インテルはモバイル向けRyzen(最大4コア)に徹底的に対抗するべく、ついにノートパソコン向けでは初となる「6コア搭載」のCPUを投入してきた。というわけで、本記事はハイエンドなゲーミングノートで多くの採用が見込まれる「Core i7 8750H」の仕様や性能について、先代にあたるi7 7700HQと比較しながら解説してみる。
i7 8750Hの仕様:i7 7700HQと比較
カタログスペック(仕様)の比較 | ||
---|---|---|
CPU | i7 8750H | i7 7700HQ |
世代 | 8th Coffee Lake | 7th Kaby Lake |
プロセスルール | 14nm | |
コア数 | 6 | 4 |
スレッド数 | 12 | 8 |
ベースクロック | 2.2 Ghz | 2.8 Ghz |
ブーストクロック | 4.1 Ghz @1 | 3.8 Ghz @1 |
3.9Ghz @ALL | 3.4 GHz @ALL | |
L1 Cache | 386 KB | 256 KB |
L2 Cache | 1.5 MB | 1.0 MB |
L3 Cache | 9.0 MB | 6.0 MB |
対応メモリ | DDR4-2666 | DDR4-2400 |
LPDDR3-2133 | LPDDR3-2133 | |
最大メモリ | 64GB | 64GB |
チャネル | x2 (デュアル) | x2 (デュアル) |
PCIe | 16レーン | 16レーン |
構成 | 1×16 | 1×16 |
2×8 | 2×8 | |
1×8 + 2×4 | 1×8 + 2×4 | |
内蔵GPU | UHD 630 | HD 630 |
GPUクロック | 350 Mhz | 350 Mhz |
ブースト時 | 1100 Mhz | 1100 Mhz |
最大出力数 | 3画面 | 3画面 |
TDP | 45W | 45W |
cTDP | 35W | 35W |
ロンチ | 2018/04/02 | 2017/01/03 |
MSRP | $ 395 | $ 378 |
では、注目するべき仕様変更点を順に追っていきます。
初の6コア化
言うまでもなく、i7 8750Hの最も大きな変更点は「4コア → 6コア」へと、コア数が50%も増えたことです。スレッド数も同様に増えて「8スレッド → 12スレッド」と、ノートパソコン向けCPUとしては異様なマルチスレッドを備えるように。
クロック周波数も進化
Intel Turbo Boost時のクロック周波数 | ||||||
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使用コア数 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
i7 8750H | 4.1 GHz | 3.9 GHz | ||||
i7 7700HQ | 3.8 GHz | 3.6 GHz | 3.4 GHz | – |
ベースクロック周波数は600 Mhzも低下(2800 → 2200 Mhz)したが、ブーストクロック周波数は改善されている。
従来のi7 7700HQは1コア時に3.8 GHzで、全コアに負荷が掛かった場合は3.4 GHzで動作していた。そしてi7 8750Hは1コア時に4.1 GHzで動作、全コア時に3.9 GHzで動作する仕様になっている。
このことからも総合的なマルチスレッド性能が向上しているのは間違いない。なお、コア数が50%増えたことに伴い、キャッシュ容量も50%増えている。
内蔵グラフィックスはIntel UHDに
CPU内部に搭載されている内蔵グラフィックス(iGPU)は、従来のIntel HD Graphics 630からIntel UHD Graphics 630へ更新。ただし、GPUクロック周波数は進化していないので性能アップはあまり期待できない。
仕様まとめ:i7 7700HQの完全上位互換
- 50%増えた「6コア / 12スレッド」
- クロック周波数は全体的に向上
- より高速なメモリに対応(DDR4-2666)
- 内蔵GPUは「UHD 630」に更新
特に欠点やダメになった部分はなく、i7 8750Hは完全にi7 7700HQの上位互換になりました。価格も17ドルしか上がっていないのでほぼ据え置き。素直に「いいね。」と言えるCPUだ。
