2024年のAmazonプライムデー【解説とおすすめセール品】
当ブログはWeb広告を導入しています(景表法による表示)

TLET TLD-M7Aレビュー:東芝と中華の合弁商社系NVMe SSDを詳しくベンチマーク

東芝(日本)と美的集団(中国)の合弁グループ企業傘下にある、東芝エルイートレーディング株式会社が販売しているNVMe SSD「TLET M7A(TLD-M7A02T4)」を買ってみました。

2024年の半導体メモリ市場は価格上昇が既定路線です。あらゆるSSD製品が値上がりする傾向が強いため、スペックの割に値段が安い「TLET M7A」を無視できなくなりました。

個人的に、商社系SSDに対して強い苦手意識があるので買いたくなかったですが、信頼できるレビューで評価も高いですしもう諦めて買って詳しくベンチマークします。

(公開:2024/2/29 | 更新:2024/2/29

Sponsored Link

TLET TLD-M7Aのスペックと仕様

東芝エルイートレーディング / 性能 : 最大7000 MB秒 / 容量 : 2 TB / 耐久性 : 1400 TBW / 保証 : 3年
TLET TLD-M7A
スペックをざっくりと解説
容量1000 GB2000 GB4000 GB
インターフェイスPCIe 4.0 x4(NVMe 2.0)
フォームファクタM.2 2280(片面実装)
コントローラ非公開
NAND非公開
DRAM非公開
SLCキャッシュ対応(※詳細は非公開)
読込速度
シーケンシャル
7000 MB/s
書込速度
シーケンシャル
5800 MB/s6600 MB/s6600 MB/s
読込速度
4KBランダムアクセス
書込速度
4KBランダムアクセス
消費電力(最大)非公開
消費電力(アイドル)非公開
TBW
書き込み耐性
700 TB1400 TB3000 TB
MTBF
平均故障間隔
非公開
保証3年
参考価格
2024/2時点
11378 円19800 円35900 円
GB単価11.4 円9.9 円9.0 円

東芝エルイートレーディング株式会社の製品ページに記載されているスペック表を、分かりやすくまとめました。

見ての通りあらゆる項目が「非公開」です。商社系SSDによくある、販売側の都合でいくらでも搭載するコンポーネントを変更できる自由がある、筆者が苦手なタイプのSSDです。

スペック表で明確にされている項目は3つだけ。

メーカーが保証する項目
  1. 最大7000 MB/sの読み込み速度
  2. 最大5800 ~ 6600 MB/sの書き込み速度
  3. 容量あたり700倍の書き込み耐性(TBW)

以上3つの性能を維持できるなら、東芝エルイートレーディング社はどんなコンポーネントを使っても何ら問題ありません。

採用するNANDやコントローラの組み合わせによって、実際に出せる書き込み性能に大きな差が生じる可能性がありますが、キャッシュの内側で上記の性能を出せていれば問題がないとするスタンスです。

だから筆者やかもちは、非公開項目の多い商社系SSDが苦手です。レビューした時点ですばらしい性能だったとしても、時間が経過してコンポーネントが入れ替わり、レビュー時の性能を出せなくなる可能性があります。

SSD500 GB1 TB2 TB
TLET TLD-M7A700 TBW1400 TBW
Crucial T500
Crucial T500:レビュー
300 TBW600 TBW1200 TBW
FireCuda 530
FireCuda 530:レビュー
1275 TBW2550 TBW
HIKSEMI FUTURE SSD
HIKSEMI FUTURE SSD:レビュー
1800 TBW3600 TBW
SSD500 GB1 TB2 TB
KIOXIA EXCERIA PLUS G3
KIOXIA EXCERIA G3 PLUS:レビュー
600 TBW1200 TBW
CFD SFT6000e
CFD SFT6000e:レビュー
600 TBW1200 TBW
Samsung 990 PRO
990 PRO:レビュー
600 TBW1200 TBW
Samsung 980 PRO
980 PRO:レビュー
300 TBW600 TBW1200 TBW
Solidigm P44 Pro
Solidigm P44 Pro:レビュー
500 TBW750 TBW1200 TBW
Crucial P5 Plus
Crucial P5 Plus:レビュー
300 TBW600 TBW1200 TBW
Lexar NM790
Lexar NM790:レビュー
1000 TBW1500 TBW
HIKSEMI FUTURE SSD
HIKSEMI FUTURE SSD:レビュー
1800 TBW3600 TBW
SK Hynix Gold P31
SK Hynix Gold P31:レビュー
500 TBW750 TBW1200 TBW
WD_BLACK SN770
WD_BLACK SN770:レビュー
300 TBW600 TBW1200 TBW
KIOXIA EXCERIA PLUS G2
KIOXIA EXCERIA G2 PLUS:レビュー
200 TBW400 TBW800 TBW
KIOXIA EXCERIA G2
KIOXIA EXCERIA G2:レビュー
200 TBW400 TBW800 TBW
WD Blue SN570
WD Blue SN570 NVMe:レビュー
300 TBW600 TBW
Crucial MX500
Crucial MX500:レビュー
180 TBW360 TBW700 TBW
FireCuda 530
FireCuda 530:レビュー
640 TBW1275 TBW2550 TBW
WD Black SN850
SN850:レビュー
300 TBW600 TBW1200 TBW

書き込み保証値(TBW)は平均よりやや多めです。他社の有名ハイエンドモデルより少しだけ多めに設定されています。

仮にゲーミングPCでシステムストレージとして使った場合、過剰に見積もっても1日あたり平均50 GBの書き込みです。

1400 TBWを50 GB(0.050 TB)で割ると28000日で、耐久値を使い切るのに約77年もかかる計算に。NANDメモリの寿命が尽きるより先に、使用者の寿命が先に尽きる可能性が高いです。

【用途別】TBWを使い切る目安
  • 普通に使った場合:約76.8年
    1日あたり平均50 GBの書き込みを想定)
  • 毎日AAAゲームをDLする:約38.4年
    1日あたり平均100 GBの書き込みを想定)
  • 毎日一眼レフの写真を入れる:約15.3年
    1日あたり平均250 GBの書き込みを想定)
  • 毎日一眼レフの4K素材を入れる:約3.8年
    1日あたり平均1000 GBの書き込みを想定)

もっとも過酷な想定(1日あたり1000 GB)ですら、1400 TBWを使い切るのに約3.8年を要します。3年間のメーカー保証を使い切ってしまう計算です。

ライバル製品と価格設定の比較

TLET TLD-M7Aの価格を比較

PCIe 4.0対応のハイエンドNVMe SSDと価格を比較したグラフです。

2024年2月時点、スペックで同等の大手ブランド製品より安く、コスパで猛威をふるう中国産232層品よりわずかに高い価格設定です。ただし、TLD-M7Aはタイムセールありきの価格だったりします。

