「Core I」と超低電圧の「Core M」、どちらを選ぶべきか徹底まとめ

「Surface Pro」や「Apple MacBook」など、Core MというCPUが搭載されたノートパソコンを見かけることが多くなった。比較的新しい「Core M」と、前からある有名な「Core I」。どちらを選ぶべきか、性能や価格を可能な範囲で調べ、徹底的にまとめてみた。

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「Core M」シリーズとは?

Intelが「Core M」シリーズを作り始めたのは2014年頃。他の「Pentium」や「Core I」シリーズと比較すると、非常に新しい歴史を持つCPUです。

「Core M」が今までのCPUと大きく違うのは、「Core I」シリーズの性能をある程度は維持しつつ、驚異的なレベルまで消費電力を落としたという点。シリーズを通して基本的に「4.5W」しか消費しない。その圧倒的な低電圧能力により、「Core M」は発熱が低く、電気の消費も当然低い

そのため「Apple MacBook」や「Surface Pro」と言った、厚みが1cmに近い極薄のノートパソコンや、2 in 1タイプのタブレット端末などに多用されています。

発熱が少ないためCPUを冷却するために使われる「CPUファン」の必要性が少ないし、消費電力が低いから大容量のバッテリーを搭載しなくても長時間、充電なしで動き続けることが可能。

「Core M」のスペック /仕様比較

次は、完全なモバイル向けCPUである「Core M」の仕様(スペック)や性能について。比較する相手には「Core M」の元になった「Core I」シリーズを使いました。

世代型番コア数スレッド数ベースクロックターボクロックL2 CacheL3 Cache内蔵GPUGPUクロックTDP発売日希望小売価格
5th Broadwell-YCore M-5Y1024800 Mhz2.0 Ghz512 KB4 MBHD Graphics 5300100 – 800 Mhz4.5 W2014年9月$ 281
Core M-5Y10a
Core M-5Y10c300 – 850 Mhz2014年10月
Core M-5Y31900 Mhz2.4 Ghz300 – 900 Mhz
Core M-5Y511.1 Ghz2.6 Ghz100 – 850 Mhz
Core M-5Y70300 – 900 Mhz2014年9月
Core M-5Y711.2 Ghz2.9 Ghz2014年10月
5th BroadwellCore i3 5005U242.0 Ghz512 KB3 MBHD Graphics 5500300 – 850 Mhz15 W2015年1月$ 275
Core i5 5200U2.2 Ghz2.7 Ghz300 – 900 Mhz2015年2月$ 281
Core i7 5500U2.4 Ghz3.0 Ghz4 Mb300 – 950 Mhz2015年4月$ 393

「Core I」の第5世代にあたるBroarwellアーキテクチャにて、「Core M」シリーズが初登場。この第5世代、デスクトップ向けCPUはものすごく微妙なラインナップでしたが、モバイル向けは多い。

さて、上に「Core M」をまとめ、下に従来のモバイル向け「Core I」をまとめた。コア数やスレッド数は同じですが、大きな違いは「ベースクロック」と「内蔵GPU」、そして「TDP」ですね。

世代型番コア数スレッド数ベースクロックターボクロックL2 CacheL3 Cache内蔵GPUGPUクロックTDP発売日希望小売価格
6th Skylake-YCore m3-6Y3024900 MHz2.2 GHz512 KB4 MBHD Graphics 515300 – 850 Mhz4.5 W2015年9月$ 281
Core m5-6Y541.1 GHz2.7 GHz300 – 900 Mhz
Core m5-6Y572.8 GHz
Core m7-6Y751.2 GHz3.1 GHz300 – 1000 Mhz$ 393
6th SkylakeCore i3 6100U242.0 Ghz512 KB3 MBHD Graphics 520300 – 1000 Mhz15 W2015年9月$ 281
Core i5 6300U2.4 Ghz3.0 Ghz
Core i7 6600U2.6 GHz3.4 Ghz4 MB300 – 1050 Mhz$ 393

2015年に登場した第6世代、Skylakeも全く同じ特徴です。ベースクロックはものすごく低く抑えられており、内蔵GPUもマイナーバージョン。その代わりTDP(消費電力)はたったの30%程度にまで抑えている。