CPU性能:最強クラスのノートPC向けCPU
モバイル向けXeonですら、今まで4コアが上限だった。それが一気に6コアに増量されたわけですから、CPU性能も当然伸びているはずだ。というわけで、各種ベンチマークデータに基いて性能を確認します。
参照するデータは米TechSpotより。テスト環境は以下の通り。
テスト環境 | |||
---|---|---|---|
モデル | Gigabyte Aero 15X | MSI GS63VR | Dell XPS 13 |
CPU | i7 8750H | i7 7700HQ | i7 8550U |
GPU | GTX 1070 Max-Q | GTX 1070 Max-Q | – |
GTX 1070 Max-Qを搭載するゲーミングノートを2種(i7 8750 vs i7 7700HQ)と、一般向けのノートパソコンを1種。この3種のノートパソコンで各種ベンチマークが実行されました。
Cinebench R15
Cinebench R15は国際的に有名なベンチマークソフト。CPUにレンダリングという処理を行わせ、CPUのシングルスレッド性能とマルチスレッド性能をスコア化する。CPUの特徴をつかみやすいベンチなので、海外だけでなく日本でも人気が高い。
Cinebench R15 / シングルスレッド性能
i7 8750Hi7 7700HQ & i7 8550U
i7 7700HQは「147 cb」と、やや大人しいスコア。一方のi7 8750Hは「174 cb」を叩き出し、インテルのモバイル向けCPUとしては最高クラスのシングルスレッド性能を発揮している。これはゲーミング性能の底上げにもつながる。
Cinebench R15 /マルチスレッド性能
マルチスレッド性能は「1158 cb」で、i7 7700HQと比較して約58%も伸びている。「4コア → 6コア」は50%の増加ですが、i7 8750Hは1コアあたりの性能(シングル性能)も大きく向上しているため、全てのコアを使うマルチ性能は50%以上に伸びた、ということ。
今まではノート型ワークステーションを謳う製品でも、4コアXeonが上限だった。しかし強力な6コアを備えるi7 8750Hはそれを更に超える性能を持っているため、今後はこういったゲーミングノートも良い選択肢になってくるだろう。
x264 HD Benchmark
動画エンコードで定番のH264形式で変換を実行し、その処理にどれくらいの速度(=フレームレート)を出せているかでCPUの性能を判断できるベンチマークです。シングルパス(1 Pass)とマルチパス(2 Pass)の2種類モードが用意されている。
x264 HD Benchmark / シングルパスモード(単位:fps)
精度が粗いかわりに処理速度が速いシングルパスモードから確認。i7 8750Hは「117fps」を記録し、i7 7700HQは「78fps」でした。その差はちょうど50%…、6コアが持つマルチスレッド性能は強い。
x264 HD Benchmark / マルチパスモード(単位:fps)
高品質なエンコードだが、処理速度が一気に遅くなるマルチパスモード。全体的に重たくなるけれどCPUの性能差通りの結果になりました。i7 8750Hは約45%ほど高速な処理速度を発揮している。
Handbrake
無料の動画エンコードソフト「Handbrake」を使って、HEVC形式(Fast Priset)で60分の動画をエンコードするのに掛かった時間で性能をチェックする。H264より更に複雑な処理になります。
Handbrake / HEVC(x265) Fastプリセット:60分の動画(単位:分)
i7 8750Hは約53分で処理を終え、i7 7700HQは約68分掛かった。23%の高速化です。
Microsoft Excel
Microsoft Excel / モンテカルロシミュレーション(単位:秒)
シングルスレッド性能の進化と6コア化により、Excelの計算処理も大幅に速くなった。i7 7700HQで4.63秒掛かった処理が、i7 8750Hは3.17秒で済むように。差は32%ほど。
WinRAR 5.0
