HDDを爆速化するSSD「Intel Optane Memory」について解説

Intelが2017年5月に販売を始めた「Intel Optane Memory」という容量がとても小さいSSD。それもそのはずで、Optane Memoryは普通のSSDではなく、HDDを爆速化するためのキャッシュドライブとして使うのが目的だから。

Optaneを使うことで、HDDがどれくらい高速化されるのか。メリットやデメリット、ベンチマークなど、詳しく紹介します。

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Intel Optane Memoryとは

新しい第7世代インテルコアプロセッサー搭載プラットフォーム用インテル Optaneメモリーはシステム・アクセラレーション・ソリューションです。 このソリューションを利用し 3D XPointメモリーメディアに基づいて、インテル Optaneテクノロジーは、インテルラピッド・ストレージ・テクノロジー (インテル RST) ドライバーと一緒にします。 遅い SATAベース SSHD SATA SSD 、または HDD などのストレージ・デバイスを高速化します。

Intelによれば、25年ぶりの全く新しいタイプのメモリーなんだとか。今まで作られてきたストレージ目的のメモリーと違って、このOptane Memoryは他のハードディスク(HDD)を高速化するためのキャッシュメモリとして使う。

SSDはメモリコントローラの性能が向上し、製造プロセスもSLCから始まりMLC、そして今の主流はTLCへと進化し、容量・性能・耐久性ともにめざましい進化を遂げてきた。結果的に、SSDを使う人も順調に増えている。

そんな中でIntelはHDDを高速化するという新しいコンセプトのSSD(メモリ)を開発し、投入した。

Optane Memoryに対応しているハードウェア

この「Optane Memory READY」のシールが貼られた製品なら安心して使える

2017年5月時点では、Kabylake世代のIntel CPUとチップセットを使っているパソコンじゃなければ使うことが出来ない。今のところ唯一注意するべき点ですね。

対応世代対応CPU対応チップセット
7th Core i7Core i7 7700
  • Z270
  • Q270
  • H270
  • Q250
  • B250
Core i7 7700K
Core i7 7700T
7th Core i5Core i5 7400T
Core i5-7400T
Core i5-7400
Core i5-7500
Core i5-7500T
Core i5-7600T
Core i5-7600K
Core i5-7600
7th Core i3Core i3-7101E
  • Z270
  • Q270
  • H270
  • Q250
  • B250
  • C236
Core i3-7101TE
Core i3-7100T
Core i3-7100
Core i3-7350K
Core i3-7320
Core i3-7300
Core i3-7300T

KabyLake(7th)世代のCeleron、Pentiumでは使用不可です。KabyLakeのCore i3 / i5 /i7でしか使えない。マザーボードに対応しているチップセットが搭載されているかどうかも重要です。

そしてOptane Memoryは「M.2スロット」を使用するのでマザーボードにM.2がない場合は使えない。要するに割りと最新のハードウェアを揃えていなければ、Optaneを体験できないということになる。

Optane Memoryの導入方法

Intelの公式ページより抜粋します。

Optane Memory 導入
上記にまとめたとおり、対応しているハードウェアを用意すること
M.2スロットにOptane Memoryを挿入して起動
ドライバをインストールし、ペアにするHDDを選択する

Optane MemoryをPCに挿入し、ドライバをインストールして「HDDとペアを組ませる」のが重要。ペアに設定した後はエクスプローラーなどからOptane Memoryは見えなくなります。

なお、Optaneドライブを取り外す時はペアを解除するのを忘れずに。ペアを解除せずにOptaneを取り外してしまうと、HDDのデータが一部破損してしまう。

Optane でHDDの高速化

Intel Optane Memoryによって「HDDがどれくらい高速化されるのか」について、PC Worldが徹底的なレビューを行っています。

テスト環境

CPUCore i5 7500
GPURadeon RX 480
メモリDDR4-2400 16GB
M/BASUS B250 Prime
HDDWD Black 1TB (OS)
SSDIntel Optane Memory 32GB
OSWindows 10

Windows 10をWestern Digitalの黒色モデル(容量1TB / 7200rpm)にインストール。SSD(M.2)にはIntel Optane Memory 32GBを搭載した。システムドライブであるWD Black 1TBがどこまで高速化されるのかが重要ポイント。