(2024年2月18日:購入したときの価格)

楽天市場で定期的に開催されるタイムセール系イベントにて、TLET TLD-M7Aの1TB版が実質8500円、2TB版が実質16000円です。

2TB版はともかく1TB版なら、中国産232層品より安くなる傾向が確認されています。あとは価格相応の無難な性能にとどまるのか、お値段以上の性能を出せるかどうかが重要です。

やかもち
HIKSEMIとLexarの中華ハイエンドが価格破壊してて、過酷な競争を強いられている印象。

TLET TLD-M7Aを開封レビュー

パッケージデザイン & 開封

TLET TLD-M7Aをレビュー(パッケージデザイン)
東芝エルイートレーディング / 性能 : 最大7000 MB秒 / 容量 : 1 TB / 耐久性 : 700 TBW / 保証 : 3年
東芝エルイートレーディング / 性能 : 最大7000 MB秒 / 容量 : 2 TB / 耐久性 : 1400 TBW / 保証 : 3年

今回レビューで使うサンプルは、楽天市場にて1TB版を実質8500円同じく楽天市場にて2TB版を実質16000円で購入しました。

TLET TLD-M7Aをレビュー(パッケージデザイン)

白い背景に製品の型番やスペックが記載されただけの味気ないパッケージデザインです。商社系SSDの中でも特にコストカット度合いが大きい印象ですが、安くて高性能なら問題ありません。

パッケージ裏面に「保証期間3年」と記載があり、東芝エルイートレーディング株式会社のサポート連絡先(フリーダイヤル:0120-76-1048)も記載されています。

TLET TLD-M7Aをレビュー(付属品など)

付属品なし。紙製のケースに、静電気防止袋でくるまれたSSD本体が収まっています。

6 mm厚のヒートシンクが取付済み

TLET TLD-M7Aをレビュー(基板コンポーネント)

高級感あるマットブラック塗装のプリント基板上に、分厚いアルミニウム製ヒートシンクが取付済み。

保証書いわく、付属のヒートシンクを剥がすと製品保証が無効になります。ヒートシンクを剥がさずそのまま使いましょう。

TLET TLD-M7Aをレビュー(基板コンポーネント)

裏面もアルミニウム製のケースが取り付けてあり、交換保証(RMA)申請時に必要となるシリアルナンバー(S/N)が記載されたラベルシールが貼られています。

各国の規制に対応する認証ロゴは一切なし。おそらく日本国内だけで販売している製品なので、海外の認証を受ける必要がないからです。

TLET TLD-M7Aをレビュー(基板コンポーネント)

表面だけにコンポーネントが実装されているシンプルな片面実装のNVMe SSDです。

取り付けスペースが狭いノートパソコンで問題なく使えますが、付属ヒートシンクが分厚いのでそのままだとノートパソコンに搭載できません。

TLET TLD-M7Aをレビュー(基板コンポーネント)

ちなみに2 TBモデルは両面実装です。

TLET TLD-M7Aをレビュー(ヒートシンクの設計)

付属のアルミニウム製ヒートシンクを少し深堀りします。ノギスで実測するともっとも分厚い部分でなんと6 mmです。表面積が限られるかわりに、厚みで放熱性を確保する狙いです。

TLET TLD-M7Aをレビュー(ヒートシンクの設計)

さらに細かいフィンカット加工が5本も施されています。内側をえぐるような深いカットもあり、ケースファンでゆるく風を当てたときに高い冷却性能を発揮しやすいデザインです。

TLET TLD-M7Aをレビュー(付属ヒートシンクの取り外し方法)

付属ヒートシンクと基板の間に「サーマルコンパウンド」が隙間なくぎっしり敷き詰められています。隙間なくギシギシにサーマルコンパウンドが入っているので、ヒートシンクへ上手く熱が伝わります。

熱伝導率に優れるサーマルシートを使えばもっと効率よく冷やせますが、基板上のコンポーネントがバラバラの高さだった場合、厚みの違うサーマルシートを複数用意する必要がありコストがかさみます。

圧着だけでヒートシンクと基板の隙間を埋められるサーマルコンパウンドの採用は、コストカットと冷却性能の安定した両立が可能で極めて合理的です。

基板コンポーネント

TLET TLD-M7Aをレビュー(付属ヒートシンクの取り外し方法)

TLET TLD-M7Aの付属ヒートシンクを剥がして、基板上のコンポーネントを目視で確認します(※3年間の製品保証が切れる行為ですので、真似しない方が安全)

TLET TLD-M7Aをレビュー(付属ヒートシンクの取り外し方法)

ヒートシンク側面の小ネジ(+00×50)を外します。

ネジを押さえつける力90%:ネジを回す力10%くらいの比率がコツです。ネジを押し込まずに回すと、いとも簡単にねじ山が潰れてしまいます。

TLET TLD-M7Aをレビュー(付属ヒートシンクの取り外し方法)

4本の小ネジを外すと、金属製のケースからSSDを取り出せます。

TLET TLD-M7Aをレビュー(付属ヒートシンクの取り外し方法)

分解ベラをヒートシンクと基板の間に挿し込み、ギコギコとサーマルコンパウンドをえぐり出します。

いきなり基板からヒートシンクを剥がそうとすると、サーマルコンパウンドの粘着力が強すぎて基板が曲がったり、最悪の場合はコンポーネントがクラックします。

先にサーマルコンパウンドをえぐって粘着力を削いでおきましょう。

TLET TLD-M7Aをレビュー(付属ヒートシンクの取り外し方法)

ノコギリのように分解ベラをギコギコと動かして、サーマルコンパウンドをえぐり続けると・・・いずれヒートシンクが勝手に剥がれます。

初心者もち
保証終わったね、元に戻してもバレバレだよ
やかもち
・・・確かにサーマルコンパウンドだと分解痕が目立ちますね。
TLET TLD-M7Aをレビュー(付属ヒートシンクの取り外し方法)

無事(?)、基板からヒートシンクを剥がせました。目の荒い液晶用クリーナー(不織布)でゴシゴシと残りのサーマルコンパウンドを除去して、コンポーネントを確認します。TLET TLD-M7Aをレビュー(基板コンポーネント)

