予算15~20万円のガレリアシリーズで、特に値段と性能のバランスに優れているのが「ガレリアAXV」です。ガレリアXVのAMD Ryzen版で、価格は4000円も安いというコスパの良さが魅力的。では、実際にAXVを詳しく検証レビューします。
本記事の「ガレリアAXV」は2020年7月に販売を終了しました。
現在はリニューアルモデルの新ガレリアにラインナップが統合されているので、最新のガレリアレビューは↑こちらの記事を見てください。
GALLERIA AXVのスペックと概要
GALLERIA AXV | ||
---|---|---|
スペック | 標準仕様 | 推奨カスタマイズ |
CPU | Ryzen 7 3700X | – |
冷却 | AMD純正クーラー※92 mm小型空冷ファン | – |
グリス | ノーマルグリス | – |
グラボ | RTX 2060 Super 8GB ※2スロット占有の外排気モデル | – |
メモリ | DDR4-3200 8GB x2(合計16GB) | – |
マザーボード | AMD X570搭載(ATX規格) | – |
SSD | 512 GB(NVMe SSD)Phison製「PS5012-E12」を搭載 | Samsung 500 GB SSD※高耐久なSamsung 860 EVOを推奨します |
HDD | 2 TB | – |
ドライブ | – | – |
電源 | 650W 静音電源メーカー不明 / 80+ Bronze認証 | 700W 静音電源オウルテック(AS-700) / 80+ Gold認証 |
OS | Windows 10 Home 64bit | – |
保証 | 1年間 / 持込修理保証 | – |
参考価格 | 155980円(税抜き)最新価格をチェックする |
「ガレリアAXV」は、人気モデルの「ガレリアXV」のAMD Ryzen版です。基本的なスペックはほとんど同じまま、CPUだけがi7 9700(8コア8スレッド)からRyzen 7 3700X(8コア16スレッド)に切り替わっています。
それでいて価格は4000円も安いです。他のスペックはほぼ同じなまま、CPUの性能は跳ね上がっていて、なおかつ4000円安い。コストパフォーマンスが優秀なのは言うまでもありません。
グラフィックボードの「RTX 2060 Super」は、フルHDゲーミングでまず不足しない性能です。つまりガレリアAXVは15万円台で、ほとんどのユーザーにとって十分満足できる性能を提供できる、ハイコスパPCです。
GALLERIA AXVを実機レビュー
外観とデザイン
GALLERIA AXVはガレリア専用(ATXサイズ対応)のPCケース「KTケース」を採用。マットブラック塗装の無骨なデザインに、剛性と耐衝撃性に優れた頑丈なPCケースです。
サイドパネル(側面)には大きめのメッシュ(通気口)が設けられており、最大140 mmのケースファンを取付可能。ただしカスタマイズからは選べないので、取り付けたい場合は自分で行う必要があります。
反対側には小さめのスリット(通気口)が設けられています。ドスパラいわく、マザーボードの熱を少しでも効率よくPCケース外に排出しようと工夫した結果、設けられたスリットとのこと。
背面はおおむねマットブラック塗装で、スタイリッシュな印象です。ただしインターフェイスパネルは塗装されていません。
インターフェイスパネル(リアパネル)の内容を確認します。
- USB 3.1 Gen1 x2
- PS/2
- Display Port
- HDMI
- USB 3.1 Gen1 x2
- WiFiアンテナ取付口
- USB 3.1 Gen2 Type-A x2
- USB 3.1 Gen1 x2
- LANポート
- オーディオ入出力
端子 | 解説 |
---|---|
WiFiアンテナ | WiFiモジュールを取付可能 |
USB 3.1 Gen1 | 約500 MB/sの速度で転送できるUSBポート |
USB 3.1 Gen2 TypeA | 約1000 MB/sの速度で転送できるUSBポート |
USB 3.1 Gen2 TypeC | TypeAと違って、左右対称・小型なポート |
LANポート | ここにLANケーブルを挿すとネットにつながる |
オーディオ入出力 | 緑が「出力」で、ピンクが「マイク入力」 |
PS/2 | 超古いキーボードやマウスを使うための端子 |
HDMI | 最近のモニターなら大抵はついてる端子 |
Display Port | 値段が高めのモニターについてる端子 |
