第2世代の「Ryzen 5」は全体的に20ドルも値下げされたので、「6コア化したCore i5」の競合として第1世代のRyzenより更に手強い相手に仕上がっている。実際にRyzen 5 2600XがどこまでCore i5と戦えるCPUなのか、ゲーミング性能 & CPU性能の両方から比較しながら確認していく。
Ryzen 5 2600Xのスペック:i5 8400と比較
CPU | Ryzen 5 2600X | Ryzen 5 1600X | Core i5 8400 |
---|---|---|---|
ロゴ | |||
世代 | Zen+ (Pinnacle Ridge) | Zen (Summit Ridge) | 8th Coffee Lake |
ソケット | Socket AM4 | Socket AM4 | LGA 1151 v2 |
プロセス | 12nm | 14nm | 14nm++ |
コア数 | 6 | 6 | 6 |
スレッド数 | 12 | 12 | 6 |
ベースクロック | 3.6 Ghz | 3.6 Ghz | 2.8 Ghz |
ブーストクロック | 4.2 Ghz @1 | 4.0 Ghz @1 | 4.0 Ghz @1 |
?? Ghz @2 | 4.0 Ghz @2 | 3.9 Ghz @2 | |
?? Ghz @3 | 3.7 Ghz @3 | 3.9 Ghz @3 | |
?? Ghz @4 | 3.7 Ghz @4 | 3.9 Ghz @4 | |
?? Ghz @5 | 3.7 Ghz @5 | 3.8 Ghz @5 | |
?? Ghz @6 | 3.7 Ghz @6 | 3.8 Ghz @6 | |
OC | 可能 | 可能 | 不可 |
L1 Cache | 576 KB | 576 KB | 386 KB |
L2 Cache | 3 MB | 3 MB | 1.5 MB |
L3 Cache | 16 MB | 16 MB | 9 MB |
対応メモリ | DDR4-2933 | DDR4-2666 | DDR4-2666 |
最大メモリ | 64GB | 64GB | 64GB |
チャネル | x2 Dual | x2 Dual | x2 Dual |
ECCメモリ | 対応 | 対応 | 不可 |
PCIe | 20レーン | 20レーン | 16レーン |
構成 | 1×16 + 1×4 | 1×16 + 1×4 | 1×16 / 2×8 / 1×8+2×4 |
内蔵GPU | – | – | Intel UHD 630 |
GPUクロック | – | – | 350 ~ 1050 Mhz |
TDP | 95W | 95W | 65W |
MSRP | $ 229 | $ 249 | $ 182 |
価格から見れば競合は238ドルの「i5 8600K」だが、もっぱら6コアのCore i5で最も人気でコスパ良好なのは「i5 8400」だ。
Ryzen 5 2600Xは229ドル、Ryzen 5 2600は199ドルなので、純粋に価格という面だけを見れば182ドルのi5 8400が魅力的なのは間違いない。しかしi5は6スレッドしか無く、Ryzen 5はその2倍の12スレッドを備える。
定格クロック周波数はRyzen 5 1600から全く伸びていないものの、i5 8400の2.8Ghzより800Mhzも優秀です。ブースト時は4.0Ghzを突破するので、高負荷時の性能もi5 8400よりRyzen 5の方がよく伸びる。
しかもi5 8400はオーバークロックが許されていないモデルなので、性能はそこで確定。一方のRyzen 5 2600 ~ 2600Xは安価なB350マザーボードでもオーバークロックが可能。伸びしろは確実にRyzen 5が有利だ。
さて、i5 と Ryzen 5の違いについてはこれくらいにして、次は第1世代のRyzen 5からどう変わったのかを少し解説します。
仕様の変更点:Ryzen 5 1600Xから何が変わった?
