The Witcher 3 : Wild Hunt(ウィッチャー3 : ワイルドハント)は2015年に発売されたオープンワールド型のRPG。発売から6週間で600万本を売上げ、現在は出荷本数が優に1000万本を超える超ベストセラータイトル。
2016年8月には、2つのDLC「Hearts of Stone」「Blood and Wine」のすべてを収録した「GOTY版」が発売され、よりお得にウィッチャー3が買えるようになった。そのため、今からこの巨大RPGをやってみたいという人も少なからずいると思う。
というわけで、この記事では最新の「Witcher 3」の推奨スペックをデータからちゃんと確かめて、コスパの良いゲーミングPCについて解説する。
画質別「Witcher 3」に最適なグラフィックボード
まず最初に、CD Projekt RED(開発メーカー)が公表している必要環境や推奨環境を見ていくのが「普通」だが、もう2015年の話です。だからそのあたりはすっ飛ばして、さっそく各種データから見ていきます。データを見れば「何が推奨スペックを満たしているか」一発で分かるので。
とりあえず「グラフィックボード」から見ていこう。Witcher 3は2015年のゲームではあるが、意外なことにかなりの重量級3Dタイトル。これから見ていく「グラフィックボード別の平均フレームレート」からも、その重さが分かってくる。
フルHD(中設定)のグラボ別フレームレート
解像度はフルHD(1920×1080)で、グラフィック設定は全体的に「中」にしてフレームレートを計測。なお、NVIDIA HairWorksは無効にしておく(後述しますが、これを有効にしていると格段に重たくなるんです)。
この設定ではミドルクラスのグラフィックボードでも十分に動いていますね。RX 470で平均75.5fps / 最低43fpsなので、2017年に発売された新しいグラボで言うと…
- GTX 1050 Ti 2GB(平均60fps台)
- RX 570 4GB(平均70fps台)
- GTX 1060 3GB(平均80fps台)
以上3つのどちらかを使っていれば、Witcher 3の中設定は十分にこなせる。個人的なオススメはやはり「GTX 1050 Ti」です。価格に対して性能(それと消費電力)が極めて優秀なので、コストパフォーマンスは神がかり的。
フルHD(最高設定)のグラボ別フレームレート
解像度は同じくフルHD(1920×1080)のままで、グラフィック設定を「中」から「最高」に引き上げて計測。HairWorksは無効のままです。全体的に負担が増え、さっきまで平均60fpsを突破していたグラボのいくつかは脱落してしまいました…。
特に「GTX 1060 6GB」が平均51.8fpsなのは驚き。このグラボは「フルHDの王者」として人気なんですが、Witcher 3では60fpsを出しきれないという結果。
- 予算重視ならGTX 1060 6GB(平均50fps台)
- パフォーマンス重視ならGTX 1070 8GB(平均70fps台)
ということになる。AMD製が好きなら「Radeon RX 580 8GB」も選択肢になるけれど、価格次第ですね。
WQHD(最高設定)のグラボ別フレームレート
グラフィック設定は「最高」で、解像度をWQHD(2560×1440)へ上げる。フルHDと比較すると負荷は1.77倍にもなるため、求められる推奨スペックは更にグレードアップしています。平均60fps超えは「GTX 1080」以上で、それ以下のグラボはどれも60割れという状況。
- 予算重視ならGTX 1070 8GB(平均50fps台)
- パフォーマンス重視ならGTX 1080 8GB(平均60fps台)
GTX 1070と1080のどちらが良いかはコストパフォーマンス的にちょっと悩ましい部分ではある。「影品質」「水品質」「HairWorks」などの重たい設定を重視するなら「GTX 1080」だし、設定を多少落としてコスパを求めたいなら「GTX 1070」でOK。
4K(最高設定)のグラボ別フレームレート
最後に確認するのが、ゲーミングで最高レベルに重たい4K(3840×2160)です。フルHDと比較して処理する情報量は4倍に達するため、生半可なグラフィックボードではまるで歯が立たないのが分かる。「GTX 1080 Ti」を持ってしても、平均fpsは60を超えられない。
- 4Kで遊ぶ予定なら「GTX 1080 Ti」一択(平均50fps台)
平均60fpsを出すためにグラフィック設定を妥協するのは避けられないですね。後でデータを出しますが、「影品質」「木葉視野範囲」「水品質」などは特に重たい設定で、これらを落とすことで十分に平均60fpsは達成できる。
10万円以下で最強「GTX 1080 Ti」の性能まとめ【GTX 1080と比較】
推奨グラフィックボードまとめ
解像度 | グラ設定 | コスパ重視 | フレームレート重視 |
---|---|---|---|
フルHD(1920×1080) | 中設定 | GTX 1050 Ti(平均60fps台) | GTX 1060 3GB(平均80fps台) |
フルHD(1920×1080) | 最高設定 | GTX 1060 6GB(平均60fps台) | GTX 1070 8GB(平均70fps台) |
WQHD(2560×1440) | 最高設定 | GTX 1070 8GB(平均50fps台) | GTX 1080 8GB(平均60fps台) |
4K(3840×2160) | 最高設定 | GTX 1080 Ti 11GB(平均50fps台) |
