筆者が待ち焦がれていた43インチの量子ドットMini LEDパネルを搭載したゲーミングモニターが、日本メーカーのシャープ(SHARP)からついに登場。
その名も「AQUOS XLED 43(4T-C43GP2)」、長期保証4年と落雷保証2年が無料で付いてくるヤマダウェブコムで購入しました。
キャリブレーターを使った測定から、OLEDと比較した主観的な感想まで詳しくレビューします。
(公開:2024/7/6 | 更新:2024/7/6)
「AQUOS XLED 43」はどんなゲーミングモニター?
AQUOS XLED 43(4T-C43GP2)がどのようなゲーミングモニターかざっくり説明します。
- フルHDより約4倍広い「4K(3840×2160)」対応
- 21.5インチのフルHDを4台並べた「43インチ」
- 「量子ドットVA」パネル採用
- 数百分割のMini LEDバックライトで黒も締まる
- 合計50 Wスピーカーやリモコンなど豪華な装備
- 家電通販サイトによる「無料4年保証」
おもな特徴は以上です。
なんと言っても「量子ドットMini LEDで43インチ」が最大のアピールポイント。筆者はOLEDパネルで主観的に満足できなかったため、どうしてもMini LEDの43インチが必要でした。
日本に進出してきた中華系メーカーのXiaomiやTCLが先に出すかと思っていましたが、まさか日本メーカーのシャープ(SHARP)が先手を切ってくるのはいい意味で予想外。
SHARP(シャープ) AQUOS XLED 43 (4T-C43GP2) | |
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パネルタイプ | 4K(3840×2160)で最大120 Hz QD-VA Mini LEDパネル(43インチ) |
応答速度 | 非公開 |
主な機能 ゲーマー向け | 特になし |
調整機能 エルゴノミクス | 特になし |
VRR機能 | AMD FreeSync Premium ※G-SYNC互換モード対応 |
参考価格 ※2024/6時点 | |
Amazon ヤマダウェブコム Yahooショッピング |
SHARP(シャープ) AQUOS XLED 43 (4T-C43GP2) | |
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画面サイズ | 43インチ |
解像度 | 3840 x 2160 |
パネル | QD-VA(数百ゾーン分割Mini LED) |
コントラスト比 | 非公開 |
リフレッシュレート | 120 HzHDMI 2.1 : ~120 Hz |
応答速度 | 非公開 |
光沢 | 低反射型グレア加工(GP2モデル:N-Blackパネル) |
VESAマウント | 200 x 200 mm |
エルゴノミクス |
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主な機能 |
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VRR機能 |
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スピーカー | 50 W(7.5 + 7.5 + 10 + 10 + 15 W) イヤホン(3.5 mm)端子あり S/PDIF(光端子)あり |
主な付属品 |
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寸法 | 957 x 238 x 621 mm |
重量 メーカー公表値 | 12.0 kg(パネルのみ) 15.5 kg(スタンド含む) |
重量 筆者の実測値 | 10.5 kg(パネルのみ) 3.71 kg(付属スタンド) |
保証 |
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メーカーのスペック解説が絶望的な内容の薄さで「売る気あるのかな?」と思いました。
SHARPはAQUOS XLED 43をあくまでもテレビとして販売していて、ゲーミングモニターに利用される可能性をほとんど考慮していない様子です。
ゲーマー向けに「最大120 HzとHDMI 2.1 VRR」に対応しているとだけ記載し、ゲーマーが気にするであろう応答速度やコントラスト比、Display HDR規格の対応状況など非公開のオンパレード。
つまり、誰かが自腹で購入して専門的な機材を使って測定しない限り、AQUOS XLED 43の基本的なスペックをほとんど明らかにできない状況です。
あまりにも不健全かつ不誠実な商習慣に思えてならないので、消費者庁はテレビ業界の非開示だらけのスペック表記にメスを入れるべきでしょうね。
なお、AQUOS XLED 43を購入するなら家電系の通販サイトをおすすめします。
定番のAmazonやYahooショッピングは今のところ零細ショップしか出品がなく、保証サポートに期待できません。無料保証が充実している「ヤマダウェブコム」など、家電通販で買いましょう。
たとえば筆者が購入したヤマダウェブコムの場合
- 1年間のメーカー保証に加えて
- 3年間の販売店保証が追加(合計4年)
- さらに2年間の落雷保証も付属
と、至れり尽くせりの内容です。
「QD-VA」パネルの明るく鮮やかでパワフルな画質
SHARP AQUOS XLED(2024年モデル)はIPS(ADS)パネルだと言われていますが、43インチ版ではコントラスト比が非常に高い「VA」パネルを採用します。
このVAパネルに「量子ドット」フィルターを組み合わせ、色の鮮やかさ(色域)を大幅に拡張します。普通の液晶モニターよりずっと広い色を表示できるため、まるで純色を見ているかのような鮮やかで艶めく画質に。
コントラスト感も優秀です。
素の状態で5000:1のコントラスト比があるうえ、336~360ゾーンに分割されたMini LEDバックライトによる「フルアレイローカル調光」の効果で、ピーク時に無限のコントラスト比に達します。
黒い背景に斑点模様のような特殊なシーンだと、さすがにOLEDパネルに勝てないものの、普通にゲームや映像を見る分にはそれほど大きな性能差を感じません。
(sRGB:ΔE = 5.9 / 色温度:6920K / 輝度:348 ~ 850 cd/m²)
映画やアニメ、FPSゲーム(Overwatch 2)やRPGゲーム(原神)を、SHARP AQUOS XLED 43(ゲームモード)で表示した例です。
ゲームモードの場合、シーンに応じて画面のピーク輝度をリアルタイムに最適化する性質があるようですが、コントラスト感がいい具合に強調されてまるでHDRを見ているような錯覚を覚えます。
普通の明るさかと思いきや、画面全体が明るいシーンでパーッと画面の明るさも引き上げて眩しさを表現したり、見ていて楽しいゲーミングモニターです。
QD-OLEDパネル(DELL AW2725DF)と比較した写真です。
AQUOS XLEDの方がはるかに明るいですが、夜の暗いシーンの割に明るさを過剰に盛りすぎな印象。色がやや鮮やかすぎる傾向(過飽和)も強いので、モニターの設定を調整した方がいいでしょう。
パネルの性能自体はかなり高いため、明暗差をうまい具合に調整すればまだまだ化けるポテンシャルがあります。
色温度が若干違うものの、量子ドットによくある鮮烈な赤色はどちらも健在です。ただ、やはりAQUOS XLEDは鮮やかさ(彩度)をやや盛りすぎる傾向が・・・。
これもAQUOS XLEDが鮮やかさとダイナミックレンジを過剰演出してるせいで、元のイラストにあった暗くあやしい雰囲気が若干損なわれています。
輝度をガンガン上げられる分、XLEDの方がメリハリが付いていて主観的に好みといえ、ピーク側を上げすぎて本来もっと暗くあるべきエリアまで引っ張られている状態です。
結論、AQUOS XLEDの表示性能はかなりの高性能で、シーンに応じてピーク輝度を上げ下げする機能もハマれば悪くないです。しかし、百発百中は難しく、好みに応じてモニター側の設定を調整する必要があります。
ピーク輝度、黒の沈み込み、鮮やかさなど。たいていのパラメータをモニター側でコントロールできる各種機能を備えています。
SHARPが「N-Blackパネル」と呼んでいるパネルの表面加工はこんな感じ。
透過性の高いマットブラックなグレア加工が施され、正面から見る分には意外と映り込みが気にならないです。撮影用の照明ライトだとがっつり映り込みますが、一般的な家庭の照明であれば画面側の明るさがたいてい勝ちます。
