実はスキマ市場になりつつあるフルHD超高Hzモニターに、コスパで有名なKTCから新製品「H25X7」が発売されました。
約2.7~2.9万円の価格で、最大400 Hz対応のFast IPSパネル搭載モデルです。
もっぱら3万円エリアはWQHDモニターの主戦場ですが、解像度よりリフレッシュレートが欲しいガチゲーマーにとって、意外といい選択になるかも?

(公開:2025/9/2 | 更新:2025/9/2)
「KTC H25X7」はどんなゲーミングモニター?
- フルHD(1920×1080)で「最大400 Hz」
- 「Fast IPS」パネル採用
- Display HDR 400相当に対応
- PS5で120 Hz(VRR)かつSwitch 2も対応
「KTC H25X7」は高リフレッシュレートに特化したフルHDゲーミングモニターです。
2~3万円台でかなり珍しい最大400 Hz対応。画質と応答速度に優れている「Fast IPS」パネルを使っているから、万人ウケする画質とeSportsゲーム適性を両立します。
KTC(Key to Combat) H25X7 | |
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パネルタイプ | フルHD(1920×1080)で最大400 Hz Fast IPSパネル(24.5インチ) |
応答速度 | 2 ms (G2G) |
主な機能 ゲーマー向け |
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調整機能 エルゴノミクス |
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VRR機能 | FreeSync Premium Pro ※G-SYNC互換モード対応 |
参考価格 ※2025/9時点 | ![]() |
Amazon 楽天市場 |
KTC(Key to Combat) H25X7 | |
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画面サイズ | 24.5インチ |
解像度 | 1920 x 1080 |
パネル | Fast IPS |
コントラスト比 | 1000 : 1 |
リフレッシュレート | 400 Hz (1920 x 1080) HDMI 2.0 : ~240 Hz DP 1.4 : ~400 Hz |
応答速度 | 2 ms (G2G) |
光沢 | ノングレア |
VESAマウント | 100 x 100 mm |
エルゴノミクス |
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主な機能 |
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HDR対応 |
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同期技術 | FreeSync Premium Pro ※G-SYNC互換モード対応 |
スピーカー | なし イヤホン(3.5 mm)端子あり |
主な付属品 |
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寸法(実測) | 558 x 403 x 165 mm |
重量(実測) |
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保証 | 3年保証 ※液晶パネルも3年保証 |
「KTC H25X7」は、映像美とクッキリ明瞭なモーション性能を両立できる「Fast IPS」パネル搭載なフルHDゲーミングモニターです。
定価が約4万円ですが、よくあるタイムセール価格で3万円台を割り込みます。
約2.7~2.9万円で最大400 Hzもの超高速リフレッシュレートに対応。Counter StrikeやVALORANTなど、競技クラスのeSports用途に適したスペックです。

スペックの割に激安ながら、3年間の新品交換保証まで付いてきます。
ただし、ドット抜けが保証対象かどうかは不明です。もし気になって仕方がないドット抜けに遭遇したら、上記メーカーサポート(support@ktcplay.com)に相談してみてください。
KTC H25X7の画質をレビュー

(実測9000Kに迫る青白さ)
KTC H25X7の初期設定の画質は、やり過ぎなレベルで青白いです。
いくらアジア圏で寒い白色のウケがいいと言っても、さすがにちょっと青白すぎるような。

いつもどおりキャリブレーター(測定機材)を使いながら、モニターの色を標準規格の白(D65)に調整します。

キャリブレーターで測定しながら、モニター側の設定(OSD)を手動で調整しました。
- モード:ユーザー
- プロモード:ユーザー
- 明るさ:73
- 色温度:ユーザー
- 赤:49
- 緑:45
- 青:42~43
- ブラックイコライザ:60~65
(ガンマカーブの調整用)
以上の設定で、ニュートラルな色温度(白色)である6500Kにおおむね調整できます。好みに合わせて青色を少し強くしても大丈夫です。
デフォルト設定だと黒色のディティールがほぼ潰れていたので、「ブラックイコライザ:60~65」を足して暗部を底上げし、間接的にガンマカーブを修正します。
画面の明るさは好みに合わせて調整してください。明るさ73%だと約350 cd/m²前後に達し、人によっては眩しく感じるレベルです。
手動調整後のガンマカーブとグレースケール(色温度)グラフです。
色温度はおおむね修正できましたが、ガンマカーブは完全に合わなかったです。ややコントラスト感が強いカーブになっているから、普通に使う分には問題ないはず。

青白さを大幅に抑えて、グレースケールも標準規格(D65)にざっくり一致しました。筆者好みなパンチの効いている色鮮やかな画質に仕上がった印象です。
参考写真と比較写真でざっくり画質を見る
(sRGB:ΔE = 3.37 / 色温度:6412K / 輝度:354 cd/m²)
Youtubeやアニメ、FPSゲーム(タルコフやOverwatch 2)、RPGゲーム(原神や崩壊スターレイル)をKTC H25X7で表示した例です。
ここ最近、量子ドット搭載ゲーミングモニターばかり見ていたせいで、普通の広色域なFast IPSパネルを見ると少し物足りなさを感じます。
それでも旧世代のTNパネルや平凡なIPSパネルと比較すれば、Fast IPSはずっと色が鮮やかに見えるし、明るさも十分すぎるほど明るいです。
初めてゲーミングモニターを買う人や、安価なノートパソコンから乗り換えたなら、ほぼ確実に鮮やかさの違いを体感できるはずです。

