もともとCPU内蔵グラフィックスは性能の高いグラボの代替品になることが目的ではなく、低価格PCのコスト削減やCPUの不得意分野を内蔵GPUで補って、総合的な性能を高めるのが目的だった。
しかし「内蔵GPUでゲームって出来るのか?」という疑問を持つ人は割りといるので、この記事では内蔵GPUの性能についてまとめてみる。
内蔵GPUの主流は主に2つ
デスクトップPCやノートPC向けのCPUに搭載されている内蔵GPUは、ほぼ決まって2種類です。
- Intel HD Graphics
- AMD APU
Intel製のCPUには「Intel HD Graphics」という製品が搭載され、AMD製のAPU(CPU + 内蔵GPUという意味)には「Radeon」が搭載されています。
APUはグラフィック専用のチップ(=GPU)を専門にするATIというメーカーを買収して生まれたモノなので、AMDの内蔵GPUはIntelのそれとは一線を画する性能を持っていた。
しかし、最近はIntel製の内蔵GPUも非常に高性能になってきており、2~3世代前のローエンド向けのグラフィックボードに匹敵する性能の内蔵GPUも登場している。
基本的に3DCGが多用されるような「重たいゲーム」をプレイするつもりだったら、内蔵GPUをアテにするべきはない。別途、グラフィックボードを使ったほうが絶対に幸せです。
CPU内蔵グラフィックスの性能まとめ
グラボが有利と言っても…内蔵GPUでゲームはどこまで動くのか、気になります。という人向けにちょっと詳しくまとめていく。
- GeForce MX150
- GeForce 940MX
- Intel Iris Plus 650
- Intel UHD 630
- Intel HD 620
- Intel HD 615
- Intel Iris Pro 580
- Intel Iris 550
- Intel HD 530
- Intel HD 520
- Intel HD 510
- Intel HD 500
- Intel HD 4600
- Radeon R7 Bristol
- Radeon R7 Kaveri
見ていくのは以上13種類の内蔵GPU(+比較用に、ノートPC向けのGPU2種)です。比較的新しい2014~2017年のモノばかりをまとめ、あまり古いモノは載せていない。
1~2番のMX150と940MXは、CPUに内蔵されるグラボではなく、ノートパソコン向けのグラフィックボードです。ただし性能はローエンドなので、比較としてちょうど良いかなと。
NoteBookCheck – Laptop Video Graphics Cards – Benchmark List
3DMark – Ice Storm Unlimited offscreen
3DMark – Ice Storm Unlimited Graphics Score 1280×720 offscreen
NVIDIAIntel HDAPU Radeon
低性能なノートパソコンやスマートフォン向けのベンチマーク。内蔵GPUは10万点をほとんど超えられないが、最上位の「Iris」になってくると大きく超えてローエンドGPU並です。
3DMark – Fire Strike
3DMark – Fire Strike Graphics 1920×1080
Ice Stormと似たような傾向。MX150(GT 1030相当)が圧倒的で、Irisクラスなら940MXとも戦える性能。それだけのスコアを出せるなら、軽いゲームなら問題なく動きそう。
Overwatch
Overwatch – 1280×720(低設定)
というわけで、ここからは実際のゲーミング性能で見ていく。Overwatchは割と軽量なゲームですが、内蔵GPUで快適に遊ぼうと思うなら解像度をHD(1280×720)に落とす必要がある。
それでも平均60fpsを狙うには「Iris」クラスや、最新世代の「UHD 630」などが必要になってくる。それ以下の内蔵GPUではちょっと厳しそうな結果に。
Deus Ex Mankind Divided
Deus Ex Mankind Divided – 1280×720(低設定)
非常に重たいゲームです。内蔵GPUだと20fps前後くらいしか出ない。
Battlefield 1
Battlefield 1 – 1280×720(低設定)
Battlefield 1は意外と動きます。Intel HDが世代を更新する毎にちゃんと性能が伸びていて、こういったFPSも(HD画質ですが)一応は動くんですよね…。
The Division
The Division – 1280×720(低設定)
Divisionは重め。内蔵GPUではせいぜい30fpsを出すのがやっとだ。
Fallout 4
Fallout 4 – 1280×720(低設定)
データが少ないですが、傾向としては内蔵GPUじゃ厳しい結果ですね。
Grand Theft Auto V
Grand Theft Auto V – 1024×768(低設定)
Iris Plus 650は健闘。ちなみにこの内蔵GPUは約20万円ほどするMacBook Pro(2017)に搭載されている。それ以外のマシンにはほとんど採用例が無い。
The Witcher 3
The Witcher 3 – 1024×768(低設定)