筆者のように画面の明るさを楽しむスタイルなら、正直・・・まったく映り込みを気にしませんでした。
ただし、画面全体が真っ暗になるシーン(SF映画の宇宙空間やホラー映画など)では、画面側が無点灯になってしまって背景がかんたんに映り込みます。
AQUOS XLEDはMini LEDバックライト搭載ゆえ、黒いシーンで画面が消灯します。完全な黒を表示できるかわりに、周囲のモノが映り込んで少し気が散ってしまいます。
キャリブレーター(測定機材)を使って調整したSHARP AQUOS XLED 43のおすすめ設定を紹介します。
- モード:ゲーム
- 明るさ:+4
- 色温度:中 – 低
- R(低ゲイン):+4
- G(低ゲイン):+2
- B(低ゲイン):+3
- R(高ゲイン):+1
- G(高ゲイン):+6
- B(高ゲイン):-19
- ダイナミックレンジ拡張:+6
出荷設定のゲームモードはあまりにも青色が強くて違和感が強かったため、色温度の設定から「青色(B)」を下げて調整します。
一応、標準的な色温度(6500K前後)に調整したリファレンスモニターと並べて見ながら調整しています(※AQUOS XLEDは量子ドット採用モデルゆえに、キャリブレーター機材の言う通りに合わせても絶対に色が合わないから)。
なお、量子ドットパネルは色の見え方に個人差が生じやすいため、赤や黄が強すぎると感じたら自分でさらに調整を加えてください。
明るさは好みに合わせて適当に。筆者は350 cd/m²が好みなので「明るさ:+4」です。といってもシーンによって1000 cd/m²まで跳ね上がる仕様なので、「ダイナミックレンジ拡張」や「黒レベル」も好みに合わせて調整するといいでしょう。
シーンによって明るさが変動するため、固定化された性能を前提とする3D LUTプロファイルを使ったキャリブレーションは難しいです。モニター側の設定を自分好みに調整してください。
モニターの色を測定できる専用の機材「X-rite i1 Pro2(分光測色計)」と「ColorChecker Display Plus(比色計)」を使って、「SHARP AQUOS XLED 43」の画質をチェックします。
SHARP AQUOS XLED 43(初期設定:標準モード)の色精度は派手にズレています。
量子ドットの効果で色域(表示できる色)が飛躍的に拡張されてしまい、sRGB色域を大幅にオーバーする「過飽和」が発生します。
↑過飽和(Oversaturation)のイメージ
もちろん、AQUOS XLEDに限らず他の量子ドットパネルも共通の傾向です。表示できる色が広いから、過飽和が発生します。
「広色域 = sRGBを超える」なので、過飽和が起きて色が合わなくなって当然です。ほとんどの人にとって、過飽和によって引き起こされる鮮やかな色合いを好ましく感じます。
Amazonや価格コムの口コミを見ても、鮮やかな色合いに大歓迎ムード。色の精度が高い = 必ずしも高画質を意味しません。
sRGBが必要ならゲーミングモニターの設定から「フォト」モードを使ってください。
表示される色域がsRGB:92%(実測)に制限され、結果的にsRGBに対する精度が改善されます。それでも実測値でΔE = 4.14、基準値の2.00を大幅に超過していてクリエイター用途に使いづらい精度です。
表示できる色が広いせいで、結果的にsRGB色域からズレてしまう「過飽和」が生じて色精度が下がっていますが、主観的にゲームや映像を楽しむ分には問題ありません。
sRGBの色精度が高い ≠ 主観的に見た高画質です。
SHARP AQUOS XLED 43のネイティブコントラスト比はInf:1です。
Mini LEDバックライトは黒(#000)のエリアで無点灯に切り替わり、実測値で「0 cd/m²」が検出されます。0だからコントラスト比は無限です。
ただし、シーンによってコントラスト比は変動します。ワーストケースで5000:1前後、OLEDテレビ向けのデモ映像なら48000:1まで確認でき、(実用上)十分すぎるコントラスト比です。
画面の明るさ ※クリックすると画像拡大 |
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100%時でなんと1048 cd/m²に達し、非常に明るい部屋でもSDRコンテンツを楽しめる明るさです。
そのかわり0%時は117.5 cd/m²と異常な高さ。夜間に暗い画面を好む方は、「PCモード」を使ってください。最低で44.5 cd/m²まで下げられるようになります。
目にやさしいらしい120 cd/m²前後は設定値0%(PCモード時:22%)でほぼ一致します。
色域カバー率 | ||
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規格 | CIE1931 | CIE1976 |
sRGBもっとも一般的な色域 | 99.9% | 99.4% |
DCI P3シネマ向けの色域 | 93.0% | 96.0% |
Adobe RGBクリエイター向けの色域 | 97.0% | 96.5% |
Rec.20204K HDR向けの色域 | 77.5% | 83.3% |
SHARP AQUOS XLED 43(標準モード時)の表示できる色の広さ(色域カバー率)はふつうに優秀です。
もっとも一般的な規格「sRGB」で99.9%をカバー。HDRコンテンツで重要なシネマ向けの規格「DCI P3」では96.0%カバーします。
印刷前提の写真編集で重視される「AdobeRGB」規格のカバー率は97.0%です。
エンタメ用途で重要なDCI P3とRec.2020カバー率の比較は上記リンクから確認してください。Rec.2020色域で他の量子ドットモニターに並ぶ性能です。
Mini LEDバックライトを使っているものの、パネル自体はあくまでもVAパネルです。VAパネルで定番の「VAグロー」が出ています。
色ムラの平均値は約4.5%、過去レビューしてきた液晶パネルでそこそこ上位の数値です。普通にゲームをプレイしたり、アニメや映画を見る分にはほとんど気にならないでしょう。
VAパネルだから視野角がやや狭いです。
IPSパネルより角度の変化に敏感で、デスクの奥行きが狭い環境だと画面の端っこが白くなったり黄ばんで見える傾向が見られます(参考:液晶パネルの違いを解説するよ)。
筆者が試した限り、AQUOS XLEDとの距離が50 cmだと微妙です。ゲームや映像はともかく、デスクトップ使用やオフィスワークだと気になります。
AQUOS XLEDとの距離は最低でも60 cm前後、できれば75 cmくらい欲しいです。
マクロレンズでパネルの表面を拡大した写真です。今までのレビューで一度も見た経験がない、独特の細かい形状をした「ストライプBGR配列」を確認できます。
ピクセル画素にカメラを限界まで寄せても、画素1ドット1ドットがクッキリと撮影できます。透過性の高い光沢加工が施されています。
スペクトラム分析では、3色すべての山が鋭く伸びる「量子ドット(Quantum Dots)」に特徴的なパターンが見られます。
「量子ドット」はパネル色域を飛躍的に向上させる比較的新しい技術です。今回のVAパネルのほか、一部のハイエンドIPSパネルやOLEDパネルでも使われています。
ブルーライト含有量は約34.9%です。あくまでもテレビとして販売している都合なのか、PCモニターほどブルーライトに配慮はありません。
気になる方は色温度の設定から青色(B)の成分を下げて調整できます。そもそも初期設定は色温度が青すぎます。
文字のドット感は普通にクリアです。
ただし、一般的なPCモニターで使われるRGB配列を左右反転した「BGR配列」を使っています。左から順に青(B) → 緑(G) → 赤(R)に並んでいるので、1ピクセルレベルの細い縦線がボヤけて見えます。
実際に1ピクセルの縦線があるコンテンツなんてほとんど無いから実用上の問題はまったく生じないものの、RGB配列より不利なのは事実です。
画素密度は43インチに4K(3840 x 2160 = 約829万画素)で、21.5インチのフルHDモニターに相当する103 ppiです。32インチ4Kが細かすぎて見えない人でも、43インチなら安心でしょう。
100 ppi前後は割とスタンダードな画素密度です。
カラーモードで画質を調整できます
- 標準(初期設定)
- AIオート
- ダイナミック
- ダイナミック(固定)
- スポーツ
- 映画
- ゲームモード
- PCモード
- フォトモード
SHARP AQUOS XLED 43は全部で9つのカラープロファイルに切り替え可能です。
