SanDisk(旧Western Digital)が開発したオーパーツ級SSD「WD Black SN7100」の上位モデルにあたる、「SN8100」がついに登場。
一部でOptane級と称される性能から、Gen5世代で唯一楽しみなSSDです。もちろん発売後すぐに買いました。
今までレビューしてきたOptane SSDを含むライバルたちを相手にどこまで優れた性能を発揮するのか、比較しながら詳しくレビューします。
(公開:2025/7/7 | 更新:2025/7/7)
WD Black SN8100のスペックと仕様
WD Black SN8100 (WDS000T1X0M-00CMT0) | |||
---|---|---|---|
容量 | 1 TB (1000 GB) | 2 TB (2000 GB) | 4 TB (4000 GB) |
インターフェイス | PCIe 5.0 x4(NVMe 2.0) | ||
フォームファクタ | M.2 2280(片面実装) | ||
コントローラ | 非公開 | ||
NAND | SanDisk 3D TLC CBA NAND | ||
DRAM | 搭載(DDR4メモリ) | ||
1024 MB | 2048 MB | 4096 MB | |
SLCキャッシュ | 非公開 | ||
読込速度 シーケンシャル | 14900 MB/s | ||
書込速度 シーケンシャル | 11000 MB/s | 14000 MB/s | |
読込速度 4KBランダムアクセス | 1600K IOPS | 2300K IOPS | |
書込速度 4KBランダムアクセス | 2400K IOPS | ||
消費電力(最大) | 6.2 W | 7.0 W | |
消費電力(アイドル) | 5.0 mW | ||
TBW 書き込み耐性 | 600 TB | 1200 TB | 2400 TB |
MTBF 平均故障間隔 | 175 万時間 | ||
保証 | 5年 | ||
MSRP | $ 180 | $ 280 | $ 550 |
参考価格 2025/7時点 | 28710 円 | 44330 円 | 80540 円 |
GB単価 | 28.7 円 | 22.2 円 | 20.1 円 |
- メーカー仕様表はこちらから
「WD Black SN8100」は、Gen5世代で過去最強の性能を更新するために作られた、SanDisk(旧Western Digital)の新型フラグシップモデルです。
従来世代の「SN850X」から接続インターフェイスがGen4 x4(PCIe 4.0 x4) → Gen5 x4(PCIe 5.0 x4)に切り替わり、スペック上のピーク性能が一気に約2倍へ跳ね上がります。
搭載されるNANDメモリは「SanDisk 3D TLC CBA NAND」と記載があり、世界最速のNANDメモリ「BiCS8」を使っていると暗にほのめかしています。
「CBA」方式で最初に量産化に漕ぎつけたNANDメーカーはキオクシア(旧東芝メモリ)に限られ、キオクシアが民生向けに出荷しているCBAモデルが「BiCS8」しか無いからです。

TBW(書き込み耐性)の比較
SSD | 500 GB | 1 TB | 2 TB |
---|---|---|---|
WD Black SN8100 | – | 600 TBW | 1200 TBW |
Crucial T700 (Crucial T700:レビュー) | – | 600 TBW | 1200 TBW |
Samsung 9100 PRO (Samsung 9100 PRO:レビュー) | – | 600 TBW | 1200 TBW |
書き込み保証値は容量1 TBあたり600 TBです。
SanDiskと競合するMicronやSamsungなど、NANDメーカー自社ブランド製品で広く採用されている定番の保証値です。
SSD | 500 GB | 1 TB | 2 TB |
---|---|---|---|
Samsung 990 PRO (990 PRO:レビュー) | – | 600 TBW | 1200 TBW |
MOVE SPEED Panther (MOVE SPEED Panther:レビュー) | – | 400 TBW | 800 TBW |
KIOXIA EXCERIA PRO (EXCERIA PRO:レビュー) | – | 400 TBW | 800 TBW |
WD Blue SN5000 (WD Blue SN5000:レビュー) | – | 600 TBW | 900 TBW |
KIOXIA EXCERIA PLUS G3 (KIOXIA EXCERIA G3 PLUS:レビュー) | – | 600 TBW | 1200 TBW |
CFD SFT6000e (CFD SFT6000e:レビュー) | – | 600 TBW | 1200 TBW |
Samsung 990 PRO (990 PRO:レビュー) | – | 600 TBW | 1200 TBW |
Samsung 980 PRO (980 PRO:レビュー) | 300 TBW | 600 TBW | 1200 TBW |
Solidigm P44 Pro (Solidigm P44 Pro:レビュー) | 500 TBW | 750 TBW | 1200 TBW |
Crucial P5 Plus (Crucial P5 Plus:レビュー) | 300 TBW | 600 TBW | 1200 TBW |
Lexar NM790 (Lexar NM790:レビュー) | – | 1000 TBW | 1500 TBW |
HIKSEMI FUTURE SSD (HIKSEMI FUTURE SSD:レビュー) | – | 1800 TBW | 3600 TBW |
SK Hynix Gold P31 (SK Hynix Gold P31:レビュー) | 500 TBW | 750 TBW | 1200 TBW |
WD_BLACK SN770 (WD_BLACK SN770:レビュー) | 300 TBW | 600 TBW | 1200 TBW |
KIOXIA EXCERIA PLUS G2 (KIOXIA EXCERIA G2 PLUS:レビュー) | 200 TBW | 400 TBW | 800 TBW |
KIOXIA EXCERIA G2 (KIOXIA EXCERIA G2:レビュー) | 200 TBW | 400 TBW | 800 TBW |
WD Blue SN570 (WD Blue SN570 NVMe:レビュー) | 300 TBW | 600 TBW | – |
Crucial MX500 (Crucial MX500:レビュー) | 180 TBW | 360 TBW | 700 TBW |
FireCuda 530 (FireCuda 530:レビュー) | 640 TBW | 1275 TBW | 2550 TBW |
WD Black SN850 (SN850:レビュー) | 300 TBW | 600 TBW | 1200 TBW |
過去のSSDレビューで説明しているとおり、容量あたり600 TBの書き込み保証値は(実用上)十分すぎる数値です。
- 普通に使った場合:約32.9年
(1日あたり平均50 GBの書き込みを想定) - 毎日AAAゲームをDLする:約16.4年
(1日あたり平均100 GBの書き込みを想定) - 毎日一眼レフの写真を入れる:約6.6年
(1日あたり平均250 GBの書き込みを想定) - 毎日一眼レフの4K~8K素材を入れる:約1.6年
(1日あたり平均1000 GBの書き込みを想定)
ワークロード別の想定耐用年数をざっくり試算してみた。
PS5の増設ストレージやゲーミングPCのメインSSDなど。ごく普通の使い方なら約30年以上もかかる計算になり、5年間のメーカー保証をあっさり使い切ります。
仮に1日100 GB書き込んでも、TBWを使い切るのに約16年です。4K~8K RAW写真や動画素材を毎日のようにゴリゴリと書き込む用途ですら5年保証内に使い切れないです。
1日あたり1 TBを書き込むプロの映像作家や写真家にありうる過酷なワークロードで、ようやく5年保証を期間内に消費できる計算です。
プロシューマーを除き、一般的なPCゲーマーからクリエイターにとって十分な保証値です。
写真や動画で業務に使うなら、TBWが倍々に増える大容量モデル(4 TB = 2400 TBW)を選ぶか、最大4800 TBW(4.8 PBW)を提供するWD Blackシリーズを検討してください。
WD Black SN8100を開封レビュー
パッケージデザインと付属品