- 設計はほぼ同じだが、一応プロセスが微細化している(14nm → 12nm)
- ブースト時のクロック周波数が4Ghzを超えるように
- キャッシュレイテンシの改善で3%のIPC向上を狙う
- 価格は更に20ドル安くなった
- Ryzen 5 2600は199ドルで、i5 8400は182ドル
進化したポイントをまとめました。カタログスペックに載っていないが、AMD公式発表で「レイテンシが改善」も新型Ryzenに盛り込まれていることが分かっています。これでIPCは3%向上するとのこと。
IPCとは「1サイクルあたりの命令数」という意味。ものすごく話をシンプルにすると、新型Ryzenと旧型Ryzenを、同じコア数 / 同じクロック周波数にそろえて比較すると、新型の方が3%性能が上昇している…という意味です。
同じ条件で3%性能が高いのは、CPUとキャッシュの遅延(レイテンシ)が小さくなったことで、一度により多くの処理をこなせるようになったから。
イメージにするとこんな感じ。言い換えると、CPUとキャッシュ(作業机)の距離が短くなった。といったところですね。
それでも「CPU2個をまとめて、1個のCPUに仕立て上げる」という物理的設計は同じなので、Infinity Fabricというインターコネクトを経由する都合上、レイテンシは依然としてハンデを抱えている状態ではある。
CPU性能の比較:2600X vs 1600X / i5 8400
Ryzen 5 2600XのCPU性能がどれくらい進化したのかを、レンダリング・エンコード・オフィスワークなどの各種ベンチマークで確認していく。参照するベンチマークは米ANAND TECHより。
The AMD 2nd Gen Ryzen Deep Dive: The 2700X, 2700, 2600X, and 2600 Tested
テスト環境 | |||
---|---|---|---|
CPU | Ryzen 5 2600X | Ryzen 5 1600X | Core i5 8400 |
M/B | ASUS Crosshair VII HERO | ASUS Crosshair VI HERO | Gigabyte AORUS Gaming 7 |
RAM | G.Skill SniperX DDR4-2933 8GB x2 | G.Skill RipjawsX DDR4-2666 8GB x2 | Crucial Ballistix DDR4-2666 8GB x4 |
SSD | Crucial MX200 1TB | ||
冷却 | AMD Wraith Prism | Noctua U12S | SliverStone AR10-115XS |
電源 | Corsair AX760i (760W 80+ PLATINUM) | ||
OS | Win 10 Enterprise RS3 | Win 10 Pro RS2 | Win 10 Pro 64bit |
以下ベンチマーク続きます。
Cinebench R15
Cinebench R15はCPUにレンダリングをさせて、完了までに掛かった時間をスコア化するベンチマークソフト。シングル性能とマルチ性能の両方を出せるベンチなので、国際的にはもちろん国内でも人気の高いベンチソフト。
Cinebench R15 – シングルスレッド性能
Zen+ZenCoffee Lake
シングルスレッド性能(1コアあたりに性能)は第1世代と比較して確実に向上した。1600Xから約6%、1600から約16%の性能アップです。i5 8400よりシングル性能が高いのは驚き。
Cinebench R15 – マルチスレッド性能
Zen+ZenCoffee Lake
次にマルチスレッド性能。こちらは12スレッドを備えるRyzen 5勢が圧倒的に有利な結果に。i5 8400は半分の6スレッドしか無いので、レンダリングのような物量戦では不利になる。
そしてシングルスレッド性能が向上したことで、Ryzen 5 2600Xが1400点に迫るスコアを記録しているのは見逃せない。なぜならRyzen 7 1700に匹敵するスコアだからだ。