(コントラスト比10万:1のテスト画像)
コントラスト感は並のIPSパネルと大差なし。黒いエリアがわずかに白浮きします。真っ暗な部屋で見ると、画面がうっすら光っているのが分かります。

カラフルな色彩を使ったイラスト画像(原神の★5恒常キャラ「刻晴」より)で比較。
KTC H25X7が全体的に落ち着いた色合いに見え、量子ドットパネルは赤色の主張が強い強烈な鮮やかさです。
やはり色域の違いが比較に出ていますが、原画に忠実なのは意外とKTC H25X7だったりします。もっぱら好みの問題です。
カルト的な人気を誇るオープンワールド型FPS「Escape from Tarkov(タルコフ)」のワンシーンで比較。
「映えない」「無味乾燥」した映像だと大差なし。暗い部分の視認性も目立った差がなく、Fast IPSと量子ドットの違いを体感しづらいです。
コントラスト比の性能差を見やすくするために作成した、黒を大量に使ったスクリーンショット(ヘルタ:崩壊スターレイルより)です。
どちらもベースは所詮IPSパネルに過ぎず、コントラスト比の実測値もどんぐりの背比べ。まったく同じコントラスト感にとどまります。

もっと比較写真を見たい方は↑こちらからどうぞ。
測定機材で「画質」をもっと深堀りしよう

2台の測定機材(X-rite i1 Pro 2 + Calibrite Display Plus HL)を使って、KTC H25X7の画質を深堀りします。
色域カバー率(CIE1976) | ||
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規格 | CIE1931 | CIE1976 |
sRGBもっとも一般的な色域 | 99.7% | 98.9% |
DCI P3シネマ向けの色域 | 90.8% | 93.4% |
Adobe RGBクリエイター向けの色域 | 83.0% | 88.8% |
Rec.20204K HDR向けの色域 | 66.7% | 73.3% |
KTC H25X7で表示できる色の広さ(色域カバー率)を測定したxy色度図です。
もっとも一般的な規格「sRGB」で約100%をカバー。HDRコンテンツで重要なシネマ向けの規格「DCI P3」では93.4%カバーします。
印刷前提の写真編集で重視される「AdobeRGB」規格のカバー率は88.8%です。
過去の傾向からして、色の広さは量子ドット液晶 > 量子ドットVA = QD-OLED > 広色域な液晶 = OLED > 普通の高色域パネル > 平凡な液晶パネル > TNパネルの順に並びます。
色の鮮やかさ(色の広さ)を他社のゲーミングモニターと比較してみた。
並のFast IPSらしく平均グループ(Rec.2020:70%台)に入ります。量子ドットならRec.2020が80~85%に達するので、やはり量子ドット抜きで色域を稼ぐのは困難です。
ビジネス向けの安価なノートパソコンやPCモニターよりずっと高画質ですが、量子ドットを採用したモニターに届かないです。

コントラスト比をチェックします。
コントラスト比を比較 ※クリックすると画像拡大 |
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コントラスト比(実測)は1161:1(ネイティブ)です。平均的なIPSパネルより少し高い程度で、体感できるほどの差は得られません。
色が均一の静止画コンテンツを見ている時間が長いオフィスワークで、気にする人が多い「色ムラ」をチェック。
過去レビューの傾向からして、普通の液晶パネルはやっぱり色ムラが多い傾向です。四隅に近づくほど輝度が下がる「グロー」現象もハッキリ見えます。
色ムラ(輝度ムラ)の測定結果は平均値で9.81%に達し、ちもろぐレビュー平均値をやや下回る数値。
実際の映像コンテンツやゲームプレイシーンで、色ムラに気づく可能性はそれほど高くないです。画面全体に同じような色を表示するシーンでかんたんに色ムラや輝度落ちに気づけます。

KTC H25X7に施されたパネル表面加工は、PC用モニターで定番の「ノングレア加工(アンチグレア)」です。
ぼんやりと背景がしっかり拡散され、周囲が明るくても映り込みをかなり防いでいます。

部屋を暗くすると、映り込みがさらに軽減されます。
しかし、表面加工の透過性(表面粒子の細かさ)がやや平凡です。ハードコーティング気味の強い加工が入っています。
幸い、文字の見やすさにそれほど悪影響は出ていなくて良かったです。
Fast IPSパネルは視野角がやや広いです。OLEDパネルに負けて、VAパネルやTNパネルを上回ります(参考:液晶パネルの違いを解説するよ)。
リクライニングチェアで背中を倒しても、問題ない程度に色の変化を抑えられます。角度がつきやすいマルチディスプレイ環境と相性も良いです。
文字のドット感(見やすさ)は平凡です。
- ドットがRGB配列:テキスト表示に有利
ピクセル配列の拡大写真 - 画素密度が90 ppi前後:標準的なドット密度
テキスト表示に有利な縦に一直線の直列RGB配列パネルに、90 ppi前後の少し粗めの画素密度を備えます。