  • コントローラ:Phison E18
    PS5018-E18-41 0E2307H P0PA27.001BB
  • DRAM:SK Hynix DDR4メモリ
    H5AN8G6NDJ RXNC 245V NWDRJV40JP1
  • NAND:Micron 176層 3D TLC NAND
    1A7BG94AYA K2313F AD3T066A00

SSDコントローラにPhison E18、NANDメモリはMicron製、DRAMキャッシュにSK Hynix製を搭載します。

TLET TLD-M7Aをレビュー(基板コンポーネント)

SSDコントローラはPhisonが開発する「Phison E18」を搭載。いわゆるPhisonリファレンス基板(テンプレ品)で有名な、PCIe 4.0対応SSDコントローラです。

Phisonのメディア向け資料によると、台湾TSMC 12 nm製のARM Cortex R5をベースにしたトリプルコアSoCです。LPDDR4またはDDR4メモリ(最大3200 Mbps)をDRAMキャッシュとして利用できます。

最大8チャネルのNANDメモリを束ねられ、各チャネル最大1200 MT/sの転送レートに対応します。1チャネルあたりの転送レートが低いので、大量のNANDメモリを搭載しないとシーケンシャル性能を稼ぎづらい設計です。

参考までに、新設計のPhison E25がチャネルあたり最大2400 MT/s、中国産232層品で知られるMaxio MAP1602Aも最大2400 MT/s対応です。

半分の転送レート(最大1200 MT/s)しかないPhison E18はもう時代遅れの設計と言って差し支えないでしょう。

やかもち
2020年に発売された当時、PCIe 4.0最高クラスの性能を持つSSDコントローラでしたが、4年が経過した今ではミドルクラス相当に位置します。

ちなみに、SSDコントローラのすぐそばに位置する小さなICはPMIC(電源管理用のICチップ)で、型番はPhison PS6102です。

TLET TLD-M7Aをレビュー(基板コンポーネント)

DRAMキャッシュはSK Hynix製DDR4メモリを搭載。刻印のFBGAコード「H5AN8G6NDJ」で検索すると、記憶密度8 GbのDDR4 SDRAM(DDR4メモリ)と分かります。

動作クロック2666 MHz、記憶密度8 Gb(8192 Mb = 容量1024 MB)のDDR4メモリです。

TLET TLD-M7Aをレビュー(基板コンポーネント)