DVI-D | 安物のモニターに多い端子(最近は減ってきた) |
D-Sub | 安物のモニターで見かける端子(最近は減ってきた) |
USBポートは全部で8個もあり、8個すべてがUSB 3.1以上(内2つがGen2)です。どのUSBポートも高速な転送速度を出せるので、高速な外付けストレージ(ポータブルSSDなど)も問題なく使えます。
- DVI-D
- HDMI
- Display Port
グラフィックボード側のコネクタは、最近のモニターでもっぱら主流になりつつある「HDMI」や「Display Port」を合計で3つ備えます。1つだけ「DVI-D」も用意されているため、古いモニターも使用可能です。
とはいえ、せっかく高性能なゲーミングPCを使うなら、古いモニターを新しいゲーミングモニターに交換するのも良いでしょう。
フロント側をチェック。「ガレリアらしい」ビシッとした直線的で無骨なデザイン。左右の斜めに入ったカットデザインは「日本刀」をイメージしたものらしいです。
フロントパネル側のインタフェースパネル(フロントパネル)は必要十分な内容です。電源ボタンの下に位置するGALLERIAロゴがカッコイイです。
- USB 3.0
- USB 3.0
- SDカードスロット
- イヤホン入出力
- 再起動ボタン
- 電源ボタン
USBは合計2ポート。USB接続のヘッドセットやポータブルストレージを使う分には、問題なく足りるポート数です。SDカードスロットがあるのが地味に親切。
天面は完全な平面デザインになっていて、幅140 mmのメッシュ(通気口)が2つ用意されています。標準カスタマイズの時点で、すでに140 mmケースファンが1つ取り付け済みです。
天面が平面になっているおかげで収納スペースとして活用できます。ただし、エアフローがこもらないように、ケースファンを取り付けている側の通気口を遮らないよう注意が必要です。
底面をチェック。ケースの四隅に取り付けてある足は「インシュレーター」です。インシュレーターはケース自体の滑り止めとして機能し、更に振動を吸収して耐久性を高める効果もあります。
なお、底面のフロント側にあるスリットは外気を取り込むために用意されています。
取り込んだ外気は背面のケースファンから排出されます。ガレリアAXVのエアフローは標準構成のままでも、しっかりと一方通行になっているので特にファンを追加する必要はなさそうです。
中身とパーツをチェック
両側のサイドパネル(フタ)を開けて、ガレリアAXVの内部コンポーネントをレビューしていく。
配線は必要十分な範囲でまとめてあります。可動パーツに当たらないように配線してあり、ガチガチな裏配線や過剰な固定はされていません。
メンテナンス性を考慮すると、これくらい緩めの配線で問題ありません。「ガレリア」は初心者にも使いやすいPCを目指しているので、こういった配慮は嬉しいです。
反対側のサイドパネルを開くと、3.5インチベイ(HDDなどを格納する場所)にアクセスできるようになります。
HDDやSSDをセットする3.5インチベイと、サイドパネルの隙間は十分に余裕がありました。ストレージ類のコネクタに不要なストレスが掛かる心配はほとんど無いです。
マウントベイの空き状況は良好です。DVDドライブなどをセットする「5.25インチベイ」は3スロット。HDDやSSDを増設する「3.5インチベイ」は4スロットの空きがあります。
3.5インチベイはツールレス機構を採用しているので、プラスドライバなどの工具がなくても素手で取り出しが可能です。
フロントパネルは強めの力で引っ張るとカンタンに取り外し可能です。こちらから5.25インチベイにDVDドライブを挿し込んだり、140 mmケースファンを交換したりできます。
CPUクーラーはAMD純正の「Wraith Prism with RGB」を搭載。ファンの大きさは92 mmと小型ですが、最大105 Wの熱を処理できる冷却性能があります。
CPUクーラーの熱をすばやく運び出すために、CPUクーラーを取り囲むようにケースファンが設置されています。トップ側に140 mm、背面に120 mmのケースファンが最初から取り付け済みです。
ちなみに、AMD純正のCPUクーラーは何気にLEDライティング対応。周期的にレインボーカラーに点灯しています。
グラフィックボードは「RTX 2060 Super 8GB」です。今回のガレリアAXVに搭載されているのは「Palit Microsystems」製の内排気タイプのデュアルファンモデルでした。
ファンを2つ装備しているので、冷却性能はそれなりに優秀です。
