最新世代で実質11万円から買える「RTX 4070 Ti」と、10万円を切る旧世代の「RTX 3080 10GB」のどちらを選んだ方が良いのか?
割りと悩ましい選択肢に思えるので、実際にグラボを2枚用意して詳しく性能を比較します。ゲームだけでなく、クリエイティブな用途も調査済みです。
この記事の目次
(公開:2023/4/14 | 更新:2023/4/14)
「RTX 4070 Ti」の仕様とスペック

GPU | RTX 4070 Ti | RTX 3080 |
---|---|---|
プロセス | 5 nm製造 : TSMC | 8 nm製造 : Samsung |
シェーダー数CPUのコア数に相当 | 7680 | 8704 |
RTコア数レイトレ用の特化コア | 60 | 68 |
ブーストクロック | 2610 MHz | 1710 MHz |
VRAM | GDDR6X 12 GB | GDDR6X 10 GB |
理論性能(FP32) | 40.09 TFLOPS | 29.77 TFLOPS |
PCIe | PCIe 4.0 x16 | PCIe 4.0 x16 |
TDP | 285 W | 320 W |
補助電源 | 16-pin | 12-pin |
MSRP | $ 799 | $ 699 |
参考価格 | 124800 円 | 102380 円 |
発売価格 | 149000 円 | 95700 円 |
発売 | 2023/1/5 | 2020/9/17 |
GPU | RTX 4070 Ti | RTX 3080 |
---|---|---|
世代 | Ada Lovelace | Ampere |
プロセス | 5 nm製造 : TSMC | 8 nm製造 : Samsung |
トランジスタ数 | 358.0 億 | 283.0 億 |
ダイサイズ | 295 mm2 | 628 mm2 |
シェーダー数CPUのコア数に相当 | 7680 | 8704 |
TMU数Texture Mapping Unitのこと | 240 | 272 |
ROP数Render Output Unitのこと | 80 | 96 |
演算ユニット数 | 60 | 68 |
Tensorコア数機械学習向けの特化コア | 240 | 272 |
RTコア数レイトレ用の特化コア | 60 | 68 |
L1キャッシュ演算ユニットあたり | 128 KB | 128 KB |
L2キャッシュコア全体で共有 | 48.0 MB | 5.0 MB |
L3キャッシュコア全体で共有 | – | – |
クロック周波数 | 2310 MHz | 1440 MHz |
ブーストクロック | 2610 MHz | 1710 MHz |
VRAM | GDDR6X 12 GB | GDDR6X 10 GB |
VRAMバス | 192 bit | 320 bit |
VRAM帯域幅 | 504.2 GB/s | 760.3 GB/s |
理論性能(FP32) | 40.09 TFLOPS | 29.77 TFLOPS |
SLI対応 | – | – |
PCIe | PCIe 4.0 x16 | PCIe 4.0 x16 |
TDP | 285 W | 320 W |
補助電源 | 16-pin | 12-pin |
MSRP | $ 799 | $ 699 |
参考価格 | 124800 円 | 102380 円 |
発売価格 | 149000 円 | 95700 円 |
発売 | 2023/1/5 | 2020/9/17 |
RTX 4070 TiとRTX 3080のスペックをざっくり比較すると、こんな感じ↓
- シェーダー数:RTX 4070 Ti < RTX 3080
- 最大クロック:RTX 4070 Ti > RTX 3080
- VRAM容量:RTX 4070 Ti > RTX 3080
- 消費電力:RTX 4070 Ti < RTX 3080
- 新品価格:RTX 4070 Ti < RTX 3080
RTX 4070 Tiの方が、シェーダー(コア)数はむしろ減っています。代わりに最大クロックが大幅に引き上げられ、VRAM容量も2 GB増えて12 GBに。
最新のTSMC 4N(TSMC 5 nmプロセス)を使って製造して、発熱(= 消費電力)も少なく改善されています。
RTX 3080だと容量750 W以上の電源ユニットが欲しいですが、RTX 4070 Tiは1段と少ない650 Wでも問題なく動かせます。