NANDメモリはMicron製「B47R Fortis Flash」を搭載。

  • Bank00: 0x2c,0xc3,0x8,0x32,0xea,0x30,0x0,0x0 – Micron 176L(B47R) TLC 512Gb/CE 512Gb/die
  • Bank01: 0x2c,0xc3,0x8,0x32,0xea,0x30,0x0,0x0 – Micron 176L(B47R) TLC 512Gb/CE 512Gb/die
  • Bank02: 0x2c,0xc3,0x8,0x32,0xea,0x30,0x0,0x0 – Micron 176L(B47R) TLC 512Gb/CE 512Gb/die
  • Bank03: 0x2c,0xc3,0x8,0x32,0xea,0x30,0x0,0x0 – Micron 176L(B47R) TLC 512Gb/CE 512Gb/die
  • Bank04: 0x2c,0xc3,0x8,0x32,0xea,0x30,0x0,0x0 – Micron 176L(B47R) TLC 512Gb/CE 512Gb/die
  • Bank05: 0x2c,0xc3,0x8,0x32,0xea,0x30,0x0,0x0 – Micron 176L(B47R) TLC 512Gb/CE 512Gb/die
  • Bank06: 0x2c,0xc3,0x8,0x32,0xea,0x30,0x0,0x0 – Micron 176L(B47R) TLC 512Gb/CE 512Gb/die
  • Bank07: 0x2c,0xc3,0x8,0x32,0xea,0x30,0x0,0x0 – Micron 176L(B47R) TLC 512Gb/CE 512Gb/die
  • Bank08: 0x2c,0xc3,0x8,0x32,0xea,0x30,0x0,0x0 – Micron 176L(B47R) TLC 512Gb/CE 512Gb/die
  • Bank09: 0x2c,0xc3,0x8,0x32,0xea,0x30,0x0,0x0 – Micron 176L(B47R) TLC 512Gb/CE 512Gb/die
  • Bank10: 0x2c,0xc3,0x8,0x32,0xea,0x30,0x0,0x0 – Micron 176L(B47R) TLC 512Gb/CE 512Gb/die
  • Bank11: 0x2c,0xc3,0x8,0x32,0xea,0x30,0x0,0x0 – Micron 176L(B47R) TLC 512Gb/CE 512Gb/die
  • Bank12: 0x2c,0xc3,0x8,0x32,0xea,0x30,0x0,0x0 – Micron 176L(B47R) TLC 512Gb/CE 512Gb/die
  • Bank13: 0x2c,0xc3,0x8,0x32,0xea,0x30,0x0,0x0 – Micron 176L(B47R) TLC 512Gb/CE 512Gb/die
  • Bank14: 0x2c,0xc3,0x8,0x32,0xea,0x30,0x0,0x0 – Micron 176L(B47R) TLC 512Gb/CE 512Gb/die
  • Bank15: 0x2c,0xc3,0x8,0x32,0xea,0x30,0x0,0x0 – Micron 176L(B47R) TLC 512Gb/CE 512Gb/die
  • Bank00: 0x2c,0xc3,0x8,0x32,0xea,0x30,0x0,0x0 – Micron 176L(B47R) TLC 512Gb/CE 512Gb/die
  • Bank01: 0x2c,0xc3,0x8,0x32,0xea,0x30,0x0,0x0 – Micron 176L(B47R) TLC 512Gb/CE 512Gb/die
  • Bank02: 0x2c,0xc3,0x8,0x32,0xea,0x30,0x0,0x0 – Micron 176L(B47R) TLC 512Gb/CE 512Gb/die
  • Bank03: 0x2c,0xc3,0x8,0x32,0xea,0x30,0x0,0x0 – Micron 176L(B47R) TLC 512Gb/CE 512Gb/die
  • Bank04: 0x2c,0xc3,0x8,0x32,0xea,0x30,0x0,0x0 – Micron 176L(B47R) TLC 512Gb/CE 512Gb/die
  • Bank05: 0x2c,0xc3,0x8,0x32,0xea,0x30,0x0,0x0 – Micron 176L(B47R) TLC 512Gb/CE 512Gb/die
  • Bank06: 0x2c,0xc3,0x8,0x32,0xea,0x30,0x0,0x0 – Micron 176L(B47R) TLC 512Gb/CE 512Gb/die
  • Bank07: 0x2c,0xc3,0x8,0x32,0xea,0x30,0x0,0x0 – Micron 176L(B47R) TLC 512Gb/CE 512Gb/die
  • Bank08: 0x2c,0xc3,0x8,0x32,0xea,0x30,0x0,0x0 – Micron 176L(B47R) TLC 512Gb/CE 512Gb/die
  • Bank09: 0x2c,0xc3,0x8,0x32,0xea,0x30,0x0,0x0 – Micron 176L(B47R) TLC 512Gb/CE 512Gb/die
  • Bank10: 0x2c,0xc3,0x8,0x32,0xea,0x30,0x0,0x0 – Micron 176L(B47R) TLC 512Gb/CE 512Gb/die
  • Bank11: 0x2c,0xc3,0x8,0x32,0xea,0x30,0x0,0x0 – Micron 176L(B47R) TLC 512Gb/CE 512Gb/die
  • Bank12: 0x2c,0xc3,0x8,0x32,0xea,0x30,0x0,0x0 – Micron 176L(B47R) TLC 512Gb/CE 512Gb/die
  • Bank13: 0x2c,0xc3,0x8,0x32,0xea,0x30,0x0,0x0 – Micron 176L(B47R) TLC 512Gb/CE 512Gb/die
  • Bank14: 0x2c,0xc3,0x8,0x32,0xea,0x30,0x0,0x0 – Micron 176L(B47R) TLC 512Gb/CE 512Gb/die
  • Bank15: 0x2c,0xc3,0x8,0x32,0xea,0x30,0x0,0x0 – Micron 176L(B47R) TLC 512Gb/CE 512Gb/die
  • Bank16: 0x2c,0xc3,0x8,0x32,0xea,0x30,0x0,0x0 – Micron 176L(B47R) TLC 512Gb/CE 512Gb/die
  • Bank17: 0x2c,0xc3,0x8,0x32,0xea,0x30,0x0,0x0 – Micron 176L(B47R) TLC 512Gb/CE 512Gb/die
  • Bank18: 0x2c,0xc3,0x8,0x32,0xea,0x30,0x0,0x0 – Micron 176L(B47R) TLC 512Gb/CE 512Gb/die
  • Bank19: 0x2c,0xc3,0x8,0x32,0xea,0x30,0x0,0x0 – Micron 176L(B47R) TLC 512Gb/CE 512Gb/die
  • Bank20: 0x2c,0xc3,0x8,0x32,0xea,0x30,0x0,0x0 – Micron 176L(B47R) TLC 512Gb/CE 512Gb/die
  • Bank21: 0x2c,0xc3,0x8,0x32,0xea,0x30,0x0,0x0 – Micron 176L(B47R) TLC 512Gb/CE 512Gb/die
  • Bank22: 0x2c,0xc3,0x8,0x32,0xea,0x30,0x0,0x0 – Micron 176L(B47R) TLC 512Gb/CE 512Gb/die
  • Bank23: 0x2c,0xc3,0x8,0x32,0xea,0x30,0x0,0x0 – Micron 176L(B47R) TLC 512Gb/CE 512Gb/die
  • Bank24: 0x2c,0xc3,0x8,0x32,0xea,0x30,0x0,0x0 – Micron 176L(B47R) TLC 512Gb/CE 512Gb/die
  • Bank25: 0x2c,0xc3,0x8,0x32,0xea,0x30,0x0,0x0 – Micron 176L(B47R) TLC 512Gb/CE 512Gb/die
  • Bank26: 0x2c,0xc3,0x8,0x32,0xea,0x30,0x0,0x0 – Micron 176L(B47R) TLC 512Gb/CE 512Gb/die
  • Bank27: 0x2c,0xc3,0x8,0x32,0xea,0x30,0x0,0x0 – Micron 176L(B47R) TLC 512Gb/CE 512Gb/die
  • Bank28: 0x2c,0xc3,0x8,0x32,0xea,0x30,0x0,0x0 – Micron 176L(B47R) TLC 512Gb/CE 512Gb/die
  • Bank29: 0x2c,0xc3,0x8,0x32,0xea,0x30,0x0,0x0 – Micron 176L(B47R) TLC 512Gb/CE 512Gb/die
  • Bank30: 0x2c,0xc3,0x8,0x32,0xea,0x30,0x0,0x0 – Micron 176L(B47R) TLC 512Gb/CE 512Gb/die
  • Bank31: 0x2c,0xc3,0x8,0x32,0xea,0x30,0x0,0x0 – Micron 176L(B47R) TLC 512Gb/CE 512Gb/die

「B47R Fortis Flash」は176層まで積み上げた3D TLC NAND(88 + 88層の2デッキ方式)です。

発売から3年近くが経過しようとしているある意味枯れたNANDメモリですが、pSLCキャッシュ制御が上手いPhison E18との組み合わせで今も人気があります。

記憶密度が512 Gb(ビット密度は10.3 Gb/mm²)で現行世代の50%しかない分、容量を稼ぐために2倍のNANDメモリが必要です。よって、現行世代よりも書き込み性能を維持しやすい傾向が強いです。

TLET TLD-M7Aの性能をベンチマーク

テスト環境を紹介

TLET TLD-M7Aをレビュー(テストPCスペック)
テスト環境
「ちもろぐ専用:SSDベンチ機」
CPUCore i7 13700K16コア24スレッド(TDP:125 W)
CPUクーラー虎徹Mark III120 mmサイドフロー空冷
マザーボードBIOSTARZ790 Valkyrie
メモリDDR5-6000 16GB x2G.Skill Trident Z5 Neo RGB
グラフィックボードRTX 4060 Ti
テスト対象TLET TLD-M7A 1TB
TLET TLD-M7A 2TB
システムSSDHIKSEMI FUTURE70-02TB 2TB
電源ユニット850 WCorsair HX850i 2021
OSWindows 11 Pro検証時のバージョンは「22H2」
ドライバNVIDIA 536.40 WHQL
ディスプレイ3840 x 2160@160 Hz使用モデル「Innocn 27M2V

SSDベンチマークに使用する専用の機材です。

最大15.76 GB/sまで対応できるPCIe 5.0世代の「Intel Z790」マザーボードに、シングルスレッド性能が非常に速い「Core i7 13700K」を搭載。

Ryzen 9 5950X超えのマルチスレッド性能と、現行最強クラスのシングルスレッド性能で、最大14000 MB/s超えの次世代Gen 5 SSDも難なく処理できます。

SSDのセットアップについて
SSDベンチマークのセットアップ

原則として、CPUに直結したM.2スロットまたはPCIeスロットにテスト対象のSSDを接続します。チップセット経由だと応答速度が低下※してしまい、SSD本来の性能を検証できません。