マザーボードは「ASRock X570 Phantom Gaming 4」が採用されていました。CPUの安定性にかかわるVRMフェーズを合計で10個備えているので、Ryzen 7 3700Xなら余裕の安定動作が可能です。
- PCI Express x16(グラボで使用済み)
- PCI Express x1
- PCI Express x16
- PCI Express x1
- M.2スロット(使用済み)
- M.2スロット
- SATA 3.0(空き5本)
- SATA 3.0(空き2本)
拡張性は十分にあります。M.2 SSDはあと1枚、HDDやSSDは最大であと7個まで増設が可能です。その他、USB拡張カードやサウンドカードを追加する余裕もあり、よほどのことがない限り不足しません。
スロット | 解説 |
---|---|
PCI Express x16 | グラフィックボードや高性能なLANカードを増設できる |
PCI Express x8 | ローエンドなグラボや高性能なLANカードを増設できる |
PCI Express x4 | LANカードやサウンドカードを増設できる |
PCI Express x1 | 主にサウンドカードやキャプチャカードの増設に使う |
PCI スロット | ものすごく古い拡張カードなら出番があるかも…(化石) |
M.2 ソケット | M.2規格の小型SSDやWiFiモジュールを増設できる |
SATA 3.0 | 主にSATA規格のHDD / SSD / 光学ドライブの増設に使う |
標準ストレージのM.2 SSDはPhison製の「PS5012-E12」でした。NANDメモリは一応東芝製ですね。
搭載されている電源ユニットはSilverStone製(SST-ET650-B)でした。容量650 Wで、効率は80 Plus Bronzeを取得しています。レポートによれば最大87%の変換効率で、BronzeとSilverの中間くらいの性能です。
今回のガレリアAXVは100%の負荷を掛けたとしても、消費電力は300 Wをやや超える程度です。電源容量の650 Wに対して46%の負荷率なので、十分に余裕が確保されています。よって必要十分な電源ユニットです。
あえてカスタマイズする場合は、オウルテックの「AS-700」か、Seasonicの「SSR-750FX」をオススメします。
AS-700はFSP製の電源ユニットで、品質はそこそこに高い。電源容量が700 Wあり、効率も最大で91%に達するなど、全体的によくまとまっています。ガレリアAXVにとって非常に余裕のある電源です。
コスト度外視で更に信頼性を追求したい人には、SSR-750FXがベスト。Seasonic製の電源ユニットは品質のバラツキが少なく、経年劣化による性能低下が少ないという性質があります。予算に余裕があるなら、選んで損はしません。
ゲーミング性能を徹底検証
パーツチェックの次は、ガレリアAXVがゲーミングPCとしてどこまで優れた性能を発揮できるのか。詳しい動作検証を行います。
- 定番ベンチマークだけでなく
- 実際のゲームプレイで実測検証もする
直感的に性能が分かりやすいように、実際にゲームを動かしてどれくらいの平均フレームレートを出せるのかを確認していく。ベンチスコアよりも平均fpsの方がずっと重要です。
定番ベンチマーク
フルHD向けのベンチマークは当たり前のように快適な動作でクリアしました。フルHDより一回り大きいWQHD(2560 x 1440)のテストでも、そこそこスムーズに動作できます。
「RTX 2060 Super 8GB」はそれなりに高性能で、フルHD~WQHDゲーミングならおおむね十分な性能です。次はベンチマークではなく実際にゲームをプレイして、ゲーム性能をチェックします。
フルHDゲーミングのfpsを実測
ゲーム内のグラフィック設定を「最高」にして、MSI Afterburnerを使ってフレームレートを記録します。そして記録から平均フレームレートを計算して、以下グラフにまとめました。
GALLERIA AXVフルHD(1920 x 1080) / 最高設定 |
平均100fps超平均60fps以上平均60fps未満
現在のゲームプレイでもっとも一般的な「フルHD(1920 x 1080)」は、ほとんどのゲームで平均60 fpsオーバーです。FPS系のゲームは平均100 fpsすら安定して超えていて、ゲーミングモニターも十分に活用できます。
WQHDゲーミングのfpsを実測
GALLERIA AXVWQHD(2560 x 1440) / 最高設定 |
