【自作PC】電源ユニットの選び方を自作経験者がガチ解説する

自作PCについて学んでいくと必ず「電源をケチるのはやめておきたい。」「電源ユニット選びは非常に重要。」という類のアドバイスが見つかると思う。

ではどうやって電源ユニットを選べば良いのか。本記事では20台以上の自作歴がある筆者が、初心者にも分かりやすいように「電源ユニットの選び方」を大マジメに解説したい。

Sponsored Link

なぜ、電源ユニットは大事なのか?

最初に解説しておくことは、「なぜ電源ユニットをしっかりと選ぶ必要があるのか?」ということ。シンプルに言えば、パソコンの故障に最も影響が大きいからです。

ぼくの経験上でも、故障したパーツで電源ユニットがトップ(2番手はHDD)でしたし、某D社が昔売っていたゲーミングPCも電源が原因でクレーム祭りでした。

そして厄介なのが、他のPCパーツと違って、電源ユニットは故障する時に他のパーツも巻き込んで壊す可能性が高いということ。

パソコン全体で総額20万円のシステムが、5000円の安い電源ユニットを使ったがために吹っ飛んでしまった…なんてシャレになりませんからね。

  • PCパーツの故障で多いのは「電源ユニット」
  • PCの心臓部であるだけに、壊れた時の損害が大きめ
  • 安定動作の要でもあるので、テキトーには選べない

以上3点を覚えておけば大丈夫。高額なシステムであればあるほど、そして過酷な使い方であればあるほど、電源ユニットは手を抜けません。

電源ユニットの選び方…とは?

では具体的にどのようにして電源ユニットを選ぶのか。やり方としては「2つの方向から攻めていき、最適な妥協点を見出す。」ということに尽きる。

  1. どんな使い方を想定しているのか?
  2. 予算を重視するか、性能を重視するか?

方向はこの2つ。

大前提として使い方を必ず想定してください。ゲーミングPCとして使う予定なのか、24時間稼働のワークステーションなのか、果ては常時フル稼働のマイニングPCなのか。

それが決まったら、コストパフォーマンスを重視して最適な妥協ポイントを決めたいか、予算は二の次でとにかく安定性 & 大容量でパフォーマンスを取るか。

この2点が決まれば、一気に道は開けます。

「電源容量」の選び方と考え方

「電源容量」とは、電源ユニットが供給できる最大電力量を指します。550Wの電源ユニットなら、電力消費量が550W以下のマシンを動かせる。

しかし、ここで注意したいのが使う予定の消費電力とピッタリ一致する電源容量を選んではダメということです。

ではどれくらいの容量が最適なのか。初心者向けには、必要とする消費電力の1.8~2.0倍にあたる電源容量を選ぶのが安全。と解説する。

初心者もち
え~、消費電力の2倍も必要なの?
自作歴22台のやかもち
そうです。電源ユニットの「寿命」に直結するから。

これを見ての通り、電源ユニットは電源容量に対して使っている割合が多ければ多いほど、動作温度が上昇していく。この熱が大敵で、いろいろな問題の原因になる。

  • 温度の上昇は、特にコンデンサ寿命にとって大打撃
  • 動作温度が上昇すると冷却ファンが回るので、騒音になりやすい
  • 100%稼働に近いほど「効率」は悪化する傾向

要するに「寿命」「騒音」「電気代」に悪影響が及ぶと覚えておけば大丈夫。これで、なぜ消費電力の2倍を推奨するのか、なんとなく分かったかと。

 10℃2倍則(アレニウスの式)

動作温度が10度上昇すれば、電解コンデンサの期待寿命は半減。逆に10度低下すれば、期待寿命は2倍になる。というシンプルな方程式です。

温度が10度高いだけで、10年持つはずだったコンデンサの寿命が5年に減ることを意味しているので、やはり高負荷時の動作温度はバカにできない。

初心者もち
でも予算が大事なので、容量ケチってもいい?
自作歴22台のやかもち
もちろん。ただし、選び方がシビアになります。
  • 初心者にオススメ:消費電力の1.8~2.0倍(400W想定なら720~800Wの電源)
  • コスパ重視:消費電力の1.2~1.3倍(400W想定なら480~520Wの電源)

容量に対する消費電力の割合が増えれば増えるほど、電源ユニットの期待寿命は低下し、より高品質なモノが必要になる。

そして2倍という目安は理想ではあるが、システムの消費電力が大きすぎると実現できなくなる点は注意。たとえば1000W使うシステム。

この場合2倍だと2000W電源が必要になるが、一般向けでは1600Wが最大なので2倍は諦め、期待寿命の長い高品質電源を選ぶしかなくなる。

参考:パーツごとの消費電力

CPUゲーミング時最大負荷時GPUゲーミング時ストレージランダムアクセス時
Core i9 7900X87230GTX 1080 Ti276HDD12.5
Core i7 8700K67160GTX 1080220SATA SSD4.5
Core i7 870066157GTX 1070 Ti180NVMe SSD8.5
Core i5 8600K65123GTX 1070180DC向けSSD20.0
Core i5 840062118GTX 1060 6GB119メモリー負荷時
Core i3 8350K56110GTX 1050 Ti68DDR4 4GB1.5
Pentium G45604590GTX 105064DDR4 8GB3.0
Ryzen TR 1950X90180RX Vega 64293DDR4 16GB6.0
Ryzen7 2700X56105RX Vega 56258DDR3 4GB2.1
Ryzen 5 2400G50100RX 580224DDR3 8GB4.2
Ryzen 3 2200G4488RX 570158DDR3 16GB8.4

現在主流のPCパーツに限定して、消費電力の参考値をまとめておいた。ここから分かることは、意外と消費電力は高くないということだろう。

よくあるハイエンド構成「i7 8700K + GTX 1080 Ti」でも、ゲーミング時に340W前後しか使わない。

人気のあるミドル構成「i5 8400 + GTX 1060 6GB」なら、ゲーミング時にわずか180W程度の消費電力です。

もちろん、これらの想定値にメモリーとストレージの消費電力、そしてマザーボードの消費電力(40~60W程度)も合計するのを忘れずに。

…面倒くさいな、と思ってしまったらOuter Visionの計算機を使えばいい。実測ではなく概算値が計算に使われているので、やや大きめの数字が出るのが難点ですが、ザックリとなら使えます。

初心者もち
Outer Vision超便利~。

電源の「効率」とは / 80 PLUS認証を解説

電源容量が決まったら、次は「効率」について。効率とは何か、簡単に言ってしまえば電源ユニットが使おうとした電力の内、何%が熱になってしまったかを示す。

例えば、効率90%の電源ユニットの場合。PCが100Wを要求すると、電源ユニットには約110W(=100W / 90%)が供給される。10W分は熱として無駄になります。