Ryzen 5 2600Xはマルチスレッド性能という観点から見ると、ほぼ半額に近い価格でRyzen 7 1700並の性能を実現してしまっている。第2世代は順当な進化を遂げたと言えます。
Blender 2.78
Blenderはフリーの3DCG / レンダリングソフト。オープンソースソフトウェアのなので、インテルとAMDの両方に最適化が施されているのが特徴。そのためCPU本来の性能を、正確に計測できるベンチマークの一つとなっている。
Blender 2.78 – 処理に掛かった時間
おおむねCinebench R15のマルチスコアと同様の傾向になりました。i5 8400だと485秒(約8分)掛かるレンダリングが、2600Xは352秒(約6分)程度で終わらせてしまう。2600Xはi5 8400より約38%も高速です。
Corona 1.3
Coronaはレンダリングベンチマークの1つ。CPUにレンダリングを実行させて、1秒間あたりにどれだけの処理を実行できたかでCPUの性能を判断できる。
Corona 1.3 – 1秒間あたりの処理量
Ryzen 5が圧倒しています。2600Xはi5 8400より軽く50%以上も高速で、第1世代の1600Xより15%は高速だ。レイテンシの縮小によるIPCの改善と、クロック周波数の向上は確実に第2世代Ryzen 5の性能を高めている。
PCMark 8
PCMark 8は3DMarkのCPU版にあたるベンチマーク。パソコンの一般的な処理性能をスコア化してくれる。なお、CPU本来の性能だけを計測するため、グラボの影響を受けるOpenCL系のテストを無効にしています。
PCMark 8 – Creative(OpenCLテスト無し)
「Ryzen 7 2700X」の時と同様、Creativeモードはなぜか第1世代に第2世代が僅差で追い抜かれる展開。そしてシングル性能が互角なはずのi5 8400がなぜかRyzen 5より高いスコアを記録している。
その差はわずか100点程度なので体感は不可能の次元だが、まだまだRyzenは最適化に難がある部分が残ることを示しています。まぁ…Ryzenは実質NUMA※とも言える構造なので、最適化はそこそこ難しいのかもしれません。
※カンタンに言ってしまえば、デュアルソケット対応のマザーボードを使って、2つのCPUを機能させること。XeonやEPYCなどサーバー向けCPUで利用可能な技術です。
PCMark 8 – Home(OpenCLテスト無し)
ごくごく普通のワークで構成されるHomeモードでは、第1世代からの進化がしっかりと感じられる結果に。Ryzen 5 1600から2600Xで、23%も性能アップしている。i5 8400とも互角なので、レスポンスは相当に軽快になったはずだ。
PCMark 8 – Work(OpenCLテスト無し)
Workモードでも、同じ傾向。第1世代から着実にスコアを伸ばして、i5 8400と完全に互角のスコアになりました。パソコンとしての機能を果たせるかどうかという視点では、Ryzen 5もCore i5も差は無い次元に到達。
Google Octane
ブラウザ上で動作する、Javascript系のベンチマーク。処理にかかった時間からスコアを算出してくれるので、CPUの性能がどれくらい単純作業に強いのかどうかが直感的に分かりやすい。
Google Octane 2.0
というわけで、単純作業は構造がシンプルでレイテンシも短いインテルCPUが得意とする内容だが、ようやくRyzen 5がCore i5に追いついてきた。第1世代とRyzen 5 2600はi5 8400より低いが、Ryzen 5 2600Xは突破しています。
…1000~2000点の差はほとんど体感できないですが。
7-Zip Benchmark
7-Zipは無料の解凍ソフト。付属のベンチマークツールで、圧縮と解凍の速度(単位はMIPS)を計測可能。
7-Zip / 圧縮(MIPS)
利用頻度があまり多くない圧縮。6スレッドのi5 8400が、12スレッドのRyzen 5 1600と同スコアを叩き出しているのが興味深いが、第2世代のRyzen 5は明確にi5 8400以上のパフォーマンスを発揮している。
7-Zip / 解凍(MIPS)
