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MOVE SPEED Panther(4 TB)レビュー:約束されたコスパ最強格SSD【Maxio + YMTC】

ふだんの定価が約3.5万円、タイムセール時に約2.8万円(ポイント込で2.6万円)で買える激安な中華ハイエンドSSD「MOVE SPEED Panther」を買いました。

最大7450 MB/sの高速性能と5年間のメーカー保証をアピールしながら、3万円を切る価格はシンプルに安いです。しかも商品ページにて「YMTC製 232層 TLC NAND」と「Maxio MAP1602コントローラ」採用と記載あり。

以前レビューした「Lexar NM790」や「Hanye HE80」に匹敵するコスパが期待できそうと思い、4 TB版を買ってみた次第です。

やかもち
ここ最近SSDの相場が高騰してるから、久々の激安ハイエンドで嬉しい気持ち。

(公開:2024/11/12 | 更新:2024/11/12

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MOVE SPEED Pantherのスペックと仕様

MOVE SPEED / NAND : YMTC製 3D TLC NAND / 性能 : 最大7450 MB秒 / 容量 : 4TB / 耐久性 : 2400 TBW / 保証 : 5年
MOVE SPEED Panther
(YSSDHB-2TN7000)
容量1024 GB2048 GB4096 GB
インターフェイスPCIe 4.0 x4 (NVMe 2.0)
フォームファクタM.2 2280(片面実装)
コントローラMaxio MAP1602
NANDYMTC製 232層 3D TLC NAND
DRAMなし
HMB(DRAMレス)方式
SLCキャッシュ非公開
読込速度
シーケンシャル
7450 MB/s
書込速度
シーケンシャル
6700 MB/s
読込速度
4KBランダムアクセス
非公開
書込速度
4KBランダムアクセス
非公開
消費電力
最大値
非公開
消費電力
アイドル時
非公開
TBW
書き込み耐性
640 TB1200 TB2400 TB
MTBF
平均故障間隔
非公開
保証5年
MSRP$ 80$ 119$ 249
参考価格
2024/11時点
11984 円18384 円36999 円
GB単価11.7 円9.0 円9.0 円

中国に本拠地を置くDongguan Aohai Technology(东莞市奥海科技股份有限公司)が、一般ユーザー向けに展開する「MOVE SPEED」ブランドのハイエンドNVMe SSDです。

正式名称が「MOVE SPEED Panther」、型番は「YSSDHB-2TN7000」シリーズで、日本国内ではAmazonにて容量1 TB / 2 TB / 4 TBの3モデルを販売しています。

よくある中華ハイエンドSSDですが、他のメーカーと違って搭載しているSSDコントローラとNANDメモリを明記している点が大きな違いです(2024年11月時点)

SSDコントローラに「Maxio MAP1602」を、NANDメモリに「YMTC製 232層 3D TLC NAND」を使っているそうです。

もし本当にMaxioコントローラ + YMTC製NANDなら、以前レビューした「Lexar NM790」や「HIKSEMI FUTURE」と同系統の凄まじいハイエンド級の性能に期待できます。

SSD500 GB1 TB2 TB
MOVE SPEED Panther640 TBW1200 TBW
Samsung 990 PRO
990 PRO:レビュー
600 TBW1200 TBW
HIKSEMI FUTURE SSD
HIKSEMI FUTURE SSD:レビュー
1800 TBW3600 TBW
FireCuda 530
FireCuda 530:レビュー
640 TBW1275 TBW2550 TBW

書き込み保証値は容量1 TBあたり600 TBです。

一般的なTLC NAND採用SSDと同等クラスの保証値で、HIKSEMIやLexarより控えめな数値にとどまります。

SSD500 GB1 TB2 TB
KIOXIA EXCERIA PRO
WD Blue SN5000:レビュー
400 TBW800 TBW
WD Blue SN5000
WD Blue SN5000:レビュー
600 TBW900 TBW
KIOXIA EXCERIA PLUS G3
KIOXIA EXCERIA G3 PLUS:レビュー
600 TBW1200 TBW
CFD SFT6000e
CFD SFT6000e:レビュー
600 TBW1200 TBW
Samsung 990 PRO
990 PRO:レビュー
600 TBW1200 TBW
Samsung 980 PRO
980 PRO:レビュー
300 TBW600 TBW1200 TBW
Solidigm P44 Pro
Solidigm P44 Pro:レビュー
500 TBW750 TBW1200 TBW
Crucial P5 Plus
Crucial P5 Plus:レビュー
300 TBW600 TBW1200 TBW
Lexar NM790
Lexar NM790:レビュー
1000 TBW1500 TBW
HIKSEMI FUTURE SSD
HIKSEMI FUTURE SSD:レビュー
1800 TBW3600 TBW
SK Hynix Gold P31
SK Hynix Gold P31:レビュー
500 TBW750 TBW1200 TBW
WD_BLACK SN770
WD_BLACK SN770:レビュー
300 TBW600 TBW1200 TBW
KIOXIA EXCERIA PLUS G2
KIOXIA EXCERIA G2 PLUS:レビュー
200 TBW400 TBW800 TBW
KIOXIA EXCERIA G2
KIOXIA EXCERIA G2:レビュー
200 TBW400 TBW800 TBW
WD Blue SN570
WD Blue SN570 NVMe:レビュー
300 TBW600 TBW
Crucial MX500
Crucial MX500:レビュー
180 TBW360 TBW700 TBW
FireCuda 530
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640 TBW1275 TBW2550 TBW
WD Black SN850
SN850:レビュー
300 TBW600 TBW1200 TBW