そう…効率は単に「省電力性に優れる。」というだけでなく、電源ユニットそのものの信頼性に大きく関わる要素なのです。

  • 効率が悪い電源はそれだけ熱が出やすい
  • 熱が出るということは冷却ファンが回る
  • こうして熱は寿命、騒音、省電力性にキズをつける

というわけで、なるべく効率の良い電源を選びたい。そして簡単に効率を見分ける方法が「80 PLUS認証」を確認する方法になります。

2018年現在、80 PLUSは全6種類。チタニウム(Titanium)が最上位で、スタンダード(Standard)が最下位になる。人気が高いのはブロンズ(Bronze)です。

認証ランクごとの、合格性能は以下の通り。

電圧115V230V
規格 / 負荷率10%20%50%100%10%20%50%100%
80 Plus Titanium90%92%94%90%90%94%96%94%
80 Plus Platinum90%92%89%92%94%90%
80 Plus Gold87%90%87%90%92%89%
80 Plus Silver85%88%85%87%90%87%
80 Plus Bronze82%85%82%85%88%85%
80 Plus Standard80%80%80%82%85%82%

これを見てすぐにピンッと来ると思います。よく「Bronze認証で85%の効率を実現する!!」という謳い文句の電源は見かけるが、あくまでも特定の条件に限られている。

80 PLUS Bronzeの合格性能を見てみると、50%負荷時に85%効率ということが分かる。これは電源ユニットの性質で、ほぼ例外なく50%負荷時に最高効率に達するようになっています。

最上位のチタニウム電源も、容量に対して50%の消費電力で最高効率になる。例えばEVGA製「SuperNOVA 1600 T2」の場合、10%負荷で91.6%、50%時に94.4%になる。

200Vコンセントは省電力?

合格性能を見ての通り、電源ユニットは200Vコンセントを使う場合の方が効率が高くなっています。2~5%の差があるので、200Vコンセントの方が省電力性に優れるのは間違いない。

「効率」の選び方と考え方

ここまでの解説で電源ユニットの「効率」について、よく分かったかと思う。では、どれくらいの効率がオススメなのかについて、考え方を紹介します。

目的コスパ重視性能重視
事務用StandardBronze
ゲーミングBronzeGold
ゲーミング(ハイエンド)GoldPlatinum
静音 or 小型GoldPlatinum
ワークステーションPlatinumTitanium

ザックリと用途別に考えると分かりやすい。ExcelやWordしか使わない消費電力の少ないマシンに、GoldやPlatinumは過剰装備です。

一方で24時間稼働が前提で、しかも保守性が求められるワークステーション(Xeonを2個とか4個積んでるマシンなど)の場合はPlatinumを選ぶ価値が大きい。

ゲーミングの場合は、消費電力によって最適な効率が違ってくる。200~300Wくらいしか使わないならBronzeで十分で、450~500WならGoldの方が良い。

なお、熱処理が難しい小型PCは発熱の少ないGold以上がオススメ。静音重視の場合も、熱が少ないほうがファンが回らないため、こちらもGold以上がオススメになる。

出力スペック表の読み方と選び方

あまり気にする必要はないですが、知識として知っておいて損はないので「出力スペック表」の読み方について解説しておきます。

こちら、ちもろぐ製の電源ユニットがあると想定して作った出力スペック表のサンプルです。

  1. AC入力:対応している交流入力の仕様
  2. DC出力:対応している直流出力の系統と最大出力
  3. 最大電流:出力可能な電流の最大値
  4. 最大電力:DC出力 x 最大電流で求められる使用可能な電力量※
  5. 総合電力:この電源ユニットが出力可能な電力量

※ +3.3Vと+5Vは掛け算で求められる最大値ではなく、電源ユニットによってあらかじめ最大値が決まっています。

AC入力

ほぼ全ての一般向け電源ユニットが、100V~240Vの交流電圧に対応しています。だから100Vコンセント、200Vコンセントの両方が使える仕様になっている。

そして周波数は50Hzと60Hzに対応しているのが当たり前。東日本が50Hzで、西日本が60Hzだから、仮に片方しか対応していない電源があったら厄介ですね(そんなモノはもちろん無いが)。

DC出力

一番注目するべきなのは「+12V」系。ここがCPU、グラフィックボード、マザーボード、各種ストレージに電力供給を行っているから特に重要。

そして、+12V系には「シングルレーン」と「マルチレーン」の2種類存在する。シングルレーンは1本の+12Vだけで給電を行えるので、電力不足に陥りにくいのがメリット。

一方で、強い電流が流れるため「短絡」(ショートして故障すること)するリスクがある…と言われている。しかし、電源ユニットには「過電流保護」(OCP)が実装されているので、心配する必要はあまり無い

ではマルチレーンのメリットが何かと言うと、それぞれ独立したレーン毎に電力供給を行うので、シングルレーンよりも安定した電力供給が可能です(…理屈では)。

更に、分割されたレーン毎に過電流保護(OCP)を実装できるため短絡対策(ショートを伏せぐ)として見ても、理屈ではシングルレーンより優秀になる。

デメリットはレーン1本あたりの最大給電量が限定されるわけですから、極端に消費電力の多いパーツがある場合、システムの安定稼働が難しくなる可能性が残されています。

というわけで、特に理由がなければ「シングルレーン」仕様の電源ユニットを選んでください。

グラフィックボードが要求する電力は、ハイエンドになると200Wをザラに超えるため、マルチレーンだと計算が面倒です。必然的に大容量の電源ユニットが必要になるのもデメリットですし…。

初心者もち
マルチレーン仕様で1レーンあたり100Wしか無い電源はゲーミング向けじゃないんだ。
自作歴22台のやかもち
その理解で合ってます。面倒なのでシングルレーン一択でOK。
他の出力系統について

「+3.3V」と「+5V」はあまり出番は無いです。PCI Expressのスロットレーンに+3.3Vが含まれる他、古いPCIe接続の拡張カードで使われることがあります。

「-12V」は…出番がほぼなくなりつつある系統。

「+5Vsb」は、いわゆるスタンバイ電源と呼ばれる。その名の通り、Windowsのスタンバイ / スリープモードで使用され、その間のメモリー上のデータ保持に使われている(DRAMは揮発性メモリなので、通電しないとデータが消える)

このスタンバイ電源は電源ユニットがコンセントに接続されている限りは機能します。ちなみにWindows Vista以降は、2.0A以上のスタンバイ電源が推奨されています。

最近の電源ユニットはそういったWindows事情を理解しているのか、ほとんどの場合は+5Vsbに3.0Aが割り当てられているので、特に気にしなくても良いんですけどね。

ケーブル仕様:プラグイン型がやはり便利

次は電源ユニットの各種ケーブルがどのように取り付けられているのかについて。現在は、3種類の取り付け方法があり、選択肢はかなり限定的です。

仕様直付けNon-ModularセミプラグインSemi-ModularフルプラグインFull-Modular
画像
  • フルプラグイン:全てのケーブルが独立
  • セミプラグイン:一部のケーブルだけ独立
  • 直付け:全てのケーブルが電源ユニット側に固定

