容量わずか0.645リットルの超小型ケースに、Core i9 13900H(14コア20スレッド)を詰め込んだ狂気的なミニPC「GEEKOM Mini IT13」をレビューします。
インテルの公称値で最大TDPが115 Wに達する大食いなCPUをミニPCに搭載、かなり無茶な仕様に思えますが実際に使って性能を見てみましょう。
TSMC 4 nmプロセスで製造される最新チップ「Ryzen 9 8945HS」を搭載した新モデルが登場しました。こちらの方がより小型で、性能も格段にパワフル。特に内蔵グラフィックスの性能アップが目覚ましいです。
値段もあまり変わらないため、これから買うならRyzen 9 8945HS(またはRyzen 7 8845HS)搭載モデルがおすすめ。Core i9 13900Hは消費電力の割に性能と発熱のバランスが悪く、小型PCと相性が悪いです。
(公開:2023/12/15 | 更新:2023/12/15)
今回のレビューで使用する「GEEKOM Mini IT13」を、直接メーカーから提供していただきました。なお、レビュー内容に関して、提供元から特定キーワードの使用やベンチマーク内容の指定(競合製品の選定)など。レビュー内容に悪影響を及ぼす制限は一切ありませんでした。
GEEKOM Mini IT13の仕様とスペック
GEEKOM Mini IT13 2023年12月時点のスペック | |||
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CPU | Core i5 13500H (12コア16スレッド) | Core i7 13700H (14コア20スレッド) | 【レビュー機】 Core i9 13900H (14コア20スレッド) |
内蔵GPU | Iris Xe Graphics (80コア / 1.45 GHz) | Iris Xe Graphics (96コア / 1.50 GHz) | Iris Xe Graphics (96コア / 1.50 GHz) |
メモリ | 16 GB (DDR4-3200 / 2枚) | 32 GB (DDR4-3200 / 2枚) | 32 GB (DDR4-3200 / 2枚) |
SSD | 512 GB (NVMe SSD) | 1 TB (NVMe SSD) | 2 TB (NVMe SSD) |
電源 | 120 W(ACアダプター) | ||
無線LAN | Wi-Fi 6E (Intel AX211 / 最大2.4 Gbps / BT 5.3) | ||
各ポート |
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OS | Windows 11 Pro | ||
保証 | 3年間 (保証ポリシー:→ 最新 / → レビュー時点) | ||
価格 税込送料無料 | 93580円 | 131000円 | 145000円 |
セール価格 2023/12/27まで | 78580円 | 111000円 | 125800円 |
クーポン込み 2023/12/20まで | 71080円 | 103500円 | 118300円 |
Chimolog7500
GEEKOM直販サイトにて、クーポンコード「Chimolog7500」を入力すると7500円値引きされます。クーポンの有効期限は2023年12月4日~12月20日までです。
2003年に創業、中国の深セン市に本部を置くShenzhen Jiteng Network Technologyが展開するミニPCブランド「GEEKOM」のハイエンドモデルです。
「GEEKOM Mini IT13」は全3モデル用意あり、すべてのモデルで第13世代モバイル向けIntel Coreシリーズ(Raptor Lake-H)を搭載します。
内蔵GPUはIris Xe Graphicsを搭載し、Core i5版で80コア(640シェーダー)、Core i7~i9版で96コア(768シェーダー)です。96コアの場合、理論値でデスクトップ版のGTX 1050に相当します。
ハイエンドモデルのミニPCらしく、USB 40 Gbps(Type-C)ポートを2つも搭載します。最大40 Gbpsの高速外付けストレージや、外付けのGPUボックスを活用できるUSBポートです。
対応ネットワークも優秀です。無線LANがWi-Fi 6E(最大2.4 Gbps)、有線LANポートが最大2.5 Gbpsまで対応。搭載チップは後ほど実機を分解して確認します。
- Core i5 + 16 GB + 512 GB:約7.1万円
(GEEKOM直販の定価が約9.4万円) - Core i7 + 32 GB + 1 TB:約10.4万円
(GEEKOM直販の定価が約13.1万円) - Core i9 + 32 GB + 2 TB:約11.8万円
(GEEKOM直販の定価が約14.5万円)