発売後すぐに、Amazonにて容量1 TBと2 TBモデルを購入しました。それぞれ約2.8万円と約4.4万円です。

従来モデルのSN850 / 850Xシリーズと同様に、マットブラックな背景にブラッドオレンジ色をアクセントに使った、ゲーミング感あるパッケージデザインを踏襲します。
パッケージの裏面に代理店を示すシール等が見当たりません。Western Digital時代は株式会社CFDが国内代理店でしたが、SanDiskに分社化されて以降の代理店は不明です。
何か不具合や問題があったら、基本的に購入元サポートを使います。Amazonなら返品交換がとてもラクにできるから、サポートの利便性を重視するならAmazon購入でいいでしょう。

- SSD本体
- 説明書
プラスチック製の梱包材にSSD本体がすっぽり収まってます。梱包材の裏側に説明書が挟み込まれていました。
基板コンポーネント

パッと見ただけだと、従来モデル「SN850X」とまったく見分けがつかないレベルで瓜二つのデザインです。注意深く見れば「SN8100」ロゴの存在にようやく気づきます。
コンポーネントを覆い隠すようにラベルシールが貼ってあり、部品の詳細が分からない状態です。

反対側は各国の認証ロゴや規制ロゴが記載されているだけで、コンポーネントは何もありません。

基板に印刷されているメーカーロゴも「SanDisk」に差し替えられ、「Western Digital」のロゴが姿を消しました。

基板の表面(オモテ側)だけにコンポーネントが実装されているシンプルな「片面実装」のNVMe SSDです。
なお、容量密度が非常に高いNANDメモリを使っているため、SN8100シリーズは容量1 TB / 2 TB / 4 TBモデルすべてで片面実装を採用します。
取付スペースが狭いノートパソコンや、PS5(PS5 Pro)の増設ストレージに使いやすいです。

部品を覆い隠しているラベルシールを剥がして、WD Black SN8100に実装されているコンポーネントを目視で確認します。

- コントローラ:SanDisk Custom SM2508
A101-250800-AC TSAC45.00 PP 2449 - DRAM:Samsung DDR4-3200(1024 MB)
SEC 446 K4A8G165WG-BCTD - NAND:SanDisk(KIOXIA 218層 3D TLC NAND)
025256 512G CHINA 515701GHK0EY
四方150 mmもの巨大サイズなSanDisk刻印が入ったSSDコントローラと、これもまたSanDisk刻印が入ったNANDメモリを搭載します。
順番に各コンポーネントの中身を確認します。

Western Digital時代は、WD傘下企業だったSanDiskが自社で開発したオリジナルコントローラを搭載していますが、SN8100から設計から製造まですべて外部委託しています。
どこに外部委託した可能性が高いか、コントローラのパッケージデザインから推測すると、極めて高い確率でSilicon Motion設計「SM2508」です。

チップ右上に「丸」マーク、四方150 mmの正方形、中央部分がふっくらと隆起する特徴的な見た目からSM2508だと推測が可能です。
ロシア製の部品検査ソフト「Flash ID」を使って、本当にSilicon Motionが検出されるか試してみると・・・
Fw : 830ZRR02
Size : 953869 MB [1000.2 GB]
LBA Size : 512
Controller: SM2508 [SM2508AC]
FW revision: G2R0Y3MA
ROM version: 2508ACROM:X0613A
--- FW params ---
FlashID : 0x45,0x48,0xa8,0x3,0x7a,0xe6,0x0,0x0 - Sandisk 218L BiCS8 TLC 16k 1024Gb/CE 1024Gb/die 4Plane/die
Flash IDが正常に動作します。本当にSilicon Motion製コントローラが入っているみたいです。
「SM2508」はSilicon Motionが設計し、台湾TSMC 6 nmプロセスで製造されるGen5対応SSDコントローラです。
最大8チャネルのNANDメモリを、それぞれ最大3600 MT/sもの猛スピードで束ねる高性能モデルで、約15 GB/s近い驚異的なシーケンシャル性能を容易く可能にします。
世界最速のNANDメモリ「BiCS8(最大3600 MT/s)」の真価を引き出すために、最高のSSDコントローラの一つです。