RTX 4070 TiとRTX 3080の性能を比較

テスト環境 「ちもろぐ専用ベンチ機(2023)」 | ||
---|---|---|
![]() | Core i9 13900K24コア32スレッド | |
![]() | NZXT Kraken X63280 mm簡易水冷クーラー | |
![]() | ASUS TUF GAMINGZ690-PLUS WIFI D4 | |
![]() | DDR4-3200 16GB x2使用メモリ「Elite Plus UD-D4 3200」 | |
![]() | PNY RTX 4070Ti 12GB XLR8 Gaming VERTO EPIC-X ARGB OC | |
![]() | NVMe 1TB使用SSD「FireCuda 520」 | |
![]() | 850 W(80+ Platnium)使用モデル「Corsair HX850i」 | |
![]() | Windows 11 Pro検証時のバージョンは「22H2」 | |
ドライバ | NVIDIA 531.18 | |
ディスプレイ | 3840 x 2160@144 Hz使用モデル「INNOCN 32M2V」 |
「RTX 4070 Ti」と「RTX 3080 10GB」を比較するための、専用PCスペックです。
CPUにゲーミング性能でトップクラスの「Core i9 13900K」を使います。メモリは普通のDDR4-3200(ネイティブ)で容量32 GBで、テスト時のドライバは「531.18」です。

RTX 4070 Tiは「PNY XLR8 Gaming VERTO EPIC-X ARGB OC」を使います。ベイパーチャンバー構造、約100 mm径の大型トリプルファン、厚み63 mm(実測)の分厚い設計で静かによく冷えます。
国内3年保証も付いてきます。RTX 4070 Tiを単品で買うなら、ぜひおすすめしたい完成度の高いオリファンモデルです(※でなければ自腹でわざわざ買わない)。
たとえば「ヤフショ」だと・・・ | |
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![]() | ![]() |
玄人志向で実質10.9万円 (販売ページはこちら) | PNYで実質11.7万円 (販売ページはこちら) |

競技FPS:VALORANTなど
まずは競技性が重視されるFPSゲームで、設定別にフレームレート(性能)を比較しました。

Apex Legendsの「低設定」「高設定」で比較したグラフです。RTX 4070 Tiが、RTX 3080よりざっくり2割ほど高性能です。

フォートナイトの「低設定」「高設定」で比較したグラフです。両方とも平均300 fpsを軽く超えていて、実用上はどちらを選んでも体感できる性能差を見込めません。

競技FPSの代表的タイトル、VALORANTを最高設定で比較したグラフです。フルHDとWQHDは両方とも余裕すぎる動作で、4K解像度もあまり差が出ません。
流行りのFPSゲームを競技設定でプレイするなら、RTX 3080で良さそうです。
Apex Legends

Apex Legendsを最高設定で比較したグラフです。フルHD~4Kまで、RTX 4070 Tiがおよそ2割も高性能でした。
Escape from Tarkov(タルコフ)

Escape from Tarkov(タルコフ)の重たいマップ、Streets of Tarkovで比較したグラフです。
設定はタルコフYoutuber「らっしーRushy_ve」さんを参考に、SSRをオフにしたり、Reflex Low Latencyをboost onにするなど、やや高画質な競技設定を使用しました。
結果はやや不思議です。フルHDはCPUボトルネックが壁になって伸びませんが、WQHDだと約37%も高性能で、4Kになると1割しか変わりません。
Overwatch 2

オーバーウォッチ2をエピック設定(解像度100%)で比較したグラフです。
グラフィックボードの性能差がきれいに反映されやすいゲームです。フルHDで約30%、WQHDで約24%、4Kで約15%ほどRTX 4070 Tiが高性能でした。
解像度が大きくなるほど性能が縮小する傾向あり。
Fortnite(フォートナイト)

フォートナイトを最高設定(NANITE:無効)で比較したグラフです。フルHD~4Kまで、RTX 4070 Tiがハッキリと高性能です。
R6S(レインボーシックスシージ)

レインボーシックスシージを最高設定、マップをファベーラにて比較したグラフです。
フルHDは軽く300 fps超えであまり意味のない性能差で、WQHDは1割強の性能差で旨味があります。しかし、4Kになると性能差が縮小します。
Dead by Daylight(デドバ)

デッドバイデイライトをULTRA設定、マップ「バダム幼稚園」で比較したグラフです。
フレームレート上限120 fpsにぶち当たり、どちらを選んでも性能差がありません。4Kもほぼ性能差ないです。
Cyberpunk 2077

重量級ベンチマークの代表例「サイバーパンク2077」をウルトラ設定(レイトレなし)で比較したグラフです。
フルHDで約10%、WQHDで約17%、4Kで約13%の性能差でした。おおむねRTX 4070 Tiが高性能です。
エルデンリング