競合する中華ハイエンドシリーズより保証値が少ないといっても、大手メーカー製のハイエンド並の数値です。普通の使い方ならまったく心配なし。

【用途別】TBWを使い切る目安
  • 普通に使った場合:約131.5年
    1日あたり平均50 GBの書き込みを想定)
  • 毎日AAAゲームをDLする:約65.8年
    1日あたり平均100 GBの書き込みを想定)
  • 毎日一眼レフの写真を入れる:約26.3年
    1日あたり平均250 GBの書き込みを想定)
  • 毎日一眼レフの4K素材を入れる:約6.6年
    1日あたり平均1000 GBの書き込みを想定)

ワークロード別の想定耐用年数をざっくり試算してみた。

PS5の増設ストレージやゲーミングPCのメインSSDなど。ごく普通の使い方なら約100年以上もかかる計算になり、5年間のメーカー保証が先に切れるでしょう。

1日100 GB書き込んでも、TBWを使い切るのに約66年です。4K Raw写真や動画素材を毎日のようにゴリゴリと書き込む用途でも、およそ6~12年くらいを要します。

ほとんどの人にとって十分過ぎる保証値(2400 TBW)です。

MOVE SPEED Pantherを開封レビュー

パッケージデザインと付属品

「MOVE SPEED」のロゴが入ったプチプチの静電気保護袋で届きました。

Panther(豹)のイメージ映像が印刷されたパッケージデザインです。

パッケージの裏面に販売元のサポート情報が記載されています。

  • 深セン市移速科技有限公司(Shenzhen Speedmobile Technology)
  • メール:support@movespeed.com
  • 公式サイト:http://www.movespeed.com/

5年保証を使いたい場合は、購入元のAmazon.co.jp または上記サポートメールから問い合わせます。

  • SSD本体
  • M.2スロット用の小ネジ
  • 説明書

硬いプラスチック製の容器に梱包されたSSD本体、M.2スロット固定用の小ネジ、説明書が付属します。

  • M.2ネジ用ドライバー
  • M.2ヒートシンク
  • 熱伝導シート

静電気保護袋の方にも付属品が入っていました。無いよりマシ程度のすごく頼りないM.2ヒートシンクです。

基板コンポーネント

マットブラックに塗装された基板に、Panther(豹)の顔がデザインされた1 mm厚グラフェン複合シートが貼ってあります。

裏面のラベルシールに各国の規制認証ロゴマークがズラッと、交換保証(RMA)に必要なシリアルナンバー(S/N)も記載されています。

基板の表面だけにコンポーネントが実装されているシンプルな「片面実装」のNVMe SSDです。

取付スペースが狭いノートパソコンや、PS5の増設ストレージに使いやすいです。

製品ラベルシールを剥がして、MOVE SPEED Pantherに実装されているコンポーネントを目視で確認します。

ラベルシールを剥がすと5年間のメーカー保証が無効になる危険性が高いです。真似しないでください。
  • コントローラ:Maxio MAP1602A
    MAP1602A-F3C U AAM2Y374311 2333
  • DRAM:なし
    なし
  • NAND:YMTC 232層 3D TLC NAND
    BWN0ATF1B1JCAD 240114286

SSDコントローラに「Maxio MAP1602A」、NANDメモリにYMTC製「232層 3D TLC NAND(Xtacking 3.0)」を搭載します。

SSDコントローラは中華ハイエンドSSDシリーズで非常に採用例が多い、MaxioTech製「MAP1602A」を搭載。

SRAM内蔵型の高性能コントローラで、優れたスループットと応答速度、かつ省電力性も兼ね備える現行トップクラスを誇るDRAMレスコントローラです。

中身的には台湾TSMC 12 nm製ARM Cortex-R5をベースにしたシングルコアSoCで、最大4チャネルのNANDメモリを束ねられ、各チャネルごとに最大2400 MT/sもの極めて高いスループットで接続できます。

電源管理コントローラ(PMIC)は、Silergy製「SY8089A1(ZBFUA)」と「FAEFWD」を採用。

DRAMは搭載しません。

メインメモリのごく一部をDRAMキャッシュの代わりに使う「HMB(ホストメモリバッファ)」方式のSSDです。

DRAMが無いと書き込み性能が不利になる傾向がある一方、読み込みワークロードで有利になる傾向もあり、一概にDRAMが無いから悪いとも言い切れないので注意。

やかもち
MOVE SPEED Pantherは容量40 MB(40960 KB)のHMBが割り当てられます。

NANDメモリは「YMTC製 232層 3D TLC NAND(EET1A X3-9070)」を採用

以前レビューした「Hanye HE80」と同じく、刻印がBWN0ATF1B1JCADで一言一句一致します。違うのは下に書いてある製造年月のみ。

2つのウェハを重ね合わせて多層化を可能にする「Xtacking 3.0」技術で製造され、200層超えのNANDメモリで最高の記録密度(15.03 Gbit/mm²)を実現します。

8192 Gb x 4 = 32768 Gb(4096 GB)

今回のMOVE SPEED Panther(4 TB)では、記憶密度が1024 Gb(= 128 GB)のチップを8枚重ね、かつ4個使って合計32768 Gb(= 4096 GB)の容量に。

同じYMTC 232層品でも、製品やOEM先によって8枚重ねと4枚重ねの2種類あります。たとえば以前レビューした「Lexar NM790」は8枚重ねバージョン、「Acer Predator GM7」は4枚重ねバージョンでした。

  • Ch0CE0: 0x9b,0xc6,0x59,0x71,0x30,0x0,0x0 – YMTC 3dv4 TLC 16k 2048Gb/CE 1024Gb/die
  • Ch1CE0: 0x9b,0xc6,0x59,0x71,0x30,0x0,0x0 – YMTC 3dv4 TLC 16k 2048Gb/CE 1024Gb/die
  • Ch2CE0: 0x9b,0xc6,0x59,0x71,0x30,0x0,0x0 – YMTC 3dv4 TLC 16k 2048Gb/CE 1024Gb/die
  • Ch3CE0: 0x9b,0xc6,0x59,0x71,0x30,0x0,0x0 – YMTC 3dv4 TLC 16k 2048Gb/CE 1024Gb/die