電源管理コントローラ(PMIC)は不明です。刻印「22307D AA506158 F3 07」とだけ記載があるのみ。
ちなみにPMIC周辺の実装を見る限り、SN8100は単なるリファレンス基板じゃないです。Silicon Motion社が提供するリファレンス基板なら、もっと小さいパッケージのPMICが使われています。
上記の写真から確認できるPMIC本体の大きさや刻印の特徴に加えて、表面を保護する特殊な塗装加工から、一応SanDisk独自設計の体をかろうじて成しています。

DRAMに、Samsung製DDR4-3200メモリを容量1 GB(1024 MB)搭載します。
大容量のメモリをDRAMキャッシュに使って、一貫した性能を維持しようとする狙いです。特に連続的な書き込みに対する性能の一貫性が向上する傾向が強いです。
ただし、DRAMキャッシュがあるからと言って、DRAMレスのSSDに対して有利になるかどうか。実際に検証してみるまで分からないです。


NANDメモリはSanDisk刻印が入った「キオクシア製 218層 3D TLC CBA NAND(BiCS 8)」を採用。
キオクシア(旧東芝メモリ)が世界で初めてCBA技術(CMOS directly Bonded to Array)を使って製造する、最新世代のNANDメモリです。
積層数こそ218層で、ライバル他社の232~238層に出遅れ感があるものの、CBA技術のおかげで高速性能と横方向の密度に優位性があります。
NAND | 世代 | 積層数 | 記憶密度 | 速度 | 容量密度 |
---|---|---|---|---|---|
KIOXIA | BiCS 8 | 218層 | 18.0 Gb/mm² | 3600 MT/s | 1024 Gb |
YMTC | Xtacking 3.0 | 232層 | 15.0 Gb/mm² | 2400 MT/s | 1024 Gb |
SK Hynix | V8 4D NAND | 238層 | 14.8 Gb/mm² | 2400 MT/s | 512 Gb |
Micron | B58R | 232層 | 14.6 Gb/mm² | 2400 MT/s | 1024 Gb |
Samsung | V8 NAND | 238層 | 11.5 Gb/mm² | 2400 MT/s | 1024 Gb |
記憶密度はライバル製200層超NANDが11.5~15.0 Gbit/mm²前後にとどまる中、CBAで製造されるキオクシア製218層NANDは少なくとも18.0 Gbit/mm²以上です。
性能面の優位性も強く、キオクシア製218層はメーカー公称値で最大3200 MT/sに対応します。SN8100やSN7100など市販モデルでは、High-Kメタルゲートを導入した改良版(最大3600 MT/s)を使っています。
Samsung 9100 PROなど代表的な競合製品が依然として最大2400 MT/sに対して、SN8100に搭載されたBiCS 8メモリは約1.5倍も速い最大3600 MT/sです。
上記BiCS 8メモリに、最大3600 MT/sでNANDメモリを動かせる高性能コントローラ「SM2508」を組み合わせ、SanDiskはGen5世代で世界最速のSSDだと豪語します。



1 TB:1024 Gb x 4 x 2 = 8192 Gb(1024 GB)
2 TB:1024 Gb x 8 x 2 = 16384 Gb(2048 GB)
NANDメモリの構成をチェックします。
WD Black SN8100(容量1 TB)では、記憶密度が1024 Gb(= 128 GB)のチップを4枚重ねたNANDメモリを、全部で2個実装して合計8192 Gb(= 1024 GB)の容量に仕上げます。
容量2 TB版も同じく記憶密度1024 Gb(= 128 GB)ですが、縦に8枚重ねてNANDメモリ1個で合計8192 Gb(= 1024 GB)に増やし、全部で2個実装して合計16384 Gb(= 2048 GB)に仕上げます。
さらに16枚も重ねた容量2 TB(32768 Gb)バージョンが「SN7100」で確認されているため、容量4 TBモデルでも片面実装が可能です。
WD Black SN8100の性能をベンチマーク
テスト環境を紹介

テスト環境 「ちもろぐ専用:SSDベンチ機」 | ||
---|---|---|
![]() | Core i7 13700K16コア24スレッド(TDP:125 W) | |
![]() | 虎徹Mark III120 mmサイドフロー空冷 | |
![]() | BIOSTARZ790 Valkyrie | |
![]() | DDR5-6000 16GB x2G.Skill Trident Z5 Neo RGB | |
![]() | RTX 4060 Ti | |
![]() | WD Black SN8100 1TB WD Black SN8100 2TB | |
![]() | HIKSEMI FUTURE70-02TB 2TB | |
![]() | 1000 W「Corsair RM1000x ATX3.1」 | |
![]() | Windows 11 Pro検証時のバージョンは「22H2」 | |
ドライバ | NVIDIA 536.40 WHQL | |
ディスプレイ | 3840 x 2160@160 Hz使用モデル「TCL 27R83U」 |
SSDベンチマークに使用する専用の機材です。
最大15.76 GB/sまで対応できるPCIe 5.0世代の「Intel Z790」マザーボードに、シングルスレッド性能が非常に速い「Core i7 13700K」を搭載。
Ryzen 9000シリーズなど最新プラットフォームと比較して、絶対的な性能ですでに型落ち気味ですが、SSDに対する遅延の少なさで依然として最高峰です。

