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Crucial T700レビュー:最大12 GB/s対応の最速級TLC NAND SSD【使い方が難しい】

すっかり定番化したPCIe 4.0対応NVMe SSDですが、さらに上位の「PCIe 5.0」対応SSDを入手できました。

米Micron社が製造販売しているフラグシップモデル「Crucial T700」です。1秒あたり約12000 MBのスループット、RAID 0アレイを構築したかのような性能をわずか1本のSSDで可能にします。

今回はTwitterのフォロワーさんに手頃な価格で譲ってもらったサンプル(中古品)を使って、詳しくレビューします。

やかもち
フォロワーさんに譲ってもらったサンプルでレビューするの久々(3例目)です。

(公開:2024/8/15 | 更新:2024/8/15

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Crucial T700のスペックと仕様

Micron / NAND : Micron製232層TLC NAND / 容量 : 1 TB / 耐久性 : 600 TBW / 保証 : 5年
Crucial T700
(CT2000T700SSD)
容量1000 GB2000 GB4000 GB
インターフェイスPCIe 5.0 x4 (NVMe 2.0)
フォームファクタM.2 2280(片面実装)
コントローラPhison E26
NANDMicron 232層 3D TLC NAND
DRAMLPDDR4
2048 MB4096 MB8192 MB
SLCキャッシュCrucial Write Cache(詳細不明)
読込速度
シーケンシャル
11700 MB/s12400 MB/s12400 MB/s
書込速度
シーケンシャル
9500 MB/s11800 MB/s
読込速度
4KBランダムアクセス
1350K IOPS1500K IOPS
書込速度
4KBランダムアクセス
1400K IOPS1500K IOPS
消費電力(最大)非公開
消費電力(アイドル)非公開
TBW
書き込み耐性
600 TB1200 TB2400 TB
MTBF
平均故障間隔
160 万時間
保証5年
MSRP$ 143$ 255$ 406
参考価格
2024/8時点
27455 円46136 円93809 円
GB単価27.5 円23.1 円23.5 円

「Crucial T700」のスペックを、MicronとPhisonのデータシートから抜粋してまとめました(※2024年8月時点の情報にもとづく)

  • Crucial T705(PCIe 5.0 x4)
  • Crucial T700(PCIe 5.0 x4)
  • Crucial T500(PCIe 4.0 x4)

Micronが新たに始めた3桁SKUシリーズのフラグシップモデルに位置づけられる、PCIe 5.0 x4対応NVMe SSDです。

SSDコントローラで有名なPhisonが開発したGen5対応コントローラ「PS5026-E26」に、Micron自社製の232層 3D TLC NAND(B58R FortisFlash)を組み合わせます。

書き込み性能を底上げするため、他社から仕入れたLPDDR4メモリも積んでいます。容量あたり0.2%と、通常の2倍ものメモリを搭載してピーク時11800 MB/sの書き込み性能を可能にするようです。

TLC NANDを使ったNVMe SSDとして、NAND業界の巨人Samsung(サムスン)ですら到達していない「ド級」のスペックを誇ります。

やかもち
「Samsung 990 PRO」を最大66%上回るスペックです。
SSD500 GB1 TB2 TB
Crucial T700600 TBW1200 TBW
Samsung 990 PRO
990 PRO:レビュー
600 TBW1200 TBW
Solidigm P44 Pro
Solidigm P44 Pro:レビュー
750 TBW1200 TBW
HIKSEMI FUTURE SSD
HIKSEMI FUTURE SSD:レビュー
1800 TBW3600 TBW
SSD500 GB1 TB2 TB
KIOXIA EXCERIA PRO
WD Blue SN5000:レビュー
400 TBW800 TBW
WD Blue SN5000
WD Blue SN5000:レビュー
600 TBW900 TBW
KIOXIA EXCERIA PLUS G3
KIOXIA EXCERIA G3 PLUS:レビュー
600 TBW1200 TBW
CFD SFT6000e
CFD SFT6000e:レビュー
600 TBW1200 TBW
Samsung 990 PRO
990 PRO:レビュー
600 TBW1200 TBW
Samsung 980 PRO
980 PRO:レビュー
300 TBW600 TBW1200 TBW
Solidigm P44 Pro
Solidigm P44 Pro:レビュー
500 TBW750 TBW1200 TBW
Crucial P5 Plus
Crucial P5 Plus:レビュー
300 TBW600 TBW1200 TBW
Lexar NM790
Lexar NM790:レビュー
1000 TBW1500 TBW
HIKSEMI FUTURE SSD
HIKSEMI FUTURE SSD:レビュー
1800 TBW3600 TBW
SK Hynix Gold P31
SK Hynix Gold P31:レビュー
500 TBW750 TBW1200 TBW
WD_BLACK SN770
WD_BLACK SN770:レビュー
300 TBW600 TBW1200 TBW
KIOXIA EXCERIA PLUS G2
KIOXIA EXCERIA G2 PLUS:レビュー
200 TBW400 TBW800 TBW
KIOXIA EXCERIA G2
KIOXIA EXCERIA G2:レビュー
200 TBW400 TBW800 TBW
WD Blue SN570
WD Blue SN570 NVMe:レビュー
300 TBW600 TBW
Crucial MX500
Crucial MX500:レビュー
180 TBW360 TBW700 TBW
FireCuda 530
FireCuda 530:レビュー
640 TBW1275 TBW2550 TBW
WD Black SN850
SN850:レビュー
300 TBW600 TBW1200 TBW

