10万円を超えて、20~30万円ほどの価格が付いているハイエンド / ゲーミングなノートPCによく搭載されているのが「HQ」という接尾語がついているCPU。
2017年時点で、10万円台のノートPCにおいては「Core i7 7700HQ」が主流。前身の「6700HQ」からどれくらい性能が伸びたのか、比較してみます。
Core i7 6700HQ / 7700HQのスペック
CPU | Core i7 6700HQ | Core i7 7700HQ |
---|---|---|
世代 | Skylake | Kabylake |
プロセスルール | 14nm | |
ダイサイズ | 122 mm2 | – |
ベースクロック | 2.60 Ghz | 2.80 Ghz |
ブーストクロック | 3.50 Ghz | 3.80 Ghz |
コア数 | 4 | |
スレッド数 | 8 | |
L2 Cache | 1 MB | |
L3 Cache | 6 MB | |
搭載GPU | Intel HD Graphics 530 | Intel HD Graphics 630 |
GPUクロック | 350 – 1050 Mhz | 350 – 1100 Mhz |
対応メモリ | Dual-Channel DDR3L-1600 / DDR4-2133 | |
拡張機能 | AVX2 | |
TDP | 45 W | |
希望小売価格 | $ 378 |
まずは「基本仕様」(スペック)を確認する。6700HQがSkylake世代、つまり第6世代のCPUなのに対して、7700HQはKabylake世代、つまり第7世代ですね。
世代をひとつ更新したことによってベースクロックとブーストクロックが両方共、上昇している。ベースクロックは200 Mhzアップして、ブーストクロックは300 Mhzもアップした。
コア数やキャッシュ容量(L2/L3)は全く変化なしで、内蔵GPUがHD 530からワンランク上のHD 630へ更新された。GPUクロックも50 Mhzと僅かながら上昇しています。
単純に言うと7700HQは、6700HQと比較して…
- CPUのクロック周波数が10%程度アップ
- 内蔵GPUの性能がアップ
ということです。
【CPU / ベンチマーク】6700HQ vs 7700HQ
次はCore i7 6700HQと7700HQ、両者のCPU本体の処理性能を比較していく。基本的に、比較にはベンチマークソフトを使う。どちらが優秀なのか、ベンチマーク「スコア」を競うことで判明します。
Geekbench 4.0で比較
ノートパソコンやスマートフォン向けCPUによく使われる「Geekbench 4.0」によるベンチマーク。シングルスレッド性能は5%ほど上昇、マルチスレッド性能は10%の上昇が確認できる。
まぁ、世代を1つ更新したし、順当なパフォーマンスアップという感じ。
Cinebench R15で比較
CPUのベンチマークでは定番のCinebench R15によるテスト。こちらもGeekbench同様に、シングルスレッド/マルチスレッド性能が伸びている。
そして驚きなのが、ノートPC向けでありながらマルチスレッド性能が600~700点台ということ。薄型ノートPCによく搭載されている「Core i7 7600U」だと300点台ですからね。同じCore i7なのに、すごいスコア差。
Mozilla Kraken 1.1で比較
ウェブブラウザの動作速度を競うベンチマーク。速ければ速いほど性能が高いということです。6700HQが1009 msで、対する7700HQは967.2 msと1秒を割っている。なかなか高速…。
X264 HD Benchmark 4.0で比較
「X264」は単純に言えば、エンコードの処理性能を競うベンチマークです。高速処理の「1Pass」と、丁寧な処理をする「2Pass」。ともにスコアは向上していることが分かる。
3DMark 06 (CPU)で比較
3DMarkによるCPU性能の計測。7700HQが約10%程度高いスコアを出している。世代更新によって処理性能が順当にアップしているのが、ほぼ間違いない…というのが分かってきたな。
Super Pi mod 1.5 XSで比較
最後は円周率の計算速度を競うベンチマークで締める。「1M」では100万桁の計算速度を競っており、6700HQは約11秒だが、7700HQはほぼ10秒と、1秒ほど高速化した。
ほかの「2M」200万桁、「32M」3200万桁の計算でも傾向は全く同じ。7700HQの方が間違いなく優秀なのです。
CPU性能比較のまとめ
世代を更新したことにより、7700HQの処理性能は確実に6700HQから進化しました。ただ、その差は5~10%程度に収まっていて大幅に進化したわけではないんですよ。
ということは、例えば中古ノートパソコンを探す時に、6700HQ搭載と7700HQ搭載が並んでいて、どちらにするか悩んだ時。性能差と価格差を意識して選ぶことが可能ってことだ。
【GPU / ベンチマーク】6700HQ vs 7700HQ
CPUの処理性能は十分に分かった。残るは内蔵されているGPU(グラフィック専用のCPU)の性能だ。
3DMark – Fire Strike Physicsで比較
