ゲーミングノートとしては小型な15.6インチ。そして薄さはわずか18mmな、小型で薄型なモノリスのようなシャーシの中に。Razerはi7 8750HとGTX 1070を詰め込んだ。「薄型」で「パワフル」の2つは両立が難しいが、新型のRazer Blade 15はどこまで実現するのか?
実際に試してみた。
Razer Blade 15の仕様やスペック
Razer Blade 15タイプ : RZ09-02386J92-R3J1 | |
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OS | Windows 10 Home 64bit |
CPU | Core i7 8750H6コア / 12スレッド / 2.2 ~ 4.1 GHz |
メモリ | DDR4-2666 8GB x2 |
GPU | GTX 1070 8GB Max-Q |
SSD | Samsung PM981 512GBNVMe SSD / M.2 2280 |
HDD | – |
サウンド | Realtek ALC 298 |
スピーカー | 2個搭載Dolby Atmos対応 |
光学ドライブ | – |
各種ポート |
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無線LAN |
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ディスプレイ |
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キーボード | Razer Synapse 3対応キー単位で1680万色のRGBライティングが可能 |
カメラ | 100万画素(720p) |
バッテリー | 80 Wh5209 mAh / リチウムポリマー |
サイズ | 17.3 x 355 x 235 mm滑り止めゴムを含めると厚みは18.0 mm |
重量 |
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保証 | 12ヶ月 |
価格 | 289800 円(税抜)最新価格をチェックする |
今回レビューするRazer Blade 15のスペックは以上の通り(2018年12月時点)。
カンタンに言ってしまうと、ハイエンドな構成というだけでなく、「IPSパネルの144 Hz」や「Intel製NUC」など。プレミアムな仕様を詰め込んでいるのがRazer Blade 15の魅力的なところ。
そしてRazer Blade 15の最大の強みが、「GTX 1070搭載ゲーミングノートとしては、世界で最も薄い」とされる厚さ17.3(滑り止め含めて18.0)mmです。
本体の厚みがたったの17.3mmで、本当にCore i7 8750HとGTX 1070の性能をマトモに発揮できるほど冷却できるのかどうか。注目です。
「Razer Blade 15」シリーズ | |||
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タイプ | RZ09-02385/ J92-R3J1 | RZ09-02386/ J91-R3J1 | RZ09-02386/ J92-R3J1 |
OS | Windows 10 Home 64bit | ||
CPU | Core i7 8750H6コア / 12スレッド / 2.2 ~ 4.1 GHz | ||
メモリ | DDR4-2666 8GB x2 | ||
GPU | GTX 1060 6GB Max-Q | GTX 1070 8GB Max-Q | |
SSD | NVMe SSD 512GB | NVMe SSD 256GB | NVMe SSD 512GB |
HDD | – | ||
サウンド | Realtek ALC 298 | ||
スピーカー | 2個搭載Dolby Atmos対応 | ||
光学ドライブ | – | ||
各種ポート |
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無線LAN |
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ディスプレイ |
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キーボード | Razer Synapse 3対応キー単位で1680万色のRGBライティングが可能 | ||
