BTOで電源ユニットをカスタマイズする必要はあるか?

BTOで電源ユニットをカスタマイズする必要はあるか?

BTO(ドスパラやマウスなど)でゲーミングPCを購入する時。カスタマイズで「電源ユニット」が選べますよね。で、この電源ユニットを…

  • 「大事なパーツらしいから上位品にした方が良いのか。」
  • 「ケチってBRONZEのままにしたけど良かったのか。」

と悩む人は少なからずいるので、本記事でBTOの電源ユニットをカスタマイズする必要があるのかを解説してみたい。

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電源ユニットの品質とは?

品質の高い電源ユニットとは?

そもそも電源ユニットの品質が高いと、どういったメリットが期待できるのかを知っておく必要があります。基本的に値段が高い電源ユニットほど、以下の傾向がある。

  • 変換効率が高い(80 PLUS認証)
  • 発熱が少ない
  • 電源のファンが静か
  • 負荷率が高くても故障しにくい
  • 保証期間が長い

要するに、値段の高い電源ユニットほど「効率が良くて、低温だからファンも回らなくて、負荷率が高くても故障しにくい…だから保証も長めなんだ。」と覚えておけばOKです。

電源ユニットの変換効率を示す「80 PLUS」認証

変換効率や発熱については、筆者が書いた電源ユニットの選び方ガイドの方に、非常に詳しくまとめてある。詳しく知りたいなら、そちらを読んで確認してください。

BTOの電源は安価だから壊れやすい?

では、BTOで標準搭載されている電源ユニットは安価だから、故障しやすいのではないか。と思ってしまうが、実はそうでも無い。なぜならBTOは負荷率を考慮して電源を選んでいるから。

「ガレリア」の標準電源ユニット

たとえばドスパラのゲーミングPCブランド「GALLERIA」の場合、だいたい450~550Wくらいの電源ユニットが入っていて、ハイエンドモデルになると750~850Wに格上げされます。

GALLERIA DT(2018年版)で計算してみる
パーツ消費電力ゲーミング時
Core i5 850065 W
GTX 1060 6GB120 W
メモリー(16GB)6 W
その他40 W
合計約230 W
電源容量450Wと仮定
負荷率51.1%

そして、最近の定番構成である「Core i5 + GTX 1060」の場合、ゲーミング中に約180~230W前後の消費電力になる。入っている電源ユニットは450~550Wですから、随分と余裕がありますよね。

電源ユニットは負荷率が高いほど故障率が高い

電源ユニットの容量に対する消費電力の割合を「負荷率」と呼び、基本的に電源ユニットは負荷率が高いほど壊れる確率が上昇する。なぜなら熱の影響で、コンデンサなど各種コンポーネントの寿命が縮むためです。

負荷率が50%前後だと電源ユニットは故障しにくい

だが、負荷率が50%前後は電源ユニットにとって居心地が良い環境※。ドスパラやG-tuneといった大手BTOは、この負荷率のトリックを利用して、安価だが故障しにくいマシンを作り上げているのです。

※電源ユニットは負荷率50%のときに、最も高い効率を発揮する。

ドスパラの昔話

ドスパラといえば、大昔に電源ユニットの故障が頻発して評判が悪化したが、その要因もマシン構成に対してギリギリすぎる電源容量にあった。それ以降は改善して、今は余裕のある電源を積むようになった。

標準カスタマイズでゲーム目的なら心配なし

というわけで、標準カスタマイズのままなら電源ユニットをあえてカスタマイズする必要はない。負荷率が40~50%くらいになるように、マシン構成と電源ユニットが決まってるから、ゲーム目的ならカンタンには故障しない。

では、逆にどのような場合だと電源ユニットのカスタマイズが必要になるのか。考えられるケースは3つあります。

  1. 長時間の動画エンコードやゲーム配信
  2. 価格が20~30万を超えるハイエンドマシン
  3. 「静音性」を求めたい

順番に解説していく。

電源ユニットをカスタマイズした方が良い場合

1. 長時間の動画エンコードやゲーム配信

AviutlやAdobe Premiereで動画エンコードをする場合、CPUの「AVX」と呼ばれる機能を使ってエンコードを高速化するようになっています。しかし、このAVX機能は消費電力が非常に大きい。

