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「Noctua NH-U12A」をレビュー:最強の120 mm空冷クーラーが君臨

オーストリアの名門メーカー「Noctua」が、約6年ぶりに120 mm中型空冷クーラーの最新モデル(第5世代)である「NH-U12A」を解禁した。

コンパクトな120 mm口径でありながら、140 mm大型空冷と互角レベルの冷却性能を発揮すると言うが、果たして本当にそうなのか。実際にNH-U12Aを検証レビューする。

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「NH-U12A」のスペックと仕様

Noctua / ソケット : LGA 115X・2011・Socket AM4 / ファン : 120 mm x2 / 全高 : 158 mm / 備考:価格の60%は冷却ファンで占めます
「Noctua NH-U12A」
寸法横幅125 mm
奥行き112 mm
高さ158 mm
ヒートパイプ口径6 mm
本数7 本
ヒートシンクフィン厚0.5 mm
フィン数50 枚
構造シングルタワー
重量738 g
オフセット特になし
対応ソケットIntelLGA 775
LGA 115x
LGA 2011(v3)
LGA 2066
AMDSocket AM2
Socket AM3
Socket AM4
Socket FM1
Socket FM2
標準ファンNF-A12x25 PWM寸法120 x 120 x 25 mm
回転数450 ~ 2000 rpm(±10%)
騒音値22.6 dBA
風量102.1 m³/h
静圧2.34 mmH2O
コネクタ4 pin(PWM制御対応)
MTTF150000 時間
重量1220 g
保証6年間
参考価格15098 円

「NH-U12A」はNoctua社の最新世代の120 mm空冷クーラーです。先代の「NH-U12S」と比較して、6 mm径のヒートパイプが5本から7本に、ヒートシンクは奥行きが13 mmも大型化しました。

標準の付属ファンにも変更が入り、以前は「NF-F12 PWM」が付属していましたが、NH-U12AにはNoctua製の最上位ファン「NF-A12x25 PWM」が2つも付属するという贅沢すぎる仕様に化けています。

一方で販売価格は値上がりした。NH-U12Sが58ドルに対して、NH-U12Aは99.9ドルです。ヒートシンク本体の大幅な強化や、付属ファンの変更によって、価格は手頃とはいえないレベルに。

日本国内では約12000~15000円で販売されているため、NH-U12Aは小柄な120 mmとはいえ、十分にハイエンドCPUクーラーの仲間に入る製品です。では実際にNH-U12Aを見ていく。

NH-U12Aを開封レビュー

パッケージングと付属品

Noctua NH-U12Aのパッケージ

ベージュ基調の落ち着いた色合いに白フォントを入れる、Noctuaらしいパッケージングです。付属品が多いので120 mmクーラーの梱包にしては、やや大きいですね。

Noctua NH-U12Aのパッケージ

側面にNH-U12Aのスペック表が掲載されています。付属ファンの性能や、NH-U12Aの寸法、そして付属品の内容など。一通り書いてありました。

Noctua NH-U12Aのパッケージ

反対側にはNH-U12Aが従来製品と比較して何が強化されたのか、特徴的なアピールポイントなどについて記載されている。シンプルなデザインで高級感はなかなかのものです。

Noctua NH-U12Aの代理店保証は2年

パッケージには保証書として機能するステッカーが貼ってあり、見てみると販売代理店はサイズ社です。代理店保証は2年あり、更に製造元の保証が6年あるので十分でしょう。

Noctua NH-U12Aの付属品

開封すると、NH-U12A本体と付属品ボックスが登場。本体はファン取り付け済みで、ダンボール製のスペーサーに収められています。

Noctua NH-U12Aの付属品

付属品ボックスの中身は、インテル用の取り付けセットやAMD用取り付けセットの他に、Noctuaらしい様々なアクセサリー類が入っている。かなり多いので、順番に紹介します。