【ベンチマーク】Crystal Disk Mark

ハードディスクやSSDの速度を計測するソフトとして有名な「Crystal Disk Mark」のベンチマークから見ていく。ベンチマークの比較に使われたハードウェアは以下の通り。

WD Black 1TB
TOSHIBA Q300 SSD 1TB
Samsung 960 Pro NVMe 1TB
Optane SSD 32GB
Optane SSD 32GB + WD Black 1TB

ハードディスク、一般的なSATA接続のSSD、超高速のNVMe、そしてOptane + HDDの5種で比較を行った。

Sequential Read (T= 1)

参照元:Optane Memory review: Why you may want Intel’s futuristic cache in your PC

シーケンシャルリード(1MB / Single)はHDD単体では165Mb/sと標準的だった性能が、Optaneと合わさることで1338Mb/sとSATA接続のSSDを凌駕する圧倒的なスピードを見せつけた。

正直言って驚愕ですね。SATA接続のSSDには敵わなかったHDDが、いとも簡単に追い越してしまう。さすがにM.2接続のSamsung 960 Proの2533Mb/sには届きませんが、元はHDDだったということを考えると…圧倒的。

Sequential Write (T= 1)

参照元:Optane Memory review: Why you may want Intel’s futuristic cache in your PC

シーケンシャルライト(1MB / Single)は残念ながら、SATA SSDの半分程度しか高速化出来ていないが元の倍近いスピードになったので十分な効果は得られている。

Sequential Read (Q= 32,T= 1)

参照元:Optane Memory review: Why you may want Intel’s futuristic cache in your PC

次はシーケンシャルリード(Q=32)で実行。HDDは169Mb/sと平凡なスピードですが、Optaneによって1412Mb/sまで爆速化。しかし、Samsung 960 Proとの差は更に開いてしまった。

これはNVMe SSDが複数のチャネルを持っているために起こる現象。作業の負担が重ければ重いほど(Q=32、同時に32個の処理を実行するイメージ)、複数チャネルの効果を得やすい。

Random Read 4KiB (Q= 1,T= 1)

参照元:Optane Memory review: Why you may want Intel’s futuristic cache in your PC

次は4KBブロックを、Q=1で実行したシーケンシャルリードをテスト。すると、さっきまで猛威を振るっていたSamsung 960 Proが完全に失速し、Optane SSDが圧勝するという逆転劇に陥った。

そしてHDDと合わさった状態でも、そのスピードはNVMe SSDの4倍という圧倒的なスピード。これはOptane Memoryを開発したIntelの思想によるものです。

容量が1GBくらいあるZIPファイルをコピーするのと、10000枚の写真(合計1GB)をコピーする場合。基本的に、前者のほうが速くて後者は遅い。コピーしている容量は同じなのに。

容量は同じでもファイルの数が大量だと遅くなるのは、このシーケンシャルリード(4KB / Q=1 / Single)のスピードの遅さが原因ということ。

【ベンチマーク】PCMark Vantage

Overall Storage Score

参照元:Optane Memory review: Why you may want Intel’s futuristic cache in your PC

Intelがぜひテストするべきと推奨している「PCMark Vantage」のテスト結果。このベンチマークは、実際にパソコンを操作する時のリアルなパフォーマンスを再現しているようなものです。

Intelはベンチマーク上のスピードよりも、実際に使った時に速いと感じれるかどうかが重要と考えている。だから、このベンチマークを推奨しているし、見ての通りパフォーマンスは恐ろしく速い。

HDDがOptane MemoryにキャッシュされることでNVMe SSDすら突破する爆速化を実現している。

Application Load

参照元:Optane Memory review: Why you may want Intel’s futuristic cache in your PC

PCMark Vantage アプリケーションのロード速度においても、Optaneが圧倒的に速い。960 Proですら、Optane + HDDに対して半分のスピードしか出せていない。