ベンチ機に採用した「Z790 Valkyrie」は、PCIe 5.0対応のM.2スロットを1本、PCIeスロットを2本備えます。複数の爆速SSDをCPUに直結できる稀有なマザーボードです。

※チップセット経由による性能低下はAMDチップセットだと緩和されますが、CPU直結時と比較して性能が下がる傾向自体は同じです。

SSDの冷却について
SSDベンチマークのセットアップ

SSDを熱から保護するサーマルスロットリングによって性能に悪影響が出ないように、以下のような手段でテスト対象のSSDを冷却しながらベンチマークを行います。

  • M.2ヒートシンク「Thermalright HR-09」を装着
  • 120 mmケースファンを至近距離に設置して冷却

SSDを徹底的に冷やして、サーマルスロットリングがテスト結果に影響を与えないように対策しています。

なお、10分間の温度テスト時のみM.2ヒートシンクとケースファンを取り除いて、温度の上昇を観察します。

SSDドライブ情報と利用できる容量

TLET TLD-M7Aをベンチマーク(Crystal Disk Info)
  • インターフェース:NVM Express
  • 対応転送モード:PCIe 4.0 x4
  • 対応規格:NVM Express 1.4
  • 対応機能:S.M.A.R.T. / TRIM / VolatileWriteCache

「TLET TLD-M7A」の初期ステータスをCrystal Disk Infoでチェック。特に問題なし。

TLET TLD-M7Aをベンチマーク(フォーマット時の空き容量)

フォーマット時の初期容量は「931 GB」でした。

Crystal Disk Mark 8

「Crystak Disk Mark 8」は、日本どころか世界で一番有名と言っても過言ではない、定番のSSDベンチマークソフトです。性能の変化をチェックするため、初期設定の「1 GiB」に加え、最大設定の「64 GiB」もテストします。

Crystal Disk Mark 8の結果※クリックで画像拡大します
TLET TLD-M7Aをベンチマーク(Crystal Disk Mark 8)TLET TLD-M7Aをベンチマーク(Crystal Disk Mark 8)
テストサイズ:1 GiB(MB/s)テストサイズ:64 GiB(MB/s)
TLET TLD-M7Aをベンチマーク(Crystal Disk Mark 8)TLET TLD-M7Aをベンチマーク(Crystal Disk Mark 8)
テストサイズ:1 GiB(レイテンシ)テストサイズ:64 GiB(レイテンシ)

シーケンシャル読み込み速度が7000 MB/s超え、シーケンシャル書き込みは5800 MB/s超えで、どちらもメーカー公称値どおりです。

テストサイズを64 GiBに変更してもシーケンシャル性能に変化なく、ランダムアクセス性能(RND4K Q1T1)が下がる症状も見られません。DRAMキャッシュ搭載モデルによくある安定した挙動です。

TLET TLD-M7A(Crystal Disk Mark 8で応答時間を比較)

体感性能や実用性能に影響が大きい、4KBランダムアクセスのレイテンシ(応答時間)の比較グラフです。

TLET TLD-M7Aはなんと42 μsで、ハイエンド中華SSD(232層品)に迫る数値に。ただし2 TB版は応答時間が若干遅くなります。

TLET TLD-M7A(Crystal Disk Mark 8で応答時間を比較)

書き込みレイテンシも非常に高速です。

ATTO Disk Benchmark

TLET TLD-M7Aをベンチマーク(ATTO Disk Benchmark)

ATTO Disk Benchmarkは、テストファイルを小刻みに分割してSSDのスループット(シーケンシャル性能)を測定し、SSDがピーク性能を出しやすいファイルサイズを探るベンチマークソフトです。

ベンチマーク結果からSSDの評価が非常に分かりにくいので、表計算ソフトを使ってグラフ化して他のSSDと比較します。

TLET TLD-M7Aをベンチマーク(ATTO Disk Benchmark)
TLET TLD-M7Aをベンチマーク(ATTO Disk Benchmark)

512 Bから512 KBまで、すべてのテスト領域で平均的な性能を示します。512 KB以上で2 TB版の性能が伸びにくい傾向あり。

TLET TLD-M7Aをベンチマーク(ATTO Disk Benchmark)
TLET TLD-M7Aをベンチマーク(ATTO Disk Benchmark)

書き込み速度も同じ傾向が見られ、やはり2 TB版だと512 KB以上から性能の伸びが悪いです。

容量が多いぶんSSDコントローラに接続されているNANDメモリ数も多いせいで、アクセスタイムで不利になっている可能性があります。

やかもち
基本的なベンチマークは以上です。次は実戦テストでTLET TLD-M7Aの実力を確かめます。

TLET TLD-M7Aを実運用で試す

FF14のロード時間を比較

FF14:暁月のフィナーレ(ベンチマークモード)で、ゲームロード時間を測定します。ベンチマーク終了後に、ログファイルからロード時間を読み取ります。

TLET TLD-M7Aをベンチマーク(FF14のゲームロード時間)

TLET TLD-M7Aのロード時間は「5.96秒」2 TB版が「6.25秒」でした。

FPSタイトルのロード時間を比較

PCMark 10 Professional Edition(有償版)で利用できる機能を使って、「Battlefield V」「Call of Duty Black Ops IV」「Overwatch 2」のロード時間を測定します。

なお、測定されたロード時間は各スコアから逆算された概算値(ざっくりとした予想値)です。実際のロードとは異なっているので注意してください。

TLET TLD-M7Aをベンチマーク(Battlefield Vのゲームロード時間)
TLET TLD-M7Aをベンチマーク(Call of Duty Black Ops IVのゲームロード時間)
TLET TLD-M7Aをベンチマーク(Overwatch 2のゲームロード時間)

テストした3タイトルすべてで、TLET TLD-M7AはおおむねSamsung 980 PROと同じくらいの性能です。

最大2400 MT/sの高性能コントローラを備えるハイエンド中華SSD(232層品)や、Crucial T500には残念ながら太刀打ちできません。

「原神」のロード時間を比較

大人気RPGタイトル「原神」のロード時間を実際にテストします。

  1. 初回ロード(データロード0%からクリック可能になるまで)
  2. 初回ロード(クリックしてから操作可能になるまで)
  3. モンドからフォンテーヌへワープ
  4. フォンテーヌからスメールシティへワープ
  5. スメールシティから稲妻城へワープ
  6. 稲妻城からモンドへワープ

上記6パターンを録画ソフト(120 fps)を使って記録し、動画編集ソフトに取り込んでフレーム単位でロード時間を比較しました。

TLET TLD-M7Aをベンチマーク(原神のゲームロード時間)

TLET TLD-M7Aは「53.15秒」でした。

2024年1月時点、原神の最新バージョン(v4.3)は以前よりもSSDの性能がロード時間に反映されづらい傾向が強く、微妙な性能差にとどまります。

TLET TLD-M7Aをベンチマーク(原神のゲームロード時間)

各シーン別のロード時間(※グラフの左から順番にパターン1~6並び)です。

初回ロード(#1~#2)でしか目立った差がなく、ファストトラベル(ワープ時)のパターンだとほぼ同等のロード時間でした。

パターン6(稲妻城からモンドへワープ)は、すでに読み込んだマップが大量に含まれるため、基本的に大きな時間差はつきません。

DirectStorageのロード時間を比較

DirectStorage APIとは何か?