Flash IDによる照合結果で「YMTC 3dv4 TLC」と表示されます。有志の調査により、「3dv3」が128層品、「3dv4」が232層品と判明しています。

やかもち
メーカー表記どおり「MAP1602A + YMTC 232層」が確認できました。もう約束された勝利です。

MOVE SPEED Pantherの性能をベンチマーク

テスト環境を紹介

テスト環境
「ちもろぐ専用:SSDベンチ機」
CPUCore i7 13700K16コア24スレッド(TDP:125 W)
CPUクーラー虎徹Mark III120 mmサイドフロー空冷
マザーボードBIOSTARZ790 Valkyrie
メモリDDR5-6000 16GB x2G.Skill Trident Z5 Neo RGB
グラフィックボードRTX 4060 Ti
テスト対象MOVE SPEED Panther 4TB
システムSSDHIKSEMI FUTURE70-02TB 2TB
電源ユニット850 WCorsair HX850i 2021
OSWindows 11 Pro検証時のバージョンは「22H2」
ドライバNVIDIA 536.40 WHQL
ディスプレイ3840 x 2160@160 Hz使用モデル「Innocn 27M2V

SSDベンチマークに使用する専用の機材です。

最大15.76 GB/sまで対応できるPCIe 5.0世代の「Intel Z790」マザーボードに、シングルスレッド性能が非常に速い「Core i7 13700K」を搭載。

Ryzen 9 5950X超えのマルチスレッド性能と、現行最強クラスのシングルスレッド性能で、最大14000 MB/s超えの次世代Gen 5 SSDも難なく処理できます。

SSDのセットアップについて
SSDベンチマークのセットアップ

原則として、CPUに直結したM.2スロットまたはPCIeスロットにテスト対象のSSDを接続します。チップセット経由だと応答速度が低下※してしまい、SSD本来の性能を検証できません。

ベンチ機に採用した「Z790 Valkyrie」は、PCIe 5.0対応のM.2スロットを1本、PCIeスロットを2本備えます。複数の爆速SSDをCPUに直結できる稀有なマザーボードです。

※チップセット経由による性能低下はAMDチップセットだと緩和されますが、CPU直結時と比較して性能が下がる傾向自体は同じです。

SSDの冷却について
SSDベンチマークのセットアップ

SSDを熱から保護するサーマルスロットリングによって性能に悪影響が出ないように、以下のような手段でテスト対象のSSDを冷却しながらベンチマークを行います。

  • M.2ヒートシンク「Thermalright HR-09」を装着
  • 120 mmケースファンを至近距離に設置して冷却

SSDを徹底的に冷やして、サーマルスロットリングがテスト結果に影響を与えないように対策しています。

なお、10分間の温度テスト時のみM.2ヒートシンクとケースファンを取り除いて、温度の上昇を観察します。

SSDドライブ情報と利用できる容量

MOVE SPEED Panther 4TBをベンチマーク(Crystal Disk Info)
  • インターフェース:NVM Express
  • 対応転送モード:PCIe 4.0 x4
  • 対応規格:NVM Express 2.0
  • 対応機能:S.M.A.R.T. / TRIM / VolatileWriteCache

「MOVE SPEED Panther(YSSDHB-4TN7000)」の初期ステータスをCrystal Disk Infoでチェック。特に問題なし。

なにげに最新規格のNVM Express 2.0に対応ですが、一般用途だとNVM Express 1.4規格と大差ないです。

ファームウェア「SN13683」は今まで見てきたMAP1602A搭載モデルでもっとも新しいバージョンです。
MOVE SPEED Panther 4TBをベンチマーク(フォーマット時の空き容量)

フォーマット時の初期容量は「3.72 TB(4096 GB)でした。

一般的に、搭載されたNANDメモリのうち約2.3%を予備領域に割り当てますが、MOVE SPEED Pantherでは予備領域に使わずそのままユーザー領域として開放されています。

容量4 TBなら実に96 GBも空き容量が増えていて、ちょっとした最新AAAタイトルゲームを1本入れられる容量です。

やかもち
ファームウェアが新しくなった以外、今まで見てきたMAP1602Aシリーズとほぼ同等の内容ですね。

Crystal Disk Mark 8

「Crystak Disk Mark 8」は、日本どころか世界で一番有名と言っても過言ではない、定番のSSDベンチマークソフトです。性能の変化をチェックするため、初期設定の「1 GiB」に加え、最大設定の「64 GiB」もテストします。

Crystal Disk Mark 8の結果※クリックで画像拡大します
MOVE SPEED Panther 4TBをベンチマーク(Crystal Disk Mark 8)MOVE SPEED Panther 4TBをベンチマーク(Crystal Disk Mark 8)
テストサイズ:1 GiB(MB/s)テストサイズ:64 GiB(MB/s)
MOVE SPEED Panther 4TBをベンチマーク(Crystal Disk Mark 8)MOVE SPEED Panther 4TBをベンチマーク(Crystal Disk Mark 8)
テストサイズ:1 GiB(レイテンシ)テストサイズ:64 GiB(レイテンシ)

シーケンシャル読み込みが約7100 MB/s超、シーケンシャル書き込みが約6550 MB/sです。

どちらもメーカー公称値に少し届いていません。理由は筆者のテスト環境がIntelプラットフォームだからです。

AMD Ryzen環境なら7400 MB/s前後まできっちり出せますが、Intel Core環境は7000 MB/sも出ればほぼ規格上限と考えてもらって大丈夫。おそらく、メーカー公称値はAMD Ryzen環境で測定された数値でしょう。