プロファイルごとに色温度やコントラスト感(ガンマカーブ)、周辺環境に対する自動調光やダイナミックレンジ(ピーク輝度)の制御アルゴリズムにかなり差があり、自分好みの画質に調整しやすいです。
モード | 色域 (sRGB) | 色域 (DCI-P3) | 正確さ | 色温度 | ガンマ | コントラスト比 |
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標準 | 99.9% | 96.6% | ΔE = 7.61 | 11799K | 2.00 | Inf : 1 |
AIオート | 99.9% | 96.6% | ΔE = 5.41 | 11861K | 2.25 | Inf : 1 |
ダイナミック | 99.9% | 96.6% | ΔE = 6.19 | 11824K | 2.13 | Inf : 1 |
ダイナミック(固定) | 99.9% | 96.6% | ΔE = 6.32 | 11836K | 2.35 | Inf : 1 |
スポーツ | 99.9% | 96.6% | ΔE = 6.51 | 11791K | 2.46 | Inf : 1 |
映画 | 99.9% | 96.5% | ΔE = 5.37 | 6290K | 2.21 | Inf : 1 |
ゲーム | 99.9% | 96.6% | ΔE = 5.84 | 10723K | 2.21 | Inf : 1 |
PC | 99.9% | 96.6% | ΔE = 4.70 | 9347K | 2.15 | Inf : 1 |
フォト | 92.0% | 72.8% | ΔE = 4.14 | 9455K | 2.05 | Inf : 1 |
主観的な感想:ゲームをするなら「ゲームモード」、普通の作業なら「PCモード」が適しています。
画質の問題以前に、ゲームモードとPCモード以外は入力遅延が大きすぎてマウスの操作すらままならないです。補正機能を切っても入力遅延が改善しなかったため、プロファイルごとに何かしらの内部処理が入っています。
逆に、自分で操作する必要のないコンテンツを楽しむ分には「ダイナミック」が好みです。名前のとおりピーク輝度が高く、暗所をやや締める分かりやすいコントラスト感が出るモードです。
「AIオート」は周囲の状況に合わせて自動的に明るさや色温度を調整する、いわゆるお節介モードで個人的に気に入らなかったです。明るさはともかく、色温度まで勝手に変わってしまうのが許せない。
「スポーツ」モードはバンディング(段階的なグラデーション現象)をもっとも滑らかに処理する点で興味深いモードでした。ガンマがやや高い(実際より暗めに表示される)ので、明るさとダイナミックレンジ拡張を調整すれば良さそうです。
「映画」は9つあるモードの中で唯一、色温度がもっともマトモでしたが暖色に偏りすぎて黄ばんで見えます。「フォト」は色域が狭まって色の鮮やかさを損ないます。
せっかく量子ドットモニターを買ったのに、わざわざ色域を狭める意味・・・。かと言って色精度が良いわけでもなく、出番がほぼないモードです。
結局、9つあるモードのうち「ゲームモード」「PCモード」を中心に使っています。映画やアニメを見る場合は「ダイナミック」、配信コンテンツならバンディングに強い「スポーツ」が良さそうです。
ほとんどすべてのモードが初期設定で青すぎるので、「色温度調整」を併用するとなおよし。
ゲイン(低)が黒階調側の補正、ゲイン(高)が白階調側の補正です。2つのゲインをうまく調整するのがコツです。どちらか一方だけだとグラデーションが突然変わる変な色合いになります。
SHARP AQUOS XLED 43のゲーム性能を検証
ゲーミングモニターは、ゲームプレイに特化したPCモニターです。だから、ゲームプレイに適した性能がないとお話にならないです。
- 応答速度
- 入力遅延
- ゲーム向け機能
具体的に「応答速度」「入力遅延」「ゲーム向け機能」の3つを挙げられます。では、SHARP AQUOS XLED 43のゲーム性能がどれくらい優れているか、専用の機材を使ってテストします。
SHARP AQUOS XLED 43の応答速度と入力遅延
↑こちらの記事で紹介している方法で、SHARP AQUOS XLED 43の「応答速度」を測定します。
60 Hz時の応答速度 ※クリックすると画像拡大 |
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ごく普通の60 Hz時(オーバードライブ:なし)の応答速度です。30パターン測定で、平均7.65ミリ秒でした。
60 Hzとして平均的な数値で悪くないものの、やはり60 Hzに由来する「ホールドボケ」の方が影響度合いとしては大きく、残像感が強く見えてしまいます。
応答速度が0ミリ秒に近いOLEDパネルですら、60 Hzだと派手に残像が出ます。AQUOS XLEDが悪いというより「60 Hz」が悪いです。
120 Hz時の応答速度 ※クリックすると画像拡大 |
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120 Hz時(オーバードライブ:なし)の応答速度です。30パターン測定で、平均6.02ミリ秒を記録します。
他のゲーミングモニター(100 ~ 180 Hz)と比較します。
SHARP AQUOS XLED 43が記録した平均6.02ミリ秒は、過去ちもろぐでレビューしてきた4K HDRゲーミングモニターで平均以下です。
- MOBIUZ EX321UX:平均2.90ミリ秒
- LG 32GQ950-B:平均3.43ミリ秒
- DELL G3223Q:平均4.27ミリ秒
- MOBIUZ EX3210U:平均5.70ミリ秒
- AQUOS XLED 43:平均6.02ミリ秒
- INNOCN 32M2V:平均6.71ミリ秒
こうして並べると冴えない結果に思えますが、この中でAQUOS XLED 43が唯一の「VAパネル」だったりします。
VAパネルはIPSパネルと比較して応答速度で不利です。しかも27インチより32インチ、32インチより43インチの方が応答速度で不利なわけで、厳しい条件の割に健闘しているのでは?
・・・あくまでも条件の割に健闘しただけで、他と比較して悪い事実は変わりません。
加えて平均エラー率が10%前後と高く、競技性の強いeSportsゲームをプレイしていると残像感が見えるシーンがあるし、テキストをすばやくスクロールした時にハッキリと緑色の影が見えてしまいます。
応答速度の遅さとエラー率の高さはAQUOS XLED 43のもっとも大きな弱点で、人を選ぶ原因の筆頭です。
「PCモード(SDR時)」は大幅に残像が緩和され、42~43インチのIPSパネルと同等レベルです。モードによってオーバードライブのかけ方が違うようです。
入力遅延(Input Lag)はどれくらいある?
2024年7月より「入力遅延(Input Lag)」の新しい測定機材を導入しました。
クリック遅延がわずか0.1ミリ秒しかないゲーミングマウス「Razer Deathadder V3」から左クリックの信号を送り、画面上に左クリックが実際に反映されるまでにかかった時間を測定します。
- マウスから左クリック
- CPUが信号を受信
- CPUからグラフィックボードへ命令
- グラフィックボードがフレームを描画
- ゲーミングモニターがフレームを表示
新しい機材は1~5の区間をそれぞれ別々に記録して、1~4区間を「システム処理遅延」、4~5区間を「モニターの表示遅延(入力遅延)」として出力可能です。
50~100回クリックして、入力遅延の平均値を求めます。
SHARP AQUOS XLED 43の入力遅延はかなり遅いクラスです。
あまりにも遅くて測定ミスを疑いたい気持ちですが、入力遅延16ミリ秒以下の「INNOCN 27M2V」を横に並べてマウスカーソルでまたいでみると遅延を体感できます。
- ゲームモード(120 Hz):平均39.9ミリ秒
- PCモード(120 Hz):平均56.2ミリ秒
- ゲームモード(60 Hz):平均57.7ミリ秒
- PCモード(60 Hz):平均100.0ミリ秒
- 標準モード(120 Hz):平均218.7ミリ秒
※上記の結果はすべて4K(3840×2160)かつVRR無効
入力遅延が最短になるゲームモード(120 Hz)とPCモード(120 Hz)でも、わずかにマウスカーソルの遅れを感じます。
遅延が200ミリ秒台に乗る標準モードやダイナミックモードとなると、マウスカーソルが自分の後をつけてくるような感覚です。ハッキリと遅延を感じ取れるレベルです。
実際のシーンで「120 Hz」は効果ある?