カメラ | 100万画素(720p) | ||
バッテリー | 80 Wh5209 mAh / リチウムポリマー | ||
サイズ | 17.3 x 355 x 235 mm滑り止めゴムを含めると厚みは18.0 mm | ||
重量 |
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保証 | 12ヶ月 | ||
価格 | 239800 円(税抜) | 264800 円(税抜) | 289800 円(税抜) |
グラフィックボードが「GTX 1060 / GTX 1070」の違い。SSDが「256 / 512 GB」の違いでしか無い。なお、下位エディションに「Base Model」があるが、シャーシデザインが若干変更され、冷却機構も弱体化しているため、本記事では扱わない。
Razer Blade 15を開封レビュー
Razerらしいグリーン基調のパッケージ
Razer Blade 15は2つのパッケージに分けられている。大きいパッケージがRazer Blade 15本体、小さいパッケージの方には充電アダプタと電源ケーブルが入っています。
本体パッケージは、パッと見で分かる「Razer」グリーン。Razerの蛇ロゴも刻印されており、左右にRazerのロゴ。裏面にはスペック表が小さく書かれているだけのシンプルなデザインです。
下から引き上げるようにして開封。紙製の保護フィルムの下に、Razer Blade 15本体が収められている。
付属品をチェック
小さいパッケージの中に、電源ケーブルなどの付属品が入っている。充電アダプタも見ての通り、モノリスのようなシンプルなデザイン。
もう一つのレターボックスのような付属品の中には、
- Razer CEO(社長)からのメッセージ
- Razer Bladeスタートブック
- 製品情報ガイド
- Razer特製ステッカー
- マイクロファイバー製クリーニング布
全部で5つの付属品が入っていました。クリーニング布は画面を拭いたり、Razer Bladeに付着した指紋を拭き取るのに重宝する。
説明書はRazer Bladeの基本的な使い方や、パッケージ内容について記載されている。
Razer特製ステッカーは、パソコンのケースパネルに貼り付けたり、Razer Blade本体に直接貼り付けることが出来る。ただ、素の状態で十分にデザインは良いので、(個人的に)使う出番は無さそう。
薄さ17.3mmの筐体(シャーシ)と重量
新型Razer Blade 15のシャーシデザインは非常に洗練されている。マットブラックにRazerの蛇ロゴが彫り込まれていて、シャーシの素材そのものはアルミユニボディを採用しています。
天面から見ると真っ黒な美しい長方形。
底面からは2個の冷却ファンと、熱排気用のスリットが確認できる。前後に取り付けられているのは、厚み0.7mmの滑り止めゴム。
重量はRazer Blade 15本体が2074 gで、充電アダプタと電源ケーブルは715 gでした。両方合わせて約2.8 kgもあるので、持ち運べないことは無いけれど苦労しそうな重量ですね。
シャーシデザインを360°観察
完全にモノリスデザイン。無駄な凹凸は全く無く、シンプルでスタイリッシュなデザイン。ここにCore i7 8750HとGTX 1070(Max-Q)が詰め込まれている。
ヒンジは適度な硬さで、片手でディスプレイを開けることが可能。
ディスプレイは画面占有率85%を実現する、フレームレスデザイン。
ベゼル幅はトップ側が10 mmで、左右は5 mmしか無い。
ただしボトム側のベゼルは1 cmオーバーと分厚い。Razerのロゴが刻印されている。
Razer Blade 15のシャーシはアルミユニボディで作られていて、剛性はしっかりしている。本体の端っこの方だけを持って、持ち上げても、シャーシ全体がしなるようなことは全く無い。
ファンの排気口を除いて、力を入れてもシャーシを曲げるのはかなり難しい。バッグに入れて持ち運んでいる間に、曲がって画面が割れたりするような心配は無いでしょう。
ディスプレイは最大で135°くらいまで開きます。
天板にはRazerロゴが約0.3mmくらいの深さで彫り込まれている。
ちなみに、電源を入れると天板のロゴはグリーン色に光ります(Razer Synapseから色の調整はできない)。
