AMDマシン以来のマジメな自作PC記事を書きます。今回のテーマは「PUBGも動かせる、5万円前後の超コスパなゲーミングマシン」です。最近はPUBGが流行っている影響もあり、ゲーミングPCの需要が高まっています。
しかし、PCに10万、20万も掛けられない。という人も少なくない。そういう人にとって最後の希望が「低予算な自作PC」だ。組み立てから動作検証まで、実際にやって一通りまとめてみました。
今回のテーマは「低予算ゲーミングPC」
最初に断っておきますが、低予算でそこそこ動くゲーミングPCはたしかに実現可能です。その一方でぼくはあまり人にオススメはしていません。100人がこのPCで遊んだとして、90人が「快適だな。」と言ってくれる確率は低いからね。
逆に13~14万くらいのドスパラPCや自作マシンだと、かなりの確率で快適だと言ってくれるので人にすすめられる。「動けばいい」と思えるくらいの人じゃないと、今回の自作プランは参考程度にしたほうが良い。

というわけで、予算は5万円前後を想定。使うパーツは画像の通り。前回の「AMDマシン編」と違い、今回はクローゼットから出てきた古いパーツを再生してマシンを完成させることにした。
1. 【CPU】Intel Pentium G3258

第4世代(Haswell)のPentiumです、定格3.20Ghzのクロック周波数に、2コア2スレッドという一見しょぼそうな性能。しかし、Pentiumでありながら「倍率ロックフリー」モデルなので、オーバークロックが可能。
ゲーミング性能にはシングルスレッド性能が要求されるため、このクローゼットから出てきたCPUは少なくとも4.00Ghzまでオーバークロックして常用しようと思います。
- 購入価格:6900円(当時)
2017年版は「Pentium G4560」で決まり
これから作ろうと思っている方は「Pentium G4560」がオススメ。オーバークロックは出来ないが、2コア4スレッドに性能アップしているし、定格状態でもオーバークロック状態のG3258を20%ほど上回る処理性能を持つ。
こちらの記事でも解説しているとおり、低予算PCの「救世主」と言って過言ではない圧倒的なコストパフォーマンスを誇る。
2. 【マザーボード】Asrock H97M Pro4

クローゼットから「G3258」が装着されたまま見つかったマザボです。当時、数あるH97チップセット搭載のマザボでこれを選択した理由は、
- MicroATXマザボの中で安かった
- メモリースロットが4本ある
- SATAポート(6G)が6本もある
- VRMフェーズが4個搭載
- 同価格帯で唯一「Intel Gigabit イーサ」搭載
購入価格は約8000円でしたね。一番安いマザボだと6000円という製品もあったけれど、このスペックなら8000円を出す価値は大いにある。安価マザボでありながらVRMフェーズを4つも載せているあたりに好感を持てる。
VRMフェーズはCPUソケットの近くに設置される部品で、電源供給を安定させる効果がある。今回はオーバークロックを施すのでVRMフェーズのあるマザボを選んだわけです。
2017年版は「MSI B250M PRO-VH」がオススメ
8000円にしては十分なスペックを持つMircoATXサイズのマザーボード。Amazonで容易に入手できる点も好印象です。VRMフェーズは未搭載だが、Pentium G4560はオーバークロック出来ないから不要。これで問題ない。
3. 【グラボ】玄人志向「GTX 1050 Ti 4GB」
先代GTX 960並の性能を持つ、神がかり的なコストパフォーマンスを持つグラフィックボード。今のところ5万円前後で組むなら、これ以外に選択肢がありません。「GT 1030」も安いですが、PUBGをするにはキツイから無視します。
- GTX 960と同格の性能
- VRAMはその2倍にあたる「4GB」搭載
- 補助電源不要というエコさ
- 20cmも無い、コンパクトボード
- 購入価格は14900円ほど
いい時代になりました。
4. 【メモリ】W3U1600HQ-4G 2枚組

余り物を再利用。DDR3規格が主流だった頃、もっとも人気のあったメモリーでした。象徴的なイエローのヒートシンクに、1600Mhzにオーバークロックされた仕様。それがコスパよく手に入った。