AQUOS XLED 43を120 Hzで実際に動かした場合の「残像感」をチェックします。
(※クリックで画像拡大)
原神(フレームレート上限解除)で比較した写真です。言うまでもなく、120 Hzの方がクッキリと輪郭線を見て取れます。
(※クリックで画像拡大)
オーバーウォッチ2の比較です。60 Hz時より若干見やすくなった気がしますが、120 Hz程度だとテキスト(UI)をうまく視認できないです。
(※クリックで画像拡大)
Apex Legendsの比較です。明らかに120 Hzの方がクッキリと残像感の少ない映像を表示できます。
テレビの割に充実なゲーマー向け機能
日本の家電メーカー「SHARP」のお硬いイメージからして、まったくゲーマー向け機能に期待していなかったものの、リモコンでOSDメニューを開くとゲーマー機能満載です。
- 暗所補正
暗い部分を明るく補正する機能 - 鮮やかさ補正
色の付いた部分を強調する機能 残像軽減
残像をクリアに除去する機能- カクツキ防止
可変リフレッシュレート機能
残像軽減(黒フレーム挿入)を除く、ほとんどすべての機能に対応。順番にチェックします。
暗所補正「黒レベル」モード
暗い部分をいい感じに明るく補正できる「黒レベル」モードです。-30 ~ +30の60段階で非常にきめ細やかに調整できます。
補正の内容はガンマカーブ曲線のオフセットとカーブ変更なので、BenQ Zowieシリーズの「Black eQualizer」よりやや大雑把なかかり方です。
黒レベルを-1以下にすると黒階調側のガンマカーブを切り落とす処理が入り、映像の再現性能と引き換えに驚異的なコントラスト感を得られます(※俗に言う黒つぶし)。
OLED風な映像にするなら「-1」以下へ、Apex LegendsやタルコフなどFPSゲーム、画面全体が暗い傾向のホラーゲーム(Dead by Daylight)を見やすくするなら「+1」以上を使います。
暗所補正「映像レベル」モード
「映像レベル」も暗所補正に近い機能ですが、「黒レベル」よりマイルドな効果です。ピーク輝度を引き上げ、明るい部分をより明るく見せる機能です。
鮮やかさ補正「色の濃さ」モード
BenQのゲーミングモニターで有名な「Color Vibrance」によく似た機能が「色の濃さ」です。
-30 ~ +30(60段階)で細かく色の鮮やかさに補正をかけられます。もっぱらFPSや対人ゲームで視認性の向上に役立ちます。
HDRモード時も色の濃さモードを有効化できるので、HDR時に鮮やかさが物足りなく感じるゲームを鮮やかに見せるときに便利です。
特に「Windows 11 Auto HDR」や「NVIDIA RTX HDR」など。HDR非対応のゲームを自動でHDR化する機能を使うと、物足りない彩度に見える場合が多々あります。
「色の濃さ」を組み合わせればHDR時の彩度を自由に調整でき、好みのHDR画質へかんたんに調整できます。
4Kで120 Hz(PS5で120 Hz)に対応
SHARP AQUOS XLED 43は最大120 Hz、PS5で最大120 Hzに対応します。実際にPS5とゲーミングPCにモニターをつないでみて、リフレッシュレートの対応状況を確認しましょう。
PS5の対応状況 ※クリックすると画像拡大 | ||
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設定 | 60 Hz | 120 Hz |
フルHD1920 x 1080 | 対応PS5 VRR:対応 | 対応 PS5 VRR:対応 |
WQHD2560 x 1440 | 対応 PS5 VRR:対応 | 対応 PS5 VRR:対応 |
4K3840 x 2160 | 対応 PS5 VRR:対応 | 対応 PS5 VRR:対応 |
PS5でフルHD~4K(最大120 Hz)に対応します。HDMI 2.1(48 Gbps)採用だから「PS5 VRR」も対応。
なお、実際に120 Hzで動くかどうかはゲームによって違うので注意です。
たとえばフォートナイトなら120 fpsかつ120 Hz動作ですが、ストリートファイター6は60 fpsで120 Hz動作になるなど、ゲームによって挙動が違います。
対応リフレッシュレート ※クリックすると画像拡大 |
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SHARP AQUOS XLED 43がパソコンで対応しているリフレッシュレートは以上のとおりです。HDMI 2.1で最大120 Hzに対応します。
HDMI 2.1端子は最大48 Gbpsのフルスペック規格で、4K 120 Hz時に10 bit転送に対応。
VRR機能(可変リフレッシュレート) ※クリックすると画像拡大 |
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フレームレートとリフレッシュレートを一致させて「ティアリング」を防ぐ効果がある、VRR機能をフル装備。
動作範囲は48~120 Hzですが、LFC対応ハードなら20 Hz未満でもVRRが機能します。ちなみにPS5はLFC非対応ハードなので48~120 Hzまでです。
AQUOS XLED 43の機能性はすごい?
SHARP AQUOS XLED 43は定価20万超えの高級ゲーミングモニターですが、PCモニターで当たり前とされる接続性に関する機能性が弱いです。
- エルゴノミクス
高さや角度を調整する機能 - インターフェイス
映像入力端子やUSBポートについて - 高音質なイヤホン端子
謎に高音質な3.5 mm端子 - 自動調光
周囲の明るさに合わせて自動調光 - フリッカーフリー
眼精疲労や過敏症の人は気になる? - OSD
On Screen Display(設定画面)
細かい仕様が分からない部分も多いです。実際に使いながら、順番にチェックします。
自由に位置を調整できる「エルゴノミクス」機能
SHARP AQUOS XLED 43はすべてのエルゴノミクス機能に非対応です。
スタンドごと動かして首振り(左右スイベル)がかろうじてできるくらいで、モニター本体にエルゴノミクス機能を備えません。
VESAマウント ※クリックすると画像拡大 |
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別売りモニターアームを取り付けるのに便利なVESAマウントは「200 x 200 mm」に対応します。パネル本体の重量は約10.49 kg(実測)で普通のモニターアームで持ち上げられます。
VESAマウントを100 x 100 → 200 x 200 mmに変換する「NB-VS2020」と、Amazonベーシック(エルゴトロンOEM)のモニターアームを組み合わせて干渉なく取り付けられます。
本体(10.5 kg)と変換金具(0.6 kg)で耐荷重ギリギリ
耐荷重ギリギリですが問題なく支えられる性能です。
エルゴトロンOEMのモニターアームは約10 kgの43インチ4Kモニターを、約5年にわたって一度も調整せずに支えられた実績があります。
対応するインターフェイスをチェック
全部で4つの映像出力端子があり、HDMI 2.1で最大120 Hz(3840×2160)に対応します。
各USBポートにハブ機能はありません。マウスやキーボードをつないでも動かないです。
HDMIケーブル1本で音出し「eARC」
HDMIケーブルで音を転送できる「eARC」機能もチェックします。HDMI eARCまたはHDMI ARCに対応したサウンドバーやスピーカーに、HDMIケーブルで接続すると音出しできます。
HDMI ARC対応スピーカー「KEF LSX II LT Wireless」のHDMI端子に接続して、スピーカー側の入力を「TV」に切り替えると、問題なくスピーカーから音が出ました。
LSX II LTにつないでいるサブウーファー「KEF KC62」も動作確認済みです。
ただし、USBケーブルやBluetoothで接続できるパソコンの場合、わざわざHDMI eARCを使うメリットはほとんど無いです。
もっぱらPS5やXbox Series Xなど、ゲーム機向けの機能です。eARC対応のサウンドバーやスピーカーとかんたんに組み合わせられます。
「3.5 mmオーディオ端子」が謎に高音質
非常に優れたオーディオ特性を持つ「RME ADI-2 Pro」を用いて、SHARP AQUOS XLED 43のオーディオ性能をテストします。
さすがにポータブルタイプの専用DAC機材には届かないですが、平均的なゲーミングモニターよりは格段にリッチな音質です。
可聴域の20 ~ 20000 Hzまで、ほぼフラットな音質特性です。ノイズが少なく音量もパワフル、音にそれほどこだわりなければ十分な音質です。
比較的鳴らしづらい「Sennheiser HD650」にもかかわらず、うるさいほど大きい音量かつ低音域もよく鳴ります。
合計出力50 Wの内蔵サラウンドスピーカー
SHARP AQUOS XLED 43は全部で5つのスピーカーを画面内に内蔵します。
- 出力15 W x1:低音域サブウーファー(1個)
- 出力10 W x2:中音域ミッドレンジ(2個)
- 出力7.5 W x2:高音域ツイーター(2個)
メーカー仕様いわく合計出力50 Wの豪華なスピーカーシステムです。
校正済みの測定マイクを画面中央から60 cmの距離に置いて、サウンドモードごとに音の特徴を測定したグラフです。低音域はざっくり80 Hzから、高音域は19000 Hzまで出力されます。
「標準」や「ダイナミック」はややスカスカした薄っぺらい音質で、「Dolbyサウンド」は低音域から中音域のバランスが改善され、主観的に一番マトモな音質です。
「音楽ライブ」はサラウンドモードが有効化され、Dolbyサウンドより厚みのある音質に仕上がりますが、ゲームや映画を見る分にはDolbyサウンドの方が好みの音に聞こえます。
「DALI MENUET」が好きなオーオタと聴いてみた感じ、ゲーミングモニターの内蔵スピーカーとして信じられないレベルの高音質と評価できますが、数万円する外付けスピーカーシステムに到底敵わない評価になりました。
2000~3000円の格安小型スピーカーを使っているなら、SHARP AQUOS XLED 43の内蔵スピーカーで十分です。すでに1万円以上のスピーカーを使っていると満足できないでしょう。
目に優しいかもしれない「自動調光」
(周囲の明るさを変えて実験した様子)
モニターの設定から「明るさセンサー」を有効化すると、モニター中央にある照度センサーを使って周囲の明るさを検知し、自動的に画面の明るさを調整します。
変化を検知して数秒で「画面を暗くしました。」とテロップが表示され、すぐに画面が暗く調整されました。
照度センサーの場所です。マスキングテープでセンサーを覆うと、周囲が暗くなったと検知して自動調光が働きます。センサーの前にモノを置かないようにしましょう。
「フリッカーフリー」対応ですか?