「NH-U12A」の付属品まとめ※画像はクリックで拡大
ヒートシンク本体Noctua NH-U12A(ヒートシンク)
120 mmファン(2個)Noctua NF-A12x25 PWM x2Noctua NH-U12A(付属ファン)
Intel用バックプレート使用 : Intel用ソケットNoctua NH-U12Aの付属品
Intel用マウンティングプレート使用 : Intel用ソケットNoctua NH-U12Aの付属品
スペーサー(NM-IPS1)使用 : LGA 115xNoctua NH-U12Aの付属品
つまみネジ(NM-ITS1)使用 : LGA 115xNoctua NH-U12Aの付属品
ボルト(NM-IBT2)使用 : LGA 2011 / 2066Noctua NH-U12Aの付属品
AMD用マウンティングプレート使用 : AMD用ソケットNoctua NH-U12Aの付属品
スペーサー(NM-APS4)使用 : Socket AM4Noctua NH-U12Aの付属品
スペーサー(NM-APS5)使用 : Socket AM2~3 / FM1~2Noctua NH-U12Aの付属品
長ネジ(NM-ALS1)使用 : AMD用ソケットNoctua NH-U12Aの付属品
プラスドライバーNoctua NH-U12Aの付属品
グリス(NT-H1)性能は非常に優秀Noctua NH-U12Aの付属グリス
低騒音コネクタファンの回転数を1700 rpmに制限Noctua NH-U12Aの付属品
Y字コネクタ2つのファンを1コネクタにNoctua NH-U12Aの付属品
アルミステッカー厚みのあるかわいいステッカーNoctua NH-U12Aの付属ステッカー
説明書3種類 : LGA 115x / LGA 20xx / AMDNoctua NH-U12Aの説明書

取り付け方法は3種類用意されています。説明書も3つあり、LGA 115x系、LGA 20xx系、AMDソケット系、それぞれに対応した説明書がちゃんと用意されているので、間違えないように。

なお、付属品についていくつか説明しておきたいことがあります。

Noctua NH-U12Aの付属グリス

付属グリスの「NT-H1」は、正直に言って付属品としては非常に高性能です。わざわざ別売りのグリスを用意する必要は全くないため、すでにグリスを持っている人以外はNT-H1で大丈夫。

Noctua NH-U12Aの付属品

次に低騒音コネクタ(Low Noise Adapter NA-RC14)について。このコネクタは降圧変換コネクタになっていて、ファンの最大回転数を約15%ほどカットする機能があります。

使えばファンの回転数に制限が掛かり、結果として動作音もカットされるという仕組みです。デメリットは当然、期待できる冷却性能にも制限がかかること。ぼくとしては、あえて使う必要は特にないですね。

Noctua NH-U12Aの付属ステッカー

あとはステッカー。Noctuaロゴが彫り込まれた可愛らしいデザインで、しかも単なるシールではなく分厚いアルミステッカーというところに痺れます。

本体デザインと付属ファン

NH-U12Aの本体ヒートシンクは、コンパクトながらも「高密度」に仕上がっているのが大きな特徴です。

Noctua NH-U12Aのヒートシンク本体

放熱フィンは0.5 mm厚のアルミニウム製を、50枚も重ねている。狭い空間に0.5 mmというやや分厚いフィンを50枚も詰め込んでいるのです。しかもフィンは酸化しにくいように、ニッケルメッキ処理まで施してある。

Noctua NH-U12Aのヒートシンク本体

ヒートシンクの成型はやや左右非対称になっています。メモリスロット側に対して、余裕を取れるように設計してあり、ファンを取り付けた状態でもメモリとの干渉を100%回避できるとのこと。

Noctua NH-U12Aのヒートシンク本体

熱をヒートシンクに運ぶヒートパイプは6 mm径を7本も通してある。スペース的に7本もヒートパイプを通すのは苦労しそうですが、複雑な配置にすることで見事に詰め込んでいます。

それだけでなく、ヒートパイプと放熱フィンの接着には「はんだ付け」を採用しているのもNoctuaのこだわりを感じるポイント。通常は、コストの観点から「圧入」を採用する傾向が強いです。

それでも「はんだ付け」を採用しているのは、長期間の使用でもヒートパイプの密着が放熱フィンから離れないようにするためです。6年保証と15万時間のMTTFを実現しているのも納得の設計といえる。

Noctua NH-U12Aのヒートシンク本体

受熱ベースプレートは熱伝導性に優れる「銅製」。酸化を防ぐためにニッケルメッキ処理も施してある。厚みは15 mm、四方48.5 mmの正方形です。

四方48.5 mmと広めの面積を確保しているため、LGA 115x系やAMDソケットはもちろん、LGA 20xx系のヒートスプレッダが大きいCPUが相手でも問題なく冷却性能を発揮できる。

