低価格帯SSDの競争がますます激しくなっています。
性能に関しては「WD Black SN770」が頂点ですが、SN770より1000~2000円安い価格帯では、今回自腹でレビューする「SK Hynix Gold P31」が最強の座を更新する可能性が高いです。
(公開:2023/1/11 | 更新:2023/1/11)
SK Hynix Gold P31のスペックと仕様
SK Hynix Gold P31 スペックをざっくりと解説 | ||
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容量 | 1000 GB | 2000 GB |
インターフェイス | PCIe 3.0 x4(NVMe 1.3) | |
フォームファクタ | M.2 2280(片面実装) | |
コントローラ | SK hynix Cepheus | |
NAND | SK Hynix 128層 3D TLC NAND | |
DRAM | LPDDR4 | |
SLCキャッシュ | 非公開 | |
読込速度 シーケンシャル | 3500 MB/s | |
書込速度(SLC) シーケンシャル | 3200 MB/s | |
書込速度(TLC) シーケンシャル | 非公開 | |
読込速度 4KBランダムアクセス | 570K IOPS | |
書込速度 4KBランダムアクセス | 600K IOPS | |
消費電力(最大) | 6.3 W | |
消費電力(アイドル) | 50 mW | |
TBW 書き込み耐性 | 750 TB | 1200 TB |
MTBF 平均故障間隔 | 150万時間 | |
保証 | 5年 | |
MSRP | $ 134 | $ 249 |
参考価格 | 11330 円 | 26000 円 |
GB単価 | 11.3 円 | 13.0 円 |
「SK Hynix Gold P31」は、半導体メモリ業界の大手メーカーSK Hynixが自社で開発と製造を行う、エントリー向けNVMe SSDです。
128層まで積み上げた3D TLC NANDと、最大4チャネルのNANDメモリを束ねる自社製SSDコントローラ「Cepheus」の組み合わせで、LPDDR4メモリによるDRAMキャッシュも搭載。
記憶密度が高く書き込み性能にも優れるSK Hynix製128層NANDと、DRAMキャッシュ搭載により、PCIe 3.0対応NVMe SSDの中では特に堅実なパフォーマンスを発揮できます。
しかもサムスンと同じく、SSDコントローラからNANDメモリまで、すべて自社で開発製造する垂直統合型のSSDです。異物混入のリスクを非常に低く抑えられ、高い信頼性に期待できます。
SSD | 500 GB | 1 TB | 2 TB |
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SK Hynix Gold P31 | 500 TBW | 750 TBW | 1200 TBW |
WD_BLACK SN770 (WD_BLACK SN770:レビュー) | 300 TBW | 600 TBW | 1200 TBW |
KIOXIA EXCERIA PLUS G2 (KIOXIA EXCERIA G2 PLUS:レビュー) | 200 TBW | 400 TBW | 800 TBW |
KIOXIA EXCERIA G2 (KIOXIA EXCERIA G2:レビュー) | 200 TBW | 400 TBW | 800 TBW |
WD Blue SN570 (WD Blue SN570 NVMe:レビュー) | 300 TBW | 600 TBW | – |
Crucial MX500 (FireCuda 530:レビュー) | 180 TBW | 360 TBW | 700 TBW |
FireCuda 530 (FireCuda 530:レビュー) | 640 TBW | 1275 TBW | 2550 TBW |
CFD PG4VNZ | 350 TBW | 700 TBW | 1400 TBW |
Plextor M10PGN | 320 TBW | 640 TBW | 1280 TBW |
Crucial P5 Plus | 300 TBW | 600 TBW | 1200 TBW |
Samsung 980 PRO (980 PRO:レビュー) | 300 TBW | 600 TBW | 1200 TBW |
WD Black SN850 (SN850:レビュー) | 300 TBW | 600 TBW | 1200 TBW |
耐久性能評価(TBW)は、500 GBと1 TBモデルで競合する他社製品より高い数値です。