書き込み保証値(TBW)は平均的な数値です。大手NANDメーカー製のフラグシップモデルとほとんど同じ書き込み保証値をアピールします。

【用途別】TBWを使い切る目安
  • 普通に使った場合:約32.9年
    1日あたり平均50 GBの書き込みを想定)
  • 毎日AAAゲームをDLする:約16.4年
    1日あたり平均100 GBの書き込みを想定)
  • 毎日一眼レフの写真を入れる:約6.6年
    1日あたり平均250 GBの書き込みを想定)
  • 毎日一眼レフの4K素材を入れる:約1.6年
    1日あたり平均1000 GBの書き込みを想定)

ワークロード別の想定耐用年数は以上のとおり。

普通の使い方では、5年間の保証期間中に600 TBWを使い切るのは非常に難しいと予想されます。

ライバル製品と価格設定の比較

Crucial T700の価格を比較

まだまだPCIe 5.0対応SSDが少なかったので、とりあえずPCIe 4.0世代のNVMe SSDと価格を比較。

言わずもがな、圧倒的な値段の高さで驚愕です。容量1 TBで約3万円近く、他社のフラグシップGen4 SSDなら容量2 TB、中華ハイエンドSSDなら容量4 TBにギリギリ手が届きそうな価格設定。

コストパフォーマンスを気にして買う製品じゃないです。

Crucial T700を開封レビュー

パッケージデザイン & 開封

黒に近い紺色の背景色とシンプルな英字フォントで「T700」と大きく記載した、Crucialシリーズらしいパッケージデザインです。

パッケージの裏面に、Micronの国内正規代理店のひとつである「CFD株式会社」のシールが貼ってあります。

  • ヒートシンク取付済みの本体
  • 説明書

ゴツいアルミニウム製ヒートシンクが取り付けられた※「Crucial T700」本体と、簡素な説明書が付属します。

※「with Heatsink」モデルのみ。価格が少し安い通常版はヒートシンクが付属しません。

基板コンポーネント

厚み18 mmの鍛造アルミニウムをぜいたくに使った、Micron純正M.2ヒートシンクが装着済みです。

見た目だけで「凄い性能してそう・・・」な雰囲気が香ってきます。

裏面も放熱用に薄い金属板が貼られています。金属板に貼られたラベルに、各国の認証ロゴや、交換保証(RMA)申請時に必要となるシリアルナンバー(S/N)が記載されています。

表面と裏面の両方にコンポーネントが実装されている「両面実装」のNVMe SSDです。

取付スペースが狭いノートパソコンだと干渉する可能性があります。PS5の増設ストレージなら干渉せず入ります。

なお、純正ヒートシンクを装着した状態だと厚み20 mmに達し、ノートパソコンやPS5への増設は不可能です。

純正M.2ヒートシンクの取り外し方

ベッセル(VESSEL) / 長さ : 155mm / 規格 : T5×80 / 備考 : ノートパソコンでよく使われる規格

Crucial T700(with Heatsink)の純正M.2ヒートシンクを取り外します。

トルクスドライバー(T5規格)が必須です。そのほかにピンセット(爪楊枝)、分解ベラ、電気ドライヤーがあると便利です。

純正ヒートシンクを剥がすと5年間の製品保証が無効になる危険性が高いです。真似しないでください。

トルクスドライバーを使って、ヒートシンク側面にある4本の小ネジを慎重に外します。

ネジを押し込む力90%:ネジを回す力10%くらいの比率がコツです。むやみにネジを回そうとすると、ネジが舐めて(潰れて)面倒です。

4本の小ネジを取り外しましたが、まったくヒートシンクは微動だにしません。

電気ドライヤー(出力500~600 W)の熱風を約1分ほど浴びせてください。ヒートシンクを暖めると内側に詰められているグリス(サーマルコンパウンド)が柔らかくなり、ヒートシンクを外しやすくなります。

ヒートシンクの側面から力を入れて、本のページをめくるようなイメージでヒートシンクを剥がします。

分解ベラをSSDの基板と金属板の隙間に挿し込み、テコの原理でパキッと剥がします。

ヒートシンクがなかなか外れてくれない原因が、このギシギシに塗り込まれた「サーマルコンパウンド」です。

コンポーネントからヒートシンクへ効率よく熱を伝える役割を果たす、固形状のグリスのような素材です。

ピンセット(爪楊枝)を使って、丁寧にやさしくサーマルコンパウンドを除去していきます。

むやみやたらにゴシゴシえぐると、PMIC周りの小さな部品がクラックするかもしれません。部品をゴリッと弾かないよう、ていねいに作業します。

ようやく基板コンポーネントが露出

苦労の末ようやくCrucial T700の基板コンポーネントを露出できました。

分解して1点分かりました。Crucial T700(with Heatsink)は、あとから分解される想定をしていないです。慣れていないと部品がクラックする危険性もあり、真似しない方が無難でしょう。

  • コントローラ:Phison E26
    PS5026-E26-52 CE2308H P10E11.001AA
  • DRAM:Micron LPDDR4-4266メモリ
    3FB77 D8CSC (MT53E512M32D1ZW-046 WT:B)
  • NAND:Micron 232層 3D TLC NAND
    3HC2D NY195 (MT29F2T08EELCHD4-QA:C)

SSDコントローラに「Phison E26」、DRAMキャッシュにMicron製「LPDDR4-4266メモリ」、NANDメモリにMicron製「232層 3D TLC NAND」を搭載します。