購入価格はAmazonの注文履歴を見る限りでは、4300円ほど。そう、当時はメモリー全般(SSDも)がとても安い時代でした。2017年は大幅に高騰しており、iPhone 8の特需が落ち着いて欲しいと願うばかり。
2017年版は「W4U2400CM-4G」
CFD販売 デスクトップPC用メモリ PC4-19200(DDR4-2400) 4GBx2枚 288pin (無期限保証)(Crucial by Micron) W4U2400CM-4G
さっき紹介したイエローメモリーの「後継品」です。ヒートシンクが無くなっていますが、DDR4規格に進化したことで発熱が少なくなり、ヒートシンクが無くても安定動作するようになったからです。
NANDチップは米Micron社製なので、非常に信用性が高い。その証拠にちゃんと「永久保証」を謳っていますし、初期不良などがあれば、問い合わせることで新品と交換してもらえます。
メモリーを選ぶ時、「2枚組」か「1枚組」かについて補足しておきます。メモリーは2枚挿すと「デュアルチャネル」で稼働し、1枚だけだと「シングルチャネル」で稼働します。
何が違うのかと言うと、メモリーが処理できる情報量(=理論上の帯域幅)がデュアルチャネルだと2倍になるのです。そのためどうせ買うなら2枚組を…と言いたいところですが。

同じメモリ容量でも、2枚組の方が高いことはよくある。
ゲームの場合、このデュアルチャネルが性能に与える影響が極めて少ない。体感するのは難しいので、もし「4GBの2枚組」と「8GBの1枚組」があって、後者の方が安いなら後者を選んだほうが得です。
5. 【SSD】DREVO X1 SSD 120GB
PCパーツに少し詳しい人だと「なんだこの見たことのないSSDは?」と思ってしまいそうな格安SSD。AmazonでSSDを探していたらスポンサードプロダクト(広告欄)に表示されてて、自分なりに調査したところ信頼性に足ることが分かったので初購入。
- コントローラは「Silicon Motion SM2256K」
- キャッシュメモリはDDR3規格の2GB(SK Hynix製)
- 記憶部分であるNANDチップもSK Hynix製
「DREVO」というメーカーは知らなくても、「SK Hynix」を知っている人は多いと思う。

価格コムで人気2位のSSDは「SK Hynix」製ですから、国内でも少しずつ知名度が出てきている。次にメモリコントローラも悪くないんですよ。
Sikicon Motion製のメモリコントローラは、Transcend製のSSDに多用されているため一定の信頼性がある。TranscendのSSDなら、国内でもそこそこ有名ですからね。
- 購入価格:6000円
6. 【CPUクーラー】サイズ / 白虎 SCBYK-1000I
オーバークロックをするのでリテールクーラーでは心配だ、というわけで。Cooler Master製の「Hyper TX3 EVO」と悩んだが、今回使うケースはかなり狭いので、高さが100mm以下で収まるサイズ製のCPUクーラーを採用した。
- 購入価格:2500円
7. 【電源ユニット】Thermaltake Smart 500W
日本ではコルセアや玄人志向が有名で、Thermaltakeは知名度が少なそうだが…。それなりに安いし、80+ STANDARD認証も受けているので使ってみることに。最近の電源は80+認証があれば概ね安心できます。
- 購入価格:4300円
8. 【ケース】SAMA 舞黒透
価格コムとAmazonでレビューが真反対のPCケース。価格コムには「作りが雑」とあり、Amazonでは「価格を考えれば十分」的な評価。過去の経験からも格安PCケースって、何かしら問題を抱えているものだが…人柱になってみました。
他にはENERMAXやドスパラWeb限定モデルの格安ケースも考えたが、そのあたりは既に試していて「また同じのを買うのもなぁ…」という感じだ。残っている選択肢がこの「舞黒透」くらいしか無かったんですよ。
- 購入価格:3500円
パーツまとめ
低予算ゲーミングマシン – 購入パーツ | ||
---|---|---|
CPU | Pentium G3258 | 6900 |
GPU | GTX 1050 Ti | 14978 |
メモリ | W3U1600HQ-4G 2枚組 | 4377 |
M/B | Asrock H97M Pro4 | 8000 |
SSD | DREVO X1 SSD 120GB | 5999 |
CPUクーラー | サイズ / 白虎SCBYK-1000I | 2509 |
電源 | Thermaltake Smart 500W | 4336 |
ケース | SAMA 舞黒透 | 3480 |
合計 | 50579 |
ほぼ50000円の構成になりました。DVDドライブが無いですが、ぼくは別のPCで事前にドライバー類とWindows 10(USB化)を用意しているので必要ないんです。
で、今回はCPU、マザーボード、メモリの3つがクローゼットから出てきた余り物を使っているため「古い」。途中で紹介した2017年版で組むなら、以下のような構成になる。
【2017年版】低予算ゲーミングマシン – 購入パーツ | ||
---|---|---|
CPU | Pentium G4560 | 6850 |
GPU | GTX 1050 Ti | 14978 |
メモリ | W4U2400CM-4G 2枚組 | 8550 |
M/B | MSI B250M PRO-VH | 7913 |
SSD | DREVO X1 SSD 120GB | 5999 |
CPUクーラー | 不要 | 0 |
電源 | Thermaltake Smart 500W | 4336 |
ケース | SAMA 舞黒透 | 3480 |
合計 | 52106 |
DDR4メモリーが高騰している影響で、ちょっと高くなりました。それでも52000円と5万円前後というコンセプトは崩れていないから問題ない。
「低予算ゲーミングPC」を組み立てる