デジタルノギスで計測したところ、ディスプレイ側の厚みは約5.3mmで、ボディ側の厚みが約12mmで合計17.3mmでした。ゴム足の0.7mmを含めて、18.0mmの薄さを実現している。
(記事執筆時点)GTX 1070を搭載するゲーミングノートPCとしては、今のところ世界でもっとも薄い。
というわけで、デザインは文句なしにカッコイイし、剛性も良好。価格なりにしっかりしています。
キーボードはRazer Synapse 3に完全対応
キーボードは日本語タイプだが、Fnが一番下の列に2個追加されているので、一部のキーが一つ上の列に押し出されてしまうデザインになっています。
そのため、ゲームプレイ自体はそれほど問題なく使えるが、普段のフルキーボードに慣れていればいるほどタイプミスしやすい。
キーの大きさは約15.5 mmで、キーピッチ幅は約18.3 mmでした。キーストロークは約2 mmなので、薄型ノートパソコンの割には結構深い。
Razer Blade 15のキーボードは「Razer Synapse 3」に完全対応。キー1個ずつにRGBカラーを設定でき、キーの割り当て(HyperShift機能も)まで使えるようになっている。
Razer Synapse 3 | ||
---|---|---|
キー割り当て対応 | HyperShiftも対応 | RGBライティングはキー1個ずつに可能 |
同時押しは両手の指では足りないくらい使えたので、実質的に無制限と言えます。だから、体を傾けながら撃つ(リーンしながらエイム)も余裕ですし、走りながらジャンプといったアクションも問題なし。
豊富なインターフェイス
Razer Blade 15は薄型ノートパソコンの割には、インターフェイスを犠牲にしていないところに好感が持てる。
- Thunderbolt 3
- USB 3.1 Gen1(Type-A)
- HDMI
- Mini DisplayPort 1.4
- ケンジントンロック
右側は5つのポーツを備える。HDMIとMini DPを装備しているので、他のモニターに接続してマルチディスプレイ環境を構築することもカンタンです。
Thunderbolt 3端子は(ほとんど存在しないけど)対応しているモニターに映像を出力したり、別売りの外付けGPUボックス「Razer Core X」や「Razer Core V2」を使うために存在します。
ただ、今回のRazer BladeはGTX 1070搭載なので、あえてRazer Coreを購入する必要はゼロ。
- 電源コネクタ
- USB 3.1 Gen1(Type-A)
- USB 3.1 Gen1(Type-A)
- 3.5mmプラグ
左側のインターフェイスは、イヤホンやヘッドホンを使える3.5mmプラグ、ポータブルSSDを高速に使えるUSB 3.1 Gen1コネクタが2つです。
無線LANの性能について
Razer Blade 15には有線LANコネクタが無いが、最大で1.73 GBitの帯域幅に対応するIntel製のハイエンドNUC「Wireless-AC 9260」を搭載することで、無線でも高速ネットワークを可能にしている。
帯域幅 | iperf3(受信) | iperf3(送信) |
---|---|---|
0.00-1.00 | 66.1 MBit/s | 83.3 MBit/s |
1.00-2.00 | 79.6 MBit/s | 85.4 MBit/s |
2.00-3.00 | 71.3 MBit/s | 76.3 MBit/s |
3.00-4.00 | 72.3 MBit/s | 85.8 MBit/s |
4.00-5.00 | 81.8 MBit/s | 88.5 MBit/s |
5.00-6.00 | 83.9 MBit/s | 86.2 MBit/s |
6.00-7.00 | 70.2 MBit/s | 83.3 MBit/s |
7.00-8.00 | 43.0 MBit/s | 95.1 MBit/s |
8.00-9.00 | 40.8 MBit/s | 89.3 MBit/s |
9.00-10.00 | 64.0 MBit/s | 87.9 MBit/s |
平均 | 67.3 MBit/s | 86.1 MBit/s |
ベンチマークを行ったところ、受信で67.3 MBit/s、送信が86.1 MBit/sでした。最大1.73 GBitまで対応しているにも関わらず、実際の速度が遅いのはなぜか…要するにぼくの家のネット環境が悪いんですよね。