これ、結論がカンタンに出てしまうんですよ。ケーブルマネージメント(配線のしやすさ)的な観点から見ると、プラグイン型でほぼ決まりです。

ただし、全てのケーブルを着脱可能な「フルプラグイン」(別名:フルモジュラー式)は割りと高価な電源ユニットで採用されるのでコスパは劣りやすい。

安い電源だとせいぜい「セミプラグイン」(別名:セミモジュラー式)が良いところで、大抵は「直付け」タイプの電源ユニットで占められる。

ケーブルの種類と長さは要チェック

ケーブル名画像(拡大あり)用途備考
24/20pin ATXマザーボードへの給電。
8pin EPS12VCPUへの給電。4pinタイプは「4pin ATX12V」と言う。
FDDケーブルフロッピーディスクドライブへの給電が主。「おまけ」みたいな扱いになっている。
MOLEX 4pinストレージ用に使われるが、最近はもっぱら延長ケーブルの変換コネクタとして使われることが多い印象。あとは、簡易水冷のファン分岐ケーブルにも。別名はペリフェラルコネクタとも。給電能力は132Wほど。
PCIeコネクタ主にグラフィックボードの補助電源コネクタに使う。6pinで最大75W、8pinになると最大150Wの給電が可能になる。
SATAコネクタ主にSATAデバイス用(DVD、HDD、SSDなど)。給電能力は54W前後。
電源ケーブルコンセントと電源ユニットをつなぐケーブル。

パソコンを稼働させるために必要なケーブルは、どの電源ユニットにも例外なく入っているのでそこまで気にする必要はない。

  • 小型ケース(Mini-ITXなど):ケーブルが長すぎるとジャマになる
  • 大型ケース(E-ATXなど):ケーブルが短いと取り回しがキツイかも

しかし、使う予定のPCパーツが多い場合や、ケース内での配線の取り回しの関係で長いケーブルが必要だ…など。理由がある場合は事前にチェックしておこう。

ゲーマー向けのアドバイスはPCIeコネクタの数に注意するくらい。例えば、「RX Vega 64」は8pin 補助電源コネクタを2個必要とするので、電源容量の少ないユニットには必要な端子が無いかもしれない。

電源容量の多いユニットほど、付属するケーブルが多くなります。逆に容量の少ない電源ユニットには、必要最低限のケーブルしか付属されない傾向がある。

自作PC組立時の注意

「8pin EPS12V」と「8pin PCIeコネクタ」(普通は6pinと2pinに分割されているが、一体型になっている場合もある)は、見た目がとても似ているので挿し間違えに注意。

たまに価格コムの質問板で見かける「CPUにコネクタが挿さりません。コネクタの形成不良でしょうか?」という類の問題は、だいたい挿し間違えです。

電源ユニットによっては親切に「CPU」「PCIe」の印字が入っているが、何も書かれていない電源ユニットも当然ある。

ATXとEPS電源の違い

ATX電源の仕様(規格)はIntelが単独で策定し、EPS電源の仕様はIntelを含め、ヒューレット・パッカード(HP)、IBM、Dellなどで構成される「Server System Infrastructure Forum」によって策定されているのが大きな違い。

まぁ…小難しい話は置いておいて、ものすごく雑にまとめます。

  • ATX電源:CPU用コネクタが1本
  • EPS電源:CPU用コネクタが2~4本くらい

最も大きな違いはこれだけです。ATXが明らかに一般向けで、EPSはデュアルソケットやクアッドソケットに対応可能な規格ということ。

しかし一般向けの電源ユニットでも、容量が多い(800W以上)モデルだと「ATX / EPS電源」という表記で、両方に対応していることが多いですね。

PCケースに入るフォームファクタ(形状)を選ぶ

マザーボードにATXやMicroATXといったフォームファクタに関する規格があるように、電源ユニットにも横幅・奥行き・高さを決める規格がある。

フォームファクタ奥行き高さ横幅備考
ATX140mm以上86mm150mm奥行きの長い電源はケースに入るか要チェック。
SFX-L100mm以上63.5mm125mm奥行きは長くても125mmだが、やはり事前確認は大事。
SFX100mm63.5mm125mmサイズが完全固定なので、SFX対応ケースなら確実に入る。

現在、一般向けに流通している電源ユニットのほとんどが「ATX」「SFX-L」「SFX」の3種に分類できる。それぞれサイズが全然違うので、ケース側の対応規格は要チェック

大抵のPCケースはATXサイズの電源に対応しているが、このATXという規格は高さと横幅は固定だが、奥行きは140mm以上なので電源ユニットによって200mmのモノもある。

ATX対応ケースも当然、140mmに余裕をもたせたスペースを用意してあるが、Corsar HX1200iのように200mmクラスの電源ユニットは想定していないかもしれない。

特に電源ユニットをトップ側に搭載するタイプのケースは、5.25インチベイと干渉して奥行きの長い電源ユニットは搭載できない可能性が高いです。

一方で、ボトム側に搭載するタイプなら、マウントベイと干渉することが少ないので電源ユニットの奥行きが問題になることはあまり無い。

初心者もち
形が長~い電源はケースに入り切るか、よく調べないとダメなんだね。
自作歴22台のやかもち
そういうこと。「直付け」型はケーブルの取り回し分を考慮する必要もあるから要注意。

電源ユニットの冷却ファンの種類と動作仕様

電源ユニット選びにおいて「冷却ファン」はかなり重要な要素です。「電源容量」「効率」の解説に書いたとおり、熱は寿命・騒音に関わるからね。

ファン動作仕様:ファンレス(パッシブ冷却)

動作温度に応じてファン回転数を上昇させるのが普通の動作ですが、他に「ファンレス」(パッシブ)と「セミファンレス」(セミパッシブ)の2種類がある。

ファンレスは文字通り、冷却ファンが搭載されていない電源ユニットのこと。超静音を狙える仕様ですが、使えば必ず発熱するので、エアフローで対処するなど上級者向け

もちろん例外は「予算に糸目をつけない」場合です。予算に制限がないなら、とにかく高品質なコンポーネントが採用されていて、効率の高い電源ユニットを選べば、ハズレを引く確率は一気に低くなる。

例えばSeasonic製「SSR-600TL」はほぼ完全無音でありながら、100%負荷時に45℃で抑える(気温25℃)という驚異的な熱処理性能を持っている。

SSR-600TL:600Wモデルの価格が199ドル(23000円くらい)なので、コスパは最悪です。

ファン動作仕様:セミファンレス

「静音にしたいけど、ファンレスは高すぎる…」という人にオススメなのがセミファンレス仕様の電源ユニット。国内ではCorsair製が特に有名かもしれません。

さて、基本的にセミファンレスは負荷率に応じて段階的にファン回転数を切り替えるタイプが多い。動作温度に応じて切り替えるタイプはあまり見かけない。

負荷率に応じて…というところが肝で、40%負荷になるまでファンが回らないため、動作温度が想定以上に上昇していても冷えることがなく寿命を縮めてしまう可能性が残されます。