こういった極端な低予算PCは、基本的にBTOメーカーでは販売されていない。そのため入手しようと思った場合「自作」がもっとも簡単な方法になってくる。
「自作したこと無いけれど、低予算で組むために自作に挑戦してみたいPC初心者」が読みに来ることも考え、前回のAMDマシン編よりもマジメに組み立てて、順番に解説してみます。
- マザーボードに「CPU」を載せる
- メモリーをスロットに差し込む
- CPUクーラーを取り付ける
- 最小構成で動作検証を行う
- 動作検証をクリアしたら、PCケースに電源ユニットを入れる
- その次はマザーボードを取り付ける
- グラフィックボードを差し込み、スロットを固定
- SSDやDVDドライブなどをケースに入れ、マザボと接続
- 電源ユニットのケーブル類とマザーボードと接続
- PCケースのケーブル類をマザーボードと接続
- 電源にコンセントをつなぎ、起動
- ちゃんと動いたら、OSやドライバーをインストールして完成
手順としてはこの通り。順番に見ていこう。
1. マザーボードに「CPU」を載せる

マザーボードの作業は、マザーボードが入っていた箱に置くとやりやすいです。マザーボードの梱包袋を間に挟むと更に良い。この状態でくるくるしながら作業していきます。

マザーボードのCPUソケットにある、ロック(フタ)を解除する。

CPUの置き方には「向き」があるので要注意。CPUの左下に「三角」があるので、それに合わせてそーっと設置する。

設置が完了したら、最初に解除したロック(フタ)を、ふたたび固定していく。レバーを下ろし、画像のように引っ掛ければ固定完了。これでCPUの設置は終了だ。
2. メモリーをスロットに差し込む

次は「メモリー」の取り付け。取り付けたい場所のツメは、事前に外しておきます。今回は黒色のスロットに差し込むことにしたので、そこのツメを外してある。

そしてメモリーを差す。差し込む時にメモリーの向きにも注意(矢印を入れた部分)。左右反対で本気で差し込むと破損しかねない。メモリーとスロットの形状が合っているか確認したら、差し込んでいく。
この時、意外と硬くて驚くかもしれないが恐れずにツメが「カチッ」と閉まるまで差し込みます。怖がって中途半端に差し込むと、電源を入れた時に「バチッ」と破損する可能性がありますから、必ずちゃんと差し込むこと。

2枚とも差し込み完了。
3. CPUクーラーを取り付ける

今回使ったCPUクーラーは「プッシュピン式」と呼ばれる取り付け方式。所定の位置においたら、指でピンを押し込むだけ。インテルCPUに付属するリテールクーラーも、同じプッシュピン式です。

クーラーを設置する前に「CPUグリス」を塗布する。ぼくはズボラな性格なので、単にグリスを「ぶにゅー」と出しておくだけ。あとはクーラーを上から置く時に、その圧力で勝手に伸びますから問題ない。

画像で解説するとこんな感じ。個人的にこっちの方が簡単に隙間なくグリスを塗布できると思ってます。器用な人ならパテで平坦に塗れると思いますが、ぼくは不器用なのでこの方法じゃないと自信ないですね…。

なお、今回使ったCPUグリスは「MX-4」という製品。ポンピング性に極めて優れているので、長期間「乾燥」せずに定着してくれる。冷却性能もちゃんとありますし、オススメ。

マザーボードの穴にあわせてピンを調整し、場所がピッタリ合ったら対角線上に左右のピンを押し込む。1箇所ずつやるのではなく、2箇所(左右)ずつやれば上手く行きやすい。

取り付け完了。なお、ファンの向きに注意(説明書の図のとおりにやれば大丈夫)。
なお、この時にCPUファンを持ってマザーボードを持ち上げられるかチェックしておくこと。もしそれでグラつくようなら固定が甘いからやり直したほうが良い。ゲーム中にCPUクーラーが取れたら嫌なので。
4. 最小構成で動作検証
「CPU(クーラー付) + メモリー + マザーボード」の3パーツで、PCがちゃんと起動するかを確認する。全部組み上げてから「起動しない…」ってなると面倒だから、最初の内にやっておくのです。検証時のパーツが少ないほうが、原因の特定もしやすいからね。