原則として、CPUに直結したM.2スロットまたはPCIeスロットにテスト対象のSSDを接続します。チップセット経由だと応答速度が低下※してしまい、SSD本来の性能を検証できません。
ベンチ機に採用した「Z790 Valkyrie」は、PCIe 5.0対応のM.2スロットを1本、PCIeスロットを2本備えます。複数の爆速SSDをCPUに直結できる稀有なマザーボードです。
※チップセット経由による性能低下はAMDチップセットだと緩和されますが、CPU直結時と比較して性能が下がる傾向自体は同じです。
そのほか、「BitLocker」と呼ばれるWindows環境で使えるハードウェア暗号化機能も無効化済みです。BitLockerを有効化すると、SSDのランダムアクセス性能が最大50%も下がります。
正確なベンチマークを取るならBitLockerを必ず無効化しましょう。

SSDを熱から保護するサーマルスロットリングによって性能に悪影響が出ないように、以下のような手段でテスト対象のSSDを冷却しながらベンチマークを行います。
- M.2ヒートシンク「Thermalright HR-09」を装着
- 120 mmケースファンを至近距離に設置して冷却
SSDを徹底的に冷やして、サーマルスロットリングがテスト結果に影響を与えないように対策しています。
なお、10分間の温度テスト時のみM.2ヒートシンクとケースファンを取り除いて、温度の上昇を観察します。
SSDドライブ情報と利用できる容量

- インターフェース:NVM Express
- 対応転送モード:PCIe 5.0 x4
- 対応規格:NVM Express 2.0
- 対応機能:S.M.A.R.T. / TRIM / VolatileWriteCache
「WD Black SN8100」の初期ステータスをCrystal Disk Infoでチェック。「PCIe 5.0 x4」で接続されています。
対応規格も最新版のNVM Express 2.0に更新されています。なお、NVMe 2.0に更新されても、一般用途(コンシューマSSD)で得られる目立ったメリットは特にないです。

フォーマット時の初期容量は「931 GB」でした。
実際に搭載されているNANDメモリ全体の約2.3%(1 TB = 23 GB)を予備領域に割り当てる一般的な対応です。
容量2 TBモデルの初期容量も同じく約2.3%が予備領域に使われ、ユーザー領域が「1862 GB(約1.81 TB)」に目減りします。
メーカーが少しでも長期的な信頼性を確保するために仕方ない対応ですが、容量が大きくなるほど2.3%の取り分が大きく見えるから少しだけ悲しいです。

純正ソフト「WD Dashboard」

- SanDisk Dashboard(support-en.sandisk.com)
SanDisk公式サイトから無料でダウンロードできる、純正ユーティリティ「SanDisk Dashboard」に対応します。
SSDの基本ステータス(S.M.A.R.T.情報)を見たり、書き込みキャッシュを有効 / 無効化したり、健康状態のレポートを出力する機能もあります。
ただし、Samsung SSDのようにOP領域(オーバープロビジョニング容量)を任意で指定する設定は見当たりませんでした。

SSD本体の制御ソフトウェア(ファームウェア)の更新も可能です。
クローンソフト「Acronis True Image」

- Acronis True Image for Western Digital(support-en.sandisk.com)
WD Black SN8100を購入したユーザー限定で、SSDクローンソフト「Acronis True Image for WD」を5年間使えます。
ソースディスク(クローン元)と、ターゲットディスク(クローン先)を選んで、「ブータブルOSを含むクローンを作成」でSSDのクローンがあっさり完成です。
最後のオプション画面から、クローンしない領域(フォルダやファイル)を任意で選ぶ「除外設定」もできます。

Crystal Disk Mark 8
「Crystak Disk Mark 8」は、日本どころか世界で一番有名と言っても過言ではない、定番のSSDベンチマークソフトです。性能の変化をチェックするため、初期設定の「1 GiB」に加え、最大設定の「64 GiB」もテストします。
Crystal Disk Mark 8の結果※クリックで画像拡大します | |
---|---|
![]() | ![]() |
テストサイズ:1 GiB(MB/s) | テストサイズ:64 GiB(MB/s) |
![]() | ![]() |
テストサイズ:1 GiB(レイテンシ) | テストサイズ:64 GiB(レイテンシ) |
シーケンシャル読み込みが約14000 MB/sを軽々と超え、シーケンシャル書き込みは約10700 MB/s前後です。
読み込みと書き込み速度どちらもメーカー公称値にほんの少し届かないですが、Intel Coreプラットフォームの限界です。AMD Ryzen(Ryzen 7000 / 9000)プラットフォームなら公称値に張り付きます。
テストサイズを64 GiBに変更して性能の変化をチェックすると、シーケンシャル性能はほぼ一貫した結果になり、ランダムアクセス性能(RND4K Q1T1)がわずかに下がります。
おそらく、先にした1 GiBテストがpSLCキャッシュ展開に影響を与えてしまい、2回目のテストで少し性能が下がった可能性がありそうです。
DRAMキャッシュ搭載モデルは一般的に容量に関係なく一貫していますが、ランダムアクセスが100 MB/sを超える世界は今まで以上にシビアなのかもしれません。