Windows 11はゲームのロード時間を大幅に短縮する「DirectStorage API」に対応しています。

SSDに保存されているゲームデータをメインメモリに送り込み、メインメモリからVRAMに流し込みます。入ってきたデータをGPUの凄まじい演算性能で展開(解凍)し、ゲームロード時間を短縮する技術です。

NVMe SSDからメインメモリにデータを転送する部分で、SSDのシーケンシャル性能が重視されます。SATA SSDよりNVMe SSD、同じNVMe SSDでもPCIe 4.0やPCIe 5.0の方が有利になる可能性が高いです。

TLET TLD-M7Aをベンチマーク(DirectStorage APIのゲームロード時間)
TLET TLD-M7Aをベンチマーク(DirectStorage APIのゲームロード時間)

CPUで展開する場合はCPUの演算性能がボトルネックになってしまい、SSDの性能差がそれほど確認できません。

TLET TLD-M7Aをベンチマーク(DirectStorage APIのゲームロード時間)
TLET TLD-M7Aをベンチマーク(DirectStorage APIのゲームロード時間)

GPU展開(RTX 4060 Tiで展開)では、シーケンシャル性能に比例した性能差ハッキリと出ます。

TLET TLD-M7Aは0.22秒(19.28 GB/s)で、定番のハイエンドNVMe SSDたちに匹敵するロードタイムです。

とはいえ絶対値で見るとコンマ秒レベルの差しかなく、実用上のロード時間は実質的に同じと言える状況です。

ファイルコピーにかかった時間

Windows標準のコピペ機能と目視によるストップウォッチでは正確性に欠けるので、ファイルコピーに便利なフリーソフト「DiskBench」を使って、ファイルコピーに掛かった時間を計測します。

  • ゲームフォルダ(容量85.3 GB / 81424個)
  • 写真ファイル(容量113 GB / 5012枚)
  • 圧縮データ(容量256 GB / zipを2個)

以上3つの素材をファイルコピーテストに使います。ソース(基準となるストレージ)は安定した性能に定評がある「Optane SSD P5810X 400GB」です。

TLET TLD-M7Aをベンチマーク(ファイルコピーに掛かった時間)
TLET TLD-M7Aをベンチマーク(ファイルコピーに掛かった時間)
TLET TLD-M7Aをベンチマーク(ファイルコピーに掛かった時間)

書き込み(Optane P5810X → TLET TLD-M7A)のコピペ時間です。

写真フォルダの書き込みでほぼトップクラス、ゲームフォルダとZipファイルの書き込みは過去レビューしたSSDで最高記録を更新します。TLET TLD-M7Aの書き込み性能は文句なしに優秀です。

TLET TLD-M7Aをベンチマーク(ファイルコピーに掛かった時間)
TLET TLD-M7Aをベンチマーク(ファイルコピーに掛かった時間)
TLET TLD-M7Aをベンチマーク(ファイルコピーに掛かった時間)

次は読み込み(TLET TLD-M7A → Optane P5810X)のコピペ時間です。

TLET TLD-M7Aの読み込みは好き嫌いがやや出ます。容量の大きいファイルならトップクラスの読み込み速度を出せる一方、ゲームフォルダ(細かいファイルの集合体)の読み込みがやや遅い傾向です。

比較グラフをよく見ると、シーケンシャル性能の割にコピー時間が遅いSSDがポツポツと見られます。

なぜシーケンシャル性能の割に遅いSSDが出てしまうのか。理由は単に「間髪入れずに次のコピーテストを実行」しているからです。

  • Zip(256 GB)→ 写真(113 GB)→ ゲーム(85.3 GB)の順番

SSDは書き込み性能を稼ぐためにSLCキャッシュを使って耐える製品が多いですが、このSLCキャッシュの回復が遅いと・・・次のコピーテストに間に合わずTLC NAND本来の性能でテストが実行されます。

SLCキャッシュをスピーディーに再展開できるかかどうかも実力の内と(筆者は)考えているので、コピーテストは間髪入れず次から次へと実行します。

Premiere Pro CC:4K動画プレビュー

動画編集ソフト「Adobe Premiere Pro CC」に、4K動画素材(448 MB/s)と2K動画素材(175 MB/s)を読み込み、2つの動画を同時にプレビューします。

Premiere Proの動画素材プレビューは、素材を配置しているストレージの性能に影響を受けやすく、SSDの性能が不足すると「コマ落ち」が発生しやすいです。

Premiere Proの標準機能「コマ落ちインジケータ」で落としたフレームを測定し、動画素材の総フレーム数で割ってドロップフレーム率を計算します。

TLET TLD-M7Aをベンチマーク(Premiere Pro 4Kプレビュー)

4K + 2K動画プレビューのドロップフレーム率は約15.6%です。他のNVMe SSDと同じく平凡なドロップフレーム率にとどまります。

TLET TLD-M7Aをベンチマーク(Premiere Pro 4Kプレビュー)

4K動画プレビューでは約5%で悪くない結果です。しかし、応答速度がやや遅い2 TB版だと約9%までドロップフレーム率が悪化します。

やかもち
3K動画素材(@251 MB/s)以下は、ドロップフレーム率「0%」で問題なし。比較グラフは省略します。

PCMark 10:SSDの実用性能

PCMark 10 Professional Editionの「Full System Drive Benchmark」を使って、SSDの実際の使用シーンにおける性能を測定します。

Full System Drive Benchmarkには23種類のテストパターン(Trace)が収録されており、パターンごとの転送速度や応答時間を測定し、SSDの実用性能をスコア化します。

なお、SSDは空き容量によって性能が大きく変化する可能性があるため、空き容量100%だけでなく容量を90%埋めた場合(= 空き容量10%)のテストも行いました(※2回:連続で約2時間のワークロード)