普通の距離感(50~60 cm)で見る分には、ドット感がほとんど目立たない鮮明なテキストです。
画面の明るさは100%設定で約570cd/m²に達し、SDRコンテンツを見るのに十分すぎる明るさです。
最低輝度(0%設定)は約35 cd/m²とそこそこ暗くできます。眼精疲労などが理由で、夜間に暗い画面を好む人にとって嬉しい仕様です。
目にやさしいらしい120 cd/m²前後は設定値14%でほぼ一致します。
残像を軽減する「MPRT」モードを使うと、明るさが大幅に下がります。標準モードは約290 cd/m²でそこそこ十分な明るさ、高速モードで約130~197 cd/m²まで下がってしまい、暗すぎです。
全部で「8個」あるプリセットを比較
- ユーザー設定(初期設定)
- 映画
- 写真
- ECO
- 読書モード
- RTS
- FPS
- ユーザー:sRGB
目標の基準値:sRGB(Gamma 2.2)
ガンマカーブはいわゆる「コントラスト感」に関わる数値です。
数字が大きいほど実際よりも暗く(黒く)、数字が小さいほど実際よりも明るく(白く)表示されます。ガンマカーブを見れば、カラーモードごとの「意図」がざっくり見えてきます。
たとえば「FPS」モードは黒に近いほどガンマが低くズレて、暗部を見やすくする工夫がされてます。
一方で、FPSモード以外は意図がほとんどないです。明るさと色温度が少し変わる程度。写真モードに至ってはガンマが急激に下がり続ける白飛び仕様です。
全体的に似たようなモードが多くを占めていて、正直あってもなくても大差ない印象。
モード | 色域 (sRGB) | 色域 (DCI-P3) | 明るさ | グレーの正確さ | 色の正確さ | ガンマ | 色温度 | コントラスト比 |
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ユーザー設定 | 98.9% | 93.4% | 469.8 cd/m² | ΔE = 7.75 | ΔE = 5.48 | 2.15 | 8369K | 1161:1 |
映画 | 98.9% | 93.4% | 588.7 cd/m² | ΔE = 7.44 | ΔE = 5.64 | 2.11 | 8300K | 1200:1 |
写真 | 98.9% | 93.4% | 487.9 cd/m² | ΔE = 7.67 | ΔE = 5.86 | 2.03 | 8273K | 1201:1 |
ECO | 98.9% | 93.4% | 149.3 cd/m² | ΔE = 7.28 | ΔE = 5.33 | 2.14 | 8258K | 1170:1 |
読書モード | 99.0% | 93.6% | 299.9 cd/m² | ΔE = 3.97 | ΔE = 3.88 | 2.14 | 7085K | 1105:1 |
RTS | 98.8% | 93.1% | 515.4 cd/m² | ΔE = 7.36 | ΔE = 5.63 | 2.12 | 8272K | 1207:1 |
FPS | 98.8% | 93.1% | 474.3 cd/m² | ΔE = 4.58 | ΔE = 4.17 | 2.10 | 7222K | 695:1 |
ユーザー:sRGB | 96.1% | 80.4% | 370.2 cd/m² | ΔE = 4.32 | ΔE = 1.68 | 2.18 | 5837K | 913:1 |
各モードごとの色域や正確さ(dE2000)をまとめました。
KTC H25X7は、全部で8個の「プリセットモード」が用意されています。
モードごとにコントラスト感(ガンマ)がわずかに違う程度で、明るさもほとんど変わらないです。色温度だけ目立った違いがあるだけで、基本的に個性が薄いです。
「ユーザー」モードを好みに合わせて調整がおすすめ、最初の方で説明した設定もありです。
「KTC H25X7」の規格測定レポートはこちら↓をクリックして確認できます。クリエイター向けのマニア情報だから、一般人は無視して飛ばしてください。
モニターの色を測定する機材「X-rite i1 Pro2(分光測色計)」と「Calibrite Display Plus HL(比色計)」を使って、「KTC H25X7」の色精度をチェックします。
色の正確さ ※クリックすると画像拡大 | ||
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比較グラフ | グレーの正確さ | カラーの正確さ |
![]() | ![]() | |
使用モード | ユーザー | ユーザー:sRGB |
明るさ | 410.4 cd/m² | 370.2 cd/m² |
グレーの正確さ(dE2000) | ΔE = 4.05 | ΔE = 4.32 |
色の正確さ(dE2000) | ΔE = 2.55 | ΔE = 1.68 |
ガンマ | 2.15 | 2.18 |
色温度 | 7238K | 5837K |
コントラスト比 | 1089 : 1 | 913 : 1 |
KTC H25X7の「sRGBモード」は、グレースケールが青白くズレていて役に立たないです。
sRGB色域にきっちり制限され、ガンマもそこそこ正確(sRGB Gamma 2.2)に準拠できているのに、色温度が一致してないせいで精度が2.0を超えてしまいます。
色の正確さ ※クリックすると画像拡大 | ||
---|---|---|
使用モード | ユーザー:AdobeRGB | ユーザー:Display P3 |
明るさ | – | – |
グレーの正確さ(dE2000) | – | – |
色の正確さ(dE2000) | – | – |
ガンマ | – | – |
色温度 | – | – |
コントラスト比 | – | – |
KTC H25X7は「AdobeRGB」と「Display P3(DCI P3)」モードに非対応です。
マクロレンズでパネルの表面を拡大した写真です。
Fast IPSパネルは「くの字型」画素レイアウトが主流ですが、KTC H25X7は珍しく「I字型」です。
しかし、とある手順を踏んでドット保持アルゴリズムのバグを再現できるため、一般的なFast IPSパネルと同様にAU Optronics製AHVAパネルの可能性が高いです。
画素レイアウトはRGBストライプ配列を採用し、赤・緑・青の順にキレイに並んでいます。細い直線やテキストの表示と相性がいい、PCモニター向けの画素レイアウトです。
表面加工は透過率がやや悪い、粒度の大きいノングレア加工がかかっていて、画素ドットのりんかく線を視認しづらいです。
光を分析する「分光測色計」を使って、画面から出ている三原色の鋭さ(波長)を調べました。専門用語でスペクトラム分析と呼ぶそうです。
グラフを見てみると、なだらかな緑色と、中央が凹む赤色の波長パターンが出ています。「KSF蛍光体(KSF Phosphor)」に特有の波長パターンです。
基本的に、色域が広いFast IPSはほとんど例外なくKSFタイプで占められています。2025年の今のなっては、安物のIPSパネルでもそうめずらしくないです。
ついでにブルーライト含有量を調べたところ約34%でした。商品ページでハードウェア低ブルーライトなどとアピールする割に、TÜV Rheinlandブルーライト認証に必要な25%未満を達成できていません。
OSD設定からブルーライトカットを有効化すると、すぐに25%未満を達成できます。
KTC H25X7のゲーム性能は?

