絶海の孤島で何もない状態から「生存」をかけて生き抜いていく、かなりハードなオープンワールドのサバイバルゲー「ARK:Survival Evolved」が2017年9月に正式リリース。されたものの…今年のタイトルの中ではぶっちぎりの「重量級」です。
PUBGを超える重さを持つ「ARK」。これを平均60fps以上で動かすために必要な、推奨スペックについて解説します。
ARK:Survival Evolvedの「必要動作スペック」
必要動作スペック | |
---|---|
CPU | Intel Core i5 2400 |
AMD FX-8320 | |
GPU | NVIDIA GTX 670 2GB |
AMD Radeon HD 7870 2GB | |
メモリ | 8GB |
ストレージ | 60GB以上 |
OS | Windows 7 64bit |
Windows 8.1 64bit | |
Windows 10 64bit |
公式(開発)が発表している「必要スペック」「推奨スペック」といった情報は、意外なほど役に立たないことが多い。それでも一応は目を通しておきます。
Studio Wildcardによれば、ARKの動作には少なくとも「Core i5 2400」または「AMD FX-8320」が必要とのこと。前者は4コアCPUで、後者は8コアCPUだから、必要最低限の条件としては「まぁまぁ重たい」部類だ。
次にGPU(グラフィックボード)だが、少なくとも「NVIDIA GTX 670」または「AMD Radeon HD 7870」が推奨されている。どちらも古いGPUなのでピンと来ない人もいるだろう。
今で言うところの「GTX 1050」や「GTX 750 Ti」に相当する性能が必要ってことです。つまり…グラボが入っていないPCや、内蔵GPUしか無い一般的なノートパソコンではまずプレイ出来ないと思っていい。
ARK:Survival Evolvedの「推奨スペック」を探る
ゲーミング性能(フレームレートのでやすさ)は、複数のPCパーツから影響を受けて総合的に決まってくる。しかし、その中で最も影響が大きいパーツが「グラフィックボード」。
グラフィックボードと同じくらいに「CPU」も当然重要なパーツだが、まずは何より映像処理を担当する「GPU」(グラフィックボード)の推奨スペックを確かめなければ。
検証に使われたスペック
テスト環境 | |
---|---|
CPU | Core i7 7700K @4.9Ghz |
GPU | NVIDIA Titan Xp 12GB |
GTX 1080 8GB | |
GTX 1070 8GB | |
GTX 1060 6GB | |
GTX 1060 3GB | |
GTX 1050 Ti 4GB | |
GTX 1050 2GB | |
Radeon RX 480 8GB | |
Radeon RX 470 4GB | |
Radeon RX 460 4GB | |
合計10種 | |
メモリ | DDR4-3000 8GB*4(32GB) |
M/B | Asrock Z270 Taichi |
ストレージ | Samsung 850 Pro 2TB |
電源ユニット | Corsair RM750X / 750W 80+ GOLD |
OS | Windows 10 Pro 64bit |
ドライバー | AMD Crimson 17.2.1 ReLive |
NVIDIA GeForce 378.66 WHQL |
今回参考にするデータは「ARK: Survival Evolved – GPU Benchmark by Hardware Unboxed」です。
検証に使われたのは以上の通り。CPUにはシングルスレッド最強クラスの「Core i7 7700K」を4.90Ghzにオーバークロックしたものが使われているので、ボトルネックでデータが歪められる心配はほぼ無い。
グラフィックボードはNVIDIA製から7種、AMD製から3種の合計10種類のGPUが検証にかけられた。性能がそれぞれ違うGPUをテストすることで、どれが本当の推奨スペックなのかを正確に割り出せます。
メモリーは嬉しいことに「DDR4-3000」規格のモノが使われている。CPUと同様、メモリークロックもボトルネックになりうることが少なからずあるため、データを検証する時は速い方がいい。