体感性能や実用性能に影響が大きい、4KBランダムアクセスのレイテンシ(応答時間)の比較グラフです。
WD Black SN8100はわずか30.1 μsしかかからず、過去レビューしてきたTLC NAND型SSDで最高記録を樹立します。
一足先に30 μs台の世界に到達した「WD Black SN7100」につづき、SN8100も同じ世界に入り込みます。

一方で、書き込みレイテンシは相変わらず平凡です。上位勢はPhison系コントローラに独占されています。
ATTO Disk Benchmark

ATTO Disk Benchmarkは、テストファイルを小刻みに分割してSSDのスループット(シーケンシャル性能)を測定し、SSDがピーク性能を出しやすいファイルサイズを探るベンチマークソフトです。
ベンチマーク結果からSSDの評価が非常に分かりにくいので、表計算ソフトを使ってグラフ化して他のSSDと比較します。
小さいファイル領域(1 KB ~ 16 KB)で若干スピードが出づらい様子です。SN7100より格段に改善されていますが、9100 PROやT700にあと一歩及びません。
書き込み性能も同様の傾向です。小さいファイル領域でやや性能が伸びづらく、64 KB以上でCrucial T700の次点につづきます。
不規則で細かいファイルが大量に含まれるゲームフォルダの移動が少し苦手になりそうです。

WD Black SN8100を実運用で試す
FF14のロード時間を比較
FF14:暁月のフィナーレ(ベンチマークモード)で、ゲームロード時間を測定します。ベンチマーク終了後に、ログファイルからロード時間を読み取ります。

WD Black SN8100のロード時間は「5.44秒」でした。
ついにTLC NAND型SSDが、SLC NAND(Z-NAND)搭載のSamsung 983 ZETに追いつきます。コンシューマ向けSSDがようやくエンプラ向けSSDに、性能面で追いつきつつあります。
FPSタイトルのロード時間を比較
PCMark 10 Professional Edition(有償版)で利用できる機能を使って、「Battlefield V」「Call of Duty Black Ops IV」「Overwatch 2」のロード時間を測定します。
なお、測定されたロード時間は各スコアから逆算された概算値(ざっくりとした予想値)です。実際のロードとは異なっているので注意してください。
テストされたゲームタイトル3本(Battlefield V / Call of Duty / Overwatch 2)すべてで、WD Black SN8100が過去最強クラスのロード時間を記録します。
Crucial T700やSamsung 9100 PROなど名だたるライバル製品をあっさり抜き去り、エンプラ向けのSamsung 983 ZETですらSN8100に抜かされています。
ついに、TLC NAND型SSDがゲームロードでIntel Optane SSDに匹敵する時代です。
DirectStorageのロード時間を比較

Windows 11はゲームのロード時間を大幅に短縮する「DirectStorage API」に対応しています。
SSDに保存されているゲームデータをメインメモリに送り込み、メインメモリからVRAMに流し込みます。入ってきたデータをGPUの凄まじい演算性能で展開(解凍)し、ゲームロード時間を短縮する技術です。
NVMe SSDからメインメモリにデータを転送する部分で、SSDのシーケンシャル性能が重視されます。SATA SSDよりNVMe SSD、同じNVMe SSDでもPCIe 4.0やPCIe 5.0の方が有利になる可能性が高いです。
CPUで展開する場合はCPUの演算性能がボトルネックになってしまい、SSDの性能差がそれほど確認できません。
GPU展開(RTX 4060 Tiで展開)では、シーケンシャル性能に比例した性能差がハッキリと出ます。
WD Black SN8100は0.20秒(21.0 GB/s)前後で、同じGen5世代のCrucial T700に比肩する性能です。
Samsung 9100 PRO(17.4 GB/s)やOptane P5810X(19.6 GB/s)を超える、最速級のDirectStorage性能です。
ファイルコピーにかかった時間
Windows標準のコピペ機能と目視によるストップウォッチでは正確性に欠けるので、ファイルコピーに便利なフリーソフト「DiskBench」を使って、ファイルコピーに掛かった時間を計測します。
- ゲームフォルダ(容量85.3 GB / 81424個)
- 写真ファイル(容量113 GB / 5012枚)
- 圧縮データ(容量256 GB / zipを2個)
以上3つの素材をファイルコピーテストに使います。ソース(基準となるストレージ)は安定した性能に定評がある「Optane SSD P5810X 400GB」です。
書き込み(Optane P5810X → WD Black SN8100)のコピペ時間です。
Zipファイル(256 GB)と写真フォルダで、WD Black SN8100がほぼ頂点です。ゲームフォルダのみトップクラスに及ばないものの、実用上は十分でしょう。

次は読み込み(WD Black SN8100 → Optane P5810X)のコピペ時間です。
Zipファイルで過去最速、写真フォルダも頭1つ抜けた最速記録を更新します。ゲームフォルダだけバラツキが大きく、容量2 TB版がトップクラス、容量1 TB版はやや凡庸です。
ATTO Disk Benchmarkで示唆されたとおり、小さなファイル領域が不規則に含まれている場合、少し遅くなる傾向が見られます。
比較グラフをよく見ると、シーケンシャル性能の割にコピー時間が遅いSSDがポツポツと見られます。
なぜシーケンシャル性能の割に遅いSSDが出てしまうのか。理由は単に「間髪入れずに次のコピーテストを実行」しているからです。
- Zip(256 GB)→ 写真(113 GB)→ ゲーム(85.3 GB)の順番
SSDは書き込み性能を稼ぐためにSLCキャッシュを使って耐える製品が多いですが、このSLCキャッシュの回復が遅いと・・・次のコピーテストに間に合わずTLC NAND本来の性能でテストが実行されます。
SLCキャッシュをスピーディーに再展開できるかかどうかも実力の内と(筆者は)考えているので、コピーテストは間髪入れず次から次へと実行します。
Premiere Pro CC:4K動画プレビュー
動画編集ソフト「Adobe Premiere Pro CC」に、4K動画素材(448 MB/s)と2K動画素材(175 MB/s)を読み込み、2つの動画を同時にプレビューします。
Premiere Proの動画素材プレビューは、素材を配置しているストレージの性能に影響を受けやすく、SSDの性能が不足すると「コマ落ち」が発生しやすいです。
Premiere Proの標準機能「コマ落ちインジケータ」で落としたフレームを測定し、動画素材の総フレーム数で割ってドロップフレーム率を計算します。