  • NAND:Micron 232層 3D TLC NAND
    3HC2D NY195 (MT29F2T08EELCHD4-QA:C)

裏面にもコンポーネントが実装されています。

SSDコントローラは2023年から出荷されている、Phison製のフラグシップモデル「Phison E26」を搭載。

TSMC 12 nmプロセスで製造するARM Cortex-R5(2コア)と、RISC-VアーキテクチャのAndesCore N25Fを内蔵するぜいたくなSoCです。

最大8チャネルのNANDメモリを束ねられ、最大2400 MT/sのスループットに対応します。

PhisonいわくPCIe 5.0 x4の理論値(最大14000 MB/s)に匹敵するシーケンシャル読み出しが可能、とアピールしますが、Crucial T700ではNANDメモリと2000 MT/sで接続されています。

だからメーカー公称値は最大12400 MB/sに制限されてしまい、Phisonが主張する公称値に届かないです。

あとから発売された改良版「T705」は最大14500 MB/sをアピール。同じPhison E26コントローラのまま性能が上がったので、こちらは2400 MT/s接続モデルと推測できます。

DRAMは「Micron製 LPDDR4-4266メモリ」を採用

省電力性に優れるLPDDR4メモリを2048 MB(2 GB)搭載。一般的に、DRAMキャッシュの容量はNANDメモリの容量に対して0.1%です。

SSDの容量DRAM容量T700の場合
1 TB1024 MB2048 MB
2 TB2048 MB4096 MB
4 TB4096 MB8192 MB

一方Crucial T700では、2倍の0.2%です。本来なら容量2~4 TBモデルで使われるような大容量LPDDR4メモリを、ぜいたくに容量1 TBモデルで使っています。

容量2 TB版で4096 MB(4 GB)、容量4 TB版で8192 MB(8 GB)です。値段が高い理由が分かります。

NANDメモリは「Micron製 232層 3D TLC NAND」を採用マーケティング名「B58R Fortis Flash」で知られます。

116 + 116層の2デッキ構造を用いて232層まで積み上げ、最大2400 MT/sでSSDコントローラに接続できる、かなり高性能なNANDメモリです。

記憶容量は1テラビット(1Tb)クラス、記憶密度は14.6 Gbit/mm²に達します。

中華ハイエンドSSDで採用されるYMTC製232層に届かない密度(15.47 Gbit/mm²)ですが、Samsung製238層NAND(11.5 Gbit/mm²)より格段に高密度です。

念のため、Crucial T700のNANDメモリ構成を説明します。

表面と裏面それぞれにNANDメモリが2個あり、合計で4個です。NANDメモリ1個あたり容量256 GBが収められている計算になります。

B58R Fortis Flashの記憶容量は1テラビット(1 Tb = 128 GB)クラスなので、2枚重ねにしたチップを4個使って合計8192 Gb(= 1024 GB)の容量を構成できます。

ちなみに、容量2~4 TBモデルでもNANDメモリは4個のまま。Micronはその気になればB58Rを8枚まで重ねられ、たった1個のチップで容量1 TBも可能です。

技術的に「片面実装」のCrucial T700(1 TB)を製造できるはずですが、おそらくコストの問題であえてやっていないと思われます。

やかもち
豪華なコンポーネントが大集結。個人的に「Samsung 990 PRO」以上の性能を出せるか注目してます。

Crucial T700の性能をベンチマーク

テスト環境を紹介

テスト環境
「ちもろぐ専用:SSDベンチ機」
CPUCore i7 13700K16コア24スレッド(TDP:125 W)
CPUクーラー虎徹Mark III120 mmサイドフロー空冷
マザーボードBIOSTARZ790 Valkyrie
メモリDDR5-6000 16GB x2G.Skill Trident Z5 Neo RGB
グラフィックボードRTX 4060 Ti
テスト対象Crucial T700 1TB
システムSSDHIKSEMI FUTURE70-02TB 2TB
電源ユニット850 WCorsair HX850i 2021
OSWindows 11 Pro検証時のバージョンは「22H2」
ドライバNVIDIA 536.40 WHQL
ディスプレイ3840 x 2160@160 Hz使用モデル「Innocn 27M2V

SSDベンチマークに使用する専用の機材です。

最大15.76 GB/sまで対応できるPCIe 5.0世代の「Intel Z790」マザーボードに、シングルスレッド性能が非常に速い「Core i7 13700K」を搭載。

Ryzen 9 5950X超えのマルチスレッド性能と、現行最強クラスのシングルスレッド性能で、最大14000 MB/s超えの次世代Gen 5 SSDも難なく処理できます。

SSDのセットアップについて
SSDベンチマークのセットアップ

原則として、CPUに直結したM.2スロットまたはPCIeスロットにテスト対象のSSDを接続します。チップセット経由だと応答速度が低下※してしまい、SSD本来の性能を検証できません。

ベンチ機に採用した「Z790 Valkyrie」は、PCIe 5.0対応のM.2スロットを1本、PCIeスロットを2本備えます。複数の爆速SSDをCPUに直結できる稀有なマザーボードです。