CPUゲーミング高負荷(AVX使用)違い
Core i7 8700K70 W160 W2.29 倍
Core i5 850065 W120 W1.85 倍
Core i3 8350K55 W110 W2.00 倍
Ryzen 7 2700X55 W105 W1.91 倍
Ryzen 5 2400G50 W100 W2.00 倍
Ryzen 3 2200G45 W90 W2.00 倍

Core i5で120W前後、Core i7で160W前後に達するため、電源ユニットの負荷率を高める要因になります。でも、まだエンコードだけなら標準の電源ユニットのままで大丈夫です。

最も電源ユニットをカスタマイズした方が良い場合とは、「ゲーム実況配信」をする場合になる。配信ソフトはOBSが有名で、このソフトを使って配信をすると、CPUとグラボの両方を酷使することになる

配信は、ゲームプレイをリアルタイムにエンコードしてネット上に流すので、普通のエンコードと同様にCPUをよく使う。と同時にゲームをしているため、グラボもよく使っている。

GALLERIA DT(2018年版)で計算してみる
パーツ消費電力ゲーミング時
使い方ゲーミングエンコードリアルタイム配信
Core i5 850065 W120 W120 W
GTX 1060 6GB120 W30 W120 W
メモリー(16GB)6 W6 W6 W
その他40 W40 W40 W
合計約230 W約196 W約286 W
電源容量450Wと仮定
負荷率51.1%43.6%63.6%

消費電力を計算してみるとこの通り。「ゲーミングだけ」「エンコードだけ」の場合は、負荷率は低い。一方、ゲームとエンコードを同時に行う「配信」は負荷率が高いですね。

ドスパラの電源ユニット(カスタマイズ)

よって、ゲーム配信を考えている方は、電源容量が多い余裕のある電源ユニットにカスタマイズする価値が大きい。

2. 価格が20~30万を超えるハイエンドマシン

もう一つは、購入する予定のBTOマシンの価格が20~30万円を超えるような「ハイエンドモデル」の場合です。

標準カスタマイズのままでも、負荷率は50%前後になるように電源が選ばれているため、カスタマイズの必要性は低い。ただ、マシン全体の価格が高いほど、電源ユニットの価格の割合は小さくなる。

電源ユニットのコストに占める割合で考える

10万円のマシンに対して1万円の電源ユニットは割合にして「10%」なので高い。でも30万円なら、たかだか「3%弱」でしかないので、安い投資と見ることが可能です。

負荷率が抑えられていれば元の故障率が低いけれど、価格が高いハイエンド電源であればあるほど故障する確率がもっと低くなるのは間違いない。だから「保険」の一種と思って、電源を高いモノに変える価値が出てくる。

これは自作PCの場合もいっしょでして、30万するようなマシンに5000円の安物電源を使いたいとは全く思わない。どうせなら、1~2万円する品質の高い電源ユニットを使いたいと思います。

ドスパラの電源ユニット(ハイエンドのカスタマイズ)

おすすめは「CORSAIR」「Seasonic(オウルテック)」「Cyonic」「Antec」など。

3. 「静音性」を求めたい

最後に紹介する、BTOで電源ユニットをカスタマイズしたい場合は「静音性」を重視する場合です。最初に解説したとおり、質の高い電源ユニットほど発熱が低くなる。

電源ユニットの効率と発熱

つまり、発熱が少ないのでファンをあまり回さなくても十分に冷やせるということです。結果的に、ファンの騒音が減って静音性を得られるということ。

ただし、一つ注意するべき点がある。仮に静音性のために標準カスタマイズから「750W / GOLD電源」に変更したとしても、マシン全体で静かになるとは限らないという点です。

たとえばドスパラの場合、標準でケースファンが2~3個取り付けられているが、この標準ケースファンの音がまぁまぁ…します。だから電源ユニットを静かにすると、今度はケースファンが問題になってしまう。

だから「本当に静音を求める」なら、電源ユニットだけでなくケースファンも静かなモノに変更する必要がある。CPUクーラーがインテルやAMDの付属品の場合は、大きめの12~14cm空冷に変更する必要も出てくる。

「静音」は意外とコストが掛かるのです。ただ「多少高くても静音にしたい。」という人は必ずいると思うので、一応以下に静音を重視する場合の参考カスタマイズをまとめておきますね。