定価が約9.4~14.5万円でかなり強気ですが、セール値引きと限定クーポンを組み合わせて約7.1~11.8万円です(※2023年12月時点)。
スペック表をよく読めば、価格差の割にコア / スレッド数がそれほど減らないCore i5モデルがもっともコスパが良いと分かります。
筆者も正直高いと思いますが、近いスペックの自作パソコンを見積もる(→ 見積もり例)と約13万円もかかります。
そしてMini IT13が対応しているUSB 40 Gbpsポート(2個)や、そもそも容量1リットル未満の小さい筐体は再現できません。
Mini IT13に競合しうるUM780 XTXも似た価格帯にいるため、割と妥当な価格設定です。
インテルの最新プロセス「Intel 7(Intel 10 nm ESF)」で製造されるCPUですが、設計自体は第12世代(Alder Lake)を流用するリネームモデルです。
CPU | 【モバイル向け】 Core i9 13900H | 【デスクトップ向け】 Core i5 13600K |
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内部設計 | Alder Lake | Raptor Lake |
コア数 | 14 / 20 | 14 / 20 |
L1キャッシュ | 1248 KB | 1248 KB |
L2キャッシュ | 11.5 MB | 20 MB |
L3キャッシュ | 24 MB | 24 MB |
TDP | 45 / 115 W | 125 / 181 W |
Raptor LakeとAlder Lakeの大きな違いはL2キャッシュ容量で、特にゲーミング性能への影響が大きいです。
ただし、「GEEKOM Mini IT13」はあくまでもミニPCです。デスクトップPCのように、外付けグラフィックボード(dGPU)との組み合わせを想定しないため、Alder Lakeで実用上の問題は少ないでしょう。
Mini IT13のUSB 40 Gbpsポートと別売りのGPUボックスを組み合わせる想定でも、USB 4接続自体がボトルネックを生む原因となってしまい、結局Alder Lakeであるデメリットが目立ちません。
GEEKOM Mini IT13のデザインとパーツ構成
背景をフォントで切り抜くパッケージ
どこかの異世界を思わせるSF風な背景を「MINI IT13」と書かれた英字フォントで切り抜いた、気合いの入ったパッケージで到着。
底面は明るいオーシャンブルーでした。
貼ってあるシールにPSE認証マーク、技適マークの記載あり。
衝撃を吸収するクッション材でしっかり保護されています。
- Thank You カード
- 説明書
- VESAマウントキット
- VESA固定用ネジ
- 電源ケーブル
- HDMIケーブル
- ACアダプター
必要最低限の付属品です。パソコン本体をVESAマウントに取り付けられる、変換キットとネジが付属します。
ACアダプターは最大120 W(19.0 V x 6.32 A)に対応。PSE認証マーク取得済みです。
コンセントに挿し込む電源ケーブルが3Pタイプ(アース付き)なので、普通の2Pタイプに挿すには変換アダプタが必要です。
今回のレビューではサンワサプライ製の変換アダプタで対応しました。
【容量0.64リットル】手のひらサイズ設計
GEEKOM Mini IT13は安っぽさを感じさせない金属製のフレームを採用。清涼感のあるブルートルマリンカラーも(個人的に)かなり魅力的に映ります。
本体の高さが実測5.0 cm(底面のゴム足を含む)です。
横幅は実測11.7 cm、奥行きが実測11.2 cmでした。ゴム足を差し引いた公称値で約0.64リットル、筆者の実測で計算すると約0.655リットルと、非常にコンパクトです。
- ThinkCentre Tiny Gen2:約1.19リットル
- HP ProDesk 405 DM:約1.08リットル
- GEEKOM Mini IT13:約0.655リットル(655.2 ml)
- Beelink Mini S12 Pro:約0.47リットル(469.2 ml)
本当に「手のひらサイズ」、圧倒的な省スペース性を誇ります。
本体重量が567 g、付属のACアダプターがケーブル込みで556 gでした。合計1123 gで家の中で自由に持ち運べます。ポータブルモニターと合わせれば外出先でも使えるでしょう。
(ブルートルマリン色でキレイに塗装された天板)
(底面に滑り止め用のゴム足)
本体の底面に滑り止めとスペーサーを兼ねるゴム足が4本取り付け済み。上下に2つあるネジ穴はVESAマウントに変換して固定するときに使います。
15.6インチのノートパソコンや6.1インチのスマートフォンと並べると、四方11 cm筐体の小ささが分かりやすいです。
32インチのPCモニターや、フルサイズキーボードと並べてみた。GEEKOM Mini IT13の小ささがさらに際立ちます。