KTC H25X7のゲーム性能をレビューします。

- 応答速度
- 入力遅延
- ゲーム向け機能
おもに「応答速度」「入力遅延」「ゲーム向け機能」の3つです。測定機材を使って調べてみます。
KTC H25X7の応答速度と入力遅延
↑こちらの記事で紹介している方法で、KTC H25X7の「応答速度」を測定します。
60 Hz時の応答速度 ※クリックすると画像拡大 |
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ニンテンドースイッチやPS4など、最大60 Hz対応のゲーム機で使う場合、60 Hz時の応答速度を気にします。
30パターン測定で、平均2.3ミリ秒を記録します。60 Hzに必要十分な応答速度を満たしますが、写真を見てのとおり「残像」「にじみ」が酷すぎて使いモノにならない状態。
しかも、どれだけ応答速度が速くても、リフレッシュレートが60 Hz程度だと「ホールドボケ現象」が発生してしまい残像感が見えます。
60 Hzで応答速度にこだわるメリットが少ないのに、過剰な数値にこだわるあまり主観的な体験をかえって損ないます。
120 Hz時の応答速度 ※クリックすると画像拡大 |
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PS5やNintendo Switch 2で重要視される120 Hz時の応答速度です。30パターン測定で、平均2.28ミリ秒でした。
リフレッシュレート120 Hzに必要な応答速度(8.33ミリ秒)を余裕で満たす凄まじい記録ですが、やはり「逆残像」「にじみ」がひどいです。
オーバードライブ:オフで大幅に軽減できますが、応答速度が4.5ミリ秒まで鈍化します。
240 Hz時の応答速度 ※クリックすると画像拡大 |
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240 Hz時の応答速度です。30パターン測定で、平均2.28ミリ秒でした。120 Hz時よりホールドボケが軽減され、残像感がさらに減っています。
240 Hzに必要な応答速度(1 / 240 = 4.17ミリ秒)も十分に満たせています。
「オーバードライブ:15(カスタム)」に設定すると、エラー率を平均5%に抑えつつ、平均2.6ミリ秒でした。
400 Hz時の応答速度 ※クリックすると画像拡大 |
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400 Hz時の応答速度です。30パターン測定で、平均2.48ミリ秒でした。
リフレッシュレートの向上でホールドボケがさらに改善され、応答速度も400 Hzに十分(< 2.50ミリ秒)です。
オーバードライブモードを最適化して、応答速度とエラー率をもっと改善できないかチェックします。
OD機能の効果 400 Hz / 4段階をテストした結果 | ||||
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平均値 | 2.47 ms | 1.91 ms | 1.55 ms | 2.05 ms |
最速値 | 1.31 ms | 0.69 ms | 0.20 ms | 1.12 ms |
最遅値 | 3.74 ms | 3.52 ms | 3.50 ms | 3.12 ms |
平均エラー率 | 2.0 % | 14.0 % | 71.1 % | 4.5 % |
累積遷移 (変動電圧 x 時間) | 11.0 mVs | 11.2 mVs | 16.5 mVs | 12.3 mVs |
KTC H25X7のオーバードライブ機能は、4段階で調整できます。
「高速」「超高速」モードはエラー率が急増して使えないです。OD強度を0~100段階で細かく調整できる「カスタム」モードなら、25~26あたりが最適値でした。
応答速度を平均わずか2ミリ秒に改善しつつ、エラー率を許容範囲(5%未満)に抑えます。累積遷移もほぼ同等を維持しています。
KTC H25X7のおすすめオーバードライブ設定は「カスタム:25~26」モードで決まりです。
OLED vs Fast IPS(残像感) ※クリックすると画像拡大 |
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やはり平均2ミリ秒の応答速度と400 Hzの組み合わせは強力です。
ホールドボケと残像感をよく抑えられ、クッキリ明瞭な映像を表示できます。

応答速度を240 Hz以上で比較します。
今までレビューしたIPSパネルのゲーミングモニターとして、過去最速クラスの1台です。下手なTNパネルよりも速いでしょう。

入力遅延(Input Lag)はどれくらいある?