しかし、セミファンレスを採用するメーカーもそこまで間抜けなことはなく、最大負荷時の温度を設計レベルで抑制していたり、熱耐性の高い105℃コンデンサを採用するなどして対策しているのが当たり前。

とはいえ、念のためセミファンレスを選ぶ場合はレビューなどを確認して「ファンが回っていない間は高温になるので、大容量はやめた方が良いかも。」なんて一文が無いかチェックした方がいい。

初心者もち
どの冷却仕様がオススメなの?
自作歴22台のやかもち
ぼくは無難にノーマルタイプをおすすめしてる。騒音値はファンの種類に左右されるからね。

冷却ファンの選び方:種類と口径

ノーマルタイプ、セミファンレスともに静音性にもっとも影響が大きいのは搭載されているファンの種類と口径です。

ファン口径
  • 80mm
  • 120mm
  • 135mm
  • 140mm

口径は全部で4種類あり、ファン口径が大きいほど同じ回転数で得られる送風量が上昇するので、大きいほど「静かなまま冷やせる。」という意味になる。

最近のハイエンド電源では135mm~140mmの大型ファンを搭載するモデルが増えてきているので、とりあえず静音を狙うなら大きいファンを搭載した電源を選ぶのが良い。

ファンの種類
  • スリーブベアリングファン
  • ダブルボールベアリングファン
  • 流体動圧軸受ファン(略:FDB)

そして、こだわるならファンの種類(=軸受技術)にも注目。

スリーブベアリングファンSleeve Bearing Fans

「スリーブベアリングファン」はもっともポピュラーなファンです。低コストで製造可能で、低回転時にノイズが発生しにくいのが最大の特徴。

寿命は上に挙げた3種の中でもっとも短い。高温環境であればあるほど、ベアリング内部の潤滑油が蒸発しやすくなるため、温度で寿命が低下しやすい。

  • 「安さ」が一番の強み
  • 設計上、音が発生しにくい
  • 低回転時の静音性は特に優秀
  • 設計寿命は短め(良品だと30000時間くらい)
  • 熱に弱い
  • 垂直設置が前提(水平設置は寿命に悪影響)

寿命が短いのがデメリットですが、ファンそれ自体が自己冷却していることもあり、思っているよりは長持ちします。30000時間というと、約3年強ですからね。

ちなみに2015年8月から使っていた「Corsair CX430M」という電源が、2018年5月に壊れました。ファンが激しい異音を発する、ファンの故障です。

このCX430Mに採用されていたファンが、まさしくスリーブベアリングファンだった。ほぼ24時間稼働で33ヶ月、約23760時間も持った計算になる。

だから5000円前後の電源ユニットは、3年保証が多いんですよ。

ダブルボールベアリングファンBall Bearing Fans

水平設置に弱いスリーブベアリングは、そもそも水平設置が前提の電源ユニットには不向きです。そこで、やや価格の高い電源ユニットにはボールベアリング式が採用される傾向。

  • 設計寿命が長い(50000時間以上)
  • 高温環境でも寿命があまり変わらない
  • 設置方法に制限なし
  • 摩擦が多いので低回転時のノイズがやや存在する
  • スリーブベアリングより静音性が劣りやすい

意外かも知れないが、静音性では設計上どうしても摩擦が多いためスリーブベアリングに劣りやすい。ボールベアリングの強みはとにかく「高寿命」と「設置の自由度」です。

電源ユニットに長持ちして欲しいなら、ダブルボールベアリング採用のユニットを選べば、ほぼ間違いない。

流体動圧軸受ファンFluid Dynamic Bearing Fans

ものすごくザックリ言うと、流体動圧軸受ファンはスリーブベアリングファンの完全上位版といったところです。流体(潤滑油)の動圧を用いてシャフトを動かすことで、ファンを回転させる仕組み。

もともとFDBの技術はHDD用に生まれた事情もあり、圧倒的な「低騒音」「低振動」を実現している。更に、省電力性とボールベアリングを遥かに凌駕する耐久性まで兼ね備えている。

  • 驚異的な設計寿命の長さ(30万時間)
  • 流体動圧のおかげでシャフトと非接触なので静音性に優れる
  • ファン自体の消費電力が少なめ
  • 設置方法に制限なし
  • コストが高い

電源ユニットに採用されるファンの中では、おおむね最強クラスです。価格が高いという点を除き、欠点がほとんど無い。

1万円を超える電源ユニットでよく採用されており、1.5万円以上のハイエンド電源になるとだいたい何らかのFDBファンを採用しています。

FDBから派生した軸受技術たち

FDB以外にも、似た構造を持つ軸受があるのでいくつか紹介しておきます。

  • ループダイナミックベアリングファン(LDB)
  • ハイドロダイナミックベアリングファン(HDB)

「ループダイナミックベアリングファン」は、流体動圧軸受ファンに改良を加えた技術。Cooler MasterのSilencioファンが特に有名(とても静かです)。

「ハイドロダイナミックベアリングファン」は、直訳すると水圧動圧軸受。ほとんどFDBと似た構造を持っており、性質はFDBと大差ない。特許権の関係で、HDBと名付けている事情があるらしい。

※ FDBの特許権は松下電器産業(現:パナソニック)が保有している。

ファンの種類:静音性と耐久性の違いまとめ

ファンの軸受ごとの違いをまとめると、このイラストの通りです。

寿命にこだわるなら「電解コンデンサ」も確認する

「CX430M」に搭載されている日本ケミコン製コンデンサ

電源ユニットにはAC入力側とDC出力側に「電解コンデンサ」が設置されている。AC側を1次コンデンサ、DC側を2次コンデンサと呼ぶ。

100%負荷時のリップルが25mV前後ならそこそこ高品質

そして、この電解コンデンサの品質によって、出力の安定性(=リップル)がかなり決まる傾向があり、発生したリップルはPCの安定性やパーツの寿命に一定の影響力を持っている。

もちろん、電解コンデンサの品質は出力の安定性だけでなく、コンデンサ自体の発熱にも関わっているため、深く踏み込んで電源選びをしたいならコンデンサも選んでみたいところ。

初心者もち
でもどうやって選べばいいの?
自作歴22台のやかもち
基本的にはメーカーで選ぶことになるよ。
品質メーカー備考
★★★★★ルビコンこの3社は特に有名。各社ハイエンド電源で採用例が多い。
日本ケミコン
ニチコン
パナソニック高品質。ミドルクラス電源で採用例がたまにある。
日立
★★★★TEAPO日本3社ほどではないが、品質は高い方。台湾のNo1メーカー。
ELNA
サン電子工業(Suncon)
FPCAP元は富士通のコンデンサ部門。ポリマーコンデンサで採用例が多い。
★★★Taiconニチコンの合弁会社
東伸工業

ルビコン、ケミコン、ニチコンあたりの電解コンデンサが採用されているなら文句なし。「Seasonic、 Flextronics、SuperFlower」など採用例はとても多い。