  • 電源:容量を多めに / 80+ GOLD以上を選ぶ
  • ケースファン:「山洋電気」「Noctua」製はとても静か
  • CPUクーラー:空冷の場合は120mm以上のファンに
  • CPUクーラー:簡易水冷の場合は140mm以上のラジエーター
  • グラボ:「外排気」ではなく「内排気」ファンのグラボ

こんなところです。全部やると+1~2万円くらいになるが、静音を重視するなら仕方がないです。

電源ユニットのカスタマイズをまとめる

使い方ゲーミングエンコードリアルタイム配信
ミドルクラス10万円~15万円標準でOK標準でOK容量を多めに
ハイエンド20万円~30万円ワンランク上もアリ標準でOK容量多め & Gold以上
超ハイエンド30万円~100万円容量多め & Gold以上

用途とマシンのグレードに合わせて、電源ユニットをカスタマイズするべきかどうかを表にまとめてみた。基本的に、BTOマシンは標準で負荷率50%前後になるようになっている。

そのため、ゲーミング目的なら電源ユニットは標準のままで十分に間に合います。CPUとグラボを同時に酷使するリアルタイム配信の場合は、容量を少し多めにしておこう。

全体の価格が高いハイエンドモデルの場合は、ワンランク上の電源ユニットにカスタマイズしても良い。Bronze認証ならGold認証の電源にしたり、550Wなら750Wに変える…という具合に。

主要BTOメーカー別おすすめ電源

最後に、もしBTOで電源ユニットをカスタマイズするとしたら、どの電源ユニットがおすすめなのか。について、ザックリと参考程度にまとめておきます。

GALLERIAの場合
容量メーカー効率
400 ~ 500WDELTA(標準)80+ Bronze認証
600 ~ 700WCORSAIR80+ Bronze認証
800 ~ 1000WEnhance80+ Titanium認証
CORSAIR80+ Platinum認証
備考超大手BTOの中では、一番親切です(基本的に大手はメーカーすら載せない)

G-Tuneの場合
容量メーカー効率
400 ~ 500WFSP(標準)80+ Bronze認証
600 ~ 700WAcbel(標準)80+ Bronze認証
800 ~ 1000W不明80+ Platinum認証
1000W ~不明80+ Gold認証
備考メーカーすら書かれていないためG-Tuneはかなり不親切ですね…。
LEVEL∞の場合
容量メーカー効率
400 ~ 500W不明80+ Bronze認証
600 ~ 700W不明80+ Gold認証
800 ~ 1000W不明80+ Gold認証
1000W ~該当なし
備考G-Tune同様、パソコン工房もメーカーが不明です。少なくともメーカーくらいは。
サイコムの場合
容量メーカー効率
400 ~ 500WFractal DesignEdison M 550W / 製造 : Seasonic80+ Gold認証
600 ~ 700WAntenNeoECO NE650 GOLD / 製造 : Seasonic80+ Gold認証
SeasonicSSR-750FM / 製造 : Seasonic80+ Gold認証
800 ~ 1000WCorsairHX850i / 製造 : CWT80+ Platinum認証
1000W ~CoolerMasterV1200 Platinum / 製造 : Seasonic80+ Platinum認証
備考サイコムは非常にカスタマイズ性が高いが、その分コストも高めです。
ストームの場合
容量メーカー効率
400 ~ 500W該当なし
600 ~ 700W不明750W 80PLUS GOLD電源…と書いてあるだけ80+ Gold認証
800 ~ 1000W該当なし
1000W ~該当なし
備考ストームはとても安価に仕上げてくれるが、電源の詳細が不明。メーカーくらいは書いてほしいかな。
ARKの場合
容量メーカー効率
400 ~ 500W該当なし
600 ~ 700WAntecNeoECO NE650 GOLD / 製造 : Seasonic80+ Gold認証
CyonicAU-650X / 製造 : Seasonic80+ Gold認証
800 ~ 1000WAntecHCG GOLD / 製造 : Seasonic80+ Gold認証
AntecHCG EXTREME / 製造 : Seasonic80+ Gold認証
1000W ~該当なし
備考サイコム同様、ARKもカスタマイズ性が高い。コストも高い。なお、1200W級の選択肢が無いのは惜しい。
SEVENの場合
容量メーカー効率
400 ~ 500WCorsairCX550M / 製造 : CWT80+ Bronze認証
600 ~ 700WAntecNeoECO NE650 GOLD / 製造 : Seasonic80+ Gold認証
SeasonicSSR-650FX / 製造 : Seasonic80+ Gold認証
CorsairRM750x / 製造 : CWT80+ Gold認証
800 ~ 1000WCorsairRM850x / 製造 : CWT80+ Gold認証
1000W ~CorsairHX1000i / 製造 : CWT80+ Platinum認証
CoolerMasterV1200 Platinum / 製造 : Seasonic80+ Platinum認証
備考スペックまで細かく記載されており、非常に親切。やや高いが、ガッツリと電源を選ぶならSEVENは優秀。