ヒートパイプは受熱ベースプレートに埋め込む「非接触式」を採用してあります。ベースプレートとヒートスプレッダをいかに隙間なく密着させるか、という都合を考えると「非接触式」は妥当です。

Noctua NH-U12Aのヒートシンク本体

あと個人的に気になったのが、ヒートシンクの左右をほぼ密閉してあること。ヒートシンクを手で持つ時にフィンで指を切りにくいというメリットと、効率よく熱を排出できる2つのメリットがあるようです。

Noctua NH-U12Aのヒートシンク本体

ヒートシンク天面にはNoctuaのロゴが刻印されていました。

それにしてもよく7本もヒートパイプを詰め込んだものです。天面から見ると、ヒートパイプはまんべんなく配置されつつ、やや吸気ファン側に偏った配置になっていることが分かります。

Noctua NH-U12Aのヒートシンク重量

ヒートシンク本体の重量は738 gでした。コンパクトな見た目の割に重量感はずっしりとスゴい。念のため、本当に「ずっしりとスゴいのか?」を比較しておきます。

重量の比較(ヒートシンク本体の重さ)

  • 風魔弐
    756 g
  • 無限五Rev.B
    755 g
  • NH-U12A
    738 g
  • 虎徹Mark II
    502 g

他の120 mm中型空冷クーラーと比較すると、NH-U12Aの738 gという重量はごく標準的なものだと分かる。

密度の比較(1リットルあたりの重さ)

  • 風魔弐
    337.0 g/L
  • 無限五Rev.B
    452.9 g/L
  • NH-U12A
    644.3 g/L
  • 虎徹Mark II
    447.8 g/L

しかし、本体重量をヒートシンクの寸法から求めた体積で割り算すると、NH-U12Aは1リットルあたりの重量(=密度)がもっとも高いクーラーということが判明しました。

Noctuaの高い設計力と、それを実際に形にしてしまう技術力の高さが浮き彫りになってますね。

初心者もち
でも、みっちり詰め込むほど風を送り出すのしんどそうだね?
やかもち
それを考慮して、付属ファンに最上位グレードの「NF-A12x25 PWM」を採用したのでしょう。
Noctua NH-U12Aの付属ファン

付属ファンは「NF-A12x25 PWM」を2つ採用。Noctuaが製造する120 mmファンの中では、もっとも高い性能を誇るハイエンド冷却ファンです。

Noctua NH-U12Aの付属ファン

NF-A12x25 PWMは、Noctuaが開発した新素材「Sterrox LCP」を用いることで、120 mmという狭さに9枚ものブレードを詰め込んでいます。フレームとブレードの距離もわずか0.5 mmしかなく、凄まじい密度のファンです。

ブレードそのものの設計には、静音性を高める溝のような構造「Flow Acceleration Channels」や、フレーム内側に向かって階段のような段差を入れる「Stepped Inlet Design」構造など。

Noctuaの持つ最先端技術がもれなく投入されています。なお、ファン軸受はNoctua独自の「SSO2ベアリング」を採用している。高い耐久性と静音性を両立を狙います。

Noctua / 口径 : 120mm / 軸受 : SSO2 / ピン : 4pin PWM / 付属 : 分岐ケーブル / 備考 : スリムな15mm厚

なお、NF-A12x25 PWMは市販されているため、仮に付属ファンが故障しても部品の入手に困ることはない。

取り付け方法を解説

ちもろぐ専用ベンチ機にて採用しているマザーボードASRock Z390 Extreme4」(ソケット:Intel LGA 1151)に取り付ける手順を、写真で詳しく解説していきます。

