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Lenovo IdeaCentre Mini (Gen 8) レビュー:まさかの電源内蔵!洗練された設計の最新小型パソコンを分解

Lenovoといえば激安ThinkCentreが有名ですが、価格競争はもっぱら中華企業Minisforumに押されています。

ここでさらなる激安で対抗しても沼・・・とLenovoは考えたのか、大手の意地を見せてきました。「Mac Miniのようなデザイン」「電源内蔵でACアダプター削除」による洗練された設計のミニPC「IdeaCentre Mini (Gen 8)」の投入です。

直販サイトで一番価格が安いCore i5 13500Hモデルを1台買ってみました。少々ややこしい分解の手順まで、詳しくレビューします。

(公開:2024/3/21 | 更新:2024/3/21

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Lenovo IdeaCentre Mini (Gen 8)の仕様とスペック

Lenovo / CPU:Core i5 13500H(Iris Xe)/ メモリ:DDR4-3200 / SSD:NVMe SSD / OS:Windows 11
Lenovo IdeaCentre Mini (Gen 8)
2024年3月時点のスペック
CPUCore i5 13500H
(12コア16スレッド)
Core i5 13420H
(8コア12スレッド)
Core i7 13700H
(14コア20スレッド)
内蔵GPUIntel Iris Xe
(80コア / 1.45 GHz)
Intel Iris Xe
(48コア / 1.40 GHz)
Intel Iris Xe
(96コア / 1.50 GHz)
メモリ8 GB
(DDR4-3200 / 1枚)
8 GB
(DDR4-3200 / 1枚)
16 GB
(DDR4-3200 / 2枚)
SSD256 GB
(NVMe SSD)
512 GB
(NVMe SSD)
電源150 W(内蔵)
無線LANWi-Fi 6
(最大2.4 Gbps / BT 5.2)
各ポート
  • Thunderbolt 4:1個
  • USB 10 Gbps Type-C:1個
  • USB 10 Gbps:3個
  • USB 2.0:1個
  • HDMI 2.1
  • Display Port 1.4b
  • LANポート(2.5G LAN)
OSWindows 11 Home
保証14ヶ月(引取修理)
(保証の検索は →こちら
価格
税込送料無料
64790円74800円94820円

小型PC「ThinkCentre Tiny」で知られる外資系大手BTOメーカーLenovoが販売するミニPCです。

もっぱら中華メーカーにコスパで押されまくっている印象がありますが、電源ユニットを内蔵する洗練された設計で対抗する様子です。

スペックに対する価格設定は正直・・・妥当なバランスで、IdeaCentre Mini Gen 8の見た目や、大手メーカー製による信頼性を重視するかどうかで買うかどうかが決まります。

あまり買う気のなかった筆者ですが電源ユニット内蔵型への興味を捨てきれず、「狭苦しい空間に電源なんて入れて熱は大丈夫なのか?」など、いろいろ気にしなってしまい結局購入しました。

やかもち
今回のレビューでは、ふだんやらない熱電対センサーを埋め込んだ温度実測をします。

IdeaCentre Mini (Gen 8)のデザインとパーツ構成

パッケージデザインと付属品

IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(梱包)

Lenovo直販サイトより3月7日に注文して、翌日の3月8日に発送され、3月9日に無事到着です。注文時の公式サイトに記載どおりの納期で届いています。

ラメの入った特殊塗装のフォントで「IDEACENTRE Mini」と書かれたおしゃれなパッケージデザインです。

IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(梱包)

パッケージの裏面に、購入証明書が同封されています。

IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(開封)

衝撃を吸収する発泡スチロール製のクッション材でハンバーグ梱包されています。

IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(付属品)
  • 縦置きスタンド
  • 電源ケーブル

付属品ボックスの中身は以上です。必要最低限すぎる内容で、徹底したコストカットがうかがえます。

IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(付属品)

金属製の縦置きスタンドです。パソコン本体と接触する内側にゴムが貼り付けてあり、本体にキズがつかないよう工夫されています。

【容量1.5リットル】手のひらサイズ設計

IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(外観デザイン)

IdeaCentre Mini (Gen 8) はスッキリした見た目とは裏腹に、グッと重たい重量感です。やはり電源ユニットが内蔵されている分、重量感が増しています。

天板と底面はプラスチックやラバー素材でできていますが、側面のフレームや内部フレームはきちんと頑丈な金属製です。

IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(外観デザイン)

本体の高さが実測3.9 cm(底面のゴム足を含めて4.1 cm)、横幅が19.5 cm、奥行きが19.1 cmでした。

実測にもとづいた容量は約1.453リットル(およそ1.5リットル)と、十分にコンパクトなサイズ感です。

  • IdeaCentre Mini Gen 8:約1.45リットル
  • ThinkCentre Tiny Gen2:約1.19リットル
  • HP ProDesk 405 DM:約1.08リットル
  • MINISFORUM UM780 XTX:約0.99リットル(991.2 ml)
  • GEEKOM Mini IT13:約0.66リットル(655.2 ml)
  • Beelink Mini S12 Pro:約0.47リットル(469.2 ml)

ちもろぐでレビューしたミニPCの中では大きい方ですが、IdeaCentre Mini Gen 8は電源ユニット内蔵ですからACアダプターを含む合計容量なら・・・、実質的なサイズ差は少ないでしょう。IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(外観デザイン)

電源ケーブルを含む本体重量が約1.9 kgでした。外出先に持ち運ぶにはちょっと重たい印象を受けます。

IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(外観デザイン)

(波打つような表面加工が施された高級感ある天板)

IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(外観デザイン)

(底面に滑り止め用のゴム足と大きな吸気口)

本体の底面に滑り止めとスペーサーを兼ねるゴム足が2つ取り付け済み。ただし、VESAマウントは非対応です。

 

IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(外観デザイン)

付属の縦置きスタンドを取り付けました。デスクの占有面積が減るのでスッキリします。

IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(外観デザイン)