TLET TLD-M7Aの実用性能(PCMark 10 ストレージスコア)
TLET TLD-M7Aの実用性能(PCMark 10 ストレージスコア)
TLET TLD-M7Aの実用性能(PCMark 10 ストレージスコア)

TLET TLD-M7A(1 TB版)のストレージスコア(空き容量10%時)は「2696点」です。空き容量100%なら3489点で、空き容量による性能低下が約23%に達します。

TLET TLD-M7A(2 TB版)のストレージスコア(空き容量10%時)は「3421点」です。空き容量100%なら3497点で、容量が多いぶん空き容量による性能低下をわずか約2%に抑えられています。

1 TB版の本来の実力はざっくりEXCERIA PLUS G3相当で、Samsung 980 PROをやや上回る程度。2 TB版なら性能低下がかなり少なく抑えられ、ハイエンド中華SSD(232層品)に迫る性能を維持できます。

TLET TLD-M7Aの実用性能(PCMark 10 Adobeソフト)
TLET TLD-M7Aの実用性能(PCMark 10 ゲームロード時間)
TLET TLD-M7Aの実用性能(PCMark 10 ファイルコピー)
TLET TLD-M7Aの実用性能(PCMark 10 Microsoft Office)

PCMark 10ストレージテストの細かい内訳を確認します。

基本的にすべてのテスト内容で、TLET TLD-M7AはSamsung 980 PROやCrucial P5 Plusより高いスコアです。

しかし、同じ価格帯で競合しやすいハイエンド中華SSD(Lexar NM790やHIKSEMI FUTUREなど)に割と大きな性能差をつけられており、設計の型落ち感を否定できません。

やかもち
2020年発売の古いコントローラ「Phison E18」だから、妥当な結果だと思われます。
実用スコアの内訳
Full System Drive Benchmark
Adobe ScoreAdobe Acorbatの起動
Adobe After Effectsの起動
Adobe Illustratorの起動
Adobe Premiere Proの起動
Adobe Lightroomの起動
Adobe Photoshopの起動
Adobe After Effets
Adobe Illustrator
Adobe InDesign
Adobe Photoshop(重たい設定)
Adobe Photoshop(軽量設定)
Game ScoreBattlefield Vの起動(メインメニューまで)
Call of Duty Black Ops 4の起動(メインメニューまで)
Overwatchの起動(メインメニューまで)
Copy Score合計20 GBのISOファイルをコピー(書き込み)
ISOファイルを作成してコピー(読み込みと書き込み)
ISOファイルをコピー(読み込み)
合計2.37 GBのJPEGファイルをコピー(書き込み)
JPEGファイルを作成してコピー(読み込みと書き込み)
JPEGファイルをコピー(読み込み)
Office ScoreWindows 10の起動
Microsoft Excel
Microsoft PowerPoint

15分間の連続書き込みテスト

1 MBのテストファイルを15分間に渡って、ただひたすら連続して書き込み続ける過酷な検証方法です。

一般向けに販売されているほとんどのSSDは、数分ほど連続して書き込むだけで「素の性能」を明らかにできます。SLCキャッシュの有無やサイズ、キャッシュが切れた後の性能低下などなど。

15分の連続書き込みテストによって、SSDのいろいろな挙動が判明します。

TLET TLD-M7Aの連続書き込み性能(15分)をテスト
TLET TLD-M7Aの連続書き込み性能(15分)をテスト

(1枚目:比較グラフ / 2枚目:強調グラフ)

Phison E18コントローラのpSLCキャッシュ制御は少し解釈が難しいです。何が起こっているのか分かりやすいように、pSLCキャッシュをもっと強制的に剥がす方法でテストしたグラフが以下。

約335 GBを書き込んだ後、一気に書き込み性能が悪化します。その後、テストが終了する(約900 GBを書き込む)まで一切SLCキャッシュが復活せず、平均900 MB/sの書き込み性能でした。

グラフの中身をざっくりと解説します。

  1. pSLCキャッシュで爆速(約335 GBまで)
  2. pSLCキャッシュが切れてTLC NAND本来の性能に
  3. テスト終了までpSLCキャッシュは一切復活しない

Phison E18コントローラのキャッシュ制御は仕様が公開されていないので推測になりますが、おそらく空き容量の最大3分の1をまるまるpSLCキャッシュとして利用できるようです。

一度に300 GB以上を書き込むシーンはなかなか無いので、実用上十分なpSLCキャッシュ容量でしょう。

2 TB版の書き込み性能は非常に優秀です。

  1. pSLCキャッシュで爆速(約338 GBまで)
  2. pSLCキャッシュからTLC NANDへのデータ移動モードに変化
  3. 約1140 GB書き込んでようやくpSLCキャッシュが切れ
    ・・・TLC NAND本来の性能に
  4. テスト終了までpSLCキャッシュは一切復活しない

SSDの基本原則「容量が大きいほど性能を維持しやすい」をそのまま反映する、教科書的なグラフに仕上がりました。

TLET TLD-M7Aの2 TB版は容量2048 MBのDRAMキャッシュも備えているため、なおさら書き込み性能が下がりづらいです。

TLET TLD-M7Aの連続書き込み性能(15分)をテスト

時間あたりの書き込み量を比較したグラフです。

TLET TLD-M7A(1 TB版)は15分で約1600 GBの書き込みサイズで、Samsung 980 PROやPlatinum P41につづきます。

なお、2 TB版が叩き出した約2700 GBの書き込みサイズは過去レビューした2 TBモデルとして最高の記録です。

やかもち
DRAMキャッシュがないHIKSEMI FUTUREとの性能差が意外と小さくて驚きました。

SSDの動作温度をテスト

高負荷時のセンサー温度

TLET TLD-M7Aで表示される温度センサー

モニターソフト「HWiNFO」で表示できる温度センサーは1つです。

  • ドライブ温度:NANDメモリの温度

付属ヒートシンクの影響で熱が分散されてしまい、どこの温度を示しているかは不明です。

TLET TLD-M7AのSSD温度をテスト(高負荷時)

付属ヒートシンクをつけたまま、ケースファンによるエアフローを一切与えない環境で、SSDが激しく発熱しやすい「連続書き込みテスト」を10分間実行しました。

テスト開始から終了までおだやかに温度が上昇しつづけますが、付属ヒートシンクの冷却性能が高いおかげでサーマルスロットリングらしき症状は特に見られません。

2 TB版も同じ傾向です。テスト開始から終了まで温度が上昇するものの、付属ヒートシンクが思いのほか冷えているおかげで、サーマルスロットリングが発生しません。

サーモグラフィーで表面温度を確認

TLET TLD-M7Aの表面温度(サーモグラフィー)