Noctua NH-U12Aの取り付け

CPUソケットの四隅にある「穴」に、インテル用バックプレートを挿し込む。

Noctua NH-U12Aの取り付け

固定していない状態ではとても抜けやすいので、差し込んだ後は指で抑えながらマザーボードを横置きにする。

Noctua NH-U12Aの取り付け

すると、バックプレートのネジ山が露出した状態になります。この4箇所のネジ山に、付属のナットやネジを取り付けて固定していく。

Noctua NH-U12Aの取り付け

まずは黒色のプラスチック製スペーサーを取り付ける。

Noctua NH-U12Aの取り付け

インテル用マウンティングプレートをセットします。向きに気をつけてください。

Noctua NH-U12Aの取り付け

そして付属品の「つまみネジ」で、マウンティングプレートをバックプレートと固定します。これでようやくバックプレートがマザーボードから抜けないようになりました。

Noctua NH-U12Aの取り付け

グリスをCPUに塗布する。使っているグリスがない人は付属の「NT-H1」でOKです。ぼくは検証用に使っているクマグリスを使う。毎回同じグリスを使わないと、比較検証にならないですからね。

なお、グリスの塗布は「圧着」です。器用な人はゴムベラなどを使ってていねいに薄く伸ばすのもアリ。ぼくは塗るのがヘタなのでだいたい圧着で塗布しています。

Thermal Grizzly / 冷却性能が高くポンピング性能も高いCPUグリス
Noctua NH-U12Aの取り付け

グリスをCPUの上に少量出したら、そのままNH-U12Aのヒートシンクを置きます。少しだけ左右にグリグリとしたら、左右のリテンションにあるネジを止めていく。

Noctua NH-U12Aの取り付け

付属の長いプラスドライバーでやると簡単です。リテンションのネジを固定する時の注意点は、片方だけを一気に締めないこと。必ず、左右均等になるように交互に固定してください。

Noctua NH-U12Aの取り付け

無事、固定できました。ネジがある程度回らなくなってきたら、そこで終了です。NH-U12Aには「SecuFirm2※」という構造が採用されているので、締めすぎてCPUにストレスが掛かる心配はありません。

※Noctua独自の固定システム。スプリング式のネジを使うことで、それ以上締めてはいけない水準でネジが回らなくなる仕様です。安全かつ合理的な固定システムですね。

Noctua NH-U12Aの取り付け

付属ファンを取り付ける。ファンクリップとヒートシンクは若干ゆるめの距離感になっているため、ヒートシンクに向かってファンクリップを引っ張るだけで簡単に取り付けが可能でした。

Noctua NH-U12Aの取り付け

反対側のファンも同じ要領で取り付ける。

Noctua NH-U12Aの取り付け

ファンから伸びている4 pin コネクタを、付属のY字コネクタにまとめ、マザーボード上の「CPU_FAN」コネクタに挿し込みます。これでNH-U12Aの取り付けが完了しました。

クリアランス(干渉)をチェック

Noctua NH-U12Aのクリアランス(メモリ)

ヒートシンクが左右非対称に成型されているおかげで、ファンを取り付けた状態でもメモリと干渉する心配は一切なし。ヒートシンク装着済みで背の高いメモリも安心して使えます。

Noctua NH-U12Aのクリアランス(PCIe)

PCI Express x16スロットとの距離は約30 mmです。手を突っ込むにはやや狭いですが、十分な距離が確保されています。

NH-U12Aの性能を検証レビュー

Noctua NH-U12Aのテスト環境

「NH-U12A」の性能を検証する。負荷テストによって、NH-U12Aの冷却性能と静音性をチェックします。検証に使うテスト環境は以下の通り。

CPUはメインストリーム向けCPUでもっとも発熱が激しい「Core i9 9900K」を使いますが、ゲーマー向けにおすすめしている「Core i7 9700K」も検証します。

負荷テストの内容はBlenderやCinebenchではなく、負荷の掛かり方(→動画エンコードは波打つように負荷が変動する)や、テストにかかる時間を考慮して「Handbrake」を使う。

Handbrakeの標準プリセット「Fast 720p30」を使って、容量2.4 GBのアニメファイル(.mkv / 1920 x 1080)を、HD画質(.mp4 / 1280 x 720)にエンコードします。

標準ファンの静音性と回転数

Noctua NH-U12Aの静音性(騒音値)

騒音値(デジベル)の計測結果

  • 1000 rpm
    30.8 dBA
  • 1100 rpm
    31.1 dBA
  • 1200 rpm
    31.1 dBA
  • 1300 rpm
    31.3 dBA
  • 1400 rpm
    32.3 dBA
  • 1500 rpm
    32.8 dBA
  • 1600 rpm
    35.5 dBA
  • 1700 rpm
    36.5 dBA
  • 1800 rpm
    37.7 dBA
  • 1900 rpm
    39.3 dBA
  • 2000 rpm
    40.8 dBA