6700HQには「HD 530」が、7700HQには「HD 630」が搭載されている。当然のことながら、世代が違うので「HD 630」の方が格上だ。
3DMark – Cloud Gate Standard Physicsで比較
ベンチマークの難易度を上げても傾向は全く同じ。
3DMark – Ice Storm Unlimited Physicsで比較
スマホのグラフィック性能の確認によく使われる「Ice Storm Unlimited」だと、6700HQが45000点で、7700HQが50000点。現行、スマホ向けCPUで最強の「Snapdragon 835」が18000点なので、圧倒的と言える。
まぁ、HQモデルとスマホ向けCPUを比較するのは場違いですけどね(Core Mとの比較なら分かるが)。
3DMark – Ice Storm Extreme Physicsで比較
「HD 630」の方が優秀。
3DMark – Ice Storm Standard Physicsで比較
こちらのベンチマークでも傾向は同じ。
GPU性能比較のまとめ
「HD Graphics 530」と「HD Graphics 630」では概ね10%程度の性能アップが確認できた。とは言っても…まぁ10%だから、過度な期待は出来ません。あくまでも必要最低限のグラフィック性能です。
3Dゲームは出来なくは無いが、画質は1280×720で、グラフィック設定は最低で動かすのが前提になる。Battlefield 1やOverwatchはそれなりに動くが、FF14やWatch Dogs2などはかなり厳しい。
結論
当然といえば当然の結果になったが、「7700HQ」の方が全体的に見て10%くらい優れているということ。逆に言えば10%しか進化していない、とも言える。
- 6700HQ:最新世代のデスクトップ向け「Core i5」並の性能
- 7700HQ:6700HQより10%性能が上がっているが、所詮は10%の性能アップ…
搭載ノートパソコンの販売価格によっては6700HQを選んだほうがいい場合もあるだろう。実際にドスパラで販売されているノートパソコンで比較してみます。
モデル | GALLERIA GKF1060GF | GALLERIA QSF1060HGS |
---|---|---|
CPU | Core i7 7700HQ | Core i7 6700HQ |
ベースクロック | 2.80 Ghz | 2.60 Ghz |
ブーストクロック | 3.80 Ghz | 3.60 Ghz |
GPU | GTX 1060 6GB | |
ディスプレイ | 15.6 inch | 17.3 inch |
フルHD(1920×1080) | ||
メモリ | 8GB(4GB * 2) | |
HDD | 1TB | |
SSD | 250GB | NVMe 256GB |
保証 | 持込修理1年保証 | 持込修理3ヶ月保証 |
価格 | 169980円(+税) | 141480円(+税) |
たとえばドスパラのゲーミングノートPCだと、ちょっと古い6700HQ搭載モデルが、アウトレットで格安に売られていたりします。しかも、CPUが6700HQである以外は、ディスプレイサイズが大きかったり、SSDがNVMeモデルだったりと、スペックがだいぶ良い。
ただ、アウトレット販売になると持込修理の保証期間が1年から3ヶ月になるのは唯一のデメリットですね。ほぼ同じ性能のノートPCが3万円も安く買えるなら、6700HQモデルで良いとは思いますけど。
以上、ノートPC向けCPU「Core i7 6700HQ」と「7700HQ」の性能比較…でした。
インテルのノート用CPUについて、もっと…
今回の記事では「HQ」モデルを紹介した。しかし、インテルのノートPC向けCPUは種類が色々とあってややこしいことになっている。同じCore i7でも、性能が3倍違っていたりすることもあるから、ノートPC選びをするなら知っておきたい。
今回は不掲載でお願いしたいです
例えば http://www.4gamer.net/games/251/G025177/20160815081/
他にも各所で書かれているようにNVIDIAでは去年から
デスクトップ用GPUをカスタマイズしてノートPCに搭載しているようです
色々なベンチを見ると以前のMシリーズと違い性能もほとんど同じです。
今までのようにゲーミングノート!と頑張らなくても手に入る時代なのかも知れません
特に一般家庭では「圧倒的」にノートPCを選ぶのでそういう家庭への影響が今までは0に等しかったので今後は多少なりとも変わってくるのでは?と思っています。
子育て世代はノート:デスクトップ比率が10000:1以下なのでその子供が大きくなってもPCでゲームなんて思わないですよね。
長くなりましたがこれからも応援していますよ。
IIYAMAから出ている10万円前後のモデルでも、「7700HQ」+「GTX 1050 Ti」だったりと、コスパがかなり良い製品もありました。
2~3年前なら19~20万円くらい出さないと届かない性能が、今では10万円前後で入手可能になったため、そのへんも書かないとダメですかね。
あと…そもそも「Core M」と「Core I HQ」を比較するのはちょっと違う気がするなぁ~と、読み直してて思いました。
なるほどそういうことなら良いと思います。