当ブログはWeb広告を導入しています(景表法による表示)

メモリークロックが速いとPCの性能はどれほど変化するか?

メモリークロックが速いとPCの性能はどれほど変化するか?

自作PCのパーツ選びでメモリーを選んでいる時、稀によくあるのが「メモリークロックは速いほうが良いのか?」という疑問。同じ容量のメモリーでもクロックが速いモノほど値段も高いけれど、本当に価格に見合った価値はあるのか。

本記事ではメモリークロックが高いと、パソコンの性能がどれくらい変化するかを検証してみる。

Sponsored Link

  • 公開 : 2017/ 06 / 22
  • 更新 : 2018/ 11 / 18

「メモリークロック」とは何か?

「メモリークロック」とは何か?

メモリークロックとは名前の通り、メモリー自体のクロック周波数のことです。CPUやグラボにもクロック周波数があるように、メモリーにもクロック周波数が設定されています。

CPUやグラボのようなパーツと同様に、メモリーもクロック周波数が速ければ速いほど、性能は高くなる。もう少し正確に言い換えると、クロックが高いほどメモリーが一度に遅れる情報量が増える

メモリークロック = 転送速度

単純計算すると、3600 MHzで動くメモリーは2400 MHzで動くメモリーに対して、1秒あたりの転送量が1.5倍くらいになります。つまり、メモリーが原因のボトルネックを軽減できる効果に期待ができるということ。

しかし、ここで厄介なのが、CPUやグラボほどクロック周波数の恩恵を感じにくいことにある。

パーツ仮に…結果
CPU10%オーバークロックエンコードが1割速くなった
グラボフレームレートが10%増加した
メモリー何が…変わったんだろう?←これ

基本的にメモリークロックの高さは「体感できるほど性能差は無いから、予算重視なら普通にDDR4-2133や2400で構わない。」と言われるし、ぼくもそのようにアドバイスすることは多い。

メモリークロックの規格と読み方

一応、自分が選ぼうとしているメモリーの「クロック周波数」がどれくらいに設定されているのかを知る方法について。解説しておきます。

「知ってるよ!!」という人は、メモリークロックの影響を調査へ飛んでください。

型番からメモリークロックを知る

メモリークロックの読み方はカンタンです。製品名の型番の中に4桁の数字から判別できるし、価格コムのようなサイトでは「DDR4 PC4-24000」のように規格が掲載されているので、その規格から判別することも可能。

2種類あるメモリーの規格(メモリークロックの表示)

なお、メモリーには「規格」が2種類あるので注意。4桁の数字が使われる「DDR4 2133」は「チップ規格」というモノ。5桁の方は「モジュール規格」というモノです。

読み方型番の4桁メモリの「チップ規格」規格の5桁メモリの「モジュール規格」メモリークロック
数値DDR4 2133DDR4 PC4-170002133 MHz
DDR4 2400DDR4 PC4-192002400 MHz
DDR4 2666DDR4 PC4-213002666 MHz
DDR4 2800DDR4 PC4-224002800 MHz
DDR4 3000DDR4 PC4-240003000 MHz
DDR4 3200DDR4 PC4-256003200 MHz
DDR4 3600DDR4 PC4-288003600 MHz
DDR4 4000DDR4 PC4-320004000 MHz
DDR4 4266DDR4 PC4-341004266 MHz
DDR4 5000DDR4 PC4-400005000 MHz
モジュール規格のクロック表示(5桁)は、チップ規格のクロック表示(4桁)を8倍した数値です。

それぞれの規格と、メモリークロックの対応表を作ってみた(全部ではなく代表的なクロックだけ掲載)。DDR4メモリーは理論上、メモリークロックに上限が無いので、年々対応しているクロックが伸びている傾向です。

ただし、注意点としてメモリー側がDDR4-5000だったとしても、実際に5000 MHzで動かせるかどうかは不透明。基本的にメモリークロックが高いほど、そのクロックで安定動作させる難易度は高くなります。

Intel CPUの場合はすんなりと動くけれど、AMD Ryzenの場合は1~2段階設定を落とさないと安定しないことが多い。例えばDDR4-3600なのに、3000 MHzに落とさないと安定しなかった…など。

目安として、初心者さんは速くてもDDR4-3600くらいにしておこう。「いや、自分はCAS Latency※を理解してるし、電圧の設定も余裕です。」という中上級者は3600以上の世界へ行って大丈夫。

※ メモリークロックが「フレームレート」なら、CAS Latencyは「リフレッシュレート」のようなモノ。

「メモリークロック」の効果を検証してみる

メモリークロックそのものの基本的な知識ついては、ここまでの解説でザックリと分かったと思う。次はいよいよ本題の…、

初心者もち
安いDDR4-2400と、5割くらい高いDDR4-3600でどれくらい性能が変わるの?