そしてゲーム本体は「Samsung 850 Pro」(SSD)にインストールされているため、ストレージ由来のボトルネックも概ね心配無用。正確なフレームレートを記録できるのはほぼ間違いないですね。
画質別、ARKの推奨グラフィックボード
人によって「低予算なので中間設定で動けば十分」「WQHDディスプレイでプレイしたいので、その推奨スペックを知りたい」などなど、推奨スペックの定義は変わってしまいます…。なので、画質別に見ていこう。
フルHD画質(中間設定)
ARK:Survival Evolved / フルHD(1920×1080) / 中間設定
ARKでは「Low」(低)、「Medium」(中間)、「High」(高)、「Epic」(最高)と、4段階のグラフィック設定が用意されている。低設定はあまりにも劣化したグラフィックなので、中間設定から確認。
…。データを見ての通り、中間設定の時点でかなり重たそうな雰囲気が漂っていますね。平均60fpsを出すには、少なくとも「GTX 1060 6GB」が必要であり、更に安定させるなら「GTX 1070 8GB」が必要になる。
中間設定でこの重さ…ARKはかなりぶっ飛んだ重量級タイトルのようだ。
昔のと比べてどうなのか、知りたい人もたま~にいるのでGTX 1060に相当する古いGPUをいくつか。
- GTX 970
- GTX 780
- R9 390X
- R9 290X
などが性能的に近いです。
フルHD画質(高設定)
ARK:Survival Evolved / フルHD(1920×1080) / 高設定
次は「High」(高設定)の動作フレームレートをチェック。やはり中間設定と比較して大幅に負荷が増加しており、中間設定で平均60fpsを達成した「GTX 1060 6GB」が、高設定ではあえなく敗退してしまった。
高設定で平均60以上のフレームレートを出そうと思えば、少なくとも「GTX 1070 8GB」が必要になってしまい、最低フレームレートまで60を守ろうと思えば「GTX 1080 8GB」が必要に…。うーん、重たい。
フルHD画質(最高設定)
ARK:Survival Evolved / フルHD(1920×1080) / 最高設定
最後はARKで設定可能な最高画質「Epic」品質でのフレームレートを確認。まぁ、高設定の時点でかなりやられていたため察しはつくと思いますが、それでもここまで惨敗なのは驚き。
GTX 1080 Tiを超える性能を持つ「Titan Xp」を持ってしても、平均60fpsを守ることすら出来ず。「GTX 1070 8GB」でやっと平均30fpsを維持できるくらいで、それ以下になると軒並みボロボロ。
PUBGを遥かに超える「超重量級タイトル」と断言して問題ないレベルです。
フルHD画質の推奨グラフィックボードまとめ
- 中間設定(Medium)で平均60fps:GTX 1060 6GB
- 高設定(High)で平均60fps:GTX 1070 8GB
- 最高設定(Epic)で平均60fps:シングルボードでは不可能
フルHD(1920×1080)にも関わらず、想像を絶する苦戦ぶり。Titan Xpを使っても最高設定では平均60fpsを出せないということに驚愕ですね…。GTX 1080を2枚使うなど、SLI化が必要そうだ。
WQHD画質(中間設定)
ARK:Survival Evolved / WQHD(2560×1440) / 中間設定
グラフィックボードへの負担が単純に1.8倍に跳ね上がる「WQHD」(2560×1440)ではこんな感じ。重たいということに変わりはないが、思っていたよりは動いている印象だ。
「GTX 1060 6GB」なら平均58fpsとギリギリ60に近いフレームレートを出せるし、「GTX 1070 8GB」を使えば平均70fps、最低59fpsくらいは出せるので中間設定ならまだまだ行けるようですね。
WQHD画質(高設定)
ARK:Survival Evolved / WQHD(2560×1440) / 高設定
設定を1段階上げて「高設定」にすると、全体期に苦しさがにじみ出る結果になってきた。「GTX 1060」「GTX 1070」が平均60fpsから完全に脱落。「GTX 1080」なら平均69fpsを出せているので、少なくともGTX 1080が必要ということだ。
WQHD画質(最高設定)
ARK:Survival Evolved / WQHD(2560×1440) / 最高設定