1 TBモデルの場合、750 TBWをアピール。ゲーミングPCでシステムストレージとして使った場合、かなり過剰に見積もっても1日あたり平均50 GB程度の書き込みです。
750 TBWを50 GB(0.050 TB)で割ると15000日で、耐久値を使い切るのに約41年もかかる計算に。おそらくNANDメモリの寿命が尽きるより先に、SSDコントローラが経年劣化で故障する確率のほうが高いです。
ライバル製品と価格設定の比較
NAND製造メーカーの純正モデルで、価格の近いNVMe SSDとSATA SSDの価格を比較してみた。
2023年1月時点、Gold P31の価格は1 TBモデルが約11300円、2 TBモデルで約26000円です。
DRAMキャッシュを搭載しないHMB方式のSamsung 980(無印)よりコスパは良さそうですが、DRAMキャッシュを搭載するEXCERIA PLUS G2が強力なライバルにあたります。
128層NAND搭載のSK Hynix Gold P31が、旧世代のテクノロジーを詰め込んだEXCERIA PLUS G2に対してどこまで優位性を見せられるのか注目したいです。
SK Hynix Gold P31を開封レビュー
パッケージデザイン & 開封
今回レビューで使うサンプルはAmazon(販売ページはこちら)より、約11300円にて1 TBモデルを自腹で購入しました。
真っ黒なプリント基板を描いた背景に、金色の宝石を浮かばせる独特なデザインセンスです。
パッケージに正規代理店や製品保証のシールが見当たらないですが、公式サイトを見る限りサポート業務もSK Hynixが自社で行っているようです。
- SK Hynixへお問い合わせ(公式サイト)
Amazonから購入して30日以内の初期不良は交換対応で、5年以内の故障だとSK Hynixに個別に問い合わせて交換対応になりそうです。
説明書(保証書)が同封されています。クラフト製のケースにSSD本体がすっぽりと収まっています。
SSD本体はなんと個包装フィルムで保護されています。
基板コンポーネント
やや安っぽさを感じさせる緑色のプリント基板上に、SSDを構成するコンポーネントを覆い隠すように製品ラベルシールが貼られています。
ラベルシールを剥がすと5年間の製品保証が無効となるリスクが高いため、別途M.2ヒートシンクを取り付ける場合はシールを剥がさずにそのまま取り付けましょう。
裏面にコンポーネントはありません。各国の認証ロゴや、交換保証(RMA)申請時に必要となるシリアルナンバー(S/N)が記載されたラベルシールが貼られています。
表面だけにコンポーネントが実装されているシンプルな片面実装のNVMe SSDです。取り付けスペースが狭いノートパソコンで問題なく使えます。
シールを剥がして基板のコンポーネントを目視で確認します(※5年間の製品保証が切れる行為ですので、真似しない方が安全)。
- コントローラ:SK Hynix Cepheus
ACNT038 027A - DRAM:SK Hynix LPDDR4
H9HCNNN8GUALHR-NEE 026A - NAND:SK Hynix 128層 3D TLC NAND
H25T2TB88E X259 029A
SSDコントローラはSK Hynixが自社で開発するARM Cortexベースの「Cepheus」を搭載。
最大3500 MB/sのスループットを可能にするコントローラですが、NANDメモリを束ねられる最大チャネル数は4です。
同価格帯で競合するEXCERIA PLUS G2などに搭載されるPhison E12Sが最大8チャネルに対して、SK Hynix Cepheusは半分の4チャネルしか束ねられません。
一般的に、SSDの性能は複数のNANDメモリを並列化(束ねる)するほど高性能化できますが、チャネル数が半分の4しかないCepheusは不利な戦いを挑まれるように見えます・・・
が、Gold P31に搭載されるNANDメモリはSK Hynixが自社で製造する「128層 3D TLC NAND」です。
PCIe 3.0世代のNVMe SSDとしては、Samsung 970 EVO Plus(新Rev)に匹敵する積層数で、高い記憶密度とすぐれたスループットを可能にします。
SK Hynixの資料によると、128層 3D TLC NANDの記憶密度は1024 Gb(= 128 GB)です。4枚重ねのパッケージ(1024 x 4 = 4096 Gb)を2枚使って、合計8192 Gb(= 1024 GB)の容量を実装します。
EXCERIA PLUS G2 | SK Hynix Gold P31 |
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= 8個使って容量1 TB (512 x 2 x 8 = 8192 Gb) | = 2個使って容量1 TB (1024 x 4 x 2 = 8192 Gb) |