ホントに顔がいいミニPCです。似たりよったりの黒い箱ばかり作っている中華ミニPCメーカーに、ぜひ参考にして欲しいデザインセンスです。

IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(大きさの比較)

ThinkCentre M75q Tiny Gen 2と並べてみた。別途ACアダプターを必要とするThinkCentreの方が一回り小さいです。

IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(大きさの比較)

ThinkCentreが業務向けやサーバー向けの雰囲気があり、IdeaCentreは明確に一般ウケを狙ったデザインです。

個人的に赤いアクセントが入ったThinkCentreのロゴがけっこう好きで、どちらが優れているか甲乙つけがたいと思います。

IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(大きさの比較)

15.6インチのノートパソコンや6.1インチのスマートフォンと並べると、IdeaCentre Mini Gen 8のコンパクトさが分かります。縦置きだとなおさら小さく感じます。

IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(大きさの比較)

27インチのPCモニターやフルサイズキーボードと並べてみた。

山崎実業(Yamazaki) / 横幅44 x 奥行き25 x 高さ7.2 cm / ネジ止め方式

本体の厚みが薄いので、デスク下収納ラックと組み合わせれば本体をデスク上に置く必要すらありません。

充実した仕様のインターフェイス

IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(インターフェイス)
  1. 電源ボタン
  2. USB 10 Gbps
  3. USB 10 Gbps(Type-C)
  4. ヘッドホン端子(3.5 mm)

フロント(前面)パネルにUSBポートが2つあります。

IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(インターフェイス)
  1. LANポート(2.5G LAN)
  2. USB 10 Gbps
  3. USB 2.0
  4. Thunderbolt 4
    DP Alt Mode / USB PD対応
  5. HDMI 2.1
    最大4K(3840×2160@60 Hz)
  6. USB 2.0
  7. Display Port 1.4
    最大4K(3840×2160@240 Hz)
  8. 電源ポート

リア(裏側)パネルに、充実したポート類を揃えています。

インテルから認証を受けた「Thunderbolt 4」ポートが1個あり、最大40 Gbpsの転送速度に対応します。DP Alt Modeによる映像出力(最大8Kで60 Hz)も可能です。

USB Type-C
(DP Alt Mode)
USB Type-C
(DP Alt Mode / HDR)
DP 1.4HDMI 2.1

4Kゲーミングモニターにつないでみると、Thunderbolt 4(DP Alt Mode)で4K 120 Hz(6 bit)または4K 60 Hz(10 bit)まで、HDMI 2.1とで4K 60 Hz(8 bit)まで、DP 1.4で4K 160 Hz(10 bit)出力できます。

どうやら4Kゲーミングモニターを想定していないようです。IdeaCentre Mini Gen 8と使うなら、普通の4K 60 Hzモニターがおすすめです。

USB 40 Gbps
(外付けSSD@ASM2464PD)
USB 40 Gbps
(外付けSSD@Intel JHL7440)
IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(Thunderbolt 4ポート)IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(Thunderbolt 4ポート)
USB 40 Gbps
(外付けSSD@ASM2364)
IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(Thunderbolt 4ポート)

Thunderbolt 4(Type-C)ポートの転送速度を確認します。

最大7000 MB/s超えのNVMe SSD「SK Hynix Platinum P41」を、USB 10 ~ 40 Gbps対応エンクロージャーに入れて動作テストした結果です。

  • ASMedia ASM2364:10 Gbpsで動作
  • Intel JHL7440:40 Gbpsで動作
  • ASMedia ASM2464PD:40 Gbpsで動作

さすがインテルプラットフォームによるThunderbolt 4ポート。偽物40 Gbpsと言われるIntel JHL7440コントローラのエンクロージャーでも、問題なく40 Gbpsで動作可能です。

本物の40 GbpsであるASM2464PDコントローラもまったく問題なく40 Gbpsで動作します。最大20 Gbps対応のASM2364コントローラは、なぜか10 Gbpsが限界でした。

ちなみにAMDプラットフォームだと、Intel JHL7440コントローラで40 Gbpsに達しないので要注意。実例「Minisforum UM780 XTX」レビューで確認。
Satechi / コントローラ:ASM2464PD / 規格:USB4(40 Gbps)/ 対応SSD:NVMe(M.2 2280~2230)
SAN ZANG MASTER / 規格:USB 40 Gbps(Type-C)/ 対応:NVMe SSD(2280)のみ / 保証:1年
やかもち
USB 40 Gbpsエンクロージャーでゲームも快適に動作しました。切断瞬停によるゲームの強制クラッシュもベンチマーク中に発生しなかったです。
IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(インターフェイス)

メーカー仕様表で特にアピールされていないですが、Thunderbolt 4ポートで最大15 W(5.0 V x 3.0 A)のUSB給電(USB Power Delivery規格)に対応します。

ただし、USB PD対応のPCモニターとUSB Type-Cケーブル1本でつないでパソコン本体を動作させる機能は非対応です。

電源ユニット内蔵型だから、わざわざType-Cケーブル1本で動作する必要性がない・・・と判断された可能性がありそうです。

IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(Wi-Fi 6の通信速度)

LANポートは2.5G LAN(Realtek製RTL8125チップ)を搭載。

10G光回線に接続して、IPA CyberLab 400Gでテストするとダウンロードで約2340 Mbps、アップロードで約2370 Mbpsと爆速インターネットです。

IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(Wi-Fi 6の通信速度)

Wi-Fi(無線LAN)はRealtek製RTL8852BE搭載で、最大1800 Mbps対応。Wi-Fi 6対応ルーターに1201 Mbpsでリンクアップでき、ダウンロードで約950 Mbps、アップロードで約960 Mbpsでした。

リンクアップ速度(理論値)の約80%で通信でき、有線の1G LANに匹敵するインターネット速度を無線で出せます。

Lenovo / CPU:Core i5 13500H(Iris Xe)/ メモリ:DDR4-3200 / SSD:NVMe SSD / OS:Windows 11
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IdeaCentre Mini (Gen 8)の分解とパーツ増設