フルHDより少し大きめの画面「WQHD(2560 x 1440)」では、重たいゲームだと平均60 fpsを割り込みますが、大抵のゲームは平均60 fpsをクリアしました。WQHDゲーミングも一応はプレイ可能です。
CPU性能とコンテンツ作成能力
ガレリアAXVに搭載されている「Ryzen 7 3700X」は、少なくとも4.0 GHz以上で動作する8コア16スレッドのCPUです。スペック的にはCore i9 9900Kと同レベルなので、非常にパワフルなクリエイティブ性能を期待できます。
ベンチマークと、実際にソフトを動かしてガレリアAXVのクリエイティブ性能を検証してみます。
定番ベンチマーク
さすがに8コア16スレッドだと、圧倒的なパフォーマンスです。シングルスレッドもそこそこに速く、すべてのCPUコアを使うマルチスレッド性能はCore i9 9900Kを少し上回るほど。
動画エンコードの処理速度(x264)
過去ちもろぐでレビューを行ってきたゲーミングPCと、動画エンコード速度の比較をまとめてみた。i9 9900Kを搭載するガレリアZZすら超える性能です。
画像編集「Photoshop CC」
クリエイティブなタスクと言えばAdobeが有名。その中でも特に有名な「Photoshop CC 2018」の処理速度を、バッチファイルを使い実際に動かして計測しました。
マシン | GALLERIA AXV | GALLERIA XF |
---|---|---|
CPU | Ryzen 7 3700X | Core i7 9700K |
グラボ | RTX 2060 Super 8GB | RTX 2070 Super 8GB |
メモリ | 16GB | 16GB |
総合スコア | 998.2 /1000 | 968.6 /1000 |
一般処理のスコア | 95.2 | 92.9 |
フィルタ系のスコア | 102.4 | 98.0 |
Photomergeのスコア | 103.9 | 102.5 |
GPUスコア | 105.4 | 107.2 |
ガレリアAXVのPhotoshopの総合的な処理性能は「998.2 点」で、ほとんど満点です。価格がより高価なガレリアXFと比較しても、8コア16スレッドのパワーで押し切って上回るスコアでした。
マシン | GALLERIA AXV | GALLERIA XF |
---|---|---|
CPU | Ryzen 7 3700X | Core i7 9700K |
GPU | RTX 2060 Super | RTX 2070 Super |
RAM | 16GB | 16GB |
総合スコア | 998.2 | 968.6 |
一般処理のスコア | 95.2 | 92.9 |
フィルタ系のスコア | 102.4 | 98 |
Photomergeのスコア | 103.9 | 102.5 |
GPUスコア | 105.4 | 107.2 |
テストの詳細結果 | ||
RAW画像の展開 | 3.55 | 2.53 |
500MBへのリサイズ | 1.44 | 1.26 |
回転 | 1.15 | 0.84 |
自動選択 | 9.94 | 12.43 |
マスク | 3.1 | 3.59 |
バケツ | 1.44 | 1.92 |
グラデーション | 0.39 | 0.34 |
塗りつぶし | 12.25 | 11.86 |
PSD保存 | 4.96 | 6.96 |
PSD展開 | 2.68 | 2.56 |
Camera Raw フィルタ | 5.77 | 5.6 |
レンズ補正フィルター | 16.03 | 15.6 |
ノイズ除去 | 16.03 | 18.52 |
スマートシャーペン | 16.24 | 18.28 |
フィールドぼかし | 14.88 | 13.77 |
チルトシフトぼかし | 13.81 | 13.58 |
虹彩絞りぼかし | 14.92 | 15.01 |
広角補正フィルター | 18.18 | 18.16 |
ゆがみツール(Liquify) | 8.86 | 11.41 |
Photomerge(2200万画素) | 79.65 | 75.64 |
Photomerge(4500万画素) | 98.48 | 106.21 |
※「Puget Systems Adobe Photoshop CC Benchmark」を使用しました。
ゲーム配信「OBS」
ゲーム配信ソフトで特に有名な「OBS(略:Open Broadcaster Software)」を使って、ガレリアAXVの配信性能を検証します。