ここまでのまとめです。平均フレームレートが50台(または、最高設定を少しは妥協しても構わない)というなら「コスパ重視」のグラボを。平均フレームレートは60台、設定もなるべく妥協したくないなら「フレームレート重視」のグラボを選べば問題なし。
さて、次は意外と重要な「CPU」について見ていく。
「Witcher 3」におけるCPUのボトルネックを確認
「GTX 1070」「GTX 1080 Ti」や「R9 Fury X」などの高性能グラフィックボードを使う場合、かなり注意するべきなのが「CPU」です。グラフィックボードの性能が良いほど、CPUに求められる処理性能も高くなり、不足した場合は足を引っ張ることになる。
これが「ボトルネック」と呼ばれている現象で、それを知らないでPentiumやCeleronといった低性能CPUを使ってしまうと「せっかく5万円もするグラボを積んだのに、おもったよりもフレームレートが出ないじゃないか…」なんてことになりかねない。
CPUのランク別に、ざっくりとボトルネックを見てみる
使ったグラフィックボードは「GTX 1080 Ti」。CPUをランク別に見ていくと、意外と思っていた以上にボトルネックが出ていないのが分かります。普通のゲームだと、Core i3 と Core i7だと20%くらい性能差が出ることもあるんですが、Witcher 3では誤差レベルだ。
ただ、これはWQHD画質のデータ。実を言うと、解像度が大きいほどボトルネックは小さくなりやすいんです。では「フルHD」ではどうなるのか。次のグラフを見てください。
オーバークロックも含め、更に詳しくCPUボトルネックを見る
AMD Ryzen 5 1500X (4C8T) CPU Review – Kit GURU
グラフィックボードは「GTX Titan X Pascal」。フルHDで、設定は「中」。傾向を見ていくと…、やはりシングルコア性能が高いCPUだとフレームレートが出やすく、コア数やクロック周波数が高くてもシングルコア性能が低いCPUは出づらいということ。
Core i3 7350Kだと平均136fpsで、Core i7 7700Kだと平均181fpsと出た。実に33%もフレームレートが違っていますね。「高性能グラボを使うなら、CPUも良いモノを。」の根拠はまさしくボトルネックにある。
- オーバークロックの影響は3~7%程度しかないので、アンロックCPU※を選ぶ理由はあまり無い
- Core i3 / i5 / i7のどれを選ぶかは、使うグラボと予定しているPCの使い方で変わってくる
Witcher 3の場合はこんな感じ。どのCPUを選ぶべきか、以下にまとめます。
※アンロックCPU = クロック周波数の倍率設定が解禁されているCPUのこと。オーバークロックをするなら必ず倍率ロックフリー状態のアンロックCPUを選ぶ。
推奨CPUまとめ
推奨CPU | 使うグラボ | PCの使い方 |
---|---|---|
Core i3 7100 | GTX 1050 Ti / GTX 1060 | Witcher 3 + 軽いウェブ閲覧(攻略Wikiを見たり) |
Core i5 7500 | GTX 1070 | Witcher 3 + 重いウェブ閲覧(Youtube、ニコ動、大量のタブ) |
Core i7 7700K | GTX 1080 / GTX 1080 Ti | Witcher 3 + ゲーム実況(録画、エンコード) |
Ryzen 7 1700 | GTX 1080 / GTX 1080 Ti | Witcher 3 + 他の3Dゲーム + ゲーム実況(録画、エンコード) |
こんなところです。グラフィックボードだけでなく、同時にどんな作業をさせるかで選ぶべきCPUは変わってくる。非常に重たいマルチタスクをするなら8コアCPUのRyzen 7が良いし、そうでないなら4コアのCore i7で十分。
「Witcher 3」+ マルチタスクに必要なメモリ容量
Witcher 3単体でも5.5~6.5GB(フルHD)くらいは消費する。その状態でChromeでタブを開いたり、同時に他のアプリケーションを使うとなると思った以上に必要なメモリ容量は多い。
これはぼくの環境で計測したメモリの使用量です。Witcher 3を動かしつつ、Excel、Adobe系、マインクラフト、Chrome(40タブほど)をマルチタスクさせた。その結果、メモリは9.0~10.5GBくらいは消費している。よって…
- メモリ容量は「16GB」が推奨
- 「8GB」では不足する可能性がとても高い
ということです。
「Witcher 3」の推奨スペックを満たす、おすすめゲーミングPC
ここまでまとめてきた「推奨グラフィックボード」と「推奨CPU」から、その条件を満たしているゲーミングPC(BTO)をまとめていく。
1. 予算重視、フルHD(中設定)で十分な人向け
GALLERIA DH メモリ16GBモデル | |
---|---|
OS | Windows 10 Home 64bit |
CPU | Core i5 7500 |
3.40 Ghz ~ 3.80 Ghz | |
4コア / 4スレッド | |
メモリ | 16GB(8GB*2) |
グラフィック | GeForce GTX 1050Ti 4GB STORMX |
マザーボード | Intel B250搭載 MicroATXマザーボード |
SSD | 120GB |
HDD | 1TB |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチドライブ |
USB 3.0(前面) | x2 |
USB 3.0(背面) | x3 |