テストサイズを64 GiBに変更してもシーケンシャル性能に目立った変化がないですが、ランダムアクセス性能(RND4K Q1T1)が大きく下がってしまう症状が顕著に出ます。

DRAMレス(HMB:ホストメモリバッファ)方式のSSDでよく見られる典型的な性能特性であって、実際の利用シーンで問題や不具合は起こっていませんので安心を。

MOVE SPEED Panther 4TB(Crystal Disk Mark 8で応答時間を比較)

体感性能や実用性能に影響が大きい、4KBランダムアクセスのレイテンシ(応答時間)の比較グラフです。

MOVE SPEED Pantherは42.4 μsで、他社のハイエンド中華SSD(232層品)と横並びの性能に。

MOVE SPEED Panther 4TB(Crystal Disk Mark 8で応答時間を比較)

書き込みレイテンシは平均的です。上位勢はPhison系コントローラにほぼ独占されています。

ATTO Disk Benchmark

MOVE SPEED Panther 4TBをベンチマーク(ATTO Disk Benchmark)

ATTO Disk Benchmarkは、テストファイルを小刻みに分割してSSDのスループット(シーケンシャル性能)を測定し、SSDがピーク性能を出しやすいファイルサイズを探るベンチマークソフトです。

ベンチマーク結果からSSDの評価が非常に分かりにくいので、表計算ソフトを使ってグラフ化して他のSSDと比較します。

MOVE SPEED Panther 4TBをベンチマーク(ATTO Disk Benchmark)
MOVE SPEED Panther 4TBをベンチマーク(ATTO Disk Benchmark)

やや小さいファイル領域(16 KB ~ 4 MB)で、読み込み速度がやや下がる傾向が出ています。同じコンポーネントのHanye HE80にも似た傾向はありますが、程度がより大きくなっています。

ただし、体感性能にほとんど反映されないため気にするだけ無駄です。

MOVE SPEED Panther 4TBをベンチマーク(ATTO Disk Benchmark)
MOVE SPEED Panther 4TBをベンチマーク(ATTO Disk Benchmark)

書き込み性能も同じ傾向が見られ、8 MBと48 MBに至ってはほぼ0 MB/sまで落ち込むパターンが・・・。

容量8 MBと48 MBのブロックファイルを用意して実際に書き込むと、まったく症状は再現されず、ATTO Disk Benchmarkだけで発生する謎の症状です。つまり、実用上の性能にほぼ影響しません。

やかもち
基本的なベンチマークは以上です。次は実戦テストでMOVE SPEED Pantherの実力を確かめます。

MOVE SPEED Pantherを実運用で試す

FF14のロード時間を比較

FF14:暁月のフィナーレ(ベンチマークモード)で、ゲームロード時間を測定します。ベンチマーク終了後に、ログファイルからロード時間を読み取ります。

MOVE SPEED Panther 4TBをベンチマーク(FF14のゲームロード時間)

MOVE SPEED Panther(4 TB)のロード時間は「5.71秒」、Crucial T700につづくトップクラスのロード時間です。

FPSタイトルのロード時間を比較

PCMark 10 Professional Edition(有償版)で利用できる機能を使って、「Battlefield V」「Call of Duty Black Ops IV」「Overwatch 2」のロード時間を測定します。

なお、測定されたロード時間は各スコアから逆算された概算値(ざっくりとした予想値)です。実際のロードとは異なっているので注意してください。

MOVE SPEED Panther 4TBをベンチマーク(Battlefield Vのゲームロード時間)
MOVE SPEED Panther 4TBをベンチマーク(Call of Duty Black Ops IVのゲームロード時間)
MOVE SPEED Panther 4TBをベンチマーク(Overwatch 2のゲームロード時間)

テストした3タイトルすべてで、MOVE SPEED Pantherは他の中華ハイエンド品(232層)と大差ないか、わずかに速いゲームロード性能です。

Crucial T700 / T705やSolidigm P44 Proなど一級品には少し届かないですが、価格差を考えるとMOVE SPEED Pantherがコストパフォーマンスで勝っています。

「原神」のロード時間を比較

原神はロード時間を測定するベンチマークとしての役割を終えました。

バージョンアップでオープンワールドが拡張されるたびに、SSDの性能差が反映されづらくなる一方です。もはやロード時間のベンチマークに不適切な内容になりました。

やかもち
mihoyoはPC版の最適化をもう諦めたようです。Optane SSDを使っても、PS5版のロード時間にまったく勝てません。

DirectStorageのロード時間を比較

DirectStorage APIとは何か?

Windows 11はゲームのロード時間を大幅に短縮する「DirectStorage API」に対応しています。

SSDに保存されているゲームデータをメインメモリに送り込み、メインメモリからVRAMに流し込みます。入ってきたデータをGPUの凄まじい演算性能で展開(解凍)し、ゲームロード時間を短縮する技術です。

NVMe SSDからメインメモリにデータを転送する部分で、SSDのシーケンシャル性能が重視されます。SATA SSDよりNVMe SSD、同じNVMe SSDでもPCIe 4.0やPCIe 5.0の方が有利になる可能性が高いです。

MOVE SPEED Panther 4TBをベンチマーク(DirectStorage APIのゲームロード時間)
MOVE SPEED Panther 4TBをベンチマーク(DirectStorage APIのゲームロード時間)

CPUで展開する場合はCPUの演算性能がボトルネックになってしまい、SSDの性能差がそれほど確認できません。

MOVE SPEED Panther 4TBをベンチマーク(DirectStorage APIのゲームロード時間)
MOVE SPEED Panther 4TBをベンチマーク(DirectStorage APIのゲームロード時間)