世代型番コア数スレッド数ベースクロックターボクロックL2 CacheL3 Cache内蔵GPUGPUクロックTDP発売日希望小売価格
7th Kabylake-YCore m3-7Y30241.0 Ghz2.6 Ghz512 KB4 MBHD Graphics 615300 – 900 Mhz4.5 W2016年9月$ 281
Core m3-7Y321.1 Ghz3.0 Ghz2017年5月
7th KabylakeCore i3 7100U242.4 Ghz512 KB3 MBHD Graphics 620300 – 1000 Mhz15 W2016年9月$ 281
Core i5 7300U2.6 GHz3.5 Ghz300 – 1100 Mhz
Core i7 7600U2.8 Ghz3.9 Ghz4 MB300 – 1150 Mhz$ 393

2016~2017年にかけて登場した第7世代、Kabylakeも全く変わらない。ただ、世代を更新するごとにターボクロックの上限が大きなってきた。内蔵GPUも少しだけバージョンアップしていますね。

「Core M」と「Core I」の処理性能(ベンチマーク)を比較

Passmark Scoreで比較する

Passmark Score
5th BroadwellCore M-5Y10
2722
Core M-5Y51
2537
Core M-5Y70
3029
Core M-5Y71
3052
Core i3 5005U
2921
Core i5 5200U
3504
Core i7 5500U
4004
6th SkylakeCore m3-6Y30
3056
Core m5-6Y54
3295
Core m5-6Y57
3236
Core m7-6Y75
3543
Core i3 6100U
3880
Core i5 6300U
4371
Core i7 6600U
4816
7th KabylakeCore m3-7Y30
3624
Core m3-7Y32
Core i3 7100U
3818
Core i5 7300U
5146
Core i7 7600U
5562
Core MCore I

CPUの性能といえば米国Passmark社が調査・収集している「Passmark Score」が一定の信頼できる指標※として扱われている。

※CPUの性能を自力でもっと調べたいと思った人は、以下の記事も参考になります。

モバイル向けCPUの低電圧モデルである「Core M」と、モバイル向けに使用されている「Core I」シリーズの性能は見ての通り。Core m3とCore i3の性能は意外にもかなり近い傾向にある。しかし、Core m7とCore i7になってくると、その差は歴然に。

Cinebench R15で比較する

Cinebench R15 Single / Multi
Core M-5Y10
81
155
Core M-5Y51
84
151
Core M-5Y70
91
182
Core M-5Y71
96
187
Core i3 5005U
82
208
Core i5 5200U
108
259
Core i7 5500U
121
289
Core m3-6Y30
86
205
Core m5-6Y54
103
222
Core m5-6Y57
101
180
Core m7-6Y75
102
205
Core i3 6100U
97
247
Core i5 6300U
122
307
Core i7 6600U
141
321
Core m3-7Y30
Core m3-7Y32
Core i3 7100U
88
256
Core i5 7300U
143
351
Core i7 7600U
161
343
Core MCore I

Passmarkと並んでCPUのベンチマークで有名な「Cinebench R15」によるスコア。基本的な傾向は全く同じ。やっぱり「Core M」は低電圧なのでCore i3が相手なら割と互角だが、Core i5 / i7になってくると差が開いてしまう。

Geekbench 3で比較する

Geekbench 3 Single / Multi
Core M-5Y10
2007
3853
Core M-5Y51
2093
3454
Core M-5Y70
2378
4150
Core M-5Y71
2467
4277
Core i3 5005U
1912
4075
Core i5 5200U
2487
4993
Core i7 5500U
2894
6004
Core m3-6Y30
2420
4873
Core m5-6Y54
2779
5538
Core m5-6Y57
2780
5633
Core m7-6Y75
2732
5270
Core i3 6100U
2191
4826
Core i5 6300U
3231
6719
Core i7 6600U
3369
7031
Core m3-7Y30
Core m3-7Y32
Core i3 7100U
Core i5 7300U
Core i7 7600U
4272
7978
Core MCore I

次はGeekbenchのスコアを。このベンチマークはノートパソコンやデスクトップでは知名度が低いが、スマートフォン向けとしての知名度は高い。

このベンチマークだとCore m3とCore i3の差がほとんど無くなっている。それでもCore i5 / i7は「Core M」に対して高いパフォーマンスを叩き出す。