有名なフリー解凍ソフト「WinRAR」。付属のベンチマークツールで、圧縮を行った時の処理速度(単位はkB/s)を計測可能。
WinRAR 5.0 / 圧縮 – シングルスレッド(単位:kB/s)
シングルスレッドで処理した場合は15%高速化。
WinRAR 5.0 / 圧縮 – マルチスレッド(単位:kB/s)
全てのマルチスレッドを使って処理させた場合は53%の高速化。文句なしに速いです。
7-Zip Benchmark
WinRARと同じく有名な、フリー解凍ソフト「7-Zip」。こちらは圧縮と解凍それぞれにベンチマークツールが付属しているのが特徴。
7-Zip Benchmark / 解凍(単位:MB/s)
まずは解凍から。概ねマルチスレッド性能通りの結果です。i7 8750Hはシングル性能も底上げされているため、i7 7700HQを約69%も上回る圧倒的なパフォーマンス差をつけてみせた。ノートPC向けでは最速クラスに入る。
7-Zip Benchmark / 圧縮(単位:MB/s)
次は圧縮。解凍の場合と同じで、だいたいマルチスレッド性能に沿った結果になっている。i7 8750Hはi7 7700HQを約55%高いパフォーマンスを記録したことに。
Adobe Premiere
アドビの動画編集ソフト「Adobe Premiere」で、Lumetriエフェクトを掛けた動画をH264エンコードするのに掛かった時間で、i7 8750Hの相対的な性能を調べる。
Adobe Premiere / Lumetriエフェクト & 4K H264エンコード(単位:分)
i7 8550Uが極端に遅いですが、GPU支援の影響です。i7 8750Hとi7 7700HQは、GTX 1070を搭載するマシン上でテストを実行しているため、これだけの差がつく。
重要なのは、同じグラフィックボードにも関わらずi7 8750Hの方が25%も速くエンコードを終えていることです。6コア化によるマルチスレッド性能の向上だけでなく、より効率よくGPUを活用できるようになっていることが示唆できますね。
PCMark 8
事務的な内容や、軽めの3D処理などが含まれる複合的なベンチマーク。「パソコンとしての性能」をスコア化出来るので便利。
Work
Excelの表計算、Wordの文書作成など一般事務の内容が多く含まれるテスト。
PCMark 8 / Work
i7 7700HQから11%ほど高速化。Excelのモンテカルロシミュレーションで非常に速い結果を出せているとおり、PCMark 8 Workも概ね性能アップできています。
Creative
更にグループビデオチャット、動画エンコード、3Dゲーミングが含まれるテスト。
PCMark 8 / Creative
Creativeモードもスコアの上昇が確認できる。
Home
Home編はWeb閲覧、Word編集、簡易的な3Dゲーミング、写真編集、ビデオチャットなどの処理が含まれる。
PCMark 8 / Home
基本的な操作が多いHomeモード。スコアは8%ほど上昇し、CPU性能が確実に進化したことがよく分かります。それにしてもノートパソコンで4000~5000点を超えてくるとは…下手なデスクトップPCより性能は上ですね。
3DMark TimeSpy
3DMarkはグラフィックボード用のベンチマークですが、途中CPUだけを使ったレンダリングテストが含まれています。その物理スコアを見ることでCPU性能を測ることが可能。
3DMark TimeSpy / CPU Physics Score
結果はこの通り。やはりコアの増量がごりごりと効いている。i7 7700HQは4000点程度だったが、i7 8750Hは6000点を超えるまでに進化。パフォーマンス差は約50%です。
CPU性能のまとめ
- レンダリング、エンコードなどで50%前後の性能アップ
- シングルスレッド性能は15%上昇
- 現状、ノートパソコン向けCPUの中では「最高クラス」の性能
4コアから6コアに増えただけでなく、1コアあたりの性能もかなり改善されています。このためシングル性能に影響されやすいソフトや分野でもパフォーマンスの向上が狙えますし、マルチスレッドが重視される使い方も圧倒的だ。
今のところ(2018年4月時点)目立った死角がない、最高クラスのモバイルCPUであることは間違いない。さて、CPU本体の性能はだいぶ分かったので次はゲーミング性能を確認していきます。