4K + 2K動画プレビューのドロップフレーム率は約7.4~7.9%です。
今まで10%前後でくすぶっていたプレビューテストを、WD Black SN8100は明確に10%前後から抜け出して約7%台の領域に到達します。
トップ勢の多くをDRAMレスSSDが独占している中、DRAMキャッシュ搭載のSN8100が一気に記録を推し進めます。SN8100はDRAMキャッシュが付いていても恐ろしく読み出しが速いです。
参考までに、今までトップ勢だったIntel Optane SSDやSamsung 983 ZETもDRAMレス型(※付いているDRAMは電力損失時のデータ保護用)です。

4K動画プレビューのドロップフレーム率は0%で見事に完封します。
DRAMキャッシュ搭載モデルで完封(率0%)は、Crucial T500とSamsung 9100 PROにつづき3枚目です。

ComfyUI:画像生成AIモデルの読み込み

画像生成AIの定番ソフト「ComfyUI」を使って、「.safetensors」形式モデルの読み込みにかかった時間を比較します。
テキストエンコーダーやVAEの読み込み時間は一切含まないです。有志制作のカスタムノード「ComfyUI-Dev-Utils」で、読み込み時間を記録して比較しました。

現時点でもっとも主流なAI生成モデル「SDXL 1.0(約6.46 GB)」の読み込み時間です。
モデルがVRAM容量に入り切るサイズなら、基本的に読み込み時間はシーケンシャル性能に比例します。WD Black SN8100も予想どおり、Optane P5810Xを超える最速記録です。

VRAMに入り切らない巨大生成モデル「HiDream(約31.8 GB)」の読み込み時間です。
VRAMから溢れたデータがメインメモリに移動し、それでも収まりきらず共有メモリにまで波及する複雑なI/O処理が連続的に発生します。
内部処理が複雑化すると、SSDのシーケンシャル性能から結果を予測するのが難しいです。全体を俯瞰して見る限り、シーケンシャル性能とランダム性能どちらも重要そうに見えます。

PCMark 10:SSDの実用性能

PCMark 10 Professional Editionの「Full System Drive Benchmark」を使って、SSDの実際の使用シーンにおける性能を測定します。
- PCMark 10(UL Benchmarks)
Full System Drive Benchmarkには23種類のテストパターン(Trace)が収録されており、パターンごとの転送速度や応答時間を測定し、SSDの実用性能をスコア化します。
なお、SSDは空き容量によって性能が大きく変化する可能性があるため、空き容量100%だけでなく容量を90%埋めた場合(= 空き容量10%)のテストも行いました(※2回:連続で約2時間のワークロード)。
WD Black SN8100のストレージスコア(空き容量10%時)は「5357点」です。空き容量100%なら6788点です。
空き容量による性能低下は約20%と、意外に大きいです。
容量2 TBモデルは「5867点」を叩き出し、なんと「Optane 905P」に迫るスコア。空き容量100%時の6995点なら完全にOptane 905Pを超える恐ろしいスコアです。
空き容量による性能低下は約11%ほどで、容量1 TBモデルより緩和されています。

PCMark 10ストレージテストの細かい内訳を確認します。
Adobe評価でやや下落幅が大きく、Optane 905Pにやや追いつかないです。
ゲームロード評価は若干バラツキがあるものの全体的に高速で、一貫してSamsung 983 ZETを超え、ときにOptane 905Pすらあっさり超えています。
ファイルコピー評価はGen5世代の腕の見せ所です。容量1 TB版ですらOptane 905PやP5810Xを打ち負かし、容量2 TB版に限っては過去に例がない最強のスコアを残します。
オフィス評価もそこそこ優秀。Samsung 9100 PROにしっかり勝ち、Samsung 983 ZETと同等クラスに。
各評価をまとめると、レイテンシに敏感なテストでOptane 905Pに及ばず、シーケンシャルが効きやすいテストならOptane系に勝てている状況です。