メンテナンス性とパーツの増設について
Razer Blade 15のボトムカバー(底面のフタ)は、10箇所の「T5トルクスネジ」を取り外すだけでカンタンに開封できる。
500円くらいで売っている「T5トルクスドライバー」と、分解用のピックがあれば開封は容易です。ただ、今回お借りしたサンプルは1箇所だけネジが開かなかったため、他サイトより参考画像を引用します。
- M.2 2280ソケット
- SO-DIMMスロット
- SO-DIMMスロット
ストレージ部分にはボトムカバーを開封してすぐにアクセス出来る、親切な設計。なお、ボトムカバーを開封するだけなら、保証が切れないところもユーザーフレンドリー。
Razer Blade 15のゲーミング性能を徹底検証
「ゲーミング」モードについて解説
ゲーミングノートPCですから、ゲームがきちんと動くのは当たり前。しかし、Razer Blade 15はスペックの割にシャーシが非常に薄いので、マトモに性能を出せるのかが懸案事項。
さっそく検証を行いますが、その前にRazer Synapse 3から設定できる「ゲーミング」モードについて解説しておきます。
Razer Synapse 3の「パフォーマンス」から、バランスモードとゲーミングモードの切り替えが出来る。初期設定ではバランスモードが有効化されているので、性能重視なら必ずゲーミングモードにしよう。
バランスモード | ゲーミングモード |
---|---|
ゲーミングモードを有効にすると、CPUのクロック周波数が4.0 GHz前後で安定するようになり、CPU性能は約14%ほど上昇します。グラフィック性能も約5%アップする。
ゲーミングモードの内容 | |
---|---|
GPU | ベースクロック +100 MHz |
ブーストクロック +100 MHz | |
メモリークロック +600 MHz | |
CPU | なるべく4.1 GHzで動作90℃前後でクロック調整有り |
決して無視できないほどの性能差が出るので、本記事のゲーミング性能検証では、Razer Synapse 3のゲーミングモードを有効化して行います。
定番ベンチマーク
フルHD向けのベンチマークを一通り試した。結果はおおむね良好で、Unigine Heavenでは平均83.6 fpsを記録している。大抵のゲームで、フルHDなら平均60 fpsを叩き出せそうな雰囲気です。
フルHDゲーミングのfpsを実測
Razer Blade 15 / フルHDゲーミング
平均100fps超平均60fps以上平均60fps未満
実測ゲーミングの結果は、平均75.7 fpsでフルHDゲーミングはだいたい行けます。最高設定が極めて重たい一部のゲーム(DXMDやARKなど)では、平均60 fpsに届いていない。
一方でCS:GOやR6Sのような軽いゲームなら、設定を妥協しなくても100 fps超え。100 fpsに届いていないゲームも、少し設定を妥協するだけでカンタンにフレームレートが伸びる。
Razer Blade 15の強みの一つである、144 Hz対応のディスプレイをしっかりと活用するなら、グラフィック設定の妥協は多少必要です。
Razer Blade 15のコンテンツ性能を検証
6コア12スレッドの「i7 8750H」はさすがに優秀。ノートパソコンでCinebench R15のマルチスレッド性能が1000 cb超えは、ほぼトップクラスの性能です(頂点はi9 8950HK)。
クロック周波数が4.0 GHz前後で動作するので、オフィスワークや一般的な処理もサクサクと良好。PCMark 8のHomeモードでは、上位5%に食い込む性能を魅せつけている。
レンダリング時間「Blender」
無料で使える有名なレンダリングソフト「Blender」にて、BMWプリセットを読み込んでレンダリングを行い、処理が終わるまでの時間を計測してみた。
- 8分04秒(484秒)
Razer Blade 15のi7 8750Hは、CPU温度を90℃前後に抑えつつ動作するので、常にフルスピードで処理できるわけではない。時間の掛かる処理だと、熱の問題で処理時間はやや伸びてしまいます。
それでも8分台ですから、なかなか速い方。ちなみにデスクトップ版のCore i7だと、5~6分くらいで終わります。
画像編集「Photoshop CC」
クリエイティブなタスク、と言えばやっぱりAdobe系ソフト。その代表格である「Photoshop CC」のテストも行った。バッチファイルを使って実際にPhotoshopを動かして、処理時間からスコア化します。