2024年7月より「入力遅延(Input Lag)」の新しい測定機材を導入しました。
クリック遅延がわずか0.1ミリ秒しかないゲーミングマウス「Razer Deathadder V3」から左クリックの信号を送り、画面上に左クリックが実際に反映されるまでにかかった時間を測定します。

- マウスから左クリック
- CPUが信号を受信
- CPUからグラフィックボードへ命令
- グラフィックボードがフレームを描画
- ゲーミングモニターがフレーム描画の命令を受ける
- 実際にフレームを表示する(ここは応答速度の領域)
新しい機材は1~6の区間をそれぞれ別々に記録して、1~4区間を「システム処理遅延」、4~5区間を「モニターの表示遅延(入力遅延)」として出力可能です。
なお、5~6区間は「応答速度」に該当するから入力遅延に含めません。応答速度と入力遅延は似ているようでまったく別の概念です。
左クリックしてから画面に反映されるまでにかかった時間を測定し、左クリック100回分の平均値を求めます。

KTC H25X7の入力遅延はまったく問題なし。
400 Hz時(G-SYNC互換モード)で平均1.4ミリ秒、240 Hz時(G-SYNC互換モード)で平均2.2ミリ秒の入力遅延です。
どちらも16ミリ秒を大幅に下回っていて、ほとんどすべての人が入力遅延を体感できません。
低価格ながら割と使えるゲーム向け機能
KTC H25X7は低価格で高リフレッシュレートに特化したモニターで、ゲーマー向け機能はあまり力を入れてません。
4つある主要なゲーマー向け機能のうち、3つ対応します。
- 暗所補正
暗い部分を明るく補正する機能 - 鮮やかさ補正
色の付いた部分を強調する機能 - 残像軽減
残像をクリアに除去する機能 - カクツキ防止
可変リフレッシュレート機能
順番にチェックします。
暗所補正「ブラックイコライザ」モード
暗い部分を明るく補正できる「ブラックイコライザ」モードです。
- オフ
- 10~100(刻み:10ずつ)
全10段階で細かく調整できます。
設定値50がニュートラルな明るさで、60~100が明るく補正、0~40で逆に暗く補正します。暗所を明るく補正する効果はやや控えめですが、60~80まで白飛びなく使える範囲です。
肝心の効果は・・・やはり、暗所補正の本家「Black eQualizer」や「Light Tuner」に及ばない性能です。
もちろん、無いよりはあった方が便利で、画面全体がうっすら暗いホラーゲームを明るく見やすくする程度なら普通に使えます。

残像軽減「MPRT」モード
「MPRT」はAmazon商品ページでほとんど言及されていない機能です。いわゆる黒フレーム挿入を利用した残像を軽減するモードに対応します。
残像軽減モード 「MPRT」 ※クリックすると画像拡大 |
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「MPRT」を有効化すると、残像感が軽減されて映像のクッキリ感が増します。
フレーム切替時に真っ暗なフレームを1枚挟む「黒挿入」が行われ、結果的にホールドボケ現象が軽減されて残像感が減ったように見える仕組みです。
画面の明るさは下がる? 目標:最低でも200 cd/m²以上 |
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使える範囲は? |
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一般的に残像を軽減する機能は「黒挿入」を使っているから、画面の明るさは下がります。
MPRTも例にもれず明るさが下がるタイプです。MPRT:標準モードで約300 cd/m²まで下がり、実用できる明るさを維持します。
MPRT:高速モード以上で130~200 cd/m²まで大幅下落です。200 cd/m²を下回ると画面が暗くて実用性に欠けます。
ベンチマークと比較 Zowie「DyAc+」以上を目指す | ||
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黒挿入モード | 明るさ | 黒挿入時間 |
DyAc 2:プレミアム (ベンチマークNo.1) | 約330 cd/m² | 91 % |
DyAc+:プレミアム (ベンチマークNo.2) | 約320 cd/m² | 84 % |
DyDs:高 | 約280 cd/m² | 79 % |
KTC MPRT:標準 | 約290 cd/m² | 60 % |
ASUS ELMB Sync | 約250 cd/m² | 70 % |
MSI MPRT | 約210 cd/m² | 79 % |
黒挿入モードの先駆者「DyAc+(BenQ Zowie)」に、黒挿入時間でかなり差を付けられますが、明るさでELMB SyncやMSI MPRTを超えています。
フルHDで400 Hz(PS5で120 Hz)に対応
KTC H25X7は最大400 Hzまで、PS5で最大120 Hzに対応します。実際にPS5とゲーミングPCにモニターをつないでみて、リフレッシュレートの対応状況を確認しましょう。
PS5の対応状況 ※クリックすると画像拡大 | ||
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![]() | ![]() | |
設定 | 60 Hz | 120 Hz |
フルHD1920 x 1080 | 対応PS5 VRR:- | 対応PS5 VRR:- |
WQHD2560 x 1440 | –PS5 VRR:- | –PS5 VRR:- |
4K3840 x 2160 | –PS5 VRR:- | –PS5 VRR:- |
PS5でフルHD(最大120 Hz)に対応します。ただし、HDMI VRR機能が実装されていないらしく、「PS5 VRR」を使えないです。
Switch 2の対応状況 ※クリックすると画像拡大 | ||
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![]() | ![]() | |
設定 | 60 Hz | 120 Hz |
フルHD1920 x 1080 | 対応HDR:対応 | 対応HDR:対応 |
WQHD2560 x 1440 | –HDR:- | –HDR:- |
4K3840 x 2160 | –HDR:- | Switch 2は非対応 |
有料ソフト「Nintendo Switch 2 のひみつ展」で実際に120 Hz + HDR(10 bit)信号を出力させて、モニターが暗転せずにゲーム画面を表示できるかをチェックします。
暗転しなければ問題なし、暗転して解像度が下がってしまったら互換性なし、と判断します。
Nintendo Switch 2(ドックモード)で、フルHD(最大120 Hz)対応します。HDR(10 bit)出力も問題なし。
PS5 / PS5 Pro / Nintendo Switch 2など。120 Hz対応ゲーム機で、実際にゲーム側が120 Hz(120 fps)で動くかどうかは、もっぱらゲーム次第です。
ゲーム側が120 Hzをサポートしていなかったら意味がありません。プレイする予定のゲームが120 Hzに対応しているか、事前によく調べてください。
対応リフレッシュレート ※クリックすると画像拡大 | |
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HDMI 2.1 (42.67 Gbps) | Display Port 1.4 (25.92 Gbps) |
![]() | ![]() |
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KTC H25X7がパソコンで対応しているリフレッシュレートは以上のとおりです。
HDMI 2.0で最大240 Hzまで、Display Port 1.4なら最大400 Hzに対応します(※詳細設定 > 超クロ > オンで400 Hzに対応)。
レトロなゲーム機で役に立ちそうな23.98 ~ 24 Hz範囲は非対応です。
KTC H25X7は、圧縮転送モード「DSC(Display Stream Compression)」を切り替え不可です。常時DSCが有効化されます。
VRR機能(可変リフレッシュレート) ※クリックすると画像拡大 |
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フレームレートとリフレッシュレートを一致させて「ティアリング」を防ぐ効果がある、VRR機能はDisplay Portのみ使用可能です。動作範囲は48~400 Hzです。
LFC(低フレームレート補正)対応ハードウェアの場合は、48 Hzを下回ってもVRRが機能します。
KTC H25X7の機能性を調査
低価格モデルらしく、やや簡素なインターフェイス類にとどまり、機能性も乏しいです。
- エルゴノミクス
高さや角度を調整する機能 - インターフェイス
映像入力端子やUSBポートについて - ヘッドホン端子
とりあえず付いている3.5 mmアナログ端子 - フリッカーフリー
眼精疲労持ちなら重要かもしれない - OSD
On Screen Display(設定画面)
順番にチェックします。
自由に位置を調整できる「エルゴノミクス」機能
KTC H25X7は最低限のエルゴノミクス機能だけを備えます。
ヌルヌルと滑らかに動いて調整しやすい「角度調整」のみ。高さ調整や首振り(左右スイベル)は使えません。自在に動かすならモニターアーム必須です。
VESAマウント ※クリックすると画像拡大 |
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別売りモニターアームを取り付けるのに便利なVESAマウントは「100 x 100 mm」に対応します。