電源ユニットを取り出して、マザーボードに接続します。接続するケーブルは以下の通り。
4-1. 覚えておきたい電源ケーブル

「24ピン」はマザーボードに電力を供給する、もっとも大きなコネクタ。絶対に接続します。

「8ピン」はCPU、またはグラボなどの補助電源コネクタに接続する。これも絶対に接続する。

最小構成での検証には使いませんが、後からSSDやHDDをつなぐ時に使う。形がL字型なのが特徴。

「汎用4ピン」は主にケースファンに電力を供給する時に使われる。今回はケースファンを用意していないので出番は無い。

マザーボードに「24ピン」と「8ピン」を接続する。

次にPCケースの電源ケーブルをマザーボードに接続する。ここの接続はちょっと難しいが、マザーボードの説明書(図)を見ながらやれば難しくない。

接続が終わったらPCケースの電源ボタンを押して、ちゃんと起動するかを確認する。しらばく異常なく動くか確かめたら、また電源ボタンを「ポチッ」と1回だけ押す。それで「プスンッ」という感じですぐに電源が落ちるなら完璧だ。
5. 動作検証をクリアしたら、PCケースに電源ユニットを入れる

ケースによって場所が違います。今回は上に位置している。

でね…この「SAMA 舞黒透」というPCケースなんですが、たしかに作りが雑なようです。電源とネジの位置が合わない。ここでケースを返品するのも手ですが、非常に面倒くさいので知恵を絞ります。
5【修正版】. 電源ユニットの取り付け

今回のPCケースは電源ユニットの取り付け場所が天板側にあるため、ファンを下に向けて設置する必要があります(上下逆にするということ)。

上下逆に設置したことで、合わなかったネジ穴がすべてピッタリ締められました。

配線も逆になってしまったので、いったん全部外してやり直しをした。狭いケースなので配線はやや面倒だった。可動部分(特にファン)にケーブルが接触しないように工夫しています。

→ ENERMAX BECITE Iron Grey【ドスパラWeb限定モデル】
というわけで、「SAMA 舞黒透」は決して悪いPCケースではなかった。しかし、もう少し作りがしっかりしたモノ。作業しやすいモノを…という人には、ドスパラ限定で売っているENERMAX製のケースがおすすめ。
6. マザーボードを取り付ける

電源ユニットのすぐ直下にマザーボードを取り付けていきます。

なお、マザーボードを入れる前(入れちゃったけど…)にケース左下にあるスロットを2つ外しておくこと。今回使う「玄人志向 GTX 1050 Ti 4GB」は2スロット占有なので、その分を考慮して開けておくんです。

あとはこんな感じで、PCケース側のネジ穴に合わせて設置し、ネジをしめて固定するだけ。
7. グラフィックボードを差し込み、スロットを固定

グラフィックボードには「PCI Express x16」という横長いコネクタが取り付けられている。

マザボードにも同じような穴があるので、向きを合わせて差し込むだけです。

差し込んだら、マザボを取り付ける時に開けておいたスロット部分をネジで固定します。ここを固定しないとグラフィックボード自体の重量でマザーボードに余計な負荷を与えてしまいます。
8. SSDやDVDドライブなどをケースに入れ、マザボと接続

今のSSD・HDD・DVDドライブは基本的にSATAコネクタが使われている。マザーボード・電源ユニットと、各種ドライブをSATAコネクタで接続していきます。今回はSSDのみ。

今回初めて使ったPCケースは初めての仕様だ。ケースの反対側を開け、裏配線側からSSDを固定する方式。

こんな感じになってます。SSDの取り付けはこれで完了。
9. 各種ケーブル類をマザーボードと接続

「最小構成での動作検証」と同じように、電源ユニットのケーブルをマザーボードに取り付け、PCケースの電源ケーブルもマザーボードに取り付けます。
10. ちゃんと動くか、再び動作検証

必要なケーブルをすべて接続したら、動作検証をやってみる。…ちゃんと動いてますね。ボタンを押すとすぐに電源が落ちるのでBIOSも正常動作している。
11. 配線し、ケースを閉めて「組み立て」終了