さすがにNoctuaの最上位グレードに位置する「NF-A12x25 PWM」の静音性は抜群です。1500 rpmまではほとんど無音に近いレベルの騒音値を記録し、1600 rpmからようやく風切り音が聞こえてきます。

1700 rpm以上は段階的に騒音値が上がっていき、2000 rpmでは40 dBAを超えてしまいました。「静かだな。」と感じるのは1600 rpmまで限度になりそうです。

Noctua NH-U12Aの静音性(騒音値)の比較

まだ比較データは少ないですが、虎徹Mark IIと静音性を比較してみると、NH-U12Aの圧倒的な静音性能がハッキリと分かります。

虎徹Mark IIをフル回転にした時の騒音と、NH-U12Aを1600 rpm(しかも2個)にした時の騒音レベルが同じです。つまり、NH-U12Aは同じ動作音でも冷却性能が高いということになる。

冷却性能:Core i7 9700KはOCも余裕

Noctua NH-U12Aの冷却性能(i7 9700K)
クロックコア電圧最大温度平均温度処理速度
4.6 GHz1.175 V69.0 ℃65.4 ℃152.25 fps
4.8 GHz1.200 V73.0 ℃68.5 ℃158.01 fps
4.9 GHz1.220 V75.0 ℃70.9 ℃161.79 fps
5.0 GHz1.270 V81.0 ℃76.0 ℃163.85 fps

冷えすぎて怖い。空冷でここまで冷やせるなんて、あまりに数値が良すぎるからBIOSの設定(CPUのコア電圧やクロック倍率など)を2回も見直したほどです。

Core i7 9700Kを5.0 GHzまでオーバークロックしても、最大温度を81℃に抑えています。定格クロックなら69℃にまで抑えており、NH-U12Aの強力な冷却性能がよく分かりました。

冷却性能:Core i9 9900Kも余裕で冷やす

Noctua NH-U12Aの冷却性能(i9 9900K)
クロックコア電圧最大温度平均温度処理速度
4.7 GHz1.220 V80.0 ℃73.4 ℃165.11 fps
4.8 GHz1.240 V81.0 ℃75.3 ℃168.54 fps
4.9 GHz1.265 V87.0 ℃78.7 ℃171.68 fps
5.0 GHz1.300 V91.0 ℃83.0 ℃174.71 fps

発熱の激しいCore i9 9900Kを相手にしても、NH-U12Aはかなりの冷却性能を発揮しています。

定格クロックでは最大80℃で問題なし。4.8 GHzに若干のオーバークロックを施しても、最大81℃で余裕があります。しかし4.9 GHzになると87℃まで上昇を許し、少し厳しい状態でした。

5.0 GHzでは91℃に達したので、オーバークロックの常用域は4.8 GHzです。並の120 mmクーラーではi9 9900Kを定格で冷やすのでやっとでしたが、NH-U12Aはオーバークロックにも耐えてみせた。

120 mm中型空冷クーラーとしては、最強かもしれません。

Noctua NH-U12Aの冷却性能(ファン回転数別)

なお、ファンの回転数を固定した場合の冷却性能もチェックしておく。

  • Auto:最大80℃
  • 1600 rpm(80%):最大79℃
  • 2000 rpm(100%):最大77℃

冷却性能はさらに伸びました。フル回転(2000 rpm)時の冷却性能は、Auto設定と比較して3℃の改善です。定格のCore i9 9900Kを80℃未満にまで冷やせる空冷クーラーは初めてです。

ヒートシンク本体の表面温度

Noctua NH-U12Aの表面温度

ヒートシンク本体の発熱をサーモグラフィーカメラを使って撮影。排気側は36~37℃くらいで、気温+10℃くらいの表面温度でした。

Noctua NH-U12Aの表面温度

吸気側は30~33℃でよく冷えています。

Noctua NH-U12Aの表面温度

密閉されているヒートシンク側面は37~38℃で推移。高いところでも気温+10℃くらいで落ち着いているので、ヒートシンクに対してファンの冷却性能は十分に足りています。

