように画面が暗くて色数が少ないゲームだと、うまく機能しやすいです。サバイバーの赤い姿、キラーが通った後に残るエンティティの爪痕など、目印になるオブジェクトの視認性が改善します。
9個ある「プリセットモード」をチェック
「プリセットモード」はモニター側に最初から保存されているプロファイルです。MOBIUZ EX2510Sには、全9種類のプリセットモードが用意されています。
9種類あるプリセットモード | |
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FPS | FPSゲーム向け / やや寒色で白っぽい設定 |
RPG | RPG向けの最適化された鮮やかな設定 |
レーシング | レースゲーム向け / FPSモードより鮮やか |
sRGB | sRGB規格に準拠した設定 |
M-Book | MacBookと接続する用の設定 |
ePaper | 電子書籍向け(ブルーライト少ない) |
ゲームHDRi | 高コントラストなHDR + 画面の明るさと色温度をリアルタイムに調整 |
シネマHDRi | HDR + 画面の明るさと色温度をリアルタイムに調整 |
Display HDR | Display HDRに準拠した設定(明るさと色温度の自動調整なし) |
好みに合わせて「RPG」「FPS」「レーシング」あとは「HDR」を使い分けます。好みに合う設定がない場合は、プリセットモードをカスタムに切り替えて自分好みに設定してください。
参考までに、色温度が6500K(= 赤すぎず青すぎないちょうど良い白色)に最初から合っているモードは「RPG(デフォルト設定)」です。画面の輝度を上げ下げしても、おおむね6500K前後を維持します。
「HDR」機能と性能
MOBIUZ EX2510Sの基本的なHDR性能を測定しました。
MOBIUZ EX2510SのHDR性能i1 Pro 2で測定した結果 | |
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全画面輝度 | 415.22 cd/m2 |
ピーク輝度 | 416.27 cd/m2 |
黒色輝度 | 0.34 cd/m2 |
コントラスト比 | 1224.3 : 1 |
DCI P3色域 | 80.1 % |
「優れたHDR性能」を初心者さんに分かりやすく説明すると
- 明るさ:明るいほど良い(超ハイエンド機なら1000 cd/m2超)
- 黒色:無点灯に近いほど良い(0.1 cd/m2以下なら実用上は十分)
- コントラスト比:高いほど良い(5000 : 1以上で実用上は十分)
- 広色域:DCI P3が広いほど良い(DCI P3なら90%以上は欲しい)
めちゃくちゃ明るくて、暗い部分はちゃんと真っ暗。さらに表示できる色も広い。これらの条件を満たしているなら「高性能なHDR」で、高性能なHDR性能を持つモニターは基本的にDisplay HDR規格を取得しています。
HDR 600以上なら、まずハズレなし。HDR 1000やHDR 1400を取得しているモニターは超ハイエンド機です。
なお、有機ELパネルは特性上、HDR性能を伸ばせないので注意してください(※有機ELは画面を明るくするほどパネルの故障率が上昇するため、画面が明るくなりすぎないように制御されています)。
MOBIUZ EX2510SのHDR性能は意外といいです。Display HDR 400認証すらとっていないので正直あまり期待していなかったのですが、ピーク輝度と全画面輝度ともに400 cd/m2を超えていて、DCI P3色域は約80%でそこそこの広さ。
HDR 400認証を取得しているゲーミングモニターとなんら遜色ないHDR性能を叩き出すので、BenQはたぶんライセンス料を節約するためにあえて認証をとっていない可能性すらあります。
なお、「ゲームHDRi」と「シネマHDRi」モードを使うと輝度が315 cd/m2前後にとどまって画面が明るくなりづらいので注意してください。HDR映像を楽しむなら普通に「HDR」モードを使いましょう。
HDR対応コンテンツ「COSTA RICA IN 4K HDR」と、4K HDR対応の「君の名は(Ultra BD)」にて、ざっくりとMOBIUZ EX2510SのHDR映像をテストします。
普通のIPSパネルなので明るさは普通です。BenQ独自のガンマカーブ調整でややわざとらしいHDRが出ていますが、3万円台のIPSゲーミングモニターに本格的なHDRを求めるのは無理があります。
もし、HDR性能を重視するなら「Display HDR 600」以上のモニターを推します。ただし、144 Hz対応のHDR 600モニターは一気に10万円台です。ゲーム + HDRの両立はとても高コストです。
「ブレ削減」の効果を検証
残像を少なく見せる機能はBenQの「DyAc」が有名です。EX2510SはDyAc非対応モデルですが、実は「ブレ削減」という名前の残像低減機能がひっそり実装されてます。