TEAPOやパナソニックは、ミドルクラス電源で人気の高い「玄人志向、ATNG 、Enhance、DELTA、HEC、CWT、FSP」などでよく採用されていると言われています。

Thermaltake「Toughpower Grand」より

なお、日本メーカーの高品質コンデンサを採用している電源ユニットは基本的に製品ページで「謳い文句」にしてくるので、見つけるのはカンタンです。

このThermaltakeの電源ユニットの場合、日本製コンデンサ採用と書いており、更に写真が掲載されている。「nichicon」(ニチコン)と書かれているので、ニチコン製だと分かる。

CoolerMaster「V750 Semi-Modular」より

クーラーマスターのミドルクラス電源「V750 Semi-Modular」では、写真をよく見て分かる通り「Panasonic」(パナソニック)製のコンデンサです。

初心者もち
とりあえず日本製なら間違いないんだね。
自作歴22台のやかもち
その認識で構わないよ。
コンデンサとリップル抑制

電源ユニットの各種コネクタの差込口は、モジュラーボードという基盤につながっています。そして、このモジュラーボードに「導電性高分子コンデンサ」(ポリマーコンデンサとも)を取り付けることでリップル抑制を実現する製品が多いです。

なぜ導電性高分子コンデンサを用いることでリップルを抑制できるのか…理屈としては、導電性高分子コンデンサは「低ESR」(抵抗が極めて低い)だから。そのため、出力電圧の平滑化に用いることで、リップル電圧を抑えられる。

よって、高分子コンデンサがどれだけモジュラーボードに取り付けられているかで「この電源はポリマーコンデンサたくさんついてるし、しかもケミコン製だからリップル少ないんだろうな。」と推測が出来るようになります。

…と、一応解説したが。残念なことに電源の中身を掲載する製品ページは多くても、モジュラーボードまで公開しているページが少ないです。よって、英語版Googleの画像検索などで型番を調べて、内部画像を見つけ出さないとこの推測方法は使えません。

豆知識としては、低価格なのにリップルが低い電源はFPCAP製の安価なポリマーコンデンサを多めに取り付けゴリ押しでリップル抑制を果たす傾向があります。ハイエンド電源はポリマーコンデンサまでルビコンやケミコンといったトップメーカー製をふんだんに使っている傾向。

※「コンデンサとリップル抑制」は2018/07/17に追記した項目です。

「保証期間」は信頼性を測る分かりやすいステータス

電源ユニットはPCパーツの中で、もっとも壊れやすい傾向がある(と…言っても、過去に自作PCを22台組み立てて来て、壊れた電源は2個だけだが)

そこで、初心者にオススメの「とても簡単に信頼性の高い電源を選ぶ方法」が、保証期間を確認するというもの。

多少なりとも信頼性を求めているなら、保証期間が「3年」の電源ユニットを選ぶのがコストパフォーマンス的に見てもちょうど良いラインです。

逆に「1年」しか無い電源ユニットは、さすがに怖いので避けたいところ。「5年」も保証されている電源ユニットなら、おおむね怖いものなし。

「メーカー」で電源を選ぶのは有効なのか?

電源ユニットを選ぶ上で知っておきたい、基本的な知識についてはほぼ全て解説できた。しかし、まだ解説していないことがある。「メーカー」の良し悪しです。

実は、このメーカーというものが割りと厄介だったりする要素なんですよね。理由はシンプルで、多くの電源ユニットがOEMで成り立っているからです。

たとえば、電源ユニットブランドとして国内で屈指の知名度を持つ「コルセア」。実際のところ、コルセアが電源ユニットを作っているわけではない。

グレード製造元(OEM)備考
VXHEC品質はまぁまぁ、普通の電源ですね。
CXGreat Wallいわゆる「中華電源」。積極的に選ぶ気にならない。
TX
SF
RMxCWT米国企業。正式名称は「Channel Well Technology」です。無難に高品質という感じ。
RMi
HXi
AXSeasonic言わずと知れたシーソニック電源(略:紫蘇)。信頼性はトップクラス。
AXiFlextronics世界第2位のEMSです。半端なく高い技術力があり、信頼性は同様に高い。

このように製品グレードごとに、主に「HEC」「Great Wall」「CWT」「Seasonic」「Flextronics」の5社が電源ユニットを製造しているのが実態。

初心者もち
じゃ、コルセアの電源って良いの?って質問するのは…
自作歴22台のやかもち
HEC、CWT、それともFlextronicsのことを聞いてるの?
初心者もち
ってことになっちゃうのか…。ややこしぃ。

結論としてメーカーで電源ユニットを選ぶのは、それなりに難易度が高い。だから製品仕様をしっかりと読み解いて、自分の用途に合う電源ユニットを選ぶのが現実的なんです。

もちろん、好奇心があり、本気でOEM元から調べて選び抜きたい…と思うのは全然OK。ぼくもそういうタイプの人間ですし、ある程度の調べ方も知ってます。

OEM情報を調べるのにオススメのサイトは「RealHardTechX」が最高。掲載メーカーが多く、更新頻度もかなり速いです。コルセアもここを見ればほぼ間違いない。

次にオススメなのが「OrionPsuDB」。掲載メーカーは多くないし、更新頻度もイマイチだが玄人志向のOEM元が掲載されているので、ある意味で貴重。

コルセアとサーマルテイク

紹介したOEM情報を見れば、コルセアとサーマルテイクの製造元がおおむね「CWT」であることが分かるはず。そう…どちらも有名なメーカーだが、実質的には同じ電源ユニットなんですよ…。

【豆知識】80 PLUSのレポートについて

2018/07/17 : 本項目の内容を修正しました。

電源ユニットの「効率」を認証している80 PLUSが公開しているレポートについて、ちょっとした豆知識として紹介しておきます。

80 PLUSから正式に認証を受けた電源ユニットは、その合格証明として検証データが80 PLUSの公式サイトにアップされています。

試しにCoolerMasterの「V750 Semi-Modular」の証明データを見てみる。データの下の方で、負荷率(10% / 20% / 50% / 100%)ごとの効率や力率(PF)を確認できるほか…

電源ユニットへ入力された電圧と電流の「波形」データが掲載されています。この2つの波形が一致していればいるほど、より効率の良い仕事をしやすくなる。

そしてグラフがキレイに一致していればいるほど「ノイズ」が少なくなる効果もあります。発生したノイズは皮相電力としてコンセントに戻っていくわけですが…、ノイズが多いとコンセントに接続されている他の機器に悪影響を及ぼす可能性がある。

たとえば誤動作やコイル鳴き。ぼくが実際に体験した例としては、モバイルスピーカーの「サーッ」というホワイトノイズ。スピーカーがつながっているコンセントから、スマホの充電器を抜くとノイズが消えたことがあります(充電器がノイズ発生源)。

