ASRockの「Clever Access Memory」を検証:インテルCPUでSAMが使えるぞ

本記事では、ASRockマザーボードで使用可能な「Clever Access Memory」の効果について検証します。本来、AMD環境でしか使えないはずのSmart Access Memoryを、ASRockの「C.A.M.」ならインテルCPUでも使えるようです。

(公開:2021/1/14 | 更新:2021/1/14

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【解説】Clever Access Memory(C.A.M.)

「Clever Access Memory(C.A.M.)」をざっくり表現すると、Ryzen 5000 + RX 6000シリーズの組み合わせで使用できる「Smart Access Memory(SAM)」を、インテル環境でも使える機能のこと。

なお、Clever Access Memoryという名称はASRockが独自に名付けたマーケティング名で、中身はSAMと同様「Resizable BAR」機能です。

2021年1月時点で、ASRockのB460 / H470 / Z490マザーボードにて、Clever Access Memory対応バージョンのBIOSが提供されています。

β版ではない正式版のC.A.M.対応BIOSは、既に一部の製品ではサポートページで提供されているので、手持ちのASRockマザーボードのサポートページを確認してください。

「Resizable BAR」は具体的に何をするの?

SAMやC.A.M.を基本となっている「Resizable BAR」は、CPUから参照できるVRAMの制限を、256 MBから全容量に開放する機能・・・とイメージしてください。

「Smart Access Memory(SAM)」はCPUとVRAMの転送ボトルネックを解消する

Smart Access Memoryの解説画像をそのまま流用しました

Resizable BARが無効化されている状態では、CPUからVRAMを256 MBずつ、ちまちまと参照します。VRAMの大容量化と高速化、そして32 bit OSが衰退した今となっては、256 MBの制約は完全に足手まといです。

Resizable BARを有効化すると、256 MBずつではなく、一気にVRAMの全容量を参照できます。結果的に、最新ゲームで使用されているAPI「DirectX12」や「Vulkan API」において、性能の向上を見込めます。

一方で、DirectX11はCPUとVRAM間の制約がボトルネックにならない設計らしく、原理的に効果を見込めないそうです。実際にテストしましたが、確かにDX11ゲームではまったく効果がなかったです。

初心者もち
なに言ってんのかわかんない。
やかもち
ですね・・・では実際の「効果」を確認しましょう。仕組みよりも「測定されたパフォーマンス」が重要です。

「C.A.M.」の性能をベンチマーク

テスト環境(スペック)

テスト環境「ちもろぐ専用ベンチ機」
CPUCore i9 10900K
CPUクーラー虎徹Mark II120 mm空冷クーラー
マザーボードASRockZ490 Steel Legend
メモリDDR4-3200 16GB x2使用メモリ「G.Skill Trident Z C16」
グラフィックボードASRockRX 6800 XT Taichi X OC
SSDNVMe 500GB使用SSD「Samsung 970 EVO Plus
SATA 2TB使用SSD「Micron 1100」
電源ユニット1200 W(80+ Platnium)使用モデル「Toughpower iRGB PLUS」
OSWindows 10 Pro 64bit検証時のバージョンは「1909」
ドライバAMD 20.8.3
ディスプレイ3840 x 2160@60 Hz使用モデル「BenQ EL2870U

「Clever Access Memory(C.A.M.)」機能をテストする、ちもろぐ専用ベンチ機のスペックです。

CPUはゲーミング最強クラスの「Core i9 10900K」を採用。マザーボードはASRockさんに提供して頂いた「Z490 Steel Legend」を使います。C.A.M.対応の正式BIOSが配信されているマザーボードです。

メモリはDDR4-3200で容量16 GBを2枚組(合計32 GB)です。その他のパーツは適当に組み合わせています。グラフィックドライバはAMD Radeon Driver(20.8.3)にて検証します。

グラフィックボードは「ASRock RX 6800 XT Taichi X OC(※貸出中)」を使っています。オリファンモデルそのもののレビューは、上記の記事で確認してください。

やかもち
本記事はASRockの提供でお送りしますが、テスト方法はいつも通りです。

Clever Access Memoryを有効化

使っているマザーボードのBIOSを「C.A.M.対応BIOS」に更新します。Z490 Steel Legendの場合、β版は「L1.31」、正式版は「1.40」以降でC.A.M.に対応します。

BIOSアップデートのリスクについて

BIOSアップデートは稀に失敗してマザーボードが文鎮化するリスクがあります。USBメモリから直接アップデートする「Instant Flash」なら、本当にごく稀だと思われますが、ゼロでは無いです。

リスクを承知の上でBIOSアップデートを行ってください。

USBメモリからBIOSファイルを自動で読み込んでアップデートする「Instant Flash」で、BIOSバージョンを1.00 → 1.40へ一気にアップデート。

再起動後、BIOS画面へ入ってバージョンを確認。ちゃんと「P1.40」に更新されていますね。

「Boot」タブにある「CSM(Compatibility Support Module)」設定を開きます。

初期設定では、CSMが「Enbled」になっているはず。

なので、CSMを「Disabled(無効化)」してください。

「Advanced」タブにある「Chipset Configuration」へ移動します。

「Above 4G Decoding」がDisabledの状態です。

「Enabled(有効化)」すると、1つ下に「C.A.M.(Clever Access Memory)」が出現します。

C.A.M.を「Enabled(有効化)」に切り替えます。あとは保存して終了で、Clever Access Memoryを有効化する設定が完了です。

デバイスマネージャー → ディスプレイアダプター → Radeon RX 6000シリーズを開いて、リソースに表示されている数値からSAMが有効かどうかを判断できます。

C.A.M.:有効C.A.M.:なし
Smart Access Memory(SAM)が有効化の状態Smart Access Memory(SAM)が無効化の状態