パネル本体の重量は約2.92 kgで普通のモニターアームで持ち上げられます。

付属スタンドが邪魔なので、プラスドライバーでネジを2本外します。

スタンドを外したらスッキリして、VESAマウントを取り付けられる状態に。

モニター本体に付属するネジで、エルゴトロンLXを正常に取り付けられます。
「ヘッドホン端子」の音質をテスト

非常に優れたオーディオ特性を持つ「RME ADI-2 Pro」を用いて、KTC H25X7のオーディオ性能をテストします。
SN比を比較 ※クリックすると画像拡大 |
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Sennheiser HD650でそれなりの音量を取り出せますが、最近レビューしたゲーミングモニターと比較して少ないです。結果的にSN比も伸びません。

周波数特性グラフです。おおむねフラットな特性で問題なし。
そこそこ悪くない音質ですが、音の解像度はそれほど良くなく低音域もあまり鳴らないです。
とりあえず付いている程度な最低限のイヤホン端子です。
音にこだわる方、音質に不満を覚えてしまった沼の素質がある人は、素直に別売りのポータブルDACを買ってください。
対応するインターフェイスをチェック
映像端子は全部で4つあり、HDMIが最大240 Hz(1920×1080)に、DPポートで最大400 Hz(1920×1080)対応します。
USBポートやKVM機能は一切ありません。
「フリッカーフリー」対応ですか?
Amazonの商品タイトルに「フリッカーフリー」の記載あり。TÜV Rheinland認証は不明です。
フリッカーフリーを検証 ※クリックすると画像拡大 |
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実際にオシロスコープを使ってフリッカーの有無をテストした結果、明るさ0~100%までフリッカーが一切検出されません。
KTC H25X7は「DC調光」を採用します。一直線にフラットなグラフを描く、完全なフリッカーフリー動作です。
フリッカーの基準 | 結果 |
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一般的な基準 0 Hz または 300 Hz以上 | 問題なし (0 Hz) |
![]() 0 Hz または 3000 Hz以上 | 問題なし (0 Hz) |
「0 Hz」だから一般的な基準とTÜV Rheinland基準どちらも合格できます。

VRRフリッカー(VRR Flicker)は、画面が暗いシーンでフレームレートが激しく変動すると発生する確率が大幅に跳ね上がります。
ちもろぐでは、アクションRPG「鳴潮」にてフレームレートを10 fpsからモニター側の最大fpsまで動かします。
モニターの至近距離に設置された光学センサーを経由して、オシロスコープが明るさの変化をマイクロ秒(10万分の1秒)単位で記録する仕組みです。
記録されたグラフが乱高下していれば「VRRフリッカー」の検出に成功です。逆に、何もなく平坦で一直線なグラフが記録されればフリッカーは皆無と判断できます。
VRR(G-SYNC互換モードなど)有効時に発生する「VRRフリッカー」もテストします。
VRRフリッカーを検証 ※クリックすると画像拡大 |
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VRR(G-SYNC互換モードなど)有効時の「VRRフリッカー」も一切なし(※上記グラフはPWMフィルタリング後のデータ)。

モニターの設定画面(OSD)