まとめ:120 mmサイズで最強のCPUクーラー

「NH-U12A」の良いところ

  • Core i9 9900Kを余裕で冷却できる
  • 常用オーバークロックが可能
  • 回転数の割には静かな動作音
  • メモリとグラボに干渉しない
  • 高さ158 mmでコンパクトな設計
  • Noctuaらしい高級感あるデザイン
  • 実用性に優れた付属品たち
  • 最強の120 mm中型空冷クーラー

120 mmの中型空冷クーラーとしては文句なしに「最強」のCPUクーラーです。高さ158 mmで、周囲のパーツを干渉しないほどのコンパクトさで、ここまでの冷却性能を叩き出せるのは驚異的。

Core i7 9700Kは5.0 GHzにオーバークロックしても余裕がありますし、Core i9 9900Kは定格~4.8 GHzまでなら全く問題ない範囲で冷やし切ることが可能でした。

そして動作音もすごい。他社のCPUクーラーと比較すると、ファン回転数が同じならほとんどの場合はNH-U12Aの方が静かです。

よってNH-U12Aは、取り付けやすさや干渉しない「互換性」、Core i9 9900Kすら冷やせる「冷却性」、同じ回転数なら優位な「静音性」。全てにおいて極めて高い完成度でまとまっています

高級感あふれるNH-U12Aのデザイン

ただしNoctuaらしいベージュカラーは好みが分かれるところかもしれない。ぼくは、Noctuaのあのベージュ基調のデザインは高級感が溢れ出ていて大好物なんですけどね。

「NH-U12A」の微妙なとこ

  • Core i9 9900Kの5.0 GHzには性能不足
  • 簡易水冷ユニットが買えるほどの値段

NH-U12Aの冷却性能は、そのコンパクトなサイズを考えれば驚異的な水準です。それでもCore i9 9900Kを5.0 GHzにオーバークロックすると85℃を大きく超えてしまった。

もうひとつの課題はやはり価格です。国内だと1.2~1.5万円くらいで販売されていますが、1万円を大きく超えると他社の240~280 mmラジエーターを備える簡易水冷ユニットに手が届きます。

ただし、同じ値段の簡易水冷ユニットを買ったところで…NH-U12Aと同じ性能を得られるかどうかはまた別の問題です。なぜなら、NH-U12Aの付属ファンが強力過ぎる、という事情があるからです。

NH-U12AとNZXT X62の冷却性能

たとえば筆者が持っている280 mm簡易水冷ユニット「NZXT X62(フル回転)」で、定格クロックのCore i9 9900Kを冷やすと最大78℃にまで抑えられました。

一方のNH-U12Aは最大80℃です。温度差はわずか2℃しかなく、NH-U12Aより約2000円も高価な割には物足りない冷却性能にとどまっています。しかもNZXT X62の付属ファンは100%で回すと爆音です。

このように簡易水冷ユニットでも、NH-U12Aと同レベルの静音性と冷却性能を期待できるかと言うと…意外にも微妙という事情があるので注意が必要です。

水冷ユニットの付属ファンを「NF-A12x25 PWM」に交換すれば良い、という意見も出てきそうですが、単品だと1個4000円も掛かる。コスパは更に悪化するので何とも言いづらい。

Noctua / ソケット : LGA 115X・2011・Socket AM4 / ファン : 120 mm x2 / 全高 : 158 mm / 備考:価格の60%は冷却ファンで占めます

以上「Noctua NH-U12Aをレビュー:最強の120 mm空冷クーラーが君臨」でした。価格はたしかに高いですが、価格に見合っただけの性能をNH-U12Aは提供してくれます。

やかもち
120 mmサイズというコンパクトさで簡易水冷レベルに冷えるのはホントにすごい。

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24 件のコメント

  • ちょうど気になっていたのでレビューありがたいです。
    参考にさせてもらいます!
    ところで質問なんですが、今CPUクーラーを選んでいて、どうせならAORUSで揃えたいような気がしてしまいます。ATC700の冷却性能とNH-U12Aはかなり変わると思いますか?