ほぼフル装備仕様のインターフェイス
- USB 10 Gbps
- USB 10 Gbps
- ヘッドホン端子(3.5 mm)
- 電源ボタン
フロント(前面)パネルにUSB 10 Gbpsポートが2つあります。
- USB 40 Gbps(Type-C)
DP Alt Mode対応 - LANポート(2.5G LAN)
- USB 10 Gbps
- USB 40 Gbps(Type-C)
DP Alt Mode対応 - HDMI 2.0
- USB 2.0
- HDMI 2.0
リア(裏側)パネルに豪華なポート類を揃えています。
別名USB 4とも呼ばれるUSB 40 Gbpsポートがなんと2つもあり、外付けGPUボックスや高速な外付けSSDを使えます。USB Type-C対応のPCモニターに繋ぐと、最大4K(120 Hz)で外部ディスプレイ化も可能です。
USB Type-C (DP Alt Mode) | HDMI 2.0 |
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4K 144 Hzゲーミングモニターにつないでみると、USB Type-C(DP Alt Mode)で4K 120 Hz(6 bit)まで、HDMI 2.0で4K 60 Hz(8 bit)まで出力できます。
USB 40 Gbps対応のエンクロージャー(中身:SK Hynix P41 Platinum)を、USB 40 Gbpsポートにつないで3000 MB/s前後の転送速度を確認できます。
メーカー仕様表で特にアピールされていないですが、USB 40 Gbpsポートで最大15 W(5.0 V x 3.0 A)のUSB給電(USB Power Delivery規格)に対応します。
LANポートはIntel製の2.5G LAN(I225-V)を搭載。10G光回線に接続して、IPA CyberLabでテストするとダウンロードで2000 Mbps、アップロードで2370 Mbpsと爆速インターネットです。
Wi-Fi(無線LAN)はIntel製AX211チップ搭載で、最大2400 Mbps対応。Wi-Fi 6対応ルーターに2402 Mbpsでリンクアップでき、ダウンロードで1070 Mbps、アップロードで860 Mbpsでした。
理論値の5割程度にとどまるものの、有線の1G LANに匹敵するインターネット速度を無線で出せます。
側面にSDカードスロットがあります。
高性能なSDXCカード「ProGrade Digital V60 GOLD(128 GB)」を挿し込み、ベンチマークで転送速度を見ると約190 MB/s近いです。
デジタル一眼カメラで撮りためた高解像度な写真を、そこそこストレスなくSDカードから回収できます。
反対側にはケンジントンロック用の穴が備え付けられています。盗難防止用のケーブルを接続して、持ち去られないように対策できる仕様です。
GEEKOM Mini IT13の分解とパーツ増設
ケースの開封
GEEKOM Mini IT13の分解には「普通のプラスドライバー」が必要です。底面にある4本のネジを外して引っ張るだけで開封できます。
パカッとフタを開けるだけで、すべての拡張スロット(M.2スロットやメモリスロット)にアクセス可能です。
GEEKOM Mini IT13(Core i9 13900H版)に標準で入っているパーツです。念のため、順番に見ていきましょう。
標準搭載のNVMe SSDは「Lexar NM7A1」でした。
MaxioTech社の高性能コントローラ「MAP1602A」が搭載され、一般的な使い方で十分な性能を発揮します。
SODIMMメモリもLexarブランドでした。標準的なメモリクロックDDR4-3200(JEDEC準拠)に対応し、容量は2枚合わせて32 GBです。
Wi-Fiチップは仕様表に記載があったとおり、インテル製「AX211NGW」でした。
標準パーツをすべて取り外した様子です。
- メモリスロット(SODIMM)
- メモリスロット(SODIMM)
- M.2スロット(2242サイズ / SATA SSD)
- M.2スロット(2280サイズ / NVMe SSD)
メモリスロットが2枚(※使用済み)、NVMe SSD(PCIe 4.0 x4)対応のM.2スロットが1本(※使用済み)、SATA SSD対応のM.2スロットが1本あります。
余っているM.2スロットを活用するのが少々難しいかもしれません。M.2 2242サイズかつSATAだと、トランセンド製くらいしか選択肢がないでしょう。
2.5インチベイは横からスライドするように挿し込んで・・・
そのままSATA端子に押し込むだけで、SATA SSDやSATA HDD(2.5インチ)を増設できます。
ちなみに2.5インチベイに最初からついているサーマルパッドですが、ちょうどM.2スロット(NVMe)にピッタリ接触します。M.2ヒートシンクを兼ねる合理的な設計です。