USB 2.0(背面) | x2 |
出力 | DVI-D x1 |
HDMI x1 | |
DisplayPort x1 | |
電源ユニット | 500W 静音電源(80+ BRONZE) |
キーボード | 付属 – GALLERIA Gaming Keyboard(USB接続) |
マウス | 付属 – レーザーマウス(USB接続) |
サイズ | 185(幅)×395(奥行き)×370(高さ) mm |
重量 | 約8.2kg |
保証 | 1年間 持ち込み修理保証 |
GALLERIA DH 16GBモデル (ガレリアDH)を買う
Witcher 3(フルHD & 中画質)を平均60fps台で動かせるゲーミングBTO。CPUは「Core i5 7500」なのでボトルネックの心配ないし、それなりに重たいマルチタスクも問題ない。
ただ、このガレリアDHの唯一の不満点が「SSDが120GB」しか無いこと。Witcher 3本体だけで50GBは使ってしまうので、出来ればカスタマイズから「SSD 250GB」に変更しておきたい。
2. Witcher 3をフルHD画質で快適に遊びたい人向け
GALLERIA XF | |
---|---|
OS | Windows 10 Home 64bit |
CPU | Core i7 7700 |
3.60 Ghz ~ 4.20 Ghz | |
4コア / 8スレッド | |
メモリ | 16GB(8GB*2) – 無料アップグレード |
グラフィック | GeForce GTX1070 8GB Super JetStream |
マザーボード | Intel H270搭載 ATXマザーボード |
SSD | 500GB – 無料アップグレード |
HDD | 2TB |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチドライブ |
USB 3.0(前面) | x2 |
USB 3.0(背面) | x4 |
USB 2.0(背面) | x2 |
出力 | DVI-D x1 |
HDMI x1 | |
DisplayPort x3 | |
電源ユニット | 500W 静音電源(80+ BRONZE) |
キーボード | 付属 – GALLERIA Gaming Keyboard(USB接続) |
マウス | 付属 – レーザーマウス(USB接続) |
サイズ | 207(幅)x520.7(奥行き)x450.2(高さ)mm |
重量 | 約13.9kg |
保証 | 1年間 持ち込み修理保証 |
Witcher 3(フルHD & 最高設定)を問題なく動かしてしまうハイスペックBTO。平均fpsは70を超え、最低fpsも50台なので安定性は抜群。CPUには「Core i7 7700」が採用されているので、ボトルネックの心配は一切なく、マルチタスク性能も高い。
実際にガレリアXFでWitcher 3をプレイしたところ、45~60fpsの範囲で安定して動作した。
3. 「WQHD」「4K画質」でWitcher 3をプレイしたい人向け
GALLERIA ZZ | |
---|---|
OS | Windows 10 Home 64bit |
CPU | Core i7 7700K |
3.60 Ghz ~ 4.20 Ghz | |
4コア / 8スレッド | |
メモリ | 16GB(8GB*2) |
グラフィック | GeForce GTX 1080 Ti Founders Edition 11GB |
マザーボード | Intel Z270搭載 ATXマザーボード |
SSD | 500GB |
HDD | 3TB – 無料アップグレード |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチドライブ |
USB 3.0(前面) | x2 |
USB 3.0(背面) | x6 (Type A x5 + Type C x1) |
出力 | – |
HDMI x1 | |
DisplayPort x3 | |
電源ユニット | 800W 静音電源(80+ GOLD) |
キーボード | 付属 – GALLERIA Gaming Keyboard(USB接続) |
マウス | 付属 – レーザーマウス(USB接続) |
サイズ | 207(幅)x520.7(奥行き)x450.2(高さ)mm |
重量 | 約13.9kg |
保証 | 1年間 持ち込み修理保証 |
WQHD画質、4K画質のどちらも動かせる高性能マシン。WQHDに関しては平均90fps台という圧倒的な余裕さを見せつけるし、4Kにしてもグラ設定を少し調整すれば容易に平均60fps台に持ってこれる。
フルHDよりも大きなディスプレイでWitcher 3をプレイする予定なら、ガレリアZZで問題はない。PC全体の安定性を確保するために「80+ GOLD」認証を受けた電源ユニットを使っている点も、トータルで見てコスパが高いところ。
まとめ
遊びたい画質 | オススメのゲーミングPC | |
---|---|---|
フルHD | 中間画質 | GALLERIA DH 16GBモデル (ガレリアDH) |
ウルトラ画質 | GALLERIA XF (ガレリアXF) | |
WQHD / 4K | ウルトラ画質 | GALLERIA ZZ (ガレリアZZ) |
以上、「データで分かる、Witcher 3の推奨スペックとおすすめなゲーミングPC」の解説でした。
ゲームの性格上、ウィッチャー3のフレームレートは30fpsで十分です。
どのグラボでも実際のグラフィック設定は画質重視全振りがオススメです。