ゲーミング性能:6コア化とシングル性能の向上で改善
同じグラフィックボードを使った場合、実際に発揮される性能(フレームレート)が違う現象が割りとよく起きる。いわゆる「ボトルネック」という現象で、グラボが高性能なほど発生しやすい。
このボトルネックがどの程度起きるのか。ここにCPUの持つゲーミング性能が影響してくる。例えば、GTX 1080 Tiを使った場合、i7 7700Kが100fpsでi7 8700Kが105fpsを叩き出した場合。後者の方がゲーミング性能は上ですね。
Civilization VI
Civilization VI / FHD@最高設定 / 平均フレームレート
平均フレームレート最低フレームレート(0.1%)
Civilizationは元々CPU性能に影響されやすいゲームだが、ここまで差が出るとは。同じGTX 1070なのに、i7 8750Hは平均72fpsを叩き出し、i7 7700HQは平均56fpsに留まっている。その差は約29%で、i7 8750Hのゲーミング性能が更に上の次元に達したことを示唆しています。
Assassin’s Creed Origins
Assassin’s Creed Origins / FHD@最高設定 / 平均フレームレート
アサシンクリード・オリジンズでも、ゲーミング性能の差が確認された。おおよそ10%の差がでており、i7 7700HQはGTX 1070程度のグラボですら手に余る状態…ということが明らかに。ということはGTX 1080搭載ノートPCって、かなり無駄が多そうだ。
Assassin’s Creed Origins / FHD@中間設定 / 平均フレームレート
中間設定に落としても傾向は変わらず、やはりゲーミング性能の違いが顕著に現れている。i7 8750Hはi7 7700HQを10%近く引き離しており、6コア化とシングル性能の向上でゲーミング性能を確実に改善したことがよく分かる。
Watch Dogs 2
Watch Dogs 2 / FHD@最高設定 / 平均フレームレート
ウォッチドッグス2(最高設定)だと、やや差が縮まった。このゲームは意外と重たいですからね。フレームレートが出づらいゲームだと、ゲーミング性能は縮小しやすい。それでも8%の差なので、無視できないですね。
Watch Dogs 2 / FHD@中間設定 / 平均フレームレート
中間設定に落とし、フレームレートを出やすい状態にするとゲーミング性能は更に開いた。最高設定で8%だった差は、12%へ広がりました。
Rise of the Tomb Raider
Rise of the Tomb Raider / FHD@最高設定+DX12 / 平均フレームレート
GTX 1070の割には大苦戦のRise of the Tomb Raider。性能差は約7%ほど。
Rise of the Tomb Raider / FHD@高設定+DX12 / 平均フレームレート
高設定にすると一気にフレームレートが改善。i7 8750Hは平均84fpsを出し、i7 7700HQは平均78fpsに留まった。性能差はやっぱり約7%ほどに収まりますね。
Grand Theft Auto V
Grand Theft Auto V / FHD@高設定+FXAA / 平均フレームレート
GTA Vではなぜかi7 7700HQに平均フレームレート・最低フレームレートともに抜かされてしまった。その差は6%ほど。
Prey
Prey / FHD@最高設定 / 平均フレームレート
Preyはほぼ同じフレームレート。平均フレームレートの性能差は2%しか無く、最低フレームレートに至っては誤差といっていいレベルの差に。
Hitman
Hitman / FHD@最高設定+DX12 / 平均フレームレート
Hitman(2016)では、i7 8750Hが平均77fpsで、i7 7700HQが平均72fpsに。性能差は約6%で、やはりi7 8750Hの方がグラフィックボードの性能を上手く引き出せている。
Shadow of War
Middle Earth : Shadow of War / FHD@ウルトラ設定 / 平均フレームレート
ミドル・アース最新作「シャドウオブウォー」。どちらも同じGTX 1070だが、i7 7700HQだと平均60fpsに届かず、i7 8750Hなら平均60fpsを突破できてしまうという絶妙なパフォーマンス差。