マシン | Razer Blade 15 |
---|---|
CPU | Core i7 8750H |
GPU | GTX 1070 Max-Q |
RAM | 16GB |
総合スコア | 724 |
一般処理のスコア | 58.4 |
フィルタ系のスコア | 81 |
Photomergeのスコア | 83.2 |
GPUスコア | 72.6 |
テストの詳細結果 | |
RAW画像の展開 | 5.37 |
500MBへのリサイズ | 6.14 |
回転 | 1.41 |
自動選択 | 18.86 |
マスク | 5.27 |
バケツ | 3.12 |
グラデーション | 0.48 |
塗りつぶし | 14.19 |
PSD保存 | 10.23 |
PSD展開 | 3.08 |
Camera Raw フィルタ | 7.13 |
レンズ補正フィルター | 17.92 |
ノイズ除去 | 21.46 |
スマートシャーペン | 24.69 |
フィールドぼかし | 17.27 |
チルトシフトぼかし | 16.17 |
虹彩絞りぼかし | 17.67 |
広角補正フィルター | 23.38 |
ゆがみツール(Liquify) | 12.26 |
Photomerge(2200万画素) | 94.32 |
Photomerge(4500万画素) | 129.45 |
総合スコアは724点でした。ノートパソコンとしては、かなりの高速処理です。
たとえば最近レビューを行った、似たスペックのデスクトップ(ガレリアXF)だと、総合スコアは約850点だった。Razer Blade 15は薄型ノートパソコンでありながら、デスクトップより約15%遅いだけにすぎない。
Razer Blade 15は写真編集は余裕でこなせます。
ストレージの性能と詳細
搭載されているSSDはSamsung製「PM981」でした。PM981はいわゆるOEM向けモデルというやつで、一般向けに流通しているSSDでは「Samsung 970 EVO」に該当するSSDです。
512GB版の場合、耐久性能は300 TBにもなるため、ゲーミング用途ではまず壊れない(少なくとも5年は余裕で持つと思って良い)。
そして肝心の性能は、読み込みが約2500 MB/sで、書き込みは約2000 MB/sと圧巻のスピードを記録。ランダム速度はごく平均的なスピードを出しており、非常に速いレスポンスを実現していました。
Razer Blade 15の冷却機構を試す
Razer Blade 15のハイエンド版に採用されている冷却機構は「Vapor Chamber」と名付けられている。「は?なにそれ。」って感じなので、Wikipediaより概要を引用する。
その原理は、ヒートシンクのベースを中空構造にし、その中に揮発しやすい液体を封入する。すると、熱源からの熱でその液体が気化した蒸気(vaper)がその空間(chamber)内を移動し、ヒートシンク側に到達すると熱が放出されて液体に戻る。この繰り返しで、普通のヒートシンクよりも熱抵抗値が下がる[1]。ヒートパイプと大まかな原理は同じものである。ヒートパイプよりも小型化が可能な反面、コストが高いと言われている。
要するに、普通のヒートパイプを更に効率化した仕組みです。わずか18 mmという圧倒的な薄さでありながら、マトモにゲーミングが出来るほどの冷却性能を得られているのはそういう理由。
では、実際にこのベイパーチャンバーを用いた冷却機構がどれくらいRazer Blade 15を冷やせているのか。確認していく。
サーモグラフィーで筐体の発熱をチェック
キーボード面の発熱は、かなり特徴的です。ヒンジ中央が45~48℃でもっとも熱くなる一方、WASDキーやEnterキー周辺はわずか20~22℃程度で気温とほぼ同じ発熱でした。
近づいて見ると、更に分かりやすい。やはりキーボードの中央だけが熱くなり、左右はほとんど熱くならない。ゲーム中に手元が熱くなって困る…なんてことにならないですね。
左右側が極端に冷えやすい理由は、冷却ファンの設置位置に答えがある。キーボードをLEDで光らせたままファンを見ると、キーボードのLEDが見えている。
そしてファンは激しく吸気しており、キーボード側から冷気を吸い込んでいます。キーボードから底面へ、空気が一直線に抜けているから、WASDキーやEnterキー周辺は異様なほど冷えるというわけ。
