「GE76 Raider」は、Core i9とRTX 3080 Laptop GPU 16GBを搭載するハイエンドゲーミングノートPCです。4K(120 Hz)ディスプレイを搭載するなど、ハードウェア面も弩級の内容。
そんなモンスター級のマシンを今回、MSIよりお借りしたので詳しくレビューします。
(公開:2021/3/12 | 更新:2021/3/13)
MSI GE76 Raiderのスペックと概要
MSI GE76 Raider型番:GE76-10UH-003JP | ||
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CPU | Core i9 10980HK(8コア) | |
グラボ | RTX 3080 Laptop GPU 16 GB | |
メモリ | 64 GB(DDR4-3200) | |
SSD | 2 TB(NVMe) | |
HDD | なし | |
ドライブ | なし | |
無線LAN | Wi-Fi 6E(BT 5.2) | |
ディスプレイ | 17.3 インチ(4K / 120 Hz) | |
OS | Windows 10 Pro 64bit | |
保証 | 2年間(本体保証) | |
価格税込み | 449799 円 |
GE76-10UH-003JP | |
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CPU | Core i9 10980HK8コア16スレッド / 2.4 ~ 5.3 GHz |
グラボ | GeForce RTX 3080 Laptop GPU 16 GB |
メモリ | DDR4-3200(SODIMM) |
32 GB x2(空きなし) | |
SSD | 2 TB(NVMe) |
HDD | なし |
ドライブ | なし |
無線LAN | Wi-Fi 6E(Bluetooth 5.2) |
画面 | 17.3 インチ3840 x 2160 / 60 ~ 120 Hz / IPSパネル |
インターフェイス |
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カメラ | 207万画素(マイク内蔵) |
バッテリー | 99.9 Whr(4セル / 6250 mAh / リチウムイオン) |
サイズ | 397 x 284 x 25.9 mm |
重量 | 2.9 kg |
OS | Windows 10 Pro 64bit |
保証 |
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付属品 |
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MSI GE76 Raider(GE76-10UH-003JP)は、MSIがハイエンドゲーマーに向けて送る、モンスター級のゲーミングノートPCです。
17.3インチの大きく分厚い筐体に、8コア16スレッドのCore i9 10980 HKと、RTX 3080 Laptop GPU 16 GBを搭載します。ディスプレイは4K(3840 x 2160)で凄まじい画素密度を実現、しかも最大120 Hz対応です。
厚みを生かした独自設計※クリックで画像拡大 | |
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分厚い筐体設計を活用し、Dynaudio製の2.2チャンネル(ステレオ 2ch + サブウーファー 0.2 ch)スピーカーと、Steelseries製のゲーマー向けキーボードも搭載。
単純なPCスペックだけでなく、とてもノートパソコンとは思えない弩級のハードウェア仕様により、MSI GE76 Raiderが一台あれば満足度の高いユーザー体験を得られる狙いです。
モデル別のスペックと価格
GE76-10UH- | 003JP | 002JP |
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CPU | Core i9 10980HK8コア16スレッド / 2.4 ~ 5.3 GHz | |
グラボ | RTX 3080 Laptop GPU 16 GB | RTX 3070 Laptop GPU 8 GB |
メモリ | DDR4-3200 | |
32 GB x2 | 16 GB x2 | |
SSD | 2 TB(NVMe) | 1 TB(NVMe) |
HDD | なし | |
ドライブ | なし | |
無線LAN | Wi-Fi 6E(Bluetooth 5.2) | |
画面 | 17.3 インチ3840 x 2160 / 60 ~ 120 Hz | 17.3 インチ1920 x 1080 / 300 Hz |
価格税込み | 449799 円 | 369800 円 |