について検証してみたい。

2400 MHzと3600 MHzなら、メモリーの転送量(=帯域幅)は約1.5倍になるけれど、実際のところ一度に遅れる情報量が50%増えたところでどれくらい性能は上昇するのか。

せっかく高いオーバークロックメモリーを購入したのに、肝心の効果が無かったら、無駄にお金を浪費してしまうことになりますよね。

検証方法とテスト環境

検証方法はカンタンです。DDR4-3600に対応したメモリーを用意して、メモリークロックを切り替えてベンチマークやゲームを動かし、性能が変化するのかを確かめる。

テスト環境を紹介

検証に使うテストマシンはいつも通り、「ちもろぐ専用ベンチ機」です。

テスト環境パーツ備考 / 詳細
CPUCore i7 8086K @4.9GHzRTX 2080 Tiに合わせて4.9 GHzにOCを施す
冷却NZXT X62280mm簡易水冷ユニット
グラボRTX 2080 Ti3連ファン仕様のMSI Gaming X Trio
メモリDDR4-3600(2枚組)G.Skill Sniper X
マザーボードIntel Z370Gigabyte AORUS Ultra Gaming
SSDSATA 250GBSamsung 860 EVO M.2
SATA 2TBMicron 1100 2TB
電源ユニット1200W(80+ Platinum)Toughpower iRGB PLUS 1200W
OSWindows 10 Pro 64bitVer 1803
ドライバNVIDIA 411.63 WQHLRTXシリーズ対応ドライバ
ディスプレイ1920 x 1080 @144HzBenQ XL2536

メモリー由来のボトルネックは、PCの性能が高性能であればあるほど発生しやすいため、CPUは4.9 GHzにオーバークロックしたCore i7を使う。グラボは最強性能の「RTX 2080 Ti」を使いました。

G.Skill DDR4-3600
G.Skill / DDR4-3600 / 8GB 2枚組

DDR4メモリーは、G.Skillブランドの「SniperX」を使った。このメモリーを2枚組(デュアルチャネル)にて、DDR4-2400 / DDR4-3600を切り替えて検証を進める。

BIOSからXMP Profileを読み込んでOC

XMP Profileをロードして「3600 MHz」へ

メモリークロックの設定は、BIOSから「XMP Profile」(=マザーボードの自動設定)を使って3600 MHzにオーバークロック。細かい設定は全て出荷状態のままで行く。

メモリーの帯域幅を計測

実際にメモリークロックを2400 MHzから3600 MHzにすると、データの転送量が増えているかどうかを計測しておく。定番のSiSoft Sandraと、やや古いMaxxMEMを使って計測した。

SiSoft Sandraでメモリーの帯域幅を計測

  • DDR4-2400
    23.58 GB/s
  • DDR4-3600
    33.87 GB/s

2400 MHz3600 MHz

SiSoftで計測すると、帯域幅は約44%も伸びている。確かに、メモリークロックを速くすると、データの転送量は大幅に増えているようです。

MaxxMEMでメモリーの帯域幅を計測

  • DDR4-2400
    26.97 GB/s
  • DDR4-3600
    31.00 GB/s

古いソフトのMaxxMEMでも、約15%ほど性能アップ。

初心者もち
すごい~。1.5倍ピッタリじゃないけど、結構増えるんだね。
やかもち
帯域幅の増加がどう効いてくるか。まずはCPUから見てみよう。

CPU性能とメモリークロックの影響

レンダリング速度

Cinebench R15はCPU用の定番ベンチマーク。CPUにレンダリングを実行させて、終わるまでに掛かった時間からスコアを算出する。CPUの持っている理論上の性能を最大限に引き出せるので、傾向が分かりやすい。

Cinebench R15 / マルチスレッド性能

  • DDR4-2400
    1589 cb
  • DDR4-3600
    1600 cb

ほとんど変化なし。シングルチャネルからデュアルチャネルにすると伸びたので、今回も効果が出るのでは…と期待していたけれど。今の帯域幅で十分に、間に合っているようです。