ケースの開封

アネックス / 長さ : 144mm / 規格 : プラス00×50
ベッセル(VESSEL) / 長さ : 153mm / 規格 : プラス1×75 / 備考 : M.2スロット用の固定ネジでよく使う

精密プラスドライバー(PH0規格)と、ミクロプラスドライバー(PH1規格)が必要です。

ネジの吸い付きがいいWera(ウェラ)製のドライバーをおすすめしたいですが、不人気なのか入手が難しいためベッセルやAINEX製で妥協してもいいでしょう。

一般的なプラスドライバー(PH2規格)だと先端が少し大きくて、IdeaCentre Mini Gen 8のネジを潰してしまう可能性があります。
IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(ケースを開けて中身を見る)

リアパネル側にあるボタンを指でグッと押し込みます。

IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(ケースを開けて中身を見る)

天板が少し緩みます。緩んだ隙間から指を突っ込んで、天板をめくり上げてパキパキと剥がします。

IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(ケースを開けて中身を見る)

天板が取れて、金属製の内部フレームがあらわになります。

IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(ケースを開けて中身を見る)

5本のネジで内部フレームと本体が固定されています。手前の2本が精密プラスドライバー(PH0規格)で、残りの3本はミクロドライバー(PH1規格)で外せます。

IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(ケースを開けて中身を見る)

5本のネジを外しました。

IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(ケースを開けて中身を見る)

底面と内部フレームを固定している4本のネジも外します。ミクロドライバー(PH1規格)を深いネジ穴に突っ込んで、感覚でネジを回してください。

IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(ケースを開けて中身を見る)

ネジ穴が深いうえに狭いです。普通のプラスドライバーだとネジ穴が狭すぎてそもそも入らないので、ミクロドライバーが必須です。

IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(ケースを開けて中身を見る)

4本のネジを外したら、2箇所ある「プッシュボタン」を指で押し込みます。

IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(ケースを開けて中身を見る)

パカッと底面が緩みます。緩んだ隙間に指を突っ込んで、パキパキと底面を剥がします。

IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(ケースを開けて中身を見る)

ようやく底面パネルを外せました。ThinkCentreより全体的に手間が増えていて、メンテナンス性がやや悪化した印象です。

IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(ケースを開けて中身を見る)

電源ユニットを固定しているレバーを外します。

IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(ケースを開けて中身を見る)

レバーを解除したら、電源ユニットを手前に押し込みます。

IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(ケースを開けて中身を見る)

あとは引っ張るだけで、電源ユニットがかんたんに剥がれるはずです。

IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(ケースを開けて中身を見る)

電源ユニットをどかすと、M.2スロットやWi-Fiスロットにアクセスできます。

IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(ケースを開けて中身を見る)

冷却ファンもついでに外します。指でしっかりとつまんでから・・・

IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(ケースを開けて中身を見る)

手前に引っ張れば、あっさりと冷却ファンが外れます。まさかのマグネット方式です。

IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(ケースを開けて中身を見る)

冷却ファンを外すと、SODIMMメモリスロットにアクセス可能です。

IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(ケースを開けて中身を見る)

CPUを冷却するヒートシンクは熱伝導率に優れる素材「銅」が使われています。高さ19 mm、幅60 mmの小型ヒートシンクです。

IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(ケースを開けて中身を見る)

せっかくなので、CPU用ヒートシンクを外してみます。3本のネジ(PH1規格)を外すだけで、かんたんに取り外し可能です。

IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(ケースを開けて中身を見る)

VRMフェーズ回路に接触する部分に、分厚いサーマルパッドが貼ってあり、CPUと接触するエリアは若干コストがかかる「ベースプレート」方式が採用されています。

ベースプレートからヒートシンクに熱を運ぶヒートパイプは6 mm径が1本です。

IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(冷却ファン)

ヒートシンクを冷やす冷却ファンは60 mm径シロッコファン(型番:BAZC0818R2U)です。

IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(ケースを開けて中身を見る)

CPU周辺のVRMフェーズ回路です。

・・・意外とお金のかかった設計でちょっと驚きました。自作PC向けマザーボードでも多用される、変換効率に優れた統合型MOSFET(DrMOS)が6個も使われています。

インテルがCore i5 13500Hに指定している、最低でも45 W(ピーク時に95 W)の電力要件を問題なく満たせる設計と見受けられました。

やかもち
DrMOSの方がマザーボードの実装面積を減らせて小型PC向けですね。
IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(M.2 SSD)
ストレージ詳細ベンチマーク
SSD

標準搭載のNVMe SSDは「Samsung OEM(型番:MZVL4256HBJD-000BL7)」でした。最大3300 MB/s程度のスタンダードな性能のSSDです。

IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(WiFi)

Wi-FiチップはRealtek製「RTL8852BE」です。最大1.8 Gbpsの通信速度と、Bluetooth 5.2に対応します。

IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(SODIMM)

SODIMMメモリは高い品質に定評があるSamsung製DDR4-3200です。

IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(電源ユニット内蔵)

本体内蔵の電源ユニットです。奥行き160 mm、横幅74 mm、厚みわずか19 mmの特殊規格(Lenovoカスタム)品です。

IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(電源ユニット内蔵)

中国Huntkey製の電源ユニットです。

容量150 W、効率認証80 PLUS Platinum、型番HKF1501-3Eと記載されています。負荷率50%時に変換効率が約92.6%に達する、非常に高効率な電源ユニットです。

小型パソコンで内部の空間が限られているため、変換効率を高くして無駄な熱を抑える工夫をしています。

IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(マザーボードの拡張性)

IdeaCentre Mini (Gen 8)の拡張性は以上のとおりです。

  1. メモリスロット(SODIMM)
  2. メモリスロット(SODIMM)
  3. M.2スロット(2280サイズ / NVMe SSD)
  4. M.2スロット(2280サイズ / NVMe SSD)