GE76 RaiderはMSI公式ストアで2種類のモデルが販売されています。
今回レビューする「003JP」が4K解像度の最大120 Hz対応による没入感に特化したモデル、ひとつ下のモデル「002JP」はフルHDで最大300 Hz対応の超リフレッシュレート特化型モデルです。
前者はディティールに優れた画質重視のゲーマーに、後者はグラフィック設定を多少落としてでもフレームレートをとにかく稼ぎたい、コアなFPSゲーマー向けモデルです。
「GE76-10UH-003JP」をレビューする前に、パッケージと付属品について軽く紹介しておきます。
パッケージングはさすがに厳重です。外箱(茶箱)の中にMSIのドラゴンマークが描かれた内箱(黒箱)が入っていて、本体は布製の袋と分厚い発泡スチロール製の梱包材で徹底的に保護されています。
付属品のACアダプターと電源ケーブルです。巨大なACアダプターの給電能力は最大280 W(20 V / 14 A)です。
GE76 Raiderのデザイン
高級感あるスポーツカーのようなデザイン
一言で表現すると、超ハイエンドなスポーツカー「マクラーレン」のようなデザインです。
GE76 Raiderの天板デザイン※クリックで画像拡大します | ||||
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群青(渋めのウルトラマリン)色に塗装された天板は、アルミニウム合金製でサラサラとした手触り。アルミ製だけあって、爪で軽くつついてみるとコツコツと音が鳴ります。
天板のMSIエンブレムは立体的に彫り込まれていて、ただでさえ高級感ある天板をさらに高級に魅せます(※MSIのドラゴンマークが好みかどうかは置いておくとして・・・)。
画面の開口角度はほぼ130°です。ヒンジ(画面の付け根部分)の硬さは片手でスムーズに動かせます。硬すぎず柔らかすぎず、程よくなめらかです。
MSI GE76 Raiderの重量 | |
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本体重量:2995 g(約3 kg) | アダプタ:1004 g(約1 kg) |
GE76 Raiderの重量は本体が約3 kg、ACアダプタとケーブルが約1 kgで、合計で約4 kgです。
外出先への持ち出しはちょっと厳しい気がしますが、家の中で動かす分には苦労しない重量です。ポータブルハイエンドPC的なイメージ。
GE76 Raiderのインターフェイス
高速転送が可能なUSB 3.2 Gen2多めで良し
- USB 3.2 Gen1 Type-A
- SDカードリーダー(SDXC対応)
- USB 3.2 Gen1 Type-A
右側にUSB 3.2 Gen1(最大5 Gbps)が2ポート、SDカードリーダー(SDXC対応)が1つあります。
- USB 3.2 Gen2 Type-A
- USB 3.2 Gen2x2 Type-C※非対応:Thunderbolt 3 / USB PD / Alt Mode
- オーディオ端子(3.5 mm)
左側はUSB 3.2 Gen2(最大10 Gbps)が1ポート、USB 3.2 Gen2x2 Type-C(最大20 Gbps)が1ポートです。
オーディオ端子は一般的な3.5 mm端子で、イヤホンの出力やマイクの入力、ヘッドセットの入出力が可能です。ハイレゾ出力(最大24 bit / 192 kHz)も対応しています。
なお、ヒンジの近くにある穴は、盗難防止装置と組み合わせて使えるケンジントンロックです。
- Mini DisplayPort
- USB 3.2 Gen2 Type-C(映像出力対応)※非対応:Thunderbolt 3 / USB PD
- LANポート(2.5G LAN)
- HDMI
- ACアダプタ
背面にもインターフェイスがあります。Mini DisplayPortやHDMI、USB Type-Cがあるので、外部モニターと組み合わせてマルチディスプレイ環境が可能です。
Mini DP端子は最大で8K @60 Hzまで、HDMIは最大4K @60 Hzの出力に対応します。
LANポートはKiller E3100Xチップ搭載で、最大2.5 Gbpsの帯域幅で通信が可能です(※2.5 Gbpsを活かすにはWANやLAN側も2.5G以上が必要)。
各IOポートの転送速度 ※クリックで画像拡大 | |
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USB 3.2 Gen2x2ポートは、ポータブルSSD(中身SATA SSD)にて約540 MB/sの転送速度。SDカードリーダーはProGrade製のUHS-IIカードにて、約275 MB/sの転送速度を確認しました。
どちらもテストに使用したストレージの方が性能不足で、ポート側の性能はまだまだ余裕があります。プロクラスのクリエイティブな用途にも耐えられるポート性能です。