計算速度

Euler3Dは流体力学の計算をCPUに実行させることで、CPUの計算速度を計測するベンチマーク。単位はHz(ヘルツ : 1秒間あたりの計算回数)で示され、数値が大きいほど優秀です。

Euler3D Benchmark / 計算速度

  • DDR4-2400
    6.847 Hz
  • DDR4-3600
    9.069 Hz

純粋な計算速度は、やっぱりメモリーの速度がよく効きますね。

圧縮と解凍

7-Zip(圧縮 & 解凍)

7-Zipは非常に有名なフリー解凍ソフト。付属のベンチマークツールを使って、CPUの解凍と圧縮の処理スピードを計測する。単位はMIPSですが、スコアのようなものと思えばOK。

7-Zip Benchmark / 圧縮と解凍

  • 圧縮
    34854 MIPS
  • 解凍
    41563 MIPS
  • 総合
    38209 MIPS
  • 圧縮
    43095 MIPS
  • 解凍
    41250 MIPS
  • 総合
    42173 MIPS

解凍はそれほど変わらないが、圧縮は大幅に速度が上がった。圧縮の方がメモリーをよく使うので、メモリー帯域幅が太い方が効率よく処理できるということですね。

動画エンコード

動画エンコードソフト「Handbrake」

無料の動画エンコードソフトといえば「Handbrake」。このソフトを使って、1GBのアニメファイルをエンコードして、ログに残された「平均フレームレート」で性能の比較を行う。

Handbrake / x264(エンコード速度)

  • DDR4-2400
    95.48 fps
  • DDR4-3600
    97.84 fps

よく使われる「x264」エンコードでは、わずかに効果が見られた。

Handbrake / x265(エンコード速度)

  • DDR4-2400
    49.53 fps
  • DDR4-3600
    50.24 fps

x264より複雑なエンコードの「x265」になると、ほぼ僅差になってしまった。

Handbrakeだけでなく、無料の動画編集ソフト「Aviutl」を使った場合のエンコード速度も計測してみた。

Aviutl / x264(エンコード速度)

  • DDR4-2400
    74.5 秒
  • DDR4-3600
    68.0 秒

約9%もエンコード時間が短縮。9%は結構大きい…、動画が長ければ長いほど、解像度が大きいほど9%の差は大きく響いてくると思います。

Photoshop CC 2018

バッチファイルを使ってPhotoshop CC 2018を実際に動作させ、各処理に掛かった時間から総合スコアを割り出します。実測値に基づいたPhotoshopの動作検証が可能。

Photoshop CC 2018 / Benchmark

  • 総合スコア
    884.4
  • 一般処理
    78.1
  • フィルター系
    93.2
  • Photomerge処理
    99.6
  • GPUスコア
    93.8
  • 総合スコア
    919.0
  • 一般処理
    76.7
  • フィルター系
    101.2
  • Photomerge処理
    103.7
  • GPUスコア
    104.7

Photoshopの動作が割りと興味深い。メモリーの帯域幅を強化すると、一般処理が微妙に遅くなって、GPUを使う処理は大幅に速くなる。

考えられる理由としては、CPUの処理に対してはメモリーの帯域幅が足りているけれど、GPUの処理にはまだまだ不足している可能性ですね。

ゲーミング性能とメモリークロックの影響

FINAL FANTASY 14 : 紅蓮のリベレーター

メモリDDR4-3600DDR4-2400
結果
2300920544
性能差+12.0%

メモリーの影響を受けやすいFF14では、約12%もの影響が出ました。

FF14 : 紅蓮のリベレーター / 最高品質 / 1920 x 1080

  • DDR4-2400
    151.6 fps
  • DDR4-3600
    175.3 fps

平均フレームレートは151.6 fpsから175.3 fpsまで伸びた。増加率にして、約15.6%です。グラボのグレード差を埋めるほどではないが、効果はかなり大きい。