エルデンリングを最高設定で比較したグラフです。CPUボトルネックの影響でフルHDはいまいちですが、WQHDと4Kで微妙な性能差が出ます。
原神(Genshin Impact)

原神を最高設定(精度:1.5 / シーン細部:高)で比較したグラフです。
フルHDとWQHDでかなり大きな性能差が出ます。4Kはたった5%の性能差でなんとも言えないです。
Forza Horizon 5

Forza Horizon 5を最高設定(レイトレなし)で比較したグラフです。
付属のベンチマークを使っているため、性能差がきれいに反映されます。フルHD~4Kまで、RTX 4070 Tiが勝利です。
Microsoft Flight Simulator

MSFS(Flight Simulator)をUTLRA設定で比較したグラフです。
フルHDとWQHDはCPUボトルネックの影響で妙な性能差ですが、4K解像度だと実力差が見て取れます。加えてRTX 4070 Tiには「DLSS 3」もあり、100 fps超えも可能です(※後ほどテストします)。
マインクラフトBE版

Java版より最適化が洗練されているマインクラフトBE版を、最高設定(16チャンク読み込み)で比較したグラフです。
RTX 4070 Tiの方が高性能です。フルHDで約16%、WQHDで約14%、4Kで約12%ほどRTX 4070 Tiが上回ります。
ブループロトコル

MMORPGブループロトコルを最高設定で比較したグラフです。
フルHD~4Kまで、RTX 4070 TiがRTX 3080を明確に上回ります。フルHDだと約18%、4Kで約15%の性能差が付いています。
FF14:暁月のフィナーレ

ベンチマークとしては不適切な・・・、FF14:暁月のフィナーレを最高設定で比較したグラフです。
なお、フレームレートが極端に跳ね上がる中盤以降をカットしたデータです。そのためフルHDでとWQHDでほぼ性能差が出ませんが、4Kだと約14%の性能差が出ます。
VRChat

VRゲームの代表例でありながら、ベンチマークをほとんど見かけないVRChatを比較したグラフです。
グラフィック設定をUltra設定(異方性 x8)にして、「Yayoi Forest House(作:猫屋敷やよい さん)」のプライベートモードで測定しました。
フルHDとWQHDはフレームレート上限144 fpsにぶち当たり性能差が出ないですが、4Kだと・・・なぜかRTX 3080が高性能です。
16ゲームの平均フレームレート

テストしたゲームの平均フレームレートをまとめました(※注意:平均はしょせん平均なので参考にし過ぎないように)。
今回テストした内容だと、RTX 4070 TiはRTX 3080に対してフルHDで約15%、約17%、約11%も高性能です。

fpsを底上げ「DLSS」を使った結果

- フルHDでいったんレンダリング
- 機械学習を使って4Kにアップスケーリング
- 実質4Kのフレームが完成します
4K解像度のレンダリングは非常に重たい作業ですが、DLSSを使えばフルHDやWQHD相当のレンダリングで済ませられるので、フレームレートを稼ぎやすくなります。
ちなみに、どの程度の解像度でレンダリングするかどうかはゲーム側の設定で調整できます。高画質な設定ならWQHD相当で、性能重視な設定だとフルHDやHD相当でレンダリングを行います。
RTX 4000シリーズは、コア内部に搭載された機械学習に特化した「Tensor」コアを用いて、高画質なアップスケーリングを用いたフレームレート底上げ機能「DLSS」を利用できます。
今回はDLSS 2以上に対応している3本のゲームで、DLSSの効果をテストしました。

タルコフ(4K解像度)でDLSSを使った結果、フレームレートがほぼ2倍に跳ね上がります。

サイバーパンク2077(4K解像度 + パストレーシングモード)では、DLSS 2だけだとマトモに動作しません。
RTX 4000シリーズでのみ使えるDLSS 3(フレーム生成)を使って、ようやく実用的なフレームレートを得られます。

CPUボトルネックが深刻でフレームレートを伸ばしづらいMSFSも、GPU側でフレーム生成が済むDLSS 3.0(フレーム生成)なら簡単に100 fpsを超えられます。