GPU展開(RTX 4060 Tiで展開)では、シーケンシャル性能に比例した性能差ハッキリと出ます。

MOVE SPEED Pantherは0.22秒(19.62 GB/s)で最速クラスの仲間入り。テストごとのブレがほぼなく、高い平均値を維持できたのが勝因です。

補足:絶対値でコンマ秒レベルの差に過ぎません。実用上のロード時間はおそらく同じに感じます。

ファイルコピーにかかった時間

Windows標準のコピペ機能と目視によるストップウォッチでは正確性に欠けるので、ファイルコピーに便利なフリーソフト「DiskBench」を使って、ファイルコピーに掛かった時間を計測します。

  • ゲームフォルダ(容量85.3 GB / 81424個)
  • 写真ファイル(容量113 GB / 5012枚)
  • 圧縮データ(容量256 GB / zipを2個)

以上3つの素材をファイルコピーテストに使います。ソース(基準となるストレージ)は安定した性能に定評がある「Optane SSD P5810X 400GB」です。

MOVE SPEED Panther 4TBをベンチマーク(ファイルコピーに掛かった時間)
MOVE SPEED Panther 4TBをベンチマーク(ファイルコピーに掛かった時間)
MOVE SPEED Panther 4TBをベンチマーク(ファイルコピーに掛かった時間)

拡大グラフはこ

書き込み(Optane P5810X → MOVE SPEED Panther)のコピペ時間です。

Zipファイル、写真フォルダー、ゲームファイルすべてのテストでトップクラスに並ぶ性能を示します。

MOVE SPEED Panther 4TBをベンチマーク(ファイルコピーに掛かった時間)
MOVE SPEED Panther 4TBをベンチマーク(ファイルコピーに掛かった時間)
MOVE SPEED Panther 4TBをベンチマーク(ファイルコピーに掛かった時間)

拡大グラフはこ

次は読み込み(MOVE SPEED Panther → Optane P5810X)のコピペ時間です。

どのテストファイルも安定した読み込み速度で、他社の中華ハイエンドSSD(232層)をやや上回ります。

比較グラフをよく見ると、シーケンシャル性能の割にコピー時間が遅いSSDがポツポツと見られます。

なぜシーケンシャル性能の割に遅いSSDが出てしまうのか。理由は単に「間髪入れずに次のコピーテストを実行」しているからです。

  • Zip(256 GB)→ 写真(113 GB)→ ゲーム(85.3 GB)の順番

SSDは書き込み性能を稼ぐためにSLCキャッシュを使って耐える製品が多いですが、このSLCキャッシュの回復が遅いと・・・次のコピーテストに間に合わずTLC NAND本来の性能でテストが実行されます。

SLCキャッシュをスピーディーに再展開できるかかどうかも実力の内と(筆者は)考えているので、コピーテストは間髪入れず次から次へと実行します。

Premiere Pro CC:4K動画プレビュー

動画編集ソフト「Adobe Premiere Pro CC」に、4K動画素材(448 MB/s)と2K動画素材(175 MB/s)を読み込み、2つの動画を同時にプレビューします。

Premiere Proの動画素材プレビューは、素材を配置しているストレージの性能に影響を受けやすく、SSDの性能が不足すると「コマ落ち」が発生しやすいです。

Premiere Proの標準機能「コマ落ちインジケータ」で落としたフレームを測定し、動画素材の総フレーム数で割ってドロップフレーム率を計算します。

MOVE SPEED Panther 4TBをベンチマーク(Premiere Pro 4Kプレビュー)

4K + 2K動画プレビューのドロップフレーム率は約9.4%です。

まったく同じコンポーネントを搭載する「Hanye HE80」と横並びの水準に達し、名だたる定番ハイエンドSSDをほぼすべて打ち負かします。

Premiere ProのプレビューはDRAMキャッシュが無い方が有利ですから、DRAMレス最速クラスの「MAP1602A」コントローラが勝って当然です。

やかもち
ドロップ率10%を切ったNAND型SSDはすべて中華ハイエンドシリーズ(MAP1602A)です。
MOVE SPEED Panther 4TBをベンチマーク(Premiere Pro 4Kプレビュー)

4K動画プレビューのドロップフレーム率は0%で見事に完封。

本テストを完封できたSSDは「Crucial T700」を除いて、すべてDRAMレス型で占められています。

やかもち
3K動画素材(@251 MB/s)以下は、ドロップフレーム率「0%」で問題なし。比較グラフは省略します。

PCMark 10:SSDの実用性能

PCMark 10 Professional Editionの「Full System Drive Benchmark」を使って、SSDの実際の使用シーンにおける性能を測定します。

Full System Drive Benchmarkには23種類のテストパターン(Trace)が収録されており、パターンごとの転送速度や応答時間を測定し、SSDの実用性能をスコア化します。

なお、SSDは空き容量によって性能が大きく変化する可能性があるため、空き容量100%だけでなく容量を90%埋めた場合(= 空き容量10%)のテストも行いました(※2回:連続で約2時間のワークロード)

MOVE SPEED Panther 4TBの実用性能(PCMark 10 ストレージスコア)
MOVE SPEED Panther 4TBの実用性能(PCMark 10 ストレージスコア)
MOVE SPEED Panther 4TBの実用性能(PCMark 10 ストレージスコア)

拡大グラフはこ

MOVE SPEED Panther(4 TB)のストレージスコア(空き容量10%時)は「3711点」です。空き容量100%なら4066点です。

空き容量による性能低下は約9%に抑えられています。

空き容量が4 TBもある場合、残り10%まで埋めても実際に使える容量は約372 GBです。これだけの容量が残されていれば、PCMark 10のテストに耐えられるだけのpSLCキャッシュを不自由なく展開できます。