FINAL TANTASY XV

メモリDDR4-3600DDR4-2400
結果
1356411357
性能差+19.4%

FF15は…えぇっ、メモリークロックの効果てきめんですね。約20%はグラフィックボードのグレード差を埋める程度の性能差に値する。

FF15 : ベンチマーク / 高品質 / 1920 x 1080

  • DDR4-2400
    112.1 fps
  • DDR4-3600
    135.7 fps

平均フレームレートで見ると、更に分かりやすい。性能差は約21%に達し、グラフにもクッキリとメモリークロックの影響が見て取れる。

Unigine Heaven

メモリDDR4-3600DDR4-2400
結果
47584524
性能差+5.2%

Unigine Heaven / Ultra設定 / 1920 x 1080

  • DDR4-2400
    179.6 fps
  • DDR4-3600
    188.9 fps

そこそこ重たいフルHD向けベンチマーク「Unigine Heaven」では、約5%の性能アップ。メモリーのチャネルでは影響が出なかったのに、クロックはどうやら効果があるみたい。

Cinebench OpenGL

メモリDDR4-3600DDR4-2400
結果
182.48 fps177.9 fps
性能差+2.6%

Cinebench R15 / OpenGL処理

  • DDR4-2400
    177.9 fps
  • DDR4-3600
    182.5 fps

GPUレンダリングでは、あまり影響はなかった。Cinebenchくらいの内容だと、DDR4-2400のままでも帯域幅は十分に足りているということ。

CS:GO

プレイ画面設定内容
マップ「Dust II」の外郭を1周した後、中央に移動

CS:GO / 最高画質 / 1920 x 1080

  • DDR4-2400
    260.7 fps
  • DDR4-3600
    259.9 fps

非常に動作が軽いFPSゲーム「CS : GO」では、ほとんど効果なし。RTX 2080 Tiは非常に速いので、てっきりボトルネックになっていると思いましたが。

ゲーム自体がそれほどメモリーを使っていないため、メモリーがボトルネックになっていなかった。

Rainbow Six Siege

プレイ画面設定内容
レインボーシックスシージのベンチマーク
付属のベンチマークを実行し、リザルトを記録

Rainbow Six Siege / 超高設定 / 1920 x 1080

  • DDR4-2400
    280.3 fps
  • DDR4-3600
    287.0 fps

レインボーシックスシージもそれほど重たいゲームではないが、若干メモリークロックによる性能アップを確認できた。2.5%の差を体感するのはほぼ不可能だが。

Overwatch

プレイ画面設定内容
練習場にて1周ランニング

Overwatch / エピック設定 / 1920 x 1080

  • DDR4-2400
    290.0 fps
  • DDR4-3600
    295.5 fps

オーバーウォッチでは約1.9%の性能差。フレームレート上限が300 fpsなので、実際には性能差が出ていたかもしれないが、確認はできません。

PUBG

プレイ画面設定内容
トレーニングマップにて1周ランニング

PUBG / ウルトラ設定 / 1920 x 1080

  • DDR4-2400
    230.0 fps
  • DDR4-3600
    241.8 fps

PUBGは割りとメモリークロックの影響が出やすい。デュアルチャネルの検証では30%も性能アップしたくらいです。今回の検証では5%の性能アップと地味ですが、やはりメモリーが効きやすい感じ。

黒い砂漠

プレイ画面設定内容
都市カルフェオンの内部と近郊を馬でスプリント移動

黒い砂漠 / リマスター画質 / 1920 x 1080

  • DDR4-2400
    112.2 fps
  • DDR4-3600
    126.6 fps

非常に重たいMMORPG「黒い砂漠」(リマスター画質)だと、約13%の性能アップに成功。

DOOM

プレイ画面設定内容
マップ「UAC」にて序盤プレイ

DOOM / ウルトラ設定 / 1920 x 1080

  • DDR4-2400
    158.3 fps
  • DDR4-3600
    171.7 fps

DOOMでは約8.5%の性能アップ

Grand Theft Auto V

プレイ画面設定内容
トレバーの自宅からビル街まで車で移動

Grand Theft Auto V / 最高設定 / 1920 x 1080

  • DDR4-2400
    106.7 fps
  • DDR4-3600
    116.9 fps

GTA Vは約9.6%の性能アップで、特にフレームレートが出づらかったビルの密集地帯において、フレームレートの底上げに成功していた。テクスチャの読み込みが集中するシーンで、メモリークロックの効果があったということ。