検証方法はFinal Fantasy 14:紅蓮のリベレーター(最高設定)の序盤1分を、フルHD(1080p 60fps)で配信と録画を行い、どれだけのゲーム映像をちゃんと配信できたかをチェック。
検証は2パターン行います。CPUで録画配信をした場合(設定は4つ)と、グラボで録画配信をした場合(設定は2つ)の2パターンで、合計6つの設定です。
なお、ゲームプレイ時のフレームレートは240 fpsを上限に設定して、快適なゲームプレイと配信の両立ができるかどうかをチェックします。
OBSで録画と配信(240 fps制限) | ||||
---|---|---|---|---|
設定 | レンダリングラグ | エンコードラグ | 平均fps | |
CPUで | superfast | 0.0% | 0.0% | 128.4 fps |
veryfast | 0.0% | 0.0% | 123.1 fps | |
faster | 0.0% | 0.0% | 115.4 fps | |
fast | 0.0% | 0.0% | 108.2 fps | |
グラボで | Max Quality240 fps制限 | 7.9% | 9.4% | 130.1 fps |
Max Quality144 fps制限 | 2.9% | 3.1% | 123.4 fps |
CPUを使った配信は余裕です。低画質なsuperfast設定から、やや高画質なfast設定まで、まったくコマ落ちしません。グラボを使った配信は、フレームレートを144 fpsに制限すると安定しました。
配信性能はおおむね問題なしです。
ストレージ性能と詳細
ガレリアAXVの標準ストレージは「512GB NVMe SSD + 2TB HDD」です。搭載されているSSD / HDDの詳しい情報や、その性能を検証します。
標準で入ってるSSDは、Phison製の「PS5012-E12」です。性能は非常に高速で、読み込みが約3460 MB/s、書き込みが約2360 MB/sです。普通のSATA SSDと比較して、4~7倍も高速なので、メーカーにこだわりが無ければカスタマイズは不要でしょう。
ぼくはSSDに関しては、メーカー純正品のほうが信頼性は高いと考えているため、予算に余裕があれば「Samsung SSD 500GB」や「WD 1TB SSD」をオススメします。
HDDはSeagateの「ST2000DM005」が入っていました。読み込みは185 MB/s、書き込みが179 MB/sでした。ごく普通な性能で、データ保存用(倉庫)のHDDとして十分でしょう。ゲームや動画編集には向きません※。
※使用頻度の低いデータを入れて放置するような使い方に向いているアーカイブ用途のHDDなので、動画編集やゲーミングなど、頻繁にアクセスするような用途には向かないHDDです。
エアフロー
サーモグラフィーカメラを使って「ガレリアAXV」の内部温度を撮影しました。フロントパネル側に吸気ファン、背面とトップに排気ファンがあって、一方通行のエアフローが生成されています。
内部コンポーネントの温度
マザーボードのVRMフェーズ回路まわりの表面温度は、ゲーミング時で42~45℃でした。トップフロー型のCPUクーラーがマザーボードに向かって風を吹き付けるので、温度が上がりにくいです。熱暴走の心配はまったくありません。
電源ユニットの内部温度は35~38℃前後で、極めて大人しい温度です。
ゲーム中でこれだけ発熱が低いなら、あえて電源ユニットをカスタマイズする必要性は薄いですが、信頼性を求めるなら「AS-700」などにアップグレードするのも選択肢のひとつ。AXVは決して安いゲーミングPCではありませんから。
プラス8500円でカスタマイズから選べる「AS-700」をおすすめします。
電源ユニットの中堅メーカーFSPが製造している「AURUM S」シリーズの700 Wモデルが「AS-700」です。独自のカスタムICチップを使うことでシンプルな設計で仕上げ、日本メーカー製の個体コンデンサや、長寿命なFDB(流体軸受)ファンを採用することで、信頼性と耐久性を高めています。
ゲーミング時の動作温度をチェック
ゲームにしてはCPUへの負荷が大きい「FINAL FANTASY XV」を実行している時に、CPUの温度を計測してみました。
Ryzen 7 3700Xの温度は最大70.4℃(平均59℃)でした。動画エンコードなどを行うと、80℃前後に達しました。
AMD Ryzenシリーズは、温度が80℃を大幅に超えないように、自動的に調整するシステムが入っています。だから普通の使う分にはAMD純正クーラーで特に問題はないです。