底面のサーモグラフィーを見ると、やはりファン周辺はよく冷えている。ヒンジ直下にある排気口(スリット)は、約50℃ほどでした。ベイパーチャンバーが送ってくる熱を、ガンガン排熱している。
ゲーミング時の動作温度
CPU負荷が大きいFinal Fantasy XVのベンチマークを実行し、MSI AfterburnerでCPU温度を計測した。瞬間的に100℃に達することもあるが、すぐに調整されて90℃前後で推移している。
熱いと言えば高温ですが、薄型ノートパソコンの宿命という感じもする。
グラフィックボードの方は、ピーク時に80~81℃で推移しました。CPUがカンタンに100℃を付ける割には、随分とグラボは冷えている。もしかして、グラボの冷却を優先していてCPUの方は妥協しているのかもしれない。
CPUが熱の影響で多少クロックダウン(=サーマルスロットリング)しても、フレームレートが大きく落ちることはない。しかし、グラボがクロックダウンすればガクッとフレームレートが落ちてしまう。
Razer Blade 15はれっきとしたゲーミングノートPCであり、フレームレートが出ないのは大問題。そう考えれば、グラボの冷却にリソースを割いているのは不思議ではないと思います。
静音性能を騒音計で検証
- 周辺騒音:39.9 dBA(静寂)
- アイドル時:40.7 dBA(極めて静か)
- ゲーミング:55.7 dBA(騒々しい)
「フォーーーーン」という高音より甲高いファンの音によって、騒音レベルは50 dBAを突破して55~58 dBAくらいで推移しました。部屋の隅に置いていても、部屋に入った瞬間「なんか鳴ってるな…。」と分かるレベル。
スピーカーでゲームをするのは非常に厳しい。とはいえ、後ほど解説する通りRazer Bladeのイヤホン出力はとても優秀なので、ヘッドセットを装着してゲームをする前提になっているのは間違いない。
Razer Blade 15のディスプレイ品質
Razer Blade 15に採用されているディスプレイパネルは、LG製のIPSパネルです。公称値では、sRGBを100%サポートする高品質なパネルとのことだが、実際のところはどうなのか。
「X-Rite i1 Pro 2」(分光測定器)を用いて、実測検証を行った。
色再現と輝度
黒色輝度は0.615 cd/m2でやや明るい。コントラスト比は約196 : 1で、IPSパネルらしい数値。ちなみにゲーム用途なら大きな問題では無い。むしろコントラスト比が高すぎても、ゲームによっては困る※ぐらいです。
※ 黒が引き締まるVAパネルのモニターでDead by Daylightをプレイしたら、暗すぎて目が死んでしまいました。
ガンマカーブはなかなかキレイ。微妙にゆらぎはあるが、概ね直線です。暗い部分(0~32)だけ、3色すべてがやや歪んでいるくらいです。
「X-Rite i1 Pro 2」でハードウェアキャリブレーション(調整)を行うと、出荷設定は微妙に白っぽい出力になっているのが分かる。しかし、正直に言って好みのレベルで済ませられる程度の歪みだと思います。
「自分は鮮やかな方が好きです。」という人向けに、ぼくが作成したカスタムプロファイルを念のため配布しておく(上記リンクをクリックするだけでDLできます)。
設定ごとの「輝度」は、最低15 cd/m2で、最高298 cd/m2でした。設定値39%で、人間の目にちょうど良いとされる120 cd/m2になります。日光の下で使うには不足だが、室内なら十分な輝度を持っている。
色域カバー率
色域カバー率※クリックで拡大します | |
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sRGB : 96.4% | AdobeRGB : 72.2% |
優秀です。Razerの公称値100%は言い過ぎですが、sRGBで96.4%カバー、AdobeRGBで72.2%もカバーしているのはノートパソコン用パネルとしては非常に優れている。
クリエイター向けのノートパソコンなら、AdobeRGBを99.9%カバーする凄まじい製品も存在するが、ゲーミングノートなら十分過ぎる色域カバー率です。
144 Hz駆動と応答速度
間違いなく144 Hzで駆動している。
応答速度もそこそこ速い。21ミリ秒の「BenQ EX3200R」と比較すると、その差は歴然としている。多分、Razer Blade 15の応答速度は12~14ミリ秒くらいかな。