Witcher 3も内蔵GPUで動くが、狭い画面(1024×768)でこの程度。動くというより、かろうじて動いている…というレベル。
Rise of the Tomb Raider
Rise of the Tomb Raider – 1024×768(低設定)
だんだんと傾向が分かってきたね。Iris & UHDと、普通のHDで性能はざっくりと分かれている感じ。そしてA10-7850K(1.2万円くらいのCPU)に入っているR7 Kaveriも優秀だ(内蔵としては)。
Rainbow Six Siege
Rainbow Six Siege – 1024×768(低設定)
R6Sは新しい内蔵GPUを使えばちゃんと動く様子。もちろん画面サイズは1024×768なので、とても狭い…。FPSゲームで狭い画面は厳しそう。
Ghost Recon Wildlands
Ghost Recon Wildlands – 1280×720(低設定)
Ghost Reconはかなり重たい様子。HD画質なのにIrisやUHDが20fpsにすら届いていない。
World of Warships
World of Warships – 1366×768(低設定)
内蔵GPUでもサクサク動いている。グラフィックの質がそこまで高くなく、ワールド内を動き回るようなゲームでなければ、内蔵グラフィックでも意外と行けるんですね。
Mirror’s Edge Catalyst
Mirror’s Edge Catalyst – 1280×720(低設定)
ミラーズエッジは重たそう。
Far Cry Primal
Far Cry Primal – 1280×720(低設定)
Far Cry Primalも同様に、内蔵GPUでは苦戦します。30fpsを出せたのはIris Plus 650のみ。
結論:内蔵GPUの性能はまだまだ快適ではない
内蔵GPUの平均パフォーマンス
NVIDIAIntel HDAPU Radeon
平均パフォーマンスをまとめるとこんな感じで、ほとんどの内蔵グラフィックスは3DゲームをHD画質(1280×720)で動かすのがやっとで、フルHD画質(1920×1080)で動かせる内蔵GPUは未だに存在しない。
インテルとAMDが共同開発を進めている「Vega世代の内蔵グラフィックス」なら、どこまで動くのか。確実に内蔵グラフィックスの性能は伸び続けているけれど、まだまだグラフィックボードには敵わないのが現状ですね。
だって、最近の3Dゲームをマトモに動かせるようなGPUって、大抵はこんな感じでCPUより遥かにサイズが大きいパーツ※なんですよね。これと同等の性能を、狭いCPUのパッケージ内に詰め込むのは技術的にまだまだ無理がある。
※ GPUのダイ本体はここまで大きくないが、そのGPUから発せられる熱を抑えるための冷却機構がどうしても大きくなってしまう。
カジュアルなゲームを少し遊ぶくらいなら十分
World of Warships – 1366×768(低設定)
オープンワールドなMMORPGや、競技性重視のFPS / TPS系のゲームを大画面(フルHD以上)でガッツリと遊ぶ。という目的じゃないなら、内蔵GPUはそれなりに十分な性能を提供できる。
World of Warshipsのようにグラフィック品質がそこまで高くないゲームなら、画面を小さくすることでマトモに動くので、これ以下のブラウザゲーや音ゲー、数年前の古い3Dゲームなら大丈夫かと。
ただ、世代やグレードによってかなり性能差があるので「内蔵GPUって意外と動くんだ。」ではなく、「UHD 630やHD 530ならそこそこ動く。」という認識を忘れずに。
下位モデルの内蔵GPUは見ての通り、50~60%程度の性能だったりするので、CeleronやPentiumに入っている内蔵GPUに期待は禁物。それなりに動くのはCore i5 / i7の内蔵GPUです。
CPU | 内蔵グラフィックス |
---|---|
i7 8700K / 8700 | UHD 630 |
i5 8600K / 8400 | |
i3 8350K / 8100 | |
i7 7500U | HD 620 |
i5 7200U | |
Pentium 4405U | HD 510 |
Celeron N3450 | HD 500 |
こんな感じで、CPUのグレードによって搭載される内蔵GPUのグレードが決まっている。良いCPUほど、高性能な内蔵グラフィックスが入っており、低性能なCPUほどグラフィックもしょぼい。
フルHD(1920×1080)で遊ぶなら、専用のグラボを
「黒い砂漠」「PUBG」「ARK」「CS:GO」など、比較的重たい重量級タイトルをフルHDの画面でやるならグラボを忘れずに。
- フルHD & 高設定:グラフィックボード
- HD & 粗い低設定:内蔵グラフィックス
現状はこのように分けられます。
以上「データで確認する:CPUの内蔵グラフィックって性能良いの?」でした。
[…] データで確認する「CPUの内蔵グラフィックって性能良いの?」という記事を読んでみると、よほど3Dグラフィックが重いゲームでなければ、インテル HD グラフィックス 4600も十分ゲーム […]
初めまして。
LAVIE第8世代のDA770KAだと、Dead by Daylightなどはプレイ可能と思われますか?