実用スコアの内訳 Full System Drive Benchmark | |
---|---|
Adobe Score | Adobe Acorbatの起動 Adobe After Effectsの起動 Adobe Illustratorの起動 Adobe Premiere Proの起動 Adobe Lightroomの起動 Adobe Photoshopの起動 Adobe After Effets Adobe Illustrator Adobe InDesign Adobe Photoshop(重たい設定) Adobe Photoshop(軽量設定) |
Game Score | Battlefield Vの起動(メインメニューまで) Call of Duty Black Ops 4の起動(メインメニューまで) Overwatchの起動(メインメニューまで) |
Copy Score | 合計20 GBのISOファイルをコピー(書き込み) ISOファイルを作成してコピー(読み込みと書き込み) ISOファイルをコピー(読み込み) 合計2.37 GBのJPEGファイルをコピー(書き込み) JPEGファイルを作成してコピー(読み込みと書き込み) JPEGファイルをコピー(読み込み) |
Office Score | Windows 10の起動 Microsoft Excel Microsoft PowerPoint |
15分間の連続書き込みテスト
1 MBのテストファイルを15分間に渡って、ただひたすら連続して書き込み続ける過酷な検証方法です。
一般向けに販売されているほとんどのSSDは、数分ほど連続して書き込むだけで「素の性能」を明らかにできます。SLCキャッシュの有無やサイズ、キャッシュが切れた後の性能低下などなど。
15分の連続書き込みテストによって、SSDのいろいろな挙動が判明します。
テスト開始から6000~7000 MB/s超の凄まじいスピードに達し、その後334 GB書き込んだあたりでpSLCキャッシュが切れてTLC NANDとの混合モードに移行し、平均1500 MB/s程度を維持しつづけます。

キャッシュ構造 | 平均書込速度 (Average) |
---|---|
1段階 pSLCキャッシュ | 3790 MB/s |
2段階 pSLC + TLC | 1824 MB/s |
3段階 TLCネイティブ | 874 MB/s |
ブロックファイルを約900 GB書き込んで、キャッシュ構造をさらに深堀りします。
pSLCキャッシュによる平均3800 MB/s近い爆速モードから始まり、約320 GBほど書き込んだあたりで混合モード(pSLC + TLC)に移行します。
混合モードはすぐに枯渇してTLCネイティブモードへ移行するものの、定期的に混合モードの復活を繰り返し、平均874 MB/s前後でテストを終えました。

キャッシュ構造 | 平均書込速度 (Average) |
---|---|
1段階 pSLCキャッシュ | 3626 MB/s |
2段階 pSLC + TLC | 1968 MB/s |
3段階 TLCネイティブ | 931 MB/s |
ブロックファイルを約1800 GB書き込んで、容量2 TBモデルのキャッシュ構造も深堀りします。
容量1 TBモデルと同じように、テスト開始からpSLCキャッシュを展開して平均3600 MB/sの爆速モードを始め、約620 GB書き込んだあたりで混合モード(pSLC + TLC)に移行します。
混合モードに移行したあとの挙動は非常に安定性が高く、まれにTLCネイティブが顕在化する程度(全体の5%)で、テスト終了まで平均2000 MB/s近い混合モードを維持して見せます。

(空き容量:100%時)
容量1 TBなら一度に約300 GB前後まで、容量2 TBなら一度に約600 GB前後もの、巨大なpSLCキャッシュをスピーディーに展開できます。
書き込みを終えたあとの再展開もすばやく、普通に使っていてストレスを感じづらい挙動です。

(空き容量:10%時)
空き容量を10%まで減らしても、pSLCキャッシュが完全に枯渇せず、約2000 MB/sを軽々と超える混合モードで耐えてしまう設計です。
なお、SN8100は従来モデルと同等のキャッシュ制御システム「nCache 4.0」技術を続投します。
静的キャッシュと動的キャッシュを組み合わせたハイブリッド構造により、少なくとも静的キャッシュ分はほぼ即時に復活します。
空き容量の3分の1まで拡張できる動的キャッシュの方は復活する条件が少し不明瞭ですが、普通に使っている場合はおそらく混合モードとして頻繁に復活しています。
爆速モード(pSLC Only)を即座に使いたい方は、TRIM/GCコマンドを明示的に投げてください。ものの数秒で3分の1程度まで復活します。


時間あたりの書き込み量を比較したグラフです。
- WD Black SN8100 1TBは15分で約1560 GB
- WD Black SN8100 2TBは15分で約2442 GB
を書き込みます。速いように見えて、意外にもHIKSEMI FUTURE(中華SSD)と同じくらいです。
SSDの動作温度をテスト
高負荷時のセンサー温度

- ドライブ温度:NANDメモリの温度
- ドライブ温度2:SSDコントローラの温度
- ドライブ温度3:NANDメモリの温度
モニターソフト「HWiNFO」で表示できる温度センサーは3つですが、内2つがまったく同じ温度を示すため、実質的に2つです。

(容量1 TBモデル)
ケースファンによるエアフローを一切与えない環境で、SSDが激しく発熱しやすい「連続書き込みテスト」を10分間実行しました。
テスト開始から急速に温度が上昇し続け、センサー読みで108℃に達したあたりで温度上昇がストップします。
性能が一瞬ブレるような挙動が見られますが、実用上サーマルスロットリングからほど遠いです。

(容量2 TBモデル)
容量2 TB版もテストします。
急激に温度が上昇を続け、センサー読みで108℃に達したあたりでサーマルスロットリングが発生します。
上下に激しく性能を微振動させてSSDコントローラの温度上昇を抑えようとする挙動です。
サーモグラフィーで表面温度を確認

テスト開始から約8~9分経過したあたりで、サーモグラフィーカメラを使ってSSDの表面温度を撮影します。
- NANDメモリ(中央):78 ~ 79℃
- DRAMキャッシュ(中央):84 ~ 85℃
- SSDコントローラ(右):94 ~ 95℃
SSDコントローラの表面温度は、HWiNFOが表示するセンサー読みから10℃以上ズレてます。実際の温度よりも高い温度を表示するセンサー仕様です。
個人的に低くズレているとサーマルスロットリングの判定が甘くなりそうで怖いですが、WD Black SN8100は高めにズレているから特に問題ないでしょう。
センサー読みで108℃に達しても、本体は95℃程度です。サーマルスロットリングも適切に発動するから過度な心配は不要です。