ものすごく単純な理由ですが、実はモバイル向けの「Core i3」はターボブーストが実装されていなくて、逆に「Core m3」にはターボブーストが実装されているんですよ。おそらく、差が埋まってしまうのはターボブーストの有無が原因だと思います。

3DMark – Ice Storm Standard Physicsで比較する

3DMark – Ice Storm Standard Physics 1280×720
Core M-5Y10
20080
Core M-5Y51
20212
Core M-5Y70
35144
Core M-5Y71
38906
Core i3 5005U
29332
Core i5 5200U
36230
Core i7 5500U
43526
Core m3-6Y30
23916
Core m5-6Y54
25498
Core m5-6Y57
24508
Core m7-6Y75
26679
Core i3 6100U
28073
Core i5 6300U
37104
Core i7 6600U
37127
Core m3-7Y30
Core m3-7Y32
Core i3 7100U
25167
Core i5 7300U
44182
Core i7 7600U
42514
Core MCore I

この3DMarkというベンチマークでは、内蔵されているGPU(グラフィック用のCPU)の性能を計測できる。

基本的に「Core M」よりも「Core I」の方がグラフィック性能は高め。搭載されている内蔵GPUのランクが違うためです。「Core I」には「Core M」よりも、少しだけ上位のGPUが搭載されています。

ただ、「Core M」を必要とするノートPCって外への持ち運びが前提になる極薄のノートPCが多い。3Dゲーミングは出来なくても、動画の撮影や画像の処理は十分にこなせる必要最低限の性能が備わっていると言える。

3DMark 06 (CPU)で比較する

3DMark 06 – CPU –
Core M-5Y10
1987
Core M-5Y51
2127
Core M-5Y70
2386
Core M-5Y71
2503
Core i3 5005U
2713
Core i5 5200U
3361
Core i7 5500U
3826
Core m3-6Y30
2780
Core m5-6Y54
2935
Core m5-6Y57
2596
Core m7-6Y75
2730
Core i3 6100U
3241
Core i5 6300U
4050
Core i7 6600U
4333
Core m3-7Y30
Core m3-7Y32
Core i3 7100U
Core i5 7300U
4491
Core i7 7600U
4648
Core MCore I

最後は3DMarkによるCPU性能を計測。このベンチマークでは実際に使った時のパフォーマンスを、ある程度示すことが出来る(体感に近い性能をスコア化できる傾向にある)。

基本的な傾向は同じだが…特に気になった点は第6世代の「Core M」の、グレード間の性能差ですね。「Core m3 6Y30」と「Core m7 6Y75」のスコアがほとんど同じになっていて、グレードが高いほどコスパが悪いという結果に。

つまり、「Core m7」を選ぶなら「Core i7 U」を選んだ方が良いということを示唆している。

性能比較から分かったことをまとめると

「Core M」は消費電力がわずか4.5Wということを考えると、なかなかのパフォーマンスだが「Core I」と比較してしまうと差は歴然。グラフィック性能もワンランク低いパフォーマンスに落ち着いている。

  • Core M:消費電力が少ないのでバッテリーの持ちがよく、発熱は少ない。しかし、CPUの処理性能は悪い。
  • Core I:消費電力はCore Mと比較して2~3倍と高く、ファンも必要になる。その代わり、Core i5 / i7の性能は確実にCore m5 / m7よりも高い。
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「Core M」と「Core I」どちらを選ぶべきか

主観的に言えば「Core M」搭載のノートパソコンはかなりコストパフォーマンスが悪いと思います。

Passmark Score
Core m5 6Y54 : 3295($ 281)
Core i5 6300U : 4371 ($ 281)

Passmark Scoreで同じグレードのCore m5とCore i5を比較すると、希望小売価格はどちらも同じ281ドルなのに性能はCore i5の方が30%程度高い。