さて、ARKの中で最もぶっ飛んだ「Epic」(最高設定)にするとどうだろうか…。うーん、やっぱり重たすぎる。でもTitan Xpは流石に地力が備わっているのか、フルHDと比較しても言うほど落ちていない。
とは言っても、Titan Xp(GTX 1080 Ti相当の超ハイエンドGPU)を使って平均60fpsが出ないというのは、中々驚愕ですけどね。PUBGですら平均80fps前後は出ているんだから、ARKの重さは本当に「異質」ですよ。
WQHD画質の推奨グラフィックボードまとめ
- 中間設定(Medium)で平均60fps:GTX 1070 8GB
- 高設定(High)で平均60fps:GTX 1080 8GB
- 最高設定(Epic)で平均60fps:やっぱりシングルボードでは不可能でした
「WQHDマスター」としての立ち位置を確立している「GTX 1070」ですら、中間設定までしか平均60fpsを維持できませんでした。重たっ…。それ以上の画質では「4K級」のGPUを使わないと、快適なプレイが望めない。
Titan Xp SLIで「4K画質」を試すと…
この「超」重量級タイトルを4K(3840×2160)画質で快適プレイしてやろう、という猛者はあまりいないかもしれませんが…データはあるので紹介します。
ARK:Survival Evolved / 4K(3840×2160) / Titan Xpにて全画質を検証
お…Titan Xp(GTX 1080 Ti相当)を2枚使えば、フルHDの4倍重たい「4K画質」であっても、すべてのグラフィック設定にて平均60fps超えが可能ということが分かった。
4K画質で60fpsを狙うのであれば、「GTX 1080 Ti」を2枚使うSLI環境にすればOKということです。
ARKはCPU性能でフレームレートが変化するか
今まで推奨スペック系のデータをまとめ、記事を書いてきた経験上「CPU処理性能は、ほぼ間違いなくゲーミング性能に多大な影響を与えている」と確信しています。
ARK:Survival Evolved / フルHD(1920×1080) / Core i5 VS Core i7
上記のグラフは「GTX 1080 8GB」を使って、フルHD(高設定)にて計測したフレームレートです。データが少なくて恐縮ですが、とりあえず「ARK:Survival Evolved」もCPU性能に影響を受けていることが確認できた。
4.90Ghzで動作するCore i7 7700Kなら平均78fpsも出せるのに、3.20Ghzでしか動作できないCore i5 6500では平均67fpsと、約14%もゲーミング性能を喪失してしまった(ボトルネックと呼ばれる現象)。
なお、このボトルネックは性能が高いグラフィックボードほど起こりやすく、低性能なグラフィックボードではほとんど起きない。GTX 1080くらいなら「Core i7」がふさわしく、GTX 1060なら「Core i5」でも十分…という具合に。
ARK:Survival Evolvedの推奨ゲーミングマシン
ここまで解説してきた内容と、各種データに基づき、ARKの推奨ゲーミングマシンをまとめますね。
低予算で行きたい「とりあえず中間設定で動けばOK」という人へ
GALLERIA DT | |
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OS | Windows 10 Home 64bit |
CPU | Core i7 7500 (4コア / 4スレッド / 3.40~3.80Ghz) |
GPU | GTX 1060 6GB |
メモリー | DDR4-2400 4GB*2 (カスタマイズ推奨) |
マザーボード | Intel B250搭載マザーボード(MircoATX) |
SSD | 250GB |
HDD | 1TB |
電源 | 400W 静音電源(80+ BRONZE) |
保証 | 1年間 持込修理保証 |
「とりあえず動けばいいので、予算は抑えたい」という人にはGALLERIA DTが最適なゲーミングマシンです。GTX 1060 6GB搭載なので、平均60fps前後は期待できます。
CPUはCore i5 7500搭載で「i7」ではないけれど、GTX 1060程度まではCore i5で十分に追いつけるからボトルネックを過度に心配する必要は皆無。予算重視なら、これがもっともバランスの取れたマシンだ。