前回作ったAMDマシンだと、配線はこんな感じ。

もっと前に作ったRyzen 7マシンではこんな感じ。配線は必要最低限やっておけばOKです。
- ケースからはみ出していないか
- CPUやグラボのファンにケーブルが当たっていないか
- 他のパーツを押し付けて負荷を与えていないか
これらをクリアしていれば他人から見て「雑っ」と思われる配線でも、まったく問題ないです。とにかくファンにケーブルが入ってしまう事態だけは避けてください。
随分と前にやらかした時は、PCを起動したら「ブーーーーーーーン」と激しい騒音が発生。ケースを開けるとグラボのファンにSATAケーブルがぶつかっていたんです…。

配線が終わったらケースを両方とも閉めて完成。それにしても「SAMA 舞黒透」というPCケースは「質の悪い格安ケース」って感じの出来栄えでした。
訂正します。

プラスチック板には、両側から保護フィルムが張られている。これを剥がすことで、商品画像どおりの「透明なクリアパネル」が出てくるんです。

なかなかの透明度でキレイ。「SAMA 舞黒透」は価格を考えればコストパフォーマンス良好なPCケースでした(評価を上方修正)。
自分の凡ミス(しかも2件)で酷評してしまったが、実際には非常に良い「格安PCケース」だ。かなりスペースが限られているため、一度取り付けたパーツを取り外すのは面倒くさいが、組み立てに関しては特に不満はなかった。

フロントパネルのデザインはこんな感じ。割りと気に入っています。
12. OSや各種ドライバーをインストールして完成へ

「組み立て」が終わったら、パソコンにマウスやキーボードを接続し、グラフィックボードの出力端子にモニターのケーブルを差して起動します。
- OS(Windowsなど)の入ったメディア(USBメモリやディスク)を入れる
- SSDにOSをインストールする
- マザーボードに付属してきたドライバーディスクから各種ドライバーをインストールする
ここまでやれば「完成」です。あとは黒い砂漠をインストールするなり、Steamを入れてPUBGやWitcher 3を入れるなり、良きゲーミングライフを送ってください。
「低予算ゲーミングPC」のパフォーマンスを検証

さて、5万円という極めて限られた予算で作ったゲーミングPCですが、実際のところどれくらい動くのだろうか。「安く作れたけど大したこと無かった。」では作る意味が無いので、パフォーマンスを確認していこう。
CPU-Z Benchmark

CPU-Zに付属しているベンチマークを、定格3.20GhzのPentium G3258で試すとこんな感じ。マルチスレッドでも3000点すら超えない。4スレッド化したG4560だと、3600~3800点くらいは出るので安心してください。
Cinebench R15

Pentium G3258は簡単に1.0Ghz程度はオーバークロック出来るため、性能は盛りやすい。定格では241cbだったのが、4.2Ghzでは311cb(+29%)の性能アップ。
Cinebench R15 – マルチスレッド性能
それでもPentium G4560には70cb(+20%)ほど届かない。
コア電圧と温度

HWMonitorでCinebench中に記録した、クロック別の最大コア電圧と最大温度です。3.2Ghz → 4.2Ghzで、コア電圧は+0.213V(1.281V)で、温度は+20度(69度)になった。
電圧的にはまだ少し行けそうだが、温度がちょっと厳しくなってきたので4.20Ghzで常用とします。
FINAL FANTASY XIV 紅蓮のリベレーター

フルHD画質(1920×1080)、最高品質でFF14ベンチを回してみたところ「非常に快適」(7068枚)と、5万円にしては中々驚愕のパフォーマンスを見せつけた。5万円でFF14って動くんですね…。
マインクラフト

描画距離16チャンク、Optifineのみ導入だと「余裕」の状態。

比較的重たいシェーダー「KUDA」を入れると一気にフレームレートが落ちて、だいたい30~60fpsの間をうろうろとするように。実用上は特に問題ないので十分なパフォーマンスです。
PUBG(Player’s Unknown BattleGrounds)

競技性が求められるゲームでありながら、なぜか「こんな低スペックでもPUBGは動きますか?」という質問を頻繁に見かける謎のゲーム「PUBG」でも検証してきました。

グラフィック設定は「実用性」を考えて、画像の通りのカスタム設定を施した。この設定の根拠については以下の記事に書いてあるので、気になる人はついでにどうぞ。

パラシュート降下を終えてから計測スタート。10分ほど取るつもりが、うっかりやられて9分程度しか取れなかったが、十分参考にはなります。
- 最低fps:9.9
- 最高fps:71.5
- 平均fps:38.4
「2コア / 2スレッド」のCPUだと結構キツイ感じがあった。平均30fpsはクリアしているので、価格を考えればなかなか頑張ったほうだが、競技性を求められるゲームなのでちょっと厳しいところはあるかと。