 PCMark Vantageについて

このベンチマークは確かにNVMeに対して圧倒的な性能差を見せつけているが、注意するべき点は、このPCMarkは今の時代に合っていないということです。

次は現在、主流になっている最新版「PCMark 8」でベンチマークを行っている。ここでどうなるかが重要だと思います。

【ベンチマーク】PCMark 8

Storage Test 2.0 Overall Score

参照元:Optane Memory review: Why you may want Intel’s futuristic cache in your PC

見ての通り、やっぱり古いバージョンであるVantageではNVMeに対して圧制だったが、最新版のPCMark 8においては他のSSDを概ね同じパフォーマンスに落ち着きました。

とは言っても、元は普通のハードディスクだったんだから、そこから考えると驚異的な性能アップではある。体感でのスピードはOptane Memoryを使うことでHDDでもSSD並ということ。

Storage 2.0 Bandwidth

参照元:Optane Memory review: Why you may want Intel’s futuristic cache in your PC

ストレージの帯域幅のテスト。読み書きされたデータの総量を、ハードウェア(SSDやHDD)が処理に掛かった時間で割って出したスコアになる。

HDD単体では絶望的な低スコアだが、OptaneのおかげでSATA SSDの3倍近いパフォーマンスにまで爆速化した。さすがにNVMe SSDには届かないが、実用上は十分な性能です…。

Photoshop Heavy

参照元:Optane Memory review: Why you may want Intel’s futuristic cache in your PC

Photoshopでデータの読み書きをした時に掛かった処理時間をスコア化したベンチマーク。HDD単体では182秒と遅いが、Optaneのキャッシュ効果で116秒へと37%ほど高速化。

World of Warcraft

参照元:Optane Memory review: Why you may want Intel’s futuristic cache in your PC

WoWでも同様にテストを行った。390MBのデータを読み込み、5MBずつ書き込んで、処理にかかった時間を計測。Photoshop Heavyと比較してデータが細かいためSSDの優位性がいかんなく発揮されている。

しかし、SATA SSD、NVMe SSD、そしてHDD + Optaneのどれも同じ処理時間に落ち着いている。よく言われているように、SSD以上のスピードが出ていたとしても、一般的な使い方ではその速度差を体感しづらくなっているということだ。

Optaneのキャッキュ効果と高速化

Google Chromeの起動時間

参照元:Optane Memory review: Why you may want Intel’s futuristic cache in your PC

Optaneを有効・無効と切り替えて検証したもの。HDD単体ではChromeの起動に1900ms(1.9秒)かかっていますが、Optaneを有効化にしキャッシュ効果を発動させれば222ms(0.2秒)と10倍近い爆速化を実現。

Power Point 2016の起動時間

参照元:Optane Memory review: Why you may want Intel’s futuristic cache in your PC

予想はついていると思います。やはりキャッシュ効果を有効にすることで、確実に高速化を得られている。6秒だった起動時間が、たったの1秒にまで短縮されている。

Optane Memory まとめ

ここまで見てきたように、Intel Optane Memoryはハードディスクのキャッシュ部分として動作する。このキャッシュ効果によって、遅かったHDDはSATA SSD並の…時にはNVMe SSDにすら並ぶ超高速ストレージに化ける。

Optaneのメリット

なぜ、わざわざSSDが存在するにも関わらず、あえて遅いHDDをOptaneなんて使って高速化する必要があるのか。最初からSSDを使えば良いのではないか。こう思う部分もあるんだが…。

Optane MemoryはHDDをSSD並に高速化出来る。そしてHDDは、2017年現在もSSDに対して容量あたりコストが安いです。2TBのHDDが7000円程度で買えますが、2TBのSSDは7万円程度はかかります。

ストレージ容量価格1GBあたり価格
SATA SSD2TB7000035
NVMe SSD2TB15000075
HDD2TB70003.5
Optane SSD32GB10000312.5
Optane + HDD2TB170008.5

表にまとめたとおり、Optane Memoryを使う最大のメリットは、大容量SSDを安価に入手できるということ。1GBあたり35円だったのが8.5円になり、75%くらい安くなった。

Optaneのデメリット

簡潔に言うと。

  • Intel 7th Core プロセッサ(KabyLake世代)でしか使えない
  • KabyLakeに対応したチップセットが搭載されたマザーボードじゃないと使えない
  • SSDとして使うには、容量あたりコストが高すぎる(そういう用途ではないが)