「容量の大きいSSDほど性能を維持しやすい」、よって教科書通りの結果です。

2 TB版や1 TB版はグラフに掲載しているLexar NM790やHIKSEMI FUTUREを参考にしてください。同じコンポーネントを採用している、容量違いのSSDです。

MOVE SPEED Panther 4TBの実用性能(PCMark 10 Adobeソフト)
MOVE SPEED Panther 4TBの実用性能(PCMark 10 ゲームロード時間)
MOVE SPEED Panther 4TBの実用性能(PCMark 10 ファイルコピー)
MOVE SPEED Panther 4TBの実用性能(PCMark 10 Microsoft Office)

PCMark 10ストレージテストの細かい内訳を確認します。

基本的にすべてのテスト内容でMOVE SPEED Panther(4 TB)は、Samsung 990 PROやCrucial T700など、最新世代の高級ハイエンドモデルに迫るスコアを示します。

価格差を考慮するとなかなか驚異的な実効性能と言わざるを得ず、やはりコストパフォーマンスが高いです。

実用スコアの内訳
Full System Drive Benchmark
Adobe ScoreAdobe Acorbatの起動
Adobe After Effectsの起動
Adobe Illustratorの起動
Adobe Premiere Proの起動
Adobe Lightroomの起動
Adobe Photoshopの起動
Adobe After Effets
Adobe Illustrator
Adobe InDesign
Adobe Photoshop(重たい設定)
Adobe Photoshop(軽量設定)
Game ScoreBattlefield Vの起動(メインメニューまで)
Call of Duty Black Ops 4の起動(メインメニューまで)
Overwatchの起動(メインメニューまで)
Copy Score合計20 GBのISOファイルをコピー(書き込み)
ISOファイルを作成してコピー(読み込みと書き込み)
ISOファイルをコピー(読み込み)
合計2.37 GBのJPEGファイルをコピー(書き込み)
JPEGファイルを作成してコピー(読み込みと書き込み)
JPEGファイルをコピー(読み込み)
Office ScoreWindows 10の起動
Microsoft Excel
Microsoft PowerPoint

15分間の連続書き込みテスト

1 MBのテストファイルを15分間に渡って、ただひたすら連続して書き込み続ける過酷な検証方法です。

一般向けに販売されているほとんどのSSDは、数分ほど連続して書き込むだけで「素の性能」を明らかにできます。SLCキャッシュの有無やサイズ、キャッシュが切れた後の性能低下などなど。

15分の連続書き込みテストによって、SSDのいろいろな挙動が判明します。

MOVE SPEED Panther 4TBの連続書き込み性能(15分)をテスト
MOVE SPEED Panther 4TBの連続書き込み性能(15分)をテスト

(1枚目:比較グラフ / 2枚目:強調グラフ

SSDは大容量になるほど書き込み性能で有利になる傾向です。余っている空き容量を一時的にpSLCキャッシュ化して、本来遅いはずの書き込み性能を大幅に底上げします。

今回は容量4 TBだから15分間の連続書き込みでもpSLCキャッシュが完全に切れず、平均2000 MB/sを超えるとんでもない速度を維持して終了です。

・・・もっと強制的な手法でキャッシュ構造を深堀りします。

キャッシュ構造平均書込速度
1段階
pSLCキャッシュ
3078 MB/s
2段階
pSLC + TLC
2366 MB/s
3段階
TLCネイティブ
927 MB/s

ブロックファイルを約3800 GB書き込むと、ざっくり3段階のキャッシュ構造が浮かび上がります。

pSLCキャッシュをフルに展開する平均3078 MB/sの爆速モードから始まり、およそ720 GBの書き込みでいったんpSLCとTLCネイティブの混合モードへ移行します。

混合モードからさらに約850 GBほど書き込み、ようやくpSLCキャッシュが完全に切れてTLC NAND本来(TLCネイティブ)の性能が出現します。それでも平均900 MB/s台を維持しており十分な速度です。

Maxio MAP1602Aコントローラの詳しい仕様は非公開なので推測になりますが、空き容量の2~3割前後をpSLCキャッシュとして利用できるようです。

4 TB版だとざっくり800~1333 GBに相当します。一度に800 GBのファイルを書き込むシーンはめったに無く、ほとんどのシーンでpSLCキャッシュを展開可能です。

さらにpSLCキャッシュの再展開もスピーディーです。テスト終了直後でも平均4000 MB/s近い爆速pSLCキャッシュを約60~100 GBほども展開でき、普通に使っているとまったく不便を感じません。

もちろん、TRIM/GCコマンド※を送ると即時にpSLCキャッシュが全回復します。

※TRIM/GCコマンド:WindowsにSSDの空き容量を「再確認」させるコマンド。空き容量を正確に把握できるから、空き容量の割合にもとづいて変動する「pSLCキャッシュ」を高確率で復活させられます。

やかもち
まるでエンプラ向けSSDだと勘違いしそうなくらい、爆速な状態を安定して維持しています。
MOVE SPEED Panther 4TBの連続書き込み性能(15分)をテスト

時間あたりの書き込み量を比較したグラフです。

MOVE SPEED Panther(4 TB)は15分で約2407 GBを書き込みます。DRAMキャッシュ搭載のハイエンドモデルに匹敵する書き込み性能です。

【参考】ポータブルSSD化した場合

USB 20 Gbpsで検証※クリックで画像拡大します
MOVE SPEED Panther 4TBをベンチマーク(Crystal Disk Mark 8)MOVE SPEED Panther 4TBをベンチマーク(Crystal Disk Mark 8)
デフォルト設定書き込みキャッシュ:有効

USB 20 Gbpsエンクロージャー(ASMedia ASM2364)に入れて、USB 20 Gbps(Type-C)ポートで軽く性能をベンチマークした結果です。