Webカメラはディスプレイ上部にあります。スペックは207万画素(1920 x 1080)ですが、画質はあくまでもノートパソコン付属のWebカメラです。
「映ればそれでOK」レベルは満たしてます。
約45万円のノートパソコンをテレワークに使うほどの人なら、テレワーク用のカメラを別に用意していると思うので、大した問題では無いです。
「テレワークではなくゲーム実況?」・・・ゲーム配信者なら、なおさら撮影用のカメラを別に用意している可能性が濃厚です。
GE76 Raiderのキーボード
Steelseries製でパームレストLEDも対応
SteelSeries(ゲーミングデバイスで知られるメーカー)とコラボしたキーボードを採用。日本語配列に対応、テンキー付きです。テンキーとEnterの距離が空いていて慣れやすい配列です。
プリインアプリ「SteelSeries Engine 3」から、キーボードとパームレスト部分のLEDライティングを自由に設定できます。
キーボードのLEDライティングは薄っすらと光ります。画面に反射してゲームを邪魔するほどの明るさにはならないので安心です。
パームレストのLEDライティング ※クリックで画像拡大 | |
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パームレストのLEDライティング設定例です。パームレストの位置ごとに細かく設定できて「凝ってんなぁ・・・」とちょっとビックリ。固定色、グラデーション、イルミネーションなど種類も幅広いです。
もちろん、無点灯(消灯)もできます。
GE76 Raiderの拡張性
容易なメンテナンス性ですが保証が・・・
本体底面はハニカム構造の凹凸が特徴的です。合計13本の小ネジで固定されており、ネジを外してヒンジ側からめくり上げるように引っ張ると、かんたんに開封できます。
太い銅製ヒートパイプとデュアルファンが目立ちます。MSIが「Cooler Boost 5」と呼ぶ、強力な冷却システムです。
CPUとGPUの熱をヒートパイプでファンまで移動させて、強力な薄型ファンでヒンジ側にある2つの排気スリットと側面左右の排気スリットから吹き飛ばす構造です。
高解像度な写真はFlickrにアップしました。細かく見たい人は上記リンクからどうぞ。
GE76 Raiderの拡張性 ※クリックで画像拡大 | |
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M.2スロット:2本(空き1本) | |
メモリスロット:2本(空き0本) | |
WiFiスロット:1本(空き0本) |
拡張性とメンテナンス性は良好です。パーツにアクセスしやすく、増設や交換は簡単。パーツ保護のフィルムも付いています。
ただし、パーツ増設がものすごく簡単で誰にでもできる構造になっているとはいえ、自分で勝手にパーツを増設すると「製品保証の対象外」となります。
2年の製品保証を維持したままパーツを増設したい場合は、MSI公認サポート店または、MSIサポートセンター(https://jp.msi.com/support/nb)まで問い合わせください、とのこと。
保証を受けるときにパーツをもとに戻せば良い。と思ったのですが、残念ながら底面パネルの1箇所に封印シールが貼ってあるので、増設をした時点でバレてしまいます。
GE76 Raiderのディスプレイ
17.3インチ4K(120 Hz)の映像美
17.3インチに4K解像度(3840 x 2160)です。画素密度が凄すぎて、まるでハイエンドスマホのパネルを見ているような感覚に襲われます(※スマホの画素密度はさらに細かいですが)。
ネイティブ4Kだとアイコンが小さすぎて苦しい方は、Windows 10のスケーリング機能を使ってください。4Kのまま「200%」にすると、画素密度はそのままにフルHD相当の画像になります。
色はかなり正確に調整されていて、ゲームやコンテンツ視聴はもちろん、クリエイティブな用途も行けそうです。代表的なメーカーにたとえると、ASUSのゲーマー向けモニターに近いです。
というわけで、GE76 Raiderのパネル品質を測定します。他のブログでもよくある「色域」だけでなく、「色の精度」や「応答速度」まで、詳しく測定したデータを以下にまとめます。
GE76 Raiderのパネル性能パネル型番:B173ZAN03.3 | |||
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均一性 | +2.24 % | +0.43 % | +1.26 % |
-0.16 % | 0 % | -0.99 % | |
-2.39 % | -2.99 % | -1.35 % | |
色の正確さ初期設定(明るさ90%) |
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コントラスト比 | 763.2 : 1 | ||