EXCERIA PLUS G2が旧世代テクノロジーの物量投入作戦なら、SK Hynix Gold P31は最新鋭のパーツを少数だけ使って高性能化を目指す作戦です。
過去のSSDレビューを見る限り、技術的に多少古くても物量投入であれば1~2世代先の製品に勝てる傾向が強いです。SK Hynixは半分のチャネル数で本当に競合製品と戦えるのかどうか、興味深いです。
DRAMキャッシュはSK Hynix製「LPDDR4(Low Power DDR4)」メモリを搭載。
型番が「H9HCNNN8」で始まって「NEE」の3桁で終わるため、容量1 GBのLPDDR4-4266(4266 Mbps)メモリと判別できます。定格電圧は1.1 Vで動作し、競合他社で見られる1.2 Vより0.1 V低い電圧です。
SK Hynix Gold P31の性能をベンチマーク
テスト環境を紹介
テスト環境 「ちもろぐ専用:SSDベンチ機」 | ||
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CPU | Ryzen 9 5950X16コア32スレッド | |
CPUクーラー | NZXT X63280 mm簡易水冷クーラー | |
マザーボード | ASUS ROG STRIXX570-E GAMING | |
メモリ | DDR4-3200 16GB x2使用メモリ「G.Skill Trident Z C16」 | |
グラフィックボード | RTX 3070 8GB | |
SSD | SK Hynix Gold P31 1TB | |
電源ユニット | 1200 W(80+ Platnium)使用モデル「Toughpower iRGB PLUS」 | |
OS | Windows 10 Pro 64bit検証時のバージョンは「1909」 | |
ドライバ | NVIDIA 471.41 | |
ディスプレイ | 3840 x 2160@160 Hz使用モデル「Innocn 27M2V」 |
980 PROのレビュー以降、SSDをテストするベンチマーク機を更新しました。PCIe 4.0に対応するプラットフォーム「Ryzen 5000」と「AMD X570」をベースに、適当なパーツを組み合わせます。
CPUは16コア32スレッドの「Ryzen 9 5950X」です。16コア32スレッドの圧倒的なCPU性能があれば、最大7000 MB/s超のSSDが相手でもボトルネックになる可能性はほぼ皆無です。
マザーボードはASUS製「ROG STRIX X570-E GAMING」を採用。テスト対象のNVMe SSDをCPU直結レーンのM.2スロット、またはPCIeスロットに挿し込んで各ベンチマークを行います。
SSDを熱から保護するサーマルスロットリングによって性能に悪影響が出ないように、以下のような手段でテスト対象のSSDを冷却しながらベンチマークを行います。
- マザーボード付属のヒートシンクを装着
- ケースファンを使ってヒートシンクを冷やす
SSDを徹底的に冷やして、サーマルスロットリングがテスト結果に影響を与えないように対策しています。5分間の発熱テストのみ、ヒートシンクを外してケースファンも使いません。
- インターフェース:NVM Express
- 対応転送モード:PCIe 3.0 x4
- 対応規格:NVM Express 1.3
- 対応機能:S.M.A.R.T. / TRIM / VolatileWriteCache
「SK Hynix Gold P31」の初期ステータスをCrystal Disk Infoでチェック。特に問題なし。
フォーマット時の初期容量は「931 GB」でした。
Crystal Disk Mark 8
「Crystak Disk Mark 8」は、日本どころか世界で一番有名と言っても過言ではない、定番のSSDベンチマークソフトです。性能の変化をチェックするため、初期設定の「1 GiB」に加え、最大設定の「64 GiB」もテストします。
Crystal Disk Mark 8の結果※クリックで画像拡大します | |
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テストサイズ:1 GiB(MB/s) | テストサイズ:64 GiB(MB/s) |
テストサイズ:1 GiB(レイテンシ) | テストサイズ:64 GiB(レイテンシ) |
読み込み速度が約3170 MB/sで、書き込み速度は約3480 MB/sを記録。なぜか読み込み速度がメーカー公称値に届かないです。