デフォルト設定そのままなら2040 MB/s前後のシーケンシャル性能と、そこそこ速いランダムアクセス速度を出せます。

Windowsの設定から書き込みキャッシュを有効化すると、シーケンシャル性能がほとんど変わらず、ランダム書き込み速度がやや改善。ポータブル用途でも不便なく使えそうです。

Silver Stone / コントローラ:ASM2364 / 規格:USB 20 Gbps/ 対応SSD:NVMe(M.2 2280~2230)

SSDの動作温度をテスト

高負荷時のセンサー温度

MOVE SPEED Panther 4TBで表示される温度センサー
  • ドライブ温度:NANDメモリの温度
  • ドライブ温度2:NANDメモリの温度
  • ドライブ温度3:SSDコントローラの温度

モニターソフト「HWiNFO」で表示できる温度センサーは3つですが、内2つが常に同じ温度を表示します。実質的に2つのセンサーです。

MOVE SPEED Panther 4TBのSSD温度をテスト(高負荷時)

ケースファンによるエアフローを一切与えない環境で、SSDが激しく発熱しやすい「連続書き込みテスト」を10分間実行しました。

センサー読みで75℃を超えたあたりで、サーマルスロットリングらしき傾向が出ています。センサー読みで80℃前後にいる間、書き込み速度は平均1600 MB/s程度にとどまります。

サーモグラフィーで表面温度を確認

テスト開始から約8~9分経過したあたりで、サーモグラフィーカメラを使ってSSDの表面温度を撮影します。

  • NANDメモリ(左):79 ~ 80
  • DRAMキャッシュ(中央):なし
  • SSDコントローラ(右):88 ~ 89℃

HWiNFOが表示するセンサー読み温度にかなり近い表面温度です。

平滑化フィルタでノイズを除去すると2~3℃前後しかズレてません。おおむね正確な温度センサーが実装されていますが、Crystal Disk Infoだとセンサー1が表示されるので注意。

やかもち
センサー温度を正確に確認するなら、すべてのセンサーを把握できる「HWiNFO」をおすすめします。
長尾製作所 / 規格 : M.2 2280 / 型番 : SS-M2S-HS01

別売りのM.2ヒートシンクが必要かどうかは好みによります。

消費電力がわずか3 W程度しかないため、ケースファンのゆるいエアフローがあれば十分に冷やせるでしょう。

マザーボード付属のM.2ヒートシンクがあったら、取り付けるくらいで大丈夫。

マザーボード付属のM.2ヒートシンクはネジの締めすぎに要注意。締めすぎると基板に圧力がかかりすぎてSSDの故障につながります。

【おまけ】SSDの消費電力を測定

MOVE SPEED Panther 4TBの消費電力

PCIeスロットの「3.3V」に電力テスターを仕込んで、SSD本体の消費電力を測定します。測定周期は1秒あたり125サンプル(8ミリ秒)、単位は1 mW(0.001 W)です。

まだ開発中の測定機材(β版)だから、掲載したデータは参考程度に見てください。
MOVE SPEED Panther 4TBの消費電力(ワークロード別)

平均値スパイク値

MOVE SPEED Pantherの消費電力をワークロードごとに測定したグラフです。

アイドル時(何もしていない状態)で平均0.75 W(751 mW)でした。Direct Storage使用時に平均2.10 Wほど、Premiere Proによる動画編集は平均1.7~1.8 W前後です。

容量64 GBのZipファイルの書き込みは平均3.01 W(1 Wあたり1246 MB/s)、読み出しで平均3.25 W(1 Wあたり1202 MB/s)を叩き出し、ワットパフォーマンスの高さを示します。

やかもち
「MAP1602A」は電力効率に優れたSSDコントローラです。

まとめ:やはり「MAP1602A + YMTC 232層」は王道の強さ

(ムーブ! スピード!)

「MOVE SPEED Panther」のデメリットと弱点

  • DRAMキャッシュなし
  • 素の書き込み性能は平凡
  • 高負荷時の温度が高い

「MOVE SPEED Panther」のメリットと強み

  • 高速なシーケンシャル性能(7400 MB/s)
  • 低価格ながらハイエンド級の性能
  • 空き容量による性能変化が少ない
  • かなり速いランダムアクセス速度
  • ゲームロード時間が速い
  • 極めて広大かつ迅速なSLCキャッシュ
  • 書き込みに強いキャッシュ構造
  • 十分な耐久性(640 ~ 2400 TBW)
  • 大容量モデルあり(最大4 TB)
  • 4 TBモデルでも片面実装
  • 「MAP1602A + YMTC NAND」記載あり
  • 5年保証

過去レビューで何度も確認してきたとおり、やはりMAP1602A + YMTC製 232層 TLC NANDの組み合わせは王道の強さです。

加えてMOVE SPEED Pantherはタイムセール時に3万円を切る凄まじい価格の安さで、頭一つ抜けた圧巻のコストパフォーマンスを発揮します。

これから来る容量100 GB超のAAAゲームタイトル(例:モンハンワイルズやCall of Duty最新作など)や、容量の大きいAIモデル(LLMやStable Diffusion)を多用する使い方に、MOVE SPEED Panther(4 TB版)を強くおすすめできます。

(※MAP1602A + YMTC TLC版の評価)

なお、HanyeやLexarなど他社中華ハイエンド系と違って、MOVE SPEED Pantherはメーカー仕様表でSSDコントローラとNANDメモリをきちんと表記しています。

2024年11月時点のデータシートいわく、NANDメモリが「YMTC製 232層 TLC NAND」、SSDコントローラは「Maxio MAP1602」とハッキリ記載されています。