明るさ |
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色域 |
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応答速度4K @120 Hz | 平均値:5.82 ms | ||
最速値:2.63 ms | |||
最遅値:9.14 ms | |||
明るく:6.31 ms | |||
暗く:5.34 ms | |||
エラー:0% | |||
フリッカーフリー200 kHz以下の検出 |
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応答速度 | 0 | 50 | 100 | 150 | 200 | 255 |
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0 | – | 4.54 ms | 7.65 ms | 9.14 ms | 7.70 ms | 5.26 ms |
50 | 5.90 ms | – | 6.54 ms | 8.00 ms | 7.33 ms | 4.99 ms |
100 | 2.63 ms | 4.57 ms | – | 6.83 ms | 6.72 ms | 4.75 ms |
150 | 3.37 ms | 4.96 ms | 6.14 ms | – | 6.01 ms | 4.57 ms |
200 | 3.74 ms | 5.34 ms | 6.56 ms | 6.67 ms | – | 4.57 ms |
255 | 4.05 ms | 5.49 ms | 6.95 ms | 7.10 ms | 6.65 ms | – |
搭載パネルは台湾AU Optronics社「B173ZAN03.3」です。測定した結果を見ての通り、とても高特性のIPSパネルです。
色の精度はグレー / カラーどちらもΔE = 2.0を大幅に下回っており、ガンマもほぼ完璧に2.2で優秀。やや緑色が強く出ているせいで「寒色系」ですが、人を選ぶほどではありません。
色域もクリエイター向けモニター並に広いです。AdobeRGBが96.7%あれば、仕事レベルの写真編集やDTPもこなせます。
ゲーマーにとって重要な応答速度は、4K @120 Hz時で平均5.82 ミリ秒。120 Hzに必要な応答速度は8.33 ミリ秒ですので、余裕でクリアしています。速いIPSパネルはAU Optronicsの得意分野です。
フリッカーフリーの動作テストも問題なし。画面の明るさ0 ~ 100%すべてで、200 kHz(200000 Hz)以下のフリッカーは検出できません。誰が見てもフリッカーフリーです。
プリインアプリ「MSI Dragon Center」を開きます。General Settings(基本設定)のGPU Switchを「Discrete Graphics Mode」に切り替えて、いったん再起動します。
再起動後、Windows 10のディスプレイの詳細設定から、リフレッシュレートを「120 Hz」に変更してください。
- UFO Test : Ghosting(Blur Busters)
きちんと120 Hzで動作しているかどうか気になる場合は、ウェブサイト「UFO Test Ghosting」にて動作リフレッシュレートを確認してみてください。
GE76 RaiderのCPU性能
Core i9(8コア16スレ)の処理パワー
ベンチマーク | 結果 | 画像※クリックで画像拡大します |
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Cinebench R20シングルスレッド性能 | 468 cbやや速い | |
Cinebench R20マルチスレッド性能 | 3643 cbやや速い | |
Cinebench R23シングルスレッド性能 | 1206 cbやや速い | |
Cinebench R23マルチスレッド性能 | 9152 cbやや速い | |
Blenderレンダリング時間 | 3分55秒やや速い |
レンダリング系の処理はCPUコア数がモノを言います。GE76 RaiderのCPU「Core i9 10980HK」は、8コア16スレッドの圧倒的なパワーで平均以上のレンダリング性能を発揮します。
Cinebench R20(マルチスレッド)
ノートパソコンとしてはぶっちぎりのトップ性能です。
動画エンコード※クリックで画像拡大します | |
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x264(Fast 480p) | x265(MKV 480p) |
平均118.84 fps | 平均47.07 fps |
動画エンコードもマルチスレッド性能がよく効きます。