メーカー公式サイトのどこにもフリッカーに関する記載がありません。
フリッカーフリーを検証 ※クリックすると画像拡大 |
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実際にオシロスコープを使ってフリッカーの有無をテストした結果、明るさ0~100%まで約2.1ミリ秒周期でフリッカーが検出されます。
- 3000 Hz以上:TÜV Rheinland認証の基準値
- 1000 Hz以上:実質フリッカーフリー
- 500 Hz以上:ほぼ実質フリッカーフリー
- 300 Hz以上:ほとんどの人にとってフリッカーフリー
- 300 Hz未満:フリッカーがあると言って差し支えない
- 0 Hz:完全なフリッカーフリー(DC調光方式)
検出されたフリッカーは478 Hz(2092 us)で、ちょっとあやしい感じです。肉眼で見る分にはフリッカーフリーですが、ちらつきに敏感な人なら気づくかもしれません。
SHARP AQUOS XLED 43は明るさを調整するために「PWM調光」を使っています。高輝度なMini LEDバックライトは原理的にDC調光が難しく、PWM調光を使う製品が一般的です。
PWM調光を使ってしまうとフリッカーは避けられません。ゲーミングモニターなら数千~数万Hz台、テレビだと数百~数千Hz台が多いようです。
モニターの設定画面(OSD)
付属品の「リモコン」からOSD設定を操作できます。
モニター本体の左側にある「5つのボタン(独立ボタン型)」でも操作できますが、リモコンが圧倒的に便利すぎて物理ボタンの出番は皆無です。
分かりやすく整理されたフォルダ階層型のレイアウトで、日本語訳も違和感なく正確です。
ただ・・・ Android TVの影響かリモコンのボタンを押してからOSDメニューが動くまで、微妙にワンテンポ遅れる挙動がうっとうしく感じます。
画質設定のメニューを開くまでに「設定」→「下」「下」「下」と、ボタンを4回も押す奥まったレイアウトも面倒くさいです。
各項目に1ボタンでアクセスできるショートカットキーがあれば良かったのですが、テレビとして設計されている都合上、ショートカットなどという気の利いた機能は見当たりません。
- ワンテンポ遅い挙動
- ショートカットなし
- 画質設定がやや奥まった位置
何度も何度も設定画面を開くのが億劫です。
LGテレビの方がテンポがよく、レイアウトも多少マシ、マジックリモコンの使い勝手も良かったです。
よくよくリモコンを観察すると、無駄なボタンの多さもLGマジックリモコンに劣っています。
別売りでいいからシンプルなボタンだけを凝縮した、スマートな小型リモコンが欲しいです。
SHARP AQUOS XLED 43のHDR性能をテスト
SHARP AQUOS XLED 43はDisplay HDR認証がないモニターです。Display HDR認証はゲーミングモニター業界向けの規格で、テレビとして販売されるAQUOS XLEDをわざわざDisplay HDR認証に通す旨味が無かった様子。
やはりテレビ業界はゲーミングモニターよりも無法地帯です。「HDR対応」と表記しながら、どの程度HDRに対応しているかは実際に使ってみるまで分かりません。
Youtubeで公開されている「Morocco 8K HDR」や、HDR対応ゲームを使って検証します。
(HDR映像を収めた写真はSDRです。掲載した写真は参考程度に見てください。)
いろいろ勝手に疑って申し訳ない・・・、とても明るく実在感のあるちゃんとしたHDR映像を見られます。
ピーク時に1300 cd/m²、画面の半分が明るいシーンですら900 cd/m²前後を維持する驚異的な輝度性能により、部屋の明るさに関係なく優れたHDR再現性能を維持します。
ネイティブコントラスト比が5000:1前後の「VAパネル」だから、Mini LEDが不利とする暗いシーンでも白浮きが目立ちづらく、OLEDのような雰囲気です。
一般的な部屋の明るさだと表面反射の影響により実効コントラスト比はせいぜい5000:1程度※まで悪化するため、同じ照明条件ならOLEDと大差ないのも頷けます。
※QD-OLEDパネルは5000:1程度、ノングレア加工のW-OLEDパネルが10000:1程度、グレア加工のW-OLEDパネルが20000~30000:1程度まで悪化する傾向。
むしろピーク輝度をガンガン炊き上げられるSHARP AQUOS XLED 43の方が、主観的に見て「映えるHDR映像」に仕上がります。
さらに大画面43インチの没入感も加わり、筆者が1年半に渡って愛用している「INNOCN 32M2V」以上の実在感を体験できて良かったです。
Mini LEDバックライトの分割数を予想
シャープいわく、Mini LEDの分割数は非公開です。
中華メーカーのXiaomiやTCLはMini LEDの分割数を公表してマーケティングにも活用する中、未だに日本のテレビメーカーはスペックの大部分を定量的に公開しないスタイルを続けています。
一例を挙げてみましょう。
TCL CSOT(中国)
「最新シリーズのQM7 TVは1500ゾーン以上のMini LEDバックライトを搭載。従来モデルのQM6 TVは当時せいぜい100ゾーンだったため、1500ゾーン搭載のQM7 TVは従来モデルよりコントラスト比が高く、暗部の階調表現がより正確です。」
シャープ(日本)
「高密度に敷き詰めたMini LEDをバックライトとして搭載。当社従来比で約15%向上した(何が15%向上?)アクティブMini LED駆動により、AQUOS史上最高の明暗表現力を実現しました。」
中華メーカーは定量的な数値で従来比を示し、日本メーカーは数字をフレーバーのように扱います。15%向上と書いてあっても、何が15%向上したのか書かなければ意味がないです。
バックライトの分割数?それともピーク輝度?実効コントラスト比?要するに、なんとでも言えます。
ハロー(光漏れ)が発生しやすいテストパターンを表示させ・・・、正面から見るとハローがほとんど見えなくて判別できないです。
カメラを斜めに設置して露出を極端に引き上げて、写真編集ソフトでレイヤー加工を2枚重ねてようやくハロー(光漏れ)現象を捉えられます。
テストパターンの左右よりも上下の方がハローが伸びている様子から、Mini LEDバックライトの分割数は336~360ゾーンと予想可能です。
第1候補が「360(30×12)ゾーン」です。ハローの漏れ具合が2:1の比率に見えるので、おそらく30×12ゾーンの可能性が高いです。
第2候補が「336(24×14)ゾーン」ですが、同じゾーン数の43インチVAパネルが過去の製品から見当たらないので、たぶん違います。
「384(24×16)ゾーン」の可能性も考えられますが、ハローの漏れ具合の比率を見る限り可能性は低いです。
よって、AQUOS XLED 43のMini LED分割数は336~360ゾーンと予想します。
最近のゲーミングモニターで1000ゾーン超えが珍しくない中、336~360ゾーンは少ない印象を受けます。しかし、実際に得られるコントラスト感や白浮きの少なさは圧倒的にAQUOS XLEDの勝利です。
AQUOS XLED 43はネイティブコントラスト比5000:1のVAパネルを使っているため、人間がOLEDパネルと比較して白浮きに気づける “しきい値” がとても低いです。
95%の人がOLEDと比較して白浮きを見抜けない “しきい値” は以下の通り。
- 1000:1の場合は10000ゾーンを超えても足りない
- 2000:1の場合は3000ゾーン程度で95%が気づかない
- 5000:1の場合は200ゾーン程度で95%が気づかない
AQUOS XLED 43の336~360ゾーン分割はしきい値の1.5倍近い分割数で、95%以上の人にとって十分なコントラスト感を得られます。
(DELL AW2725DFと比較してみた)
極端な差が出やすい真っ黒な背景に斑点模様を使って、QD-OLEDパネルと比較した写真です。白浮きを完全に防ぐのは無理ですが、かなりいい勝負をしている印象を受けました。
(QD-OLEDは黒いエリアのディティールが潰れてます)
8K Moroccoのワンシーンで比較。さすがに分かりやすいパターンです。
でもよく映像を見ると、OLEDは本来あったはずのディティールを潰してわざと黒く見せているだけで、AQUOS XLED 43はコントラスト感が下がったように見えて実は映像に忠実なだけです。
もちろん、エンタメ目的の映像鑑賞ですからどちらがいいかは完全に好みの問題です。
黒を潰してでもコントラスト感を味わいたいならOLEDパネルが向いているし、映像の再現性や明るいシーンの明るさにこだわるならMini LEDでしょう。
参考程度に、Display HDR 1000認証に対応するゲーミングモニターと比較した写真を置いておきます。
「黒レベル」でハロー現象を調整
ゲーマー向けの暗所補正として実装されている「黒レベル」は、HDRモードでも使えます。
黒レベルを-1以下にすると、ガンマカーブの黒階調側から切り落とす(= OLEDと同じく黒を潰す)処理が加わり、ハローや白浮きを抑制可能です。
ただし、黒レベルを聞かせすぎるとガンマカーブ全体が沈み込むようにオフセットされてしまい、インパクトの薄いHDR感のない映像になるデメリットも抱えています。
自分にとって程よい黒色とピーク輝度のバランスを探してみてください。