Resizable BARが有効化されていると、リソースに「大容量メモリの容量」が表示されます。表示されている16進数を10進数に変換して、1024^3で割り算すると「15.9999… GiB」と、VRAM容量と一致します。

Resizable BARが入っていない状態では、リソースに「メモリの範囲」のみが表示され、数値を1024^2で割り算すると「255.9999… MiB」です。256 MBずつしかVRAMを参照できない状態だと分かります。

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Clever Access Memoryによる性能アップ

DirectX12で動作する最新ゲームで、Clever Access Memoryの効果を検証します。テストしたタイトルは以下3つです。

  • Cyberpunk 2077(ウルトラ設定 / DirectX12)
  • Call of Duty : Black Ops COLD WAR(最高設定 / DirectX12)
  • Shadow of the Tomb Raider(最高設定 + SMAA / DirectX12)

フルHD / WQHD / 4Kの3パターンで、平均フレームレートをチェックします。ではCyberpunk 2077から順番に・・・↓

Cyberpunk 2077のテスト結果です。フルHDで6.6%、WQHDで5.8%、4K解像度は3.2%とわずかですがClever Access Memoryの効果は確実です。

Call of Duty : Black Ops COLD WARはResizable BARが非常に効きやすいゲームです。

同じ機能であるClever Access Memoryも例外にもれず、圧倒的な効果を示します。フルHDで9.9%、WQHDで11.1%、4Kですら8.3%もの性能アップです。

トゥームレイダーをDirectX12モードでベンチマーク。

DirectX12とはいえ2018年のゲームで、2020年の最新タイトルほど高い効果は得られません。フルHDで2.4%、WQHDは5.2%、4Kは2.6%と低調な結果です。

Clever Access Memoryの効果を平均してまとめます。

今回テストした3つのゲームで得られた効果は、フルHDで6.1%、WQHDで7.5%、4Kで4.9%でした。CPUやメモリはそのままで、ただ設定をひとつ有効化しただけ。

労力と手間の少なさを考えると、悪くない効果です。RX 6000シリーズをあえてインテル環境で使うユーザーは少ない・・・かもしれませんが、選択肢があること自体は歓迎すべきだと思います。

ついでに「RTX 3080」でClever Access Memoryが機能するかどうか検証しましたが、効果はまったく得られませんでした。有効化は可能ですが、グラボ側が対応していないと機能しないようです。

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まとめ:ASRockの「C.A.M.」は効果アリ !!

インテル環境でResizable BARを使用可能にする、ASRock独自の機能「C.A.M.(Clever Access Memory)」はおおむね、オリジナルのSAM(Smart Access Memory)と同じ効果を得られます。

ASRockのIntel用マザーボード(B460 / H470 / Z490)を使っている方は、C.A.M.対応のBIOSがサポートページに配信されているかどうか、一応確認しておくといいでしょう。

BIOSの設定をいくつか変更するだけで、最新のDX12タイトルで最大10%近い性能アップを見込めるので、RX 6000シリーズを使用しているのであればC.A.M.の価値は大きいです。

なお、(今のところ)Resizable BAR機能はRX 6000シリーズでしか使用できないですが、2021年3月を目処にNVIDIA GeForceも対応する予定です。

将来的にGeForce使い、Radeon使いのどちらでもC.A.M.(= Resizable BAR)の恩恵を得られるようになります。

ASRock / チップセット : Intel Z490 / フォーム : ATX / ソケット : LGA1200 / フェーズ数 : 11 (DrMOS) / マルチGPU : CF / M.2 : 3スロット / LAN : 2.5 GbE
ASRock / ブーストクロック : 2360 MHz / ファン : トリプル内排気 / 厚み : 2.8スロット(56 mm) / TDP : 300 W(8x3 pin)

以上「ASRockのClever Access Memoryを検証:インテルCPUでSAMが使えるぞ」でした。

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8 件のコメント

  • いつも誠実な検証ありがとうございます。聞きたい事なのですが、より重いゲームであるVRでこのモードを解放した時はどれくらいの向上が期待できますか?

  • PCIe4.0に対応してないと使えない機能って話だったけど、実は3.0でも使えますって理解でいいのかな?

    • PCIe Gen.2の時代からあったもので、32bitOSの互換性の問題(多分4GBの壁)から
      放置されていたのを、64bitOSが標準になった昨今になってようやく使い始めた
      という機能ですね。
      Linuxでは実は前から使われていたという話だそうですが。

  • せっかくAMDが掘り出したのに独自でIntelCPUでも使えるようになり
    NVIDIAでも対応予定(3月~)が出てAMDの優位性が…

    個人的にはRTX買おうとしてるので大歓迎ですが。(なお売ってない)

  • ドライバのバージョンおかしくないですか?
    RX6800XT発売が去年11月で20.8.3ではまだ対応していないはず
    最新デバイスに対応するという意味でも検証環境のWindows10バージョンも2004か20H2に更新した方が良さそうですね

  • 前回32bitで~とかコメ打ったけどC.A.M.ってDX12で効果があってそれ以下はほぼ意味ないのか。
    しかし…フォートナイトしたい友人のPC構成考えてるけれど、こうも新しい技術出てくると全部使える最低構成でもRTX3060Ti搭載したものじゃないといけないのか。今はまだだけどAmpereのGPUしか使えない見たいだし。

  • 前からMSIやASUSのマザボでも普通にIntelのCPUとRX6000シリーズの組み合わせでResizable BAR普通に使えてたのにさもASRockだけって感じで書いてるのはマーケティングかね

  • いつも楽しく勉強させて頂いてます!
    もし良ければよくわからないのでPCケースファンのレビュー記事も書いて貰えませんか?

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