一方、解凍ではRyzenが猛威を振るう。マルチスレッド性能以上のパフォーマンスを発揮しており、Ryzen 5 2600Xはi5 8400より72%も高速という圧巻の結果を見せつけている。2600でも55%高速です。
基本的に、無料の画像素材や、何らかのアプリケーションをダウンロードした時。多くの場合はZipやRarといった形式で圧縮されている。これを解凍しないと中身を出せないため、利用頻度は解凍の方が多いと思っている。
7-Zip / 平均(MIPS)
圧縮と解凍の平均。総合的なパフォーマンスを見ての通り、12スレッドを備えるRyzen 5はやはりマルチスレッドの効く物量戦が得意ですね。
WinRAR
WinRARはシェアウェアの解凍ソフト(実質フリーソフトですが)。このWinRARを用いてZip形式の圧縮を実行し、完了するのに掛かった時間でCPU性能を評価する。
WinRAR / 圧縮に掛かった時間
7-Zip Benchmark(圧縮)で示されていたとおり、WinRARでも同様の結果になりました。i5 8400が約65秒掛かる圧縮を、Ryzen 5 2600Xは約53秒で終えた。23%ほど高速です。
TrueCrypt
暗号化ディスクを生成するフリーソフト。1秒間あたりどれくらいの暗号化(=エンコード)を実行できるかでCPU性能を評価できる。
TrueCrypt / AESエンコード(GB/s)
i5 8400は1秒あたり5GBしか処理できないが、Ryzen 5 2600Xは60%多い8.2GBも処理する。変換処理は得意のようだ。
Handbrake
動画エンコードソフトで非常に有名なのが、無料ソフトのHandbrakeだろう。このソフトでいくつかのプリセットを使って動画エンコを実行し、1秒間あたり処理フレーム数(fps)で性能を評価する。
Handbrake H264 / 640×266 低品質(fps)
解像度の小さい動画ファイルを低品質設定でH264エンコードしたところ。これが中々意外な結果で、i5 8400がRyzen 5 2600Xに迫る処理速度を出しているんですよね。
Handbrakeは10コア以上のCPUに最適化をあまりしていないということで知られているので、最適化に何か問題を抱えている可能性は無視できない。
最適化で不利という状況にもかかわらず、Core i5以上のパフォーマンスまで進化させたことは素直に評価できるが、ユーザーとしては残念な結果…。なぜか持ち前のマルチスレッド性能が活かしきれてない。
Handbrake H264 / 3840×4320 高品質(fps)
高解像度の動画を高品質設定でH264エンコード。結果はあまり変わらないが、若干Ryzen 5の方が有利になっている。とはいえ差は6%くらいなので、微妙ですね。
Handbrake HEVC / 3840×4320 高品質(fps)
同じ動画をHEVCエンコード。うーん、複雑な内容のHEVCにすると逆にi5 8400の方が速いという結果。
マルチスレッド性能で圧倒的に強いはずのRyzen 5 2600Xが、なぜCore i5 8400に追いつかれるのか。Handbrakeがあまり最適化がこなれていないのが理由の一つですが、AVX-256の実装方法が若干違うのも原因です。
CPU性能のまとめ:Ryzen 7やi7にも迫るマルチ性能
ここまでRyzen 5 2600 / 2600XのCPU性能について見てきました。概ね正統進化ですし、シングル性能向上によって底上げされたマルチスレッド性能はRyzenらしい驚異的な水準に達しているのは間違いない。
Cinebench R15 – マルチスレッド性能
i5 8400を圧倒しているのはもちろんのこと、第1世代のRyzen 5やRyzen 7…そしてi7 8700Kにすら迫るマルチスレッド性能は素直にスゴイと思います。
コストパフォーマンスの比較(CR15 / MSRP)
コストパフォーマンスを比較してみると、Ryzen 5 2600 / 2600Xは非常に優秀。
課題は「最適化」。Ryzenが市場で広まり、AMDユーザーが増えるにつれて少しずつソフトメーカー側も最適化を進めています。実例として「Call of Duty : WW2」があるので、最適化をすること自体は可能です。
ゲーミング性能:コスパ王「i5 8400」と戦えるか?