テストサイズを64 GiBまで引き上げると、1 GiB時より性能が改善します。読み込みと書き込みどちらもメーカー公称値を超える性能で、読み込みレイテンシ(4K)はなんと1割もアップ。
体感性能や実用性能に影響が大きい、4KBランダムアクセスのレイテンシ(応答時間)の比較グラフです。
SK Hynix Gold P31は56.79 μsで、価格的にライバルにあたるEXCERIA PLUS G2を軽く上回り、Samsung 970 EVO Plus(新Rev)に並びます。
書き込みレイテンシも問題なし。EXCERIA PLUS G2に近い水準です。
ATTO Disk Benchmark
ATTO Disk Benchmarkは、512 B~64 MB(合計21パターン)のテストサイズでスループットを測定し、SSDの性能が安定しているかどうかを視覚的に示してくれるベンチマークソフトです。
ベンチマーク結果からSSDの評価が非常に分かりにくいので、表計算ソフトを使ってグラフ化して他のSSDと比較します。
読み込み速度は3400 MB/s前後でピークに達したあと、安定した性能を維持します。キャッシュに収まる範囲なら、シーケンシャル公称値どおりの性能です。
書き込み速度は3400 MB/s前後に達したあと、安定した性能を維持します。キャッシュの範囲内なら、おおむねスペック通りの性能を示しており、特に問題ありません。
HD Tune Pro
HD Tune Proは有料のSSDベンチマークソフトです。SSDの容量全域に渡ってテストを実行して、SSDの性能変化(SLCキャッシュの有無や、キャッシュが剥がれた後の性能など)を手軽に調べられます。
HD Tune Proの結果※クリックで画像拡大します | |
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HD Tune Proで注目するのは「書き込み速度の変化」です。
3枚目のファイルベンチマーク(250 GB分)を見ると、途中から3000 MB/s前後の書き込み性能を出したかと思えば、73 GB書き込んだあたりで1500 MB/s前後まで落ち込みます。
SLCキャッシュサイズは約73 GBとやや少なめですが、キャッシュが切れたあとでも1500 MB/s近い性能を維持しているのは優秀です。
SK Hynix Gold P31を実運用で試す
ゲームのロード時間を比較
FF14:暁月のフィナーレ(ベンチマークモード)で、ゲームロード時間を測定します。ベンチマーク終了後に、ログファイルからロード時間を読み取ります。
SK Hynix Gold P31のロード時間は「7.12 秒」で、ハイエンドNVMe SSDに匹敵する性能です。
DRAMキャッシュを搭載しないHMB方式のNVMe SSDを軒並みごぼう抜きにし、HMB方式で最強の性能を誇るWD Black SN770すら超えるロード時間を記録します。
ライバル製品のEXCERIA PLUS G2に対しても勝利を収めます。
なお、ゲームロード時間はランダムアクセス速度(読み込みの応答時間)に比例して早くなる傾向があるため、読み込み応答時間がそれほど早くないGold P31がトップクラスの性能を出せる理由は不明瞭です。
ありきたりな推測ですが、LPDDR4-4266メモリのDRAMキャッシュをうまく使ってゲームロード時間を短縮化している可能性を考えられます。
ファイルコピーの完了時間
Windows標準のコピペ機能と目視によるストップウォッチでは正確性に欠けるので、ファイルコピーに便利なフリーソフト「DiskBench」を使って、ファイルコピーに掛かった時間を計測します。
- ゲームフォルダ(容量62 GB / 76892個)
- 写真ファイル(容量113 GB / 6000枚)
- 圧縮データ(容量128 GB / zip形式)
ファイルコピーに使う素材は以上の3つ。ファイルコピーの基準となるストレージは、PCIe 4.0対応かつ書き込み性能が高速なSamsung 980 PRO(1 TB)です。
書き込み(980 PRO → SK Hynix Gold P31)速度はシーケンシャル性能に沿った結果です。
ゲームフォルダの書き込みは同じ価格帯のNVMe SSDと大差ないですが、写真フォルダとZipファイルの書き込みはEXCERIA PLUS G2を上回り、Samsung 970 EVO Plus(新Rev)に匹敵します。
次は読み込み(SK Hynix Gold P31 → 980 PRO)のコピペ時間です。
ゲームフォルダの読み出しは平凡です。EXCERIA PLUS G2より速く、Samsung 970 EVO Plus(新Rev)と同等です。
写真フォルダとZipファイルの読み出しは良好で、EXCERIA PLUS G2より速くコピペを終えます。