モニター本体の中央裏側にある「5方向ボタン」を使って、OSD設定をスムーズに操作できます。
ASUSやBenQなど大手メーカーで見かける、項目ごとに分かりやすく整理されたフォルダ階層型のOSDレイアウトを採用しています。
5方向ボタンを右に倒して進む、左に倒して戻る・キャンセル、上下で項目の調整ができます。項目の決定も、右に倒して確定できて便利です。
OSD自体のレスポンスもかなり良好で、ストレスを感じずスムーズに設定が進みます。しいて言うなら、OSDメニューを開くためにボタンを押し込む必要があるくらい。
右に倒してメニューを開く、ならベストでした。
- ショートカット:変更できます(最大3個まで)
- プリセットごとに調整:やや困難(共通項目あり)
5方向ボタンを倒してアクセスできるクイックメニューは初期設定から変更できますが、選べる項目はそこそこ。

プリセットモードごとの設定値はそれぞれ最後の数値が記憶されるものの、ガンマなど肝心の設定値に限って「共通」です。プリセットごとに別の数値を記憶できません。
だから、自分好みの設定を保存して使い分ける運用が不可能です。

日本語表記も一部あやしいです。400 Hzを解禁するオーバークロックモードが「超クロ」と翻訳されているせいで、少し苦労しました。
KTC H25X7のHDR性能をテスト
KTC H25X7は、ただ単に「HDR10」規格に対応しているだけのモニターです。HDR 400相当で表示できます、と言っているだけで肝心の表示性能をまったく保証しません。
最低グレードのDisplay HDR 400認証すら取っていないから、あまり期待せずに、Youtubeで公開されている「Morocco 8K HDR」やHDR対応ゲームを使って検証します。
(HDR映像を収めた写真はSDRです。掲載した写真は参考程度に見てください。)
ピーク時の明るさを除いて、意外とマトモなHDR映像を表示できます。
量子ドットパネルと比較すると、色の鮮やかさに物足りなさがあり、Mini LED液晶のような強烈な明るさもないです。
しかし、色温度がわずかに寒色気味でちょうどいい塩梅に見え、実際より暗くズレているポイントも見当たらないです。
しいて言うなら・・・SDRモード時の方がむしろ明るい(最大570 cd/m²)ため、ピーク時510 cd/m²しか出ないHDRモードをわざわざ使う理由がないぐらい。
HDRモードよりSDRモードが明るいせいで、SDRモードのまま好みに合わせて画質を調整したほうが良いです。HDRモードは設定の大部分が固定されてしまい、柔軟に設定不可です。
青いラインがHDR規格(PQ EOTF)のターゲットラインで、ターゲットの周囲をウニョウニョと追従しているラインが実測値です。
ごく普通の液晶パネルゆえ、黒がまったく締まらないです。うっすら白浮きしていて、HDRに重要なコントラスト感をまったく得られません。
全体的にわずかに明るくズレている影響もあって、シーン次第で余計に白っぽく見えます。
やはり、KTC H25X7のHDRモードをわざわざ使う理由はないでしょう。SDRモードのままでいいです。
参考程度に、HDR 1000クラスと比較写真をとりました。
色の濃さ、コントラスト感、ハイライトのディティール表現(白飛び具合)。どこを取っても基本的にHDR 400がHDR 1000に勝てる部分は皆無です。
モニター測定機材でHDR性能を評価

モニターの色と明るさを超高速かつ正確に測定できる機材を使って、「KTC H25X7」のHDR性能をテストします。
測定結果(レポート)はこちら↓からどうぞ。専門用語が多いので・・・、興味がなければ読まなくていいです。
VESA Display HDR HDR性能のテスト結果 | ||
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比較 | テスト対象 KTC H25X7 | VESA Display HDR 400 |
画面の明るさ |
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黒色輝度 |
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コントラスト比 |
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色域 |
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色深度 |
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ローカル調光 |
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Display HDR 400認証で要求されるコントラスト比の項目で不合格です。
色域と明るさを満たせても、黒色が明るぎます。

HDRモードで画面全体に白色を表示したときの明るさを、他のモニターと比較したグラフです。
HDR 400グループの中でトップクラスの明るさです。

HDR時のコントラスト比(理論値)は、1055:1です。
HDRコントラスト比Colorimetry Research CR-100で測定した結果 | |
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全画面 | Inf : 1 |
10%枠 | 1055 : 1 |
3×3パッチ | 1055 : 1 |
5×5パッチ | 1055 : 1 |
7×7パッチ | 1055 : 1 |
9×9パッチ | 1055 : 1 |
テストパターン別にHDRコントラスト比を測定した結果、ワーストケースで1055 : 1、一般的なIPSパネルによくある典型的な実効コントラスト比です。

HDR規格どおりの明るさを表示できるかチェックする「PQ EOTF」グラフです。
- HDRモード
全体的に実際より少し明るく表示する傾向があり、1~100 cd/m²まで一貫して浮いています。

面積比による明るさの変動は皆無です。
面積比に関係なく、一貫して510 cd/m²前後の明るさです。

HDRモード時の持続輝度をチェック。
すべての面積比で安定した持続輝度です。
初期設定「HDRモード」のまま、色とグレースケールの精度をチェック。
HDR時の色精度(Rec.2020)は最大ΔE = 10.8、平均Δ = 5.29でした。色域が足りていないし、ガンマカーブも合っていないため、精度が悪く出ます。
HDRモード時の色温度は測定値でおおむね6700K前後で、目視補正後のD65ポイントよりやや寒色寄りです。
KTC H25X7の開封と組み立て