しかし、CPUファンが92 mmと小口径で高回転時の動作音が大きいのは目立ったデメリット。低コストで冷却性能と静音性を求めるなら、定番のCPUクーラー「虎徹Mark II」に交換がおすすめ。
グラフィックボード(RTX 2060 Super 8GB)は、最大75℃(平均69℃)で特に問題ありません。デュアルファンなので冷やせて当然ですね。
静音性能を騒音計で検証
校正済みのデジタル騒音メーターを使って、ガレリアAXVの動作音(騒音レベル)を計測します。ケースパネルを閉じて、50 cmくらい距離をとって計測を行いました。
- PC起動前:31.3 dBA(極めて静か)
- アイドル時:36.4 dBA(やや静か)
- ゲーミング:41.4 dBA(普通)
それぞれの中央値(平均ではなく、真ん中に位置する数値)をまとめました。傾向として、ガレリアブランドは静音性には優れていないことが多いです※。コスパ重視で構成されるため、性能に関係ないパーツは安く済ませてあります。
動作音の比較(ゲーム中)
今回のガレリアAXVも例外ではなく、ゲーム中の動作音は「普通」です。CPUファンの動作音が上がったり下がったりで変化が大きく、気になりやすいと思います。ただし、ヘッドセットをつけてゲームをするなら全く問題はありません。
※過去のレビューに基づいた傾向です。稀にものすごく静かなガレリアもありましたが、個体差だと思われます。基本的には普通な動作音が多いです。
「GALLERIA AXV」レビューまとめ
- ゲーミングモニター使えます
- CPUとグラボともに冷却性能に問題なし
- とても余裕のある拡張性
- なめらかなゲーム配信と録画
- コストパフォーマンス優秀
- 動作音はガレリアらしく「普通」
- 「当日出荷」ではない
「ガレリアAXV」は非常にコストパフォーマンス優秀なゲーミングPCです。8コア16スレッドのパワフルなCPUで、クリエイティブタスクは余裕。ゲーム性能も高く、ゲーミングモニターも問題なく使える性能があります。
あと1万円足せば、上位モデルの「ガレリアAXF」に手が届くのは悩ましいところですが、フルHDゲーミングが前提なら「ガレリアAXV」で十分満足できる性能です。
予算15~20万円の範囲では、ガレリアAXVは特にコストバランスに優れたゲーミングPCです。万人におすすめできるゲーミングPCのひとつなのは、間違いありません。
以上「ガレリアAXVをレビュー:コストバランスに優れたゲーミングPC」でした。
他におすすめなガレリアは?
単純なコスパはガレリアAXVに一歩負けますが、1ランク上の性能で安心感を買えるのが「ガレリアAXF」です。予算20万円以下では、もっとも高性能なゲーミングPCだったりします(2020年4月時点)。
さらに予算を抑えて、ゲーミングモニターで快適にプレイしたい人向けには「ガレリアRV5」が適任です。
中央値は「最も多かった値」ではなく、「データを昇順に並べた時に中央にくる値」のことです。
ご指摘ありがとうございます。最頻値と混同してたみたいです、修正します。
最頻値になりますよね
レビューお疲れさまでした
今回のガレリアですが、メモリー性能はどのようなものを使われておられますか?
やかもちさんの過去記事に置いて、メモリーがCPUに与える影響を生地なされておりますが、それはIntel製であって、Ryzenとメモリーの関係を調べられて記事は簡易な参考記事で終わっていたと記憶しております
ご多忙なことでしょうが、Ryzen対応のお勧めメモリー特集などの記事が出たら嬉しいです。
自作初心者です。この記事と関係なくて申し訳ないのですが、やはりRTX2080Tiを使用するなら、Ryzenではなく、i9 9900KなどのIntel CPUの方が、無駄なく性能が発揮できるのでしょうか。また、近々新しいNvidia GPUの発売が噂されていますが、今高価な買うのは避けた方がいいのでしょうか。
ゲームによります。傾向として、RTX 2080 TiクラスではCore i9 9900Kの方が性能が出やすいです。あと、「黒い砂漠」のようにRyzenに最適化されてないゲームでは、やはりCore i9が有利です。
Ampere世代のGeForceは今年の半ばに出るかもしれない。という噂レベルの情報が出てるだけなので…なんとも言い難いです。AMDがNavi世代のハイエンドを発表しないと、NVIDIAはしばらく何もアクションがない可能性もあります。
分かりました。ありがとうございました。
高価な もの です。すみません。
ガレリアAVもレビューしてもらえると参考になるけど…まあスペックは似てるので参考になります!有難うございました!