ここまで、割と有名なBTOの電源ユニットについてまとめました。あらためて驚いたのは、大手3社の電源ユニットの開示の仕方ですね。

記載したところでPC初心者には分からないだろう、と思っているのかもしれないが、やっぱり書いてある方が印象は良い。少なくともメーカーは書いてほしいところ。

というわけで、以上「BTOで電源ユニットをカスタマイズする必要はあるか?」について解説でした。電源ユニットのカスタマイズで悩んでいる人の参考になれば幸いです。


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8 件のコメント

  • 負荷率が高いほど故障率が高い(故障率:SSとか書いてあるところ)、故障率SSだとものすごく故障しやすいような認識になりかねないので、負荷率が低い場合はB、高い場合はSやSSなどに変更したほうがいいかと。

  • 勉強になりました
    将来グラボをグレードアップする予定があるなら最初から電源もグレードアップしておいた方が良いですか?
    マウスコンピューターやユニットコム系のパソコン工房のMCJグループはカスタムした商品でもメーカー名等が伏せてあるのでドスパラよりも不親切で初心者には勧めにくい印象を持ってます

    • グラボをアップグレードする可能性があるなら、容量を足すと良いです。最上位のグラボだと消費電力が300Wくらいなので、仮に標準電源が500Wだったら、700~800Wにアップグレードする感じですね。

  • BTOで高い電源つけても損するだけなんだよな。
    保証が本体に依存してるから高い電源でも1年か長くて3年になる。
    電源を自分で買って交換したら高い電源なら5年以上はざらにある。

  • BTOのマシン構成で電源容量に余裕をもたせてある理由には他にも電源は使用開始からどんどんへたってきて容量が落ちていくからってのもあるかと思います。
    起動時に全ての接続パーツに給電するので、電源容量が足りなくなると起動自体失敗します。
    元々容量ぎりぎりで構成してしまうと少しへたってきただけで起動しなくなりますよね、へたりも考慮にいれてPCの電源は余裕を持って構成するのが定石でBTOもそれに倣っています、もちろん記事上で書いてある変換効率も事実です。
     自作界隈で昔から電源の安物買いは避けろと言われる最も大きな理由は、電源が電圧と電流の変換器である以上故障の際にその他のパーツを巻き込む可能性が少なからずあるからです。
    最近の電源やマザーは電源側のエラー検知停止やマザー側の熱損防止機能のおかげであまり事例をきかなくはなりましたが、安い電源や一昔前の電源だとお亡くなりになる際にマザー等他のパーツを巻き込んで(下手すると火事になり部屋まで・・・)故障したなんて話も耳にしました。
    どう考えても安物を選ぶパーツ部位ではないですよね。

  • ミドルクラスでゲーム用途ならデフォルトで問題ないというのはちょっとな
    そもそもBTOのデフォルト電源は容量が少ないと感じることが多く
    以前よりはマシにはなったとはいえ、ノーブランドの安価電源で儲けを出そうとしていることに変わりは無いと思う
    (実際ドスパラは、余裕のある電源を推奨している記事を載せているが
    デフォルト構成では大体それ以下)
    そして当然ながら、電源を利用するのはCPUやGPU、メモリーだけでなく
    マザボやSSD、HDD、光学ドライブなども使うわけで
    どれだけの電力が必要かは、ゲーミング性能だけでは決まらず
    使用目的、追加構成によるとしか言いようが無いと思う

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