動画エンコードの処理速度(x264)
ちもろぐで過去レビューしたパソコンと比較しました。Core i9 10980HKは、デスクトップ版のCore i7 10700をわずかに上回るエンコード性能です。
Microsoft Officeの性能 | |
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Edge(ブラウザ) | 9401 |
PowerPoint(プレゼン作成) | 10711 |
Excel(表計算) | 18380 |
Word(文書作成) | 6867 |
総合スコア | 10617 |
PCMark 10 Professional Editionを使って、オフィスワークの代表例「Microsoft Office」の処理速度をチェックします。
総合スコアは10617点。PCMark 10の開発元によると、4500点が快適に感じる目安ですので、10000点を超えているGE76 Raiderのオフィス処理性能は圧倒的です。
Adobe Photoshop CC「写真編集」の性能をベンチマーク | |
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総合スコア | 1023.8 /1000 |
一般処理のスコア | 99.4 /100 |
フィルタ系のスコア | 106.2 /100 |
Photomergeのスコア | 100.7 /100 |
GPUスコア | 114.9 /100 |
マシン | GE76 Raider |
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CPU | Core i9 10980HK |
GPU | RTX 3080 Laptop GPU 16GB |
RAM | 64GB |
総合スコア | 1023.8 |
一般処理のスコア | 99.4 |
フィルタ系のスコア | 106.2 |
Photomergeのスコア | 100.7 |
GPUスコア | 114.9 |
テストの詳細結果 | |
RAW画像の展開 | 3.92 |
500MBへのリサイズ | 1.28 |
回転 | 1 |
自動選択 | 10 |
マスク | 2.68 |
バケツ | 1.42 |
グラデーション | 0.42 |
塗りつぶし | 10.21 |
PSD保存 | 6.31 |
PSD展開 | 2.42 |
Camera Raw フィルタ | 5.22 |
レンズ補正フィルター | 24.96 |
ノイズ除去 | 18.6 |
スマートシャーペン | 17.73 |
フィールドぼかし | 12.9 |
チルトシフトぼかし | 11.88 |
虹彩絞りぼかし | 13.16 |
広角補正フィルター | 17.52 |
ゆがみツール(Liquify) | 6.61 |
Photomerge(2200万画素) | 77 |
Photomerge(4500万画素) | 108.13 |
※「Puget Systems Adobe Photoshop CC Benchmark」を使用しました。
写真編集は「Photoshop CC」で処理速度をテスト。Puget Systems社が配布しているベンチマーク用のバッチファイル※を使い、実際にPhotoshopを動かして性能をスコア化します。
総合スコアは1000点満点で、GE76 Raiderの結果は「1023.8」です。8コア16スレッド、VRAM容量16 GBのRTX 3080、容量64 GBのメモリ容量のおかげでデスクトップPC顔負けのPhotoshop性能を発揮します。
PCMark 10の「Video Conference(ビデオ会議)」モードを使って、ビデオチャットの快適さをテストしました。
PCMark 10でテスト | |
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総合スコア | 77775000点以上ならOK |
ビデオチャットの快適度 | 29.91 /30.00 fps |
結果は7777点で、5000点以上を余裕でクリア。複数人とビデオチャットを同時に行った場合の、映像のスムーズさ(フレームレート)はほぼ30 fpsで、上限の30 fpsに迫ります。ビデオ通話は余裕で動きます。
GE76 Raiderのゲーム性能
RTX 3080 Laptop GPU 16GB = RTX 3070(?)
MSI GE76 Raider(Core i9 10980HK + RTX 3080 Laptop GPU 16 GB)のゲーミング性能を詳しく検証します。
- 定番ベンチマークだけでなく
- 実際のゲームプレイで実測検証もする
直感的に性能が分かりやすいように、実際にゲームを動かしてどれくらいの平均フレームレートを出せるのかをチェックします。ベンチマークのスコアより、平均fpsの方がずっと重要です。