メモリスロットが2枚(※1本使用済み)、NVMe SSD(PCIe 4.0 x4)対応のM.2スロットが2本(※内1本使用済み)あります。

増設できるSSDが1枚に限られています。なるべく大容量のSSDを増設したいです。

なお、マザーボード側に分厚いサーマルパッドが貼り付けてあるので、裏面にコンポーネントが乗っている「両面実装」のSSDと相性が悪いです。

サーマルパッドに部品が押されて基板が曲がり、不具合の原因になります。IdeaCentre Mini (Gen 8)に増設するSSDは「片面実装」をおすすめします。

サーマルパッドを事前に剥がしておけば、両面実装のSSDも搭載できます。その代わり、SSDの冷却性能がやや犠牲に。

BIOS(UEFI)画面について解説

IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(UEFI BIOS画面)

パソコンの電源スイッチを入れて、即座にF1を連打すると、BIOS(UEFI)画面に入れます。

BIOS(UEFI)レイアウト
  • Menu
  • Devices
  •  USB Setup
  •  Storage Setup
  •  Video Setup
  •  Audio Setup
  •  Network Setup
  • Advanced
  •  CPU Setup
  • Power
  •  Intelligent Cooling
  •  Automatic Power On
  • Security
  • Startup
  •  Boot Priority Order
  • Exit
IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(UEFI BIOS画面)

.IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(UEFI BIOS画面)

Advanced → CPU Setupにて、ハイパースレッディング機能や省電力機能の設定ができます。

PL1やPL2の指定、PL2の維持時間など、CPUの電力制限(Power Limit)に関係する細かな制御はできないようです。

.IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(UEFI BIOS画面)

.IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(UEFI BIOS画面)

CPUクーラーのファン回転数はPower → Intelligent Coolingから設定可能。

出荷設定が「Balance Mode」で、PL1 / PL2ともに115 Wに設定されています。Intelligent Coolingの設定を変更するとファンの回転数が上昇し冷却性能がやや改善されますが、肝心の性能は大きく変化しないです。

出荷設定の「Balance Mode」のままでいいでしょう。

IdeaCentre Mini (Gen 8)の性能をベンチマーク

「IdeaCentre Mini (Gen 8)」の性能をベンチマークやゲーミングで検証します。

搭載メインメモリを8 GBから16 GB(2枚組)に増設済みです。Windowsの電源管理やCPUの電力制限は特に変更せず、初期設定のままテストしました。

レンダリング / 3DCG系の性能

IdeaCentre Mini Gen 8のCPU性能を比較

CPUの定番ベンチマーク「Cinebench R23」の比較です。

Core i5 13500Hの性能は思ったよりも高く、デスクトップPCのCore i5 13400Fに匹敵します。2世代前のCore i7 11700すら超える性能です。

IdeaCentre Mini Gen 8のCPU性能を比較

体感動作に影響が大きいシングルスレッド性能も非常に高く、Core i5 13400F(デスクトップ版)以上です。小型パソコンなのに、まるでゲーミングPCのような快適な使用感です。

Pコアが4コア8スレッドに加えてEコアが8コア8スレッドあるおかげか、バックグラウンドでWindows Updateなど他のタスクが動いていても体感性能が下がりづらいです。

IdeaCentre Mini Gen 8のCPU性能を比較

懐かしい「Cinebench R15」の結果も参考程度に掲載します。

Cinebench R15はR23よりテスト時間が短いため、比較したCPUどちらも消費電力の制限に引っかかる前にテストを終えられ、理論値に近いベンチマークスコアで比較できます。

Core i5 13500H(12コア16スレッド)はRyzen 5 7640HSより高速で、Ryzen 7 7840HSには追いつけない位置付けです。

IdeaCentre Mini Gen 8のCPU性能を比較

シングルスレッド性能も速いです。ミニPCで人気があるIntel N100より1.7~1.8倍も高性能で、Ryzen 5 7640HSに迫ります。

動画エンコード

動画エンコードは無料ソフト「Handbrake」を使って検証します。容量が約1 GBのフルHDアニメを「Fast 480p30(x264)」「Fast 1080p30(x264)」プリセットでエンコード。

動画エンコード※クリックで画像拡大します
Fast 480p30Fast 1080p30
平均140.5 fps平均79.8 fps

合計12コア16スレッドのパワーで、ちょっとしたデスクトップPC向けのCPUに匹敵するエンコード性能が出てしまいます。

IdeaCentre Mini Gen 8のCPU性能を比較

デスクトップ向けCPUのCore i5 12400FやRyzen 5 5600Xを超えて、Core i5 13400Fに迫るエンコード性能を叩き出します。Intel N100から見ればなんと3倍以上です。

Microsoft Office

Microsoft Officeのベンチマーク
Edge12502
Word9356
Excel22585
PowerPoint12310
総合スコア13428

PCMark 10 Pro版を使って、オフィスワークの代表例「Microsoft Office」の処理速度をチェック。

スコアの目安はPCMark 10公式いわく「4500点」です。Core i5 13500Hが叩き出したスコアはどれも4500点を軽く超えていて、総合スコアは13428点です。

参考までに・・・

オフィスワーク性能だと、体感するほどの性能差はおそらく得られないでしょう。

写真編集(Photoshop)

ガレリアZGを実機レビュー(写真)

写真編集は「Adobe Photoshop」で処理速度をテスト。Puget Systems社が配布しているベンチマーク用のバッチファイルを使い、実際にPhotoshopを動かして性能をスコア化します。

マシンIdeaCentre
Mini (Gen 8)
MINISFORUM
UM780 XTX
GEEKOM Mini IT13
CPUCore i5 13500HRyzen 7 7840HSCore i9 13900H
GPUIris Xe Graphics 80 EURadeon 780MIris Xe Graphics 96 EU
RAM16 GBDDR4-320032 GBDDR5-560032 GBDDR4-3200
総合スコア81810591066
一般処理のスコア96.6121.8127.4
フィルタ系のスコア67.090.085.7
GPUスコア76.198.688.6