GEEKOM Mini IT13の性能をベンチマーク
「GEEKOM Mini IT13(Core i9 13900H版)」の性能をベンチマークやゲーミングで検証します。
Windowsの電源管理などを「バランス」から変更せず、初期設定のままテストしました。
BIOS画面から設定できるファンモードは「Normal Mode」で検証します。「Quiet Mode」はCPUの消費電力に28~40 Wの制限がかかってしまい、不利な性能になってしまいます。
「Normal Mode」と「Performance Mode」なら35~80 Wで動作する仕様です。Intelの仕様によると、最大115 Wまで許容されているものの、GEEKOM Mini IT13は最大80 Wが上限です。
付属するACアダプターがそもそも120 Wですし、CPU単体で115 Wは出せない設計です。
レンダリング / 3DCG系の性能
CPUの定番ベンチマーク「Cinebench R23」の比較です。
Core i9 13900Hの性能は、デスクトップ版のRyzen 7 5700Xに匹敵します。Core i5 13600Kとほぼ同じコア数なのでもっと出るかと予想しましたが、負荷時の消費電力がわずか35 Wに制限されています。
何度かベンチマークを試したものの、35 Wを大きく超えるシーンが無かったです。
体感動作に影響が大きいシングルスレッド性能はモバイル向けのRyzen 7000シリーズ以上。デスクトップ版のCore i5 13400Fに迫る速さで、まるでゲーミングPCのようなサクサクした使用感です。
たとえばWindows Updateが裏で動いていても、8コアあるEコアに処理が吸収され、目の前で作業中のタスクは6コアあるPコアが処理するため体感性能が下がりにくい挙動です。
懐かしい「Cinebench R15」の結果も参考程度に掲載します。
シングルスレッド性能では、かつて人気だったRyzen 5 3600やCore i7 10700Kよりも、モバイル版のCore i9 13900Hが速いです。
時間の流れはやはり残酷です。
動画エンコード
動画エンコードは無料ソフト「Handbrake」を使って検証します。容量が約1 GBのフルHDアニメを「Fast 480p30(x264)」「Fast 1080p30(x264)」プリセットでエンコード。
動画エンコード※クリックで画像拡大します | |
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Fast 480p30 | Fast 1080p30 |
平均123.34 fps | 平均69.05 fps |
わずか35 Wの消費電力としては、なかなか優秀な動画エンコード性能です。
デスクトップ向けのRyzen 7 5750GE(8コア16スレッド)に相当するエンコード性能です。
Microsoft Office
Microsoft Officeのベンチマーク | |
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Edge | 11926 |
Word | 8792 |
Excel | 24518 |
PowerPoint | 12904 |
総合スコア | 13495 |
PCMark 10 Pro版を使って、オフィスワークの代表例「Microsoft Office」の処理速度をチェック。
スコアの目安はPCMark 10公式いわく「4500点」です。Core i9 13900Hが叩き出したスコアはどれも4500点を軽く超えていて、総合スコアは13495点です。
参考までに、ThinkCentre Tiny Gen2(Ryzen 7 5750GE)は約12600点でした。
写真編集(Photoshop)
写真編集は「Adobe Photoshop」で処理速度をテスト。Puget Systems社が配布しているベンチマーク用のバッチファイルを使い、実際にPhotoshopを動かして性能をスコア化します。
マシン | GEEKOM Mini IT13 |
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CPU | Core i9 13900H |
GPU | Iris Xe Graphics 96 EU |
RAM | 32 GB |
総合スコア | 1066 |
一般処理のスコア | 127.4 |
フィルタ系のスコア | 85.7 |
GPUスコア | 88.6 |
Core i9 13900HのPhotoshopスコアは「1066点」です。PhotoshpはCPU依存度の高いタスクなので、内蔵GPU(Iris Xe Graphics)で処理しても意外と高いスコアを出せます。
問題なくPhotoshopを動かせるくらいの性能です。ただし、取り扱う写真のサイズや処理次第でメモリ容量が足りなくなる可能性はあります。