定番ベンチマーク
「RTX 3080 Laptop GPU 16 GB」の性能は、単純比較だとデスクトップ版のRTX 3070とほとんど同じです。
スペック的にRTX 3080 Laptop GPU 16 GBの方が格上にも関わらず、デスクトップ版RTX 3070と同じ性能に落ち着く理由は消費電力で説明ができます。
RTX 3070はノートパソコンのように筐体の制約がないため、軽く200 W以上で動作します。一方、MSI GE76 Raiderに搭載されたRTX 3080 Laptop GPU 16 GBは・・・せいぜい150 Wが限界でした。
言い方を変えればRTX 3080 Laptop GPU 16 GBは、RTX 3070より2~3割も少ない消費電力で同等の性能を叩き出します。
ゲーム性能を比較:3DMark FireStrike
ちもろぐで過去にレビューしたゲーミングPCと、3DMark FireStrikeのGPUスコア(ゲーム性能の目安)を比較します。
ノートパソコンでありながら、MSI GE76 RaiderはハイエンドなデスクトップPCに匹敵するゲーミング性能です。ゲーミングノートPCとしては、おそらく最高峰に位置する性能です。
【1920 x 1080】フルHDゲーミングの性能
ゲーム内のグラフィック設定をなるべく「最高」にして、MSI Afterburnerを使ってフレームレートを記録します。そして記録から平均フレームレートを計算して、以下グラフにまとめました。
「フルHD(1920 x 1080)」は余裕です。流行りのFPSゲームは平均198 fpsで、ほぼ200 Hz近い性能です。120 Hzのリフレッシュレートをしっかり活かせます。
Cyberpunk 2077やWatch Dogs Legionに代表される重量級ゲームも、平均60 fpsは問題なくクリアです。
【2560 x 1440】WQHDゲーミングの性能
フルHDより約1.8倍も重たい「WQHD(2560 x 1440)」は、FPSゲームなら平均120 fps前後は何とか動きます。
重量級ゲームはCyberpunk 2077を除いて、平均60 fps台です。120 Hzのリフレッシュレートを活かすなら、設定の妥協がやや必要です。
【3840 x 2160】4Kゲーミングの性能
フルHDの4倍重たい「4K(3840 x 2160)」ゲーミングは、さすがに重たいです。FPSゲームですら平均60 fps台がやっとで、120 Hzを活かすには設定を下げざるを得ないです。
重量級ゲームは軒並み60 fps未満です。ARK、Cyberpunk 2077、モンハンワールドなどなど。設定を落とさないと60 fps動作は厳しいです。
GE76 Raiderストレージ性能
超高速で大容量なNVMe SSDを搭載
GE76 Raiderの標準ストレージは、「003JP」モデルが容量2 TBのNVMe SSDで、下位の「002JP」は容量1 TBのNVMe SSDです。今回は「003JP」ですので容量2 TBが最初から入っています。
ストレージ | 詳細 | ベンチマーク |
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SSD |
標準搭載のSSDは、Western Digital社がデータセンター向けにラインナップしている「CL SN720 NVMe SSD(型番:SDAQNTX-2T00)」です。
中身的にはSanDisk製のNVMe SSDと言っても良い製品で、データシート※によると2 TBモデルの耐久評価は驚異の1600 TBWです。耐久性と信頼性ともに一切問題はありません。
ベンチマークは読み込みが約3480 MB/sでとても高速、書き込みも約2750 MB/sとかなり速く、ゲーム用途からクリエイティブ用途まで対応できる性能です。
※Western Digital CL SN720 NVMe SSD for Data Centers Product Brief より
GE76 Raiderの温度と騒音
よく冷えますが、音はうるさいです
電源モード「最も高いパフォーマンス」、冷却システムは初期設定のまま、GE76 Raiderの冷却性能をテストしました。
CPU温度は負荷のかけ方によって温度がかなり変わります。CPU使用率100%のレンダリングだと、処理中はずっと95~96℃で相当に熱い状態がつづきます。
ゲーミングでは冷却が効き始める最初だけ一瞬90℃を超え、ファンが回り出した後は70℃前後です。
ノートパソコン内部の極めて限られた空間で、平均150 W前後の消費電力で動作する「RTX 3080 Laptop GPU 16 GB」を80℃台まで抑え込みます。
GE76 Raiderの動作音デジタル騒音ロガーで測定 | ||