- メモリー:4GB → 8GB
フルHD & WQHDで動いて欲しい人には
GALLERIA ZZ | |
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OS | Windows 10 Home 64bit |
CPU | Core i7 7700K (4コア / 8スレッド / 4.20~4.50Ghz) |
GPU | GTX 1080 Ti 11GB |
メモリー | DDR4-2400 8GB*2 |
マザーボード | Intel Z270搭載マザーボード(ATX) |
SSD | 500GB |
HDD | 2TB |
電源 | 800W 静音電源(80+ GOLD) |
保証 | 1年間 持込修理保証 |
フルHD画質、またはWQHD画質の「最高設定」(Epic)にて快適なプレイを要求しているならGTX 1080 Ti搭載のGALLERIA ZZがオススメ。
フルHDなら平均55fps前後を、WQHDなら平均50fps前後は十分に狙えます。60fps以上欲しくなってきたら、一部の設定を調節していくことで平均60fps前後で安定させることも可能。
このマシンの場合、仮に「高設定」に落とせば…フルHDで平均95fps前後、WQHDで70fps前後までパフォーマンスを向上させられるので、「画質重視」「フレームレート重視」で使い分けることも出来る。
ARKを高設定(High)~最高設定(Epic)で遊ぶなら、一番ちょうどいいマシンだ。それに、これだけの性能があれば他のゲームも軽~く動きますし。
大画面「4K」でARKの世界に没頭したい人は
GALLERIA ZZ-SLI | |
---|---|
OS | Windows 10 Home 64bit |
CPU | Core i7 7700K (4コア / 8スレッド / 4.20~4.50Ghz) |
GPU | GTX 1080 Ti 11GB 2-Way SLI |
メモリー | DDR4-2400 8GB*2 |
マザーボード | Intel Z270搭載マザーボード(ATX) |
SSD | 250GB |
HDD | 2TB |
電源 | 800W 静音電源(80+ GOLD) |
保証 | 1年間 持込修理保証 |
GALLERIA ZZ-SLI (ガレリアZZ-SLI)の詳細を見てみる
4K(3840×2160)でARKをプレイしたい、それも快適に…というなら「GTX 1080 Ti」が2枚入ってる「GALLERIA ZZ-SLI」ぐらいしか推奨ゲーミングマシンがありません。
- 最高設定:平均60fps前後
- 高設定:平均90fps前後
- 中間設定:平均100fps前後
- 低設定:平均130fps前後
どの画質でも平均60fpsをクリアーしているため、ARKを4Kで遊ぶつもりならガレリアZZ-SLIで間違いないです。
以上、「超重たいARK:Survival Evolvedを60fpsで動かす推奨スペック」について解説してみました。
他にもある「推奨スペック」な記事
Destiny 2はNVIDIAと連携しながら開発を行っただけあって、さすがによく最適化されています。
PUBGは2017年のSteamゲームの中では、かなり重たい部類。それでもARKほどでは無いです。
Project CARS 2もARKほどではないが、相当に重たいタイトルでした。画質の妥協をしないと思った以上にコストが掛かりそう。
このゲームってSLI対応していましたっけ?
公式なSLIプロファイルが用意されていないため、対応しているわけではありません。しかし、ARKにてSLIを有効化する手段自体は存在しています。
参考ページ:Ark: Survival Evolved — How to enable SLI
https://www.youtube.com/watch?v=vW0RVBwcNoY
PS4版は1080p/30fpsの中画質程度で今のグラボに直すとGTX1050ぐらいと聞いていたんですが本当に同じ位なんですね
3年前の記事なのは、知っているんですけど、
今はどのくらいのスペックで4K 最高画質を問題なくプレイできるのですか?
このスペックを見ると、完璧な環境でARKを楽しむためにはかなりの投資が必要ですね!、ゲームの迫力が60fpsでどれほど変わるか楽しみです。お勧めのパーツがあればぜひ教えてほしいです!