(比較的)搭載コンポーネントをあとからサイレント変更される危険性が低い中華ハイエンドSSDです。

以上「MOVE SPEED Panther(4 TB)レビュー:約束されたコスパ最強格SSD【Maxio + YMTC】」でした。

やかもち
「Maxio」と「YMTC」自体が日本国内で強い訴求力を持つ、と気付いたメーカーがようやく出てきた感じ? きちんと記載してて助かります。

「MOVE SPEED Panther」を入手する

MOVE SPEED / NAND : YMTC製 3D TLC NAND / 性能 : 最大7450 MB秒 / 容量 : 4TB / 耐久性 : 2400 TBW / 保証 : 5年

レビュー(2024年11月)時点の定価がおよそ3.5万円ほど、Amazonタイムセール時に約2.8万円(ポイント込で実質2.6~2.7万円)から購入できます。

参考程度に、筆者やかもちが買ったときの価格を掲載。ポイント還元が約2200 ptで、実質26600円で買えました。興味がある方はウォッチリストに入れて監視しましょう。

追記:発売当初は「ガチャ」だったそうです

コメント欄でいただいた情報によると、中国通販で発売された当初は「MAP1602A」と「YMTC 232層」の記載があったにもかかわらず、普通にガチャだったらしく返品騒ぎになったらしいです。

今回レビューした「MOVE SPEED Panther(YSSDHB-2TN7000シリーズ)」も、メーカー仕様表にコンポーネント記載がありますが、実際には違う部品構成で届くリスクがゼロとは言い切れないかも・・・。

ただし、性能にもっとも影響が大きいのはSSDコントローラ「MAP1602A」です。

  • MAP1602A + Micron 232層 TLC(Fortis Flash B58R)
  • MAP1602A + YMTC 128層 TLC(CDT2A X3-9060)

上記のコンポーネント構成であれば、実用上の性能差はほとんど生じません。MAP1602A以外のコントローラが入ってたら性能を再現できないので、返品したほうが良いです。

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20 件のコメント

  • 自分が持ってるのは本家hiksemiやけど基盤に裏面実装のスペースがあったはず。
    このコスパで8TB出して欲しい。
    SSDコントローラが対応してないのかな?

  • MOVESPEEDは昨年某中華ショッピングサイトにおいて4Tクラスで始めて2万円前半にて購入できたので注目されましたが
    NANDメモリが「YMTC製 232層 TLC NAND」、SSDコントローラは「Maxio MAP1602」とハッキリ記載と記載されていたにも関わらず違う実装がされてて返品スレッドが立つくらいには騒ぎになってましたね
    あちらはユキヒョウでしたが

    • > ハッキリ記載と記載されていたにも関わらず違う実装がされてて
      なにそれ・・・怖い。
      最近Lexarで少しずつ報告が出てる「Micron 232層」や「YMTC 128層」なら、ほぼ同程度の性能を再現可能だから許せる(※巧みなpSLCキャッシュ制御はほとんどMAP1602Aに依存)としても、完全に下位のNAND(BiCS5やIntel 96層)や、MAP1602A以外のコントローラ(Phisonとか)が入ってたら返品が妥当ですね。

  • 私はLexar 790使ってますが、裏面に空きパターンはなかったかと
    中国本土の掲示板でも指摘されてましたが、YMTC 232層はなぜか純正チップが流通していないのが課題ですね。値段も安いものと高いものでだいぶ差があるので、もしspectekみたいな訳アリグレードや封止業者がやらかしたのを掴まされている恐れはあるかもしれないです。(そして現状見分ける手段がない!)

    • > YMTC 232層はなぜか純正チップが流通していない
      今まで買ってきたOEM品はたしかにそういう感じがします。
      YMTC自社販売モデル「ZhiTai(致态旗舰店)」も純正チップじゃ無いのでしょうか?

      • 調べた感じ、ZhitaiはさすがにYMTCロゴ入りの純正のようですね
        純正以外にはロゴ入りを卸さないとはSamsungみたいですね…

  • 同じ約束された勝利を積んでるのはメーカーが違うだけで性能は誤差といった感じでしょうか??

    • メーカー仕様表に記載はしてるけど、Amazon.co.jp流通分はそのメーカー仕様表に該当しない・・・という解釈でやってるのかな?
      まぁ128層 or 232層の違いなら実用上の性能差がほぼ生じないから良いとして、まったく別のNANDやコントローラが入ってたら困りますね。

  • 予備領域が割り当てられていない、とのことですが、これは耐久性などに影響するのでしょうか?ユーザー側で予備領域を割り当てることはできますか?

    • 予備領域が何を差しているかによりますが、
      製造時の欠陥を代替する予備領域のことであれば
      ユーザーが気にする必要はありませんし、
      さわることも増やすことも出来ません。

      オーバープロビジョニング領域のことを指しているのであれば、
      このSSDは280GiBほど確保されていますので何も心配することはありません。

      製品容量は10進数で表記されているので4096GBですが、
      NAND自体は2進数を基に製造されますので1024繰り上がりです。
      SSD:4096GB
      NAND:4096GiB

    • メーカー純正ユーティリティがあれば、予備領域を変更可です(例:Samsung Magician等)。Move Speedは特にこれといったソフトを提供していないため、予備領域の書き換えは高難易度だと思われます。

      耐久性に影響するかどうかは不明です。予備領域のサイズ差で、メーカー公称値のTBWが大きく変わっている例をめったに見かけないから、多分そこまで影響しないのかも?
      ただ、理屈で考えると「データ化け」に遭遇する確率は上がるかもしれません(少なくとも同等にならない)。

  • 今月Amazonで4TBを購入しました。
    シールを一部はがしてみるとコントローラーは「MAP1602A」でNANDは片面実装ですが型番「vsymt08ta104」でした。ChatGPTに聞くとKioxia製のようですが詳細不明です。まだ使用していないので性能もよくわかりませぬ。

    • Kioxia製ではなさそう。外付けではNANDの情報読み取れなかったので、今度PCに組み込んでみます。

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