CPU性能の次に確認するのが「ゲーミング性能」。ゲームの世界では、グラフィックボードの性能が優れていればいるほど、Ryzen 5よりCore i5の方が高いフレームレートを叩き出すという「ボトルネック」が存在している。
原因はシングルスレッド性能の低さであったり、記事の最初で少し解説した「Ryzenの特殊な設計や、インターコネクト経由時のレイテンシ」に由来する最適化の難しさなど。
AMDもこの問題は把握しているし、シェアを得るためにゲーマー層を含めた幅広いユーザーから支持を得ることは不可欠である。だから第2世代のRyzenは、レイテンシ縮小とクロックアップでこの問題を解決しようとした。
というわけで、Ryzen 5 2600XはゲーミングCPUとして最高のコスパを持つ「Core i5 8400」にどこまで迫るのか。ゲーミング性能の差が顕在化しやすい最速のGPU「GTX 1080 Ti」を用いたベンチマークで確認していく。
AMD RYZEN 7 2700X IS BETTER THAN ITS PREDECESSORS IN EVERY WAY
Ashes Escalation
Ashes Escalation / DX12 1080p 最高設定
Zen+ZenCoffee Lake
ゲーミング性能はやや向上し、Ashes Escalationにおいてはi5 8400と互角のレベルに到達。
Assassin’s Creed Origins
Assassin’s Creed Origins / DX11 1080p 最高設定
アサシンクリード最新作「オリジンズ」では、i5 8400に約10fpsも出し抜かれる形に。最適化問題は根深そうだ。
Civilization VI
Civilization VI / DX12 1080p 最高設定
Civ 6ではi5 8400に約12%ほど抜かされている。ただ、第1世代と比較すると大幅に伸びているので、レイテンシの短縮は一定の効果を示しているかと。
Deus EX Mankind Divided
Deus EX Mankind Divided / DX12 1080p 最高設定
DXMDでは10fpsほど。マルチ性能・シングル性能ともに低いi7 4770Kにすら追いつかれているので、性能だけでは説明できない「最適化不足」が顕在化された感。
Dishonored 2
Dishonored 2 / DX11 1080p 最高設定
第1世代から10fpsほど伸ばしたが、i5 8400は驚くことに20fpsも上を行っている。性能的には余裕でRyzen 5が勝っていますけど…9年の歴史を持ち、その間に最適化がし尽くされたCore i5の優位性はそうそう簡単には揺るがせない。
ということか。
The Division
The Division / DX12 1080p 最高設定
DivisonはRyzenかインテルかで、ハッキリと性能差が出ていて興味深い。性能ではなく、Ryzenというだけでゲーミング性能が上手く発揮できないのです。これが最適化の壁です。
Fallout 4
Fallout 4 / DX12 1080p 最高設定
Fallout 4ではかなり性能を伸ばしたものの、i5 8400はもっと優秀。厳しい戦い。
Far Cry 5
Far Cry 5 / DX11 1080p 最高設定
AMDが全面的に開発協力し、2018年4月にリリースされた新しいゲーム「Far Cry 5」ですが。なぜかi5 8400が圧倒的に強い。AMDが開発協力してもコレなので、Ryzenの最適化は相当に難しいのか。と勘ぐってしまうレベル。
Ghost Recon Wildlands
Ghost Recon Wildlands / DX11 1080p 最高設定
世代更新しても全く性能が伸びてない例。
Grand Theft Auto V
Grand Theft Auto V / 1080p 最高設定
GTA Vではややフレームレートが改善したものの、やっぱりi5 8400はもっと上を行っているんですね。
Hitman 2016
Hitman 2016 / DX12 1080p 最高設定
Hitman 2016ではだいたい同じ結果に。
Shadow of War
Shadow of War / DX11 1080p 最高設定
「シャドウオブウォー」はかなり新しいゲームだが、最適化はインテルに有利。Ryzen 5 2600Xとi7 4770Kがほぼ同じパフォーマンスを示すとは…、酷いですね。
PlayerUnknown’s BattleGrounds
PlayerUnknown’s BattleGrounds / DX11 1080p ウルトラ設定
超人気ゲーム「PUBG」では、第1世代からかなり性能を伸ばしました。i5 8400に対してあと9fpsと、かなり迫っている。しかしシングル性能は両者ともに互角なので、最適化の影響は無視できない結果です。
Rise of the Tomb Raider
Rise of the Tomb Raider / DX12 1080p 最高設定
第2世代になっても全く性能が変化していません。i7 4770Kにすら負けている。
The Witcher 3
The Witcher 3 / 1080p 最高設定+HBAO
Witcher 3は差が出にくいゲームだが、「Ryzenかインテルか。」でしっかりと性能が顕在化している。
平均ゲーミング性能 / GTX 1080 Ti
平均ゲーミング性能 / GTX 1080 Ti
平均パフォーマンスを見てみます。Ryzen 5 2600Xは1600Xから5%、Ryzen 7 1700と比較して7.6%ゲーミング性能を改善させた。レイテンシの縮小とクロック周波数の向上が一定の効果をもたらしたのは間違いない。
しかし、依然としてライバルのi5 8400とは10%強の性能差が。あらためて、Ryzenの設計にゲーミング性能を発揮しにくい根本的な原因があり、ソフト側の最適化が追いついていないことを示したということになる。
Ryzen 5 2600Xとi5 8400は、シングル性能が互角で、マルチ性能は圧倒している。にも関わらずここまで差が出てしまう。Core i5は誕生から9年強、一方のRyzen 5はまだ1年弱。
新参にしては非常によく戦っているとは思いますが、まだまだi5 8400はRyzen 5に対する強力なライバルであり続ける路線です。大幅な設計の改善は「Zen 2」(7nmプロセス)に持ち越されるらしいので、i5を圧倒するのはその時までお預けですかね。
まとめ:最適化の壁、どこに価値を見出すか?