テスト開始から約8~9分経過したあたりで、サーモグラフィーカメラを使ってSSDの表面温度を撮影します。

  • NANDメモリ(左):77 ~ 78
  • NANDメモリ(右):77 ~ 78℃

ヒートシンク全体がまんべんなく80℃くらいまで温度が上昇します。ソフト読みセンサー(HWiNFO)とのズレは4~5℃でなかなか正確です。

TLET TLD-M7Aの表面温度(サーモグラフィー)
  • NANDメモリ(左):82 ~ 83
  • NANDメモリ(右):82 ~ 83

2 TB版もやはりヒートシンク全体がまんべんなく80℃台まで上昇します。ソフト読みセンサー(HWiNFO)とのズレは6~7℃ほど、許容範囲でしょう。

やかもち
最初から取付済みの付属ヒートシンクがよく冷えます。わざわざ剥がす必要がないです。
【参考】Phison E18が示す温度はどこ?

ヒートシンクがない他社製品で確認したところ、Phison E18コントローラが示すセンサー温度は「NANDメモリ」と判明しています。

SSDコントローラ側の温度を表示しない仕様ですが、サーマルスロットリングの制御自体はきちんと行われているので問題なし。ただし、とても発熱が激しいSSDコントローラなので、高負荷な運用であればヒートシンク推奨です。

ヒートシンクが無いと2分くらいの連続書き込みでサーマルスロットリングが発生します。

まとめ:DRAMキャッシュで安心したいならアリ

TLET TLD-M7Aをレビュー(レビューまとめ)

「TLET TLD-M7A」のデメリットと弱点

  • 高負荷時の温度が高い
  • 空き容量による性能低下あり
  • 定価だと平凡なコスパ
  • 「非公開」項目が多い
    (パーツ変更のリスクあり)
  • 3年保証

「TLET TLD-M7A」のメリットと強み

  • 最大7000 MB/s超のシーケンシャル性能
  • DRAMキャッシュ搭載
  • 書き込み性能がとても優秀
  • Samsung 980 PRO相当の実用性能
  • かなり速いランダムアクセス速度
  • そこそこのゲームロード時間
  • 広大なpSLCキャッシュ
  • 十分な耐久性(700 ~ 3000 TBW)
  • 大容量モデルあり(最大4 TB)
  • よく冷える付属ヒートシンク
  • タイムセール価格ならコスパよし

名前のせいで「東芝」だと思われている感が強いSSDですが、実態はよくあるPhisonリファレンス基板(テンプレ品)です。

Sony NextorageやSeagate FireCudaなど、Phison E18コントローラとMicron製176層NANDの組み合わせは他社OEMモデルでも広く採用されている、意外とありふれたコンポーネント構成だったりします。

4年前に発売されたSSDコントローラゆえに実用性能で型落ち感を否定できないものの、依然としてトップクラスの書き込み性能があり、セール時の価格ならコストパフォーマンスが高いです。

付属ヒートシンクが決しておまけレベルのしょぼいモノでなく、爆熱で知られるPhison E18をきっちり冷やし切れる程度の冷却性能を備えている点も個人的に好感度が高いです。

10分連続の極端な書き込みでもサーマルスロットリングが発生しませんでした。

結論、TLET TLD-M7AはDRAMキャッシュを備えるコスパのいいNVMe SSDです。

DRAMキャッシュにこだわりがないなら定価でも安いHIKSEMI FUTURE SSDAcer Predator GM7をおすすめしますが、DRAMキャッシュによる安定した書き込み性能に魅力を感じる方はTLD-M7Aが合うでしょう。

特に2 TB版が優秀です。

以上「TLET TLD-M7Aレビュー:東芝と中華の合弁商社系NVMe SSDを詳しくベンチマーク」でした。

やかもち
SSDオタクの筆者的にあまり盛り上がらない性能だけど、一般的にTLET TLD-M7Aは安くて性能がいいコスパ優等生です。

TLET TLD-M7Aの注意点

最初に少し説明した通り、TLET TLD-M7Aの仕様表は非公開項目が多いです。

SSDコントローラ、NANDメモリ、DRAMキャッシュの有無など。SSDの性能に大きく影響するコンポーネントの詳細がすべて非公開なので、今回のレビューで確認した「Phisonリファレンス基板」が常に使われているかどうか分かりません。

購入にあたって参考にしたレビューがこちらです。5ヶ月前(2023年9月)の時点で、Phisonリファレンス基板が使われているようです。

5ヶ月経過した今も同じコンポーネント構成が続いているため、ガチャ率はかなり低いかも・・・しれません。

TLET TLD-M7Aを入手する

東芝エルイートレーディング / 性能 : 最大7000 MB秒 / 容量 : 2 TB / 耐久性 : 1400 TBW / 保証 : 3年

レビュー(2024年2月)時点で、TLET TLD-M7Aの1 TB版が約11400円ほど、2 TB版が約19800円で買えます。楽天市場のタイムセールとポイント還元込みで、2 TB版を実質16000円くらいで狙えます。

NVMe SSDのおすすめレビュー記事

おすすめなSSDを解説

Sponsored Link

8 件のコメント

  • ちょうどこれの4TB版が気になっていたので、1TB・2TB版とは言え
    詳細な検証で助かります。

  • 昨年11月2tb12800円で購入。構成は同じでした。
    注意点はヒートシンク裏側も厚みがあり、インストール場所が限定されます。マザボード上以外は干渉しました。

    • 手持ちのpcieカードで1枚nvme挿すタイプは下側の厚みで装着不可でした。コネクタ根本が折れそう。
      アマゾンで500-1000円前後で売ってるx4カードです。

  • 本製品のみならず中国製メモリ全般に言えることですが、現在の中国は半導体メモリ事業を国策の一つとして、政府による莫大な金銭的及び技術的支援を投じて開発を進めているため、製品は高性能かつ非常に安価で販売されていますが、これらの支援が落ち着てきた頃には製品の大幅な値上がりがありそうで怖い…

  • ほぼ同じ構成(sk hynix dram+micron176層)と見られる物一覧(2024/03/05 )
    ・firecuda530 高額
    ・TLD-M7A 転売の餌食
    ・Nextrage Gシリーズ セール以外は微妙
    ・corsair mp600 pro lpx 値上がりした
    ・Kingston FURY SSD Renegade 余り安くならない
    密林情報ですので別のところで安けりゃそっち行った方が良いです

  • コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です