というわけで、良い電源ユニットを見つけたら、ついでに80 PLUSでレポートを確認しておくのは悪くない。

「電圧波形」の読み方
型番電圧波形評価備考
SuperNOVA 1600 T2非常に良いSeasonicやSuperFlowerの作る、超ハイエンド電源によくある波形。最高ですが…高いです。
RPS0036良い各種保護回路の影響で、「非常に良い」から落ちてくる電源ユニットも多い。基本的にこのランクならほぼ最高です。
RS-750-AMAA-G1普通多くのユーザーにとって満足できる水準。実用上の問題はほとんど無いです。
HEC-350TE悪い選ぶべきではない(現在はこのような電源は極めて稀ですが)。

とはいえ、最近の電源ユニットには「Active PFC」と呼ばれる回路を使うのが当たり前なので、力率はほぼ100%になりやすい。そのため多くの電源ユニットが概ね「普通」ランクの波形を描く傾向が強い。よって選ぶ余地は少ないです。

特に玄人志向(海外ではCFD Sales.)はその傾向が強く、安い割には電圧と電流の波形ブレがものすごく抑えられているので、ノイズの発生源になることは極めて稀。

ニセ認証を見抜く観点から有用な80 PLUS

発売から時間が経っていない新製品の場合は、80 PLUSに掲載されるまでにタイムラグがあるのでしばらく待ってみましょう。

発売から半年~1年以上も経過しているにも関わらず、80 PLUSになかなか掲載されない電源ユニットは「ニセ認証」の可能性があるので、選ばないように。

80 PLUSを取得した商用電源は、ほぼ例外なく「80 PLUS Certified」でPDFレポートが公開されます。詐欺商品を見分ける上でも80 PLUSはとても有用です。

Sponsored Link

電源ユニットの選び方をまとめます

電源ユニットは脇役のように思えるが、非常に奥の深いPCパーツです。だから一つ一つの要素を丁寧に解説しようとすると、思った以上に長文になってしまいました。

では、ここまで解説してきた電源ユニットの選び方を、初心者向けにザックリとまとめて終わりたい。

  1. 計算機サイトなどを使い、想定電力量を求める
  2. 求めた電力量の1.8~2.0倍の容量を選択肢にする
  3. 用途と予算に応じて「効率」(80 PLUS)を決める
  4. +12Vがシングルレーンか確認する(特にゲーム目的の場合)
  5. 予算に応じてケーブル仕様を決める、できればプラグインが良い
  6. ケーブルの長さ、種類が必要十分かチェックする
  7. フォームファクタがPCケースに合っているか確認する
  8. 予算に応じてファン仕様を選ぶ(ファンレスは上級者向け)
  9. ファン口径を決める、できれば大きい方が良い
  10. 予算に応じて、ファンの軸受を決める
  11. コンデンサは出来れば日本製がオススメ(次第点はTEAPO製)
  12. 保証期間は3年が良い、予算に余裕があるなら5年以上

ザックリ12工程でまとまりました。さっそく予行演習をやってみましょう。

電源ユニット選び / 予行演習

初心者もち
うーん、「i3 8100とGTX 1060」だと計算機で300Wって出た。
自作歴22台のやかもち
じゃあ540~600Wが選択肢だね。3つ選んでみて。
候補の電源ユニット価格容量
KRPW-N600W/85+5600円600W
AU-550X8800円550W
ETL550AWT-M9200円550W

なかなか渋いチョイスになりました。電源ユニットは他にもたくさんあるが、とりあえずこの3つから選び分けていこうと思う。順番に要素を見ていって、妥協点を決めていく。

候補の電源ユニット価格容量効率+12Vレーン
KRPW-N600W/85+5600円600WBronzeシングル50A
AU-550X8800円550WGoldシングル45A
ETL550AWT-M9200円550WBronzeシングル42A
効率はどれもBronze以上。AU-550XだけがGold認証で、ETL550は価格が高い割にBronze認証です。そして+12Vの系統はどれもシングル。

42A~50Aで、+12Vの供給電力は504~600Wとなる。今回のマシンは300W前後(計算機調べ)が想定されているので、どれを選んでも問題ないな。

とはいえ、既にETL550はコスパが微妙という印象を受ける。3つの中で最も高価にも関わらず、+12V出力はもっとも低く、認証はBronzeだからね。

初心者もち
あっ…言い忘れた。ケースはVersa H26だよ。

ATXケース。電源はボトム置きで、奥行220mmまで。

候補の電源ユニット価格ケーブル長さ・種類サイズ
KRPW-N600W/85+5600円直付け十分ATX(奥125mm
AU-550X8800円フルプラグイン十分ATX(奥140mm)
ETL550AWT-M9200円セミプラグイン十分ATX(奥140mm)

安価なKRPW-N600Wは、やはり値段相応で「直付け」タイプのケーブル。長さと種類はゲーム目的には十分で、サイズも奥行き125mmで余裕余裕。

AU-550Xはフルプラグインで組み立てがラクそう。奥行きは140mmで問題なし。ETL550は…高い割にセミプラグイン止まりか。コスパが微妙ですね。

どの選択肢も標準的なATXファクタに収まっているため、Versa H26に搭載するのは問題ない。標準的なケースなのでケーブル類の長さ、種類も不足ない。

候補の電源ユニット価格ファン口径軸受コンデンサ
KRPW-N600W/85+5600円120mmスリーブ不明
AU-550X8800円120mmFDB日本製105℃
ETL550AWT-M9200円120mm2ボール日本製85℃
ファン口径はすべて120mmなので選ぶ余地なし。余裕を持って1.8~2.0倍の容量を選んでいるから、120mmファンで十分な冷却力は得られると考える。

そして軸受。ここは価格差が出ているところですね。安いKRPW-N600Wは典型的な「スリーブベアリングファン」なので、毎日使っていれば3年後に壊れる可能性あり。

AU-550Xは贅沢に「流体動圧軸受ファン(FDB)」だから、ファンの寿命を気にする必要はほぼ無いし、静音性にも期待が出来る。

ETL550は「ダブルボールベアリング」。寿命は長いですが、静音性は分かりません。負荷率はせいぜい50%なので、十分に静かだとは想定できるが。

最後にコンデンサ。KRPWは残念ながら「不明」です。AU-550Xは嬉しいことに「日本製の105℃」を採用している。ETL550は日本製だが、85℃コンデンサでした。

候補の電源ユニット価格保証期間
KRPW-N600W/85+5600円3年
AU-550X8800円5年
ETL550AWT-M9200円3年

保証期間はKRPWとETLが「3年」で、AU-550Xだけが「5年」。よし、これならだいたい決まったかな。あとは予算を取るか取らないかで決定だ

初心者もち
これだと「KRPW-N600W」か「AU-550」のどっちかじゃん。
自作歴22台のやかもち
値段は3000円違うが、差額を払う価値を感じる?
初心者もち
+3200円で「Gold認証・FDB・国産105℃・5年保証・フルプラグイン」だよ?AU-550X取るに決まってるじゃん~…。

というわけで、予行演習の結果「Cyonic AU-550X」に決まりました。実際にやってみると、そこまで難しいところは無かったはずです。

AU-550Xは価格コムの売れ筋ランクは52位※と低いですが、こうやって丁寧に要素を一つ一つ選んでいけば、ある程度たどり着ける結論の一つだったりする。

※ 2018年7月時点。


ここまで約18800文字…お疲れ様です。ここまで読んだ、ということは、少なくとも平均以上の電源ユニットに関する知識を得られたということになる。

本記事で得た知識と選び方と、80 PLUSやOEMデータと言った情報源を駆使して、初心者さんが今まで以上の楽しい電源ユニット選びが出来るようになれば幸いです。

以上「電源ユニットの選び方を自作経験者がガチ解説する」でした。

筆者がおすすめする電源ユニットは?