全部で8つある「HDRプリセット」
SHARP AQUOS XLED 43には、全部で8種類のHDRプリセットモードが用意されています。
- 標準HDR
- AIオートHDR
- ダイナミックHDR
- ダイナミック(固定)HDR
- スポーツHDR
- 映画HDR
- ゲームモードHDR
- PCモードHDR
プリセットごとに、ピーク輝度やガンマカーブ、色温度や鮮やかさに差があります。
モード | APL : 1% | APL : 3% | APL : 5% | APL : 10% | APL : 25% | APL : 49% | APL : 75% | APL : 100% |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
標準 | 655.5 | 597.3 | 805.5 | 948.7 | 876.8 | 678.6 | 572.8 | 523.3 |
AIオート | 変動するので測定なし | |||||||
ダイナミック | 642.0 | 925.4 | 1164.5 | 1363.6 | 1009.8 | 831.4 | 633.1 | 545.1 |
ダイナミック固定 | 518.4 | 771.9 | 982.5 | 1078.1 | 1286.0 | 930.2 | 649.8 | 543.8 |
スポーツ | 346.3 | 495.5 | 621.0 | 620.7 | 856.3 | 946.2 | 669.8 | 554.1 |
映画 | 403.0 | 587.5 | 758.0 | 890.2 | 1057.3 | 800.6 | 558.1 | 458.8 |
ゲーム | 532.9 | 770.8 | 803.9 | 1052.1 | 1270.0 | 928.2 | 649.8 | 544.4 |
PCモード | 254.1 | 313.0 | 345.2 | 369.3 | 404.2 | 434.7 | 445.1 | 445.4 |
フォト | 色域が狭いので使わない |
「ダイナミックHDR」と「ゲームHDR」が一番明るいです。「PCモードHDR」はピーク輝度が450 cd/m²程度にとどまり、いわゆるDisplay HDR 400相当の性能に。
Display HDR 1000クラスの性能を楽しむなら、ダイナミックHDRやゲームHDRがおすすめです。
ゲームHDRとPCモードHDR以外は入力遅延が体感できるほど大きいので、HDRゲーミングはほとんどゲームHDRを使用します。
HDR時の色が青すぎるので調整してみよう
(出荷設定 / 手動で調整)
出荷設定そのままのHDRモードは、色温度が異常なほど寒色に偏っていて、全体的に明るさ(ガンマカーブ)がプラスにオフセットされた状態です。
色温度が約12470K(中央値)、派手にズレてます。
明るさを示すガンマカーブ(PQ EOTF曲線)は、既定値よりやや明るい方向にオフセットされています。
一般的なゲーミングモニターだったら・・・、特に打てる手はありません。しかし、SHARP AQUOS XLED 43はHDRモード時でも各種ゲーマー向け機能を適用可能です。
- 映像レベル:HDR対応
- ダイナミックレンジ拡張:HDR対応
- 黒レベル:HDR対応
- 色の濃さ:HDR対応
- 色温度:HDR対応
- HDRガンマ:HDR専用
それぞれの機能をうまく使って、過剰に青すぎる色温度と、過剰に明るすぎるガンマカーブをキャリブレーションします。
HDRモードで「映像レベル」を使うと、ピーク輝度を調整できます。
今回はDisplay HDR 1000相当の映像に仕上げたいので、最大値の「+40」です。
「黒レベル」を使って、ガンマカーブにマイナス方向のオフセットをかけます。かけ過ぎると画面が暗くなるし、黒つぶれの度合いもひどいのでほどほどに。
今回は「-1」に設定します。
「HDRガンマ」も黒レベルと同じく、ガンマカーブ全体にオフセットをかけるのでほどほどに調整します。今回は「-1」です(写真は省略)。
「ダイナミックレンジ拡張」は映像レベルと同じく、ピーク輝度に深くかかわる設定です。Display HDR 1000相当の性能に仕上げたいので最大値の「Lv6」を設定します。
あまりにも青すぎる「色温度」を調整します。
- 色温度:低
- R(ゲイン低):-12
- G(ゲイン低):1
- B(ゲイン低):-15
- R(ゲイン高):-11
- G(ゲイン高):2
- B(ゲイン高):-12
色温度:低まで下げても7500K前後とかなり寒色に偏っています。低ゲインと高ゲインの両方から「R」と「B」を下げて、「G」を少し上げると主観的な6500Kに近づきます。
キャリブレーターによる測定値は約6880K前後です。量子ドットパネルは測定値と実際の見え方が合わないから大変です。
「色の濃さ」は彩度(鮮やかさ)を調整します。「0」だとちょっと味気なく見えるので、映え重視で「+3」に設定しました。
- モード:ゲームHDR
- 明るさ:+16
- 映像:+40
- ダイナミックレンジ拡張:+6
- 黒レベル:-1
- HDRガンマ:-1
- 色の濃さ:+3
- 色温度:低
- R(ゲイン低):-12
- G(ゲイン低):1
- B(ゲイン低):-15
- R(ゲイン高):-11
- G(ゲイン高):2
- B(ゲイン高):-12
ここまで紹介した “手動キャリブレーション” の結果を確認しましょう。
色温度は約12470K(中央値)から、約7030Kに修正されました。
HDR時のガンマカーブ(PQ EOTF曲線)も多少マシに仕上がりました。
キャリブレーションの副作用でピーク輝度が1270 cd/m²から1050 cd/m²に下がってしまったけれど、主観的に楽しむ分には許容範囲です。
2台並べて厳密に見比べないと分からないレベルですし、色温度と明るさを修正できたメリットが大きいです。
モニター測定機材でHDR性能を評価
モニターの色や明るさを測定できる機材を使って、「SHARP AQUOS XLED 43」のHDR性能をテストします。
測定結果(レポート)はこちら↓からどうぞ。専門用語が多いので・・・、興味がなければ読まなくていいです。
VESA Display HDR HDR性能のテスト結果 | ||
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比較 | テスト対象 AQUOS XLED 43 | VESA Display HDR 1000 |
画面の明るさ |
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黒色輝度 |
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コントラスト比 |
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色域 |
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色深度 |
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ローカル調光 |
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AQUOS XLED 43(ゲームHDRモード)のHDR性能をテストした結果、全白輝度の項目で不合格です。他の項目は問題なくクリアしており、おおむね「Display HDR 1000」相当の性能に近いです。
HDRモードで画面全体に白色を表示したときの明るさを、他のモニターと比較したグラフです。
HDR時のコントラスト比(理論値)は、Infinity:1(∞)です。
HDRコントラスト比i1 Pro 2で測定した結果 | |
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全画面 | Inf : 1 |
10%枠 | 31750 : 1 |
3×3分割 | 13228 : 1 |
5×5分割 | 7763 : 1 |
7×7分割 | 5501 : 1 |
9×9分割 | 4759 : 1 |
テストパターン別にHDRコントラスト比を測定、ワーストケースで4759:1です。
HDR規格どおりの明るさを表示できるかチェックする「PQ EOTF」グラフです。「ゲームHDRモード(APL:25%)」で測定しました。
見ての通り、基準値にプラスのオフセットをかけた明るいEOTFグラフです。パッと見のインパクトを重視した設定に思えます。
他のHDRモードも程度の差はあれ・・・、基準値からズレています。「映画」モードが一番マシですが、黒つぶれの傾向があり、ピーク輝度も控えめに抑えられていてイマイチです。
- AQUOS XLED 43(3D LUT校正):0.056
- DELL AW2725DF(約12万円):0.119
- EX-GDQ271JA(約4万円):0.139
- HP OMEN 27q QHD(約3万円):0.196
- MSI G274QPF-QD(約4.5万円):0.359
- MOBIUZ EX2710Q(約5.7万円):0.392
- AQUOS XLED 43(手動で調整):0.396
- MOBIUZ EX321UX(約23.6万円):0.603