※チップセット経由による性能低下はAMDチップセットだと緩和されますが、CPU直結時と比較して性能が下がる傾向自体は同じです。

SSDの冷却について
SSDベンチマークのセットアップ

SSDを熱から保護するサーマルスロットリングによって性能に悪影響が出ないように、以下のような手段でテスト対象のSSDを冷却しながらベンチマークを行います。

  • M.2ヒートシンク「Thermalright HR-09」を装着
  • 120 mmケースファンを至近距離に設置して冷却

SSDを徹底的に冷やして、サーマルスロットリングがテスト結果に影響を与えないように対策しています。

なお、10分間の温度テスト時のみM.2ヒートシンクとケースファンを取り除いて、温度の上昇を観察します。

SSDドライブ情報と利用できる容量

Crucial T700をベンチマーク(Crystal Disk Info)
  • インターフェース:NVM Express
  • 対応転送モード:PCIe 5.0 x4
  • 対応規格:NVM Express 2.0
  • 対応機能:S.M.A.R.T. / TRIM / VolatileWriteCache

「Crucial T700」の初期ステータスをCrystal Disk Infoでチェック。

CPU直結M.2スロットにて、無事「PCIe 5.0 x4」で認識されます。対応規格に「NVM Express 2.0」と表記されますが、コンシューマ製品の場合はNVM Express 1.4と大差ないです。

注意点:新品時の性能は再現できません

今回のサンプルはTwitterでフォロワーさんから譲渡してもらった「中古品」です。届いた時点で、使用時間が約2000時間、書き込みが約6 TBです。Secure Erase(512Bセクタ)、TRIM/GCコマンド、Cleanコマンドを併用してpSLCキャッシュを可能な限り呼び起こす努力をしますが、新品時の性能は再現できません。

Crucial T700をベンチマーク(フォーマット時の空き容量)

フォーマット時の初期容量は「931 GB」でした。

搭載されているNANDメモリ1024 GB分のうち、24 GBを予備領域に割り当てる一般的な対応です。将来的な寿命や信頼性を向上させる効果に期待できます。

Crystal Disk Mark 8

「Crystak Disk Mark 8」は、日本どころか世界で一番有名と言っても過言ではない、定番のSSDベンチマークソフトです。性能の変化をチェックするため、初期設定の「1 GiB」に加え、最大設定の「64 GiB」もテストします。

Crystal Disk Mark 8の結果※クリックで画像拡大します
Crucial T700をベンチマーク(Crystal Disk Mark 8)Crucial T700をベンチマーク(Crystal Disk Mark 8)
テストサイズ:1 GiB(MB/s)テストサイズ:64 GiB(MB/s)
Crucial T700をベンチマーク(Crystal Disk Mark 8)Crucial T700をベンチマーク(Crystal Disk Mark 8)
テストサイズ:1 GiB(レイテンシ)テストサイズ:64 GiB(レイテンシ)

シーケンシャル読み込みが約11700 MB/s、シーケンシャル書き込みが約9620 MB/sです。今までレビューしてきたSSDで過去最高のシーケンシャル速度を記録します。

テストサイズを64 GiBに引き上げても、シーケンシャル性能とランダムアクセス性能ともに安定したままです。

Crucial T700(Crystal Disk Mark 8で応答時間を比較)

体感性能や実用性能に影響が大きい、4KBランダムアクセスのレイテンシ(応答時間)の比較グラフです。

Crucial T700は39.8 μsで、TLC NAND型で数少ない40 μs(= RND4K Q1T1が100 MB/s以上)を突破するSSDです。

Crucial T700(Crystal Disk Mark 8で応答時間を比較)

書き込みレイテンシは他社のハイエンドNVMe SSDと横並びの水準です。

ATTO Disk Benchmark

Crucial T700をベンチマーク(ATTO Disk Benchmark)

ATTO Disk Benchmarkは、テストファイルを小刻みに分割してSSDのスループット(シーケンシャル性能)を測定し、SSDがピーク性能を出しやすいファイルサイズを探るベンチマークソフトです。

ベンチマーク結果からSSDの評価が非常に分かりにくいので、表計算ソフトを使ってグラフ化して他のSSDと比較します。

Crucial T700をベンチマーク(ATTO Disk Benchmark)
Crucial T700をベンチマーク(ATTO Disk Benchmark)

小さいファイルサイズ(512 Bから8 KB)領域でトップ争いを繰り広げます。業務用SSDのOptane P5810Xを除外すれば、T700が実質的にトップです。

Crucial T700をベンチマーク(ATTO Disk Benchmark)
Crucial T700をベンチマーク(ATTO Disk Benchmark)

一方、書き込み性能は小さいサイズで振るわず、4 KB以上からOptane P5810X以上のトップ記録を叩き出します。

やかもち
基本的なベンチマークは以上です。次は実戦テストでCrucial T700の実力を確かめます。

Crucial T700を実運用で試す

FF14のロード時間を比較

FF14:暁月のフィナーレ(ベンチマークモード)で、ゲームロード時間を測定します。ベンチマーク終了後に、ログファイルからロード時間を読み取ります。

Crucial T700をベンチマーク(FF14のゲームロード時間)

Crucial T700のロード時間は「5.557秒」、Solidigm P44 Proの記録を打ち破り、TLC NAND型で最速のロードタイムを記録しました。

やかもち
ようやくP44 Proや中華ハイエンド(HIKSEMI系)に勝てました。

FPSタイトルのロード時間を比較

PCMark 10 Professional Edition(有償版)で利用できる機能を使って、「Battlefield V」「Call of Duty Black Ops IV」「Overwatch 2」のロード時間を測定します。