リクエストが有りましたので、容量別に厳選してまとめてみました。ハイエンド電源のオススメまとめは多いですが、ローエンドからミドルクラスをまとめた記事は少ないので…頑張って選定した。

自作歴22台のやかもち
ローエンドの方が選ぶのが難しいです…。

自作PCガイド記事へ

マニアックな内容も含め、よくあるスペックの読み方だけでなく、かなり踏み込んだ内容を解説した「CPUの選び方ガイド」です。平均以上の知識を得たければ、ぜひ読んでみて。

予算18万円で、Intelに対して猛威を振るっている「AMD Ryzen」を使って自作する記事。これさえ読めばRyzenで自作できるので、Ryzenで組みたいと思っている人は特にオススメ。

おすすめのグラフィックボードを解説する記事。ある程度客観的なデータに基いて紹介しているので、テキトーなオススメ記事よりずっと参考になります。

Sponsored Link

33 件のコメント

  • 電源のリクエストをした者です。
    とてもわかりやすい解説ありがとうございます!
    antecのneo eco goldは中身がseasonicと同じということを聞きますが本当ですか?

    • 内部画像を見る限り「Seasonic Focus Plus」とコンポーネントの並びが酷似していますし、
      海外で売られている同等品(EA750G PRO)のOEMがSeasonicなので、実質Seasonic品と見てほぼ間違いないです。

  • 記事作成お疲れさまでした。
    省スペースで音楽や映画鑑賞用に Silverstone Nightjar NJ450-SXL を検討しています。
    まだ発売されたばかりで情報が少ないですが、いかがなものでしょうか?
    ケースは NCASE M1 、CPU は AMD Ryzen 5 2400G 、SATA SSD x1 の構成です。

    • 情報が本当に少ないですね…。NJ450の1世代前はSeasonicが製造を担当していましたが、今回は密閉型で内部が見えないので分からない。
      とはいえ、発熱の多いコンポーネントを優先的にヒートシンク側に密接させる設計になっているので、熱処理性能はそこそこあると思います。

      メーカー曰く100%負荷時に40度に抑えると製品ページで謳っている(計測条件が不明ですが…)ので、
      その構成ならせいぜい30~40%負荷で済むことに。よって、そもそもの発熱があまり多くないため、やはり熱の心配はかなり少ないと推測します。

      ケースのリア(背面)とサイドに、ケースファンを取り付けて一方向のエアフローを確保してやれば、問題なく使えると思いますよ。

  • 大容量の高グレード電源はあまり悩まないですが低予算機で組むってときの電源選びって難しいですよね
    やかもちさんは例えばRyzen2200Gや2400GのAPUでグラボなし構成だとどの電源を推しますか?
    私はKRPW-L5-400W/80+で十分じゃないかと思いますが……

    • 「KRPW-L5-400W/80+」で十分だと思います。Ryzen 5 2400Gだと、システム全体でせいぜい180W(最大負荷)くらいなので。
      ただ、保証が1年しか無いので寿命は期待できないですね。まぁ…価格帯を考えると、定期的に交換する前提で選ぶ人が多そうな電源です。

  • ハイエンド電源を選ぶときはあまり悩まないですが
    RyzenAPUグラボ無し構成なんかの小規模構成だとかえって迷いますよね
    KRPW-L5-400W/80+辺りでもういいんじゃないかなって気もしてきますが不安感は残るといいますか

    • あれ、送信失敗したと思って打ち直したんですが送信出来てたんですね
      コメント欄を汚してしまって失礼しました……。

  • Core i5 8400+GTX1070+SSD*2+HDD4TB、ケースはVersa H26です。
    今手元にあるのは、玄人志向のKRPW-PT700W/92+ REV2.0なんですが、過剰気味ですかね?

    • その構成に対して過剰かと言われると…。
      確かに容量を抑えて、もうちょっと品質の高い電源を選んでみたい。と、個人的には思います。

      それにしても700Wのプラチナ電源が、1万円弱とは。すごいですね。効率と出力安定性に極振りして、
      他は削った(ファンが安物)というところですかね。(玄人志向らしいと言えますが。)

  • 記事を読んで目から鱗。
    BTOですが、迷ったけど高い電源にして良かった。
    他のパーツは壊れたことないけど電源だけは壊れたことがあります。

  • 過剰に大きい電源選ぶと効率悪すぎることになって結局丁度50%負荷の電源より消費電力多くなるのかな?

  • 最近の電源は判りませんが、16年以上前は安物を購入すると冬場に初期投入の電力が得られずに起動できず暖気が必要になるようなこともありましたので、良いものを購入するに越したことは無いと思います。
    当時の自作市場では電源なんて高容量であれば安物で十分といった風潮があり、売られている電源も多くは無個性で作りの粗悪なものが多かった思い出があります。

  • ここまで詳しくPC電源について解説したサイトは今まで見たことないです
    これからも頑張ってください

  • こんなに分かりやすい記事は初めて見ました。同時に15年ほど自作してたのに知らないことがたくさんあって恥ずかしくなりました。
    しかし、知りたいこと全て書いてあってテンションあがりました。ここまでまとめられるには相当な手間がかかりますよね。

  • 電解コンデンサに関しては、80年~90年頃の国産PCに採用されていた、
    四級塩電解液を使用した電解コンデンサが、後に液漏れを起こすという不具合が発覚し、
    実際自分が使ってたX68000という当時のPCも、「ジジジジジ…」とショートを起こして電源部が死んだので、
    この件に関してはちょっと気にかけていました。
    (本来四級塩コンデンサというのは長寿命を謳っていたらしく、悪気があってやった事では無かったのですが)

    そんな事もあり、8年前に店頭でBTOを注文した時は、電源だけは良い物をとSeasonicのSS-750KMに変更してもらい、
    その代わりにグラボをGTX460からGTS240にグレードダウンしてもらおうとしたものの、
    電源変更を申し出た瞬間、「それはお目が高い!だったらCPUクーラーをCNPS-9900にして、あとあれをこうして…」
    と店員がヒャッハーしてしまい、結局グラボのグレードダウンを言い出せなかったというヘタレな思い出が。
    まあそのおかげか、8年経った今でも動いていますが…何年位動くんだろうなこれ?