ゲーミング性能のまとめ
ゲーミング性能:i7 8750H vs i7 7700HQ
- i7 8750Hのゲーミング性能は、i7 7700HQより「7%」高い
- 最低フレームレートで見ても「7.5%」高く、安定性が増している
- ノートパソコン向けCPUで、恐らく最高のゲーミング性能
ゲーミング性能の平均値をまとめた結果です。i7 8750Hはi7 7700HQと比較して、GTX 1070の性能を平均フレームレートで7%、最低フレームレートで7.5%も多く引き出せることがわかりました。
これが意味するのは今までのゲーミングノートでよくある構成の「i7 7700HQ + GTX 1070(またはGTX 1080など)」は、まだまだGTX 1070の性能を完全に引き出せていなかった…という事実です。
Cinebench R15 / シングル & マルチスコア
i7 7700HQは1コアあたり140cb前後の4コア / 8スレッドですから、言ってしまえば「Ryzen 5 1400」と同じくらいの性能なんですよね。それではGTX 1070レベルのグラボですら手に余るのは、直感的に理解できる話だ。
CPUの中で最強のゲーミング性能を持っているのが「i7 8700K」です。このCPUは1コアあたり190cb前後の6コア / 12スレッドなので、i7 8750HはまだGTX 1070の性能を完璧には引き出せていない可能性は残されている。
それでもi7 7700HQと比較すれば大きく伸びたので、今後ゲーミングノートを選ぶ時はCPUに「i7 8750H」が入った構成を選ぶべきです。(型落ちで安くなった中古のi7 7700HQを選ぶのは無しではない…が。)
まとめ:i7 8750Hはゲーミングノートを加速する
2009年にモバイル向けCPUで初めて4コア / 8スレッドを備える「i7 920XM」が登場してから約9年。ずっとモバイル向けCPUでは「4コア」を上限にしてきたインテルですが、やっとその縛りが終わって「6コア」が登場。
Cinebench R15 / シングル & マルチスコア
9年という長いスパンで見ると、4コア縛りという状況の中で少しずつ性能を伸ばしてきたノートパソコン向けハイエンドCPU。しかし4世代以降は性能が伸び悩んでいることがわかります。
そこで6コア化により性能は58%も上昇し、4世代から見ると82%もの上昇になった。もしもAMD Ryzenが競争をもたらしていなければ、第8世代も従来通り4コアのままで登場していたかもしれない…。
ゲーミング性能の向上がもたらすもの
ゲーミングノートは意外と伸びている市場です。NVIDIAはデスクトップ向けGPUと同じ性能を維持しながら、薄型筐体にも搭載できる「Max-Q」を開発するなど、ノートPC向けグラボの性能はここ2~3年で飛躍的に向上した。
それにも関わらず、CPU性能の伸びが鈍い。せっかくグラボの性能が上昇しても、CPU側のゲーミング性能が古いままだとグラボが持つ本来の性能を引き出せない「無駄」(ボトルネック)が増えていく一方です。
だから今回の「i7 8750H」は、ゲーミングノートにとって非常に歓迎できる存在だ。同じグラボでも実際に出せるフレームレートが伸びるわけですから。
ノートPCで最高の性能を求めるなら「ベスト」
というわけで個人的な評価は「Sランク」で。価格を据え置いたままシングル性能は15%、マルチ性能が50%以上も伸び、ゲーミング性能が少なくとも7%も伸びたのですから文句は無い。
モンスター級のゲーミングノートを使いたい、ノート型ワークステーション(もう4コアのXeonを選ぶ必要はない)を使いたいと考えているなら、Core i7 8750Hは最高の選択肢の一つになります。
i7 8750H以外のラインナップについて
なお、i7 8750H以外にもラインナップが用意されているのでスペックをまとめておきます(参考:インテルの「H」シリーズまとめ)。
CPU | コア数 | ベースクロック | ブースト時 | MSRP |
---|---|---|---|---|
Core i9 8950HK | 6 / 12 | 2.9 Ghz | 4.8 Ghz | $ 583 |
Core i7 8850H | 6 / 12 | 2.6 Ghz | 4.3 Ghz | $ 395 |