Ryzen 5 2600Xの「弱み」
「2個のCPUを1個のCPUとして仕立て上げる。」というインテルとは違う設計によって、Ryzenは恐ろしい安さで6コア~8コアCPUを市場に供給することを可能にしました。
しかし、この特殊な設計が仇となって、理論上の性能と実際のパフォーマンスが今ひとつ一致せず乖離してしまっている…という「最適化問題」を引き起こしている。
オープンソースソフトウェアであるBlenderなどでは、理論通りの性能をしっかりと発揮するが、Adobe PremiereやHandbrakeを用いたH.264エンコードでスレッド数が半分のi5に追いつかれるなど。かなり厳しい戦いを強いられています。
- ゲーミング性能はi5 8400に10%ほどリードされる
- 最適化不足がかなり足を引っ張る現実がある
- H.264エンコードの速度がi5 8400と互角…
「弱み」をまとめました。
Ryzen 5 2600Xの「強み」
やはりi5 8400を30%以上も上回るマルチスレッド性能が「強み」だ。3DCG / レンダリングといったクリエイティブな用途において、Ryzen 5のマルチスレッド性能は非常に魅力的です。
第1世代で課題だったシングルスレッド性能の低さも、Ryzen 5 2600Xはしっかりと払拭しているので、一般的な使い方や単純処理もかなり改善されている点も大きなメリット。
ゲーミング性能の低さはi5 8400に対して10%でしたが、これは最速のGPUである「GTX 1080 Ti」を使った場合の話。それより性能の低いGTX 1070や1060、RX 580レベルになると、ボトルネックは5%前後にまで縮小されます。
5%ということは、60fps出るゲームが63fpsくらいになるだけのこと。多くのユーザーは平均60fpsを実現できれば問題ないため、ミドルクラスのGPUを使う場合はRyzen 5のゲーミング性能を気に留める必要はまったくない。
あくまでも、ゲーミングモニターを使って可能な限りフレームレートを叩き出したいというコアゲーマーにとって問題なだけで、普通のモニター(60Hz駆動)を使っている大半のユーザーには無縁のデメリットということ。
最後に忘れてはいけないのが、Ryzen 5は「12スレッド」ですが、Core i5は「6スレッド」しかない点。もし、多くのアプリを同時に使う「マルチタスク」を重視しているなら、12スレッド備えるRyzen 5に軍配が上がる点は見逃せない大きな強みだ。
- ミドルクラスGPUにおいて、ゲーミング性能はほとんど問題ない
- マルチスレッド性能はCore i5を30上回る
- Core i5の2倍にあたる12スレッドを備える
- シングルスレッド性能はCore i5と互角の水準
それにオーバークロックを使えるので、i5 8400から更に性能差をつけることが可能。
Ryzen 5 2600Xの評価は「A+ランク」
- 第1世代から正統進化した、新型Ryzen
- MSRP(希望小売価格)のさらなる値下げ
- ミドルクラスGPUでは問題にならないゲーミング性能
- 200ドル前後では最強のマルチスレッド性能
- Core i5の2倍にあたる「12スレッド」搭載
- ゲーミング性能はハイエンドGPUだとi5 8400に10%のリードを許す
- エンコード性能はi5 8400の方がコスパに優れる
しっかり正統進化していて、だいたいは満足な性能です。ただし、競合のCore i5 8400を「圧倒しているかどうか?」と言われると、明確に首を縦に振ることが出来ないため評価は「A+」としました。
グラフィックボードにミドルクラスを使い、安価にi7 8700K並のマルチタスク性能を求めるなら最適なCPUです。現状229ドルという安さで、Cinebenchが約1400点に迫るCPUは他に存在しない。
Core i5の競合としてかなり強力な選択肢。i5 8400を圧倒しているわけではないが、双方にメリット・デメリットがあるので自作派としては「どっちにするか非常に悩む…」といった感じです。
生まれてから1年弱で、「Core i5かRyzen 5か。」と悩ませるレベルまで来ているんですから、インテルにとって依然脅威だし、ユーザーとしてもとても歓迎できます。
というわけで、以上「Ryzen 5 2600Xはコスパ最強か:i5 8400と性能比較」でした。