Premiere Pro:4K素材プレビュー
動画編集ソフト「Adobe Premiere Pro」で、1秒あたり448 MBの4K動画素材をプレビューします。Premiere Proのプレビューは、素材を配置しているストレージの性能に影響を受けやすく、SSDの性能が不足すると「コマ落ち」が発生しやすいです。
コマ落ちしたフレーム数はPremiere Proの標準機能「コマ落ちインジケータ」で3回測定して平均値を出し、動画素材の総フレーム数で割り算してドロップフレーム率を計算します。
4Kプレビューのドロップフレーム率は約26.5%です。
単なるシーケンシャル性能だけでなく、応答速度も求められる複合的な読み出しテスト内容ゆえに、読み込み応答時間がやや遅いSK Hynix Gold P31のドロップフレーム率は伸び悩みます。
EXCERIA PLUS G2(約38.3%)よりだいぶマシで、ハイエンドNVMe SSDにはやはり後れを取る結果に。写真フォルダやZipファイルの読み出しテストと似たような傾向です。
PCMark 10:SSDの実用性能
PCMark 10 Professional Editionの「Storage Test」を使って、SSDの実際の使用シーンにおける性能を測定します。
- PCMark 10(UL Benchmarks)
Storage Testには23種類のテストパターン(Trace)が収録されており、パターンごとの転送速度や応答時間を測定し、SSDの実用性能をスコア化します。
なお、SSDは空き容量によって性能が大きく変化する可能性があるため、空き容量100%だけでなく容量を80%埋めた場合(= 空き容量20%)のテストも行いました(※2回:約2時間)。
SK Hynix Gold P31のストレージスコアは「2184点(空き容量20%時)」です。空き容量100%なら2394点で、空き容量による性能低下は約9%です。
空き容量20%スコアを比較していくと、Samsung 970 EVO Plus(1725点)やEXCERIA PLUS G2(1906点)を超え、Samsung 980 PRO(2202点)と肩を並べる結果に。
176層NANDを搭載するPlatinum P41やFireCuda 530には1.5倍近くスコアを離されるものの、Gold P31の安い価格を考慮するとコストパフォーマンスはかなり良いです。
PCMark 10ストレージテストの細かい内訳を確認します。
ライバルのEXCERIA PLUS G2に対して、SK Hynix Gold P31が勝利している分野はAdobeスコア、ゲームロードスコア、Officeスコアの3つです。
惜しくも届かなかった分野はファイルコピースコアのみ。
実用スコアの内訳 Full System Drive Benchmark | |
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Adobe Score | Adobe Acorbatの起動 Adobe After Effectsの起動 Adobe Illustratorの起動 Adobe Premiere Proの起動 Adobe Lightroomの起動 Adobe Photoshopの起動 Adobe After Effets Adobe Illustrator Adobe InDesign Adobe Photoshop(重たい設定) Adobe Photoshop(軽量設定) |
Game Score | Battlefield Vの起動(メインメニューまで) Call of Duty Black Ops 4の起動(メインメニューまで) Overwatchの起動(メインメニューまで) |
Copy Score | 合計20 GBのISOファイルをコピー(書き込み) ISOファイルを作成してコピー(読み込みと書き込み) ISOファイルをコピー(読み込み) 合計2.37 GBのJPEGファイルをコピー(書き込み) JPEGファイルを作成してコピー(読み込みと書き込み) JPEGファイルをコピー(読み込み) |
Office Score | Windows 10の起動 Microsoft Excel Microsoft PowerPoint |
15分間の連続書き込みテスト
約1 MBのテストファイルを15分間に渡って、ただひたすら書き込み続ける過酷な検証方法です。
一般向けに販売されているほとんどのSSDは、数分ほど連続して書き込むだけで「素の性能」を明らかにできます。SLCキャッシュの有無やサイズ、キャッシュが切れた後の性能低下などなど。
15分の連続書き込みテストによって、SSDのいろいろな挙動が判明します。