やはりKaby Lakeでしか使えないという点が最大のデメリットというか、惜しいところ。なぜなら…

そう、今Intel CPUはAMDの最新世代「Zen」アーキテクチャによって作られた「Ryzen」シリーズに押されているから。

消費者はコストパフォーマンスに敏感ですから、同じ性能なら安価な方を選ぶ。CPU界にも同じことが起こっていて、あえてCore i7を選ぶならRyzen 5 / 7で良いんじゃないか、という流れがある。

ぼくの場合もそうで、たしかにIntel Optane Memoryはなかなか魅力的な存在ではあるんですが、正直なところ…そのためにAMD Ryzenを捨ててIntel CPUを選べないんですよね。

Intel Optane Memoryを使えば、このようにSSD並に速いHDDを手に入れられるが、最大の難点はKaby Lake縛りです。AMDも対抗してRyzen縛りのOptaneを出したりしないだろうか。

以上、HDDを爆速化するSSD「Intel Optane Memory」について解説でした。

追記:RAIDボリュームについて

Intel Optane Memory cannot accelerate a RAID volume.

Frequently Asked Questions for Intel Optane Memory より

現時点で、Intel Optane MemoryはRAIDボリュームに対してペアリングは出来ないという見解をIntelが公式に示しています。「RAID 0」「RAID 1」などで運用を考えている人は採用を見送ったほうが良い。

Optane + オススメHDD

Intel Optane Memory 32GBモデルはAmazonで販売されている。円安の影響で1万円を超えてしまっている。

コストパフォーマンスに優れているHDDは、Western Digitalの「WD Blue」モデル。安価だが、安価だからといって壊れやすいという製品ではない。

パソコンを長時間起動する人は「WD Red」モデルの方がいい。ぼくも基本的に24時間以上(長いと10日とか)、平気で稼働させているのでRed派です。

多少高くてもいいから故障してほしく無いという人は、故障率が統計的に見ても「低い」と評判のHGST製を。

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5 件のコメント

  • まだ業務向けの用途が色濃い製品です
    参照:http://cloud.watch.impress.co.jp/docs/column/virtual/1050495.html

    ローエンドやメーカー製・省スペースや組込製品も高速化に期待出来ます
    ReadyBoost→ISRT→Optaneなので実質ISRTと同様の挙動になると思います
    ISRT用としてノートパソコンにmSATA規格のSSDが挿せると一時期話題になりましたが元のHHDをSSDに交換するほうが速くなるので消えてしまいました。

    データ保存用ドライブに適用して常に新しく大容量画像や動画を保存したり操作した場合やメモリ容量以上のデータをやり取りする場合は無意味です。
    タスクマネージャーでCPUやメモリ使用率を観察しながら物理メモリより大きなフォルダやファイルを移動すると分かりやすいですが溢れた分だけ遅くなります。

    ・3D_Xpointは従来のSSDと比べ物にならないDRAMに迫る応答速度と高寿命
    ・サーバ用で増設可能なDRAMの2次キャッシュ的利用が先行している
    ・リード性能は低レイテンシで4kが抜群だがライト性能が妙に低い

    現状ではHDDとセットで使う以外に価値は無さそうですが、4kリードの高さから今後の製品展開によっては大きく化ける可能性があります。

    • すみません訂正します

      SSDの速度は元が高容量ほどメーカー公称値に近く、低容量ほど遅い
      容量による速度上昇率は512GB辺りまで大きく伸びるので低容量を買う意味が少ない

      なので、32GBのOptaneがこの性能なら375GBのP4800Xの性能も頷ける気がします
      むしろIntel persistent memoryも気になっています。

  • Windows10に搭載されてる記憶域を使えばAMD Ryzenでも使える
    階層化にはPowerShellでコマンドレット設定しないといけないけど
    回復性を気にしなければOptane1つに対して複数HDDの構成も可能
    更に、Optane複数とHDD複数だとOptaneの数だけ速くなる(RAID0)

  • 各HDDメーカーが出しているHybrid HDDとコンセプトが似ているような気がするのですがどうなのでしょうか?
    あちらはHDD内で完結している一方で、こちらはメモリ側でアジャストしてSATA接続で無いのが大きな違いなのでしょうかね?

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