参考になる記事まとめ
実際に「Ryzen 7 2700X」で自作してみた
実際にRyzen 7 2700Xを使って、ゲーミングマシンを自作PCを組んでみました。「Ryzenで組んでみたいかも。」と考えている人は、ぜひ参考にしてみてください。一通り解説してます。
「Core i5」で組んでみたいと思ったら
「自分はマルチタスク性能そこまで求めてないし、安いi5 8400」にしようかな。と考えた人は、実際にCore i5(8600K)で自作した記事があるので参考にどうぞ。
2600Xが2700Xになってません?
修正しました。
ベンチマークの所i5 8400のRAMが合計で32GBになってますけど誤字ですか?
誤字ではないです。
米ANANDTECHは16GB以上になるとパフォーマンスに与える影響は少ないと見ていて、テスト内容もメモリ使用量が16GBを超えないようになっているように見受けられます。
4GB → 8GB → 16GBの場合は、特に7-Zip / WinRAR / H.264エンコードに影響が出やすいですが、この分野はメモリ使用量が非常に多いためです。元々あまりメモリを使わない使い方だと、メモリ容量がパフォーマンスに与える影響はほとんどゼロになります。
特にゲーミング性能はメモリ容量に影響を受けにくいですね(ほとんどのゲームは8GBもあれば余裕で足りるから)。
参考:メモリー容量は8GB、16GB、どれくらいがちょうど良いのか?
シングルマルチ性能が超えていたとしても最適化不足だと8400超えにはならないんですね
それにしてもこの2年のAMDは凄い。ジムケラー恐るべし。4770+1060で長いことやっててついにintelから変えたくなりましたね
CCXと言う構造上最適化し辛いんでしょうね
即ち最適化により多くコストが掛かるから最適化できない、やらないと
Adobe Photoshopの場合、Xeonを2個使うより、Core i9を1個使ったほうがパフォーマンスが良い。
というデータも存在するくらいなので、Ryzenのように「実質CPU2個」という構造への最適化は相当に難しいと推測しています。
レンダリング重視かゲーム重視かで決まりますね。
ただRyzen 5 2600Xはi5 8600Kに近い価格ですので、仮にどちらも重視しなくてもi5 8400の不戦勝に近い比較かなと。
コスパを求めるならi5 8400は本当に強力ですね…w。省電力というメリットもありますし、最近はH370やB360も解禁されたため、Z370しか無かった頃と比べると安く組めるようになりました。
i5 8600Kはシングル性能が更に優秀ですが、価格の割に得られるメリットが少ないので結局「i5 8400で良いじゃないか。」となってしまう微妙な立ち位置です。
コスパと省電力、それもありますが、Coffee Lakeの6コアでもあり普通に十分な性能。
おまけに1080Tiと組み合わせても悪くないのも選びやすく、それが179ドル 2万円ちょっとはお得度が非常に高くなる感じですね。
インテルのリテールクーラーは冷却性能低いですが、省電力で十分そうなのとで。
5年ぶりに自作しようと思ってここら辺の価格帯のCPUを考えてますが
core:実用性能で上。i5 8400ならコスパも上
Ryzen:カタログスペック上は圧倒。ただ3DCGを自分でバリバリ作りたいならこっち
で間違いない感じですかね。カタログスペックと特殊用途向き・・・まるで零戦のようだ
「Cinebench R15 – シングルスレッド性能」のところ、
8700Kのグラフが無いのに「しかし、それでもi7 8700Kには20点も引き離されており、シングル性能ではCore i7に対して溝を残す状態。」と書くのはおかしいです。
どうしてRyzen 5とCore i5の対決なのにCore i7の話が出るのか不思議でなりません。
確かになんでこの一文を書いたのか謎が深いですね。多分、i5 8600Kがi7並に速いから意識して書いてしまったのかも…。
どちらにせよ趣旨に合ってないのは間違いないので、指摘された一文は削除しておきました。
最初のスペック比較のところなんですが
8400がOC可能になっています
なぜ同価格帯である8600Kとの比較にしなかったのでしょうか?