- AQUOS XLED 43(約21.7万円):0.609
明るさ1000 cd/m²までの追従指数は約0.609・・・、手動でキャリブレーションすると0.396でした。
HDR精度を必要とするHDR映像クリエイターには適していません。
面積比による明るさの変動はやや大きいです。
面積比3~50%まで800 ~ 900 cd/m²台の明るさで、一般的なOLEDモニターよりずっと明るく見えます。面積比75%以上でDisplay HDR 600相当の明るさに落ち着きます。
HDRピーク輝度の持続時間はおよそ1分です。実際のHDRコンテンツでまったく同じシーンが1分以上つづくパターンはなかなか無いため、実用上ほぼピーク輝度を出せています。
HDR時の色精度(Rec.2020)は最大ΔE = 27.1、平均Δ = 18.9でかなり不正確です。HDR時の色温度もあまり合っていませんので、「色温度」の設定から好きに設定してください。
色温度を手動でキャリブレーションすると、平均Δ = 11.7まで改善されます。
試験的に導入を始めたICtCp規格による「カラーボリューム(Gamut Volume)」の評価です。
白い枠線がターゲット色域で、内側のカラフルな枠線が実際に表示できた色の広さです。白い枠線が埋まっているほどHDR表示に理想的と考えられます。
SHARP AQUOS XLED 43の開封と組み立て
簡素な段ボール風のパッケージで到着。サイズは106 x 73 x 18 cm(200サイズ)です。
「前面」と書いてある面を、天井に向けて横倒しします。
手前に詰まっている付属品と梱包材を取り出します。
両腕を箱の奥へ突っ込んで、モニター本体を手前に引っ張って取り出します。
付属品 |
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いろいろと付属品がたくさんありますが、説明書や組み立てに必要なネジ類など。どれも必要最低限の付属品ばかりで、映像出力用のHDMI 2.1ケーブルがなんと付属しません。
Club3DやAnkerなど、信頼できるメーカーのHDMI 2.1ケーブルをおすすめします。
便利な「リモコン」です。リモコン用の単4電池が2本付属します。
組み立て工程 ※クリックすると画像拡大 | |
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サイズが43インチと大きいだけあって組み立てがやや手間です。
スタンドの固定に使った8本のネジは、固定するのにプラスドライバーが必要です。
外観デザインとサイズ感の比較写真
特に目立った意匠性のない「普通のテレビ」としか言えないデザインです。
43インチと32インチのサイズ感を比較してみた。32インチより一回り大きく、AQUOS XLED 43を1台置いただけでデスクの横幅を約1メートルも専有します。
43インチと27インチの比較です。
標準的なサイズのBTOパソコン(→ マウス NEXTGEAR)と並べてみた。43インチが大きいあまり、ゲーミングPCが小さく見える錯覚です。
横幅180 cmのPCデスクでも、43インチのモニターとスピーカー2台、ゲーミングPCを設置すると窮屈になります。
コンセントに仕込んだ電力ロガーを使って消費電力を1秒ずつ記録したグラフです。数~数十時間のゲーミングモニター検証中に記録しています。
- 中央値:66.2 W
- ピーク値:102.2 W
- 上位25%:71.1 W
- 下位25%:65.7 W
多めに見積もって70 W前後です。SDRゲーミング時で60 W前後、HDRゲーミング時で70 W前後をイメージすると近いです。
まとめ:非常に希少な「43インチ量子ドットMini LED」
「SHARP AQUOS XLED 43」の微妙なとこ
- 体感できるほどの入力遅延
(ゲームモードとPCモード以外) - VAパネルで視野角が狭い
- 応答速度が遅くてエラー率も高い
- パネルの均一性(色ムラ)は普通
- エルゴノミクス機能なし
- 初期設定の色温度がズレてる
(かんたんに修正できます) - 残像軽減「黒挿入」なし
- 「sRGB」モード非対応
- PWM調光によるフリッカー
(ほとんどの人は気づかない) - メーカー標準保証は1年
「SHARP AQUOS XLED 43」の良いところ
- 43インチで4K(没入感いい)
- 最大120 Hzに対応
- PS5で120 Hz(PS5 VRR)対応
- 色域がとても広い(DCI P3で96%)
- コントラスト比が高い(5000:1)
- 実用的なゲーマー向け機能
- Display HDR 1000相当の性能
- 336~360ゾーン分割のMini LEDパネル
- HDRモードでも自由な設定
- ハローを調整する「黒レベル」モード
- オーディオ端子の音質がいい
- 高音質な内蔵スピーカー(出力50 W)
- 自動調光「明るさセンサー」機能
- 「HDMI eARC」に対応
- 便利な「リモコン」が付属
- 家電通販なら4年保証(3年+1年)
弱点とメリットがハッキリ分かれるゲーミングモニターです。
HDRゲーミングに興味なければ、手頃な価格のOLEDテレビ(LG OLED C2 42など)を買ったほうがいいでしょう。視野角、応答速度、ハロー(白浮き)の問題から開放されます。
一方、VAパネル(5000:1) + 量子ドット + Mini LEDバックライトを組み合わせた「AQUOS XLED 43」では、既存のOLEDパネルでまだ実現できていない本当に高輝度なHDRを体験できます。
HDRコンテンツやHDRゲームを楽しんでいるかどうかが、AQUOS XLED 43を選ぶ分かれ道です。
筆者の場合、NVIDIA RTX HDRを使ってゲームをHDR化して、モニター側の彩度補正(色の濃さモード)でいい具合に鮮やかさを盛り付けてHDRゲーミングに没入しています。
逆にHDRコンテンツを見る頻度が少ない方は、OLEDパネルが適しています。OLEDよりSDR規格の方がはるかに暗いため、HDRを見ないのであればOLEDでまったく問題ないです。
「AQUOS XLED 43」の用途別【評価】
使い方 | 評価※ |
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FPSやeSports(競技ゲーミング) 最大120 Hz対応で、応答速度がやや遅いです。競技ゲーミングに適さないです。 | |
ソロプレイゲーム(RPGなど) 明るく色鮮やか、コントラスト感の高い映像でソロプレイゲームに没入できます。 | |
一般的なオフィスワーク 43インチの4K解像度で作業性に優れ、100%表示でも文字がクッキリと見えます。目にやさしい自動調光も対応・・・、しかしPWM調光によるフリッカーや、「sRGB」モード非対応が弱点です。 | |
プロの写真編集・動画編集 動画編集で求められる「DCI P3」色域と、写真編集に求められる「Adobe RGB」色域を満たしていますが、出荷時校正がありません。動画はともかく、プロ用途の写真編集では不適切でしょう。 | |
HDRコンテンツの再現性 Mini LEDパネルを使ったフルアレイ方式ローカルディミングにより、Display HDR 1000相当のメリハリあるHDR性能です。非常に明るく色域も良好ですが、明るさ(PQ EOTF)がやや不正確でした。幸い、OSD設定から手動でキャリブレーションできます。HDRコンテンツの再現性は高いです。 |
※用途別評価は「価格」を考慮しません。用途に対する性能や適性だけを評価します。
映像美を重視するソロプレイゲームとHDRゲーミングに適した、4K HDR大型ゲーミングモニターです。
VAパネル(5000:1)を採用し、既存の27~32インチMini LEDゲーミングモニターで何かと指摘されやすかった「ハロー(白浮き)」を大幅に抑制している点も、AQUOS XLED 43の差別化ポイントです。
シーンによってはOLEDとほとんど見分けがつかず、慌てて部屋を暗くしてパネルを斜め方向から凝視しながら「ちゃんと液晶だな・・・」とわざわざ確認するくらいでした。
今まで使ってきたMini LEDゲーミングモニターの中で、もっとも一般ウケのいいHDR品質です。
参考価格 ※2024/6時点 | |
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Amazon ヤマダウェブコム Yahooショッピング |
2024年6月時点、AQUOS XLED 43(4T-C43GP2)の実売価格は約21.8万円です。
ヤマダウェブコムの場合は、楽天Payで支払うと3%還元で実質21.1万円で買えます。同型の小型テレビを下取りに出すと15000円の割引です。
以上「AQUOS XLED 43(4T-C43GP2)レビュー:国産43インチのMini LEDゲーミングモニター」でした。
AQUOS XLED 43の代替案(他の選択肢)
(日本国内に)代替案はほとんどありません。
個人輸入であればSamsungが選択肢ですが、日本国内で日本メーカーのSHARPが売っているのに、わざわざSamsungのテレビを買おうと思う人は皆無でしょう。
ちなみにスペックがやや似ている「AOC G4309VX/D/11」は、Mini LEDバックライトを搭載しないので注意。
AQUOS XLED 43のパネル製造元は?