解像度を「1280 x 720」に落とし、グラフィック設定をすべて「最低」まで落とせば、20~30fpsくらいで動くと思います。
ただ、この環境はあまりにも快適とは言い難いので、Intelの内蔵グラフィック(UHD 630など)で3Dゲームをしようとするのは得策では無いかと…。
やはりGPUが推奨スペックをクリアしていないとPC版は厳しいですね。
諦めてPS4を購入しようと思います。
ご返信いただきありがとうございました。
メモリOCするとほんのわずかに性能上がるらしい
グラボのVRAMの代わりに使ってるからだとか
どこかの記事に書いてるかもしれないけどとりあえず
急にすみません
MateBook D MRCW10H58NABNNUA
こちらのパソコンでモンハンFとDead by DaylightにPUBGとマイクラ(mod有り)は快適に使えますか?
「Intel UHD 620」だとキツイですね。
MHFとマイクラまでなら動くと思いますが、Dead by DaylightとPUBGは解像度を限界まで下げても快適なプレイは望めないと思います。
ではRazer Blade 15かMateBook X Pro MAW29CH75CNCNAUAは使うことができますか?
Razer Blade 15(型番:RZ09-02385J71-R3J1)なら、PUBGもプレイ可能です。Core i7 8750H + GTX 1060 6GBなので、フルHDゲーミングに十分な性能。
MateBook X Pro(型番:MAW29CH75CNCNAUA)はグラボにGeForce MX150が入っているので、PUBGが20~30fpsくらいで動きます。性能重視ならRazer Blade 15をオススメですね。
なるほど丁寧に教えていただきありがとうございました オススメのゲーミングpcを教えてもらってもよろしいでしょうか?(できればノートで‥)
コスパ重視なら「GALLERIA GCF1060GF-E」がオススメです。
PUBG(フルHD / 高設定)が平均60fpsくらいで動作可能です。設定を「中」まで下げれば更に安定します。ただ、安く作ってあるので冷却ファンの音が大きめです。ヘッドセットかイヤホンでプレイするなら問題ないですが、スピーカーでプレイする場合はデメリットですね。
→ GALLERIA GCF1060GF-E(詳細ページ)
なるほど 色々教えて頂きありがとうございました お財布と相談してもう少し考えさせてもらいます
スペシャルフォース2
i5搭載の2011年製ノートPCで快適にプレイ。
ワールドオブタンクス
Atom搭載の2017年製タブレットPCで低スペック用MODを入れまくって20FPSもでない状況でプレイ。
20FPSあれば遊べる低スペックロマン人間です。
もはやゴリゴリの3Dゲームでなければ、内臓グラフィックでも十二分に遊べますね。
初期のプレステが確か30FPS(かん違いかも)だったので、それでもいける人は多いかもしれません。
15FPSは耐えられましたが、10FPSを下回ると、さすがの私でも耐えられませんでした。
[…] に以下の2種類です。参考:データで確認する「CPUの内蔵グラフィックって性能良いの?」 […]
エロゲなら630でもいいかどうか思案して居ますが