設定をすべて「非常に低」にして、画面スケールを「95」にして計測すると平均フレームレートが約12%ほど改善(42.3fps)。うーん…やはり2スレッドじゃ足りないなーというのが率直な感想ですね。
まぁ、2017年現在は「Pentium G4560」という2コア4スレッドのPentiumがありますので、そちらを使えば平均45~48fpsくらいまでパフォーマンスは向上すると思います。
Crystal Disc Mark

5999円で購入した120GBのSSD「DREVO X1」は、見ての通りかなり高性能でした。コストパフォーマンス抜群だ…。
「低予算ゲーミングPC」を作ってみて【感想・まとめ】

5万円でそこそこ良い性能のゲーミングPCが作れる時代になったんだな…というのが一番。しかし、こうして実際に格安マシンを作ってみて思うところがあるので、率直に言わせてもらうと…

「3~4年は使うんだから10万くらい使った方がいいです。」
5万円で作ってこれだけ動くんだから満足、というのも良いですが。あともう5万出せば、もっと快適な環境が手に入るわけです。パソコンとは不思議なもので、安ければ安いほど追加コストで伸ばせる性能が大きいんです。
合計価格 | 追加コスト | 内容 | 性能(PUBG低画質を想定) |
---|---|---|---|
5.0万円 | – | 初期状態 | 平均40fps |
6.2万円 | +12000円 | グラボをGTX 1060 6GBに | 平均70fps |
7.9万円 | +17000円 | CPUをRyzen 5 1400に | 平均80fps |
9.0万円 | +11000円 | SSDを525GBに | 長寿命 + 大容量 |
9.9万円 | +9000円 | メモリを8GB追加 | 安定性向上 |
12.0万円 | +21000円 | グラボをGTX 1070 8GBに | 平均100fps |
このように、5万円のPCと10万円のPCの間には歴然とした性能差が出ます。特に今のNVIDIA製GPUは、グレードが変わる(GTX 1050→1060)とポーンッと性能が上がってしまうので余計に性能差が出やすいです。
低予算PCに向いている人
- とにかく予算厳守
- 「動けばいい。」で納得できる
- MMORPGなど、競技性が低いゲームをプレイする予定
- 「あと1万出せば、あのグラボに手が届く…」という誘惑に一切動じない
- 重たいゲームをするつもりは一切ない
この意志を貫ける人なら、格安ゲーミングPCを組むのは全然アリだと思います。しかし、これを貫ける人はぼくの経験上、あまりいないです(苦笑)…。実例を紹介します。
- マビノギしかする予定ないですキリッ(グラボ:GT 730)
- 黒い砂漠面白いな、今のグラボじゃ重たい(グラボ:GTX 750 Ti)
- PUBGハマってしまった、もうちょっと安定させたい(グラボ:GTX 1050 Ti)
CPUも途中でCore i5にチェンジしているため、結果的に47000円ほど追加コストを支払っています。最初からそういう構成で組んでいれば、25000円くらいで済んだと言うのに。
というわけで、今の自分が今後3~4年の内に一切変化しないという自信がなければ、格安PCはやめておいたほうが良いと思ってます。
低予算PCに向いていない人
- 将来のことなんて分からないから備えておきたい、と思ってる
- 後からチマチマと追加するくらいなら、最初からカバーしておきたい
- MOTPSやFPSなど、競技性の高いゲームをプレイする予定
- 「あと1万出せば、あのグラボに手が届く…」という誘惑に弱い
- やっぱり快適な方がいい
「GTX 1050 Tiかぁ、あと7000円出せばフルHD覇者のGTX 1060に手が届く…悩むなぁ…。」って考えちゃう人は絶対に低予算PC向いていないので、やめておいたほうが良いです。
たとえ妥協できたとしても、その感情を3~4年と引きずるのも面倒くさいし、後々どうなるか分からない。カバー範囲の広い、そこそこ高性能なパソコンの方が合っていると思います。
今回使ったPCパーツのおさらい & 評価
低予算ゲーミングマシン – 購入パーツ | 価格 | 評価 | |
---|---|---|---|
CPU | Pentium G3258 | 6900 | 2スレッドはキツイ。4スレッドある「G4560」を推奨。 |
GPU | GTX 1050 Ti | 14978 | 優秀。15000円では最強のグラフィックボードです。 |
メモリ | W3U1600HQ-4G 2枚組 | 4377 | コスパ良好。iPhone特需が終わって、この価格に戻って欲しい。 |