ビデオチャット(VC)の処理速度
PCMark 10の「Video Conference(ビデオ会議)」モードを使って、ビデオチャットの快適さをテストしました。
PCMark 10でテスト | |
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総合スコア | 81055000点以上ならOK |
ビデオチャットの快適度 | 29.85 /30.00 fps |
結果は8105点で、5000点以上を余裕でクリア。複数人とビデオチャットを同時に行った場合の、映像のスムーズさ(フレームレート)はほぼ30 fpsで、上限の30 fpsに迫ります。ビデオ通話は余裕で動きます。
内蔵GPU「Iris Xe(96コア)」の性能
Core i9 13900Hの内蔵グラフィックスは「Intel Iris Xe Graphics(96コア)」です。第12世代Xe Graphicsアーキテクチャを採用する(一応)最新の内蔵GPUを搭載します。
現行モデルでトップクラスの96コア(768シェーダー)で、動作クロックは最大1500 MHzです。かなりパワフルな性能を見込める内蔵GPUです。
定番ベンチマークで性能比較
3DMarkFireStrike / ゲーミングPC向け | 結果 | 画像※クリックで画像拡大します |
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GEEKOM Mini IT13 (Intel Iris Xe 96EU) | 5623 GPUスコア | |
M75q Tiny Gen 2 (Ryzen 7 PRO 5750GE) | 4238 GPUスコア |
ゲーミングPC向けの高負荷ベンチマーク「FireStrike」の結果です。GPUの性能を示すGPUスコアが5623点で、1世代前のRyzen(Radeon Vega)より高性能です。
「FireStrike」のスコアで他のグラフィックボードを比較してみた。エントリー向けグラボ「GTX 1650」のおよそ半分に相当する性能です。
3DMarkNight Raid / 普通のパソコン向け | 結果 | 画像※クリックで画像拡大します |
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GEEKOM Mini IT13 (Intel Iris Xe 96EU) | 19438 GPUスコア | |
M75q Tiny Gen 2 (Ryzen 7 PRO 5750GE) | 17284 GPUスコア |
やや負荷の軽い「Night Raid」の結果です。GPUスコアは19438点で、負荷の軽いマイクラやVALORANT程度なら、問題なく動かせる性能です。
3DMark Wild Life / 普通のパソコン向け | 結果 | 画像※クリックで画像拡大します |
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GEEKOM Mini IT13 (Intel Iris Xe 96EU) | 12535 GPUスコア | |
M75q Tiny Gen 2 (Ryzen 7 PRO 5750GE) | 8114 GPUスコア |
マルチプラットフォーム対応のGPUベンチマーク「Wild Life」の結果は、GPUスコアが12535点でした。
FF14 暁月のフィナーレ | 結果 | 画像※クリックで画像拡大します |
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GEEKOM Mini IT13 (Intel Iris Xe 96EU) | 7513(やや快適) 平均53.4 fps | |
M75q Tiny Gen 2 (Ryzen 7 PRO 5750GE) | 6196(やや快適) 平均42.9 fps |
「FF14:暁月のフィナーレ」を標準品質(デスクトップPC)モードでテスト。スコアは約7500点で、M75q Tiny Gen2をやや上回ります。
おおむね、ライバルGPU「Radeon Vega 8(1世代前)」より高性能ですが・・・、搭載コア数(768シェーダー)の割に伸びが良くないです。
今後レビューする予定のRyzen 7 7840HSに入っているRadeon 780M(現行世代)を相手にすると、少々厳しいかもしれません。
実際にゲームをプレイして性能をテスト
Apex Legends 射撃訓練場でテスト | |
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フルHD (中設定) | 平均:31.5 fps (下位1%:18.7 fps) |
フルHD (低設定) | 平均:33.9 fps (下位1%:24.4 fps) |