SK Hynix Gold P31と競合する代表的なNVMe SSDと比較しました。テストを開始してわずか数秒(約24 GB)で、書き込み性能が1600 MB/s前後まで下がります。
その後も安定して1600 MB/s前後を維持したあと、唐突に1820 MB/s前後まで書き込み性能がさらに伸びます。
15分間の平均書き込み性能は約1640 MB/sで、EXCERIA PLUS G2の約1440 MB/sを上回る性能です。
時間あたりの書き込み量を比較したグラフです。
15分間の書き込み量で比較すると、SK Hynix Gold P31がトップです。10分あたりまで両者ともに互角レベルの性能ですが、後半はSLCキャッシュの挙動で差が開きます。
なお、EXCERIA PLUS G2より下に並んでいるSSDはすべて、DRAMキャッシュを搭載しないHMB方式のNVMe SSDです。
書き込み性能の隠蔽はHMBよりDRAMキャッシュの方が効果的に機能しやすいため、よほどNANDメモリの素の性能がよくない限り、DRAMありのNVMe SSDに書き込み性能で勝てません。
SSDの動作温度をテスト
高負荷時のセンサー温度
モニターソフト「HWiNFO」で表示できる温度センサーは2つです。
- ドライブ温度:NANDメモリの温度
- ドライブ温度2:SSDコントローラの温度
上位モデルのPlatinum P41と同じく、Gold P31もNANDメモリとSSDコントローラそれぞれに温度センサーを搭載します。
SSDコントローラの温度はNANDメモリより高く表示されるため、NANDメモリだけに温度センサーを搭載するのが一般的な対応です。
にもかかわらずSK HynixはあえてSSDコントローラにも温度センサーを搭載しています。消費者に対して良心的な姿勢を取っているメーカーと受け取っていいでしょう。
参考までに、NANDメモリとSSDコントローラそれぞれにセンサーを搭載するメーカーは(筆者の知る限り)サムスンとSK Hynixの2社に限られます。
ヒートシンクを取り外し、ケースファンによるエアフローを一切与えない環境で、SSDが激しく発熱しやすい「連続書き込みテスト」を5分間実行しました。
テスト開始直後に1870 MB/s前後に書き込み性能が下がり、その後ずっと1870 MB/s前後の性能を維持します。
HWiNFOに表示される温度は最大82℃で止まったまま、性能が乱高下するなどサーマルスロットリングらしき症状は特に確認できませんでした。
次はサーモグラフィーカメラを使って、実際の温度を確認します。
サーモグラフィーで表面温度を確認
テスト開始から5分経過したあたりで、サーモグラフィーカメラを使って撮影。
- NANDメモリ(右):71 ~ 72℃
- SSDコントローラ:81 ~ 82℃
- NANDメモリ(左):71 ~ 72℃
NANDメモリの表面温度が70℃台で、SSDコントローラの表面温度は80℃台です。
HWiNFOに表示される「ドライブ温度」がNANDメモリ側で、「ドライブ温度2」はSSDコントローラ側の温度だと判断できます。
別売りのM.2ヒートシンクは必要ないです。エアフローを与えない環境で使っても、サーマルスロットリングらしい症状が見られません。
マザーボードにヒートシンクが付属しているなら装着するくらいでOKです。ただし、マザーボード付属のヒートシンクはネジの締めすぎに要注意。締めすぎると基板に圧力がかかりすぎてSSDの故障につながります。
まとめ:EXCERIA PLUS G2の上位互換性能
「SK Hynix Gold P31」のデメリットと弱点
- SLCキャッシュが限定的(わずか数秒)
※書き込み3000 MB/s以上を維持できる範囲
「SK Hynix Gold P31」のメリットと強み
- 最大3500 MB/sのシーケンシャル性能
- 1.1~1.2万円で最高の実用性能
- 空き容量による性能低下が少ない
- やや速いランダムアクセス速度
- ゲームロード時間
- 耐久性が高い(750 ~ 1200 TBW)
- 大容量モデルあり(最大2 TB)
- 極めて高いコストパフォーマンス
- SK Hynixによる完全自社製造モデル
- 5年保証
SK Hynix Gold P31は、EXCERIA PLUS G2のほぼ上位互換に位置する性能を発揮する、高コストパフォーマンスなNVMe SSDです。
ゲームロード時間、動画編集のプレビュー、AdobeソフトやOfficeを含めた普段使いまで。たいていの用途でSK Hynix Gold P31がEXCERIA PLUS G2を上回ります。
加えて、少ない部品数とスペックを抑えたSSDコントローラの組み合わせにより、競合モデルより省電力な点も魅力的。エアフローがなければ相応に温度が上がりますが、サーマルスロットリングは発生しませんでした。