台湾AU OptronicsのAMVAパネルか、台湾InnoluxのSuper MVAパネルの可能性が高いです。スペックとデータシートが近いのは後者のSuper MVAパネルです。
Samsungが自社でパネルを製造している情報はまったく見つけられず、消去法でAUOとInnoluxにたどり着きます。
4Kでおすすめなゲーミングモニター
最新のおすすめ4Kゲーミングモニター解説は↑こちらのガイドを参考に。
4KでおすすめなゲーミングPC【解説】
予算に余裕があれば「RTX 4090」や「RTX 4080」を搭載したゲーミングPCがおすすめです。
コスパ重視なら「RTX 4070 Ti SUPER」がおすすめ。
筆者がAQUOS XLED 43をつないでいるメインPCもRTX 4070 Ti SUPERです。グラフィック設定次第でおおむね4K 120pを安定させられます。
おすすめなゲーミングモニター【まとめ解説】
詳細なレビュー、いつもお疲れ様です。楽しく拝読しました。
全体的に32M2Vより色々一般向けな要素が多めのようですね(テレビだから当然かも知れませんが)。43インチ・miniLED搭載・VAパネルと、希少な組み合わせを持った製品が日本でこれほど早く出るとは驚きです。しかし32M2Vで1番の不満点である応答速度関連の項目がこちらもきつそう….
ただハローが少なくてコントラスト比良好、しかもグレアだから恐らく実際に見たときの感動は記事で見る以上にあるんでしょうね☺
テレビにまで手を広げましたか
テレビもアリなら気になったものが見つかったらで構いませんのでREGZAの検証もしていただけると嬉しいです
これなら普通にOLED TVのほうがいいなぁ
このサイズで視野角弱いの致命的過ぎる
昔はゲーミングテレビといえばレグザだったけど今どうなってるのかも気になりますね
どうやらこちらの商品は現在シャープがやってる
キャッシュバックキャンペーン対象商品なので
TVの購入で1万円のキャッシュバックが受けれますね
なお対象の4Kレコーダーとサウンドパートナーも買うと
最大2万5千円のキャッシュバックの様です
ちもろぐさんも忘れずに申請を
視野角ってどのくらい狭いですか?
正面と斜めからでは白っぽくなったりして色味が全然違いますか?
いつも楽しく見ています。
EX321UXあたりで気になったのですが、
32M2Vを今用途別評価をつけるとしたらどのように思っているか気になります。
よければお聞きしたいです。
結構良いパネル作ってるのに、PC用ゲーミングモニターは作らないのが残念です。
テレビに固執せず、素直にパネルメーカーとして、PCモニターにも本腰入れてれば、あんな体たらくにならなかったろうなと思いたくなりますね。
スマホやタブレットの高DPIに慣れすぎて40インチ台で4K100%表示だとドット感が目立ちそう
実際は視聴距離の関係でそうでもないのかな
43インチでVAパネルじゃなきゃ嫌とかじゃなければ、
モビウスの奴で良いってなる値段。
4Kではないけど、似たスペックならAcerが出してるな。代替案にはなるのでは?
WQHDのminiLEDのVAでHDR1000表記のやつ
WQHD27インチが4k43インチの代替になるというのは本気で言ってるんですか?
XV275UP3biiprxかな?
7万でお釣り来るし需要はそれなりにありそう
こういうのレビューしてほしいですね
さようですさようです
ずっとアマゾンのカゴにぶっこんだまま、どこかが詳しいレビューを出すまで待ってる状態です。Youtubeに関係者?による動画があったんですが、不勉強ながら(自動翻訳であっても)、英語はよくわからんかったです…
購入検討中の商品なので、大変参考になりました。
洋間6畳だと、PCモニター兼用なら43インチくらいがちょうど良い大きさですね。
今まではREGZA派だったのですが、Mini LEDモデルは最小で55インチとあまりにも大きすぎ購入対象から除外。
早くノングレアIPSで40インチ以上、HDR1000のモニターの商品欲しいわ
数が出るからゲーミングモニターより結局お得だよね問題はモニターとしては余計な機能だけど
あといつぞやのPCの出力端子問題に近いイマドキの話ですが実店舗がネットに負けてる、高いはもう古い話や~1万円くらいの商品の話で、実店舗でも大抵はウェブ価格にはしてくれるしそれ以下にしたり長期保証やオマケ(配送無料とかついてないケーブルとか)を付けてくれるので、店で見れるものは見るのもオススメ
楽しく拝見しました
PCモニタとして使う場合、スリープや電源ONにした時にテレビ側も自動的に電源のON/OFFをしてくれるのでしょうか?
以前紹介していたLGの48インチOLEDテレビは正直でか過ぎるからこれはいいですね
原神スタレ目的なら問題無いですし真面目に検討したいです。
あとは、国内メーカーのテレビをまともに買うならヤマダは選択肢としてもベストですね、ちもろぐでヤマダ電機の名前が出てくるとは思ってなかっただけにビックリ
我が家で買い替えたテレビがこちらだったので、設定値を参考にさせていただきました。
地デジやBSには調整しやすそうなが表示されなかったので泣く泣くダイナミックで使用してます。
テレビとして使う(部屋のいろいろな位置・姿勢で見る)場合、鑑賞する位置でずいぶん色が違う印象です。
特に立ってみる時と座ってみる時の肌の印象が全く違いました。
正面からは(ハマれば)奇麗なので、視野角がもう少し欲しいところです。
ハイセンスの43インチゲーミングテレビ「43U7N」が、miniLED搭載ではありませんがそのぶん価格も半額以下で気になったのでやかもちさんの詳しいレビューで見てみたいと思いました。
tclのc755は如何でしょうか?
量子ドット+miniledによる300分割以上のローカルディミング+1300nitが公称スペックですが、Amazon専売のqm8bならポイント還元込みで9万以下で買えちゃいます。
最低インチ数が50インチなのだけがネックですが…
え、ちもさん、KEF LSX II LT Wireless持ってるのか、、、
オーディオインターフェイスもRMEだったりでかなり凝ってますよね。
番外編でオーディオ機材紹介して欲しい。