Apex Legendsは中~低設定で平均30 fps台・・・、かろうじて動いているレベルで快適なゲームプレイは不可能です。
オーバーウォッチ2 マップ「KING’S ROW(4 vs 4)」で撃ち合い | |
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フルHD (ノーマル設定 + 100%) | 平均:50.8 fps (下位1%:15.1 fps) |
オーバーウォッチ2はノーマル設定(レンダリング100%)でテスト。フルHDで平均51 fpsでした。
最低フレームレートがかなり落ち込むシーンがあるため、本格的にプレイするのは厳しい印象です。
VALORANT マップ「トレーニングエリア」でテスト | |
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フルHD (最高設定 + MSAA x4) | 平均:63.0 fps (下位1%:37.9 fps) |
フルHD (最高設定 + MSAA x2) | 平均:77.0 fps (下位1%:49.0 fps) |
VALORANTは最高設定で平均63 fps、MSAAをx2に下げると平均77 fpsでした。設定を妥協すれば100 fps以上も狙えます。
原神(Genshin Impact) マップ「神に捨てられた殿閣」でテスト | |
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フルHD (プリセット:高) | 平均:31.8 fps (下位1%:25.4 fps) |
フルHD (プリセット:中) | 平均:40.9 fps (下位1%:28.1 fps) |
原神はマップ「神に捨てられた殿閣」にてテスト。フルHD(プリセット:高)で平均31.8 fps、フルHD(プリセット:中)で平均40.9 fpsでした。
なんとかプレイできる性能です。
崩壊スターレイル マップ「星槎海中枢」でテスト | |
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フルHD (プリセット:高) | 平均:30.6 fps (下位1%:23.9 fps) |
フルHD (プリセット:中) | 平均:44.1 fps (下位1%:30.4 fps) |
崩壊スターレイルはマップ「星槎海中枢」にてテスト。フルHD(プリセット:高)で平均30.6 fps、フルHD(プリセット:中)で平均44.1 fpsでした。
原神と同じく、なんとかプレイできる性能です。実際のゲームプレイはターン制バトルが多くを占めるため、実用上は平均30 fpsでも問題なく遊べます。
マインクラフト 「PORTAL PIONEERS RTX」でテスト | |
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フルHD (32チャンク + バニラ) | 平均:52.5 fps (下位1%:31.6 fps) |
フルHD (16チャンク + バニラ) | 平均:60.1 fps (下位1%:36.8 fps) |
マインクラフト(Bedrock Edition)は、フルHD(32チャンク描写)で平均53 fps、フルHD(16チャンク描写)で平均60 fpsです。
GEEKOM Mini IT13の温度と騒音
動作温度をチェック
ベンチマーク中のCPU温度 ※CPUに100%の負荷がかかった状態 |
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CPUに100%の負荷がかかるCinebench R23ベンチマーク中のCPU温度は最大で86℃、平均70℃です。
負荷時の消費電力が35 W前後に制限されているため、超小型筐体のシロッコファンで問題なく冷やせます。内蔵GPUだけに負荷がかかった状態だとさらに冷えています。
静音性能を騒音計で検証
動作音(騒音)をテスト (本体から50 cmの距離で測定) | ||
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シャットダウン (電源オフ時) | インターネット (Youtubeを表示) | ゲームプレイ中 (FF14:暁月ベンチ) |
31.2 dB | 38.8 dB | 35.4 dB |
校正済みのデジタル騒音メーターを使って「GEEKOM Mini IT13」の動作音(騒音レベル)を、シーン別に測定しました。それぞれの結果は中央値です。
動作音の比較(ゲーム中)
騒音値(dBA) | 評価 | 目安 |
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30 ~ 32.49 | 極めて静か | 耳を近づければ聞こえるレベル |
32.5 ~ 34.9 | 静か | ファンが回っているのが分かる |
35 ~ 39.9 | やや静か | 扇風機を「小」で回したくらい |