しっかりコストカットした感がある、簡素な茶箱パッケージで到着。サイズは62 x 47 x 12 cm(140サイズ)です。

「FRONT」と書いてある面を床に向けてから、箱を開封して中身の梱包材を丸ごと引っ張り出します。
上の段に付属品、下の段にゲーミングモニター本体が収まってます。
付属品 (写真の左から順番に) |
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Display Portケーブルと、保証書を兼ねるマニュアルが付属します。

ACアダプターは最大54 W(12.0 V x 4.5 A)対応。KTC科技日本株式会社名義でPSE認証マークも取得済み。
コイル鳴きを抑制する小型のフェライトコアが付いています。
ドッキング方式が主流の中、あえてネジ式を使っています。徹底的にコストカットされた設計です。
プラスドライバーが付属しているから特に問題ないです。
外観デザインを写真でチェック
プラスチック製の外装をふんだんに使った、プラスティッキーな質感が目立つ、低価格なりのビルド品質です。


コンセントに仕込んだ電力ロガーを使って消費電力を1秒ごとに記録したグラフです。
消費電力 KTC H25X7 | |||
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テスト内容 | SDR | HDR | USB Type-C |
中央値 | 29.4 W | 34.3 W | – |
ピーク値 | 39.2 W | 39.0 W | – |
上位25% | 36.5 W | 34.3 W | – |
下位25% | 22.6 W | 34.2 W | – |
SDRモード時、最大の明るさで39 W前後、最小の明るさで20 W前後です。
明るさがやや下がるHDRモード時は、平均34 Wまで下がります。
まとめ:格安でCS~VALORANT向けモニター

「KTC H25X7」の微妙なとこ
- 平凡なコントラスト比
- パネルの均一性は普通
- 内蔵スピーカーなし
- PS5 VRR非対応
- ゲーマー向け機能がやや弱い
- sRGBモードがやや不正確
- HDRモードもイマイチ
- 初期設定がだいぶ青白い
(かんたんに修正できます)
「KTC H25X7」の良いところ
- 24.5インチでフルHD(ちょうどいい)
- 最大400 Hzに対応
- PS5で120 Hz対応
- 応答速度が速い(IPSパネルとして)
- 入力遅延が非常に少ない
- 残像軽減「MPRT」モード対応
- メーカー3年保証
- 価格がかなり安い
- コストパフォーマンスも高い
「KTC H25X7」はもっぱらPCゲーマー、特に競技eSports向けのゲーミングモニターです。
フルHDモニター市場で人気が多いのは、PS5やSwitch 2にきちんと対応していて、かつ200 Hz前後で機能性をモリモリにした高付加価値モデルです。
H25X7はその逆を行くニッチ戦略を取っています。最大400 Hz対応で応答速度も凄まじい速さですが、代わりに機能性がやや少なく、ゲーム機対応もやや遅れます。
ゲーム機など最初から眼中にない、PCゲーマーに向けた製品なのは明らかで、さらに400 Hzを必要とする層は「CS」や「VALORANT」など競技ゲーに限られます。

「KTC H25X7」の用途別【評価】
使い方 | 評価※ |
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FPSやeSports(競技ゲーミング) 最大400 Hz対応で、応答速度もかなり速いです。 | ![]() |
ソロプレイゲーム(RPGなど) 十分にソロプレイゲームを楽しめる画質ですが、色の鮮やかさがやや狭いです。 | ![]() |
一般的なオフィスワーク 文字がそれなりにクッキリと見え、完全なフリッカーフリーに対応。ただし、「sRGB」モードのグレースケールがズレています。 | ![]() |
プロの写真編集・動画編集 プロの写真編集や動画編集に使うには、そもそも色域が不足しています。出荷時校正や色域モードも非対応です。 | ![]() |
HDRコンテンツの再現性 ただHDRコンテンツが映るだけで、表示性能はHDR 400相当すら満たしていません。言うまでもなく再現性に欠けます。 | ![]() |
※用途別評価は「価格」を考慮しません。用途に対する性能や適性だけを評価します。
2025年9月時点、KTC H25X7の実売価格は約2.9万円です。

Fast IPSだからそこそこ鮮やかな画質

競技性を問われるゲームで有利

以上「KTC H25X7レビュー:約2.9万円で「フルHD」「400Hz」が買える時代」でした。
フルHDで400 fpsはPCスペックも重要
予算に余裕があれば「RTX 5070」を搭載したゲーミングPCがおすすめです。
平均的にRTX 4070 Ti相当、相性の良いゲームならRTX 4070 Ti SUPERすら超えるゲーム性能を発揮でき、平均300 fps超えを目指すならコスパよし。
できれば、CPUはRyzen 7 9800X3Dが欲しいです。180 Hz程度ならともかくとして、300~400 Hz台はCPUボトルネックが壁になってきます。
KTC H25X7の代替案(他の選択肢)
400 Hzも要らないから、ゲーム機の互換性(HDMI VRR)や機能性が欲しい方は「ASUS VG259Q3A」が代替案です。
フル装備の機能性はやはり「GIGABYTE G24F 2」が主な代替案。ただし、HDMI VRR機能に非対応。
おすすめなゲーミングモニター【まとめ解説】
毎度毎度記事が面白い。
間違いない。ほんと楽しみ。
初めはMFG25X1 PROが気になってたら次にAMZG25F6Fを見つけてしまい今回のH25X7をレビューして頂いて悩むところ少し値が張るBRUA 540Hzモニターが気になってしまいそちらも投稿お願いします