DLSS 3.0は現状RTX 4000シリーズでしか使えないため、DLSS 3.0対応ゲームにおいてRTX 4070 Tiの性能は圧倒的です。
- A Plague Tale: Requiem
- Atomic Heart
- Bright Memory: Infinite
- Cyberpunk 2077
- Conqueror’s Blade
- Dakar Desert Rally
- Deliver Us Mars
- Destroy All Humans! 2 – Reprobed
- Dying Light 2
- F1 22
- FIST: Forged In Shadow Torch
- Forza Horizon 5
- Hitman: World of Assassination
- Hogwarts Legacy
- Jurassic World Evolution 2
- Justice
- Loopmancer
- Marvel’s Midnight Suns
- Marvel’s Spider-Man: Miles Morales
- Marvel’s Spider-Man Remastered
- Microsoft Flight Simulator
- Mount & Blade II: Bannerlord
- Need For Speed Unbound
- Perish
- Portal with RTX
- Sackboy: A Big Adventure
- The Witcher 3: Wild Hunt – Game of the Year Edition
- Warhammer 40,000: Darktide
- WRC Generations
- Black Myth: Wukong
- Chernobylite
- Diablo IV
- Icarus
- Marauders
- Midnight Ghost Hunt
- Naraka: Bladepoint
- Ripout
- STALKER 2: Heart of Chornobyl
- Scathe
- Super People 2 (available now in early access)
- Sword and Fairy 7
- Synced
- The Cycle: Frontier
- The Day Before
- The Finals
- The Lord of the Rings: Gollum
- Throne and Liberty
- Tower of Fantasy
- Warhaven
- Witchfire
2023年3月時点、上記の50タイトルがDLSS 3.0に対応する予定です。
RTX 4070 TiとRTX 3080のクリエイティブ性能比較
GPU | RTX 4070 Ti | RTX 3080 |
---|---|---|
シェーダー数CPUのコア数に相当 | 7680 | 8704 |
ブーストクロック | 2610 MHz | 1710 MHz |
VRAM | GDDR6X 12 GB | GDDR6X 10 GB |
理論性能(FP32) | 40.09 TFLOPS | 29.77 TFLOPS |
グラフィックボードのクリエイティブ性能は基本的に、シェーダー数とクロック数から計算できる理論性能(FP32)に比例して高くなる傾向があります。
よって、より多いシェーダー数を備えるRTX 4070 Tiの方が有利な結果になるはずですが、実際にいくつか試して確認しましょう。
GPUレンダリング(Blender)

GPUレンダリングの定番ベンチマーク「Blender 3.5.0」では、RTX 4070 TiがRTX 3080より約38%も高性能でした。
シェーダー数から計算できる理論性能(FP32)とほぼ比例します。

スコアの内訳(Monster / Junkshop / Classroom)はそれぞれ以上のとおりです。すべてのテスト内容でRTX 4070 Tiが高い性能を出せています。
画像のAIアップスケーリング
AI(機械学習)を用いた画像のアップスケーリングをテストします。シェアウェアだとTopaz Gigapixel AIが有名ですが、今回は無料で使える「RealESRGAN x4」を使って、画像の4倍超解像を試しました。

512 x 512 pxの4倍アップスケーリングは1枚あたり3.5秒です。処理時間が17%短縮され、性能差は約1.2倍です。

1400 x 1000 pxの4倍アップスケーリングは1枚あたり14秒です。処理時間はわずか0.3秒で、ほとんど僅差にとどまります。

2048 x 2048 pxの4倍アップスケーリングは1枚あたり36.2秒で、なぜか性能差がほとんど出ません。
AIイラスト(Stable Diffusion)
AIイラストの定番ソフト「Stable Diffusion(AUTOMATIC1111 web ui版)」を使って、AIイラストの生成時間を比較します。
使用するベンチマーク内容は以下のガイド記事より3点です。
- ハローアスカベンチ(512 x 512)
- 神里綾華(LoRA + ControlNet)ベンチ(512 x 768)
- 神里綾華(LoRA + Latent x2.0)ベンチ(1024 x 1536)
生成時間が短いほど高性能です。

ハローアスカベンチ(10枚分)の生成時間は、RTX 4070 Tiが16.9秒、RTX 3080が24.5秒でした。RTX 4070 Tiが約31%も速いです。

神里綾華(LoRA + ControlNet)ベンチの生成時間は、RTX 4070 Tiが30.4秒、RTX 3080が43.7秒でした。ハローアスカと同じく、RTX 4070 Tiが約30%も高速です。