なお、測定されたロード時間は各スコアから逆算された概算値(ざっくりとした予想値)です。実際のロードとは異なっているので注意してください。

Crucial T700をベンチマーク(Battlefield Vのゲームロード時間)
Crucial T700をベンチマーク(Call of Duty Black Ops IVのゲームロード時間)
Crucial T700をベンチマーク(Overwatch 2のゲームロード時間)

3つのゲームタイトルすべてで、Crucial T700が最速記録です。

Crucial T700より上にいるSSDはどれもTLC NANDを使っておらず、コスト度外視の3D X-Pointメモリや3D SLC NAND(Z-NAND)に限られます。

「原神」のロード時間を比較

大人気RPGタイトル「原神」のロード時間を実際にテストします。

  1. 初回ロード(データロード0%からクリック可能になるまで)
  2. 初回ロード(クリックしてから操作可能になるまで)
  3. モンドからフォンテーヌへワープ
  4. フォンテーヌからスメールシティへワープ
  5. スメールシティから稲妻城へワープ
  6. 稲妻城からモンドへワープ

上記6パターンを録画ソフト(120 fps)を使って記録し、動画編集ソフトに取り込んでフレーム単位でロード時間を比較しました。

Crucial T700をベンチマーク(原神のゲームロード時間)

Crucial T700は「48.12秒」でした。

2024年7月時点、原神の最新バージョン(v4.8)は以前よりもSSDの性能がロード時間に反映されづらい傾向が強く、微妙な性能差にとどまります。
Crucial T700をベンチマーク(原神のゲームロード時間)

各シーン別のロード時間(※グラフの左から順番にパターン1~6並び)です。

初回ロード(#1~#2)でしか目立った差がなく、ファストトラベル(ワープ時)のパターンだとほぼ同等のロード時間でした。

パターン6(稲妻城からモンドへワープ)は、すでに読み込んだマップが大量に含まれるため、基本的に大きな時間差はつきません。

やかもち
Crucial T700がトップクラスですが、わずかに速い程度で体感できるかどうかは・・・かなり微妙なので注意。

DirectStorageのロード時間を比較

DirectStorage APIとは何か?

Windows 11はゲームのロード時間を大幅に短縮する「DirectStorage API」に対応しています。

SSDに保存されているゲームデータをメインメモリに送り込み、メインメモリからVRAMに流し込みます。入ってきたデータをGPUの凄まじい演算性能で展開(解凍)し、ゲームロード時間を短縮する技術です。

NVMe SSDからメインメモリにデータを転送する部分で、SSDのシーケンシャル性能が重視されます。SATA SSDよりNVMe SSD、同じNVMe SSDでもPCIe 4.0やPCIe 5.0の方が有利になる可能性が高いです。

Crucial T700をベンチマーク(DirectStorage APIのゲームロード時間)
Crucial T700をベンチマーク(DirectStorage APIのゲームロード時間)

CPUで展開する場合はCPUの演算性能がボトルネックになってしまい、SSDの性能差がそれほど確認できません。

Crucial T700をベンチマーク(DirectStorage APIのゲームロード時間)
Crucial T700をベンチマーク(DirectStorage APIのゲームロード時間)

GPU展開(RTX 4060 Tiで展開)では、シーケンシャル性能に比例した性能差ハッキリと出ます。

Crucial T700は0.20秒で最速、実効スループットも21.63 GB/sを叩き出し、PCIe 5.0世代の効果を端的に示します。

加えて、Crucial T700のファームウェアはDirectStorage APIの処理に特化されているそうです。Micronが言っているだけで真相は不明なものの、確かにDS APIのロード時間は最速です。

補足:絶対値でコンマ秒レベルの差に過ぎません。実用上のロード時間はおそらく同じに感じます。

ファイルコピーにかかった時間

Windows標準のコピペ機能と目視によるストップウォッチでは正確性に欠けるので、ファイルコピーに便利なフリーソフト「DiskBench」を使って、ファイルコピーに掛かった時間を計測します。

  • ゲームフォルダ(容量85.3 GB / 81424個)
  • 写真ファイル(容量113 GB / 5012枚)
  • 圧縮データ(容量256 GB / zipを2個)

以上3つの素材をファイルコピーテストに使います。ソース(基準となるストレージ)は安定した性能に定評がある「Optane SSD P5810X 400GB」です。

Crucial T700をベンチマーク(ファイルコピーに掛かった時間)
Crucial T700をベンチマーク(ファイルコピーに掛かった時間)
Crucial T700をベンチマーク(ファイルコピーに掛かった時間)

拡大グラフはこ

書き込み(Optane P5810X → Crucial T700)のコピペ時間です。

Zipファイル(256 GB)は惜しくも1位を逃します。写真フォルダはおおむね横並び、ゲームフォルダで最速記録を更新します。

Crucial T700をベンチマーク(ファイルコピーに掛かった時間)
Crucial T700をベンチマーク(ファイルコピーに掛かった時間)
Crucial T700をベンチマーク(ファイルコピーに掛かった時間)

拡大グラフはこ

次は読み込み(Crucial T700 → Optane P5810X)のコピペ時間です。

Zipファイル(256 GB)の読み出しは横並び、写真フォルダとゲームフォルダで最速記録を更新します。

単純なシーケンシャルを競う単一ファイルだと、Windowsのファイル転送システム自体がボトルネックになっている気がします。

細切れのファイルが大量に含まれるゲームフォルダは、まだまだSSD側にボトルネックがあるようで性能比較としてギリギリ機能している様子です。

比較グラフをよく見ると、シーケンシャル性能の割にコピー時間が遅いSSDがポツポツと見られます。

なぜシーケンシャル性能の割に遅いSSDが出てしまうのか。理由は単に「間髪入れずに次のコピーテストを実行」しているからです。

  • Zip(256 GB)→ 写真(113 GB)→ ゲーム(85.3 GB)の順番

SSDは書き込み性能を稼ぐためにSLCキャッシュを使って耐える製品が多いですが、このSLCキャッシュの回復が遅いと・・・次のコピーテストに間に合わずTLC NAND本来の性能でテストが実行されます。