Core i5 13500HのPhotoshopスコアは「818点」です。

基本的にPhotoshopはCPU依存度の強いタスクで、Core i5 13500HとIris Xe Graphicsの性能ならPhotoshopを一通り快適にこなせます。

しかし、Ryzen 7 7840HSなどと比較してスコアが一回り低く出ています。原因はメモリ容量です。高解像度な写真になるほどメモリの依存度も高まります。

やかもち
Photoshop CCをやるならメモリ容量32 GB以上ほしいです。

ビデオチャット(VC)の処理速度

PCMark 10の「Video Conference(ビデオ会議)」モードを使って、ビデオチャットの快適さをテストしました。

PCMark 10でビデオチャットの性能をテスト
PCMark 10でテスト
総合スコア83705000点以上ならOK
ビデオチャットの快適度29.9 /30.00 fps

結果は8370点で、5000点以上を余裕でクリア。複数人とビデオチャットを同時に行った場合の、映像のスムーズさ(フレームレート)はほぼ30 fpsで、上限の30 fpsに迫ります。ビデオ通話は余裕で動きます。

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内蔵GPU「Xe Graphics 80 EU」の性能

Core i5 13500Hの内蔵グラフィックスは「Iris Xe Graphics(80コア)」です。第12世代Xe Graphicsアーキテクチャを採用する、比較的新しい世代の内蔵GPUを搭載します。

シェーダー数640個(1コアあたり8シェーダー)を備え、最大1.45 GHzで動作する割と性能のいい内蔵GPUですが、ライバルのRadeonより動作クロックが半分近いです。

定番ベンチマークで良いスコアを出せても、実際のゲームプレイだとフレームレートが伸び悩む傾向が予想されます。

定番ベンチマークで性能比較

3DMarkFireStrike / ゲーミングPC向け結果画像※クリックで画像拡大します
IdeaCentre
Mini (Gen 8)
(Xe Graphics 80EU)
3918
GPUスコア
IdeaCentre Mini Gen 8のゲーミング性能
MINISFORUM
UM780 XTX
(Radeon 780M)
8348
GPUスコア

ゲーミングPC向けの高負荷ベンチマーク「FireStrike」の結果です。GPUの性能を示すGPUスコアが3918点で、Radeon 780Mの半分近いスコアです。

IdeaCentre Mini Gen 8のゲーミング性能を比較

「FireStrike」のスコアで他のグラフィックボードを比較してみた。

残念ながらRadeon 780Mの半分以下のスコアしか出ず、古いVega世代のRadeonにすら劣る性能に。DDR5メモリならもう少し伸びるかもしれませんが、元の性能がやはり低いです。

3DMarkNight Raid / 普通のパソコン向け結果画像※クリックで画像拡大します
IdeaCentre
Mini (Gen 8)
(Xe Graphics 80EU)
14897
GPUスコア
IdeaCentre Mini Gen 8のゲーミング性能
MINISFORUM
UM780 XTX
(Radeon 780M)
33889
GPUスコア

やや負荷の軽い「Night Raid」の結果です。GPUスコアは14897点で、負荷の軽いマイクラやVALORANT程度なら、それなりに動かせる性能です。

3DMark
Wild Life / 普通のパソコン向け
結果画像※クリックで画像拡大します
IdeaCentre
Mini (Gen 8)
(Xe Graphics 80EU)
9106
GPUスコア
IdeaCentre Mini Gen 8のゲーミング性能
MINISFORUM
UM780 XTX
(Radeon 780M)
16179
GPUスコア

マルチプラットフォーム対応のGPUベンチマーク「Wild Life」の結果は、GPUスコアが9106点でした。

FF14
暁月のフィナーレ
結果画像※クリックで画像拡大します
IdeaCentre
Mini (Gen 8)
(Xe Graphics 80EU)
5179(普通)
平均36.1 fps
MINISFORUM
UM780 XTX
(Radeon 780M)
8330(快適)
平均59.3 fps

「FF14:暁月のフィナーレ」を標準品質(デスクトップPC)モードでテスト。スコアは約5180点で、平均30 fps程度です。

実際にゲームをプレイして性能をテスト

Apex Legends
射撃訓練場でテスト
フルHD
(中設定)
平均:19.8 fps
(下位1%:10.9 fps)
フルHD
(低設定)
平均:22.4 fps
(下位1%:11.9 fps)

Apex Legendsは中~低設定で平均20 fps前後と、かろうじて動いているレベル。

オーバーウォッチ2
マップ「KING’S ROW(4 vs 4)」で撃ち合い
フルHD
(ノーマル設定 + 100%)
平均:44.9 fps
(下位1%:35.8 fps)

オーバーウォッチ2はノーマル設定(レンダリング100%)でテスト。フルHDで平均45 fpsでした。正直かなり厳しい動作です。

VALORANT
マップ「トレーニングエリア」でテスト
フルHD
(最高設定 + MSAA x4)
平均:44 fps
(下位1%:30.3 fps)
フルHD
(最高設定 + MSAA x2)
平均:56 fps
(下位1%:39.1 fps)

VALORANTは最高設定で平均44 fps、MSAAをx2に下げると平均56 fpsでした。プレイできなくは・・・ない程度。

原神(Genshin Impact)
マップ「神に捨てられた殿閣」でテスト
フルHD
(プリセット:高)
平均:25.4 fps
(下位1%:14.3 fps)
フルHD
(プリセット:中)
平均:30.1 fps
(下位1%:26.2 fps)

原神はマップ「神に捨てられた殿閣」にてテスト。フルHD(プリセット:高)で平均25 fps、フルHD(プリセット:中)で平均30 fpsでした。

今どきのハイエンドスマホ以下の性能です。たとえばSnapdragon 8 Gen 3(Adreno 750)は原神を平均55 fps前後で動作できます。

崩壊スターレイル
マップ「星槎海中枢」でテスト
フルHD
(プリセット:高)
平均:21.8 fps
(下位1%:17.9 fps)
フルHD
(プリセット:中)
平均:31.1 fps
(下位1%:25.4 fps)