モンスターハンターワールド

プレイ画面設定内容
マップ「古代樹の森」にて、スポーン位置から樹木中心まで移動

モンスターハンターワールド / 最高設定 / 1920 x 1080

  • DDR4-2400
    107.4 fps
  • DDR4-3600
    123.7 fps

モンハンワールドは約15%の性能アップ。やはり重量級ゲームにおいて、メモリーの影響が出やすい傾向です。モンハンは特に重たいですから。

Rise of the Tomb Raider

プレイ画面設定内容
付属ベンチマークを「最高」設定で実行

Rise of the Tomb Raider / 最高設定 / 1920 x 1080

  • DDR4-2400
    144.9 fps
  • DDR4-3600
    170.7 fps

トゥームレイダーでは約18%もの性能アップ。このゲームはテクスチャ関係の設定が非常に重たいため、メモリークロックの影響が出やすいようです。

Witcher 3

プレイ画面設定内容
場所は分からんが、とある村の周辺をグルリと1周ウォーキング

Witcher 3 / 最高設定(HairWorks無し) / 1920 x 1080

  • DDR4-2400
    192.2 fps
  • DDR4-3600
    190.3 fps

Witcher 3は目立った変化なし。HairWorksを無効化しているため、DDR4-2400で足りている様子か。

マインクラフト

プレイ画面設定内容
クリエイティブモードで筆者作のマップを360°見渡す

マインクラフト / 描画 : 32チャンク / 1920 x 1080

  • DDR4-2400
    170.2 fps
  • DDR4-3600
    181.8 fps

マインクラフトは約7%の性能アップ。微増ですね。チャンクをフルロードしても、若干フレームレートが低下しにくくなり、落ち込んでも回復が速くなっている。

チャンクを目一杯ロードする人なら、メモリークロックを盛る意味は多少はありそうです。

平均パフォーマンス

平均性能 / グラボ : RTX 2080 Ti / 1920 x 1080

  • DDR4-2400
    178.3 fps
  • DDR4-3600
    190.4 fps

今回の検証で分かった範囲では、メモリークロックを2400 MHzから3600 MHzにOCすることで、グラボの性能を約8%ほど伸ばすことに成功です。

RTX 2080 Ti」は恐ろしく高性能なグラフィックボードなので、CPUだけでなくメモリーすら簡単にボトルネック要因になってしまう。

逆に言えば、GTX 1060やRX 580のような低速グラボであれば、メモリークロックを過剰に気にする必要は無さそうと言える。最強のグラボを使って、やっと8%の性能差ですから。

2080 Tiより性能が低いグラボなら、性能差はもっと小さくなると推測できる。そしてグラボの性能が低いほど、フレームレート(母数)も小さくなるため、差の影響は更に小さくなります。

初心者もち
ハイエンドなグラボを使うなら、周りのパーツも妥協するなってことですね?
やかもち
そういうことですね。メモリークロックの影響がここまでとは、ちょっと意外でしたが。

まとめ:ハイエンドグラボならメモリークロックは重要

RTX 2080 Tiだと「約8%」も性能が変わる

メモリーDDR4-3600DDR4-2400性能差
FF14175.34 fps151.6 fps15.7%
FF15135.71 fps112.1 fps21.1%
Unigine Heaven188.9 fps179.6 fps5.2%
OpenGLCinebench R15 / OpenGL182.48 fps177.9 fps2.6%
CS:GO259.9 fps260.7 fps-0.3%
Rainbow Six Siege287 fps280.3 fps2.4%
Overwatch295.5 fps290 fps1.9%
PUBG241.8 fps230 fps5.1%
黒い砂漠リマスター画質にて計測126.6 fps112.2 fps12.8%
DOOM171.7 fps158.3 fps8.5%
Grand Theft Auto V116.9 fps106.7 fps9.6%
モンスターハンターワールド123.7 fps107.4 fps15.2%
Rise of the Tomb Raider170.7 fps144.9 fps17.8%
Witcher 3NVIDIA HairWorksは無効化190.3 fps192.2 fps-1.0%
マインクラフト描画 : 32 / メモリ : 3.5GB181.8 fps170.2 fps6.8%
平均189.89 fps178.27 fps+8.2%

平均で8%の性能アップ。そして、FF15やモンハンワールドのように、負荷が重たいゲームほどメモリークロックの影響が大きい

そして10%を超える性能差は、普通のモニターを使っている分には大した問題ではないが、ゲーミングモニターを使っているなら決して無視できないです。

たとえば、本来なら平均150 fpsくらい出せているのに、メモリーが遅いせいで平均130 fpsくらいに抑えられているような場面なら、メモリークロックを底上げする価値が出てきますよね。

初心者もち
ふむ…、お高いグラボを選ぶなら、メモリーも良いモノを。という認識でOK?
やかもち
そうなるね。パーツの総額が大きいほど、メモリーの価格差は微々たるものですし。
ミドルクラスのグラボなら、普通のメモリーで構わない?