SLCキャッシュをスピーディーに再展開できるかかどうかも実力の内と(筆者は)考えているので、コピーテストは間髪入れず次から次へと実行します。

Premiere Pro CC:4K動画プレビュー

動画編集ソフト「Adobe Premiere Pro CC」に、4K動画素材(448 MB/s)と2K動画素材(175 MB/s)を読み込み、2つの動画を同時にプレビューします。

Premiere Proの動画素材プレビューは、素材を配置しているストレージの性能に影響を受けやすく、SSDの性能が不足すると「コマ落ち」が発生しやすいです。

Premiere Proの標準機能「コマ落ちインジケータ」で落としたフレームを測定し、動画素材の総フレーム数で割ってドロップフレーム率を計算します。

Crucial T700をベンチマーク(Premiere Pro 4Kプレビュー)

4K + 2K動画プレビューのドロップフレーム率は約13.0%です。

シーケンシャル性能とランダムアクセス性能の両方が要求される、割と重たいワークロードです。

思ったより振るわない結果になったものの、過去の傾向を見る限り「DRAMキャッシュ」があると読み出しワークロードが阻害されます。

空き容量を10%捨てて性能を極大化する「Samsung 990 PRO(Full Power Mode)」ですら、10%の壁を超えられません。

10%の壁を突破しているTLC NAND型SSDはすべて中華ハイエンドDRAMレスシリーズです。

10%を割ったSSDは今のところすべて中華ハイエンドシリーズ(YMTC 232層 + MAP1602A)に限られます。
Crucial T700をベンチマーク(Premiere Pro 4Kプレビュー)

4K動画プレビューのドロップフレーム率は0%です。見事に完封。

本テストを完封できるSSDはもっぱら中華ハイエンドシリーズとCrucial T500に限られていましたが、新たにCrucial T700が完封組に仲間入りを果たします。

DRAMキャッシュを抱えていながらの「0%」は偉業です。なぜなら、完封組のSSDは今まですべてDRAMレスだったからです※1※2。

※1:Samsung 983 ZETはDRAMを搭載しますが、電力損失保護機能のために使われており、実効パフォーマンスにほとんど寄与しません。※2:990 PROの記録はFPM(Full Power Mode)時だからノーカウント。

やかもち
3K動画素材(@251 MB/s)以下は、ドロップフレーム率「0%」で問題なし。比較グラフは省略します。

PCMark 10:SSDの実用性能

PCMark 10 Professional Editionの「Full System Drive Benchmark」を使って、SSDの実際の使用シーンにおける性能を測定します。

Full System Drive Benchmarkには23種類のテストパターン(Trace)が収録されており、パターンごとの転送速度や応答時間を測定し、SSDの実用性能をスコア化します。

なお、SSDは空き容量によって性能が大きく変化する可能性があるため、空き容量100%だけでなく容量を90%埋めた場合(= 空き容量10%)のテストも行いました(※2回:連続で約2時間のワークロード)

Crucial T700の実用性能(PCMark 10 ストレージスコア)
Crucial T700の実用性能(PCMark 10 ストレージスコア)
Crucial T700の実用性能(PCMark 10 ストレージスコア)

拡大グラフはこ

Crucial T700のストレージスコア(空き容量10%時)は「4295点」です。空き容量100%ならTLC NAND型で最高点となる5339点です。

空き容量による性能低下は約19.6%に抑えられています。

Samsung 990 PROを抑え、Crucial T500に並ぶ性能です。おそらく、新品状態だったら明確にCrucial T500を超えられたはずです。

Crucial T700の実用性能(PCMark 10 Adobeソフト)
Crucial T700の実用性能(PCMark 10 ゲームロード時間)
Crucial T700の実用性能(PCMark 10 ファイルコピー)
Crucial T700の実用性能(PCMark 10 Microsoft Office)

PCMark 10ストレージテストの細かい内訳を確認します。

Adobe系スコアはパッとしません。

ゲームロードとOfficeソフトはTLC NAND型で最高得点、ファイルコピーではOptane P5810Xすら超える歴代1位です。

PCIe 5.0 x4による圧倒的なスループットをしっかり使える用途なら、Optane SSDを超えられる可能性を示唆しています。

もちろん、Windows環境の一般的な用途でPCIe 5.0 x4帯域をフルに活かせるかどうかは(今のところ)疑問が残りますが。

やかもち
シーケンシャルスコアで総合点を底上げした感じです。
実用スコアの内訳
Full System Drive Benchmark
Adobe ScoreAdobe Acorbatの起動
Adobe After Effectsの起動
Adobe Illustratorの起動
Adobe Premiere Proの起動
Adobe Lightroomの起動
Adobe Photoshopの起動
Adobe After Effets
Adobe Illustrator
Adobe InDesign
Adobe Photoshop(重たい設定)
Adobe Photoshop(軽量設定)
Game ScoreBattlefield Vの起動(メインメニューまで)
Call of Duty Black Ops 4の起動(メインメニューまで)
Overwatchの起動(メインメニューまで)
Copy Score合計20 GBのISOファイルをコピー(書き込み)
ISOファイルを作成してコピー(読み込みと書き込み)
ISOファイルをコピー(読み込み)
合計2.37 GBのJPEGファイルをコピー(書き込み)
JPEGファイルを作成してコピー(読み込みと書き込み)
JPEGファイルをコピー(読み込み)
Office ScoreWindows 10の起動
Microsoft Excel
Microsoft PowerPoint