容量2 TBモデルもチェックします。
- NANDメモリ(中央):88 ~ 89℃
- DRAMキャッシュ(中央):86 ~ 87℃
- SSDコントローラ(右):98 ~ 99℃
1 TBモデルと同様に、やはりHWiNFOが表示するセンサー読みから10℃近くズレてます。実際の温度よりも高い温度を表示するセンサー仕様です。
1 TBモデルと比較して、NANDメモリの温度が高いです。容量密度が高い8枚重ねバージョンだから、面積あたりの熱量が増えていそうです。
もちろん、サーマルスロットリングは適切に発動するから過度な心配は不要です。
ただし、サーマルスロットリングが発動すると性能が下がってしまいます。パフォーマンスを安定させる目的なら、別売りのM.2ヒートシンクを導入する価値あり。
または、SSDに直接ケースファンで風を当てるか、マザーボード付属のM.2ヒートシンクを取り付けても効果抜群です。

まとめ:NAND型SSDがついに「伝説905P」に追いつく

(まさか追いつく日が来るなんて・・・)
「WD Black SN8100」のデメリットと弱点
- 高負荷時の温度がやや高い
- まれにサーマルスロットリング
- 空き容量による性能低下あり
「WD Black SN8100」のメリットと強み
- 最大14000 MB/s超のシーケンシャル性能
- DRAMキャッシュ搭載
- ずば抜けたランダムアクセス速度
- ゲームロード時間が非常に速い
- 広大かつ迅速なpSLCキャッシュ
- 十分な耐久性(600 ~ 2400 TBW)
- 大容量モデルあり(最大4 TB)
- 片面実装で扱いやすい
- SanDisk純正ソフトウェアに対応
- ファームウェア更新に対応
- 「Acronis True Image (5年)」
- 5年保証
- コストパフォーマンスが高い
(Intel Optane 905Pと比較して)
・・・2018年から約7年の歳月を経て、ようやく、やっとIntel Optane 905Pに匹敵する性能のNAND型SSDが現れました。
その名も「WD Black SN8100」です。特に容量2 TB版が本当にすばらしい性能で、値段以外は文句のつけようがありません。
と言っても、905P(960 GB)の販売価格は約1300ドル(約19万円)でした。SN8100の1 TB版が約2.8万円、2 TB版が約4.4万円なので、意外とコストパフォーマンスも優秀です。
Optane SSDに勝るとも劣らない性能を備えたSSDが、Optane SSDよりはるかに安価に、かつM.2 2280(片面実装)の扱いやすいプラットフォームで使えます。


pSLCキャッシュ枯渇時の書き込み性能でようやくOptane 905P相当に追い込まれるくらいで、平均的に見ればOptane 905Pを超えています。
予備領域を駆使する混合モード(pSLC + TLC)の制御が巧みだから、空き容量が少ない状態でも不思議なほど高速です。たとえば、空き容量200 GBに120 GB書き込んでも、平気で2 GB/s超を維持します。
そして空き容量10%時の総合スコア(PCMark 10)も、容量2 TBモデルならOptane 905Pに比肩する性能です。
加えて、SanDisk(Western Digital)純正モデルならではの充実したソフトウェアサポートも付属します。
「SanDisk Dashboard」でファームウェアの更新が可能ですし、「Acronis True Image for WD(5年間)」でSSDのバックアップやクローンもできます。

Optane級とよんで差し支えないトップティアー(Tier 0)の性能を体験したいSSDオタクにWD Black SN8100を強くおすすめできます。
個人輸入でしか入手できない無保証のOptane SSDと違って、こちらは真っ当なメーカーサポートも付属します。万人受けもバッチリです。
以上「WD Black SN8100レビュー:7年を経てついにOptane 905Pに匹敵するSSDが襲来」でした。

「WD Black SN8100」を入手する
レビュー時点の価格は1 TBモデルが約2.8万円、2 TBモデルが約4.4万円、4 TBモデルが約8.1万円です。
Optane 905Pに匹敵し、NAND型で前例がない最高峰の性能ですから、ある程度の価格も正当化できます。
「WD Black SN8100」の代替案
SN8100に匹敵する性能のGen5 SSDをまだ確認できていません。だから直接的な代替案を紹介できないです。
しいて挙げるなら「Samsung 9100 PRO」ですが、フラフラと不安定な挙動があるし、そもそも値段に見合わない時代遅れのNANDメモリ(2400 MT/s)を使っています。
正直、9100 PROは今年買ったSSDでトップクラスに後悔しています。代替案かもしれないけれど、SN8100を差し置いておすすめする理由は少ないです。
おすすめなSSDを解説
NVMe SSDのおすすめレビュー記事
Optane SSDは寿命のアドバンテージがあるので、置き換えるとなると悩ましい感じもします。
990PRO vs SN850Xではほぼ互角といえる性能競争だったのにGen5でサムスンがここまで差をつけられるとは思いもしなかった
T705の値段が下がってきて心が揺れてたけど、こっちだな
Gen5最強SSDですね、コレは……
PhisonE28搭載製品が出てきて、ようやく勝負できるかな?
海外レビューでBiCS8&E28リファレンスの数値もちらほら見掛けますが書き込み性能に強みを見せながらも一歩及ばずといったところでしょうか
SM2508の相性が良かったのか、Sandiskのカスタムが上手かったのか…何れにせよ恐ろしいモンスターを生み出したもんだ