M/B | Asrock H97M Pro4 | 8000 | 優秀。安定してますし、LANがIntel製なのもポイント高い。 |
SSD | DREVO X1 SSD 120GB | 5999 | 予想外に使えるSSDです。一定の信頼性と中々の高性能。 |
CPUクーラー | サイズ / 白虎SCBYK-1000I | 2509 | コンパクトでよく冷えています。2000rpmを超えない限りは意外と静かなのも良い。 |
電源 | Thermaltake Smart 500W | 4336 | とりあえず80+認証の電源が欲しいならオススメ。 |
ケース | SAMA 舞黒透 | 3480 | 価格を考えれば、非常に良いPCケースです。剛性、頑丈さ、を重視しないなら普通にアリな選択肢。 |
合計 | 50579 |
CPUはG3258ではなく「G4560」を推奨。8000円で買えるCore i3、という位置づけなので低予算で組むならベストCPUだ(参考:Core i3泣かせなCPU「Pentium G4560」を徹底解説する)。
PCケースに関しては凡ミスをやらかしたが、モノ自体には全く不満はなかった。予算重視で、スペースの狭さを許容できるならオススメです。
SSDは個人的に「良品発掘」という気分でした。今後も、コスパを重視してPCを組むときにはDREVO製のSSDを使っていきたいと思う。
というわけで以上「【自作PC】予算5万円前後で作る、超コスパのゲーミングPCを作ってみよう」でした。
補足:自作未経験の方へ
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今回の記事だけを参考にせず、図解の多い書籍を見ながらやったほうがより安全です。自作は決してそこまで難しくないけれど、やはり「初めての自作PC」となると緊張するものなので(実体験)。
関連記事
低予算PC作ってみたいという人へ
今回の記事を読んで、さらに「低予算」に興味を持ってしまった人は「中古パーツによる自作」も選択肢。上記の記事は、CPUとグラボに中古品を使うことで、かなり安価に「黒い砂漠動作PC」を完成させている。
前回のAMDマシン編も、一応は「低予算」の部類に入る自作PCです。9万円台ということを考えると、なかなか驚異的なパフォーマンスを実現できたので個人的に今年最高に満足している自作PCだ。
低予算こわいよ、最初からしっかりしたマシンが欲しい人へ
実際に使ってみて相当に驚いてしまったパソコンです。レスポンスの速さ、安定したフレームレート、優れたマルチタスク性能。価格は高いかもしれないが、手にした時の「満足度」「幸福度」は相当に高い。
今回の5万円ゲーミングPCを、依頼者に手渡し、ちょっと遊んでもらったところ。
「5万円じゃ、せいぜいブラウジング出来る程度のPCが限界だと思ってたのに、こんなに動くのかすげー。感動だわ。今度SQUADしようぜ(PUBGの4人モードのこと)。」
と言ってもらいました。良かったです。内心「あんまり快適じゃない気がする…」って返ってきたらどうしようとか少し思ってた。低予算であればあるほど、個人差も大きく出てくるんだよね。
10万円の構成は理想型の一つだと思います。
その構成をドスパラで買ったら15万くらいする気が。気のせい?
ドスパラのRyzenマシンは、構成に融通が効きづらいので結果的に割高になりやすいです。そしてBTOはドスパラやG-tune、ユニットコムの場合、おおむね+1.0~1.5万円くらいのマージンが入っている。価格コムの最安価パーツを集めて作る自作の方が、安くなりやすいのは間違いないかと。
電源のネジ穴が合わないのはケースの問題では無く、
上下さかさまにつけてるからでは?
電源のネジ穴が合わないのはケースの問題では無く、
取り付けが上下さかさまなのでは?
電源ファンがマザー側にくる( つまり下向き )のはずだけど?
間違ってたらごめんなさい。
確認したところ、上下逆さまでした。凡ミスですね…あとで修正します。
最近は見違えるように良記事になってきていますが
アクリル板に保護シートが貼られていて不透明なのでは?
あと今回の記事とは直接関係ないですがケース選びはとても楽しいです
ただ、あまり安いとケースが歪み共振したり見た目重視で静音性がなくてうるさく作業に集中出来なかったりメンテナンス性皆無のため組み立て1発感もありますね。
もう10年近くCoolerMasterのCOSMOSをメイン機で使用していますが、東京ー八戸間をトラックの荷台に乗せ雑に9往復させた今でも歪み一つなく静かですし脳死でどんなサイズのパーツでも取り付けられるスペースがあるので値段は高いですけど買って良かったと思っています。