15分間の連続書き込みテスト

1 MBのテストファイルを15分間に渡って、ただひたすら連続して書き込み続ける過酷な検証方法です。

一般向けに販売されているほとんどのSSDは、数分ほど連続して書き込むだけで「素の性能」を明らかにできます。SLCキャッシュの有無やサイズ、キャッシュが切れた後の性能低下などなど。

15分の連続書き込みテストによって、SSDのいろいろな挙動が判明します。

Crucial T700の連続書き込み性能(15分)をテスト
Crucial T700の連続書き込み性能(15分)をテスト

(1枚目:比較グラフ / 2枚目:強調グラフ

テスト開始から約108 GBでpSLCキャッシュが終了、その後テストが終了する15分後まで平均1630 MB/sの書き込み性能を維持します。

Crucial T700のキャッシュ構造をさらに深堀りします。

ブロックファイルを約900 GB書き込むと、Crucial T700のシンプルな3段階キャッシュ構造が見えてきます。

グラフの中身をざっくりと解説すると

  1. pSLCキャッシュで爆速(約109 GBまで)
  2. pSLCキャッシュとTLC NANDへのデータ移行モードに切り替わり、書き込み性能がやや下がります
  3. pSLCキャッシュが枯渇してTLC NAND本来の性能へ

展開できるpSLCキャッシュは約100 GB前後で、最近のNVMe SSDとしては少なめです。

「ユーザー容量の約11%を動的キャッシュ(Crucial Write Cache)に使います」

TRIM/GCコマンドでpSLCキャッシュを強制的に全開まで復活させ、何度かpSLCキャッシュ容量を検証しましたが、Micronの主張するとおり約108~109 GBで枯渇します。

中古品だからてっきりpSLCキャッシュが使い物にならなくなったと疑いましたが、どうやら仕様です。

なお、pSLCキャッシュの再展開は・・・Phisonコントローラあるある激遅です。最後のコピペから1時間経過しても、4000 MB/s前後の爆速モードはほとんど復活しません。

pSLC + TLC NANDの混合モードでコピペが始まる場合がほとんどです。これでも平均1600~1800 MB/s程度は出るので実用上は十分に感じます。

爆速モードが必要なら、TRIM/GCコマンドを送ってください。即座にpSLCキャッシュの爆速モードが復活します。

やかもち
容量1 TBモデルだと期待してたより遅い印象を受けました。てっきり混合モードで3000 MB/s前後は出るものかと。
Crucial T700の連続書き込み性能(15分)をテスト

時間あたりの書き込み量を比較したグラフです。

Crucial T700は15分で約1517 GBを書き込みます。とても似たコンポーネント構成のFireCuda 530と同等で、Samsung 990 PROには及ばず。

SSDの動作温度をテスト

高負荷時のセンサー温度

Crucial T700で表示される温度センサー
  • ドライブ温度:NANDメモリの温度

モニターソフト「HWiNFO」で表示できる温度センサーは1つだけです。SSDコントローラの温度をソフト読みする方法はありません。

Crucial T700のSSD温度をテスト(高負荷時)

標準搭載の純正M.2ヒートシンクをつけたまま、ケースファンによるエアフローを一切与えない環境で、SSDが激しく発熱しやすい「連続書き込みテスト」を10分間実行しました。

センサー読みで80℃まで安定した性能を維持しますが、80℃を超えると一気に書き込み性能が下がり、その後もじわじわと下がり続けます。

やかもち
分厚いヒートシンクはあくまでも時間稼ぎ。性能を維持するならエアフローも必要です。

サーモグラフィーで表面温度を確認

テスト開始から約8~9分経過したあたりで、サーモグラフィーカメラを使ってSSDの表面温度を撮影します。

  • NANDメモリ(左):79 ~ 80
  • DRAMキャッシュ(中央):83 ~ 84
  • SSDコントローラ(右):84 ~ 85℃

HWiNFOが表示するセンサー読み温度とおおむね一致する表面温度です。

温度センサーの精度はかなり良好で、80℃をトリガーにサーマルスロットリングが適切に機能しています。

長尾製作所 / 規格 : M.2 2280 / 型番 : SS-M2S-HS01

ヒートシンクが付属しない通常モデルはヒートシンクが欲しいです。with Heatsinkモデルは付属の分厚い純正ヒートシンクで十分です。

もしくは、マザーボード付属のM.2ヒートシンクを使いましょう。ケースファンでゆるく風を当てると高負荷時に性能を維持しやすいです。

マザーボード付属のM.2ヒートシンクはネジの締めすぎに要注意。締めすぎると基板に圧力がかかりすぎてSSDの故障につながります。

まとめ:けっこう好きだけど価格の正当化は難しい?