「Core M」が向いている人

「Core M」は、Core Iの性能を残しつつも、消費電力と発熱を大幅に抑えたCPU。という認識で大丈夫。お高い割に性能はイマイチですが…

  • 軽くて薄いノートパソコンが欲しいけれど、性能もあまり犠牲に出来ない
  • 2in1やタブレット端末が欲しいが、「Atom」や「Celeron」では不安だ

要するに「Core M」ってこういう需要に応えるためのCPUなんですよね。実際に、以下のようなモバイルマシンに「Core M」は多用されています。

どれも薄型で、スタイリッシュ、かつ1kg前後の軽量モデルばかり。どこにでも持ち運べて、性能もブラウジングやオフィス系なら問題なく動かせる。「軽さ」や「デザイン重視」だと、Core Mの出番が多い。

「Core I」が向いている人

対する「Core I」は、デスクトップ向けと比べれば消費電力はかなり抑えられているが、「Core M」と比較すると2~3倍とかなり多い。その代わり価格に対して性能はしっかりしています

  • ノートパソコンと言えど、やっぱり性能は捨てられない
  • コストパフォーマンスを重視したい
  • 「Core M」は確かに悪い品ではないが、いざ使うとなると不安

このように、Core Mに不安を感じるなら「Core I」の方が当然良い。特に「Core m5」や「Core m7」といったCPUを選ぼうとしている場合は、素直に「Core i5」や「Core i7」モデルにしたほうが良い。

Passmark Score
Core m5 6Y54 : 3295($ 281)
Core i5 6300U : 4371 ($ 281)
Core m7-6Y75 : 3543 ($ 393)
Core i7 6600U : 4816 ($ 393)

同世代を並べてみるとこの通り!。純粋にコスパが悪い。

ノートPCを作るメーカー側も「Core M」はコスパが悪いと感じているのか、「ZenBook 3」のようにMacBookにケンカを売るようなコスパに優れた製品も登場している。

「LG Gram」も1kgを軽量モデルでありながら、CPUには「Core i5 7200U」とCore Iシリーズを採用してたり…。価格や重量が同じで、CPUが「Core I」の場合は、迷わずにそちらを選んだほうが良いだろう。

現状の「Core M」へ、結論

ノートパソコンや2 in 1を選ぶ時、求めている性能がCore i3相当で良いなら「Core m3」を選んでも問題ない。現状、Core m3 と i3に目立った性能差があまり無いから。

逆にCore i5相当に性能を求めているなら「Core m5」や「Core m7」を選ぶのはちょっと、やめておいた方が良い。Core i5 / i7の方が、当然性能が高く、CPU本体の価格も同じだから。

 【注意点】最近は「Core I」という名前だけど、中身はほぼ「Core M」というCPUもある

例えば「Core i5 7Y54」という、Core i5を名乗っていながら実は4.5Wで動作する低電圧モデルが存在している。見分け方は簡単で、4桁の型番に「Y」が入っているかいないか。

  • 7Y54:Core Mと同等
  • 7300U:Core I扱いでOK

以上、「Core I」と超低電圧の「Core M」、どちらを選ぶべきか徹底まとめ…という記事でした。

余談

で…「Core M」はモバイル向けCPUとしては割りと頑張っているんだが、それを脅かす存在が登場した。米Qualcomm(クアルコム)が設計してTSMCに委託製造させている「Snapdragon 835」の性能がCore Mに迫るレベルに成長して来たんだよね。

まだ1コアあたりの性能では及ばないが、マルチコア性能では「Core m5」を突破している。特に内蔵GPUの性能は圧倒的。Snapdragon搭載のノートパソコンやタブレットも楽しみですね。

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2 件のコメント

  • 「性能」が処理能力だけなら、今回の結論に異論は無いのですが
    「バッテリー持ち」に対する貢献度評価を入れると一部評価変わってきませんかね
    まぁそんなのはPC雑誌を見てくれと言われたらそうなんですが

    • そうなんですよね。この記事を書き終わった後に「たしかに性能はダメかもしれないが、Core mはそういうコンセプトだし…」と、書き直すか悩んでましたから。
      また別の記事で、もう少し分かりやすく書くつもりです。例えば「Core M」と「Core I(U)」はどれが良いのか、とか「HQモデルは何者なのか」など。
      ノートPCはデスクトップ以上にCPUの種類が細分化されててややこしい世界になってしまったので。

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