ダンボールから出して、すぐに調べた時は気づきませんでした。あらためて確かめたところ、不透明の原因は本当に保護シートでした。凡ミス2連発で「舞黒透」の評価を見誤ってしまった…、修正画像などを用意したら追記します!
ケースの謝罪文を含めて読み直すと凄くシュールです。
でも、こういう人間くさいの、面白いですよ(笑)
いろいろと面白いですね(^^;
お疲れ様でした!
予想以上に律儀な修正を見てほっこりしました。
悲しいのはこの構成でも5万では作れなくなってしまったことですよね…
半導体の値段上がりすぎですわ
Ubuntuを入れようと思うのですが、グラボの影響で前の自作PCでは16.04が入ら無かったので対応バージョンを探すのに手間取りました。
今回のPCではどのバージョンに対応できるかもし知っていれば教えてくれると嬉しいです。
これをちょいちょいアップグレードして作るのとモナークIHを買うの、どちらの方がいいでしょうかモナークが8万程なので8万までで出来る最高アップグレード状態で比較していただけるとありがたいですm(_ _)m
この5万円マシンを8万円台にアップグレードするなら、以下のような感じになります。
合計で25000円ほどの追加ですが、更に安定したゲーミング性能に仕上がります。この構成で行くなら、自作した方がコスパは良さそうなので自作で良いと思います。
早いっ!!w
丁寧にありがとうございます!
さっき消費税と配送料の存在を忘れててモナークが一万ほど値上がりしました……(泣)
安価でマイクラ安定pc?みたいなのの構成を記事にしたら閲覧数今よりもっと上がるんじゃないかな……(願望)
「安価でマイクラ安定」はたしかに需要がありそうなので考えておきます。KUDAなど、シェーダーを使わない前提なら3~4万円で作れそうな気がしているので、暇な時に記事にします~。
とてもいい記事でした!わかり易かったです!
質問なんですが、MinecraftにMCヘリMODやflan’s mod(銃のMOD)、ブロックを動かすMOD(名前は知りませんが軍艦や軍艦の主砲戦闘機を動かすMOD)を入れて遊ぶには頼りないでしょうか…もし頼りないとしたらどこを改善したらいいんでしょうか…初心者なので全くわかりませんwよろしくお願いします
予算はできるだけ安いほうがいいですが、MODを入れてサクサク動くのは最低条件ですねw
注文が多くてすみません
この5万円の構成では、重たいMODを複数入れたMinecraftで遊ぶには頼りないでしょうか…もし頼りないなら改善案を教えていだけると幸いです
よろしくお願いします
実はMODではほとんど遊んだことがないので、頼りないかどうか分からない部分が多いです。頼りない…と感じるなら、以下のような構成にすればより安心できます。
CPUを4コアの「i3 8100」に変更して性能を確保。マインクラフト + MODくらいなら、十分に足りる性能だと思います。
迅速な返信ありがとうございます!なるほど…安い金額ではないですが、ゲーミングPCって考えるとめっちゃ安いですね!マイクラで軍事系やりたいんですけどPS4じゃMOD使えませんからねww買えるよう頑張ってみます!ありがとうございます(*´▽`*)
質問です
私はASUSのGTX 1050 ti GPUを買おうと(アマゾンで値上がりしてしまったため)したのですが玄人志向と同じでケースに入るでしょうか?どのサイズまで入るか不安でお聞きしました。無知ですみません。
「舞黒透」は最大で315mmのスペースがあるので、デュアルファン仕様のASUS GTX 1050 TI(約240mm)なら問題なく入りますよ~。
ゲーム実況などを考えているのですがマイクラをしながら録画は大丈夫でしょうか?ある程度modも入れたいです
普通に動くと思います。
1050Tiを搭載したモナークIHでは、描画距離32、1.12.1のOptifineで平均64.9fpsだったので、1.7.10に40個くらいMOD入れてOptifineいれても軽く動くと思いますよ。
この構成でAssassin’s Creed Syndicateを録画しながら出来ますか?画質は悪いのでも大丈夫です
Coffee Lakeの低予算自作救世主。Intel Pentium G5600。2C/4Tの第七世代i3レベルの処理性能にクロックは3.9GHzと、なかなかのスペック。
メモリのところにデュアルチャネルに関する事を記載した方が良いかも
corei3がpentiumに負けただと。。。。
[…] 新品が良いよ!という方は、ちもろぐさんの記事がお役に立ちます。 → ちもろぐさんの記事 […]