神里綾華(LoRA + Latent x2.0)ベンチではやや性能差が縮小しますが、それでもRTX 4070 Tiが約24%も高速でした。

機械学習(Tensor Flow 2)

AnacondaプロンプトでTensor Flow 2をロードして、kerasパッケージの「手書き文字の識別トレーニング(MNIST)」を実行します。25 epochの学習にかかった時間が速いほど高性能です。
RTX 4070 Tiは10.1秒で学習を終え、RTX 3080は14秒も必要でした。処理時間の差は約1.39倍に達し、おおむね理論性能(FP32)に比例した性能です。
動画編集(PremiereとDavinci)
Puget Systemsのベンチマークプリセットを使って、動画編集の定番ソフト「Adobe Premiere Pro」と「Davinci Resolve Studio」のGPU性能をテストします。
テストに使用される動画素材は基本的に4K解像度以上で、割りと負荷の重たいワークロードです。

Premiere ProのGPUスコアは、RTX 4070 TiとRTX 3080でほとんど差がつかないです。

一方で、素材のプレビュー性能(Live Playback)はRTX 4070 Tiが1割ほど速いです。

Davinci Resolve StudioのGPUエフェクト性能は、残念ながら僅差です。両者でほとんど差がつかないです。

動画エンコード(NVEncなど)
世代 | RTX 4070 Ti (Ada Lovelace世代) | RTX 3080 (Ampere世代) |
---|---|---|
NVEncエンコーダー | 第8世代(デュアル) | 第7世代 |
NVEncデコーダー | 第5世代 | 第5世代 |
AV1エンコード | 対応 | – |
AV1デコード | 対応 | 対応 |
RTX 4070 Ti(Ada Lovelace世代)は従来のGeForceシリーズから改善されたデュアルエンコーダー搭載GPUです。
第8世代NVEncエンコーダーを2基(デュアル)搭載して、従来モデルより高速な動画エンコード性能と、少ないビットレートで高画質な「AV1エンコード」に対応します。
では、rigayaさん作のAviutl拡張プラグイン「NVEnc 7.21」を使って、RTX 4070 Tiの動画エンコード性能を検証しましょう。
テスト内容は1分30秒ほどのフルHD動画(原神のプレイ動画)を、VBR形式(ビットレート9000 kbpsでBフレーム挿入あり)でエンコードするのみ。ログに記録される処理速度(fps)で性能を比較します。

RTX 4070 Tiの動画エンコード性能は圧倒的に優れています。HEVC形式で約1.8倍、x264形式で約1.7倍もエンコードが速いです。
肝心のAV1エンコードだとなんと平均315 fpsを叩き出し、HEVCやx264よりも爆速でした。

もちろん、エンコード品質(VMAFスコア)も優秀です。
HEVCとx264形式は従来世代とほぼ同じ画質ですが、AV1形式はHEVCを上回る画質です。HEVCとの差が小さいものの、エンコード性能が約1.7倍も違います。

ゲーム開発(Unreal Engine 5)
無料で使えるゲーム開発ソフト「Unreal Engine 5.1.1」のプレビュー性能をテストします。
無料で配布されている「City Sample(The Matrix Awakens)」から「Small_City_LVL」を読み込み、既定のルートを1周してフレームレートを測定します。
「Big_City_LVL」だとPCスペックのメモリ容量が不足して動作が不安定だったため、メモリ容量32 GBでもなんとか動作するSmall版をテストしました。

RTX 4070 Tiは平均60.8 fps、RTX 3080は平均40 fpsで、約1.5倍の性能差です。
開発中のプレビュー性能がどれほど重要かどうかは筆者には分からないですが、スムーズに動いた方が動作検証をしやすいと思われます。
ゲーム実況配信(OBS Studio)