崩壊スターレイルはマップ「星槎海中枢」にてテスト。フルHD(プリセット:高)で平均22 fps、フルHD(プリセット:中)で平均31 fpsでした。

崩壊スターレイルの場合、実際のゲームプレイでターン制バトルが多くを占めるため、実用上の使用感は割となんとかなります。オートモードで放置であれば問題ないかと。

マインクラフト
「PORTAL PIONEERS RTX」でテスト
フルHD
(32チャンク + バニラ)
平均:38.4 fps
(下位1%:27 fps)
フルHD
(16チャンク + バニラ)
平均:44.8 fps
(下位1%:31.8 fps)

マインクラフト(Bedrock Edition)は、フルHD(32チャンク描写)で平均38 fps、フルHD(16チャンク描写)で平均45 fpsです。

ストリートファイター6
「LUKE vs RYU」でテスト
フルHD
(NORMAL設定)
平均:14.8 fps
(下位1%:8.7 fps)
フルHD
(LOW設定)
平均:30.9 fps
(下位1%:26.1 fps)

ストリートファイター6(FIGHTING GROUNDモード:60 fps上限)は、フルHD(NORMAL設定)で平均15 fps、フルHD(LOW設定)で平均31 fpsです。

Radeon 780M vs Iris Xe Graphics 80EU

(100% = 2倍の性能を意味します)

予想通り、Iris Xe Graphics(80コア版)の性能はイマイチです。

比較したゲームすべてで・・・Radeon 780Mに完敗します。メモリがDDR4-3200で不利な条件とはいえ、そもそも動作クロックが低すぎるのでDDR5メモリに変えたとしてもマトモな勝負にならないです。

あくまでもオフィスワークやPhotoshop向けに、十分なグラフィック性能が確保されているに過ぎず、ゲーミング性能はRadeonに届かないです。

もし、Intelの内蔵GPUにゲーム性能を求めるなら、最新世代のCore Ultraに搭載されている「Intel Arc iGPU(Xe LPGアーキテクチャ)」を推奨します。

やかもち
Xe Graphicsは3Dゲームに向かないです。最新スマホ(SD 8 Gen 2やGen 3)に遅れを取るレベル。

デスクトップ画面とプリインアプリ

IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(プリインアプリ)

初回起動時のデスクトップ画面はまっさらな状態です。

  • Lenovo Vantage
  • マカフィーリブセーフ

主なプリインアプリは以上2つです。セキュリティソフトはWindows付属の「Defender」で十分すぎるほどに高性能なので、有料のマカフィーは削除します。

IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(プリインアプリ)

「Lenovo Vantage」は使っているLenovo製パソコンをメンテナンスできるユーティリティソフトウェアです。

IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(プリインアプリ)

タスクマネージャーのように、CPUの使用率やSSDの空き容量を確認する機能があります。

IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(プリインアプリ)

利用できるシステムアップデートを自動で取得する機能がなかなか便利です。普通にやると面倒なBIOS Updateも実行できます。

IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(プリインアプリ)

保証とサービスから、残されている保証期間を確認できます。

IdeaCentre Mini Gen 8をレビュー(プリインアプリ)

Lenovoパソコン購入の特典として付属する、サブスク系アプリのダウンロードも可能です。

やかもち
冷却ファンのモード変更はLenovo Vantageからできません。UEFI BIOS画面から設定するしかないです。

IdeaCentre Mini (Gen 8)の温度と騒音

動作温度をチェック

ベンチマーク中のCPU温度
※CPUに100%の負荷がかかった状態
IdeaCentre Mini Gen 8のCPU温度
  • CPUベンチマーク:最大94℃(平均84℃)
  • FF14ベンチマーク:最大84℃(平均69℃)

CPUに100%の負荷がかかるCinebench R23ベンチマーク中のCPU温度は最大で94℃、平均84℃です。

ベンチマーク開始後に65 W前後で動作し、途中から45 W動作に切り替わるのでCPU温度が80℃前後まで落ち着きます。

電源ユニットも内蔵された極めて狭い筐体ながら、Core i5 13500Hの性能を過度に損なわずに維持できる程度の冷却性能が確保された良い設計です。

以前レビューした他社のミニPC(Core i9 13900H搭載のGEEKOM Mini IT13)だと、わずか35 W維持が精一杯でした。

負荷時の電力制御
※クリックで画像拡大します
CPU側内蔵GPU側
IdeaCentre Mini Gen 8の動作クロックIdeaCentre Mini Gen 8の動作クロック
  • クロック周波数:平均3425 MHz
  • CPU温度:平均84℃
  • CPU消費電力:平均51 W
  • クロック周波数:平均1450 MHz
  • iGPU温度:平均63℃
  • iGPU消費電力:平均36 W

IdeaCentre Mini (Gen 8)の電力制御をチェックします。

CPU側は瞬間的に100 Wを超え、すぐに65 W前後に切り替わり、さらに連続した負荷をつづけると45 W前後に抑えられます。軽い負荷であれば4 GHzを軽々と超えられ、シングルスレッド性能に貢献します。

内蔵グラフィックスは常時1450 MHz前後、つまりインテルの規定通りのクロックを維持できます。

やかもち
狭い空間に電源ユニット(150 W)を内蔵している影響なのか、冷却性能自体は全体的に控えめです。
初心者もち
ふと思ったんだけど、電源ユニットなんか内蔵して中の発熱とか大丈夫なの・・・?
IdeaCentre Mini Gen 8のパーツの温度