途中で解説した通り、グラボの性能が高いほどメモリークロックの影響が大きくなる。だから、GTX 1060や1070といった、ミドルクラスのグラボならそれほど気にする必要は無し。

実際に「GTX 1060 6GB」で検証したところ、性能差はわずか1.2%しか無かった。メモリークロックの影響が大きかったFF15で、この結果なので。こだわる必要は無いですね。

CPU性能に対しては特定の用途で大きな影響

メモリーDDR4-3600DDR4-2400性能差
帯域幅SiSoft Sandraで計測33.87 GB/s23.58 GB/s43.6%
帯域幅Maxx MEMで計測31.00 GB/s26.97 GB/s14.9%
レンダリングCinebench R15で計測1600 cb1589 cb0.7%
計算速度Euler 3D Benchmark9.069 Hz6.847 Hz32.5%
圧縮7-Zip Benchmark / 圧縮43095 MIPS34854 MIPS23.6%
解凍7-Zip Benchmark / 解凍41250 MIPS41563 MIPS-0.8%
動画エンコードHandbrake / x26497.84 fps95.48 fps2.5%
動画エンコードHandbrake / x26550.24 fps49.53 fps1.4%
動画エンコードAviutl / x26468.0 秒74.5 秒9.6%
Photoshop CCPhotoshop Benchmark / 総合919.0884.43.9%
Photoshop CCPhotoshop Benchmark / GPU104.793.811.6%
平均帯域幅は計算に含めない+9.4%

メモリークロックはCPUの計算やエンコード系の処理に、一定の効果があります。特に「計算処理」には効果が大きく、次いでメモリーをよく使う「圧縮」も効果が大きい。

動画エンコードへの影響は、使っているエンコーダによって傾向が変わりそうですが、少なくともAviutlではそこそこ効果があることが分かった。

普段使いへの影響は限りなく少ないし、体感するのは困難です。特に目的や理由が無いなら、あえて値段の高いDDR4-3600など、高速メモリーを選ぶ意味はほぼ無い。

用途やパーツに合わせて、適切なメモリークロックを

結論として、メモリークロックが速いとPCの性能が上昇するわけではなく、メモリークロックがボトルネック要因になっている場合に限って意味(効果)があるということ。

念のため、速いメモリーを選んだほうが良い場合と、そうでない場合をまとめておきますね。

メモリークロックが速いほうが良い
  • ハイエンドなグラフィックボードを使う
  • 144 Hz以上のゲーミングモニターを使う
  • 動画エンコードや計算処理をよく行う
  • CPUにインテルではなく「AMD Ryzen」を使う
  • ロマン構成で自作したい

クロックが高い高性能なメモリーは、ハイエンドPCで恩恵を得やすい。

なお、例外はAMD Ryzenを使う場合です。Ryzenはメモリークロックの影響を非常に受けやすい性質があるので、メモリーはDDR4-3000以上から選びたい。

G.Skill / DDR4-3600 / 8GB 2枚組
普通のメモリークロックで構わない
  • ミドル以下のグラフィックボードを使う
  • 普通のモニターを使う
  • クリエイティブな使い方をしない
  • コストパフォーマンス重視

普通のスペックなら、メモリーもDDR4-2133や2400あたりの普通のメモリーで全く問題なし。

Micron / DDR4-2400 / 8GB 2枚組
補足 : AMD Ryzenとメモリーの関係

この記事にデータをまとめている通り、AMD Ryzenシリーズ、特にRyzen APUと呼ばれる内蔵グラフィックス特化型のCPUはものすごくメモリーの影響が大きいです。

影響の度合いはおおむねメモリーの帯域幅に一致するので、DDR4-2133からDDR4-3466までOCすると、フレームレートは約38%も伸びる。Ryzen APUを使うなら、なるべくクロックは速い方がいい。