144 Hzモニターなら、7ミリ秒は欲しいところですが、ノートパソコンのパネルにその水準を求めるのは酷な話です。しかもIPSパネルなので、原理的に難易度が高い。
スピーカーは優秀だがゲームはヘッドセット推奨
キーボードを挟むように位置するスピーカー
キーボードの左右に配置されている細長い四角形はDolby Atmos対応の高品質スピーカー。かなりの大音量なので、スピーカー音量は常に30%くらいで使っていました(100%だと近所迷惑になりかねない)。
音質自体もノートパソコンとしては、そこそこ悪くない。小型な割には低音が驚くほどしっかりずっしりと出るので、音量を大きめにしておけば映画鑑賞にも耐える品質。
もちろん、デスクトップPC用の1~2万円するようなスピーカーと比較すると劣っている。あくまで、ノートパソコンのスピーカーとしては優秀というだけ。
「Dolby Atmos」とヘッドセットで高音質に
Razer Blade 15には、無料でDolby Atmosが付属していて、タスクバーの「サウンド」から「立体音響(Dolby Atmos for Headphones)」にチェックを入れるだけで使える。
Dolby Atmosの立体音響を使うと、驚くほど「定位」が改善するので、FPS / TPSゲーマーにとってはかなり有用なソフトだと感じます。通常価格が1300円なだけのことはある。
Razer Blade 15:レビューまとめ
RANK:S
- フルHDゲーミングはおおむねOK
- 144Hz対応のゲーミングモニター
- 品質の高いLG製IPSパネル
- スタイリッシュで頑丈な薄型デザイン
- 優れたメンテナンス性
- 多少のクリエイティブ作業も行ける
- 3画面出力に対応するポート類
- 音質に優れたヘッドホン出力
- 「Razer Synapse 3」対応キーボード
- CPU温度はやや高い
- ゲーミング時の「騒音」
- 合計2.8 kgはやや重たい
- 有線LANコネクタは無し
- タイピングには慣れが必要
- コスパは…良くないね
ゲーミングブランド「Razer」は、Razer Blade 15という薄さ18 mmしか無いモノリスデザインのシャーシ(筐体)に、マトモに仕事をするCore i7 8750HとGTX 1070を詰め込んでみせた。
冷却機構「Vapor Chamber」による効率の良い冷却と、キーボード面から底面へ貫通している冷却ファンによって、ゲーミング時に一度もサーマルスロットリングを発生させずにGTX 1070を100%機能させる。一方で、CPUの冷却はやや犠牲になっているもののゲーミング性能に与える影響は少ない。
ファンの騒音はかなり騒々しいけれど、そのかわりRazerはDolby Atmosに対応したオーディオチップ(ALC298)を搭載し、Dolby Atmosの立体音響を無料でバンドルしている。ヘッドホン出力は極めて優秀で、立体音響のおかげで「定位」も抜群に良い。
結論として、Razer Blade 15は価格に見合うだけの満足度を実現してくれる、極めて完成度の高い15.6インチのゲーミングノートPCと言える。
以上「Razer Blade 15は、世界最薄で性能も妥協ゼロな凄まじいゲーミングノート!!」でした。
すごいですね〜
この薄さで冷えるのか?と思いましたが普通に使える範囲で驚きました
個人的にはMSIさんのも気になっているんですけどね…
どっちにしても30万円ほどなので手は届きませんけどね
黒い砂漠のfpsはリマスターとウルトラ、逆ではないでしょうか?
逆でした。修正しました。
>289800 円(税抜)
30万近い値段を考えると実に悩ましい
あと3ヶ月とか半年まてば
モバイル用の9世代core や2000番代のgefoも出てくるだろう(とオレは勝手に予想)
そうは言っても
こいつを買う人は財力は無問題だから関係ないんだろうけど
オレとしては半年以上待って
次期モデルのDELLのGシリーズを検討しようと思う。
ディスプレイがLG製との事ですが、どうやって確認されたのでしょう?
もしよろしければ、後学のために調べ方を教えて頂けると嬉しいのですが。
ハードウェア情報を取得すると、ディスプレイの型番が「LGD05C0」でした。この型番で検索をかけるとLG製のパネルという情報が得られます。型番を調べれば、大抵は何かしら情報が出てきます。
貴重な情報、有難うございました。
私のBLADE15「デバイスインスタンスパス」を見てみると、BOE07AFでした(アドバンストモデル1060ですが)
複数メーカーのものが使われているようですね。