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32.6 dBアイドル(何もしていない) | 35.5 dB軽い作業(オフィスやネット) | 43.2 dBゲーミング(3840 x 2160) |
動作音はファンの風切り音が甲高いため、測定された騒音値よりも大きく聞こえる印象があります。
アイドル時はほぼ無音に近い動作音で、ChromeでYoutubeを見たり、Officeで作業をすると少しだけファンが回っています。ゲーミング時は例外なく40 dB超えで、お世辞にも静かとは言えないです。
動作音の比較(ゲーム中)
騒音値(dBA) | 評価 | 目安 |
---|---|---|
30 ~ 32.49 | 極めて静か | 耳を近づければ聞こえるレベル |
32.5 ~ 34.9 | 静か | ファンが回っているのが分かる |
35 ~ 39.9 | やや静か | 扇風機を「小」で回したくらい |
40 ~ 42.49 | 普通 | エアコンよりは静かな音 |
42.5 ~ 44.99 | やや騒音 | エアコンの動作音に近い |
45 ~ 50 | 騒がしい | 扇風機を「中~大」で回した音 |
50 ~ | うるさい・・・ | 換気扇を全力で回した音 |
参考までに、過去レビューしたBTOパソコンとの比較データを掲載します。以前レビューしたゲーミングノート「Legion Y540」と比較すると、GE76 Raiderはだいぶ静かな部類です。
それでも静かとは言いづらいものの、相対的に見るとGE76 Raiderの冷却システム「Cooler Boost 5」はかなり優秀です。
CPUとグラボを合わせて200 W超えの消費電力に達するGE76 Raiderですが、キーボードの表面温度は割と普通です。キーボード表面で45~48℃、リストレスト部分は30℃台です。
熱気の大部分はヒンジ側にあるスリットから後方へと放出され、左右のスリットの放熱は少なめです。冷却性能を維持するため、後方と左右のスペースは余裕を持って確保してください。
「MSI GE76 Raider」レビューまとめ
- 群青色の高級感あるデザイン
- パワフルなCPU性能
- ノートパソコンで最高のゲーム性能
- 4K @120 Hz対応かつ高速応答
- 普通に使える日本語キーボード
- 合計200 W超に対応する冷却性能
- 2.5G LANやWi-Fi 6Eに対応
- 自由度の高いLEDライティング
- 優れたメンテナンス性
- 少なくとも妥当な価格設定
- 2年の製品保証
- 勝手なパーツ増設は保証対象外
- ゲーム中の動作音はうるさい
- 携帯性はいまいち(※当たり前)
- Webカメラの画質はおまけ
約45万円のモンスター級ゲーミングノート「GE76 Raider」は、おおむね価格相応のパフォーマンスとクオリティです。値段が分かるパーツだけでも、およそ31~33万円ですので、消費税込みで45万円は理解できます。
搭載GPU「RTX 3080 Laptop GPU 16 GB」はモバイル向け最高峰で、4K @120 Hzディスプレイは普通のデスクトップ向けですら稀。さらにGE76 Raiderのパネル品質は驚くほど高特性な結果でした。
誰にでもおすすめな製品ではないものの、ウルトラハイエンドなゲーミングノートPCを探している人に、「GE76 Raiderは魅力的な候補ですよ」とアドバイスしたくなるノートパソコンです。
以上「MSI GR76 Raiderレビュー:RTX 3080 16GB搭載の弩級ゲーミングノート」でした。
レビュー機の購入はこちら
今回レビューに使用したGE76 Raiderは、MSIストア限定販売の「GE76-10UH-003JP」です。
Core i9 10980HK + RTX 3080 Laptop GPU 16 GBの組み合わせに、64 GBメモリと容量2 TBのNVMe SSD搭載で余裕の足回り。ディスプレイはAUO製の高速IPSパネルで、4K(120 Hz)対応です。
下位モデルはGPUがRTX 3070 Laptop GPU 8 GBに下がり、メモリは32 GB、NVMe SSDは容量1 TBです。ディスプレイは4KではなくフルHD(300 Hz)で、FPSゲーマー向けの仕様です。
3月25日には「GE76-10UG-458JP」が発売予定。メソポタミア神話の神様「ティアマト」をモチーフにした、彫刻チックな細かい意匠が施された天板がとても特徴的です。
スペックは基本的に「002JP」と同じですが、CPUはCore i9からCore i7 10870H(8コア16スレッド / 最大5.0 GHz)にダウングレードされています。その代わり、価格は税込みで約28万円に抑えられ、コスパ優秀です。
17.4インチの4K=255dpi
96dpiに近いインチじゃないと見づらいだけとか目そんなに良いのかとか思ってたけど、要はAAしなくても綺麗に見えるよってことでいいのかな?
未だにちゃんと理解してなくて…
4Kでも快適に動くから問題ないよってことでは