Core i7 8750H | 6 / 12 | 2.2 Ghz | 4.1 Ghz | $ 395 |
コストパフォーマンス的に見ると「i7 8750H」と「i7 8850H」が同価格でクロック周波数が違うだけなので、ノートパソコンの本体価格に差がなければ「i7 8850H」を選んだ方が良い。
「i9 8950HK」はブースト時のクロックが全コア4.3Ghz以上になる上に、CPU温度が50度以下の状況でターボブーストが使用可能なら更に200Mhzクロックを盛る「Thermal Velocity Boost」(略:TVB)という技術を搭載しています。
i9 8950HKが真の最高性能を持つのは間違いないものの、TVBは常に使えるシステムとは思えない。ノートパソコンという狭い空間内で、6コアが4Ghz超えの動作をするi9 8950HKをしっかりと冷やせるのかどうか…かなり難題だと思うんですよね。
おすすめの「i7 8750H搭載のゲーミングノート」
GALLERIA GCF1060GF-E
ドスパラが展開しているコスパに特化したゲーミングノートです。約15万円という価格で「i7 8750H + GTX 1060 + 144Hzモニター」を搭載するからスゴイ。
実際にレビューしたところ、ゲーミング性能は高く、冷却性能も良好。パネル品質もsRGBを約95%カバーしており、応答速度も良い。コスパと品質を両立する逸品です。
Razer Blade 15
Core i7 8750Hと、GTX 1070を搭載するハイエンドゲーミングノートです。最大の特徴は、滑り止めゴムを含めて、たったの18.0mmしか無い圧倒的な「薄さ」。
実際に試したところ、これだけ薄いにも関わらず、GTX 1070をクロックダウンさせることなく安定動作させるほど冷却性能に優れているので驚きました。
Razer Blade 15は性能と秀逸なデザインを両立する、完成度の高いゲーミングノートです。実機レビューは以下よりどうぞ。
以上「Core i7 8750Hの驚異的な性能:ノートPCで初の6コアCPU」でした。
ノートパソコン向けCPU / GPUの関連記事
あらゆるシリーズが多岐にわたって展開されている、インテルのノートパソコン向けCPUについて。ラインナップの選び方や性能についてまとめたガイド記事。
10万円以下のノートパソコンでしばしば採用されている、NVIDIAのノートパソコン向けグラボ「MX150」の性能を実際に検証した記事。割りと動くのでビックリです。
ノートPCのCPUがデスクトップCPUに近づいている感。これだとデスクトップの座がラップトップに奪われる日も近いか…
デスクトップ向けCPUにも肉薄するような性能ですね、素晴らしい事です
は…八コア積んだノートなら過去に…
Ryzen7 1700乗せた奴が…(´・ω・`)
↑アキバのasusで見たときは目を疑いました。
↑いや、世の中にはCorei7-8700K搭載のノートがあるぞ!
http://kakaku.com/item/K0001028701/
i5-8300Hの性能評価もお願いしたいです。
8750Hと迷ってます。
特に6コア対応アプリやゲームが少ない中であえて8750Hを選ぶメリットとか
7700HQの全コア稼働時のクロックは3.4Ghzのはずですが、マルチコア時は定格動作しかしないというのはどちらの情報でしょうか。
少なくともうちのdell 7567ではcinebenchM.C.時3.39Ghzと出ています。
https://www.cpu-monkey.com/en/cpu-intel_core_i7_7700hq-690
確認したところ、間違っていたので修正しました。
情報元は基本的に「WikiChip」を見ています。情報元は間違っておらず、こちらの単なる確認ミスです。
漠然と、そろそろ新しいゲーミングノートPCが欲しいけど、今のCPUやグラボの性能で具体的にはどの程度遊べるのかよく分からないなと思っていたのでとても参考になる記事でした!
good , thank you !
デルのGシリーズを筆頭に
搭載製品は10万前後と
スペックを考えると値段も手頃なのが嬉しい
もっと広まって欲しいが
こいつが広まりすぎると
UやYの立ち位置が無くなるから
インテルとしては扱いが難しいと思う。