ゲーム配信で定番のソフト「OBS Studio」を使って、RTX 4070 Tiのゲーム配信性能を比較します。
フォートナイトのベンチマークモードを録画配信して、平均フレームレートやコマ落ち(ドロップフレーム率)を比較した結果がこちら↓
RTX 4070 Tiで動画配信 | |||
---|---|---|---|
設定 | 平均fps | 性能低下 | コマ落ち |
フルHD(H264) | 237.4 fps | -10.0% | 0.0% |
フルHD(AV1) | 235.7 fps | -10.6% | 0.1% |
4K(H264) | 96.8 fps | -14.5% | 0.0% |
4K(AV1) | 95.8 fps | -15.4% | 0.1% |
※フルHDはP4:Medium / VBR:9000 kbpsで、4KはP4:Medium / VBR:16000 kbpsでテスト
フルHDの場合、配信をしていない場合と比較して約10%の性能低下で、コマ落ちはほぼゼロで安定しています。
4Kだと約15%の性能低下ですが、ほとんどコマ落ちせず非常に安定した4Kゲーム配信が可能です。
RTX 3080 10GBで動画配信 | |||
---|---|---|---|
設定 | 平均fps | 性能低下 | コマ落ち |
フルHD(H264) | 209.5 fps | -9.1% | 0.3% |
フルHD(AV1) | – | – | – |
4K(H264) | 86.1 fps | -12.5% | 94.9% |
4K(AV1) | – | – | – |
一方でRTX 3080はフルHDだと問題なく配信ができるものの、4Kだと一気にコマ落ちが激増して不安定に。何をしているのかほとんど分からない配信画面です。
オーバーウォッチ2を4K解像度でリプレイモード中に録画して、AV1とH264で画質を比較しました。
画質の差が分かりやすいように、ビットレートを9000 kbps(フルHD換算で2250 kbps)まで下げている影響はありますが、AV1の方がはるかに高画質だと分かるはずです。

RTX 4070 TiとRTX 3080の消費電力を比較

電力ロガー機能のついた電源ユニットを2台使って、CPUとマザーボードに電力供給を分割します。
テスト環境 | ||
---|---|---|
![]() | 850 W(80+ Platnium)使用モデル「Corsair HX850i」 | |
![]() | 850 W(80+ Gold)使用モデル「Toughpower iRGB PLUS」 |
システム全体を担当する電源ユニットから、+12Vレールの消費電力を見るとグラフィックボード単体の消費電力とほぼ一致します。
上記の接続方法だと、+12Vレールは基本的にグラフィックボード(6+2 pinとPCIeスロット)で使用されるため、CPUを取り除いておけば自ずとグラフィックボード単品の消費電力を抽出可能です。
ただし、電源ユニットの電力ロガーセンサーは刻み値が粗いです。変動幅が小さくなりがちな、低負荷時(低設定のフルHDなど)の精度はやや悪いです。
GPU単体の測定値を見るのではなく、他と比較して相対的に見るべきです。
誤:Aは平均200 Wらしい- 正:AはBと比較して50 W少ないらしい
これくらいのニュアンスでデータを見てくれると助かります。

今回から特定のゲームをプレイ中の消費電力ではなく、テストした16個のゲームタイトルから平均消費電力を求めます。

タルコフやMSFSなど、CPUボトルネックの影響でGPU使用率が上がりにくいタイトルが含まれているため、RTX 4070 TiのフルHD消費電力は平均166 Wとかなり低く出ます。
WQHDで平均212 Wに上昇し、4Kで平均238 Wの消費電力です。フルHD~4Kで平均300 W前後を消費するRTX 3080から飛躍的にワットパフォーマンスが改善されています。

消費電力1ワットあたりの平均フレームレートを計算したグラフです。
RTX 4070 TiはフルHDで約1.9倍、WQHDで約1.4倍、4Kも同じく約1.4倍ものワッパ改善です。さすがTSMC 4N(TSMC 5 nm)プロセスです。
1世代前のSamsung 8 nm(10 nm)プロセスとは出来が違います。
高負荷時のGPU温度は?

GPU使用率が100%に達する「3DMark Speed Way」を10分連続で動かして、RTX 4070 TiのGPUコア温度を測定したグラフです(テスト時の気温は25℃前後)。
RTX 4070 Tiは10分を通して平均62.3℃(ピーク65℃)に対し、RTX 3080は平均70.9℃(ピーク72℃)でした。消費電力が少ない分、そのまま発熱の少なさにつながります。
騒音を10分テスト(動作音はうるさい?)