「Crucial T700」のデメリットと弱点

  • 保守的なpSLCキャッシュサイズ
  • 素の書き込みは平凡
  • 空き容量による性能変化あり
  • 高負荷時の温度が高い
  • 容量1~4 TBまで両面実装
  • コスパは良くない
  • 価格がとても高い

「Crucial T700」のメリットと強み

  • 爆速なシーケンシャル性能(12 GB/s)
  • DRAMキャッシュをたっぷり搭載
  • 速いランダムアクセス性能
  • トップクラスのゲームロード時間
  • 書き込みに強いキャッシュ構造
  • 十分な耐久性(600 ~ 2400 TBW)
  • 大容量モデルあり(最大4 TB)
  • Micron自社製造モデル
  • 5年保証

あらゆる用途に最適な、現時点で最速クラスのNVMe SSDです。と同時に、高い価格を正当化するのが難しいSSDでもあります。

Crucial T700の実用性能(PCMark 10 ストレージスコア)

価格の伸び幅と、性能の伸び幅が不釣り合いです。

特に中華ハイエンドSSDシリーズが厄介な相手で、Crucial T700の半額近い価格なのに実用性能スコアは1割ちょっとしか下がりません。

キャッシュ切れ後の書き込み性能にこだわりなければ、下位モデルの「Crucial T500(レビュー)」が思わぬ刺客でした。

Crucial T700はDRAMキャッシュを搭載したTLC NAND型SSDとして数多くの最速記録を更新するものの、やはりコストパフォーマンスが良くないです。

肝心の爆速シーケンシャル性能(最大12 GB/s前後)も、役に立ちそうなシーンがあまり思い浮かばず、価格を正当化するのが難しくなる要因に。

シーケンシャル書き込みの方はpSLCキャッシュサイズが109 GB前後しかないせいで、常時フルスピードを維持できません。

シーケンシャル読み出しなら使えそう?・・・と考えましたが、少なくともWindows環境だと4000 MB/s前後で頭打ちです。

RAID 0アレイを構築せずに、RAID 0アレイに相当するシーケンシャル性能を単一のSSDで実現できるのが、おそらくCrucial T700のもっとも顕著なメリットかもしれません。

以上「Crucial T700レビュー:最大12 GB/s対応の最速級TLC NAND SSD」でした。

「Crucial T700」を入手する

Micron / NAND : Micron製232層TLC NAND / 容量 : 1 TB / 耐久性 : 600 TBW / 保証 : 5年
Micron / NAND : Micron製232層TLC NAND / 容量 : 2 TB / 耐久性 : 1200 TBW / 保証 : 5年

レビュー時点で1 TB版が約2.7万円、2 TB版が約4.6万円です。とても高い価格設定ですが、次世代規格に対応した黎明期のSSDは歴史的に高額になりがちです。

GIGABYTE Aorus NVMe Gen4 SSDのパッケージング

(税抜き価格が当時30800円だった初代Gen 4 SSD)

2019年に初めて発売されたPCIe 4.0 x4(最大5000 MB/s)対応のNVMe SSDは、容量1 TB版が約3.1万円でした。

2024年の今なら、PCIe 4.0 x4(最大7000 MB/s)が約1.4~1.5万円で買えます。つまり、価格がこなれてくるのに3~5年の時間がかかる可能性があります。

2026~2028年ごろには、最大14000 MB/sのPCIe 5.0 x4が約1.5万円くらい買える時代が来るかもしれません。

「PCIe 5.0」対応SSDの将来について

(写真はMAP1803A:快科技 より)

個人的に期待しているPCIe 5.0対応SSDコントローラが「MAP1802」です。

中華ハイエンドSSDで猛威を振るう「MAP1602」のGen5版に位置づけられ、最大14800 MB/sのスループット(インターフェイス速度は4800 MT/s)、最大350万IOPSのランダムアクセス性能をアピールします。

製造プロセスは不明ですが、パッケージサイズの9 x 13 mmから推測するに6~7 nm級ではないかと思います。

省電力性の観点では、Silicon Motion製「SM2508」を挙げられます。

TSMC 6 nmプロセスで製造され、最大14500 MB/sのスループット(インターフェイス速度は3600 MT/s)、最大250万IOPSのランダムアクセス性能をアピールします。

パッケージサイズは15 x 15 mmで、MAP1802より大きいです。

ランダムを含めた純粋なパフォーマンスでMAP1802、ヒートシンクなしで使える程度に省エネ性ならSM2508が有望に見えます。

やかもち
Micron 276層 TLC NANDや、KIOXIA 238層 TLC NANDあたりが次世代Gen5コントローラと組み合わせられそうな予感。値段も安くなれば・・・いいな(期待薄)

分解後の後片付けについて

Cooler Master / 型番:TPX-NOPP-9010-R1 FN1797

粉々になったサーマルコンパウンドを元に戻すのは不可能だったので、熱伝導率が高そうな別売りのサーマルパッドに置き換えました。

冷やすべきコンポーネントのパッケージサイズに合わせて、ハサミでサーマルパッドを切り出します。

裏面のNANDメモリも忘れずに。

サーマルパッドが圧力で伸びてしまい、少しはみ出ていますが実用上の問題は無さそうです。

動作チェックも無事クリア。むしろ、標準サーマルパッドよりランダムアクセス速度が改善しています。

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5 件のコメント

  • 他社産のGen5製品を知らないのでなんとも言えませんが
    最新世代製品としては微妙な印象
    Gen3→Gen4程の感動はない

  • なんかNVMeコントローラー総じて10〜8nm系をスキップしそうな雰囲気ですね
    Innogritも出すのかな?

  • 気になる製品だったからありがたい
    欲を言えばSamsungのエンタープライズ向けSSDもレビュー欲しい

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