    • かなり違います。ATC700は写真を見る限り、フィンは22枚、ヒートパイプは3本しかありません。この時点で性能的にNH-U12Aと並ぶことは無いと推測できます。あまりオススメはしないです。

    • けっこう開発に苦労しているようです。「NF-A12x25 PWM」の140 mm版が2020年に登場する予定なので、NH-D15の最新版が出るのも2020年以降になりそう。

  • CPUクーラーですが放熱フィンがアルミ製と銅製での違いって何かあるのでしょうか?
    基本アルミ製ばかり見ますが、銅のほうが性能あがるのでしょうか、採用してるところあんまりないってことはそうじゃないのかな。

      • ありがとうございます。
        重すぎてダメとは思いつきませんでした、マザボが耐えきれないのですね。
        載せていただいた記事を見ると約2倍の重量とはそりゃぁもうぽっきり折れそうですね。
        NH-U12Aが738gだから1476g?どれだけの重量に耐えれるのか知りませんが期待していたその上のNH-D15とかになるとPC横置きでないと使えないとか出しただけで赤字になりますね・・・
        夢は夢だった。

  • 最近ケースファンを全てNoctuaにしたのですが冷却性能がまるで違うw
    今までのファンは何だったんだと思ってしまった・・・
    近々CPU交換する予定なのでNH-U12Aを導入するぞー!

  • 「NH-U12A」の微妙なとこ
    ・色

    CPUクーラーのデザインだけ浮いてて草生えますw
    一匹狼みたいなCPUクーラーですね

    • 定格なら行けます。それでも温度は80℃くらいに達するため、温度をもっと低く抑えるならコア電圧を固定するなどの設定は必要です。

  • 風魔弐の記事と見比べて思ったのですが、NH-U12AはCore i7 9700K/5.0 GHzで81.0 ℃、一方風魔弐は79.0 ℃。ファン回転あたりの静音性は、NH-U12Aが静かなのはわかりますが、風魔弐のファン(薄型と2つですが)は虎徹Mark IIと同じですので、この状況では、風魔弐の方がかなり静かということになりませんか?Core i9 9900K/5.0 GHzでNH-U12Aが91.0 ℃、風魔弐は97.0 ℃とだいぶ差が出てしまうんですが、これは風魔弐のファン回転が最大1200rpmとかなり低い設定であるために冷やしきれないのでは無いでしょうか?もし、風魔弐のファンの回転数を40.8dba程度まで上げるか、NF-A12x25 PWMに交換しちゃうとクーラー本体的には風魔弐の方が高性能ってことになってしまうのではないか?と思いました。

    • 「NF-A12x25 PWM」がとても優秀なのは間違いないですね。おそらく虎徹や風魔で、ファンをNoctua製に換装することで、かなりの性能アップは見込めると思います。ただ、1個4000円も掛かるファンなので、コスパ的にメリットが失われるのを許容できるかどうか…という一面も。

      • 確かにそうですね。忍者5もそうですが、サイズは風魔弐も静音仕様に振り過ぎかもしれませんね。NF-A12x25 PWMはぼりすぎです。NH-U12Aがお得に思えてしまいますね。(すみません。長文で反映されないかと思って同内容のメール送ってしまいました。削除お願いします)

  • 風魔弐の記事と見比べると、Core i9 9700Kでは、風魔弐の方が2℃冷えてますね。風魔弐のファンは、虎徹2と同じものですので(薄型も付いてますが)、回転数辺りの静音性は違っていても、風魔弐の方がだいぶ静かってことになりますよね?一方Core i9 9900Kでは、NH-U12Aの方が6℃冷えてますが、風魔弐のファン上限が1200rpmしかないため、冷やしきれてないだけで、風魔弐のファンを40.8 dBAまで回転上げるか、NH-U12Aのものに変えれば、風魔弐の方が冷えちゃうんじゃないですかね?

  • 風魔弐の記事と見比べると、Core i9 9700Kでは、風魔弐の方が2℃冷えてますね。風魔弐のファンは、虎徹2と同じものですので(薄型も付いてますが)、回転数辺りの静音性は違っていても、風魔弐の方がだいぶ静かってことになりますよね?一方Core i9 9900Kでは、NH-U12Aの方が6℃冷えてますが、風魔弐のファン上限が1200rpmしかないため、冷やしきれてないだけで、風魔弐のファンを40.8 dBAまで回転上げるか、NH-U12Aのものに変えれば、風魔弐の方が冷えちゃうんじゃないですかね?

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