デジタル騒音メーターを距離50 cmに置いて、騒音値を測定しました。
RTX 4070 Ti(PNY製)は冷えている割に、ファンの回転数がゆるゆると大人しく(1000 rpm前後)、非常に静かな動作音です。10分を通して平均33.9 dBしか音が出ません。
一方、RTX 3080(MSI製)は冷えない割にファンがよく回転して、10分を通して平均39 dBでややうるさいです。

まとめ:多少高くてもRTX 4070 Tiがいい
これから新品で買うなら「RTX 4070 Ti」が強い

ゲーム性能だけで比較するとRTX 3080より若干コスパで劣るものの、消費電力と熱の少なさやクリエイティブ性能も含む「総合力」はやはりRTX 4070 Tiが上手です。
ただし、性能が良すぎてフルHDだとCPUボトルネックが出やすいです。フルHDでがっつりフレームレートを稼ぎたい方はCore i5 13600K以上のCPUと組み合わせたいです。

セール特価品なら「RTX 3080」もアリかも

通常の新品価格(約10万円)で、RTX 3080を今から買うメリットはかなり少ないです。消費電力が高く、熱も多いせいで動作音も大きい傾向があります。
ゲーム性能は今でも優秀な部類とはいえ、クリエイティブ性能は一段と低いです。高画質で高速なAV1エンコードも非対応で、fpsを爆増させるDLSS 3も使えません。
将来性があまり無いです。在庫処分セールなどで7~8万円台なら検討してみてはどうでしょうか。
RTX 4070 Tiを単品で買う
ぶなんにおすすめな単品モデルが「玄人志向」です。ほぼ最安値に近い価格で、3年保証が付いてきます。3.5スロットの分厚い設計で冷却性能も十分です。
少々値は張りますが、今回レビューで使った「PNY XLR8 Gaming」もおすすめ。とにかく静かによく冷えます。こちらも3年保証付きです。
RTX 4070 Ti搭載ゲーミングPCを買う
手っ取り早く「完成品」が必要な方は、BTOメーカーのゲーミングPCを推奨します。
ゲーミングPC | 主なスペックと価格 2023年4月時点のスペック |
---|---|
![]() ![]() 「G-GEAR GA7J」 |
|
![]() ![]() 「raytrek 4CXFi」 |
|
![]() ![]() 「PG-Pi417D5」 |
|
RTX 4070 Ti搭載モデルの場合、できればCPUにCore i5 13600K以上、またはRyzen 7 7700以上が欲しいです。
ただし、Ryzen 7 7700搭載モデルはコスパが良くないので要注意。ゲーム最強CPUのRyzen 7 7800X3Dも、得られる性能差の割に価格が高すぎるため、現時点ではCore i5 13600K~i7 13700Kが無難な選び方でしょう。
以上「RTX 4070 TiとRTX 3080どっちがいい?【実際にベンチマーク性能比較】」でした。
RTX 4070 Tiを運用できる電源ユニット
容量650~750 Wの電源ユニットで十分です。RTX 4070 Tiに最大負荷をかけても、300 W未満の消費電力に過ぎません。850~1000 Wクラスだと予算がややもったいないです。
容量よりも質を重視して選ぶといいでしょう。「XPG Core Reactor」や「Corsair RM750」が現在のおすすめコスパ電源です。
グラフィックボードのレビュー記事
いくらグラボ単体のコスパが良くてもグラボだけじゃpcは動かないしcpuとか電源も考えたらrtx4070ti選んだ方がコスパは良さそう?
3080買ったユーザーだとなかなか4000シリーズは値段とのバランスがいいグラボがないんですよね…
WQHD144fpsのディスプレイだと大抵のゲームは十分
5000シリーズが過去最大の性能上昇、AI性能強化と言われているしまあ次の世代でいいかなって感じ
最近はLora学習が主流になったおかげでvram10GBで困ってないし(90%以上は使うのでわりとギリギリですが)、生成速度も十分なのでしばらくは問題なさそうかな
RTX 3060 Ti / RTX 3070 / RTX 3080あたりがホントに強いですよね。当時は今より30円も円高だった、という事情もありますが、今でも(消費電力を除けば)優秀なグラボに感じます。
この結果を見ると、4070の10万円は渋いかな?
8万円台以下が妥当なレベルな気がする。
タルコフの言うβは「将来的に実装しようと思っている要素をまだすべて出し切っていない」という意味合いのβで、他の一般的なオンラインタイトルでいえばとっくに正式版みたいなものだと思う。
こういっちゃなんだが記事のタイミングが悪すぎる。なんで4070の発売日に4070tiと3080の比較記事何ですか…。(批判してるわけじゃないです)