8400は高コスパだから、という序文から疑問符が渦巻いています。
この記事は8400ではなく2600Xを購入検討している人が性能比較のために読む記事なのですから、比較対象はコスパに優れておらずとも価格帯の近い8600Kとの比較で書くべきではなかったのかなと。通りすがり失礼しました。
アホすぎる
他のおかしい点
・i5 8400との比較表で、i5 8400がオーバークロック「可能」となっています。(正:不可能)
・「Ryzen 5 1600Xから何が変わった?」の「Ryzen 5 2600は199ドルで、i5 8400は182ドル」の部分、2600X(229ドル)ではなく2600(199ドル)との比較になっています。
・Far Cry 5のグラフが本文の右側に突き抜けています。
Ryzen 5 2600とi5 8400の比較をしてほしいです。
ゲームはi5 8400はi7 8700Kに近い性能を有しているのは、構造やレイテンシ関係が同様だからですかね。
Ryzen 7 2700Xでもi5 8400には敵わないので、VEGA56以上の性能のGPUがどうしても必要、将来考えているならばコスパ関係なくi5 8400で決まりかなと。
RX580以下ならばあまり差が出ないでしょうから、好みで決めていいかなという印象。
結論付ける前に2600XのSMT切りの結果を出せばいいと思うんだが
自由度高いんだからこういう結果を知りたい
あと海外の外部ソースの引っ張りは大丈夫なのでしょうか?
承諾取ってますか?
SMT切るとエンコードだけでなくレンダリングもi5 8400に負けることになりそうで、もちろんゲームも負けの全敗になるでしょうから、コスパと合わせて厳しい感じがしますね。
レンダリングはしないのでエンコードとゲームに優れるi5 8400を買ってみました。
2万円で買えるコスパ最強のお勧めのCPUだけあって普通に良いですね。
ただクーラーのシンクが1cmちょっと程度の厚みしかなく且つスカスカで重さが無くおもちゃみたいで、こんなので6コア3.8~4.0GHzが冷やせるのか取り付け時は半信半疑でした。
省電力なためでしょうけど何とかなるものなんですね。
あと意外とかなり電圧マージンがあるので性能落とさずTDP45W未満に抑えられそうで、室温30℃を超えてきてもこのおもちゃクーラーで大丈夫そうかなと。
INTELのくせに6コアで2万、そして6コアとは思えない程消費電力が低い。
これだけで満足ですが、下剋上ではないですがそれでいて割と2万円でよりお高いCPUと遜色ないケースが多そうなようですし、非常に満足度が高くなるCPUだなと。
私には必要ないですが、12コア 4万円 3.8-4.0GHz TDP100Wが出てくると売れそう・・・でもそう単純簡単にはいかないのでしょうね。
ryzenかintelか、迷いますねえ…
AviutlのプラグインのH.264エンコードは、どっちが早いんでしょう?
できれば検証お願いします!
最適化されて全コア4.2GHzにすればなんとか..,
『第2世代のRyzenは、レイテンシ縮小とクロックアップでこの問題を解決しようとした。』
応答性はマルチスレッドに最適化のほうが寧ろよりネイティブ6コアのi5 8400が勝ってしまう可能性が高いのは仕方がないでしょう。
クロック数割以上上げられれば少し隠蔽化できるかもしれませんが、4.2GHzでは全然足りずまた消費電力面ではより差が開くでしょうから根本的な解決にならないと思います。
[…] 「Ryzen 5 2600X」はコスパ最強か:「i5 8400」と性能比較 更新日2018.04.28 […]