APUではない普通のCPUの方も、ゲーミング性能に顕著な影響が出るため、出来ればクロックの速いメモリーを選びたい。

以上「メモリークロックが速いとPCの性能はどれほど変化するか?」について、検証と解説でした。

メモリーに詳しくなれる記事まとめ

デュアルチャネルはメモリーの帯域幅を倍増させる方法なので、メモリークロックと同様に、メモリーがボトルネックの要因になる場合は効果が大きい。

というか、デュアルチャネルはほぼ必須と言っていい状態でした。

筆者がおすすめするDDR4メモリーについては、こちらの記事を。

Sponsored Link

10 件のコメント

  • 何故メインメモリの性能を比較するのにグラフィック処理能力で検証したのですか?
    グラフィック処理能力に大きく影響するのはグラフックメモリの周波数でしょう(笑)
    3Dゲームのフレームレートを上げたいのであれば安いメインメモリを買って浮いた金を足してグラフィックカードをアップグレードすることをお勧めします(笑)
    大風呂敷広げて自分の愚かさを露呈してしまった訳ですがこれは端から釣り目的ですかね?

    • FF14など特定のゲームタイトルや、AMD Ryzenのようにメモリのクロック周波数にパフォーマンスが顕著な影響を受けるケースを除き、基本的には「3Dゲームのフレームレートを上げたいのであれば安いメインメモリを買って浮いた金を足してグラフィックカードをアップグレードすることをお勧めします」という方針で間違ってないと思います。

  • 絶対にコメントを取り消し&スルーもしくは猛反発されると思っていたのですが
    yacamochi氏の冷静で穏やかな対応に感服しました。
    大抵のブロガーは無視を決め込むと思うのですがそこをあえて相手を怒らせずに返答するという器の大きさはアフィリエイターにとっても武器になりますな。
    また読者が食いつく面白い記事を期待していますよ。

  • GTX1080 SLIにDDR4-3200~4000ならまだ分かりますが、
    メモリをケチる意味があるのは下位のビデオカードだけですね。
    ミドル~ハイエンドはケチったところで1ランク上のビデオカードはまず買えません。
    普通の人が使っているのは60Hz(60fps)の安液晶が大半でそれ以上fps出してもVsync(60fps)で頭打ちになるのでゲームによっては何使おうが大差無い場合もあります。
    ベンチ比較ではVsyncオフなので100fpsや200fps出ますが、それだけです。
    実際にゲームをプレイする際はVsync上限張り付きになるので意味はありません。
    よく100fpsと150fpsを比較して後者の方がゲームに向いている等の記事を見かけますが、あの程度の屑記事ならアホしか騙せないでしょう。

    それと、3%程度の差なら電源プランを切り替えた方が早いですよ。

  • これってRAMの評価ですよね! 
    逆に、RAMの評価に安いグラフィックを使って足を引っ張って評価になりますかね?
    ざぶろう は頭おかしいのでは?  自分は何もせずに批評してるだけのクズでは? 
    そもそもソフトやハードの原理で、今回のレポート?は実用的ですしRAMの採算として的確な結論です。
    みなさんはゲームが主でしょ。ありがちな環境ですから実用的なRAMのテストです。
    何なら まともにRAMのテストするなら特定業務しか使わない科学演算のソフトでRAMとCPUの兼ね合いでレポートしてどうなります? 結果はゲームには関係ないただの速度です。需要が多いグラフィックソフト無関係な結果ですよ。
    ざぶろう  は無知をさらしてるだけ。 その辺の砂利が飛んで元の地面に落ちてる無意味な存在。

    ざぶろう  自分でRAM評価を掲示してみろよ! 
    できなきやハードとソフトの環境や条件を挙げてみろ! 
    批評だけで一切できないだろ! お前みたいな無知な奴なぞ幾らでも潰せるぜ! 砂利!

  • […] デメリットとしては、やはりPS4Proよりも性能が低い点、容量が少ない点の2つが筆者的には大きな欠点でした(´・ω・`)1つずつ説明してきます。まず、性能が低い点ですが、正直、これは仕方のないことだとある程度覚悟はしていました。PS4(500GB)と違い、4K解像度の出力にたいおうしていない為に、GPUという部分の性能が劣るのです。加えて、CPU・メモリ転送速度なども劣っており、一時期Proとの比較動画などで、Proには描写されているキャラクターのモーションが、普通のPS4ではラグや動きがカクカク、もしくは動かないなどの比較動画がよく再生されていました。 […]