4070がまさに3080と同価格なのでどちらを買うか悩む人はいるかもだけど4070がでたことで4070tiと3080を悩む人はもういないと思います。ただ4070tiと3080tiで悩む人はいると思います。
RTX 4070はさっき届いたので、これから各種ベンチを始めます。AIイラスト生成どれくらい速いのかな・・・楽しみです。
RTX 4070 Tiのタイミングが変なのはそうですが、発売当時の値段が高すぎて買う気が起こらず、値下がりを待っていたら時期をすでに逃していた事情が。
4070tiの性能って3090tiに匹敵するのでは?
3080tiと悩むというのは価格でしょうか
3080tiは4kなら4070tiと戦えると思ってたけど今確認したら違ったんで3080tiの話は忘れてください。
実質11万の根拠がないな、相変わらずの表記・・・
PNYの販売ページリンク切れしてるし
たしかに説明不足でした。該当の部分に、解説と実例を追記しました。
現時点で、レビューで使ったPNY XLR8モデルが実質11.7万円から、3年保証で安いGALAKURO(黒)が実質10.9万円(108681円)です。ヤフショの「Joshin Web」に限っていえば、楽天より安くなりますね。
VRchatで3080に負けるタイミングがあったのはメモリバス幅・帯域幅の差が出たんじゃないかな
それでも人が集まると3080(10)より4080(偽)の方が有利だとは思う
レビューお疲れ様です
けど4070tiなら比較対象は3080tiなのでは
3080だと4070が本命かと
激しく同意。
実はRTX 3080 Tiを・・・、持ってないんです。
発売当時、まさかの17万円~からで手を出せず、そのまま時間が経過していました。
FPS制限解除した原神楽しいですね
4Kでも細部1.0なら3080でも結構動きますね
> RTX 3080(MSI製)は冷えない割にファンがよく回転して、10分を通して平均39 dBでややうるさいです。
MSI、ボードメーカーとしてはかなりいい加減なボッタクリ商売をしつづけている印象。ネームバリューにあぐらをかいてるのもそうだけど、4090発売直後に1週間だけ格安セールをやってレビュー対策をしまくった後、一気に値上げしたという消費者を舐め腐った商法も忘れられない。MSI買うくらいなら、GIGABYTEの方がよほど優良製品を設計してくれている気がするけど、いかんせん代理店のやる気のなさがなあ・・・。
AV1エンコード機能って配信以外で使う場面ってない気がするんですよね
DLSS3やワッパ改善はいいんですが、いかんせん4000シリーズは中途半端なスペック感は否めない。
できれば
90番台ハイエンド(4K100数十Hz対応可能)
15〜20万
80番台ハイエンド(4K60Hz、フルHD240Hz対応可能)
9〜13万
70番台ミドルハイ(フルHD100数十Hz対応可能)
6〜8万
60番台ミドル(フルHD60Hz対応可能)
5万前後
50番台ミドルロー(画質設定次第で60Hz対応可能)
3万前後
30番台(一般作業用、軽負荷ゲーム可能)
1万前後ぐらいで分けて欲しい。
※60番以降はAAAクラスのゲームを最高画質でプレイしての値と考える。
原神はunlockfpsでの結果ですよね?
ウチのTUFOC3080だとスメールシティーでも、画質最高設定+Geforceのフィルタありで100fps、Geforceのフィルタなしだと120fps出るんですが(勿論4K)
何かおかしくないですか?(CPUは12700K)
70fpsとか、あの超絶クソ重い華清帰蔵密宮(入口)でも80fps(フィルタあり)くらいは出ますよ
3070と2080の関係とほぼ同一ですね
Geforceの型番って前世代の1ランク上を少し超える程度に設定してるのかな
値段も順調に上がってますけど・・・
12GBのメモリは今後の事も考える(バイオとか平気で12GB使うから)と少ないよね、16GBは欲しかった。 結局4080以上(4080でもその内厳しくなる)じゃないと思うようなスペックで遊べなくなるのか・・・
ちょっと調べてきたのだけど、YouTubeとかで自作系の動画を見てると、4K60FPSに対する実使用感をコメントしてくれているものがありますね。それによると
・4K60FPSは動画編集する分には問題ない
・4K60FPSでゲームすると、大きな動きがあったときに画面の端の方で遅延が出て違和感がある
だそうです。もちろん、この辺の感じ方は人それぞれだと思いますが、4070Tiで4Kを考えていらっしゃる方は、そういった「実際に使った人の感想」をちゃんと集めることをお勧めします。10万も出して性能に不満を感じるようでは、気の毒すぎると思いますので。