ブレ軽減を使うとUFOのりんかくがクッキリ映ります。ただし、BenQの独自機能「DyAc(Dynamic Accuracy)」ほどキレのある感じはしません。
モニター | フレーム更新時間 | 黒挿入時間 | 比率 |
---|---|---|---|
DyAc+BenQ XL2546K | 4.17 ミリ秒 | 3.47 ミリ秒 | 83.3% |
DyAcBenQ XL2411K | 6.94 ミリ秒 | 5.76 ミリ秒 | 82.9% |
DyAc+BenQ XL2746S | 4.17 ミリ秒 | 3.44 ミリ秒 | 82.6% |
ELMBASUS VG258QR | 6.06 ミリ秒 | 4.62 ミリ秒 | 76.2% |
ULMBASUS PG259QN | 4.17 ミリ秒 | 3.08 ミリ秒 | 73.9% |
ブレ削減BenQ EX2510S | 6.06 ミリ秒 | 4.24 ミリ秒 | 70.0% |
ブレ軽減BenQ EX2510 | 6.94 ミリ秒 | 4.86 ミリ秒 | 70.0% |
ブレ軽減BenQ EX2710R | 6.06 ミリ秒 | 4.23 ミリ秒 | 69.8% |
ELMB SyncASUS VG279QM | 4.17 ミリ秒 | 2.54 ミリ秒 | 61.0% |
MPRTPixio PX247 | 6.94 ミリ秒 | 2.50 ミリ秒 | 36.0% |
残像が見えなくなる機能は基本的に「黒挿入」と呼ばれる技術を使っています。フレームを更新するたびに、真っ黒なフレームを1枚挟んで脳を錯覚させ、残像を見えづらくする仕組みです。
効果の大きさは黒挿入の時間でだいたい決まります。EX2510Sのブレ削減モードだと、1フレームあたり約70%が黒挿入の時間でした。DyAcの80%台より低いので効果がやや控えめです。
まとめ:3万円台でもっとも「万人向け」です
「MOBIUZ EX2510S」の微妙なとこ
- パネルの均一性は普通
- 「B.I.+」機能は好みが分かれる
- やや派手な色づくり(ΔEは3以上)
- HDRのピーク輝度は控えめ
- 「ブレ軽減」はDyAc+のゆるい版
「MOBIUZ EX2510S」の良いところ
- 24.5インチでフルHD(万人向け)
- 最大「165 Hz」に対応
- PS5で「120 Hz」行けます
- PS5で4Kダウンスケール可能
- 応答速度が速い(IPSパネルで)
- 入力遅延も少ない
- 実用的なゲーマー向け機能
- 平均以上の内蔵スピーカー
- そこそこのHDR性能
- フル装備のエルゴノミクス
- 3年保証
- コスパも良い
相変わらずバランス感に優れてます。約30700円で買ったゲーミングモニターとしては、本当に「総合力」の高いよくできたモニターです。
基本的な性能と価格設定は前世代の「EX2510」とまったく同じまま、最大165 Hzに対応し、PS5での120 Hz出力と4Kダウンスケール表示まで対応と・・・完全にアップグレードされた上位互換に仕上がっています。
- 色が美しいモニターがほしい
- いろいろなゲームをプレイする
- 用途をあまり選ばない万能型
- 次世代ゲーム機「PS5」で使いたい
PCゲーマーからPS5やXbox Series Xを使う予定のコンソールゲーマーまで、両者のニーズに応えられる万人向けのすぐれたゲーミングモニターです。
ゲーマー向け機能もフル装備。暗所補正は「Black eQualizer」「Light Tuner」の2つ、鮮やか補正は「Color Vibrance」、残像を減らす「ブレ削減」も対応。FPSゲーマーも満足できる機能性です。
前世代のEX2510を買ってよかったと評価しましたが、今回レビューした後継機「EX2510S」もまた買ってよかったと評価できるハイクオリティモニターです。
以上「MOBIUZ EX2510Sレビュー:ゲーム・映画・HDR・PS5もこれ1台で完結」でした。
安さと「性能」を重視して選ぶなら・・・
機能性は減る代わりに値段も安い「LG UltraGear 24GN600-B」が割りとおすすめ。IPSパネルの144 Hzで、応答速度はEX2510Sよりも速いです。コスパよし。
他にもある「144 Hz」でおすすめなゲーミングモニター
おすすめなゲーミングモニター【まとめ解説】
144HzのIPS液晶でよく売れているモニターである、LGの24GN650-B(24GN600-B)のレビューを見てみたいです。
前レビューされいていたMOBIUZ EX2510と色差の校正が違いますが、前モデルと比べてモニターの色等も別物になっているのでしょうか?
私も気になっていました
購入しました。
画面全体に細かいうすい縦線がはいってて、背景が赤色の時は特に目立ちます。
なかなか気になります。ゲーミングモニターはこんなものなのでしょうか?
PS5で使用しています。
亀なうえにエアプのレスですが、HDR性能の低いモニターは縦線が走る気がします
HDR機能を切っても改善しませんか?
色深度はグラボ側で改善してHDRを切るのが低価格モニターの運用法になりそうです