  • Ryzenの2700XでPCを自作したいのですがX470マザーボードの場合、ESP端子の数が8pin*2のことが多いので電源ユニットの選択に苦戦しています。
    750wクラスの玄人志向のKRPW-GK750W/90+とCorsairのRM750xとThermaltakeのRGB -750W -NON DPS- 80+GOLDで悩んでいるのですが足りないですかね……?

    • ESP端子って、CPUコネクタのことでしょうか(4pin ATX12Vまたは8pin EPS12V)。

      CPUコネクタは4ピンで最大144W(12A x 12V)の給電能力があるので、8ピンで288Wに達します。
      8ピン x2 = 16ピンだと576Wもの給電能力になりますが、Ryzen 7 2700Xをオーバークロックしても
      現実的な設備で出来るオーバークロックでは200Wにすら届かないです。せいぜい160Wが良いところでしょう。

      だから16ピンすべてに挿し込む必要はなく、実用上は8ピンあれば十分足ります(もし心配であれば、余裕を持って8ピン + 4ピンでも構いません)。

      なお、ぼくは実際に「KRPW-GK750W/90+」を使ってRyzen 7 2700Xマシンを1台組んでいますが、安定稼働中。
      Ryzen 7 2700Xとグラボ1枚程度なら、750Wもあれば十分ということです。

      参考:「AMD Ryzenで自作PC」を初心者でも出来るように徹底解説

      以上、参考になれば幸いです。

  • 素晴らしい記事です。
    自作を長らくしていますが、電源に関して今まで一番わかりやすい記事でした。
    参考にさせていただきます。

  • PCの電源に関して大変わかりやすく情報量がある良い記事だと思いました。

    ただ気になる点があったのですが、”出力の安定性で選ぶ方法”の項目で
    80PLUS公式サイトのデータよりInput Current and Voltage Waveformsのグラフを
    引用されておりますが、こちらのグラフは入力電圧に対する入力電流波形であり電源入力の力率に関する波形です。
    入力電圧と入力電流の波形が相似であるほど力率が高く、商用電源側へのノイズ放出が少ないと言えます。
    ですが出力電圧の安定度を示すデータとは言えないと思います。

    80PLUS公式サイトの 80 PLUS Verification and Testing Reportから読み取れる出力電圧の安定度を示すデータとしては
    負荷変動(Light20%, Typical50%, Full100%の3点)による出力電圧変動があるのですが、有効数字が小数点以下1桁なのでざっくりしたものです。
    (実用上は内部の配線やコネクタ部で電圧降下した分を各IC近傍でDCDCコンバータにて安定化して使用するためATX電源規格の許容誤差内にあればいいようですが)
    出力のリップルノイズ、通電時間や環境温度による出力変動データまでは掲載されていないようです。

    長文失礼しました。

    • 詳しい解説、ありがとうございます。
      80 PLUSのレポートで出力の安定性(リップルの少なさ)などを読み取るのは不可能、ということですね。

      本気で調べるなら、やはり英語版Googleで検索を行い、大規模な設備を有する巨大メディアによる製品調査データを見るしか無さそうです。

  • 一般人だったら自作と増設する時以外はまるで気に掛けない気がする(一般人とは…)
    それにしても何気に長い記事であった…
    電源にも色々あるんですね(ありすぎた)
    がっつり使う人なら200V電源に変えるのもアリかもしれないですね
    というより100V200Vで変わるの知らんかった…

    UPS使ったら効率とか安定性変わるのかな
    変わるんだったら、高級電源+安いUPS vs 安い電源+高級UPS とかやったら面白そう
    気にする人はフェライトコア使ったり電源モジュール使ったりするのかな(効果の有無は知らない)

  • 素晴らしい記事。
    私は自作pc初心者ですがワット数の違いしか意識していませんでした笑
    電源1つ選ぶのにここまで知識が必要であることに驚きました。

  • やかもち様
    大変素晴らしい記事ありがとうございます。
    記事を参考に自分なりに色々と電源を探しました。
    記事中には「KRPW-BK750W/85+」がなかったのですが以下の構成でこの電源に対してどのように思われるかご教授頂ければ幸いです。
    i7 8700+GTX msi 1080+SSD*2
    一日に3-4時間のライトゲーマーなので個人的には「KRPW-N600W/85+」でも十分かなとおも思っております。
    お手数ですがどうぞ宜しくお願い致します。

      • Core i7 8700 : 65W前後(ゲーム時)
      • MSI GTX 1080 : 200W前後
      • マザーボード : 40 ~ 80W(製品による)
      • SSD(SATA) : 3 ~ 5W(製品による)

      ザックリ計算で「311 ~ 355W」になるので、ちょうど50 ~ 59%負荷です。
      静音性にこだわらなければ、問題ないチョイスだと思います。

  • やかもち様

    とても参考になりました。
    記事を拝見して「KRPW-N500W/85+」購入に心を決めた矢先、以下の記事を見てしまい躊躇してます…

    http://s.kakaku.com/bbs/K0001026570/SortID=22118411/
    「クロシコの電源 2台でのPCに同じ症状がでています。 
    Haswell対応にする事により、4790Kと2700Kでは、
    逆に起電力が足らずに、ほぼ動きませんでした。」

    私のPCも古く、記事の通りなら同じ症状が出てしまうのではと不安になってますが、
    可能性としてあり得るでしょうか?
    コメントいただけると嬉しいです。

    PC構成:
    CPU: Intel XEON 3440 2.53 GHz   4C8T
    HDD:500GB
    MEM:4GB (PC3-10600U  2GBx2) 
    グラボ: RADEON HD 6850

    #ちなみにもしKRPW-N500Wを見送ることになった場合、
    #第二候補としてThermaltake Smart 500W -STANDARDにするか思案中です

    • < 私のPCも古く、記事の通りなら同じ症状が出てしまうのではと不安になってますが、
      < 可能性としてあり得るでしょうか?

      非常に低いです。
      ぼくの場合、Haswellより古い世代のi5 2500K / i5 3330などのシステムを、Haswell対応の新しい電源ユニット(ATX12V Ver2.3以降)で使っていますが、起動できなかった事例は1件も無かったです。

      < #ちなみにもしKRPW-N500Wを見送ることになった場合、
      < #第二候補としてThermaltake Smart 500W -STANDARDにするか思案中です

      第2候補もATX12V Ver2.3なので、「Haswell対応が原因で古いシステムを起動できないのでは?」という疑念を解消できていません。Haswell対応が原因ならどちらを選んでもダメです…が、実際にはそんなことはないため、問題ないです。

      ちなみに、そのスレを立てた人はクロシコの電源が原因ではなく、他のパーツがダメな可能性が高いですね。「故障する際に電源ユニットから異音がした」と言っているため、おそらく他のパーツがダメなんでしょう。

      以上、参考になれば幸いです。

  • コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。