耐久評価も1 TBモデルで750 TBWと、Gold P31の方がやや多いです。
非常に欠点が少ないSSDで、ちもろぐの個人的な評価は「A+ランク」で決まり。
レビュー当時はEXCERIA PLUS G2が予算1.1~1.2万円台のトップパフォーマンスだったのに、SK Hynix Gold P31は見事に最強を更新して見せました。
とはいえ、両者の性能差は極端に大きくはないです。その時その時のセール価格でコストパフォーマンスが逆転するシーンもありますし、基本的に買おうと思ったときの価格でどちらにするか選び分ける程度です。
Gold P31と同じ価格ならGold P31を選んだほうがお得で、EXCERIA PLUS G2の方が安いならPLUS G2を選んでいいでしょう。
なお、ノートパソコンに増設する目的だと片面実装かつ省エネなGold P31が有利です。EXCERIA PLUS G2はパーツが両面実装で、ノートパソコンの内部スペース次第で干渉するリスクがあります。
以上「SK Hynix Gold P31レビュー:128層NANDと自社専用設計で低予算SSDを攻略する」でした。
SK Hynix Gold P31を入手する
2023年1月時点、SK Hynixの国内販路はAmazonのみ。何かしらタイムセールがあると1割引に近いセールが行われ、大型セール時なら1 TB版が1万円を切ります。
文句なしのコスパですので、PCIe 4.0に興味ないならGold P31へゴーサインです。Gold P31以上のさらなる高性能に興味がある場合は「WD Black SN770」を要チェック。
NVMe SSDのおすすめレビュー記事
おすすめなSSDを解説
Gold P31レビューありがとうございました。
先年のBFセールではEXCERIA PLUS G2と迷った末に
こちらを購入したものの、
実性能についてずっと気になっておりましたので
大変参考になりました。
ちなみに管理人様の購入された個体では基盤色が緑だったようですが、
当方のものでは黒でした。
HWiNFOで表示される温度センサも当方の個体では3つ見つかるので、
ロットによって仕様に差異があるのかもしれません。
購入済みではありますが、個人的にとても興味深い機種です。
私のロットも黒基板でした。
海外のレビューだと消費電力も大変低い、との評判なのでノートパソコンの増設にも最適のようですね。
キオクシアのフラッシュメモリがもう少し高速だといいんだけどなあ…
Amazonのページで500と1TBは緑、2TBは黒のPCBと書いてある。
温度センサーが多いのも、2TBだからかな
最初の価格比較グラフになぜかライバル指名のEXCERIA PLUS G2が無いんですが、この同一調査時点ではどんなもんなんでしょうかね
しかし、先日のSN770も優秀でしたがこれひょっとしてこっちの方がお買い得なのでは…?
ベタな直線読み書きを発熱やSLCキャッシュの残量を気にせずいくらでも一定の中高速で可能なのは、作業用(D:)ドライブを安価で物理的に分けたい向きに良さそう
私は9月26日に9600円ぐらいで購入したのですが緑基盤、HWiNFOの温度センサーは2つでした。
Crystak Disk Markを実行したときの最大温度は38度(なぜかCrystak Disk Infoでは37度)、使い始めて3ヶ月ほど経ちますが未だに38度を超えたことがなく心配になるぐらい低温です。
ちなみにヒートシンクはAMAZONで300円ぐらいで購入した激安品、チップが4つ搭載されていますが真ん中の2つだけ高さが低いのでサーマルパッドには注意が必要です。
少し気になったのは透明の保護フィルムが硬化していて(経年劣化?)、開封するときにバリバリに割れたことでしょうか。
目次・見出しに「まとめ:EXCERIA PLUS G2の上位互換性能」と使いまわしミスらしきものがあります(2か所)。
SSD買う時はいつもちもろぐさんのレビューを見てから決めてます。
P31 Goldは完成度高いSSDですが、国内だとレビューが少なめだったので助かります。
SSDでもこのようなワットパフォーマンスが優秀な製品を今後も取り上げて頂けると大変ありがたいです。
[…] パフォーマンスの割に低消費電力…というノートPC向けの素性が好印象でした。日本語の記事としては、今年に入って「ちもろぐ」さんから出ましたから、コレが読みやすいでしょうか。 […]
これの唯一残念なところ
500GBモデルが(おそらく)日本で流通していない
公式サイトには500GBモデルの記載があるのに、Amazonなどの販売ページに行っても500GBモデルの販売がない
尼で18200円ですね。
在庫がはけたのかp41platinumと変わらない値段になってしまいました