というわけで、薄いシート状のK熱電対センサーをIdeaCentre Mini Gen 8の筐体内部に仕込んで表面温度を実測します。

  1. VRMフェーズ周辺
  2. 電源ユニットの表面

上記2つの温度センサーを仕込みます。特に、電源ユニットの表面温度はその直下に位置するM.2 SSDに影響しやすいので要注目です。

IdeaCentre Mini Gen 8のパーツの温度

Cinebench R23(30分ストレスモード)で連続負荷をかけて、各温度センサーで取得したデータをグラフに変換します(1秒ずつ取得)。

VRM周辺の温度は急速に上昇し50℃を超えますが、CPUの電力制御により45 W前後へ制限されると55℃前後で飽和しています。VRMサーマルスロットリングらしい傾向はないです。

次に電源ユニットの温度。負荷に合わせて順調に上昇しつづけ、50℃が迫るといきなり温度が下がります。この時、電源ユニットの冷却ファンが不快な甲高い音を立ててヒューーーンと動いています。

規定の温度に達すると、きちんと冷却ファンが回って問題のない温度まで抑える制御が行われている様子です。心配していたM.2 SSDへの影響もほとんど無視できるレベルです。

やかもち
電源ユニットの発熱が思った以上に小さいです。80 PLUS Platinum認証だけあって、高効率で無駄な熱が出づらい印象です。

サーモグラフィーカメラで負荷時の放熱をチェック。CPUが入っているエリアが40℃前後で、他のエリアは少し暖かい程度です。

吸気用スリットから冷却ファンが見えます。冷却ファン周辺はやはりよく冷えている様子です。

背面(リアパネル)側に大きな排気口があります。ファンヒーターのような暖かい風が吹き出していて、DisplayPortケーブルがほのかに暖まります。

リアパネルの上半分が50~60℃前後まで上昇します。CPU冷却用のヒートシンクや、VRMフェーズ回路がちょうど位置するエリアだけあり、加熱しやすいです。

電源ユニット側(下半分)は40℃前後と、かなり大人しい発熱です。

なぜ電源ユニットの発熱が意外とたかが知れた水準になるのか。かんたんに計算します。実測された連続負荷時の消費電力は約65 W、電源の容量150 Wに対して負荷率44%です。

80 PLUS Platinum認証レポートいわく、IdeaCentre Mini Gen 8に搭載された電源の負荷率50%前後の変換効率が約92.5%前後。65 Wに92.5%を掛け算して出てきた約5 Wが電源ユニットの発熱です。

一方で、CPUの消費電力は45 W前後もあるので、電源ユニットよりはるかに大きな熱源に仕上がります。

やかもち
電源ユニット内蔵型ミニPCだから過剰に熱の心配をしてしまったけれど、実測データのとおり「杞憂」でした。心配無用です。

静音性能を騒音計で検証

動作音(騒音)をテスト
(本体から50 cmの距離で測定)
IdeaCentre Mini Gen 8の動作音(騒音)を測定
シャットダウン
(電源オフ時)
インターネット
(Youtubeを表示)
ゲームプレイ中
(FF14:暁月ベンチ)
31.1 dB33.0 dB35.2 dB

校正済みのデジタル騒音メーターを使って「IdeaCentre Mini (Gen 8)」の動作音(騒音レベル)を、シーン別に測定しました。それぞれの測定結果は中央値です。

動作音の比較(ゲーム中)

  • Beelink Mini S12 Pro
    32.1 dB
  • M75s Small Gen2
    32.7 dB
  • UM780 XTX
    33.5 dB
  • HP ProDesk 405 G8
    34.9 dB
  • IdeaCentre Mini Gen 8
    35.2 dB
  • GEEKOM Mini IT13
    35.4 dB
  • Legion T550i
    36.9 dB
  • M75q-1 Tiny
    37.1 dB
  • IdeaCentre T540 G
    38.0 dB
  • G-Tune HM
    38.0 dB
  • G-Tune PM
    38.1 dB
  • ガレリアRM5R
    38.6 dB
  • M75q Tiny Gen2
    38.8 dB
  • Neo 50t Tower Gen 3
    41.1 dB
  • ガレリアZA9R
    43.0 dB
  • G-GEAR by MSI
    43.3 dB
  • M75q Tiny Gen2
    44.8 dB
  • LEVEL M-Class
    44.8 dB
  • ガレリアRJ5
    45.0 dB
  • Legion Y540
    49.9 dB
騒音値(dBA)評価目安
30 ~ 32.49極めて静か耳を近づければ聞こえるレベル
32.5 ~ 34.9静かファンが回っているのが分かる
35 ~ 39.9やや静か扇風機を「小」で回したくらい
40 ~ 42.49普通エアコンよりは静かな音
42.5 ~ 44.99やや騒音エアコンの動作音に近い
45 ~ 50騒がしい扇風機を「中~大」で回した音
50 ~うるさい・・・換気扇を全力で回した音

そこそこ静音性に優れています。

連続負荷時の冷却ファンは挙動が安定していて、うるさく感じづらいです。テストで測定された35.2 dB(中央値)は「やや静か(35~39.9 dB)」に分類されます。

ただし、1点問題がありました。

IdeaCentre Mini Gen 8の動作音(騒音)を測定

CPU側に大きな負荷をかけつづける(Cinebench R23など)過度なユースでは、冷却ファンの動作音が41 dB(普通)まで上昇します。

さらに一定の頻度で電源ユニット側の冷却ファンも回ってしまい、「ヒューーーン」と甲高い高周波ノイズが鳴ってしまいます。騒音値が44 dB(やや騒音)に到達し、正直うるさいです。

なお、あくまでもCinebench R23(10分モード)など極端な使い方で問題が目立ちます。普通にネットを見たりオフィスワークをしたり、内蔵グラフィックスで3Dゲームを動かす程度なら、普通くらいの騒音値に収まる傾向です。

コンセント経由の消費電力をテスト

消費電力
(コンセント経由の消費電力を測定)
IdeaCentre Mini Gen 8の消費電力を測定
アイドル時
(デスクトップ画面)
CPU負荷
(Cinebench R23)
ゲームプレイ中
(FF14ベンチマーク)
13 W65~128 W58 W