40 ~ 42.49 | 普通 | エアコンよりは静かな音 |
42.5 ~ 44.99 | やや騒音 | エアコンの動作音に近い |
45 ~ 50 | 騒がしい | 扇風機を「中~大」で回した音 |
50 ~ | うるさい・・・ | 換気扇を全力で回した音 |
なかなか謎の多い挙動です。Officeソフトで表計算したり、Google ChromeでYoutubeを見ている低負荷時の方がむしろ動作音が大きく、フルHDゲーミングになると途端に静かな動作音です。
モニタリングソフト「HWiNFO」で挙動を見る限り、CPUに中途半端な負荷がかかっている状態だと、冷却ファンが妙にアグレッシブに回る仕様だと判明。
Cinebench R23を連続で回したり、FF14ベンチマークで同じような負荷を掛け続けると、かえって冷却ファンが大人しく回る仕様です。
BIOS画面からファンモードを「Quiet Mode」に切り替えても、動作音に大きな変化は見られませんでした。つまり、メーカーのチューニング不足が疑われます。
サーモグラフィーカメラで負荷時の放熱をチェック。リアパネルの通気孔から、ゆるやかに温風が漏れ出ているイメージです。
ACアダプターの発熱も人肌くらいで穏やかです。
消費電力 (ACアダプター接続時) | ||
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アイドル時 (デスクトップ画面) | CPU負荷 (Cinebench R23) | ゲームプレイ中 (3DMark Fire Strike) |
12~14 W | 53~107 W | 52~54 W |
ACアダプター接続時の消費電力はアイドル時でおよそ13 W前後、Cinebench R23でCPUに負荷をかけて一瞬だけ100 Wを超え、時間経過で53 W前後に下がります。
ゲームプレイ(内蔵GPU)時も同じく53 W前後です。
まとめ:容量0.64LにCore i9は過剰(i5で十分説)
「GEEKOM Mini IT13」のデメリットと弱点
- 重量級ゲーミングは厳しい
- 冷却ファンの動作が不安定
- Core i9 13900Hの性能を出し切れない
- 空きM.2スロットがSATA仕様
- 高負荷時の温度が高め
- 定価がやや高い(セール価格が前提)
「GEEKOM Mini IT13」のメリットと強み
- 14コア20スレッド搭載
- 標準で32 GBメモリを搭載
- 割と高性能な内蔵GPU
- オフィス用途に十分すぎる性能
- 軽いゲームなら普通に遊べます
- 手のひらサイズで置き場に困らない
- 充実のインターフェイス
- USB 40 Gbps(2ポート)
- 高速なSDカードスロット
- 消費電力が少ない(35 W制限)
- Windows 11 Proをプリイン
- メーカー3年保証付き
GEEKOM Mini IT13はCore i9 13900Hを容量0.64リットルの超小型筐体に詰め込んだ、ある意味で意欲作と言えますが、Core i9の性能を100%出し切れませんでした。
そもそも筐体の高さが5.0 cmしか無いため、物理的に搭載できるCPUクーラーのサイズに上限があります。Core i9 13900Hの最大TDP:80 Wで動かせるほどの冷却性能を得られないようです。
結論、GEEKOM Mini IT13のCore i9 13900Hモデルは無駄が多く過剰気味です。
- i9 13900H(P:6コア + E:8コア + 96コア内蔵GPU)
- i7 13700H(P:6コア + E:8コア + 96コア内蔵GPU)
- i5 13500H(P:4コア + E:8コア + 80コア内蔵GPU)
逆に言えば、ほぼ同等性能でより値段が安いCore i7 13700Hモデルや、値段の割にコア数が2個しか減らないCore i5 13500Hモデルの方がコスパに優れます。
モデルごとのスペック差はCPUとメモリとSSD容量だけで、Mini IT13の魅力である強力なインターフェイス類(USB 40 GbpsやWi-Fi 6Eなど)はそのままです。
予算10万円未満で、最新世代のゲーミングPC並にサクサクとした体感性能で扱える省スペースPCが欲しい方に、Mini IT13が有力候補に入ります。
以上「GEEKOM Mini IT13レビュー:Core i9を容量0.64リットル筐体に詰め込む狂気」でした。GEEKOMさんは果敢な挑戦をしたと個人的に思います。
省電力性と内蔵GPUが強力なRyzen 7000 HSシリーズや、先日発表されたIntel Meteor Lake-Hシリーズを搭載した新製品に期待したい気持ちです。
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今更ですがvalorantは基本最低設定でやるゲームなので最低設定のデータのほうが需要はありそうです