電力ロガー機能のついたコンセントを使って、IdeaCentre Mini Gen 8の消費電力をテストします。

アイドル時でおよそ13 W前後、Cinebench R23でCPUに負荷をかけて一瞬だけ120 Wを超え、時間経過で65 W前後下がります。

ゲームプレイ(内蔵GPU)時の消費電力は60 W前後です。なお、USBポートにポータブルSSDを挿し込むと追加で3~10 Wほど、Thunderbolt 4経由なら最大15 W増える可能性があります。

まとめ:洗練されたスッキリした見た目が魅力的

「IdeaCentre Mini (Gen 8)」のデメリットと弱点

  • 3Dゲームは厳しい
  • SATA SSDを増設できない
  • Type-Cケーブル1本で動く機能なし
  • SDカードスロットなし
  • 高負荷時の温度が高め
  • 電源ユニットのファンがうるさい
    (軽い負荷ならほとんど動かない)

「IdeaCentre Mini (Gen 8)」のメリットと強み

  • Core i5 13500Hの使用感よし
  • オフィス用途に十分すぎる性能
  • 手のひらサイズで置き場に困らない
  • 充実のインターフェイス
  • Thunderbolt 4(40 Gbps)
  • Realtek製2.5G LANポート
  • 無線LAN(Wi-Fi 6)対応
  • 便利な縦置きスタンド付属
  • 軽い負荷なら静かな動作音
  • ACアダプターなし(電源ユニット内蔵)
  • 消費電力が少ない
  • メーカー保証あり(14ヶ月)

IdeaCentre Mini (Gen 8)はとにかくデザインがいいミニPCです。電源ユニット内蔵でACアダプターを排除したスッキリ設計で、狭い筐体内部の熱設計もまったく問題なし。

おおむね洗練されたデザインを備えたミニPCに見えます。各インターフェイスも今風な内容で、Thunderbolt 4(40 Gbps)や2.5G LANポートも対応しています。

性能面も(3Dゲームを除き)不満ないです。12コア16スレッドあるCore i5 13500Hの使用感はサクサク良好、普段使いやオフィスワークなら余裕、CPU依存度の高い写真編集(Photoshop等)もこなせます。

原神やApex Legendsなど、最近の3Dゲームを動かすには内蔵グラフィックスが少々貧弱ですが、IdeaCentre Mini (Gen 8)自体そもそもゲーマー向けの製品じゃないです。

筐体の小さいミニPCで3Dゲームを快適にプレイしたいなら、Ryzen 7000 HSを搭載した中華ミニPCをあたってみてください。

Lenovo / CPU:Core i5 13500H(Iris Xe)/ メモリ:DDR4-3200 / SSD:NVMe SSD / OS:Windows 11

以上「Lenovo IdeaCentre Mini (Gen 8) レビュー:まさかの電源内蔵!洗練された設計の最新小型パソコンを分解」でした。

やかもち
Lenovoさんへ、最新世代Core UltraかRyzen 7000 HSシリーズを搭載したバージョンもあると嬉しいです。

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13 件のコメント

    • Ankerのモバイルバッテリーを中華家電のカテゴリーで語らないように、信頼性のあるメーカーを中華メーカーの枠に入れるのはちょっとかわいそうかなと思うよ
      ミニPCなんて昔の山寨機って言われてた頃の中華スマホと同じで信頼性なんてあってないようなもんでしょ

      • モバイルバッテリーは中華しか作ってない市場だからだろ
        「中華の中では」信用できる方のメーカーだと思うが

  • 何だろう電源でっかいよね.
    中身ノートならメガネの内側でUSBPD*2系統最大200Wみたいな電源ユニットってできないんですかね.やっぱり効率悪いのかな?

  • 一部のノートPCやミニPCにも感じる事ですが過剰に詰め込まれすぎてガラス細工のように感じるピーキーさですね…
    見慣れたAVC製のファンやツメ留めのケースなど各部を見ると昔からのIdeaCentreだなあとも感じます

  • > 最大20 Gbps対応のASM2364コントローラは、なぜか10 Gbpsが限界でした。
    ホスト(PC)側の仕様かと思います。Thunderbolt 4の要件に記載ありますが、USB 3.2 Gen2x2(20Gbps)での動作はオプションとなっています。一方、USB 3.2 Gen2(10Gbps)での動作は必須です。
    なので、USB 3.2 Gen2(10Gbps)で動作してもおかしくはないですね。
    (正直、ThunderboltポートでUSB 3.2 Gen2x2に対応しているPC見たことない…)

  • やっとLenovoが本腰を入れたと思ったらIdeaブランドなの
    Thinkブランドをいつまでお古のCPUでお茶濁してんだろ。それともミニPCは事務機器だからゲームをやろうとすんな、っていうメーカーからの無言のメッセージなのか

    • 13500HだとiGPUがIris世代でGT1030くらいの処理性能だし
      Arcが載ってる最新の155Hだったらと思わなくもないけどそれだと10万円を軽く超えて「ちょっとゲームもできる事務用パソコン」の値段を超えちゃうという

  • この類の小型PCは専用設計だけあってmini規格のマザボを使った自作PCとは比較にならないレベルの小ささはすごいなぁとは思います。
    最近は信用性も上がってきてるみたいだし、使い道が思いついたら買ってみたいとは思っています。

  • RyzenCPUで発売されたら即買い案件ですね。
    コスパのいいミニPCではありますがThinkCentreの方が使いやすいかなという印象。
    Intelが悪いわけではないけど内蔵GPUの差が気になるんだよね。

  • 消費電力が100wを超える場合USBPDで受電できる必要がないの実例を見られて興味深かったです
    CPUパワーの強さからESXiでVMの母艦として運用するのが良いかと思いましたがLANが1ポートしかないのが少し勿体ないですね

  • パーツの寄せ集めではなく、しっかり製品として作りこみましたという意気込みは買える製品。
    ただ、それをどう評価するかは人によって分かれるよね。

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